JPH07305173A - 超硬質炭素皮膜を有する物体の製造方法およびその装置 - Google Patents

超硬質炭素皮膜を有する物体の製造方法およびその装置

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JPH07305173A
JPH07305173A JP6307233A JP30723394A JPH07305173A JP H07305173 A JPH07305173 A JP H07305173A JP 6307233 A JP6307233 A JP 6307233A JP 30723394 A JP30723394 A JP 30723394A JP H07305173 A JPH07305173 A JP H07305173A
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reactor
orifice
shield
carbon film
waveguide
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JP6307233A
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Inventor
Tamaki Iida
玉樹 飯田
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Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】本発明の目的は、貴金属、天然宝石等の本来の
価値を永久に維持可能な超硬質炭素皮膜を有する物体の
製造方法およびその装置を提供する。 【構成】プラズマCVD 装置において、シールドと反応器
との間にオリフィスを設け、金属、合金、セラミック
ス、複合セラミックス、天然宝石又は硬質プラスチック
を基材としその表面を透明な超硬質炭素皮膜で被覆する
際に、該プラズマCVD 反応器内に大気圧以下の炭化水素
ガスを主成分とする原料ガスを供給し、グロー放電を10
00MHz 〜3000MHz のマイクロ波によりシールドとオリフ
ィス板の間で発生させて、反応室内にオリフィスを通し
てマイクロ波の入力の一部を引き込み、基材表面温度を
200℃以下にして該基材表面に超硬質炭素皮膜を成膜す
る超硬質炭素皮膜を有する物体の製造方法、並びにオリ
フィスの形状が円形又は楕円形で、かつ導波管断面積の
0.1 〜1.2 %の開口率としたプラズマCVD 装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、透明な超硬質炭素皮膜
を被覆した物体の製造方法およびその装置に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来、金属、少なくとも2種以上の金属
からなる合金、セラミックス、少なくとも2種以上のセ
ラミックスからなる複合セラミックス、天然物である所
謂、指輪、ブレスレット、ネックレス等の宝飾品は、製
造、流通過程において身体の一部に触れることが多く、
また身体に長期間装着しているのが一般的である。この
ような状況においてこれらの宝飾品は摩耗や変色あるい
は小さい傷によって、その価値が下がって行く欠点を有
している。またブレスレット、ネックレス等は身体の肌
に直接着ける場合が多く、人によっては金属によりアレ
ルギーを生じ、皮膚炎を発生させる欠点を有している。
また、これら店頭において陳列棚内にあって、蛍光灯の
ために変色する欠点を有するものもあることが判明して
いる。これらの欠点を防ぐために超硬質皮膜を基材表面
に被覆することは従来から知られているが、成膜時の温
度が高いため宝飾品基材そのものが分解したり、超硬質
皮膜のために宝飾品の光沢がなくなってしまう等の欠点
があった。
【0003】従来提案された超硬質炭素皮膜の合成方法
としては、炭化水素と水素の混合ガスを高温で加熱し、
500 ℃以上に加熱した基板表面上に導入して炭化水素を
熱分解する熱 CVD(化学気相析出法の略称)法(特開昭
58-91100号参照)、および水素と炭化水素との混合ガス
をマイクロ波無極放電中を通過させ、300 ℃以上に加熱
した基板表面で炭化水素を熱分解するマイクロ波プラズ
マ CVD法(特開昭58-110494 号参照)に開示されてお
り、図2はこれら従来の合成方法に使用される装置であ
る。即ち、マイクロ波発振器4より発振されたマイクロ
波は導波管5を通して反応室1に導かれ、反応室内でプ
ラズマを発生させて炭化水素ガスを熱分解すると同時に
マイクロ波の誘導により基材13が加熱され、該基材表面
に多結晶ダイヤモンドを析出させていた。しかしなが
ら、このような従来法ではダイヤモンドが析出する基材
が限定されており、前述したような宝飾品にダイヤモン
ドを直接析出させることは不可能である。また、析出す
る膜の光学特性が悪く不透明になる、時に外見上光沢が
なくなる、変色する等による宝飾品としての価値がなく
なる不都合を生じた。例えば基材が22金の場合、従来の
熱 CVD法では成膜時の基材表面温度が 730℃以上となり
表面光沢がなくなってしまう。また、基材がオパールの
場合、従来のプラズマCVD法では成膜時の基材表面の温
度が 730℃以上となり表面が一部分解して変色したり、
光沢がなくなってしまう等、商品価値が下がってしまっ
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、宝飾品本来の価値を失うことなく、永久に維持可能
な超硬質炭素皮膜を有する物体の製造方法およびその装
置を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、かかる課題
を解決するためにグロー放電によるプラズマ CVD法に着
目し、低温で超硬質炭素皮膜を被覆することに成功し、
諸条件を見極めて本発明を完成したもので、その要旨
は、反応器、導波管、シールドからなるプラズマ CVD装
置において、シールドと反応器との間にオリフィスを設
け、金属、少なくとも2種以上の金属からなる合金、セ
ラミックス、少なくとも2種以上のセラミックスからな
る複合セラミックス、天然宝石又は硬質プラスチックを
基材とし、その表面を透明な超硬質炭素皮膜で被覆する
際に、該プラズマ CVD反応器内に大気圧以下の炭化水素
ガスを主成分とする原料ガスを供給し、グロー放電を10
00MHz 〜3000MHz のマイクロ波によりシールドとオリフ
ィス板の間で発生させて、反応室内にオリフィスを通し
てマイクロ波の入力の一部を引き込み、基材表面温度を
200 ℃以下にして該基材表面に超硬質炭素皮膜を成膜す
ることを特徴とする超硬質炭素皮膜を有する物体の製造
方法、並びに該オリフィス板(9)が導波管(5)内の
シールド(8)と反応器(1)の間に設置され、オリフ
ィス(9a)の形状が円形又は楕円形で、かつ導波管断
面積の0.1 〜1.2 %の開口率であることを特徴とするプ
ラズマ CVD装置にある。
【0006】以下、本発明を詳細に説明する。
【作用】本発明は CVD反応器内に炭化水素ガスを主成分
とする原料ガスを供給し、大気圧以下とし、オリフィス
の手前で周波数1000MHz 〜3000MHz のマイクロ波を供給
してグロー放電を生じさせ、透明な超硬質炭素皮膜を基
材、即ち宝飾品等に被覆する超硬質炭素皮膜を有する物
体の製造方法であり、上記条件により基材の表面温度は
200℃以下に抑えられ、従って基材表面の光沢喪失、分
解変色、粗面化等の欠陥発生を防止することができる。
プラズマを反応器外で発生させることにより、基材を誘
導加熱により高温化することなく、また輻射熱で加熱す
ることなく、さらにプラズマで原料ガスを分解するとき
に生成する煤(炭素)を薄膜中に取り込まないようにメ
チルラジカル、原子状水素の量を調整可能になる等の効
果が生じる。原料ガスである炭化水素、例えばメタンC
4 は、C、CH、CH2 、CH3、H2 に分解するが
オリフィスを設置することにより電波密度の低いCが反
応器内に導入されることが少なくなって煤が生じなくな
る。
【0007】本発明が適応される基材は、金属、少なく
とも2種以上の金属からなる合金、セラミックス、少な
くとも2種以上のセラミックスからなる複合セラミック
ス、硬質プラスチック等の人工物および天然物であり、
金、銀、白金、ニッケル、クロム等の貴金属を初めオパ
ール、パール、ルビー、サファイア、エメラルド、水
晶、キャッツアイ、ペリドット、ガーネット、ひすい、
こはく、トルコ石等の一般的な宝石並びにこれらの加工
品である。具体的なセラミックスとしてはTi23 、A
l23 等が挙げられ、硬質プラスチックとしてはPMMA
(ポリメチルメタクリレートの略称)、ポリイミド等が
挙げられる。宝飾品としては指輪、ペンダント、イヤリ
ング、ネックレス、ブレスレット、ブローチ、ネクタイ
ピン、カフスボタン、メガネ、時計、硬貨等の加工品が
挙げられる。本発明では特に、宝石又はその加工品の表
面にダイヤモンド皮膜を形成することが好ましい。
【0008】超硬質炭素皮膜の被覆方法を図1のプラズ
マ CVD装置によって説明する。この CVD装置は真空チャ
ンバーである反応器1と反応器1横に挿入された導波管
5からなり、マイクロ波は発振器4で発生しアイソレー
ター6、整合部7、シールド8、オリフィス板9の中心
のオリフィス9aを通って反応器1に達する。反応器1
の中心には基材13を載置した基材台11があり、上部に原
料ガス導入管2を、側面に同排気管3を接続する。ま
た、導波管5の反対側にプランジャー12を備える。マイ
クロ波は導波管5を通り、シールド8、シールド8とオ
リフィス板9の間に位置するプラズマ発生部10からオリ
フィス9aを通り、反応器1に導かれ、また原料ガスは
原料ガス導入管2から反応器1に入り、反応に寄与した
後、排気管3より排出される。シールド8は原料ガスが
反応器1側から導波管5側へ漏洩しないようにしている
もので、オリフィス板9はマイクロ波をプラズマ発生部
10側と反応器1側に分けて反応器1内の温度制御をする
ためのものである。また原料ガスである炭化水素、例え
ばメタンCH4 は、C、CH、CH2 、CH3、H2
分解するがオリフィス9aを設置することにより電波密
度の低いCが反応器1内に導入されることが少なくなっ
て煤が生じなくなる。具体的には、メタンの場合、プラ
ズマ放電により上記の様に分解するが、オリフィスを設
けないと、マイクロ波の影響の少なくなる部分、即ちプ
ラズマ放電の外側部分では分解されたCは煤となって基
材に黒く堆積する。しかし、オリフィスを設けることに
より、反応室内にプラズマ放電によるプラズマガスは供
給されるけれどもマイクロ波が導入されないので分解し
た炭素(前躯体)は活性化水素と反応し、煤の発生が見
られなくなる。即ち、上に云う電波密度の低いCはマイ
クロ波の密度の低い部分で発生しているCである。ま
た、シールド8の材質は、石英、セラミックス、フッ素
樹脂(テフロン)等のマイクロ波は通すが、水素、炭化
水素を通さないものが良い。シールドの厚さは2〜10mm
が好ましく、更に4〜8mmが好ましい。従来、ダイヤモ
ンドあるいはダイヤモンド状炭素の合成は、プラズマを
反応器1内で発生させて、導波管5を通ってきたエネル
ギーをそのまま使用して基材にダイヤモンドを被覆して
いたが、本願発明では、導波管5を通ってきたエネルギ
ーをオリフィス9aを境界にして、オリフィス9aの手
前でプラズマ化して分散されたメチルラジカルおよび励
起された原子状水素をオリフィス9aを通して反応器1
に送って基材13の表面を超硬質炭素皮膜で被覆する。本
発明に用いるプランジャー12は、導波管5から入って来
たマイクロ波がプラズマとならず反応に寄与しないもの
が反応室1の壁に反射して戻ってしまうのを防ぐため、
マイクロ波の共振点にプランジャー12の表面を当てて、
反射するマイクロ波の量の調整を行う。
【0009】透明な超硬質炭素皮膜を基材に被覆する具
体的な方法は、反応器1内を真空ポンプで一旦0.01mbar
以下まで真空にした後、炭化水素ガス7〜25容量%、H
2 ガス93〜75容量%の混合原料ガスを原料ガス導入管2
より反応器1に導入して反応器1内圧力を0.05〜0.5mba
r にした後、交流電源を入れ、周波数1000MHz 〜3000MH
z のマイクロ波をマグネトロンマイクロ発振器4より発
生させ、導波管5を通じて反応器1に入れる。原料ガス
は反応器1の上部導入管2から反応器1内に入り、反応
器内に充満した後、オリフィス9aを通過してプラズマ
発生部10にも入ってプラズマが発生し、原料ガスはこの
プラズマによって分解され、分解されたガス即ちメチル
ラジカルおよび原子状水素はオリフィス9aを通って、
真空ポンプで排気管3を通って排気されるので、分解ガ
スは反応器1へ導入され、透明な超硬質炭素皮膜が基材
13の表面上に堆積し、成膜される。
【0010】プラズマ発生部10では原料ガスを分解して
いる状態で基材の表面温度は 700〜1200℃の高温になる
が、本発明では反応器1とプラズマ発生部10との境にオ
リフィス板9を設けることにより、反応器1内の基材の
表面温度を 200℃以下、好ましくは常温(20℃)〜 200
℃の低温で基材に成膜できる。さらに金属、合金に対し
ては 150〜 200℃が、パール、オパール、エメラルド等
の宝石に対しては80〜100℃がよく、セラミックスには
180〜 200℃、プラスチックには40〜60℃の範囲がよ
い。また反応器内圧は大気圧以下、好ましくは0.05〜0.
5mbar の雰囲気にするとよい。
【0011】プラズマガスを供給するオリフィス9aの
形状は円形または楕円形で縦5〜8mm、横5〜8mm位
で、好ましくは縦4〜8mm、横4〜8mmがよく、その開
口率は導波管5の断面積の 0.1〜 1.2%、好ましくは
0.3〜 1.0%が適している。反応器1側の基材13の温度
を高める場合、即ちプラズマ発生部10と反応器1側との
結合度を高める場合は、導波管5に対し横方向の幅を少
しずつ変化させ横長の楕円形にするのがよい。開口率が
0.1%未満ではプラズマガスの供給速度が遅く、超硬質
炭素皮膜の形成が悪くなる。 1.2%を越えると反応器1
内の温度が高くなり超硬質炭素皮膜が割れたり裂けたり
し、また電波密度が低くC(煤)もオリフィス9aを通
過してしまい、メチルラジカル、原子状水素の量が調整
されず基材に煤が生成し、基材の光沢、透明性が悪化す
る。シールド8とオリフィス板9間距離は90〜 120mmが
よく、該距離とシールドの横巾(導波管断面は横長の長
方形)はマイクロ波が全量反応器内に入力されるために
は略等しい長さにしておくことが望ましい。オリフィス
板9はマイクロ波を遮断する材料がよく、具体的にはス
テンレス、アルミニウム等の金属、セラミックスがよ
く、中でもステンレスが適している。オリフィス板9の
厚さは1〜5mm、好ましくは1〜3mmである。
【0012】グロー放電用のマイクロ波は、その周波数
を1000MHz 〜3000MHz とするのがよく、1000MHz 未満で
は成膜硬度が低くなり、3000MHz を越えると装置のイン
ピーダンスの整合が困難となる。そのため、安定なグロ
ー放電を得るには1500MHz 〜2500MHz が好ましい。
【0013】また、原料ガスには炭素源としてメタン、
エタン、プロパン等の炭化水素を用いることができ、メ
タノール、エタノール、アセトン等の液体を使用した時
に使用する配管中の加熱装置、配管途中のドレン抜きが
不必要となり、装置が簡単になる。キャリヤーガスとし
ては水素、アルゴンガス等が用いられ、原料ガスとの混
合比率は炭化水素ガス7%〜25容量%がよく、7%未満
では炭素源の濃度が低く、遊離の炭素である煤が生じ易
くなり、また25%を越えると膜の硬さが低下する。従っ
て好ましくは10〜18容量%である。残りはキャリヤーガ
スとして水素を用いるのがよい。成膜速度は 0.1〜 0.5
μm/Hrが適している。成膜厚さは基材の材質や用途に
よって適宜選択されるが、通常0.01〜 1.0μmとなるよ
うに成膜する。特に宝飾品を被覆する場合は、0.02〜0.
5 μmが好ましい。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施態様を実施例を挙げて具
体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるもので
はない。 (実施例1)CVD装置は図1に示したものを使用した。
反応器1内を真空ポンプで一旦0.01mbarまで真空にした
後、メタンガス15容量%−H2 85容量%の原料ガスを原
料ガス導入管2より反応器内に導入して圧力を0.1mbar
にした後、交流電源を入れ、 360w 、2450MHz のマイク
ロ波をマグネトロン発振器4より発生させ、導波管(断
面は横116mm ×縦57mmの長方形)5を通して反応器1内
の原料ガスとの間でプラズマを発生させる。この装置で
はプラズマがシールド8とオリフィス板9との間のブラ
ズマ発生部10で発生し、原料ガスはこのプラズマによっ
て分解される。オリフィス9aは横径8mm×縦径5mmの
楕円形で、その面積は導波管断面積に対して0.48%とし
た。オリフィス板9はステンレス製で厚さは 1.4mmとし
た。シールド8は厚さ6mmの石英ガラス製とし、オリフ
ィス9aとの距離は 110mmとした。基材13には十分洗浄
乾燥した22金の金貨(直径22mm)を用い基材台11上に水
平に載せて先ず一面に成膜し、次いで裏返してもう一面
に成膜した。片面の処理時間は60分で、超硬質炭素皮膜
の膜厚は 0.1μmであった。成膜中の基材の表面温度は
80℃で22金の融点1064℃より約 950℃低く抑えられ地金
の持つ特性には何らの影響も与えなかった。生成した超
硬質炭素皮膜について次の様なテストを行いその結果を
表1に示した。表1からも明らかなように光学特性に特
に変化はなく、耐環境性にも優れている。また、被覆し
た薄膜が超硬質炭素皮膜のためアレルギーにもならず、
皮膚炎等が生じなかった。
【0015】(試験方法) 1)硬度:マイクロビッカース硬度計(島津製作所製)
による測定と、市販ワイシャツ生地(綿)で1分間測定
試料を摩擦した時の傷の発生(本数)を測定する。 2)摩耗:動摩擦(円板形)測定装置(新東科学製)を
使用し、測定試料を市販ワイシャツ生地(綿)で5分間
50grの荷重をかけた状態で、毎分 150回転で研摩した
後、表面の傷、摩耗状態を実体顕微鏡(×5倍)で検査
する。 3)耐環境性:測定試料を80℃×90%RHの高温高湿器内
に30日保管した後、表面の変色、傷等の発生を目視検査
する。 4)耐紫外線性:紫外線発生装置内で測定試料をランプ
より20cmのところに設置し、30日間保管した後、表面の
変色、傷等の発生を目視検査する。 5)光沢(%):JIS Z8741−1983に準じて測
定試料の表面を変角光沢計(日本電色工業製)で入射角
を85°として試料反射率を測定する。基準面はシリコン
ウエーハの鏡面とし、その基準面反射率が73.6のものを
用い、次式により光沢(%)を求める。該基準面より光
沢のあるものを(+)(≧0)、光沢の少ないものを
(−)(<0)として百分率で表わす。 光沢(%)=[(試料反射率−基準面反射率)÷基準面
反射率]× 100 6)ヒートサイクル:測定試料を−20℃(フリーザー
内)と 100℃(乾燥機内)とで放置を各10分間× 100回
繰り返した後の表面の変色、傷の発生を目視検査する。 7)耐溶剤性:エタノール、アセトン、ガソリンに5分
間浸漬して10日間保管後、表面の変色、傷等の発生を目
視する。 8)透明度(%):紫外線・赤外線吸光度計(島津製作
所製)を使用して可視光線( 400〜 750nm)に対する
吸光度を測定し、次式より透明度を求めた。 透明度(%)=[1−吸光度]×100
【0016】(実施例2)実施例1と同様に反応器に基
材として指輪用に加工したルビー(縦5mm×横3mm×高
さ4mmの四角錐)を入れて、真空ポンプで真空にした
後、原料ガスを反応器内に入れ、圧力を0.1mbar にした
後、マイクロ波を導入して基材を処理した。処理時間は
60分で皮膜の膜厚は0.2 μmであった。成膜中の基材の
表面温度は80℃で、基材への影響は特になかった。生成
皮膜についてのテストの結果を表1に併記した。
【0017】(実施例3)基材に硬質プラスチックPMMA
製の眼内レンズ・バイコンベックス((株)メニコン社
製商品名)を使用し、処理時間を20分間とした以外は実
施例1と同様の条件で片面に成膜した。生成皮膜の膜厚
は0.03μmであった。成膜中の基材の表面温度は80℃で
基材への影響は特になかった。生成皮膜についてテスト
の結果を表1に併記した。
【0018】(実施例4)実施例1と同様に反応器1に
基材として十分洗浄乾燥した金貨(純度99.9重量%、直
径4mm)を入れて、真空ポンプで真空にした後、メタン
ガス15容量%・H2 85容量%の原料ガスを原料ガス導入
管2より反応器1内に導入して圧力を0.1mmbarにした。
又基材の表面温度を高めるためオリフィス9aの形状を
導波管5に対した横長の楕円形(横径8mm×縦径 6.5m
m)とし、その開口率を導波管5の断面積の0.62%にし
た。交流電源を入れ360w、2450MHz のマイクロ波をマグ
ネトロン発振器4より発生させ、導波管5を通して反応
器1内の原料ガスとの間でプラズマを発生させて基材を
処理した。処理時間は60分で超硬質炭素皮膜の膜厚は0.
15μmであった。成膜中の基材の表面温度は135 ℃で基
材への影響は特になかった。生成皮膜についてのテスト
の結果を表1に示した。
【0019】(実施例5)実施例1に従い実施した。但
しオリフィス9aは縦径7.5mm ×横径8mmの楕円形で、
導波管5の断面積の0.71%の開口率を有している。反応
器に基材として、十分洗浄乾燥したプラチナ指輪(彫刻
のあるかまぼこ型8号)を入れて、真空にした後、原料
ガスを入れ、交流電源を入力して2450MHzのマイクロ波
を導波管5を通して反応器1に入れプラズマを発生させ
て基材を処理した。処理時間は60分で超硬質炭素皮膜の
膜厚は0.12μmであった。成膜中の基材の表面温度は20
0 ℃で基材への影響は特になかった。
【0020】(比較例)従来技術の CVD装置は図2に示
したものを使用した。反応器1内を真空ポンプで一旦0.
01mbarまで真空にした後、メタンガス3容量%−H2 97
容量%の原料ガスを原料ガス導入管2より反応器1内に
導入して圧力を0.1mbar にした後、交流電源を入れ、 3
60w 、2450MHz のマイクロ波をマグネトロン発振器4よ
り発生させ、導波管5を通じ、反応器1内の原料ガスと
の間でプラズマを発生させると原料ガスはこのプラズマ
によって分解される。基材13には十分洗浄乾燥した22金
の金貨(前出)を用い基材台11上に水平に載せて先ず一
面に成膜し、次いで裏返してもう一面に成膜した。片面
の処理時間は60分で、超硬質炭素皮膜の膜厚は 0.4μm
であった。成膜中の基材の表面温度は 730℃で22金の融
点1064℃より約 330℃低く抑えられ地金の持つ特性に何
らの影響も与えなかった。しかし生成した超硬質炭素皮
膜には大きな割れが発生し、また、皮膜中にダイヤモン
ドの結晶が点在するものもあった。この皮膜について上
記したテストを行いその結果を表1に併記した。
【0021】
【表1】
【0022】
【発明の効果】本発明によれば、透明な超硬質炭素皮膜
を常温で基材表面に被覆できるので、基材が宝飾品等の
場合にはその価値を損なうことなく維持可能な優れた皮
膜である。またプラスチック等にも成膜可能であり、プ
ラスチックレンズ、時計、仏具、神器、ボタン、眼鏡枠
等にも有効で産業上その利用価値は極めて高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプラズマ CVD装置の説明図である。
【図2】従来のプラズマ CVD装置の説明図である。
【符号の説明】
1 反応器 2 原料ガス導入管 3 排気管 4 マイクロ波発振器 5 導波管 6 アイソレーター 7 整合部 8 シールド 9 オリフィス板 9a オリフィス 10 プラズマ発生部 11 基材台 12 プランジャー 13 基材 14 電力検出部

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】反応器、導波管、シールドからなるプラズ
    マCVD 装置において、シールドと反応器との間にオリフ
    ィスを設け、金属、少なくとも2種以上の金属からなる
    合金、セラミックス、少なくとも2種以上のセラミック
    スからなる複合セラミックス、天然宝石又は硬質プラス
    チックを基材とし、その表面を透明な超硬質炭素皮膜で
    被覆する際に、該プラズマCVD 反応器内に大気圧以下の
    炭化水素ガスを主成分とする原料ガスを供給し、グロー
    放電を1000MHz 〜3000MHz のマイクロ波によりシールド
    とオリフィス板の間で発生させて、反応室内にオリフィ
    スを通してマイクロ波の入力の一部を引き込み、基材表
    面温度を 200℃以下にして該基材表面に超硬質炭素皮膜
    を成膜することを特徴とする超硬質炭素皮膜を有する物
    体の製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載のオリフィス板(9)が導
    波管(5)内のシールド(8)と反応器(1)の間に設
    置され、オリフィス(9a)の形状が円形又は楕円形
    で、かつ導波管断面積の0.1 〜1.2 %の開口率であるこ
    とを特徴とするプラズマ CVD装置。
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