JPH07308570A - 界面活性物質を含む分子複合体 - Google Patents

界面活性物質を含む分子複合体

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JPH07308570A
JPH07308570A JP6126994A JP12699494A JPH07308570A JP H07308570 A JPH07308570 A JP H07308570A JP 6126994 A JP6126994 A JP 6126994A JP 12699494 A JP12699494 A JP 12699494A JP H07308570 A JPH07308570 A JP H07308570A
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complex
water
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soluble
additive
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JP6126994A
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Hirotaka Hirata
田 寛 孝 平
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Abstract

(57)【要約】 【目的】水又は油等に不溶性若しくは難溶性物質に、可
溶性並びに迅速可溶性を具備せしめる。 【構成】カチオン性、アニオン性、非イオン性を問わず
適宜な界面活性物質(例えばCTAB)A(1)と、所
望の添加物質(被可溶性物質)B(2)とを混合し、両
者の相互作用による生成物で、化学構造としてAm・B
n若しくはAm・Bn・Cl(但しA,Bは混合物質の
分子、Cは水その他の混合調製時に使用される溶媒の分
子、m,n,lは分子数を表す)で特定され、前記混合
状態から単離して得られる複合体で、難水溶性添加物の
易水溶性化並びに迅速可溶化或は非親油性添加物の場合
には、当該添加物を親油性化することが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新しい化学種として、
界面活性物質が諸種物質との間で作り出す安定且つ取扱
いの容易な分子複合体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】界面活性物質は、周知の通り溶液表面或
は他の界面に於いて活性を示し、且つ溶液内部に於いて
臨界ミセル濃度以上でミセルコロイドを形成する物質で
あり、界面活性剤として食品、医薬品、農薬、化粧品を
始めとし、繊維、染色、製紙等その他鉱工業迄に及ぶ凡
ゆる産業界の諸分野に亘り広汎に利用されている。とり
わけその大きな用途として、水に不溶性若しくは難溶性
物質を、その作用の下に、水に均一に溶解させる所謂可
溶化が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】界面活性物質の利用に
際しては、一般に表面不活性の物質に添加して活性状態
とし、不活性状態では不溶の物質を溶液状態とするもの
である。即ち常に界面活性物質は、溶液状態で使用され
ており、物質の種類によっては溶液状態の形成(可溶化
の完了)に所定の攪拌並びに加温等長時間(長い場合は
数か月)を要する場合もあり、取り扱いに不便である場
合もあった。そこで本発明は、予め界面活性を付与した
新規な物質即ち界面活性物質を含む分子複合体を提案し
たものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明に係る界面活性物
質を含む分子複合体は、界面活性物質Aと添加物質Bと
を混合して得られる両者の相互作用による生成物で、化
学構造としてAm・Bn若しくはAm・Bn・Cl(但
しA,Bは混合物質の分子、Cは水その他の混合調製時
に使用される溶媒の分子、m,n,lは分子数を表す)
で特定され、前記混合状態から単離して得られることを
特徴するものである。
【0005】
【作用】種々の界面活性物質Aと種々の添加物質B(以
下「添加物」という)とを混合すると、界面活性物質の
分子間に添加物分子が取り込まれた構造の生成物(化学
構造としてAm・Bn若しくはAm・Bn・Clで、
A,Bが混合物質の分子、Cが水その他の混合調製時に
使用される溶媒の分子、m,n,lは分子数をそれぞれ
表している)が得られる(X線構造解析で確認)。この
生成物を単離した分子複合体(以下「複合体」と略称す
る)も又新しい界面活性物質である。この点は、複合体
の臨界ミセル形成濃度(cmc)が一つの添加物に対し
て、該複合体を形成する界面活性物質の疎水基鎖長を異
にする同族系列について、よく知られたる関係式(式
1)を充し、該複合体のB値が元の界面活性物質のB値
と異なる値を有する事により端的に示される(図1参
照)。
【0006】
【式1】
【0007】従って前記複合体は新規な界面活性物質で
ある。而も複合体を形成する諸種添加物は、複合体形成
によりその性質が改善せられる。例えば、添加物を難水
溶性医薬品とした場合、これを界面活性物質との間で複
合体を形成せしめる事により、易水溶性化する事が出
来、これにより人体への吸収が促進せられ、又投与方法
にも進歩、改善が計られる。またこの複合体を随時水に
投入すると、当該複合体の水溶液が得られ、この水溶液
は正に複合体形成に用いられる界面活性物質による該添
加物の可溶化液に他ならず、かくして殆ど時間を要せず
瞬時の中に難水溶性の該添加物の可溶化液を得る事が出
来る。
【0008】更に複合体を水等の媒体に投入する際、そ
の量比(複合体/媒体)に応じ、時には均一透明なる可
溶化液を得る事が出来ると同様に、又時には液は乳濁状
態となり、ここに該添加物を内相とする乳化液を瞬時に
調製する事も簡単に出来る。また複合せしめるべき界面
活性物質のHLB値に応じて添加物の親油性を高める事
も可能であり、これらを油溶性薬物等に転換、誘導し得
る結果ともなる。
【0009】
【実施例】
<第一実施例>第一実施例は界面活性物質としてカチオ
ン性のものを使用したものである。先ず最初にカチオン
界面活性剤種の中、第四級アルキルトリメチルアンモニ
ウム塩の代表例として臭化セチルトリメチルアンモニウ
ム(CTAB)を選択した実施例を述べる。
【0010】カチオン界面活性剤臭化セチルトリメチル
アンモニウム(CTAB)0.09gを水5mlに溶か
し、同界面活性剤の1.82%溶液とする。この溶液に
添加物としてo- ヨ−ドフェノ−ル0.06gを加え、
温度70度(温度表示は摂氏であり、以下同様である)
にて3時間攪はんし可溶化を完了する。均一透明なる該
可溶化液を10度にて五昼夜保てばCTAB/o- ヨー
ドフェノ−ル複合体を結晶状態で得ることができる。当
該CTAB/o- ヨ−ドフェノ−ル複合体のX線による
結晶構造解析を試みたところ図2の結果となり、界面活
性物質の分子1を骨格とし、添加物2が取り込まれてい
る状態であり、ここに該複合体の生成が確認できた。
【0011】前記複合体の分子組成比はCTAB/o-
ヨードフェノ−ル=1.0であった。結晶格子中に包接
せられたo- ヨ−ドフェノ−ルは、図10に示される如
く、極めて熱安定性が高められている。又元来水に対し
て難溶性なるo- ヨ−ドフェノ−ルが易水溶性化され、
30度の微温湯に直ちに溶解する。更にこの溶液はo-
ヨ−ドフェノ−ルを30度のCTAB溶液に5時間を要
して可溶化せしめた可溶化液と全く同一であり、従って
単離、貯留せられたるCTAB/o- ヨ−ドフェノ−ル
複合体結晶を水に投入するのみで瞬時に該活性剤溶液に
よるo- ヨ−ドフェノ−ルの可溶化が達せられることに
なる。更に該結晶性複合体について誘電率測定を行なっ
たるところ、界面活性物質単独系に比し複合体系は極め
て高い誘電率を示す事が分かった。(図9参照)
【0012】前記第一実施例と同様手段で、添加物をo
- クレゾ−ル、m- シアノフェノ−ル、アクリジン、イ
ンド−ル、ハイドロキノンについて実施したところ同様
に分子複合体が結晶状態で取出せた。これらのX線構造
解析を試みたところ図3〜5の如く、界面活性物質の分
子1と添加物分子2が分子単位で混合している状態が確
認できた。同様にp- クレゾ−ル、2- ナフト−ル、ジ
フェニルアミン等の諸物質についてもカチオン界面活性
剤CTABとの間に安定なる分子複合体が形成されるこ
とが数多く認められた。又これら複合体結晶は前記CT
AB/o- ヨ−ドフェノ−ル複合体と同様の性質を有す
るが確認された。即ち上記添加物はすべて水に対して難
溶性であるが、複合体結晶は水に易溶となる。又熱安定
性が高まることはも同様である(図10ロ、ハ参照)。
【0013】更に安定に単離、貯留せられた前記各複合
体結晶も水に投入することにより、これら諸添加物の迅
速可溶化が実現する。又これらの複合体は誘電率測定結
果から界面活性剤単独系に比し極めて高い誘電率を示す
ことも確認された(図9参照)。
【0014】前記第一実施例の別手段として、カチオン
界面活性剤CTAB0.18gとo- ヨ−ドフェノ−ル
0.11gをメタノ−ル5mlに溶かし、この溶液から
CTAB/o- ヨ−ドフェノ−ル複合体の結晶を生成せ
しめることもできる。該結晶については紫外吸収スペク
トルの測定(280nmにo- ヨ−ドフェノ−ルの特性
吸収あり)より直ちに複合体の生成を確認することがで
き、又分子組成を決定することことができた。該複合体
結晶は水溶液系より生成せる前記第一実施例の複合体結
晶と同一の物性を示すことが確認できた。
【0015】また第一実施例におけるカチオン界面活性
剤CTABを、同族のカチオン界面活性剤臭化ミリスチ
ルトリメチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルア
ンモニウムに置き換え、第一実施例と同様の手段で、o
- ヨ−ドフェノ−ル、その他2- ナフト−ル、ジフェニ
ルアミン、インド−ル等の諸種添加物とこれら界面活性
物質との間でも結晶性複合体を得ることができた。これ
らの中、o- ヨ−ドフェノ−ルについてはX線構造解析
を行い図6乃至図8の結果(界面活性物質分子1,添加
物分子2)を得、ここに複合体の生成を確認することが
できた。o- ヨ−ドフェノ−ル及び前記の他の添加物
は、これらの界面活性剤によって易水溶性化せられるこ
と等、複合体は前記第一実施例と複合体と同様の諸性質
を具えている。
【0016】<第二実施例>第二実施例はアニオン界面
活性物質を採用したもので、アニオン界面活性剤の中、
ジアルキルスルフォコハク酸塩系の代表としてエロゾ−
ルOT(AOT)を選択使用した。AOT0.44gと
ピレン0.20gをクロロフォルム10mlに温度60
度で溶解させ、該溶液を1昼夜10度に保てば、淡黄色
のAOT/ピレン複合体がプリズム晶として得られる。
この複合体は水に対する易溶性から判断して、ピレン単
体でないことは明白であり(溶解度試験)、一方AOT
は白色ワックス状にして、且つ精製を反復しても結晶状
態としては得難いこと等よりAOT単体とは認め難い。
而も紫外スペクトル測定を行ったところ、前記結晶体
は、両者の複合体であること、並びに該分子複合体の分
子組成がAOT/ピレン=1/2なることが確認でき
た。
【0017】従って水不溶性のピレンが、AOTとの複
合体形成によって易水溶性化されたもので、該複合体結
晶を水に投じれば、直ちにピレンのAOT可溶化液を得
ることができる(30度におけるAOTの5%水溶液に
よるピレンの可溶化には10日を要する)。
【0018】又ここに得られたAOT/ピレン複合体を
メタノ−ル−酢酸エチル混合溶媒でカラムクロマトグラ
フィ−を行いAOTとピレンとを個々に分離、取得し、
得られたるAOTにつき薄層クロマトグラフで調べたと
ころ、その純度が高められていることが確認された。同
時にピレンについては示差熱解析の結果その融解吸熱ピ
−クが尖鋭さを増し、ここにピレンに対してもそれが複
合体形成を通じて精製せられ、高純度化され得ることが
確認された。
【0019】前記第二実施例の別手段として、前記アニ
オン界面活性剤AOT0.22gと2- ナフト−ル0.
07gをシクロヘキサン5mlに60度で溶解せしめ、
該溶液を5度にて1昼夜保てば溶液全体は寒天ゲル状と
なり、該ゲルから溶媒シクロヘキサンを自発揮散させる
とキセロゲルとなった複合体が得られる。当該ゲル(複
合体)は水易溶性で、同水溶液の紫外スペクトル測定よ
りAOT/2- ナフト−ル複合体の生成とその分子組成
比AOT/2- ナフト−ルが略1.0であることが確認
された。従って複合体形成によって難水溶性の2- ナフ
ト−ルが易水溶性化され、且つ迅速可溶化性を具えるこ
とになる。
【0020】また第二実施例の添加物を変更した例を示
すと、アニオン界面活性剤AOT0.44gと各o-
−ドフェノル0.22g、インド−ル0.12gをシク
ロヘキサン10mlに60度で溶解せしめ、その後溶媒
シクロヘキサンを減圧下に留去すれば、残さとして0度
から室温近辺では固化しない油状体(複合体)を得るこ
とができる。当該物体は、水に対する溶解度試験、並び
に該水溶液の紫外吸収スペクトル測定結果より、AOT
/添加物の複合体であることが確認できた。従って難水
溶性のo- ヨ−ドフェノ−ル及びインド−ルは、各々ア
ニオン界面活性剤AOTによって、易水溶性化される油
状複合体となることが確認できた。
【0021】またアニオン界面活性剤の中アルキルベン
ゼンスルフォン酸塩系の代表としてラウリルベンゼンス
ルフォン酸ナトリウム(SLBS)を選び実施した。即
ちSLBS0.17gとp- エトキシフェノ−ル0.0
7gをクロロフォルム5mlに50度で溶解せしめ、該
溶液を5度に一昼夜保てば溶液全体は寒天ゲル状とな
り、該ゲルより溶媒クロロフォルムを揮散させると、膨
潤ゲルは乾燥してキセロゲル(複合体)となる。前記ゲ
ルは易水溶性で、同水溶液の吸収スペクトル測定結果よ
り、ここにSLBS/p- エトキシフェノ−ルの複合体
の生成が確認できた。従って複合体生成で、水に難溶性
のp- エトキシフェノ−ルが易水溶性化せられると共
に、該複合体を取得することにより迅速可溶化が達せら
れる。
【0022】更にアニオン界面活性剤SLBS0.35
gと5- メトキシインド−ル0.07gをシクロヘキサ
ン5mlに溶解せしめ、その後暫時の溶媒の自発揮散に
伴い、該溶液中より膜状凝集体(複合体)を得ることが
できる。前記膜状凝集体は乾燥後水に対する溶解度試験
で5- メトキシインド−ル単体にあらざるを確認し、又
その水溶液の紫外吸収スペクトル測定結果からSLBS
/5−メトキシインド−ル複合体が生成されたことが容
易に確認できた。而も難水溶性の5- トキシインド−ル
が複合体生成で、易水溶性化された。
【0023】またアニオン界面活性剤SLBSに対し
て、他の添加物例えば5- メトキシ-2- チルインドー
ル、並びにアセナフチレンにつきクロロフォルムを溶媒
として使用して前記各添加物とSLBSとの複合体を得
ることができた。前記の各複合体も添加物の易水溶性化
並びに迅速可溶化を実現した。
【0024】アニオン界面活性剤の中、アルキル硫酸塩
系の代表としてラウリル硫酸ナトリウム(SLS)を選
び実施した。SLS0.14gを水5mlに溶かし、そ
の2.88%水溶液とし、該溶液に2- ナフト−ル0.
07gを加え温度80度にて8時間攪拌を行い、均一透
明なる可溶化液を得、その後該可溶化液を3度にて2昼
夜保てば淡茶褐色薄膜状のSLS/2- ナフト−ル複合
体が得られた。元素分析結果並びに紫外吸収スペクトル
測定より複合体であることが確認でき、難水溶性の2-
ナフト−ルがSLSにより易水溶性化されると共に、複
合体によって迅速可溶化を実現できた。
【0025】アニオン界面活性剤SLSに対してはp-
ヨ−ドフェノ−ル、p- ブロモフェノ−ル、p- エトキ
シフェノ−ル、p- フェニルフェノ−ルについても略同
前の手段により同様な複合体を得ることができた。元素
分析結果並びに紫外吸収スペクトル測定よりそれらが複
合体であること、又それらの分子組成が略1.0となる
ことが確認でき、前記各添加物はすべてSLSとの複合
体生成で、易水溶性化並びに迅速可溶化性を有すること
になる。
【0026】アニオン界面活性剤として、対イオン種を
ナトリウムからアンモニウムに替えたラウリル硫酸アン
モニウム(エマ−ルAD- 25R:花王石鹸)を選び、
これを0.14gとピクリン酸0.11gを水5mlに
溶解し、該溶液を一昼夜10度に保ちプリズム晶体(複
合体)を得た。該結晶の組成を紫外吸収スペクトルから
調べたるところ、エマ−ルAD- 25R/ピクリン酸=
2/3であることが確認できた。
【0027】<第三実施例>第三実施例は、非イオン界
面活性物質を採用したものである。非イオン界面活性剤
エマルゲン985(花王石鹸)0.5gを水5mlに溶
解せしめ、該水溶液にアミノ酸トリプトファン0.1g
を加え、30度にて5時間攪拌を行い、これを完全に可
溶化せしめた後、該可溶化液を5度に2昼夜保てばエマ
ルゲン/トリプトファンの複合体をプリズム晶として得
ることができる。複合体生成は、該結晶試料につき質量
分析を行いその結果から、トリプトファン固有のピ−ク
以外に更に大きいm/eピ−クが多数出現すること及び
赤外線吸収測定より確認された。アミノ酸トリプトファ
ンは冷水に対しては余り溶解性は高くないが、これを易
水溶性化せしめることができた。
【0028】また非イオン界面活性剤エマルゲン985
(同上)に対し、添加物をp- ヒドロキシ安息香酸につ
いて第三実施例と同様の手順で実施したところ、水溶液
系よりプリズム晶のエマルゲン985/p- ヒドロキシ
安息香酸の複合体を得た。複合体生成は質量分析計と赤
外線吸収測定結果から確認された。従って冷水には難水
溶性のp- ヒドロキシ安息香酸に、低温水に高い溶解性
を付与せしめることができた。
【0029】また非イオン界面活性剤をエマルゲン50
0(花王石鹸)を採用しても同様の結果が得られた。即
ちエマルゲン5000.5gを水5mlに溶解せしめ、
該水溶液にトリプトファン0.1gを加え、30度にて
5時間攪拌を行い、これを完全に可溶化せしめた後、該
可溶化液を5度に2昼夜保てばエマルゲン500/トリ
プトファンの複合体を板状晶で得ることができる。複合
体生成は該結晶試料につき質量分析を行いこれを確認し
た。複合体の生成によって水に対するトリプトファンの
溶解性を高めることができた。
【0030】同様に非イオン界面活性剤エマルゲン50
0に対し、添加物をp- ヒドロキシ安息香酸としても同
水溶液系よりプリズム晶のエマルゲン500/p- ヒド
ロキシ安息香酸の複合体を得ることができ、冷水には難
水溶性のp- ヒドロキシ安息香酸に、低温水に高い溶解
性を付与せしめることができた。
【0031】また非イオン界面活性剤エマルゲン500
に対し添加物をピクリン酸として同様に実施したとこ
ろ、ピクリン酸は水に対して極めて易溶性が高いため直
ちにエマルゲン500水溶液に溶けたが、該水溶液系を
5度に2昼夜保てば、同様にエマルゲン500/ピクリ
ン酸プリズム晶の複合体が得られた。その生成確認は該
結晶試料につき質量分析により行われた。
【0032】非イオン界面活性剤エマルゲン985(同
上)を0.25gと副腎皮質ホルモンコルチゾン0.0
3gとをメタノ−ル1mlに溶解させ、該溶液を二昼夜
放置し、メタノ−ルを緩やかに自然揮発させると、板状
晶体(複合体)を得ることができる。コルチゾン単体は
水に不溶性であるが、前記結晶(複合体)は易水溶性で
あり、該水溶液について紫外吸収スペクトルを調べたる
ところ、コルチゾンに帰属せらるべき237nmに特性吸
収を見出すことを得た。従って前記結晶はエマルゲン9
85/コルチゾンの複合体であることが確認でき、複合
体生成によって水に難溶性なる副腎皮質ホルモンのコル
チゾンが易水溶性化せられた。
【0033】非イオン界面活性剤ポリオキシエチレンラ
ウリルエ−テル(和光純薬)(オキシエチレン重合度は
23)を0.25gと上記副腎皮質ホルモン、コルチゾ
ン0.03gとをメタノ−ル1mlに溶解し、該溶液を
二昼夜放置すると板状晶体(複合体)を得ることができ
る。この結晶が水に対し易溶性を示し、該水溶液がコル
チゾンの特性吸収を示すことより、前記結晶が非イオン
界面活性剤ポリオキシエチレンラウリルエ−テル/コル
チゾン複合体であることが確認できた。従って複合体は
水に易溶性であるので、水に不溶性の副腎皮質ホルモ
ン、コルチゾンが易水溶性化せられ、薬効面並びに投与
面の改善が計られ得ることとなる。
【0034】非イオン界面活性剤エマルゲン985を
0.25gと、催眠薬フェノバルビタ−ル及びヘキソバ
ルビタ−ル(バルビツレ−ト系)0.02gとをメタノ
−ル1mlに溶かし、後に溶媒を留去し、これに水5m
lを加え60度とすれば直ちに均一透明なるフェノバル
ビタ−ル及びヘキソバルビタ−ルの該界面活性剤による
可溶化液を得る。該水溶液を一昼夜5度に保てば、プリ
ズム晶体(複合体)を得ることができる。該結晶は水に
易溶性なることより該催眠薬単体にあらざること、又該
水溶液の紫外スペクトルが246nm、及び244nm
に各催眠薬固有の吸収が見られることより該結晶を非イ
オン界面活性剤エマルゲン985/フェノバルビタ−
ル、同/ヘキソバルビタ−ルの複合体と断定できる。従
って難水溶性の該催眠薬類の易水溶性化が実現するもの
である。
【0035】非イオン界面活性剤エマルゲン985を
0.25gと非バルビツレ−ト系催眠薬ブロムワレリル
尿素0.03gをメタノ−ル1mlに溶解せしめ、該メ
タノ−ル溶液を暫時室温放置すれば、これよりプリズム
晶体(複合体)を得ることができる。該結晶は水に易溶
性にして該催眠薬単体にあらざること、又該水溶液の紫
外スペクトルが220nm、に該催眠薬固有の吸収が見ら
れることより該結晶を非イオン界面活性剤エマルゲン9
85/ブロムワレリル尿素の複合体と断定できる。よっ
て難水溶性の該催眠薬は易水溶性化が果たされ、これに
依って該催眠薬の薬効並びに投与法の改善が計られる。
【0036】非イオン界面活性剤エマルゲン320Pを
0.25gとマクロライド系抗生物質エリスロマイシ
ン、及びキタサマイシン0.02gとをメタノ−ル1m
lに溶かし、後に溶媒を留去し、これに水5mlを加え
60度とすれば直ちに均一透明なる該抗生物質の該界面
活性剤による可溶化液を得ることができる。これらの水
溶液を一昼夜3度に保てば、プリズム晶体(複合体)を
得ることができる。該結晶は水に易溶性なることよりエ
リスロマイシン、キタサマイシン等の単体にあらざるこ
とは確実であり、またこれらの抗生物質類は近紫外領域
に特性吸収スペクトルを持たざる故、複合体結晶につい
て質量分析、赤外線吸収スペクトル並びにnmrから該
結晶を非イオン界面活性剤エマルゲン320P/エリス
ロマイシン、同/キタサマイシンの複合体と断定でき
る。従って水に対して不溶性の抗生物質類の易水溶性化
を実現できたものである。
【0037】非イオン界面活性剤エマルゲン220を
0.25gと抗てんかん薬カルバマゼピン0.02gと
をメタノ−ル1mlに溶かした後に溶媒を留去し、これ
に水5mlを加え60度とすれば直ちに均一透明なるカ
ルバマゼピンの該界面活性剤による可溶化液を得、該水
溶液を二昼夜3度に保てば針状晶体(複合体)を得るこ
とができる。該結晶は水に易溶性なることよりカルバマ
ゼピン単体にあらざること、又該水溶液の紫外スペクト
ルが286nmにカルバマゼピン固有の吸収を示すことよ
り、該結晶を非イオン界面活性剤エマルゲン220/カ
ルバマゼピンンの複合体と断定できる。従って水に不溶
性の抗てんかん薬カルバマゼピンの易水溶性化が実現で
きるものである。
【0038】非イオン界面活性剤エマルゲン220の
0.50gと香料D−カンフル0.10gとをメタノ−
ル1mlに溶かし後に、溶媒を留去し、これに水5ml
を加え60度とすれば直ちに均一透明なるD−カンフル
の該界面活性剤による可溶化液を得、該水溶液を二昼夜
3度に保てば、白色粉末状固体(複合体)を得ことがで
きる。前記固体は水に易溶性なることよりD−カンフル
単体にあらざることは明かで、又該粉末固体につき赤外
吸収スペクトルを調べたところ両者の複合体であるとこ
とが確認できた。これにより水に難溶性の香料D−カン
フルを水溶性化することができたものである。
【0039】尚本発明は前記の実施例に示した界面活性
物質並びに添加物に限定されものではなく、両者を混合
して形成される複合体(生成物)で、単離できるものは
全て含まれるもである。
【0040】
【発明の効果】以上のように本発明は、界面活性物質と
所望の物質(添加物)を混合し、相互作用によって形成
され、その生成物は安定して単離されて取得する界面活
性物質を含む分子複合体であり、これらの分子複合体
は、界面活性物質と添加物の組み合わせを選択すること
で、難水溶性の添加物の易水溶性化、並びに水に対する
迅速可溶化が実現でき、また使用する界面活性物質のH
LB値(親水親油バランス)に応じては、添加物の親油
性を高めることが可能であり、これによって難油性薬物
の油溶性化への転換も可能であり、薬物の徐放性、遅効
性その他の効果と共に新しい用途が拓かれる可能性を多
分に秘めている。
【0041】更に複合体を形成する添加物は、複合体形
成によりその熱的安定性が格段に高まり、種々な熱的に
不安定な物質系に適応した場合、それら物質の安定化に
導くことが可能である。
【0042】更に複合体は、それらの多くが結晶性であ
り且つ又極めて安定に取扱い得る化学種であるため、複
合体形成の過程を経て添加物並びに界面活性物質の何れ
をも極めて高純度に精製することができる利点がある。
【0043】またこの界面活性物質/添加物間複合体形
成による添加物の結晶化乃至は固形化は多くの液体系諸
物質の固形化に繋がり、例えば多くの液状香料剤に対し
ては香気成分の固形化を実現できる。
【0044】更にまたこの様な複合体結晶場はそれに包
接された反応性の高い添加物に対しては格好の反応場と
して活用せられることは明かである。これにより、例え
ばその場を利用した立体不斎反応の誘導や重合反応の開
始・成長の各段階における立体制御が高効率でなされ得
るなど、種々の効果を奏すると共に、界面活性物質/添
加物間複合体には熱的、誘電的その他に興味ある種々の
物性が具わっていることが数多く見出され、新素材とし
て在来種の不備を補うことの他、新局面の開発と共に多
くの新製品の産出に繋がる可能性をも備えているもので
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例の各対数臨界ミセル濃度
(cmc)と当該複合体同族列アルキル鎖炭素数の関係
を示すグラフ図。
【図2】同CTAB/o- ヨードフェノール系複合体の
X線結晶解析図。
【図3】同CTAB/m- シアノフェノール系複合体の
X線結晶解析図。
【図4】同CTAB/p- クレソール系複合体のX線結
晶解析図。
【図5】同CTAB/アクリジン系複合体のX線結晶解
析図。
【図6】同MTAB/o- ヨードフェノール系複合体の
X線結晶解析図。
【図7】同LTAB/o- ヨードフェノール系複合体の
X線結晶解析図。
【図8】同DTAB/o- ヨードフェノール系複合体の
X線結晶解析図。
【図9】同複合体の熱安定性の熱天秤による解析結果を
示すグラフ図、(イ)はCTAB/o- ヨードフェノー
ル系複合体を示し、(ロ)はCTAB/p- クレソール
系複合体を示し、(ハ)はCTAB/インドール系複合
体を示す。
【図10】同複合体の温度と誘電率の関係を示すグラフ
図で、(イ)はCTAB単独体のもので、(ロ)はCT
AB/o- ヨードフェノール系複合体のもので、(ハ)
はCTAB/インドール複合体のものを示す。
【符号の説明】
1 界面活性物質分子 2 添加物分子

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 界面活性物質Aと添加物質Bとを混合し
    て得られる両者の相互作用による生成物で、化学構造と
    してAm・Bn若しくはAm・Bn・Cl(但しA,B
    は混合物質の分子、Cは水その他の混合調製時に使用さ
    れる溶媒の分子、m,n,lは分子数を表す)で特定さ
    れ、前記混合状態から単離して得られることを特徴する
    分子複合体。
  2. 【請求項2】 界面活性物質Aをカチオン性界面活性物
    質である第4級ハロゲン化アンモニウム類とした請求項
    1記載の界面活性物質を含む分子複合体。
  3. 【請求項3】 界面活性物質Aをカチオン性界面活性物
    質である第3級以下のハロゲン化アンモニウム類とした
    請求項1記載の界面活性物質を含む分子複合体。
  4. 【請求項4】 界面活性物質Aを、アルキル硫酸塩類、
    アルキルアリル硫酸塩類、ジアルキルスルフォコハク酸
    塩類、その他のアニオン性界面活性物質とした請求項1
    記載の界面活性物質を含む分子複合体。
  5. 【請求項5】 界面活性物質Aを、ポリエチレングリコ
    ール類、ポリエチレングコールアルキルエーテル類、多
    価アルコール脂肪酸エステル類、その他の非イオン性界
    面活性物質とした請求項1記載の界面活性物質を含む分
    子複合体。
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Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5290615A (en) * 1976-01-19 1977-07-30 Asahi Chem Ind Co Ltd Water-soluble solid and aqueous solution of n4-acylcytosine arabinosid e
JPS61161246A (ja) * 1985-01-07 1986-07-21 シンテツクス(ユー・エス・エイ)インコーポレイテツド 置換アルキルートリ置換アンモニウム界面活性剤
JPH01104051A (ja) * 1986-08-07 1989-04-21 Medice Chem Pharm Fab Puetter Gmbh & Co Kg 医薬製剤

Patent Citations (3)

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