JPH07299329A - ハロゲン含有有機化合物の分解方法および触媒 - Google Patents

ハロゲン含有有機化合物の分解方法および触媒

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JPH07299329A JP6120799A JP12079994A JPH07299329A JP H07299329 A JPH07299329 A JP H07299329A JP 6120799 A JP6120799 A JP 6120799A JP 12079994 A JP12079994 A JP 12079994A JP H07299329 A JPH07299329 A JP H07299329A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】ハロゲン含有有機化合物を一酸化炭素の生成を
低減させてもしくは全く生成せずに酸化分解する方法、
および該酸化分解に有用な触媒。 【構成】ゼオライト又は遷移金属置換ゼオライト、マン
ガン、銅を同時に含有する組成物を200Kg/cm2
以上の圧力で加圧した触媒を用いる臭化メチル等のハロ
ゲン含有有機物の分解方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はハロゲン含有有機化合物
を一酸化炭素の生成を低減させてもしくは全く生成せず
に酸化分解する方法、および、該酸化分解に有用な触媒
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ハロゲン含有有機化合物、例えばフロン
に代表される塩素化炭化水素や臭素化炭化水素は種々の
化学工場において生産され、利用されている。中でも臭
化メチルは主に土壌くん蒸や貿易くん蒸に用いられてい
る。以下、ハロゲン含有有機化合物とは、上記で例示た
ようなハロゲン元素置換基を持つ有機化合物を指すもの
とする。
【0003】現在、臭化メチルは何も処理されずに大気
放出されているが、近年この臭化メチルがオゾン層を破
壊するという報告があり、このままでは使用が禁止され
るか若しくは厳しい規制が行なわれる予定である。しか
し、くん蒸で用いられる臭化メチルは防疫上必要不可欠
なものであり、臭化メチルにとって代わる代替物は今の
ところないため、臭化メチルの使用禁止による今後の貿
易くん蒸に与える影響は、甚大なものと推定される。
【0004】そこでくん蒸等の排ガス中の臭化メチルを
除去する方法が以前より検討されている。しかし、排ガ
スに含まれる臭化メチルの濃度は、通常多くても数千か
ら数十ppmであるため、この少量の臭化メチルを効率
よく、ごく低濃度まで排ガス中から除去する事は困難で
ある。以前より検討されてきた除去方法としては、吸着
法、燃焼法、薬液法、プラズマ分解法、接触分解法等が
挙げられる。
【0005】上記臭化メチル除去方法のうち吸着法は、
吸着材として活性炭が用いられているため、寿命が短い
事、大量の活性炭が必要となる事、その活性炭に引火す
るなどの危険がある等という実用化には極めて困難な課
題があり、実用化されていない。
【0006】燃焼法は、通常500℃以上の高温を要
し、非経済的でもあり、さらに裸火を直接使用するた
め、倉庫・くん蒸庫など可燃物を使用する付近では使用
不可能であり、非現実的である。
【0007】薬液法は特殊な薬品を使用し、しかも薬液
での除去率が低いため、大量の薬液を必要とする。した
がって装置が大きくなり、広い場所を必要とする。さら
に、装置から発生する騒音が激しい事もあり、これも実
用化されていない。
【0008】プラズマ法は近年考案されたがプラズマ生
成にあたり、大量の電力および大規模な装置と広い場
所、ヘリウムガスまたはアルゴンガス等の高価な希ガス
を必要とする。従ってこの方法も倉庫、くん蒸庫などと
いった場所ではコスト的にも不適当である。
【0009】接触分解法は臭化メチルを臭化メチル分解
触媒で接触分解する方法であるが、既に特開昭52−1
41477号公報、特公昭54−22792号公報、特
開平4−250825号公報、特開平5−23598号
公報および特開平5−317373号公報等により開示
された方法がある。しかしながら、これらの方法では臭
化メチル分解する際に高温を必要とし、炭素成分として
大量の一酸化炭素を生成する。このため、一酸化炭素を
更に一酸化炭素変換触媒により二酸化炭素に変換しなけ
ればならない。
【0010】ところが、臭化メチル分解触媒を通過した
排ガスをそのまま一酸化炭素変換触媒に導くと、排ガス
中には多量の臭素および臭化水素が含まれているため、
一酸化炭素変換触媒は著しい寿命低下を起こす。また、
この触媒は貴金属を主な成分とするため、高価であり、
実際に一酸化炭素変換触媒として使用する際には実用的
ではない。
【0011】この問題点を解決するために、排ガスを前
もって洗浄塔に導きハロゲン化物を除去した後、洗浄塔
で冷却された排ガス中の一酸化炭素を二酸化炭素に変換
する方法が考えられる。しかし、白金などの貴金属を用
いる一酸化炭素変換触媒は非常に高価であり、また、常
温では効果がなく、洗浄塔を通過するため100℃以下
に冷却されたガスを再び加熱して反応させなければなら
ず、再加熱のコストがかかる。以上の点を考慮すると、
この方法も望ましい方法ではなく、実用的ではない。
【0012】また、一酸化炭素変換触媒として公知のマ
ンガンおよび銅からなる二元系触媒は一酸化炭素用ガス
マスクにも用いられるように、常温においても一酸化炭
素の酸化に対する活性がある。しかしマンガンおよび銅
からなる二元系触媒は、臭素を含む化合物及び水分が存
在する空気中では酸化触媒としての寿命が非常に短くな
り、これを一酸化炭素変換触媒として使用するのは非実
用的である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の欠点を解決
し、大規模な装置を必要とせず、一酸化炭素の生成を抑
えたハロゲン含有有機化合物の分解方法、および、耐久
性が高く、一酸化炭素の生成を抑えることができる触媒
の開発が求められている。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記した問
題点に鑑み鋭意研究し、改良を重ねた結果、上記くん蒸
処理後の排ガス中等に含まれるハロゲン含有有機化合物
の除去を接触分解法にて行い、更に従来の触媒では大量
に生成していた一酸化炭素の生成を低減し、更に低温に
おいても臭化メチルを完全に分解する事ができ、しかも
耐久性が高い触媒を開発する事に成功し、本発明を完成
した。
【0015】即ち、本発明は、(1)ゼオライト又は遷
移金属置換ゼオライト、マンガン化合物および銅化合物
を含む組成物を200〜10000Kg/cm2 の圧力
で加圧処理した触媒の存在下にハロゲン含有有機化合物
を酸化分解することを特徴とする、ハロゲン含有有機化
合物の分解方法、(2)ゼオライト又は遷移金属置換ゼ
オライト、マンガン化合物および銅化合物を含む組成物
を200〜10000Kg/cm2 の圧力で加圧処理し
た触媒、(3)ハロゲン含有有機化合物が臭化メチルで
ある上記(1)記載の分解方法、(4)臭化メチルを酸
化分解するための、上記(2)記載の触媒、に関する。
【0016】次に本発明について詳細に説明する。本発
明において、酸化分解できるハロゲン含有有機化合物は
特に限定されないが、比較的低分子量の炭化水素のハロ
ゲン化物が好ましい結果を与える。例えば、モノハロゲ
ン化メタン、ジハロゲン化メタン、トリハロゲン化メタ
ン、テトラハロゲン化メタンや、トリクロロフルオロメ
タン、ジクロロジフルオロメタン、テトラクロロジフル
オロエタン、トリクロロトリフルオロエタン、クロロフ
ルオロカーボン、クロロジフルオロメタン、ジクロロフ
ルオロエタン、ジクロロトリフルオロエタン、テトラフ
ルオロエタン等のクロロフルオロカーボンが挙げられ
る。中でも臭化メチル及び塩化メチルが特に好ましい結
果を与える。
【0017】これらハロゲン含有有機化合物は、通常、
化学工場やくん蒸処理施設等から発生する排ガス中に含
まれるものであるが、これらに限定されるものではな
く、ガス中に任意の濃度で存在するハロゲン含有有機化
合物を、本発明により容易に酸化分解できる。
【0018】次に、本発明の触媒について説明する。本
発明の触媒はゼオライト又は遷移金属置換ゼオライト、
マンガン化合物、銅化合物を含有する組成物を200以
上の圧力で加圧処理して得ることができる。本発明で
は、様々な公知のゼオライトが使用できる。例えば、フ
ォージャサイト型、モルデナイト型、L型、オメガ型、
フェリエライト型、ZSM−5型ゼオライト等が用いう
る具体例として挙げられる。
【0019】本発明ではこれらのゼオライトをそのまま
の状態でも用いる事が出来るが、これらのゼオライトの
構成成分のうちイオン交換可能な成分を、これらとイオ
ン交換可能な他の陽イオンでイオン交換したイオン交換
ゼオライトを用いることも出来る。即ちアルカリ金属イ
オン、アルカリ土類金属イオン、希土類金属イオン、ア
ンモニウムイオン、プロトンとイオン交換処理したもの
をゼオライトとして使用できる。以下、イオン交換処理
しないゼオライト及びイオン交換処理をしたゼオライト
の両方を併せて特にことわりのない限り単にゼオライト
という。
【0020】また、さらに公知の方法により遷移金属で
置換したゼオライトも使用できる。遷移金属としてはC
u、Mn、V、Ti、Cr、Zn、Co、Ni、Fe、
Pt、Ag、Pd等が挙げられる。ゼオライト中の金属
イオンの遷移金属イオンによる置換割合は10%以上が
好ましく、特に25%以上が好ましい。この様にして得
た遷移金属で置換したゼオライトを上述のゼオライトと
区別して遷移金属置換ゼオライトという。
【0021】本発明で用いるマンガン及び銅を含む化合
物の種類は特に限定されない。例えばマンガン、銅の酸
化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、錯塩等何れも使用可能
である。またこれらマンガン化合物及び銅化合物はそれ
ぞれ一種用いても複数種用いてもよい。
【0022】マンガン化合物の使用量はマンガン化合物
を金属に換算した場合、マンガンとゼオライト又は遷移
金属置換ゼオライトの重量の比率が0.05:1〜20
0:1となる量が好ましく、特に0.1:1〜20:1
となる量が好ましい。また、銅化合物の使用量は、銅化
合物を金属に換算した場合、銅とゼオライト又は遷移金
属置換ゼオライトの重量の比率が0.1:1〜20:1
となる量が好ましく、特に0.2:1〜10:1となる
量が好ましい。また、以上で使用するマンガン及び銅の
化合物は更に他の種々の元素(例えば鉄、コバルト、ニ
ッケル等の遷移金属、白金、パラジウム、金等の貴金
属、アンチモン、ビスマス、サマリウム等)の化合物を
含んでいてもよい。
【0023】本発明に用いる組成物は、以上説明したゼ
オライト又は遷移金属ゼオライト、マンガン化合物、銅
化合物、水を混合したのち、乾燥し、必要により通常1
0〜500℃で1時間〜24時間熱処理することにより
得る事が出来る。
【0024】本発明の触媒は、上記のようにして得られ
た組成物を加圧処理することにより得ることができる。
加圧する圧力は200〜10000Kg/cm2 が好ま
しく、特に好ましくは、300〜5000Kg/cm2
である。加圧処理する方法に特に制限はないが、該組成
物を適当な型枠に入れ例えば打錠機、赤外分光光度計
(IR)用KBrディスクプレス、光電子分光装置(X
PS)用ディスクプレス、オイルジャッキ、万力等を用
いて加圧する。
【0025】以上のようにして得られる本発明の触媒は
通常塊状で得られ、このままでも使用する事が出来、ま
たこれを粉砕するか水等と混合したのち乾燥し、適当な
大きさ及び形状に粉砕または成形して、または適当な担
体に担持した形で使用する事もできる。本発明の触媒を
成形して使用する場合、結合剤を使用する事ができ、ベ
ントナイト、モンモリロナイト塩類、カオリン、エリオ
ナイト、アルミナ等を結合剤として使用しても何等差し
支えない。
【0026】本発明において、ハロゲン含有有機化合物
の酸化分解は、液相で行なうこともできるが、気相で行
なうのが好ましい。例えば、化学工場やくん蒸処理施設
等から発生するハロゲン含有有機化合物を含む排ガス
を、本発明の触媒に接触させ、排ガス中に含まれるハロ
ゲン含有有機化合物を気相で酸化分解する。該排ガス中
に含まれるハロゲン含有有機化合物の量は通常1ppm
〜20体積%である。
【0027】酸化分解は、酸素の存在下に行なうが、酸
素は通常、ハロゲン含有有機化合物に対し2モル倍以
上、好ましくは4モル倍以上用いる。これら酸素は、排
ガス中に含まれる酸素をそのまま利用することができ、
また新たに空気を加えることにより、空気中の酸素を利
用することもできる。
【0028】本発明によりハロゲン含有有機化合物を酸
化分解する際の温度は100〜500℃の範囲が好まし
く、さらに好ましくは150〜400℃である。また、
ハロゲン含有有機化合物を含むガスを触媒に接触させる
際のガス供給量は、空間速度(SV)にして10000
0hr-1以下が好ましく、特に好ましくは20000h
-1以下である。また、被処理ガス中に含まれる他成分
についての制限は特に無い。
【0029】本発明の方法により酸化分解して得られる
生成ガス中には一酸化炭素がごく微量しか存在しない
か、または、全く存在しないため、一酸化炭素変換触媒
などによる後処理は不要である。また分解後生成したハ
ロゲン化水素はNaOH、KOH、NH4 OH、アミン
等のアルカリ水溶液で容易に吸収除去する事ができる。
【0030】
【実施例】次に実施例、比較例により本発明をさらに詳
述する。但し、本発明は下記実施例により限定されるも
のではない。
【0031】製造例 硝酸銅270g及び硝酸マンガン465gを水3lgに
溶解させた銅およびマンガンを含有する水溶液を予め調
製し、そこにNa置換X型ゼオライト(東ソー製、商品
名:F−9)400gを入れ3時間攪拌した。これをア
トマイザー方式の噴霧乾燥機にて乾燥を行い(出口温度
135℃)、さらに390℃で10時間焼成し、遷移金
属置換ゼオライト、酸化銅、酸化マンガンを含有する組
成物800gを得た。
【0032】実施例1 製造例で得られた組成物のうち、100gを分取し、蛍
光X線用ディスクプレス器を用いて200Kg/cm2
の圧力で3分間加圧成型し、本発明の触媒を得た。
【0033】得られた触媒を粉砕し、6から20メッシ
ュに粒径を揃え、このうちの2gを、内径8mmのパイ
レックス製反応管に充填した。この反応管に被処理ガス
(成分:臭化メチル1.1体積%、水分3体積%、乾燥
空気95.7体積%)を、200ml/min(SV=
6000hr-1 NTP換算)で導入し反応管の温度を
200℃から300℃まで昇温させた。その時の各温度
での反応管出口ガスの分析をガスクロマトグラフにより
行い、臭化メチル分解率、一酸化炭素および二酸化炭素
の生成率を下式により求めた。反応試験の結果を表1に
示す。
【0034】 臭化メチル分解率 (%)=(MI−MO)/MI×100 一酸化炭素生成率 (%)=CO/MI×100 二酸化炭素生成率 (%)=CO2 /MI×100 但し、式中 MIは臭化メチルの入口ガス濃度 MOは臭化メチルの出口ガス濃度 COは出口ガスの一酸化炭素の濃度 CO2 は出口ガスの二酸化炭素の濃度
【0035】
【表1】 表1 反 応 温 度 200℃ 250℃ 300℃ 臭化メチルの分解率(%) 52 89 100 一酸化炭素の生成率(%) 1 0 0 二酸化炭素の生成率(%) 51 90 99
【0036】実施例2 加圧した圧力を300Kg/cm2 に変えた他は実施例
1と同様に試験を行い、その時の各温度での臭化メチル
分解率、一酸化炭素および二酸化炭素の生成率を求め
た。反応試験の結果を表2に示す。
【0037】
【表2】 表2 反 応 温 度 200℃ 250℃ 300℃ 臭化メチルの分解率(%) 55 91 100 一酸化炭素の生成率(%) 1 0 0 二酸化炭素の生成率(%) 54 90 99
【0038】比較例 加圧した圧力を100Kg/cm2 に変えた他は実施例
1と同様に試験を行い、その時の各温度での臭化メチル
分解率、一酸化炭素および二酸化炭素の生成率を求め
た。反応試験の結果を表3に示す。
【0039】
【表3】 表3 反 応 温 度 200℃ 250℃ 300℃ 臭化メチルの転化率(%) 37 63 98 一酸化炭素の生成率(%) 2 0 0 二酸化炭素の生成率(%) 35 63 98
【0040】表1、2および3の結果から本発明の触媒
を用いると、加圧処理の圧力が200Kg/cm2 より
低い圧力で処理した触媒に比べてより低温で、一酸化炭
素の生成を抑えながら臭化メチル等のハロゲン含有有機
化合物を酸化分解できることがわかる。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、低温において、一酸化
炭素の生成を抑えながら臭化メチル等のハロゲン含有有
機化合物を酸化分解することができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ゼオライト又は遷移金属置換ゼオライト、
    マンガン化合物および銅化合物を含む組成物を200〜
    10000Kg/cm2 の圧力で加圧処理した触媒の存
    在下にハロゲン含有有機化合物を酸化分解することを特
    徴とする、ハロゲン含有有機化合物の分解方法。
  2. 【請求項2】ゼオライト又は遷移金属置換ゼオライト、
    マンガン化合物および銅化合物を含む組成物を200〜
    10000Kg/cm2 の圧力で加圧処理した触媒。
  3. 【請求項3】ハロゲン含有有機化合物が臭化メチルであ
    る請求項1記載の分解方法。
  4. 【請求項4】臭化メチルを酸化分解するための、請求項
    2記載の触媒。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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