JPH072914B2 - ハ−ド系カ−ボンブラツク製造装置 - Google Patents

ハ−ド系カ−ボンブラツク製造装置

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JPH072914B2
JPH072914B2 JP60023783A JP2378385A JPH072914B2 JP H072914 B2 JPH072914 B2 JP H072914B2 JP 60023783 A JP60023783 A JP 60023783A JP 2378385 A JP2378385 A JP 2378385A JP H072914 B2 JPH072914 B2 JP H072914B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、オイルフアーネス法を採用したハード系カー
ボンブラツクの製造装置に関するものであり、より詳し
くは、本発明はガス状炭化水素および/または液状炭化
水素を同一の燃焼室内で完全燃焼化できる改良された燃
焼室を有し、且つ原料油と前記燃焼ガス充填室で発生さ
れた燃焼ガスとを効果的に混合接触することのできるハ
ード系カーボンブラツク製造装置に係るものである。
オイルフアーネス法を採用したカーボンブラツクの製造
においては、一般的に円筒形状のカーボンブラツク製造
装置の軸方向または接線方向に燃料を導入して燃焼さ
せ、この高温燃焼ガス流を反応帯域へ移動させながら、
高温ガス流中に炭化水素原料油を噴霧し、前記原料油の
不完全燃焼化によりカーボンブラツク生成反応を惹起せ
しめ、このようにして得られたカーボンブラツク熱懸濁
ガス流を急速冷却して反応を停止させ、サイクロン、バ
グフイルター等の捕集装置を通過させてカーボンブラツ
クが回収されている。この粉末状カーボンブラツクはハ
ンドリングの面から、通常造粒工程、乾燥工程を経て、
カーボンブラツク製品として出荷される。
オイルフアーネス法によるカーボンブラツク製造におい
て、製造装置内に噴霧される炭化水素原料油をカーボン
ブラツクに変換するのに必要な熱量は、炭化水素原料油
の部分的燃焼によつて供給されるのは避けられないが、
そのほとんどは燃料の燃焼熱により補給されているのが
普通である。
特許公報等による公知文献では、オイルフアーネス法に
おいて一般的には高温燃焼ガス発生用燃料として天然ガ
スのような気体燃料が広く採用されているが、粗製ナフ
サ、重質油等の液体燃料も用いられる場合もみられる。
しかしながら、ガス状燃料燃焼用装置と液状燃料燃焼用
装置とは通常異なるものが用いられ、特に、液状燃料燃
焼用装置では、燃焼用導口の空間を大きくすることによ
り完全燃焼化を計る(例えば、特公昭36−12766号公
報)、液体燃料を微粒化して燃焼速度を向上する(例え
ば、特公昭58−27826号公報)などのように種々の改良
がなされているが、ガス状燃料および/または液状燃料
を同一の装置で使用できるものは見当らない。
オイルフアーネス法による製造装置において、特にハー
ド系カーボンブラツク製造装置では、装置の頭部に直径
の大きい円筒形状燃焼室を設置するのが普通である。
また、原料油は、一般的に上述したような公知の燃焼室
内あるいは燃焼室に連結された縮流部あるいはベンチユ
リ部の直前において中心軸方向に導入噴霧されている
が、燃焼室内での原料油噴霧は燃料の燃焼と原料油の部
分的燃焼が一部共存して原料油の損失が避けられない上
に高温の燃焼ガスに耐える材質で、しかも長い噴霧装置
が必要であつた。そして、原料油を中心軸より導入する
方法・装置においては、燃焼ガスの熱エネルギーを有効
に利用するには噴霧角度を大きくする必要があるが、そ
の為には噴霧圧力の上昇、噴霧用気体の増加を伴うのみ
ならず、噴霧液滴が炉壁に衝突してコークス発生の原因
となる。このため、中心軸よりの導入においては、カー
ボンブラツク物性の制御、コークス発生の抑止の為に、
噴霧角度の厳密な制御を要するが、原料油の変動や機械
的外乱により容易に噴霧角度が変動し、コークスが炉内
に堆積する事はしばしば経験するところである。
さらにまた、原料油を縮流部において噴霧導入する方法
および装置も知られている。例えば、(イ)特公昭54−
10358号公報記載の発明では、金属製の水冷された燃焼
室の後に縮流部が連結され、燃焼室中心軸に保持された
原料油導入装置の先端を縮流部後端部に位置させて、内
側から外側に圧入すると共に、縮流部周縁の外側壁から
内側に向つて圧入されており、これに横断面の大きい耐
火ライニングされた反応器が連結されている。また、
(ロ)特公昭54−11276号公報に記載の発明では、燃焼
室に接続された縮流部に相当する混合室内壁と、この内
部空間の中心軸方向に挿入された原料油噴霧装置外側壁
とで環状通路を構成し、混合室中もしくは環状通路中で
内側から外側へ原料油を噴霧している。
公知発明において、上述した以外の原料油導入方法
(ハ)として、第1の燃焼ガスを生成し、さらに別の封
入帯域中で生成した第2の燃焼ガス中に原料油を噴射し
て霧化物気流を得、この霧化物気流を前記第1の燃焼ガ
ス中に交差導入する方法(特公昭52−27632号)も知ら
れている。
以上の公知発明において、(イ)および(ロ)の2発明
は燃焼室を横断する冷却ジヤケツト付きの長い原料噴霧
装置が必要である上に、この噴霧装置を縮流部の中心軸
位置に正確に保持させることも必要である。さらに、冷
却ジヤケツトで被覆した噴霧装置の設置は、原料油をカ
ーボンブラツクに転換するのに用いられる熱の一部が冷
却ジヤケツトに接触して奪われ、熱が有効に利用されな
い。また、(ハ)の発明では、製造装置における主体の
燃焼室の他に1ないし2個以上の副次的な燃焼室が必要
となり、装置の構造が複雑となる。
さらに、(ニ)米国特許第4,483,841号明細書におい
て、中心軸方向および/または予備燃焼室と熱分解帯域
との間で原料油を噴霧、導入するプロセスが記載されて
いる。このプロセスの特徴は、接線方向から互いに180
度離れて燃焼ガスを末広がりの傾斜面に沿つて予備燃焼
室の下流方向へ導き、中心軸方向から挿入されたオイル
チユーブを保護するようにした予備燃焼室を有すること
にあり、実施態様として原料油を反応炉内に軸方向およ
び/または予備燃焼室と熱分解帯域との間で内側へ放射
方向に導入すると述べている。
そして、上述のとおりに改善されかつ築炉上も複雑な予
備燃焼室と熱分解帯域との間の縮流部で内側へ放射方向
に原料油を導入する場合については、この(ニ)の発明
の主たる課題である予備燃焼室の構造改良がなんらの寄
与もしないこととなる。
本発明は、改良された燃焼室において効率よく燃料を燃
焼し、得られる高温の燃焼ガス流に対して原料油噴霧装
置を莫露することなく、前記燃焼室に連結されたベンチ
ユリ部の縮流部のみで原料油を噴霧することができ、し
かも簡単な構造にて上述した公知発明に匹敵する燃焼ガ
スと原料油との混合接触の作用効果を高め得るようにし
たカーボンブラツク製造装置を提供するものである。
本発明においては、ガス状炭化水素燃料および/または
液状炭化水素燃料を同一の燃焼室内で利用でき、かつカ
ーボンブラツク生成反応系外の空間内で完全燃焼せし
め、この高温燃焼ガス流を縮流部(ベンチユリ部)に導
き、この高温燃焼ガス流中に原料油を直接噴霧すること
により、燃焼ガスの包含する熱量をカーボンブラツク生
成反応に有効に寄与させるようにしたカーボンブラツク
製造装置である。より詳しく述べると、上述した従来公
知の燃焼室とは構造的に異なる燃焼ガス充填室を設置す
ることを一つの特徴とし、その前半部分において、接線
方向位置に中心軸を有する少なくとも1個のガス導入
口、および前記ガス導入口とは別個の独立した少なくと
も2個の燃料流体導入口を設置し、例えば酸素含有ガス
を前記ガス導入口に導入して、燃料流体との流動方向を
相違させることにより前記二流体の混合効率を著しく向
上させ、これに加えて二流体を燃焼ガス充填室前半部分
より導入することにより、原料油を噴霧するベンチユリ
部における時点では燃料の完全燃焼化が達成されると共
に、燃焼ガスと原料油との混合接触反応が高められるよ
うに構成されたカーボンブラツク製造装置である。本発
明の如く、熱燃焼ガスが最大限に加速される縮流部にお
いてのみ外周より内側へ原料油が導入される場合には、
燃焼ガスの軸速度成分が充分大きい為、実質的に炉内の
コークスの生成を皆無とすることができる。従つて、厳
密な噴霧角の制御を要せず、噴霧ノズルの形状寸法や噴
霧圧力を自由に選択する事ができるなどの効果がある。
また本発明の装置では、カーボンブラツクのアグリゲー
トサイズ分布(遠心沈降分析によるストークス相当径の
頻度により評価)を容易に制御できる構造となつてい
る。
詳しくは、カーボンブラツク生成反応室前半部分に少な
くとも2個以上の酸素含有ガスおよび/または燃料流体
の導入用導管を設け、前記導管への各流体の導入割合お
よび速度を変更することによりカーボンブラツク特性を
制御できる。
さらにまた、本発明装置によれば、ハード系カーボンブ
ラツクに近接した品種に属し、通常はソフト系カーボン
ブラツクに分類されているFEF級のカーボンブラツクを
も製造することができる。
従つて、本発明におけるハード系カーボンブラツクと
は、FEF級からSAF級の範囲にあるカーボンブラツクを指
称することとする。
すなわち、本発明は横置された円筒形状の燃焼ガス充填
室と、前記充填室と共軸的に連結された且つ前記充填室
よりも直径の小さい円筒形状のカーボンブラツク生成反
応室と、前記反応室末端部に共軸的に連結された反応継
続兼急速冷却室と、前記急速冷却室後端部に連結された
煙道とからなる、全体が耐火物で内張りされたカーボン
ブラツク製造装置において、 (イ)前記燃焼ガス充填室前半部分の接線方向位置に中
心軸を有する少なくとも1個のガス導入口を設け、 (ロ)前記燃焼ガス充填室前半部分において、前記ガス
導入口とは独立した少なくとも2個の燃料流体導入口を
設置し、 (ハ)前記燃焼ガス充填室と反応室との間にベンチユリ
部を設け、外側壁に防熱冷却用ジヤケツトを装着した少
なくとも2個の原料油噴霧装置を、前記ベンチユリ部の
最狭部側壁に貫通する原料油噴霧装置導入口内に、前記
原料油噴霧装置の中心軸が前記ベンチユリ部最狭部の中
心軸に対して90度±20度の範囲内に位置するように固定
し、 (ニ)前記カーボンブラツク生成反応室前半部分に、少
なくとも2個の酸素含有ガスおよび/または燃料流体導
入口を設け、 (ホ)冷却水圧入噴霧器を前記反応継続兼急速冷却室壁
において、当該噴霧器の水噴霧部を前記室内に対し挿入
−引抜き自在に複数個設置したハード系カーボンブラツ
ク製造装置を提供するにある。
次に、添付図面に基づいて本発明をさらに詳しく説明す
る。
第1図は本発明の一例の装置の縦断正面図であり、第2
図は第1図のA−A矢視における断面図である。
第3図は、第1図のA−A矢視における他の態様の断面
図であり、第4図は本発明におけるベンチユリ部の最狭
部の一例を拡大して示した縦断正面図である。第5図は
第1図のB−B矢視における断面図である。
第1図および第2図のカーボンブラツク製造装置1にお
いて、横置された円筒形状の燃焼ガス充填室2にはベン
チユリ部3が同軸的に連結され、ついで反応室4、さら
に反応継続兼急速冷却室5、その末端に煙道6が順次連
結されている。
燃焼ガス充填室2には、その中心軸前端壁を貫通して設
けられた開口7の外端部に耐熱性ガラスを介して炉内の
状況を見ることのできる覗き窓8が取付けられている。
また、燃焼ガス充填室2の前半部分には、その接線方向
位置に中心軸を有する2個の対向的に配置された酸素含
有ガス導入口9,9′が設けられ、さらに燃焼ガス充填室
の側壁外周からは前記酸素含有ガス導入口9,9′の直径
両端の垂直断面で形成される空間内において、第2図で
示されるように充填室2内に流通する6個の燃料流体導
入口(10,10′,11,11′,12,12′)が円周上において対
称的に、かつ前記酸素導入口9,9′とは独立して別個に
設置されている。この燃料流体導入口は充填室2の外周
部から例えば10,10′のように少なくとも2個設置して
もよいが、図示した如く6個(10〜12′)とするのが望
ましく、多くても8個で充分にその目的を達成すること
ができる。
前記燃焼ガス充填室2に導入される燃料流体としては気
体状燃料あるいは液状燃料のいずれもが使用できる。気
体状燃料としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン
および天然ガスなどが使用できる。また、液状燃料とし
ては、ケロシン、重油およびエチレンボトム油等の重質
油などが利用でき、この場合には特許第1199201号(出
願人:旭カーボン(株))に開示された燃料油ノズル体
の使用が望ましい。
上述したように、燃焼ガス充填室2には接線方向の酸素
含有ガス導入口9,9′と、これとは独立した別個の燃料
流体導入口(10〜12′)が設けられており、この燃料流
体導入口(10〜12′)は充填室2の中心軸に向かうよう
に円周上の放射方向で流通している。酸素含有ガスと燃
料流体は異なる導入方向で、且つ独立した流れとして充
填室2内に導入されるが、この流通方向の相違と独立性
は酸素含有ガスと燃料流体との混合効率を著しく高めて
燃焼速度の向上をもたらす。さらに、酸素含有ガス導入
口9,9′に近接した燃料流体導入口10,10′から導入され
た燃料流体は酸素含有ガスと効果的に混合され、燃焼し
ながら旋回方向の下流側にある燃料流体導入管11,11′
および12,12′から導入された燃料流体の混合を促進す
るとともに、その火炎伝播効果により燃料流体の完全燃
焼化を短時間のうちに順次達成できる。
第3図は、第1図のA−A矢視における他の態様を示し
たものであり、燃焼ガス充填室2のガス導入口9,9′に
はその中心軸位置にそれぞれ燃料燃焼装置21,21′が設
置されている。また、燃料燃焼用酸素含有ガスは前記燃
料燃焼装置21,21′をとりまく流れとして同軸的に導入
されるが、前記酸素含有ガスはガス導入口9,9′に対し
て接線方向から導入することもできる。ここで用いられ
る燃料燃焼装置21,21′としては、すでに提案した如き
水冷または空冷式の防熱冷却用のジヤケツト付(特許第
1199201号に開示されている)とするのが望ましい。燃
料流体は11,11′の貫通導入口を経て放射状で充填室2
内に導入される。
これら酸素含有ガス導入口9,9′および燃料流体導入口1
0〜12′を充填室2の長さ方向の中央よりも前頭部に位
置させることと上述の効果の相乗作用により、充填室2
の大きさを余り大きくすることなくその前頭部で燃料燃
焼が完結される。さらには、燃料流体導入口の数および
導入量を容易に変更でき、燃焼ガス充填室2における燃
焼負荷率(単位体積当りの発生熱量)の制御も容易とな
る利点を有する。
第1図のベンチユリ部3の最狭部の空間内には、外壁を
貫通して原料油噴霧装置入口13,13′が設けられてお
り、これら導入口内に原料油噴霧装置(図示せず)が設
置され、前記最狭部空間内に原料油が噴霧される。
この導入口は13,13′のように対称的にするのが望まし
く、少なくとも2個設置されなければならない。この数
はベンチユリ部3の最狭部の直径により異なるが、3個
の導入口を対称的に配置するのも好適であり、多くても
6個で充分にその目的を達成することができる。
燃焼ガス充填室2内で発生された高温の燃焼ガス流は、
より断面積の小さいベンチユリ部3に導入されて軸方向
速度の加速化がなされ、最狭部においてこの速度は最高
となるが、図のように導入口13,13′の開口が最狭部に
設けられているので原料油の噴霧流の軸方向成分が高温
ガス流との流動方向のそれと交差して噴霧導入されるこ
とになり、この結果としてハード系カーボンブラツクの
製造に適する両者の混合接触作用の促進がなされる。こ
の混合接触作用を促進し、上昇させるためには燃焼ガス
充填室2内で発生された高温ガス流をベンチユリ部3で
高い軸方向速度とする必要があり、ベンチユリ部3の最
狭部直径を燃焼ガス充填室2の直径の0.2〜0.4倍とする
のが望ましい。また、同様に燃焼ガスと原料油噴霧流と
の混合接触作用を高めるために導入口13,13′の中心軸
はベンチユリ部3の中心軸に対して、90度±20度の範囲
の角度以内に入るよう設置されなければならなく、図に
向つて左側、すなわち、90+20度を上回つて傾けると原
料油噴霧流の下流側速度が大きくなつて熱燃焼ガス流の
方向と一致する部分が増大して速度差が小さくなり、こ
のために熱燃焼ガスとの接触作用が十分ではなくなつて
しまう。この為カーボンブラツクのよう素吸着量等の品
位制御が困難となるので不適当である。また、図に向つ
て右側、すなわち、90−20度を下回つて傾けると原料油
噴霧流の上流側への速度モーメントが大きくなりすぎ、
過度の撹乱状態が生じるためにカーボンブラツク生成反
応に局部的不均一を招き、カーボンブラツク物性の制御
を困難とし、殊にアグリゲートサイズ分布の極端な増大
傾向が発生し、制御が困難となる。更に炉壁に局部的な
コークス生成をもたらすので不適当である。
第4図は、本発明におけるベンチユリ部3の一例の最狭
部31のみの拡大縦断正面図であり、円筒形状の耐火物層
を鉄皮32で保持し、フランジ部33および34が固着してあ
る。このフランジ部を装置本体の鉄皮に固着されている
フランジ部35および36とボルト、ナツトで固定すること
により、最狭部31が構成され、着脱自在に設置されてい
る。原料油噴霧装置導入口13,13′は、90−10度で傾け
てあるが90±20度の範囲内で所望の角度に設ける。本発
明装置では、この角度を変化した複数個の最狭部31をあ
らかじめ用意し、製造すべきカーボンブラツクの品質に
合わせるべく、適宜に導入口角度の異なる最狭部31を上
述の如く設置するのが望ましい。また、導入口13,13′
にはそれぞれの角度に合わせて鉄皮32に固着されている
円筒形突出部があり、その先端にフランジ37および37′
が設けてある。冷却用ジヤケツトを外周に装着した原料
油噴霧装置は、これらの突出部から挿入され、先端のノ
ズルチツプが最狭部空間に達したところで、当該ジヤケ
ツトの外側壁に固着されているフランジ部と適宜のシー
ル材を介して固定する。これにより、最狭部から導入口
13,13′を経て燃焼ガスの逆噴出することが防止され
る。
ベンチユリ部3内の最狭部に導入された原料油噴霧流
は、燃焼ガス充填室2内で生成され、ベンチユリ部3で
加速された高温熱ガス流と効率よく接触され、前記ベン
チユリ部3の最狭部よりも直径の大きい反応室4内に導
かれ、この室内中で実質的なカーボンブラツク生成反応
は完了する。
カーボンブラツク生成反応室4の前半部分には、酸素含
有ガスおよび/または燃料流体を導入するための少なく
とも2個以上の導入管が設けられている。
第1図および第5図で示される如く、この導入管は反応
室4の前半部分、望ましくは導入口の中心位置がベンチ
ユリ出口端から反応室4の直径の1.5倍以内に、14,1
4′,14″および14のように反応室4の上下端を通る平
行かつ接線方向に設置されている。これら導入管への酸
素含有ガスおよび/または燃料流体の導入量の制御およ
び旋回方向の変更(14−14″導入口の使用と14′−14
導入口の使用)、さらには14〜14導入口の下流側に設
けられた同様構造の15〜15導入口の使用により、よう
素吸着量やジブチルフタレート吸収量という品質特性を
ほぼ同レベルに維持しながらカーボンブラツクアグリゲ
ートサイズ分布を制御する手段の1つとして利用でき
る。
これに加えて、第1図に示したような反応継続兼急速冷
却室5での冷却水圧入噴霧器a〜gの設置は、反応室領
域の拡大および縮小を自由自在とし、品種別の反応室領
域を自在に設定できるので例えばISAF級からHAF級カー
ボンブラツクへの切換え生産など極めて容易に操作でき
るばかりではなく、冷却操作条件を単位時間当りの冷却
水圧入導入量の調節と共に導入位置を適宜に調節するこ
とにより、製造装置反応帯域および冷却帯域の熱懸濁ガ
ス流の流動(速度)状態、圧力状態を冷却速度と共に変
動できるので、カーボンブラツクアグリゲートサイズ分
布を変化させる他の制御手段とすることができる。
以下に実施例を示し、本発明をさらに詳しく説明する。
実施例1 第1図および第2図に示したと同様構造の製造装置を用
いてISAF級およびHAF級カーボンブラツクを製造した。
この製造装置の各構成部の寸法は下記のとおりとした。
燃焼ガス充填室(2) 内径 460mmφ 長さ 230mm 酸素含有ガス導入口(9,9′) 内径 80mmφ 中心位置 燃焼ガス充填室(2)の前端部より50mm 燃料流体導入口(10〜12′) 内径 20mmφ 6個 設備位置 燃焼ガス充填室(2)の円周上で対称的に放
射状に設備 ベンチユリ部(3) 入口長さ 100mm (円錐角:126度) 最狭部直径 140mmφ 最狭部長さ 150mm 出口長さ 150mm (円錐角:23度) 反応室(4) 直径 200mmφ a迄の長さ 300mm ガス導入口(14〜14および15〜15,) 直径 35mmφ 中心位置 ベンチユリ部出口端より50mmおよび150mm下
流側 また、反応継続兼急速冷却室5内でのa〜gの記号を付
した挿入口には冷却水圧入噴霧器 〔詳細構造は、実開昭58−140147号公報(出願人:旭カ
ーボン株式会社)に開示されている〕をそれぞれ取付け
た。
原料油としては第1表に示したとおりの性状および組成
を有するものを使用した。
また、燃料流体としては天然ガスを用いた。カーボンブ
ラツク製造装置は第2表に示したとおりに運転した。
実施例2 4個の原料噴霧装置(総供給量200l/hr)をベンチユリ
部の最狭部に導入角度90度で対称的に設置した以外は実
施例1で示したと同じ寸法の製造装置を用い、第2表の
RunNo.2の製造条件でISAF級カーボンブラツクを製造し
た。また原料油は第1表に示した組成のものを使用し
た。
得られたカーボンブラツクの物理化学特性はIA 117.1mg
/g,DBP 116.3ml/100g,比着色力121,Dst 102,s 0.141と
なり、アグリゲート分布が狭く、比着色力が上昇する傾
向がみられた。
実施例3 反応室4の直径を400mmφとした以外は実施例1と同一
寸法の製造装置を用いてFEF級カーボンブラツクを製造
した。また原料油は第1表に示した組成のものを使用し
た。このときの製造条件は第3表に示したとおりであつ
た。
第 3 表 原料油供給量 340l/hr (170l×2) 原料油噴霧圧力 35kg/cm2 原料油予熱温度 250℃ 原料油導入角度 90度 燃焼室導入空気量 740kg/hr 燃焼室導入NG量 42kg/hr 反応室導入総空気量 280kg/hr 導入口No.1(正接) 190kg/hr 導入口No.2(正接) 90kg/hr 反応室導入総NG量 3kg/hr 導入口No.1(正接) 3kg/hr この条件で製造したFEF級カーボンブラツクの物理化学
特性はIA 43.2mg/g,DBP 116.2ml/100g,比着色力70,Dst
196,s 0.131,であつた。
本発明によるカーボンブラツクの各特性は、次のように
して測定される。
DBP吸収量(DBPA):JIS K 6221−1982 A法による。
沃素吸収量(IA):JIS K 6221−1982による。
比着色力:JIS K 6221−1982 A法による。
沈降分析によるカーボンブラツク凝集体サイズ(C.B.ag
gregate size)分析法 使用機器 Disk Centrifuge(Photo sedimentometer)(DCF)
(英)Joyce Loebl社製 測定法 若干の界面活性剤を加えた30%メタノール水溶液中に、
0.05〜0.1%のカーボンブラツクを加え、超音波処理を
施して完全に分散せしめる。15v/v%グリセリン水溶液
の沈降液(スピン液)15〜20mlを注加した回転デイスク
(disk)の回転数を8000rpmとし、上記分散液0.02〜0.0
3mlを注加する。
分散液の注加と同時に記録計を動作せしめ、回転デイス
クの外周近傍の一定点を沈降によつて通過するC.B.aggr
egateの量を光学的に測定して、其の量を時間に対する
ヒストグラムとして記録する。
沈降時間を、下記の式(Stokesの式の一般型)により、
Stokes相当径に換算し、C.B.aggregateのStokes相当径
とその頻度のヒストグラムを得る。
式(1)において、dは沈降開始後の時間tで回転デイ
スクの光学的測定点を通過するC.B.aggregateのStokes
相当径である。
定数Kは、測定時のスピン液の量、粘度及びカーボンブ
ラツクとの密度差(カーボンブラツクの真密度を1.86g/
mlとする)、更に回転デイスクの回転数によつて決定せ
られる定数である。例えば、スピン液として15v/v%グ
リセリン水溶液17.5mlを用い、測定温度20℃でデイスク
回転数8000rpmとした場合のK値は368.9となり、dはn
m,tは分で表示される。
Dst及びsの定義 上記測定操作によつて得られるaggregateのStokes相当
径ヒストグラムにおいて、最多頻度(実際には、光学的
測定を行なつているので最大吸光度である)を与えるSt
okes相当径をDst(Mode)と称し、C.B.aggregateの平均
的大きさの目安とする。
また、当該ヒストグラムにおいて、Dstの示す頻度(吸
光度)の二分の一の頻度(吸光度)を示し、かつDstよ
りも大なるストークス相当径を▲DL 50▼としたとき、
アグリゲートサイズ分布指数aは、 s=0.84932×log(▲DL 50▼/Dst) で定義される。これは、比較的大きなアグリゲートサイ
ズの分布広さの目安となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一例の装置の縦断正面説明図であり、
第2図は第1図のA−A矢視における断面説明図であ
る。 第3図は第1図のA−A矢視における他の態様の断面説
明図であり、第4図は本発明におけるベンチユリ部の最
狭部の一例を拡大して示した縦断正面説明図である。第
5図は第1図のB−B矢視における断面説明図である。 1……カーボンブラツク製造装置、2……燃焼ガス充填
室 3……ベンチユリ部、4……反応室 5……反応継続兼急速冷却室、6……煙道 7……開口、8……覗き窓 9,9′……ガス導入口 10,10′,11,11′,12,12′……燃料流体導入口 13,13′……導入口、14〜14,15〜15……導入口 21,21′……燃料燃焼装置、31……最狭部 a〜g……冷却水圧入噴霧器挿入口

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】横置された円筒形状の燃焼ガス充填室と、
    前記充填室と共軸的に連結され且つ前記充填室よりも直
    径の小さい円筒形状のカーボンブラツク生成反応室と、
    前記反応室末端部に共軸的に連結された反応継続兼急速
    冷却室と、前記急速冷却室後端部に連結された煙道とか
    らなる、全体が耐火物で内張りされたカーボンブラツク
    製造装置において、 (イ)前記燃焼ガス充填室前半部分の接線方向位置に中
    心軸を有する少なくとも1個のガス導入口を設け、 (ロ)前記燃焼ガス充填室前半部分において、前記ガス
    導入口とは独立した少なくとも2個の燃料流体導入口を
    設置し、 (ハ)前記燃焼ガス充填室と反応室との間に、ベンチユ
    リ部を設け、外側壁に防熱冷却用ジヤケツトを装着した
    少なくとも2個の原料油噴霧装置を、前記ベンチユリ部
    の最狭部側壁に貫通する原料油噴霧装置導入口内に、前
    記原料油噴霧装置の中心軸が前記ベンチユリ部最狭部の
    中心軸に対して90度±20度の範囲内に位置するように固
    定し、 (ニ)前記カーボンブラツク生成反応室前半部分に、少
    なくとも2個の酸素含有ガスおよび/または燃料流体導
    入口を設け、 (ホ)冷却水圧入噴霧器を前記反応継続兼急速冷却室壁
    において、当該噴霧器の水噴霧部を前記室内に対し挿入
    −引抜き自在に複数個設置したハード系カーボンブラツ
    ク製造装置。
  2. 【請求項2】前記燃焼ガス充填室前半部分のガス導入口
    に、酸素含有ガス導入管を連結した特許請求の範囲第1
    項記載の装置。
  3. 【請求項3】前記燃焼ガス充填室前半部分のガス導入口
    に、ほぼ円筒形状の燃焼ガス発生室を設置し、前記燃焼
    ガス発生室の中心軸位置に燃料燃焼装置を挿入保持せし
    めた特許請求の範囲第1項記載の装置。
  4. 【請求項4】前記燃焼ガス充填室前半部分の燃料流体導
    入口が充填室の円周上で放射状に設置された特許請求の
    範囲第1項ないし第3項記載の装置。
  5. 【請求項5】前記カーボンブラツク生成反応室前半部分
    の導入口の中心位置がベンチユリ出口から前記反応室直
    径の1.5倍以内にある特許請求の範囲第1項ないし第4
    項記載の装置。
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