JPH07302547A - マグネトロンおよびマグネトロンを用いた電子レンジ - Google Patents

マグネトロンおよびマグネトロンを用いた電子レンジ

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JPH07302547A
JPH07302547A JP9480194A JP9480194A JPH07302547A JP H07302547 A JPH07302547 A JP H07302547A JP 9480194 A JP9480194 A JP 9480194A JP 9480194 A JP9480194 A JP 9480194A JP H07302547 A JPH07302547 A JP H07302547A
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JP
Japan
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vanes
magnetron
distance
filament
cathode filament
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JP9480194A
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Inventor
Masatoshi Azuma
正寿 東
Yoshihisa Nomura
良久 野村
Akira Kamisaka
章 上坂
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Toshiba Corp
Toshiba Hokuto Electronics Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Toshiba Hokuto Electronics Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電子レンジ用などに要求される特性を改善し
たマグネトロンを提供すること。 【構成】 発振周波数が2450MHz帯のマグネトロ
ンにおいて、前記複数のベイン17のうち対向するベイ
ンの先端間の距離(2ra)が8.55〜9.48m
m、また、前記陰極フィラメント13の外直径(2r
c)と前記対向するベインの先端間の距離(2ra)と
の比が0.445〜0.460、そして、前記一対のポ
ールピース18、19の少なくとも一方が、前記透孔1
8h、19h周辺の平坦部分の外径が前記対向するベイ
ンの先端間の距離の160%以上になっている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気的特性を改善した
マグネトロン、およびこのマグネトロンを用いた電子レ
ンジに関する。
【0002】
【従来の技術】電子レンジなどに使用されるマグネトロ
ンには、いろいろな特性が要求される。例えば、a)発
生する信号のエネルギーが基本波成分に集中するような
発振スペクトラムのクリーン化、あるいは、b)不要輻
射を少なくするための高調波成分の抑制、c)信号の入
出力ラインを通して漏洩するラインコンダクティドノイ
ズ(以下ラインノイズという)の低減、d)負荷の安定
度(以下モードバンダリーという)の向上、e)インバ
ータ電源に対しても安定に動作する陰極の実現である。
【0003】上記した特性を実現するために、これまで
に数多くの提案がなされている。例えば、実公昭63−
25656号公報や特公平5−35531号公報に記載
されている方法である。前者は、放射状に配置された1
0枚のベインを設け、そしてマグネトロンの各部品の寸
法を最適な値に設定し、コンパクト化を実現している。
また、後者は、平坦な構造を持つポールピースを用い、
また複数のベインを結合するストラップを埋め込み構造
にし、発振スペクトラムのクリーン化やラインノイズの
低減を図っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のマグネ
トロンは、上記した電子レンジ用などに要求される特性
を十分に満たしているとは言えず、改善の余地が残され
ている。また、マグネトロンを駆動するためにインバー
タ電源を使用した場合の電気的特性が必ずしも十分では
ない。
【0005】この発明は、従来技術の欠点を解決するも
ので、電子レンジ用などに要求される特性を改善したマ
グネトロン、および、このマグネトロンを用いた電子レ
ンジを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、陽極円筒と、
この陽極円筒の中央に位置する支持ロッドと、この支持
ロッドに沿って形成された陰極フィラメントと、前記陽
極円筒の内面に一端が固定され、そして先端が前記陰極
フィラメント方向に延び、前記陽極円筒と前記陰極フィ
ラメント間に空胴共振器を形成する複数のベインと、こ
の複数のベイン先端と前記陰極フィラメントの間に形成
される空間を両側から挟むように配置され、前記陰極フ
ィラメントを上下に延長した部分に透孔が形成された一
対のポールピースとを具備した発振周波数が2450M
Hz帯のマグネトロンにおいて、前記複数のベインのう
ち対向するベインの先端間の距離が8.55〜9.48
mm、また、前記陰極フィラメントの外直径と前記対向
するベインの先端間の距離との比が0.445〜0.4
60、そして、前記一対のポールピースの少なくとも一
方が、前記透孔周辺の平坦部分の外径が前記対向するベ
インの先端間の距離の160%以上になっている。
【0007】また、前記一対のポールピースの前記透孔
周辺の平坦部分の外径が、前記対向するベインの先端間
の距離に対し、一方が180%以上、そして他方が16
0%以下になっている。
【0008】また、前記陰極フィラメントを、前記支持
ロッドの外側を螺旋状にワイヤを巻いて形成し、前記ワ
イヤの直径をD、また前記ワイヤの表面を形成する炭化
層の厚さをtとした場合に、0.04<t/D<0.0
9になっている。
【0009】また、マグネトロンと、このマグネトロン
を駆動するインバータ電源とを具備した電子レンジにお
いて、前記マグネトロンとして上記した構造のマグネト
ロンを使用している。
【0010】
【作用】上記の構成によれば、複数のベインのうち対向
するベインの先端間の距離(2ra)を8.55〜9.
48mmとし、そして、前記陰極フィラメントの外直径
(2rc)と前記対向するベインの先端間の距離(2r
a)との比(2rc/2ra)を0.445〜0.46
0、また、前記一対のポールピースの少なくとも一方
を、前記透孔周辺の平坦部分の外径が前記対向するベイ
ンの先端間の距離(2ra)の160%以上にしてい
る。
【0011】したがって、陰極フィラメントの外直径
(2rc)とベイン先端間の距離(2ra)の比(2r
c/2ra)が0.445〜0.460と、従来のマグ
ネトロンの場合(従来の値は例えば0.43である。)
より大きくなる。このため、ベイン先端間の距離(2r
a)に対する陰極フィラメントの外直径(2rc)がそ
の分大きくなり、マグネトロンの相互作用空間で、空間
電荷が分布する範囲が広がる。この結果、ベイン先端付
近のマイクロ波電界を加味した電位分布の歪みが減少
し、電子の陰極周回速度分布がこれまでのものより半径
方向に均一になり、電子極とマイクロ波電界が同期し易
くなり、より単一の周波数で発振するようになる。
【0012】また、入力側と出力側に位置する一対のポ
ールピースのいずれか一方について、透孔周辺に形成さ
れる円形平坦部分の外径をベイン先端間の距離(2r
a)の160%以上にすることにより、一対のポールピ
ースの双方に外径が小さい平坦部分を透孔周辺に形成し
た従来のマグネトロン(特公平5−35531号公報参
照)に劣らない特性、即ち発振スペクトラムのクリーン
化やラインノイズの低減などが実現される。
【0013】また、いずれか一方のポールピースについ
て、透孔周辺の平坦部分の外径をベイン先端間の距離
(2ra)の180%以上にすれば、他方が160%以
下でも従来のマグネトロン(特公平5−35531号公
報参照)より優れた特性が得られる。
【0014】また、陰極フィラメントを構成するワイヤ
の直径をD、そしてワイヤの表面を形成する炭化層の厚
さをtとした場合に、0.04<t/D<0.09にな
るようにし、ワイヤの炭化率を高くしている。また、陰
極フィラメントの外直径(2rc)とベイン先端間の距
離(2ra)の比(2rc/2ra)が、Ef”(発振
を持続させるのに必要な最小電圧)が0(V)になる範
囲の値(0.445〜0.46)にされている。このよ
うな構成にすることにより、初期Ef”が低くなり、ま
たEf”の変化も小さくなる。この結果、インバータ電
源で駆動する場合に有効なマグネトロンが実現される。
【0015】また、上記した構成のマグネトロンを電子
レンジに組み込むことにより、発振スペクトラムのクリ
ーン化やラインノイズの低減など特性が良好な電子レン
ジが実現される。
【0016】
【実施例】本発明の一実施例について、2450MHz
帯のマグネトロンの主要部を断面した図1を参照して説
明する。
【0017】11は銅製の陽極円筒で、真空容器の一部
を構成している。また陽極円筒11で囲まれた空間の中
央にはセンター支持ロッド12が設けられている。そし
て、支持ロッド12の外側には螺旋状にワイヤが巻かれ
陰極フィラメント13が形成されている。なお陰極フィ
ラメント13の両端はエンドシールド14、15に固定
されている。
【0018】エンドシールドの一方14は支持ロッド1
2に接続され、他方15はサイド支持ロッド16に接続
されている。なお、センター支持ロッド12やサイド支
持ロッド16は、陰極フィラメント13に電流を流し加
熱させる電源(図示せず)に接続されている。また、陰
極フィラメント13と陽極円筒11間の空間には、陰極
フィラメント13の外側を囲むように10枚の板状のベ
イン17が放射状に、そして円周方向に一定の間隔で配
置されている。各ベイン17は、一端が陽極円筒11の
内側の面に固定され、先端が陰極フィラメント13の近
くに位置し、空胴共振器を構成する。また、10枚のベ
イン17は、径が異なる大小2つのストラップリングR
1、R2によって、それぞれ上下の2か所で1つおきに
連結されている。例えば、偶数番目のベインは径の小さ
いストラップリングR1によって、また、奇数番目のベ
インは径の大きいストラップリングR2によって連結さ
れる。また、ベイン17の先端と陰極フィラメント13
の間に形成される相互作用空間Sを挟むように上下に一
対のポールピース18、19が設けられている。ポール
ピース18、19は、それぞれ中央が内側に凹む漏斗状
をしており、その周辺は陽極円筒11の端部に結合され
ている。そして陰極フィラメント13の上下の延長方
向、即ち凹んだ部分の中央には透孔18h、19hが形
成され、また透孔18h、19hの周辺は円形の平坦部
分となっている。なお、高周波信号は、ベイン17など
で形成される空胴共振器で発生し、その出力は出力リー
ド20を通して外部に取り出される。
【0019】上記した構成において、放射状に配列され
た10枚のベイン17のうち互いに対向するベイン1
7、即ち、1つの直線上に位置するベイン同士の先端間
の距離(以後ベイン先端間の距離という)(2ra)
は、8.55〜9.48mmの範囲に設定する。また、
陽極円筒11の内径を2rvとした場合に、陽極円筒1
1の内径(2rv)とベイン先端間の距離(2ra)の
比(2rv/2ra)は、3.7乃至4.1の範囲に設
定する。
【0020】また、ポールピース18、19の中央に形
成される透孔18h、19hの内径はベイン先端間の距
離(2ra)に等しいか、あるいはそれより僅かだけ大
きくされる。そして、ポールピース18、19の少なく
とも一方は、透孔18h、19h周辺の平坦部分の外径
がベイン先端間の距離(2ra)の160%以上の寸法
にされる。
【0021】図1では、下側即ち入力側のポールピース
19の方が平坦部分の径が大きくなっている。また、ワ
イヤを螺旋状に巻いて形成した陰極フィラメント13の
外直径(2rc)は、ベイン先端間の距離(2ra)と
の比(2rc/2ra)が0.445〜0.460の範
囲に設定される。
【0022】上記した構成のマグネトロンでは、陰極フ
ィラメント13の外直径(2rc)とベイン先端間の距
離(2ra)の比(2rc/2ra)が0.445〜
0.460と、従来のマグネトロンの場合(従来の値は
例えば0.43である。)より大きくなっている。した
がって、ベイン先端間の距離(2ra)に対する陰極フ
ィラメント13の外直径(2rc)はその分だけ大きく
なり、マグネトロンの相互作用空間Sで、空間電荷が分
布する範囲が広がる。このため、ベイン17先端付近の
マイクロ波電界を加味した電位分布の歪みが減少し、電
子の陰極周回速度分布がこれまでのものより半径方向に
均一になる。この結果、電子極とマイクロ波電界が同期
し易くなり、より単一の周波数で発振するようになる。
【0023】また、入力側と出力側に位置する一対のポ
ールピースのいずれか一方について、透孔周辺に形成さ
れる円形平坦部分の外径をベイン先端間の距離(2r
a)の160%以上にすれば、一対のポールピースの双
方に外径が小さい平坦部分を透孔周辺に形成した構造の
マグネトロン(特公平5−35531号公報参照)に劣
らない特性、即ち発振スペクトラムのクリーン化やライ
ンノイズの低減などが実現された。特に、いずれか一方
のポールピースについて、透孔周辺の平坦部分の外径を
ベイン先端間の距離(2ra)の180%以上にすれ
ば、他方が160%以下でも従来のマグネトロン(特公
平5−35531号公報参照)より優れた特性が得られ
た。
【0024】上記したような特性の改善は、透孔周辺の
平坦部分が大きくなっているポールピースを入出力側の
いずれか一方に使用することによって実現される。しか
し、入出力側の両方に用いれば、発振スペクトラムのク
リーン化などの特性はより改善される。
【0025】ここで、標準評価装置上における本発明の
発振スペクトラムについて、図2を参照して説明する。
なお、図2は、横軸が周波数で中心Cは2450MH
z、そして1目盛りは100MHzになっている。ま
た、縦軸は信号レベルである。
【0026】図2(a)は、従来のマグネトロンの特性
で、透孔周辺の平坦部分の径がベイン先端間の距離(2
ra)の130%であるポールピースを入出力側の双方
に使用した場合である。図2(b)は、入力側のポール
ピースの平坦部分の径がベイン先端間の距離(2ra)
の180%で、出力側のポールピースの平坦部分の径が
130%の場合である。また図2(c)は、図2(b)
の構成において、さらに陰極フィラメント15の外直径
(2rc)とベイン先端間の距離(2ra)の比(2r
c/2ra)を0.45にした場合である。
【0027】また、上記した構成のマグネトロンを電子
レンジに組み込んだ場合の発振スペクトラムを図3に示
している。図3(a)が図2(a)の構造に対応し、図
3(b)が図2(c)の構造に対応している。これらの
図から、本発明の構成によれば発振スペクトラムがクリ
ーン化されていることが分かる。この結果、ラインノイ
ズも低下する。なお図3の横軸は周波数(GHz)で中
心Cは2450MHz、また1目盛りは500MHz、
そして縦軸は信号レベルである。
【0028】ところで、透孔周辺の平坦部分の径がベイ
ン先端間の距離(2ra)の160%以上であるポール
ピースを入出力側の両方に用いると、陰極の両端部付近
において電磁界分布がより均一になる。このため、電子
極(スポーク)が軸方向に広がり、出力側のエンドシー
ルド14から電子がはみ出し易くなり電子効率が下が
る。この結果、発振効率が低下する。
【0029】また、陰極フィラメント13の外直径(2
rc)を大きくすると、一般的には電子効率が下がり、
発振効率が低下する。実験によれば、陰極フィラメント
13の外直径(2rc)とベイン先端間の距離(2r
a)の比(2rc/2ra)が46%を越えるあたりか
ら発振効率が低下してくる。したがって、他の特性に影
響を及ぼさないためには、(2rc/2ra)の値は4
4.5%〜46%が有効である。
【0030】また、平坦部分の径が大きいポールピース
を入出力側の両方に用いる場合より、いずれか一方だけ
に用いる場合の方が発振効率の低下は少ない。また、平
坦部分の径が大きいポールピースを入出力側のいずれか
一方に用いる場合は、入力側即ち支持ロッド18、19
が延長する側に用いた方が発振効率の低下が少ない。こ
のような関係を考慮すると、1つのポールピースの平坦
部分の径をベイン先端間の距離(2ra)の180%以
上とし、もう1つのポールピースの平坦部分の径を16
0%以下とし、そして、平坦部分の径が大きいポールピ
ースを入力側に用い、平坦部分の径が小さいポールピー
スを出力側、即ち出力リード20が形成された側に用い
れば、発振効率の低下が少なくなり、また、クリーンス
ペクトラム化やラインノイズの低減がより図られる。
【0031】また、陰極フィラメント13の外直径(2
rc)とベイン先端間の距離(2ra)の比(2rc/
2ra)を0.445〜0.460の範囲で変化させる
と、図4のように(2rc/2ra)(横軸で単位は
%)が大きくなるにつれて初期Ef”(発振を持続させ
るのに必要な最小電圧)(縦軸で単位はV)が低下す
る。そして、その値が44.5%より大きくなるとE
f”は0(V)に近くなる。ところで、マグネトロンが
安定に発振した後にフィラメントに通電する加熱電圧E
fを徐々に下げていくと、一般的には、陰極温度が下が
り熱電子が不足し発振が持続しなくなる。しかし、E
f”が0(V)と言うことは、フィラメントに通電する
加熱電圧を止めても発振が持続することを意味する。こ
のような現象は、電子衝撃(以下バックボンバードとい
う)を増やした場合にも見られる。しかし、バックボン
バードによる場合は動作中の陰極温度が異常に高くな
り、陰極が変形したり、炭化層の消滅を加速したりして
寿命を縮める。本発明の場合は、空間電荷の分布範囲が
若干広がった結果であるため、バックボンバードによる
ような陰極温度の異常な上昇は起きない。
【0032】また、電子レンジの電源としてインバータ
電源を用いた場合、特開平4−174940号公報にも
説明されているように、マグネトロンの熱減磁によって
陽極電圧が低下し、同時にフィラメントに通電する加熱
電圧Efが低下する現象がある。そして、最悪の場合に
は、熱電子不足により発振が不安定になる。しかし、本
発明では、上記のようにEf”がきわめて低いため、安
定に動作する。また、インバータ電源を用いない場合で
も、例えば電源の電圧変動が大きいときでも安定に動作
する。
【0033】また、本発明の構成によれば相互作用空間
Sでの電位分布の歪みが是正される。このため、陽極近
辺や陰極近辺の電子の陰極周回速度の差が減少し、電子
極とマイクロ波電界との同期が取り易くなりモードバン
ダリーが大きく改善される。
【0034】図5は、モードバンダリーが改善される様
子を示す図で、陰極フィラメント13の外直径(2r
c)とベイン先端間の距離(2ra)の比(2rc/2
ra)(横軸)と尖頭陽極電流(A)(縦軸)の関係を
示している。なお、図5において、入出力側の両方のポ
ールピースの平坦部分の径がベイン先端間の距離の16
5%である場合の特性をA(×印)で、また入力側の平
坦部分の径が180%で、出力側の平坦部分の径が13
0%である場合の特性をB(△印)で、そして入出力側
の両方のポールピースの平坦部分の径が130%である
場合の特性をC(・印)で示している。
【0035】なお、(2rc/2ra)の値が43%
で、そしてベインの高さが8.5mm、あるいは9.5
mmの場合、モードバンダリーは1.4〜1.8Aであ
る。しかし、(2rc/2ra)の値が例えば45%と
大きくなると、2.3〜2.7Aに改善される。そし
て、透孔周辺が平坦になっている構造のポールピースを
組み合わせて使用すると、モードバンダリーはさらに改
善され、2.7〜3.0Aに達する。
【0036】ところで、モードバンダリーを改善するた
めにはベインの高さを大きくすればよいことが知られて
いる。一例を挙げれば、モードバンダリーを1.8Aか
ら2.7Aと大きくする場合、ベイン高さを9.5mm
から11mmにすることで達成できる。しかし、ベイン
の高さを大きくすると、マグネトロンの軸方向の長さが
それだけ大きくなり、入出力側にあるポールピースの間
隔も大きくなる。このため、大きな強い磁石が必要とな
りコンパクト化が図れなくなる。
【0037】また、インバータ電源を電源として使用す
る場合は、30〜50KHzの高周波が用いられる。し
たがってインバータ電源を使用しない場合より陽極電流
のピーク値は3〜4割ほど高くなる。例えば、モードバ
ンダリーは1.3A〜1.5Aが1.7〜1.9Aに増
加する。このような陽極電流の増加は、電子レンジの高
出力化のために出力を大きくすると、それにつれてピー
ク値も高くなる。しかし、本発明によればコンパクトな
構造で良好なモードバンダリー特性が実現できるので、
インバータ電源を使用する場合などに有効である。
【0038】次に、陰極フィラメントを構成するワイヤ
について図6の断面図で説明する。ワイヤWは芯線61
とその外側を形成する炭化層62で構成されている。芯
線61は例えばトリウム・タングステンで構成される。
そして、炭化層62を含むワイヤWの直径をD、また炭
化層62の厚さをtとした場合、厚さtと直径の比(t
/D)は、0.04<t/D<0.09に設定する。好
ましくは0.05<t/D<0.08に設定する。な
お、電子レンジ用のマグネトロンの場合は、ワイヤWの
直径Dは0.4mm〜0.6mmの範囲が良く、より好
ましくは0.44mm〜0.52mmの範囲である。例
えばワイヤWの直径Dを0.5mmとした場合、tは2
0〜45μm、より好ましくは25〜40μmに設定す
る。このような構造の陰極フィラメントを製造する場
合、炭化率(炭化後のフィラメントの冷抵抗/炭化前の
フィラメントの冷抵抗)は120〜140%に設定す
る。なお、図7は、炭化層62の厚さtと直径Dの比
(t/D)(%)(縦軸)と炭化率(横軸)(%)の関
係を示している。
【0039】一般に炭化率を高くし、陰極フィラメント
に高い電圧Ef(例えばEf=4.2V、定格=3.3
V)を印加してライフテスト(3分間通電し、そして1
分間通電を停止し、これを繰り返す。)を行うと、図8
の矢印Pで示すようにEf”の変化は、矢印Qで示され
た通常の炭化率(110〜120%)の場合より小さく
なる。なお、図8では、横軸が炭化率(%)、そして縦
軸がEf”(V)で、陰極フィラメントの加熱電圧が
4.2V、また陽極電流が300mAである。またライ
フテスト前のEf”を・印、ライフテスト後のEf”を
×印で示している。しかし、炭化率を単純に120〜1
40%と大きくしただけでは、陰極フィラメントの抵抗
が増加し陰極フィラメントに流れる加熱電流が減少す
る。この場合、初期の加熱電圧Ef”が高くなり意味が
なくなる。
【0040】そこで、本発明では、(2rc/2ra)
を、Ef”が0(V)になる範囲の値(0.445〜
0.46)にしている。このとき、図8に示されるよう
に白抜きの矢印Y方向に特性が変化し、初期Ef”は
0.6Vと低くなる。また500時間のライフテスト後
のEf”も1.0Vとなり、矢印Rで示すようにEf”
の変化は少ない。定格電圧Efで使用すれば、Ef”の
変化はさらに小さくなることが予想される。
【0041】上記したように本発明によれば、使いやす
く、発振スペクトラムのクリーン化やラインノイズの低
減ができ、またコンパクトなマグネトロンが得られる。
またインバータ電源で駆動した場合の特性を向上でき
る。また、本発明のマグネトロンを組み込んで電子レン
ジを構成すれば電気的特性に優れた電子レンジが実現で
きる。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、電気的特性に優れたマ
グネトロンや電子レンジが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す図で、主要部を断面し
た断面図である。
【図2】本発明の特性を説明する図である。
【図3】本発明の特性を説明する図である。
【図4】本発明の特性を説明する図である。
【図5】本発明の特性を説明する図である。
【図6】本発明に使用される陰極フィラメントの一例を
示す断面図である。
【図7】本発明の特性を説明する図である。
【図8】本発明の特性を説明する図である。
【符号の説明】
11…陽極円筒 12…センター支持ロッド 13…陰極フィラメント 14、15…エンドシール 16…サイド支持ロッド 17…ベイン 18、19…ポールピース 18h、19h…透孔 20…出力リード R1、R2…ストッラップリング S…相互作用空間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上坂 章 栃木県大田原市下石上1385番の1 株式会 社東芝那須電子管工場内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽極円筒と、この陽極円筒の中央に位置
    する支持ロッドと、この支持ロッドに沿って形成された
    陰極フィラメントと、前記陽極円筒の内面に一端が固定
    され、そして先端が前記陰極フィラメント方向に延び、
    前記陽極円筒と前記陰極フィラメント間に空胴共振器を
    形成する複数のベインと、この複数のベイン先端と前記
    陰極フィラメントの間に形成される空間を両側から挟む
    ように配置され、前記陰極フィラメントを上下に延長し
    た部分に透孔が形成された一対のポールピースとを具備
    した発振周波数が2450MHz帯のマグネトロンにお
    いて、前記複数のベインのうち対向するベインの先端間
    の距離が8.55〜9.48mmで、また、前記陰極フ
    ィラメントの外直径と前記対向するベインの先端間の距
    離との比が0.445〜0.460で、そして、前記一
    対のポールピースの少なくとも一方が、前記透孔周辺の
    平坦部分の外径が前記対向するベインの先端間の距離の
    160%以上であることを特徴とするマグネトロン。
  2. 【請求項2】 前記一対のポールピースの前記透孔周辺
    の平坦部分の外径が、前記対向するベインの先端間の距
    離に対し、一方が180%以上で、他方が160%以下
    であることを特徴とする請求項1記載のマグネトロン。
  3. 【請求項3】 前記陰極フィラメントを、前記支持ロッ
    ドの外側を螺旋状にワイヤを巻いて形成し、前記ワイヤ
    の直径をD、また前記ワイヤの表面を形成する炭化層の
    厚さをtとした場合に、0.04<t/D<0.09で
    あることを特徴とする請求項1または請求項2記載のマ
    グネトロン。
  4. 【請求項4】 マグネトロンと、このマグネトロンを駆
    動するインバータ電源とを具備した電子レンジにおい
    て、前記マグネトロンとして請求項1乃至請求項3のい
    ずれか1つに記載されたマグネトロンを使用することを
    特徴とする電子レンジ。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20040044707A (ko) * 2002-11-21 2004-05-31 삼성전자주식회사 전자레인지용 마그네트론
KR100485725B1 (ko) * 2001-08-22 2005-04-27 마쯔시다덴기산교 가부시키가이샤 마그네트론

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KR100485725B1 (ko) * 2001-08-22 2005-04-27 마쯔시다덴기산교 가부시키가이샤 마그네트론
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