JPH07296749A - 放射線二次元検出器 - Google Patents

放射線二次元検出器

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JPH07296749A
JPH07296749A JP6110400A JP11040094A JPH07296749A JP H07296749 A JPH07296749 A JP H07296749A JP 6110400 A JP6110400 A JP 6110400A JP 11040094 A JP11040094 A JP 11040094A JP H07296749 A JPH07296749 A JP H07296749A
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JP
Japan
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electron beam
target structure
electrode
radiation
line
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Pending
Application number
JP6110400A
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English (en)
Inventor
Hiromichi Tonami
寛道 戸波
Shiro Oikawa
四郎 及川
Toshiro Yamagishi
敏郎 山岸
Tsutomu Kato
務 加藤
Kenkichi Tanioka
健吉 谷岡
Shiro Suzuki
四郎 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shimadzu Corp
Japan Broadcasting Corp
Original Assignee
Shimadzu Corp
Nippon Hoso Kyokai NHK
Japan Broadcasting Corp
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Publication date
Application filed by Shimadzu Corp, Nippon Hoso Kyokai NHK, Japan Broadcasting Corp filed Critical Shimadzu Corp
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  • Measurement Of Radiation (AREA)
  • Radiography Using Non-Light Waves (AREA)
  • Transforming Light Signals Into Electric Signals (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 入射放射線を効率よく電気信号に変換するこ
とができるとともに、大口径化することも容易な薄型の
放射線二次元検出器を提供する。 【構成】 放射線を二次元分布の電荷に変換するターゲ
ット構造体3と、これを電子ビームeで走査する電子ビ
ーム走査機構4とを備える。電子ビーム走査機構4は複
数本の線陰極22を備える。背面電極21と垂直集束電
極23a,23bによって、選択された一つの線陰極2
2から電子ビームeが取り出される。この電子ビームe
が、垂直偏向電極24、電子ビーム流制御電極25、水
平集束電極26、水平偏向電極27等によって2次元的
に走査されることにより、ターゲット構造体3の所定領
域の電位分布が読み取られる。以下、線陰極22が順に
選択されることにより、ターゲット構造体3の全領域の
電位分布が読み取られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、医療の診断あるいは
非破壊材料検査などに用いられるX線テレビジョンシス
テムにおいてX線画像を電気信号に変換したり、あるい
は原稿などの被写体を光学的に読み取って得られた可視
光を電気信号に変換するのに使用される放射線二次元検
出器に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の放射線二次元検出器の一例とし
てのX線テレビジョンシステムでは、X線画像を電気信
号に変換するのに、X線イメージインテンシファイア
と、テレビジョン撮像管とを組み合わせている。すなわ
ち、イメージインテンシファイアにX線を入射し、Cs
I等の変換膜によって入力X線を可視光線に変換した
後、光電面より電子を放出させ、この電子を加速しなが
ら出力蛍光膜に結像させて可視光に変換し、この出力蛍
光膜から可視光の画像として出力する。そして、このイ
メージインテンシファイアの出力面に撮像管を光学的に
結合させ、光学レンズなどを介して可視光線の像をこの
撮像管の撮像面に結像させることにより、この撮像面
に、入射光に応じた電荷を蓄積し、これを電子ビームで
走査することにより読み出し、電気信号として出力す
る。
【0003】また、可視光像を電気信号に変換するデバ
イスとしては二次元CCD(ChargeCoupled Device )
カメラがよく知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
X線イメージインテンシファイアとテレビジョン撮像管
とを組み合わせたX線テレビジョンシステムでは、X線
画像から最終の電気的画像信号が得られるまでには、上
記のようにX線−可視光線−電子−可視光線−光学系−
可視光線−電気信号というように多くの変換工程が含ま
れており、そのため変換効率が悪化する傾向にあり、最
終画像の信号対雑音(S/N)比を低下させる原因とな
ることが避けられない。それとともに、イメージインテ
ンシファイアと撮像管とを組み合わせるので、装置が複
雑・大型化するという問題がある。
【0005】また、二次元CCDカメラは小型であると
いう利点はあるものの、その構成上、大面積化が困難で
あり、そのため、被写体の可視光像を縮小する光学系が
不可欠であるという難点がある。
【0006】この発明は、このような事情に鑑みてなさ
れたものであって、X線や可視光などの放射線を効率よ
く電気信号に変換することができるとともに、大口径化
が可能で、かつ薄型の放射線二次元検出器を提供するこ
とを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明は、このような
目的を達成するために、次のような構成をとる。すなわ
ち、この発明に係る放射線二次元検出器は、入射した二
次元分布の放射線を二次元分布の電荷に変換する変換膜
を含むターゲット構造体と、前記ターゲット構造体の放
射線入射面と反対側の面を電子ビームで走査することに
より、前記ターゲット構造体に生じた二次元的な電位の
分布を電気信号として読み出す電子ビーム走査機構とを
備え、前記電子ビーム走査機構は、(a)前記ターゲッ
ト構造体に対向するようにほぼ等間隔で水平に配置され
た電子ビーム発生源としての複数本の線陰極と、(b)
前記線陰極の後方(前記ターゲット構造体が配置された
側と反対側)に、各線陰極に対応して配置された背面電
極と、(c)前記線陰極の前方(前記ターゲット構造体
が配置された側)に配置され、前記背面電極との間で電
位勾配を作ることにより、前記複数本の線陰極の中の選
択された一つの線陰極からのみ電子ビームを発生させ、
その電子ビームを垂直方向に集束して前方へ押し出す、
前記各線陰極に対応して設けられた複数個の垂直集束電
極と、(d)前記垂直集束電極を通過した電子ビームを
垂直方向に偏向する、前記各線陰極に対応して設けられ
た複数個の垂直偏向電極と、(e)前記垂直偏向電極を
通過した電子ビームに作用して、前記電子ビームの経路
を水平ラインに沿って順に切り換える複数個の電子ビー
ム流制御電極と、(f)前記電子ビーム流制御電極を通
過した電子ビームを水平方向に偏向する、前記電子ビー
ム流制御電極に対応して設けられた複数個の水平偏向電
極と、(g)前記水平偏向電極を通過した電子ビームを
前記ターゲット構造体の方向へ引き込む加速電極と、
(h)前記加速電極を通過した電子ビームをターゲット
構造体の手前で減速させる減速電極と、を備えたもので
ある。
【0008】
【作用】この発明の作用は次のとおりである。二次元分
布の入射放射線はターゲット構造体によって二次元の電
位分布に変換される。ターゲット構造体に生じた電位分
布は電子ビーム走査機構によって以下のように読み出さ
れる。まず、背面電極と垂直集束電極とによって、複数
本の線陰極の中から一つの線陰極が選択され、この線陰
極から電子ビームが取り出される。この電子ビームは垂
直偏向電極および電子ビーム流制御電極を経て、水平偏
向電極に至る。水平偏向電極は電子ビームを予め定めれ
た画素分だけ水平方向に偏向する。水平偏向電極を通過
した電子ビームは加速電極および減速電極を経てターゲ
ット構造体に入射する。結果、ターゲット構造体の予め
定められた画素分に相当する領域が水平に走査される。
この走査領域の電位分布に応じた電流が、線陰極とター
ゲット構造体との間に流れる。この電流変化を検出する
ことにより、ターゲット構造体の電位分布が読み取られ
る。
【0009】ターゲット構造体の予め定められた画素分
に相当する領域が水平方向に走査された後、電子ビーム
流制御電極によって電子ビームが水平方向に変位され
る。この電子ビームが上述と同様に水平偏向電極によっ
て走査されることにより、ターゲット構造体の水平方向
の隣の画素領域が読み取られる。以下、同様にして一水
平ラインの領域が読み取られる。
【0010】一水平ライン分の領域が走査されると、次
に、垂直偏向電極によって電子ビームが垂直方向に1画
素相当分だけ偏向される。以下、電子ビーム流制御電極
と水平偏向電極の作用により電子ビームが水平方向に走
査されて、その水平ラインの電位分布が読み取られる。
【0011】垂直方向に予め定められたライン数の電位
分布が読み取られると、背面電極と垂直集束電極とが切
り換えられることにより、隣の線陰極が選択される。以
下、この線陰極から取り出された電子ビームによって、
予め定められたライン数の電位分布が読み取られる。以
下、線陰極を順に選択することによって、ターゲット構
造体が二次元的に走査されて、全ての電位分布が読み取
られる。
【0012】
【実施例】以下、図面を参照してこの発明の一実施例を
説明する。図1はこの発明に係る放射線二次元検出器の
一実施例であるX線撮像管の概略構成図である。
【0013】図1に示すように、X線撮像管1は、10
-7〜10-9Torrの真空度に保たれた真空容器2内
に、入射した二次元分布のX線を二次元分布の電荷に変
換するターゲット構造体3と、このターゲット構造体3
のX線入射面と反対側の面を電子ビームで走査すること
により、ターゲット構造体3に生じた二次元的な電位の
分布を電気信号として読み出す電子ビーム走査機構4と
を備えている。
【0014】ターゲット構造体3は図2に模式的に示し
たように、基板11のX線入射側とは反対側の表面に蛍
光体12を形成し、その上に透明電極13と光導電膜1
4とをその順に積層形成して構成されている。
【0015】基板11は、ターゲット構造体3の機械的
強度を確保するためのもので、厚みが1〜2mmのアル
ミニウム、金属ベリリウム、ガラス、セラミック等のX
線透過材料を用いる。
【0016】蛍光体12としては、ナトリウムがドープ
された沃化セシウム(CsI:Na)、銀がドープされ
た硫化亜鉛(ZnS:Ag)、タングステン酸カルシウ
ム(CaWO4 )、タリウムがドープされた沃化セシウ
ム(CsI:Tl)等のX線に感応して可視光線を生じ
る材料を用いる。特に、X線変換効率の面から、Cs
I:Naの針状結晶構造体が好ましい。CsI:Naの
膜厚は、通常、200〜400μm程度である。
【0017】透明電極13は、たとえばインジウムと錫
と酸素の合金であるITO、SnO2 等の透光性を備え
た導電性薄膜を用いる。光の散乱を防止するために透明
電極13は出来るだけ薄く(300 程度)形成され
る。
【0018】光導電膜14は、蛍光体12で生じた二次
元分布の可視光像を二次元分布の電荷に変換するための
もので、蛍光体12の発光波長域に感度をもつものが使
用される。例えば、蛍光体12として青色発光のCs
I:Na、ZnS:Ag、CaWO4 を用いた場合は、
セレン(Se)を主成分とする非晶質半導体層(a−S
e)が好ましく用いられ、緑色発光のCsI:Tlの場
合はセレン化カドミウム(CdSe)が用いられる。
【0019】光導電膜14として、セレン(Se)を主
成分とする非晶質半導体層(a−Se)を用いると、そ
の光導電膜14に高電界が作用したときに、その内部に
アバランシェ効果に基づく電荷増倍作用を得ることがで
きる点で好ましい。以下に、セレン(Se)を主成分と
する非晶質半導体層(a−Se)で光導電膜14を構成
した場合の具体例を説明する。
【0020】光導電膜14にはX線が直接入射しないの
で、セレン(Se)を主成分とする非晶質半導体層(a
−Se)は比較的薄くてよく、通常、4〜20μm程度
である。また、この非晶質半導体層(a−Se)への電
荷の注入を阻止するために、非晶質半導体層(a−S
e)の両面にブロッキング層を設けるのが好ましい。透
明電極13側のブロッキング層としては、CeO2 、G
eO2 等が用いられ、電子ビーム入射側のブロッキング
層としては、Sb2 3 等が用いられる。なお、非晶質
半導体層(a−Se)は必ずしもSeのみで構成する必
要はなく、熱的安定性や感度の向上を図る目的で、A
s,Ge,Te等の適宜の不純物が添加されることもあ
る。
【0021】上述したターゲット構造体3は、例えば以
下のようにして製造される。まず、基板11の一方の面
に真空蒸着法でCsI:Naを被着することにより蛍光
体12を形成する。このとき、基板11の温度を200
〜400℃程度にすることにより、CsI:Naの針状
結晶構造体が得られる。蛍光体12の表面に真空蒸着
法、またはスパッタリング法によりITOを被着するこ
とにより透明電極13を形成する。透明電極13の上に
a−Se等を真空蒸着法で被着することにより光導電膜
14を形成する。
【0022】次に、図3を参照して電子ビーム走査機構
4の構造を説明する。図3の左側から順に、背面電極2
1、電子ビーム源としての線陰極22、垂直集束電極2
3a,23b、垂直偏向電極24、電子ビーム流制御電
極25、水平集束電極26、水平偏向電極27、電子ビ
ーム加速電極28、減速電極29が配置されている。
【0023】電子ビーム源としての線陰極22は水平方
向に線状に分布する電子ビームを発生するように水平方
向に張架されている。このような線陰極22が適宜間隔
を置いて垂直方向に複数本設けられている。本実施例で
は、63本の線陰極22が設けられている(ただし、図
3では作図の便宜のために4本の線陰極22のみを示し
ている)。これらの線陰極22は、例えば直径10〜2
9μmのタングステン線の表面に酸化物陰極材料が塗着
されて構成されている。そして、後述するように、上方
の陰極線から順に一定時間づつ電子ビームを放出するよ
うに制御される。これらの線陰極22と、ターゲット構
造体3の透明電極13との間には高電圧Eが印加されて
いる(図1参照)
【0024】背面電極21は、電気絶縁体で構成された
ベース21aの線陰極22側のコの字状内面に、蒸着法
等によって、アルミニウム等の導体膜21bを線陰極2
2ごとに電気的に分離して被着形成されている。背面電
極21の各導体膜21bは、後述の垂直集束電極23a
との間で選択的に電位勾配を作り出し、電子ビームを一
定時間放出するように制御される線陰極22以外の他の
線陰極22からの電子ビームの発生を抑止し、かつ、発
生された電子ビームを前方向だけに向けて押し出す作用
をする。この背面電極21は、前述した真空容器2の後
壁の内面に付着された導電材料の塗膜によって形成され
ることもある。
【0025】垂直集束電極23aは、各線陰極22のそ
れぞれと対向する水平方向に長いスリット30を有する
導電板31であり、線陰極22から放出された電子ビー
ムをそのスリット30を通して取り出し、かつ垂直方向
に集束させる。
【0026】スリット30は途中に適宜の間隔で桟が設
けられていてもよく、あるいは、水平方向に小さい間隔
(ほとんど接する程度の間隔)で多数個並べて設けられ
た貫通孔の列で実質的にスリットとして構成されてもよ
い。垂直集束電極23bも同様のものである。
【0027】垂直偏向電極24は上記スリット30のそ
れぞれの中間の位置に水平方向にして複数個配置されて
おり、それぞれ、絶縁基板32の上面と下面とに導電体
33a,33bが設けられたもので構成されている。そ
して、相対向する導電体33a,33bの間に垂直偏向
用電圧が印加され、電子ビームを垂直方向に偏向する。
【0028】本実施例では、一対の導電体33a,33
bによって1本の線陰極22からの電子ビームを垂直方
向に16ライン分の位置に偏向する。そして、64個の
垂直偏向電極24によって63本の線陰極22のそれぞ
れに対応する63対の導電体対が構成され、結局、ター
ゲット構造体3の光導電膜14上に1008本の水平ラ
インを描くように電子ビームを垂直方向に偏向する。
【0029】電子ビーム流制御電極25は、それぞれが
垂直方向に長いスリット34を有する導電板35で構成
されており、所定間隔を介して水平方向に複数個並設さ
れている。本実施例では、100本の制御電極用導電板
35が設けられている(ただし、図3では作図の便宜
上、10本のみを示している)。各電子ビーム流制御電
極25は、水平走査の開始端から順にビーム選択制御信
号を与えられる。このビーム選択制御信号を与えられて
いる間だけ、その電子ビーム流制御電極25は電子ビー
ムを通過させ、他の電子ビーム流制御電極25は電子ビ
ームの通過を阻止する。各電子ビーム流制御電極25を
順に通過した電子ビームは、それぞれ水平方向に10画
素分の信号(光導電膜14上の電位分布)を読み出すた
めに用いられる。したがって、本実施例では、光導電膜
14上の電位分布は、水平方向に1000(100×1
0)画素の信号として読み出される。
【0030】水平集束電極26は電子ビーム流制御電極
25のスリット34と相対向する垂直方向に長い複数本
(100本)のスリット36を有する導電板37で構成
され、1画素に相当する大きさに電子ビームをそれぞれ
水平方向に集束して細い電子ビームにする。
【0031】水平偏向電極27は、スリット36のそれ
ぞれの中間の位置に垂直方向にして複数本配置された導
電板38で構成されており、それぞれの間に水平偏向用
電圧が印加される。これにより、水平偏向電極27間を
通る電子ビームは水平方向に偏向され、水平方向に10
画素分に相当する、光導電膜14上の領域を走査され
る。
【0032】加速電極28は、垂直偏向電極24と同様
の位置に水平方向にして設けられた複数個の導電板29
で構成されおり、電子ビームを引っ張り込むように作用
する。
【0033】減速電極29は、小さな多数の孔が開設さ
れたメッシュ状の導電体40から構成されており、ター
ゲット構造体3の光導電膜14の直前で、電子ビームを
減速させ、垂直に入射するように作用する。
【0034】以下、上述した実施例の作用を説明する。
図1に示すように、被検体Mを透過した二次元分布のX
線は真空容器2の窓2aを介してターゲット構造体3に
入射する。ターゲット構造体3に入射したX線は基板1
1を透過して蛍光体12に達することにより、二次元分
布の可視光像に変換される。この可視光像が透明電極1
3を通って光導電膜14に入る。この光導電膜14が可
視光像を電荷に変換することにより、光導電膜14上
に、入射したX線透過像に対応した二次元の電位分布が
得られる。
【0035】なお、光導電膜14に非晶質半導体層(a
−Se)を用いた場合、透明電極13と線陰極22との
間に印加された高電圧により生じた高電界の作用によ
り、非晶質半導体層(a−Se)内部にアバランシェ効
果が引き起こされて上記の電荷は指数関数的に増加し、
電位が高まる。このアバランシェ効果を起こすために
は、108 V/m程度の高電界が必要であるが、これは
非晶質半導体層(a−Se)を薄く形成することにより
比較的容易に達成できる。電荷の増大により光導電膜1
4の電位は非常に大きくなるが、X線照射を受けない部
分の光導電膜14の電位は低いままである。
【0036】光導電膜14に生じた電位分布は、電子ビ
ーム走査機構4によって以下のように読み取られる。背
面電極21と垂直集束電極23a,23bの作用によ
り、一つの線陰極22が選択されて、その線陰極22か
らのみ電子ビームeが取り出される。この電子ビームe
は電子ビーム流制御電極25により1画素分の電子ビー
ムeとして取り出される。この電子ビームeがターゲッ
ト構造体3の光導電膜14に入射するとともに、水平偏
向電極27の作用により、水平方向へ10画素分の光導
電膜14の領域が走査されることにより、その領域の電
位分布が読み取られる。具体的には、電子ビームeが当
たった部分における電位に比例した電流がターゲット構
造体3の透明電極13と線陰極22との間に流れるの
で、この電流の変化を図1に示したように、透明電極1
3に接続された多段構成の読み出し回路5によって電圧
信号として取り出す。
【0037】10画素分の水平領域が読み取られると、
電子ビーム流制御電極25が切り換えられることによ
り、電子ビームeの水平方向の経路が10画素分水平方
向に変位して、走査領域が隣の10画素分の領域に移
る。そして、水平偏向電極27によって電子ビームeが
水平走査されることにより、その領域の電位分布が読み
取られる。以下、電子ビーム流制御電極25が順に切り
換えられることにより、電子ビームeが10画素領域の
単位で変位し、各領域で水平偏向電極27によって水平
走査されることにより、光導電膜14の1水平ラインの
電位分布が読み取られる。
【0038】1ラインの電位分布の読み取りが終わる
と、垂直偏向電極24によって電子ビームeが垂直方向
に1画素相当分だけ偏向される。以下、電子ビーム流制
御電極25と水平偏向電極27の作用により電子ビーム
eが水平方向に走査されて、その水平ラインの電位分布
が読み取られる。
【0039】垂直方向に予め定められたライン数(本実
施例では16ライン)の電位分布が読み取られると、背
面電極21と垂直集束電極23a,23bが切り換えら
れることにより、一つ下の線陰極22から電子ビームが
取り出され、上述と同様に、この電子ビームによって1
6ライン分の電位分布が読み取られる。以下、順に線陰
極22が選択されることにより、光導電膜15が2次元
的に走査されて全領域の電位分布が読み取られる。
【0040】以上のようにして光導電膜14上の二次元
分布の電位が、読み出し回路5から電気信号として取り
出される。この電気信号はカメラコントロールユニット
(CCU)6を経てビデオ信号となり、テレビジョンモ
ニター装置7に送られる。その結果、このテレビジョン
モニター装置7の画面上に、被写体MのX線透視像が表
示されることになる。
【0041】このX線撮像管1において、入射X線に対
応した電気信号を得るための過程が、X線を可視光像に
変換する過程と、可視光像を電位分布に変換する過程
と、電位分布を走査して電気信号を得る過程とで構成さ
れるので、X線から電気信号に至るまでの変換過程が少
なく、そのためノイズが少ない。その結果、テレビジョ
ンモニター装置7の画面に表されるX線透過像はS/N
比の大きなものとなる。さらに上述したような蛍光体1
2や光導電膜14は大面積化が容易であるので、関心領
域の大きさにまで視野を広げることができる大口径のX
線撮像管1を作成することが可能である。しかも、複数
本の線陰極22から順に取り出した電子ビームを垂直・
水平偏向して光導電膜14を走査するので、電子ビーム
を偏向するために必要な経路は比較的短くてすみ、X線
撮像管1の奥行きを短くできる。
【0042】ところで、蛍光体12として用いられるC
sI:Naの針状結晶構造体は、その表面の凹凸の高低
差が2μm程度ある。そのため、極薄い透明電極13を
介して被着される光導電膜14の膜厚が均一にならない
ので、透明電極13と線陰極22との間に高電圧が印加
されたとき、光導電膜14に局所的に高電界が集中し、
その部分でスパークなどを起こして画素が破壊されてし
まうおそれがある。このような事態を避けるために、タ
ーゲット構造体3を以下のように構成してもよい。
【0043】(1)蛍光体12の表面を平滑化加工す
る。好ましくは、蛍光体12の表面の凹凸の高低差を
0.1μm以下にする。ただし、蛍光体12の表面の大
きなうねりによる高低差は、光導電膜14に局所的な電
界集中を生じさせないので、このような高低差について
は、0.1μmを越えてもよい。
【0044】(2)図4に示すように、蛍光体12と透
明電極13との間に平滑層15を介在させる。平滑層1
5としてはガラス薄板、ポリイミド樹脂層、酸化シリコ
ン膜などがある。ガラス薄板を用いる場合は、ガラス薄
板の一方面に蛍光体12を形成し、他方面に透明電極1
3および光導電膜14を積層した後、このガラス薄板の
蛍光体12側に基板11を接着する。また、平滑層15
としてポリイミド樹脂層や酸化シリコン膜を用いた場合
には、基板11の上に蛍光体12を形成した後、ポリイ
ミド樹脂をスピンコートしたり、あるいは酸化シリコン
膜を気相成長法などで形成した後、透明電極13および
光導電膜14を積層する。
【0045】上記(1),(2)のターゲット構造体に
よれば、均一な膜厚の光導電膜14が得られるので、光
導電膜14に局所的に電界が集中するのを避けることが
できる。
【0046】(3)また、ターゲット構造体3を図5の
ように構成してもよい。この実施例では、表面が平滑化
されたファイバプレート16の一方の表面(X線入射側
の面)に蛍光体12を蒸着し、他方の表面に透明電極1
3および光導電膜14を被着することによって、ターゲ
ット構造体3を形成している。ここでは、ファイバプレ
ート16が蛍光体12や光導電膜14等の支持基体とな
っているとともに、光透過膜となっている。ファイバプ
レート16は、6〜25μm程度の微小な直径の光ファ
イバを多数束ねて周面間を接合し、これを1〜3mmの
厚さに切断して薄板化したもので、光は厚さ方向には伝
達するが面方向に拡散することはない。そのため、上記
(2)で説明したように平滑層15としてガラス薄板を
利用した場合の問題を回避できる。すなわち、ガラス薄
板の場合、蛍光体12からの光は厚さ方向に伝達される
とともに、面方向にも拡散することにより解像度の低下
を招く。これを避けるにはガラス薄板の厚さを極力薄く
すればよいが、そうすると脆弱になって、取り扱いがや
っかいとなる。この点、ファイバプレート16では上記
の通り光は面方向に拡散することはないため、厚くして
強度を大きくしても問題がない。そこで、このファイバ
プレート16の強度を利用し、これを支持基体とするこ
とができる。その結果、ターゲット構造体3の基板11
が不要となり、X線の減衰を防ぐことができるという効
果も得られる。
【0047】なお、上述の各実施例では、放射線二次元
検出器の一例としてX線撮像管1を挙げたが、この発明
はこれに限定されず、入射放射線が可視光である場合も
適用することができる。この場合、蛍光体12を除いて
ターゲット構造体を構成すればよいことは勿論である。
【0048】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、この発
明に係る放射線二次元検出器は、入射放射線像を二次元
分布の電位に変換し、これを電子ビームで走査すること
によって電気信号を得ているので、入射放射線像から電
気信号を得るまでの変換過程が少なく、S/N比の高い
画像信号を得ることができる。
【0049】また、電子ビーム走査機構は、電子ビーム
発生源として複数本の線陰極を用いているので、単一の
電子銃を用いたものに比べて、電子ビームを走査するの
に必要な経路長さが短くなり、そのだけ放射線二次元検
出器を薄型化することができる。また、電子ビームを大
きく走査する必要がないので、画像周辺部の歪みを少な
くすることも可能である。
【0050】さらに、二次元分布の放射線を電位分布に
変換する変換膜は、その構成上、大面積化することが容
易であるので、この発明によれば大口径の放射線二次元
検出器を実現することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る放射線二次元検出器の一例であ
るX線撮像管の概略構成図である。
【図2】ターゲット構造体の一例を示した模式図であ
る。
【図3】電子ビーム走査機構の概略構成を示した図であ
る。
【図4】ターゲット構造体の変形例の模式図である。
【図5】ターゲット構造体の更に別の変形例の模式図で
ある。
【符号の説明】
1…X線撮像管 2…真空容器 3…ターゲット構造体 4…電子ビーム走査機構 11…基板 12…蛍光体 13…透明電極 14…光導電膜 21…背面電極 22…線陰極 23a,23b…垂直集束電極 24…垂直偏向電極 25…電子ビーム流制御電極 26…水平集束電極 27…水平偏向電極 28…電子ビーム加速電極 29…減速電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H04N 7/18 L (72)発明者 山岸 敏郎 東京都世田谷区砧一丁目10番11号 日本放 送協会放送技術研究所内 (72)発明者 加藤 務 東京都世田谷区砧一丁目10番11号 日本放 送協会放送技術研究所内 (72)発明者 谷岡 健吉 東京都世田谷区砧一丁目10番11号 日本放 送協会放送技術研究所内 (72)発明者 鈴木 四郎 東京都世田谷区砧一丁目10番11号 日本放 送協会放送技術研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入射した二次元分布の放射線を二次元分
    布の電荷に変換する変換膜を含むターゲット構造体と、
    前記ターゲット構造体の放射線入射面と反対側の面を電
    子ビームで走査することにより、前記ターゲット構造体
    に生じた二次元的な電位の分布を電気信号として読み出
    す電子ビーム走査機構とを備え、前記電子ビーム走査機
    構は、(a)前記ターゲット構造体に対向するようにほ
    ぼ等間隔で水平に配置された電子ビーム発生源としての
    複数本の線陰極と、(b)前記線陰極の後方(前記ター
    ゲット構造体が配置された側と反対側)に、各線陰極に
    対応して配置された背面電極と、(c)前記線陰極の前
    方(前記ターゲット構造体が配置された側)に配置さ
    れ、前記背面電極との間で電位勾配を作ることにより、
    前記複数本の線陰極の中の選択された一つの線陰極から
    のみ電子ビームを発生させ、その電子ビームを垂直方向
    に集束して前方へ押し出す、前記各線陰極に対応して設
    けられた複数個の垂直集束電極と、(d)前記垂直集束
    電極を通過した電子ビームを垂直方向に偏向する、前記
    各線陰極に対応して設けられた複数個の垂直偏向電極
    と、(e)前記垂直偏向電極を通過した電子ビームに作
    用して、前記電子ビームの経路を水平ラインに沿って順
    に切り換える複数個の電子ビーム流制御電極と、(f)
    前記電子ビーム流制御電極を通過した電子ビームを水平
    方向に偏向する、前記電子ビーム流制御電極に対応して
    設けられた複数個の水平偏向電極と、(g)前記水平偏
    向電極を通過した電子ビームを前記ターゲット構造体の
    方向へ引き込む加速電極と、(h)前記加速電極を通過
    した電子ビームをターゲット構造体の手前で減速させる
    減速電極と、を備えたことを特徴とする放射線二次元検
    出器。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002286847A (ja) * 2001-03-22 2002-10-03 Reitekku:Kk 半導体放射線検出装置
JP2007012842A (ja) * 2005-06-30 2007-01-18 Fujifilm Holdings Corp 光導電層および放射線撮像パネル

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JP2002286847A (ja) * 2001-03-22 2002-10-03 Reitekku:Kk 半導体放射線検出装置
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