JPH07286490A - 放電式弾性波検層装置 - Google Patents

放電式弾性波検層装置

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JPH07286490A
JPH07286490A JP7892694A JP7892694A JPH07286490A JP H07286490 A JPH07286490 A JP H07286490A JP 7892694 A JP7892694 A JP 7892694A JP 7892694 A JP7892694 A JP 7892694A JP H07286490 A JPH07286490 A JP H07286490A
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JP
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vibration receiving
discharge
wave
receiving device
boring hole
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Application number
JP7892694A
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English (en)
Inventor
Yasuhiro Takahashi
康裕 高橋
Shiyouzou Nabeoka
昭三 鍋岡
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DAITO SEKKEI CONSULTANT KK
Tokyo Electric Power Company Holdings Inc
Original Assignee
DAITO SEKKEI CONSULTANT KK
Tokyo Electric Power Co Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】小型・コンパクト化して軽量化を図るととも
に、小型・コンパクト化しても発振エネルギを大きくと
ることができ、弾性波の速度解析や波形解析を行って精
度の高い地盤探査を行なうことができる放電式弾性波検
層装置を提供することにある。 【構成】放電式弾性波検層装置15は、液体で満たされ
たボーリング孔17内に挿入され、弾性波動を発振させ
る発振装置22と、この発振装置22に所定の間隔をお
いてケーブル連結され、伝播される弾性波動を受振する
受振装置23と、発振装置22および受振装置23をボ
ーリング孔17内で昇降させる昇降装置24と、受振装
置23で受振した波動信号を記録する記録装置20と、
発振装置22,受振装置23および記録装置20の作動
を制御する制御装置19とを有し、発振装置22は放電
極37に放電電圧を印加する放電回路31を本体ケース
29に内蔵したものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は地盤の構造や物性を弾性
波を利用して物理探査する物理検層装置に係り、特に、
地盤の構造,物性を弾性波検層により測定可能な放電式
弾性波検層装置に関する。
【0002】
【従来の技術】地盤内の土質や地質状態,構造,亀裂の
有無を調査する物理探査には、地震探査,電気弾性波探
査,磁気探査や放射能探査等が存在し、これらの物理探
査をボーリング調査等と組み合せて用いれば調査域の地
盤の土質や地質状態をより正確に把握することができ、
極めて有効である。地盤の構造や物性を物理的に探査す
る方法に、ボーリング孔を利用する弾性波探査がある。
【0003】この弾性波探査には、図40に示すよう
に、アップホール(Up Hole )法,ダウンホール(Down
Hole )法,サスペンション(Suspension)法およびク
ロスホール(Cross Hole)法等の種々の方法がある。
【0004】アップホール法は、図40(A)に示すよ
うに、地中に掘削された調査用ボーリング孔1内に爆発
源や発振源である発振器2を挿入し、この発振器2から
の出力を地表に設置した受振器3で測定する地盤探査技
術である。ダウンホール法は図40(B)に示すよう
に、地表に発振器2を設置し、調査用ボーリング孔1内
に受振器3を設置した点でアップホール法と発振・受振
方式が異なる。
【0005】このアップホール法およびダウンホール法
を採用した地盤探査装置は、構造が簡単で平均的な弾性
波の速度解析が可能であるが、地表の風化や土壌の影響
を受け、地表層部分で弛み領域の影響を受けて発振波形
そのものが崩れ、変形してしまったり、また、走行経路
の湾曲に基づく誤差、いわゆるミラージュ現象が生じ、
地盤の構造や物性を正確に把握できない難点がある。
【0006】この地盤の構造や物性の情報を正確に把握
する地盤探査装置にサスペンション法およびクロスホー
ル法を採用したものがある。サスペンション法およびク
ロスホール法を採用した地盤探査装置には図40
(C),(D)に示すように発振器2や受振器3を調査
用ボーリング孔1内に挿入して岩盤4内に位置させ、健
全な岩盤4内で孔内発振や孔内受振ができるようにした
ものである。
【0007】これらの地盤検層装置は、健全な岩盤4内
で発振器2から孔内に発振させ、受振器3で孔内受振さ
せたので、地表の風化や土壌の影響を受けることなく、
地盤の地質情報を正確に把握できる利便がある。ただ、
クロスホール法は2本の調査用ボーリング孔11内で物
理探査試験が行なわれるため、物理探査試験に2系統の
ボーリング孔が必要となり、手間隙がかかる点から、サ
スペンション方式の地盤検層装置が用いられている。
【0008】従来のサスペンション型検層装置は、発振
器にセラミックを使用した電歪型加振器やソレノイドを
使用した線輪型加振器を用い、発振器から指向性を持た
せた加振を行なっている。この検層装置は小型・軽量で
コンパクトであり、測定が容易であるため、狭隘な地形
にも適用し得、軟岩における弾性波の速度解析に適して
いる。
【0009】しかしながら、サスペンション型検層装置
は、発振エネルギが小さく、S/N比も大きくとれない
ために、多彩な岩盤の検層には適していない。事実人工
地盤(コンクリート)における最近の研究ではP波(縦
波)およびS波(横波)の速度解析がかなり困難である
ことが明らかになっている。
【0010】また、石油関連分野においては、地上にて
物理探査を行ない、石油を埋蔵する頁岩の存在を確認し
た後、地盤内の土質や地質状態や構造をより精査するた
めに、ボーリング孔を穿設してこのボーリング孔内に弾
性波を利用した音波検層装置を挿入し、地盤内部の音波
検層を行なうようになっている。
【0011】代表的な音波検層装置としてシュランベル
ジャタイプのものがある。シュランベルジャの音波検層
装置には初期の放電式音波検層装置と、現在一般的に使
用されている磁歪式音波検層装置とがある。
【0012】放電式音波検層装置は、ボーリング孔内に
発振器と受振器を備えた円筒状のゾンデを挿入し、発振
装置に高電圧を印加して放電させるようになっている。
【0013】しかしながら、この放電式検層装置は、地
上に設置した放電回路から高圧の放電電圧がケーブルを
介して発振器に印加されるために、ケーブルは高電圧に
対する絶縁が必要であったり、また、放電回路から発振
器に至る長い区間で高電圧に晒されるため、安全性の配
慮が不可欠であったり、さらには、ケーブルのインピー
ダンスが大きいため、高圧の放電エネルギが高圧ケーブ
ルの抵抗により低下し、放電効率の低下を招くという問
題があった。
【0014】さらにまた、発振器を吊設するケーブルに
高圧の放電電流が流れるため、放電電流による電磁誘導
や静電誘導の影響を受け、受振器からの受振信号に悪影
響を与え、精度の高い地盤検層を行なうことができなか
った。
【0015】この点から、放電式音波検層装置に代わる
検層構造として磁歪型のものが開発され、この磁歪型音
波検層装置が普及されて一般的に使用されている。
【0016】この磁歪型音波検層装置は、図41に示す
ように、円筒状のゾンデ5内に磁歪型の発振器6と受振
器7とを一体的に組み込み、磁歪型発振器6と受振器7
とを備えたゾンデ5を水で満たされた石油調査用ボーリ
ング孔8内に降ろし、発振器6から超音波を発振させる
ようにしたものである。
【0017】発振された超音波は密度が異なるボーリン
グ孔壁面で一部が反射し、残りは地盤9の地層内に弾性
波となって進入する。この弾性波は地層内のあらゆる方
向に向って伝播する一方、そのうちの一部はボーリング
孔壁に沿って進んで屈折し、水中音波となって受振器7
に入り、この受振器7で検出される。受振器7で受信さ
れた音波(弾性波)信号は電子回路10でインピーダン
ス変換されて地上装置に伝達され、図示しない記録装置
にデジタル記録されるようになっている。
【0018】地上側の記録装置に記録されたデジタル記
録からコンピュータを用いて弾性波(縦波のP波,横波
のS波,ストンリー波)の速度解析や波形解析(減衰率
解析,あるいはSynthetic 解析)を行なって地盤内部を
精査している。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の音波検
層装置は大型で車両に積載して運搬しており、この車両
を穿設されたボーリング孔に横付けしてセットし、音波
検層が行なわれるため、山岳地帯の狭隘な場所には適用
困難な場合があったり、また、発振器から発振されるエ
ネルギが磁歪型(あるいは電歪型)発振器のため、1ジ
ュール以下と小さく、充分なS/N比を確保できるとは
限らないため、多彩な岩盤の音波検層に対応できなかっ
た。
【0020】また、音波検層装置の円筒状ゾンデは10
cmφ程度の直径を有し、石油関連分野の25cmφ〜30
cmφ程度のボーリング孔内への挿入はスムーズに行なわ
れ、格別な支障はないが、小型・コンパクト化に限界が
あり、土木や建設分野で必要とされる100mmφ以下の
小孔径のホーリング孔に挿入することが困難であった
り、また、小孔径の土木・建設用ボーリング孔に挿入し
ても、ボーリング孔とゾンデとの間に充分な間隙を確保
できないため、S波の解析が困難で、土木・建設分野の
音波検層装置に適用することが困難であった。
【0021】本発明は、上述した事情を考慮してなされ
たもので、小型・コンパクト化して軽量化を図るととも
に、小型・コンパクト化しても発振エネルギを大きくと
ることができ、弾性波の速度解析や波形解析を行って、
精度の高い地盤探査を行なうことができる放電式弾性波
検層装置を提供することを目的とする。
【0022】本発明の他の目的は、小型・コンパクト化
して土木・建設分野の適用を可能とし、山岳地帯や狭隘
な場所の弾性波(音波)検層が可能な機動性を有する放
電式弾性波検層装置を提供するにある。
【0023】本発明のさらに他の目的は、発振エネルギ
を増大させるとともにS/N比を向上させ、多彩の岩盤
の弾性波(音波)検層を効果的に行なうことができる放
電式弾性波検層装置を提供するにある。
【0024】本発明の別の目的は、土木・建設用ボーリ
ング孔に挿入可能で弾性波の速度や減衰率等の波形解析
が可能な放電式弾性波検層装置を提供するにある。
【0025】また、本発明の他の目的は、ノイズ軽減対
策を施してS/N比を向上させ、弾性波(音波)検層精
度を向上させて信頼性を高めた放電式弾性波検層装置を
提供するにある。
【0026】本発明のさらに他の目的は、ボーリング孔
に挿入される発振装置に高圧放電回路を組み込んで安全
対策を施し、安全かつ迅速な測定が可能な放電式弾性波
検層装置を提供するにある。
【0027】本発明の別の目的は、発振装置と受振装置
とをケーブル結合して土木・建設用の小孔径ボーリング
孔に挿入可能とし、弾性波のうちS波の解析や波形解析
をも可能な放電式弾性波検層装置を提供するにある。
【0028】本発明のさらに別の目的は、発振装置と受
振装置とを着脱自在にケーブル結合して受振装置を交換
可能とし、受振装置の感度推定や減衰率の推定を行ない
得る放電式弾性波検層装置を提供するにある。
【0029】本発明のさらに他の目的は、土木・建設用
ボーリング孔に沿う複数箇所の地盤を同時に音波検層し
て、地盤探査効率を向上させた放電式弾性波検層装置を
提供するにある。
【0030】
【課題を解決するための手段】本発明に係る放電式弾性
波検層装置は、上述した課題を解決するために、請求項
1に記載したように、液体で満たされたボーリング孔内
に挿入され、弾性波動を発振させる発振装置と、この発
振装置に所定の間隔をおいてケーブル連結され、伝播さ
れる弾性波動を受振する受振装置と、前記発振装置およ
び受振装置をボーリング孔内で昇降させる昇降装置と、
前記受振装置で受振した波動信号を記録する記録装置
と、前記発振装置,受振装置および記録装置の作動を制
御する制御装置とを有し、前記発振装置は放電極に放電
電圧を印加する放電回路を本体ケースに内蔵したもので
ある。
【0031】また、上述した課題を解決するために、本
発明に係る放電式弾性波検層装置は、請求項2に記載し
たように、発振装置は円筒状の耐圧本体ケースを有し、
この本体ケース内に交流電圧を昇圧させ、整流化して充
電する充電回路と、この充電回路で充電された高電圧を
印加して放電させ、弾性波動を発振させる放電回路とを
収容したものである。
【0032】さらに、上述した課題を解決するために、
本発明に係る放電式弾性波検層装置は、請求項3に記載
したように、受振装置の本体ケース内に収容される充電
回路は、電源電圧を昇圧させる変圧器と、こ変圧器から
の出力を整流させるとともにさらに昇圧させる整流器と
を有するとともに、放電回路は前記整流器で昇圧された
高電圧をチャージするコンデンサユニットと、コンデン
サユニットにチャージされた放電電圧を遠隔指令により
作動制御する開閉器と、放電電圧の印加により弾性波動
を発振させる放電極とを有するものである。
【0033】さらにまた、上述した課題を解決するため
に、本発明に係る放電式弾性波検層装置は、請求項4に
記載したように、コンデンサユニットは複数のコンデン
サを並列に接続してユニット化し、放電可能なコンデン
サ容量を有し、放電可能な電圧をチャージ可能に設定し
たものである。
【0034】一方、上述した課題を解決するために、本
発明に係る放電式弾性波検層装置は、請求項5に記載し
たように、受振装置は、放電極からの放電と同期して記
録装置および制御装置作動用トリガパルスを生成させる
トリガ発生器と、本体ケース内を挿通させる受振装置出
力線を放電時の電磁誘導から保護する磁気シールド装置
とを備えたものである。
【0035】他方、上述した課題を解決するために、本
発明に係る放電式弾性波検層装置は、請求項6に記載し
たように、磁気シールド装置はFe−Ni合金製のシー
ルド管を複数本備え、各シールド管内に受振装置出力線
を挿通させたものである。
【0036】また、上述した課題を解決するために、本
発明に係る放電式弾性波検層装置は、請求項7に記載し
たように、受振装置は所要長さのコネクタケーブルを介
して発振装置に着脱自在に連結される一方、円筒状の耐
圧本体ケースを有し、この本体ケース内に伝播される弾
性波動に感振して電気信号を出力する受振器と、この受
振器からの電気信号を処理する差動入力・差動出力の増
幅器とを収容したものである。
【0037】さらに、上述した課題を解決するために、
本発明に係る放電式弾性波検層装置は、請求項8に記載
したように、受振装置の増幅器で処理された波動検出信
号は受振装置出力線により昇降装置に付設のスリップリ
ングを通して地上設置の記録装置に伝送される一方、ス
リップリングは磁気シールド装置が備えられたものであ
る。
【0038】さらにまた、上述した課題を解決するため
に、本発明に係る放電式弾性波検層装置は、請求項9に
記載したように、受振装置は発振装置と直列状にケーブ
ル結合されて100mmφ以下の土木・建設用ボーリング
孔に挿入される一方、受振装置は発振装置の下方または
上方に配置されたものである。
【0039】さらに、上述した課題を解決するために、
本発明に係る放電式弾性波検層装置は、請求項10に記
載したように、受振装置は複数台が接続ケーブルにより
直列状に着脱自在にケーブル結合されて受振装置群が構
成され、上記受振装置群は隣り合う受振装置間の間隔お
よび発振装置と隣り合う受振装置の間隔が互いに等しく
なるように調節設定されたものである。
【0040】一方、上述した課題を解決するために、本
発明に係る放電式弾性波検層装置は、請求項11に記載
したように、液体で満たされたボーリング孔内に挿入さ
れた弾性波動を発振させる発振装置と、この発振装置か
ら発振され、伝播される弾性波動を受振する受振装置
と、この受振装置で受振した波動信号を記録する記録装
置と、前記発振装置,受振装置および記録装置の作動を
制御する制御装置とを有し、前記発振装置は放電極に放
電電圧を印加する放電回路を本体ケースに内蔵させると
ともに、受振装置は、発振装置を収容したボーリング孔
と異なるボーリング孔に挿入されたものである。
【0041】また、上述した課題を解決するために、本
発明に係る放電式弾性波検層装置は、請求項12に記載
したように、発振装置は接続ケーブルにより複数台が直
列状に接続されて受振装置群を構成し、上記受振装置群
が発振装置を収容したボーリング孔と異なるボーリング
孔に挿入されたものである。
【0042】さらに、上述した課題を解決するために、
本発明に係る放電式弾性波検層装置は、請求項13に記
載したように、発振装置および受振装置を収容するボー
リング孔は土木・建設用ボーリング孔であるものであ
る。
【0043】
【作用】請求項1に記載の放電式弾性波検層装置におい
ては、液体で満たされたボーリング孔内に発振装置と受
振装置とをそれぞれ収容し、発振装置は、放電極に放電
電圧を印加する放電回路を本体ケースに内蔵させたの
で、磁歪型音波検層装置と異なり、発振エネルギを大き
くとることができ、精度の高い地盤探査を行なうことが
できるとともに、弾性波検層装置の小型・コンパクト
化,軽量化を図ることができる。
【0044】また、放電電圧を放電極に印加する高圧の
放電回路をボーリング孔に挿入される発振装置に収容さ
せたので、高圧部が地上に露出することがなく、放電は
ケーブルのインピーダンスの影響を受けず、放電効率を
高め、効率よく放電させることができる一方、取扱いが
極めて安全であり、安全性を向上させることができる。
【0045】この放電式弾性波検層装置は、小型・コン
パクト化でき、軽量化できるので、土木・建設分野のボ
ーリング孔への適用が可能となり、山岳地帯の狭隘な場
所での音波検層が可能となり、弾性波を利用した音波検
層に機動性を持たせることができる。
【0046】請求項2に記載の放電式弾性波検層装置に
おいては、発振装置は円筒状の耐圧本体ケース内に充電
回路と放電回路を収容したので、充電回路の高圧部が地
上に位置されず、取扱いが容易で安全性を向上させるこ
とができ、高圧の充電回路と放電回路を収容した発振装
置は放電式であるので、弾性波動を発振させる発振エネ
ルギを大きくとることができる。
【0047】また、この放電式弾性波検層装置は、発振
装置の本体ケース内に充電回路や放電回路を収容したの
で、放電コンデンサを地上に設置してケーブルに高電圧
を作用させる必要がなく、ケーブルは高電圧に対する絶
縁が不要となる。
【0048】また、請求項3に記載の放電式弾性波検層
装置においては、電源電圧をメインステップアップする
第1段の変圧器と、この変圧器で昇圧された電圧を整流
化して第2段のステップアップさせる整流器を備えた充
電回路を備えたから、変圧器の小型・コンパクト化が図
れる。
【0049】また、放電回路は放電電圧をチャージして
放電するコンデンサユニットを本体ケース内に収容した
ので、高圧部が本体ケース内にコンパクトに収容され、
安全性を高めることができる。
【0050】請求項4に記載の放電式弾性波検層装置
は、放電回路のコンデンサユニットは、複数のコンデン
サを並列に接続してユニット化したので、各コンデンサ
は小さなものでよく、小さなコンデンサを並列に接続す
ることにより、コンデンサユニットを小型でコンパクト
化することができ、このコンデンサユニットを用いて充
分な放電電圧をチャージすることができる。
【0051】請求項5に記載の放電式弾性波検層装置に
おいては、発振装置の本体ケースに磁気シールド装置を
設け、この磁気シールド装置により、受振装置出力線を
放電時の電磁誘導や静電誘導から保護したので、発振装
置内で高電圧が印加されたり、大きな発振エネルギで放
電されても、受振装置出力線は悪影響を受けることな
く、S/N比を向上させることができる。
【0052】請求項6に記載の放電式弾性波検層装置に
おいては、磁気シールド装置は、透磁性に優れたFe−
Ni合金製のシールド管で構成し、シールド管内に受振
装置出力線を挿通させたから、発振装置内で高電圧印加
されたり、大きな発振エネルギで放電されても、電磁誘
導や静電誘導がシールド管でシールドされ、受振装置出
力線は悪影響を与えるのを有効的に防止できる。
【0053】請求項7に記載の放電式弾性波検層装置に
おいては、受振装置は発振装置に接続ケーブルを介して
着脱自在に連結されたから、受振装置の変換が容易とな
り、受振装置の相対的な感度特性を容易に把握すること
ができる。
【0054】また、受振装置を発振装置にケーブル接合
させることにより、ケーブル区間では土木・建設用の調
査ボーリング孔のように小孔径のボーリング孔であって
も、ボーリング孔とケーブル表面との間の間隙を充分に
確保することができ、発振装置で発振される弾性波動が
伝播されて受振装置で受振するとき、この受振装置の受
振器でP波,S波およびストンリー波のフルウェイブ
(Full Wave )に感振し、中でも土木・建設分野に必要
なS波の解析を有効的に行なうことができる。
【0055】さらに、受振装置は、受振器の高いインピ
ーダンスを差動入力,差動出力の増幅器で低減させ、同
相ノイズを互いに打ち消すようにしたので、低レベルの
弾性波の波動から高レベルの弾性波の波動に至る広範な
波動を大きなS/N比をもって検出することができる。
【0056】請求項8に記載の放電式弾性波検層装置に
おいては、受振装置の増幅器で処理された、広範な弾性
波の波動を受振装置出力線(信号ケーブル)により大き
なS/N比を持って地上設置の記録装置に伝送し、記録
させることができる。その際、スリップリングや発振装
置には磁気シールド装置が設けられているので、波動検
出信号のS/N比の低下を極力抑えることができる。
【0057】請求項9に記載の放電式弾性波検層装置に
おいては、受振装置と発振装置は直列状にケーブル接合
させて100mmφ以下の土木・建設用ボーリング孔に挿
入させ、受振装置は発振装置の下方または上方に配置さ
れるので、土木・建設分野で測定対象の地盤の境界条件
に適した音波検層が可能となり、100mmφ以下のボー
リング孔であっても、フルウェイブの弾性波の解析を行
なうことができる。
【0058】請求項10に記載の放電式弾性波検層装置
においては、受振装置は複数台が接続ケーブルにより直
列状に着脱自在にケーブル結合されて受振装置群が構成
されるので、各受振装置の配置を任意に選択することに
より、地盤の測定条件に適した測定が可能であるととも
に、各受振装置の感度特性を比較的容易に把握すること
ができる。
【0059】さらに、受振装置は複数台備えられ、各受
振装置は着脱自在に直列状に連結されたので、ボーリン
グ孔に沿う複数箇所の地盤を同時に探査でき、地盤探査
効率を向上させ、能率よく探査できる。
【0060】請求項11に記載の放電式弾性波検層装置
においては、発振装置と受振装置を異なるボーリング孔
に挿入することにより、比較的狭い範囲のボーリング孔
間の音波検層を精度よく行なうことができ、この音波検
層を画像処理技術と組み合せると測定対象となる地盤の
トモグラフィを実現することができる。
【0061】請求項12に記載の放電式弾性波検層装置
においても、比較的狭い範囲のボーリング孔間の音波検
層を効率的に精度よく行なうことができる。
【0062】請求項13に記載の放電式弾性波検層装置
では、発振装置および受振装置は土木・建設用ボーリン
グ孔に挿入でき、小型・コンパクト化が図れる一方、土
木・建設用ボーリング孔でも音波検層を行なうことがで
きる。
【0063】
【実施例】以下、本発明に係る放電式弾性波検層装置の
一実施例について添付図面を参照して説明する。
【0064】図1は本発明に係る放電式弾性波検層装置
を例示する概略図である。この弾性波検層装置15は地
盤16に掘削されたボーリング孔17を利用して地盤の
構造や物性を物理探査するものであり、地上側に電源1
8に接続される制御装置19が設置され、この制御装置
19はオシロスコープ等の表示装置を内蔵した記録装置
20と本体ケーシング21内に一体的に収容される。制
御装置19と記録装置20は個別に設置してもよい。
【0065】一方、ボーリング孔17は土木・建設用調
査ボーリング孔で孔径が100mmφ以下、好ましくは6
0mmφ〜90mmφの孔径を有する。ボーリング孔17は
水で満たされる一方、上記ボーリング孔17内に水中放
電式の発振装置22と受振装置23がウィンチ等の昇降
装置24によりケーブル25を介して昇降自在に吊設さ
れる。ケーブル25は電源ケーブルと複数本の制御ケー
ブル,信号ケーブル等とを組み合せて構成される。ケー
ブル25は昇降装置24に設けられたスリップリング2
6を介して制御装置19および記録装置20に電気的に
接続される。
【0066】発振装置22はケーブル25の下端に着脱
自在に連結される一方、この発振装置22にコネクタケ
ーブル27を介して複数の受振装置23が直列状に所定
間隔をおいて接続される。各受振装置23間の間隔dや
発振装置22と隣り合う受振装置23の間隔dは、所定
の間隔、例えば1mとなるように予め調節設定される。
【0067】発振装置22は、図2に示すようにゾンデ
として例えばステンレス鋼製の円筒状耐圧本体ケース2
9を有し、この本体ケース29内に電源電圧を高圧にす
る充電回路30と、充電回路30にチャージされた高電
圧を放電する放電回路31とが収容される。この発振装
置22は本体ケース29の外径および長さが例えば63
mmφ,1750mmで約13kgの重量を有し、最大例えば
約180ジュールの発振エネルギを有するように設計さ
れる。
【0068】発振装置22内に収容される充電回路30
は電源電圧である例えば100Vの交流電圧を例えば5
00V程度まで初段で昇圧するメインステップアップト
ランスとしての変圧器33と、この変圧器33で昇圧さ
れた交流電圧を整流して直流化するとともにさらに昇圧
させる整流器34とを有し、この整流器34でステップ
アップされた高電圧が放電回路31に印加されるように
なっている。充電回路30は電源電圧を変圧器33と整
流器34で多段階に分けて昇圧させるために、大型の変
圧器や整流器の使用が不要となり、小型・コンパクト化
を図ることができる。
【0069】また、放電回路31は整流器34でステッ
プアップされた高電圧をチャージするコンデンサユニッ
ト35と、このコンデンサユニット35でチャージされ
た放電電圧を遠隔指令により作動制御する開閉器36
と、放電電圧の印加により弾性波動を発振させる放電極
37とを有する。コンデンサユニット35は、例えば4
00μF,耐電圧500Vの小容量のコンデンサを複数
個並列接続して、放電可能なコンデンサ容量、例えば2
0μF以上、好ましくは40μF以上のコンデンサ容量
を有するように、コンパクトにユニット化したものであ
る。コンデンサユニット35は大容量の大型コンデンサ
を使用する必要がなく、小容量コンデンサの並列接続に
よるユニット化により形成したので、小さくて高圧に耐
えるコンデンサユニット35を製造でき、小型・コンパ
クト化が図れ、全体として1000V〜3000Vの放
電可能な電圧をチャージすることができる。
【0070】この発振装置22においては、コンデンサ
ユニット35にチャージされた高圧の放電電圧を遠隔操
作指令により作動制御される小型の開閉器36を介して
放電極37に印加され、この放電極37から大きな発振
エネルギの弾性波の波動を出力させるようになってい
る。放電回路31の放電極37から放電される発振エネ
ルギは、例えば最大180ジュールと大きい。
【0071】その際、発振装置22の本体ケース(ゾン
デ)29内に充電回路30や放電回路31がコンパクト
に収容され、高圧部が地上側に位置しないので、取扱い
が容易で安全性の向上が図れる。また、放電回路31を
発振装置22の本体ケース29内で孤立させ、放電回路
31のみに大電流が流れるように形成し、高電圧が地上
側からケーブルを介して発振装置に作用させる必要がな
いので、ケーブル25のインピーダンスによる放電エネ
ルギの損失がなく、大きな発振エネルギの弾性波動を効
率よく発振させることができる。
【0072】また、発振装置22は、放電極37からの
放電と同期して記録装置20および制御装置19を作動
させるトリガパルスを生成するトリガ発生器(図示せ
ず)を有するとともに、充電回路30による放電回路3
1への充電終了と放電回路31の放電開始までの時間の
ずれを利用して放電回路31を切断するディレイ回路3
8が後述する図9および図10に示すように備えられ
る。このディレイ回路38で放電回路31を切断し、放
電回路31のみに大きな放電電流が流れるようにして放
電時のノイズを減少させ、このノイズが受振装置23側
に伝達されるのを抑制してS/N比を向上させ、大きく
している。
【0073】さらに、発振装置22の本体ケース29は
図3に示すように、例えば50kg/cm2 の耐圧特性を有
するようにステンレス鋼製で形成され、内部にアルミニ
ウム製の収納ケース40が偏心して収容され、いわゆる
舟型に構成される。収納ケース40内に充電回路30や
放電回路31がそれぞれ収容される一方、本体ケース2
と収納ケース40との間に磁気シールド装置41が設け
られる。磁気シールド装置41は本体ケース29を長手
方向に貫く複数のシールド管43で構成され、このシー
ルド管43内に発振装置出力線である信号ケーブル44
が案内される。シールド管43はFe−Ni合金のよう
に透磁性に優れた材料で形成される。
【0074】信号ケーブル44をシールド管43で被覆
して放電回路31の側方を通すことにより、放電回路3
1等からの電磁誘導や静電誘導をシールドし、信号ケー
ブル44に放電の悪影響が及ばないようにしてS/N比
を向上させている。
【0075】また、発振装置22にコネクタケーブル2
7を介して連結される受振装置23は、耐電圧型で例え
ばステンレス鋼製の円筒状本体ケース47を有する。こ
の本体ケース47は例えば50kg/cm2 の耐圧条件を有
し、その外径および長さが例えば63mmφ,540mmで
6kgの重量を有するように設計される。
【0076】受振装置23の本体ケース47内には、図
4に示すように弾性波の波動に感振する感振器としての
受振器48と、この受振器48で受振した信号波形を増
幅させる増幅器49とが収容される。受振器48はセラ
ミック圧電素子等の受振素子50を備えたトランスジュ
ーサとしての電歪型センサであり、このセンサにて弾性
波の波動をキャッチし、受振した弾性波の波動に応じた
電気信号を出力するようになっている。
【0077】受振装置23の受振器48で受振した弾性
波の波動信号は、図5に示すように、予期しない衝撃に
よって発生する電圧による増幅器49の損傷を防止する
ため、余分な電流をカットする安全回路50を経て増幅
器49としてのインピーダンス変換回路に送られる。安
全回路50は例えば1kΩの抵抗51とダイオード52
を組み合せて構成される。
【0078】また、インピーダンス変換回路49は例え
ば0.1μFのカップリングコンデンサ53と24Ωの
抵抗54を組み合せたカップリング回路55と差動入力
・差動出力のインピーダンス変換器58とを有し、この
インピーダンス変換器58は波動出力信号をプリアンプ
として増幅させるとともに、同相ノイズを打ち消し、S
/N比を向上させている。
【0079】インピーダンス変換器58からの出力信号
は、受振装置出力線である信号ケーブル59を通して地
上設置の記録装置20に送られ、記録装置20内のメイ
ンアンプとして増幅回路60に入力される。増幅回路6
0は、電圧を200倍程度まで増幅するメインアンプと
しての増幅器61を備える一方、この増幅器61で増幅
された出力信号は後述するメモリ62に伝達され、フロ
ッピディスクなどに記録される。信号ケーブル59はコ
ネタケーブル27やケーブル25内を通される。
【0080】一方、地上側に設置される制御装置19
は、発振装置22や受振装置23,記録装置20の作動
を制御しており、発振装置22にAC電源を印加させた
り、受振装置23のプリアンプ(インピーダンス変換
器)用DC電源を印加したり、また記録装置20のオシ
ロスコープ用出力データを出力している。
【0081】また、制御装置19には昇降装置24のウ
ィンチ65あるいはガイドホイール66に付設されたパ
ルスモータ(図示せず)からパルス信号を入力して発振
装置22や受振装置23の挿入深度を計測している。
【0082】昇降装置24のウィンチ65には、図6に
示すように、スリップリング26が付設される。スリッ
プリング26はウィンチ65の取付座67に固定される
一方、ウィンチ65のドラム内に通される回転側ケーブ
ル68を固定側ケーブル69にシューリング70とシュ
ーブラシ71を用いて電気的に接続している。
【0083】ケーブル68,69には電源ケーブル73
や信号・制御ケーブル74が収容されており、このう
ち、信号ケーブルや制御ケーブルの固定部と回転部を接
続するシューリング70およびシューブラシ71は磁気
シールド装置76でシールドされ、磁気に対する遮蔽が
行なわれる。磁気シールド装置76はシューリング70
やシューブラシ71を外側から覆うトーラス状のシール
ドカバー77で形成され、シールドカバー77はFeあ
るいはFe−Ni合金で構成される。符号78はリング
カバーである。
【0084】図6では、受振装置23の3体分に対応し
て例えば6チャンネル分が磁気シールド装置76でシー
ルドされ、電源ケーブル73の固定部と回転部の接続部
分にはノンシールド構造でシールドが施されていない。
【0085】シューリング70から引き出された信号ケ
ーブルや制御ケーブル74は記録装置20や制御装置1
9にそれぞれ接続される一方、電源ケーブル73は制御
装置20を介して電源に接続される。
【0086】また、制御装置19と一体化された記録装
置20は図7に示すように構成され、コンピュータによ
る弾性波の波形解析を考慮してデジタル記録を行なうメ
モリ80を備えている。このメモリ70には、ロギング
セレクタ81にて検層対象の受振装置23が選択され、
選択された受振装置23からの弾性波の波動出力信号が
増幅器61で増幅されて入力され、記憶される。メモリ
80に記憶された弾性波の波動信号は、記録手段として
のフロッピディスクドライブユニット82によりフロッ
ピディスクに記録される一方、必要に応じて波動モニタ
83により出力される。
【0087】ロギングセレクタ81や増幅器61,メモ
リ80,フロッピディスクドライブユニット82,波動
モニタ83はロギングコントローラ84により作動制御
され、メモリ80に記憶された弾性波の波動信号の取扱
い操作、特にロギングデータの取扱いはオペレータ85
により行なわれる。
【0088】なお、符号86はロギングセレクタ作動電
圧を供給する電源であり、符号87はロギングデータイ
ンディケータである。
【0089】また、記録装置20にて記録されるフロッ
ピディスクにはMS−DOSでフォーマットされたヘッ
ダ部とデータ部が備えられ、ヘッダ部には例えばASC
II(American Standard Code Information Interfac
e)CodeでFile名,日付,チャージ電圧,深度,Gain等
が記録され、データ部には例えばバイナリCodeで出力波
形が記録される。
【0090】さらに、記録装置20のフロッピディスク
ドライブユニット82にて弾性波の波動信号が記録され
たフロッピディスクは図8に示すように波形解析装置8
8のコンピュータ89に掛けられて弾性波の波動解析が
行なわれ、解析結果はディスプレイ装置90に表示され
る一方、プリンタ91に印字され、記録される。符号9
2はノイズカットスタビライザである。
【0091】図9は土木・建設に適した小孔径のボーリ
ング孔17の上側に発振装置22を、この発振装置22
の下側に例えば3台の受振装置23を受振ボーングルー
プとして配置した例を、図10は図9とは逆にボーリン
グ孔17の上側に例えば3台の受振装置23を、受振ボ
ーングループとして受振装置23の下側に発振装置22
を配置した概略例をそれぞれ示す。図9および図10に
おいて、符号38は、放電回路31を切断するディレイ
回路であり、またこのディレイ回路38は放電タイミン
グを遅らせる放電遅延用継電器で構成される。
【0092】水中放電式弾性波検層装置15において、
発振装置22と受振装置23の位置関係は、図11に示
すように地盤探査の用途に応じて適宜選択される。
【0093】図11は、土木の分野で地中に掘削される
トンネル94内周辺の緩み域95を放電式弾性波検層装
置15で弾性波を利用して物理探査するものであり、ト
ンネル94より上方では土木・建設用調査ボーリング孔
17内の上方に発振装置22を、下方に受振装置23を
配置して上部発振・下部受振の地盤探査を行なった例
で、トンネル94より下方領域は、ボーリング孔17内
上方に受振装置23を、下方に発振装置22を配置して
下部発振・上部受振を行なった例を示す。
【0094】放電式弾性波検層装置15によって弾性波
を利用してトンネル周辺の緩み域95の地盤探査によ
り、緩み域95に打ち込まれるロックボルトの長さや、
合理的な鉄筋の配列密度が設定され、緩み域の適切な補
強を行なうことができる。
【0095】この水中放電式弾性波検層装置15は、上
部発振・下部受振や下部発振・上部受振を適宜行ない得
るように、図12(A),(B)および(C)に示すよ
うに構成される。
【0096】図12(A)に示す発振装置22は本体ケ
ース29の両側にケーブルコネクタ部96,96が設け
られる一方、発振装置22の先端側に受振装置23を接
続しない場合には、防水キャップ97でコネクタ部96
端面が液密に被覆される。
【0097】受振装置23も図12(B)に示すように
本体ケース47の両側にケーブルコネクタ部98が設け
られ、このコネクタ部98に図12(C)に示す所定長
さのコネクタケーブル27が着脱自在に液密に接続され
る。
【0098】コネクタケーブル27で発振装置22と受
振装置23を着脱自在に接続したり、受振装置23同士
を相互にケーブル連結している。これにより、図1およ
び図9,図10に示すように発振装置22と受振装置2
3は一定の間隔をおいて相互に切離し可能に連結され
る。具体的には発振装置22と受振装置23との間隔
は、発振装置22の放電極37の放電面から受振装置2
3の受振器(受振面)48までの距離dであり、受振装
置23同士の間隔は、受振器48間の間隔dである。
【0099】発振装置22や受振装置23の各ケーブル
コネクタ部96,98またはコネクタケーブル27の両
側コネクタ部99は例えば図13に示す断面構造を有
し、各コネクタ部96,98,99には電源ケーブルや
発振装置制御用ケーブルのためのコネクタ100と信号
ケーブル用コネクタ101が組み込まれており、各コネ
クタ100,101間は絶縁されている。なお、符号1
02は位置決め用切欠溝である。
【0100】次に、放電式弾性波検層装置の作動を説明
する。
【0101】放電式弾性波検層装置15の作動状況を確
認するために、図14および図15で示すようにコンク
リート製の円柱状の人工地盤105を泥岩106上に形
成し、この人工地盤105の周辺に掘削土による盛土1
07を行なった。人工地盤105は例えば直径Dが8m
φ,高さHが8mで、盛土の高さが2.8mであった。
【0102】そして、人工地盤105の中心に土木・建
設用に適した76mmφのボーリング孔17を縦方向に穿
設し、このボーリング孔17内に水を張って図1および
図9に示すように、発振装置22を上方に、3台の受振
装置23を下方にケーブル結合してセットし、上方発振
・下方受振の態様で弾性波を利用した地盤の物理探査の
実験を行なった。具体的には、発振装置22をボーリン
グ孔17の深さ4.2m位置、3台の受振装置23を
5.2m,6.2mおよび7.2m位置に図16
(A),(B)および(C)に示すように設置し、この
設置状態で発振装置21の放電電圧を1000V−30
00Vの間で変化させた。
【0103】発振装置22の放電電圧が1200Vの例
を図16(A)に、放電電圧が2000V,3000V
の例を図16(B)および(C)にそれぞれ示す。
【0104】図16(A),(B)および(C)から放
電電圧を変化させても、出力波形の形や振動数はほぼ同
様で再現性があり、出力波形の振幅は放電電圧が高圧に
なるほど大きいことがわかった。
【0105】記録装置20で記録された出力波形は、各
縦波(P波)Vp の立ち上がりを結ぶ線Aと横波(S
波)Vs を結ぶ線(P波からS波への転換点を結ぶ線)
Bは、深度と時間との間に比例関係が成立することがわ
かる。
【0106】記録装置20で測定された実験結果から、
人工地盤105の弾性波速度は、縦波Vp =3.9Km
/sec 、横波Vs =2.4Km/sec であることがわか
り、この弾性波速度Vp ,Vs から算出される動ポアソ
ン比σd=0.195,動弾性係数はEd=3.23×
105 kg/cm2 であることがわかった。これらの実験値
は、人工地盤(コンクリート)において採取したボーリ
ング孔を整形した標本について実施したP波およびS波
の速度値と一致した値となっており、妥当であることが
わかる。
【0107】また、図16(D)および(E)はボーリ
ング孔17内に吊設される発振装置22と受振装置23
の位置を変化させたときの例であり、図16(D)に表
示される出力波形の縦波(P波)Vp および横波(S
波)Vs を結ぶ線が屈曲していることから、各受振装置
23の深度7.6m〜9.6mの間で地層が変化してい
ることがわかる。さらに、図16(E)からボーリング
孔17の深度が9m以下では、各出力波形を結ぶ線A,
Bが直線であることから、地層の変化がないことがわか
り、また弾性波の伝播速度約1500m/sec から軟か
い岩盤(泥岩)106であることがわかる。
【0108】ところで、放電式弾性波検層装置15は、
発振装置22と受振装置23,および受振装置23間を
2cmφ程度の細径のコネクタケーブル27でシリーズに
連結し、このケーブル結合状態で発振装置22および受
振装置23と土木・建設用調査ボーリング孔17に吊り
降し、上部発振・下部受振あるいは下部発振・上部受振
で音波検層するようにしたから、石油関連分野で使用さ
れるボーリング孔と異なり、土木・建設分野で使用され
る100mmφ以下の小口径のボーリング孔17であって
も、ボーリング孔17の壁面と細径のコネクタケーブル
27の表面との間の充分な間隙を確保することができ
る。
【0109】図17は人工地盤105における放電式弾
性波検層装置15を用い2000Vの放電電圧で下部発
振・上部受振した音波検層の実験例を示すものである。
【0110】この場合、発振装置22の発信源である放
電極の発振位置を3.4m、第1チャンネルから第3チ
ャンネルの受振装置23を2.4m,1.4m,0.4
mの深さ位置に受振器48をセットした実験データであ
る。
【0111】発振装置22の放電回路31に2000V
の放電電圧をチャージし、チャージされた放電電圧を印
加して放電極37を放電させると、放電極37から弾性
波の波動が発振せしめられる。
【0112】放電極37から発振された弾性波の波動は
波動インピーダンスの差のあるボーリング孔壁面で一部
が反射し、残りは地盤(バウンダリ)16内に弾性波と
なって進入する。この弾性波は地盤16の地層内をあら
ゆる方向に向って伝播する一方、そのうちの一部はボー
リング孔壁に沿って進んで水中音波となって受振装置2
3の受振器48に入り、この受振器48で感振し、検出
される。この弾性波の波動は、エネルギが比較的低いP
波(縦波)と呼ばれるもので、P波の検出は図17の各
チャンネルの受振装置23で検出された実験データ(サ
ンプリングデータ)に示すように、それ以前のグランド
ノイズとの比較であるから簡単に検出される。
【0113】また、放電極37から発振された弾性波の
波動は、ボーリング孔壁面とコネクタケーブル27の表
面との間で反射を繰り返し、増幅されて受振装置23の
受振器48に到達し、この受振器48で感振して検出さ
れる。この受振器48で検出される弾性波の波動は、ボ
ーリング孔17の円筒状バウンダリ内に伝播されるコニ
カルウェーブと呼ばれる波動で、P波より速度の遅いS
波(横波)である。
【0114】P波やS波より速度が遅いストンリー波
は、第1チャンネルや第2チャンネルの受振装置23で
の実験データ(サンプリングデータ)から直ちに検出す
ることはできないが、この実験データで検出された弾性
波の波動をスペクトル分析し、速い周波数の波動成分を
ハイカットフィルタ(HCフィルタ)でフィルタ処理す
ることにより、第1チャンネル,第2チャンネルの波動
データからストンリー波を求めることができる。第3チ
ャンネルの波動データにはP波やS波のみならず、P波
やS波より速度の遅いストンリー波も明確にキャッチさ
れ、表示されている。
【0115】第1チャンネルの実験データは、記録時に
10倍のゲインをかけて増幅し、さらに表示するとき1
倍して総合増幅率10倍で表示したものであり、第2チ
ャンネルの実験データは総合増幅率40倍(20ゲイン
×2倍)、第3チャンネルの実験データは総合増幅率8
00倍(200ゲイン×4倍)で表示したものである。
また、1デビジョンの時間は200μSであり、各チャ
ンネル間の間隙はそれぞれ1mであるので、図17に表
示された波動データを波形分析することにより、P波や
土木・建設分野で尊重されるS波の速度解析,減衰率解
析を行なうことができる。このP波やS波の速度を求め
ることにより、地盤が完全な弾性体の場合には、地盤の
動弾性係数やポアソン比を簡単に求めることができ、土
木や建設のための次の設計に役立てることができる。
【0116】また、ストンリー波は第1チャンネルおよ
び第2チャンネルでは、波動の速い周波数成分をフィル
タ処理することにより、また、第3チャンネルでは、直
ちに求めることができ、このストンリー波の速度や減衰
状態を求めることにより、地盤16の割れ目等の亀裂状
態やパーミアビリティル(透水係数)の関係を検出する
ことができる。
【0117】さらに、放電式弾性波検層装置15の発振
装置22と受振装置23とを連結するコネクタケーブル
27を太径にし、ボーリング孔17とコネクタケーブル
27の表面との間の間隙を小さくすると、S波が高周波
数、例えば100KHz以上の高周波となって、受振器
48で精度よくキャッチすることができなくなる。土木
・建設分野では例えば20KHz〜40KHzと低い周
波数のS波を効率よくキャッチできるように受振器48
が設定されている。
【0118】また、放電式弾性波検層装置15を地盤1
6としての泥岩中のボーリング孔17を使用し、弾性波
を利用して音波検層した例を図18に示す。図18に示
す波動データは、放電電圧約2000Vで上部発振・下
部受振した例であり、泥岩における弾性波の波形分析を
行なうと、P波やストンリー波の波形分析(速度解析や
減衰率解析)を容易に行なうことができるが、この場合
には、S波の波形解析を行なうことが困難である。この
理由は、S波の速度が泥岩中では0.5km/sec程度と、
水中での音波速度より小さいため、S波の検出ができな
い。
【0119】しかしながら、この場合にも、ストンリー
波の速度解析と理論考案を組み合せることにより、S波
の速度を求めることができる。S波の減衰率については
P波の減衰とパーティションファンクションの計算によ
って求めることができる。
【0120】次に、図19以下に放電式弾性波検層装置
15を用いて得られた実験データをデジタル表示する。
【0121】図19は地盤16の各地層毎におけるP波
の速度を示す実験データであり、図20はS波の速度を
示す実験データである。
【0122】また、図21は関東ローム層のボーリング
孔に鉄パイプ製ケーシングを挿入して実験したもので、
約1500Vの放電電圧で上部発振・下部受振した波動
データを示すもので、各チャンネルの波動データからP
波の波形解析を行なうことができる。
【0123】図22は、図21における波動データと同
じ条件で試験したP波の初動を示すものである。
【0124】図23は、コンクリート製人工地盤105
における約2000Vの放電電圧で下部発振・上部受振
したとき、P波の初動を示す波動データである。放電位
置(スパーク位置)は深さ5.9mである。
【0125】図24は人工地盤105におけるP波の波
形状態を示す波動データである。
【0126】図25は人工地盤105における反射コニ
カル波(S波)を示す波動データである。
【0127】図26は、コンクリート製人工地盤105
における約2000Vで下部発振・上部受振し、第1チ
ャンネルは500倍(100ゲイン×5倍)、第2チャ
ンネルは400倍(200ゲイン×2倍)で表示したも
ので、この波動データからTEST SITE におけるP波の速
度を求めることができる。
【0128】図27は泥岩中におけるP波の速度を求め
たものである。
【0129】図28はコンクリート製人工地盤105に
おいて、上部発振・下部受振により求めた各チャンネル
の波動データからS波の速度を求めたものである。
【0130】図29は泥岩中におけるストンリー波の速
度を求めたものである。
【0131】図30〜図32はコンクリート製人工地盤
105における各チャンネル毎のP波のスペクトル解析
をそれぞれ示すものであり、図33〜図35は各チャン
ネル毎のS波のスペクトル解析をそれぞれ示すものであ
る。
【0132】図36は均質でないコンクリート地盤にお
けるP波の減衰率を求めるグラフであり、図37はコン
クリート製人工地盤105におけるP波の減衰率を求め
たグラフであり、図38および図39は人工地盤105
の境界層および泥岩中におけるP波の減衰率を求めたも
のである。図36〜図39においてSOURCEは発振位置を
示すものである。
【0133】図17〜図39のデジタル解析で示すよう
に、この放電式弾性波検層装置を用いると、小型・コン
パクト化が図れ、土木・建設用の小孔径ボーリング孔1
7に適用することができ、S/N比が優れた波動データ
の記録が得られ、多彩な岩盤の構造や物性を弾性波を利
用した音波検層により多面的な物理探査をすることがで
きる。
【0134】この放電式弾性波検層装置15は、小型で
コンパクト化が図れ、軽量構造であるので、狭隘な地形
にも適用可能である。したがって、土木・建設分野に適
用すると、地下発電所周辺の地盤の弛みの実態や経時的
変化の推定が可能となる。
【0135】この放電式弾性波検層装置においては、発
振装置22および受振装置23を昇降装置24にはボー
リング孔17内で昇降させつつ上部発振・下部受振また
は下部発振・上部受振を繰り返すことにより、ボーリン
グ孔17の深度と地盤の構造や物性情報の物理探査を行
なうことができる。
【0136】その際、この放電式弾性波検層装置15に
おいては、発振装置22にコンデンサ内蔵型水中放電式
の発振器32が採用されるので、放電コンデンサユニッ
ト35を発振装置22内に内蔵させることができる。こ
のため、従来のシュランベルジャの音波検層装置のよう
に高圧コンデンサを地上に設置したり、高圧ケーブルを
採用する必要がなく、ケーブルに耐高電圧用の絶縁被覆
を施す必要がなく、通常の絶縁被覆でよい。
【0137】また、ボーリング孔17内に吊設される発
振装置22と受振装置23、さらには受振装置23同士
は所定長さのコネクタケーブル27で着脱可能に接続さ
れるので、発振装置22と受振装置23の間隔や受振装
置23同士の間隔を所定長さdに一義的に決定すること
ができる。したがって、この放電式弾性波検層装置15
は、上部発振であるか下部発振であるか、発振方式が決
定されれば、発振装置22の深度を求めることにより、
残りの受振装置23の深度が一義的に決定される。求め
る深度は発振装置22に代えていずれかの受振装置23
であってもよい。
【0138】放電式弾性波検層装置の一実施例において
は、発振装置と受振装置をシリーズに接続し、土木・建
設用ボーリング孔に挿入させる例を説明したが、発振装
置と受振装置とをそれぞれ異なるボーリング孔に挿入し
ても、また異なるボーリング孔に挿入させる受振装置を
複数個シリーズに接続して受振装置群を構成してもよ
い。
【0139】また、発振装置と受振装置とをコネクタケ
ーブルでケーブル結合し、ケーブル結合された発振装置
と受振装置を1つのボーリング孔に挿入した後、異なる
1つあるいは複数のボーリング孔に受振装置あるいは受
振装置群を挿入することも可能である。
【0140】これらの構成により、比較的狭い範囲(領
域)において、ボーリング孔間の音波検層を精度よく実
現することができ、画像処理技術を組み合せるとトモグ
ラフィを実現することができる。
【0141】また、ボーリング孔は水で満たされた例を
説明したが、オイル等の液体で満たしたものであっても
よい。
【0142】
【発明の効果】以上に述べたように本発明に係る放電式
弾性波検層装置においては、土木・建設用ボーリング孔
に適用することができ、地盤の物性を弾性波を利用して
多面的に認識することができる一方、小型・コンパクト
化,軽量化が図れ、狭隘な地形への適用も可能であり、
また、放電式とすることで発振エネルギを増大させるこ
とができ、発振エネルギを増大させてもS/N比を大き
くとることができるので、受振装置でキャッチされる弾
性波の波動をS/N比の優れた状態で記録させることが
でき、多彩な岩盤への適用が可能となる。
【0143】請求項1に記載の放電式弾性波検層装置に
おいては、液体で満たされたボーリング孔内に発振装置
と受振装置とをそれぞれ収容し、発振装置は、放電極に
放電電圧を印加する放電回路を本体ケースに内蔵させた
ので、磁歪型音波検層装置と異なり、発振エネルギを大
きくとることができ、精度の高い地盤探査を行なうこと
ができるとともに、弾性波検層装置の小型・コンパクト
化,軽量化を図ることができる。
【0144】また、放電電圧を放電極に印加する高圧の
放電回路をボーリング孔に挿入される発振装置に収容さ
せたので、高圧部が地上に露出することがなく、放電電
極はケーブルのインピーダンスの影響を受けず、放電効
率を高め、効率よく放電させることができる一方、取扱
いが極めて安全であり、安全性を向上させることができ
る。
【0145】この放電式弾性波検層装置は、小型・コン
パクト化でき、軽量化できるので、土木・建設分野のボ
ーリング孔への適用が可能となり、山岳地帯の狭隘な場
所での音波検層が可能となり、弾性波を利用した音波検
層に機動性を持たせることができる。
【0146】請求項2に記載の放電式弾性波検層装置に
おいては、発振装置は円筒状の耐圧本体ケース内に充電
回路と放電回路を収容したので、充電回路の高圧部が地
上に位置されず、取扱いが容易で安全性を向上させるこ
とができ、高圧の充電回路と放電回路を収容した発振装
置は放電式であるので、弾性波動を発振させる発振エネ
ルギを大きくとることができる。
【0147】また、この放電式弾性波検層装置は、発振
装置の本体ケース内に充電回路や放電回路を収容したの
で、放電コンデンサを地上に設置してケーブルに高電圧
を作用させる必要がなく、ケーブルは高電圧に対する絶
縁が不要となる。
【0148】また、請求項3に記載の放電式弾性波検層
装置においては、電源電圧をメインステップアップする
第1段の変圧器と、この変圧器で昇圧された電圧を整流
化して第2段のステップアップさせる整流器を備えた充
電回路を備えたから、変圧器の小型・コンパクト化が図
れる。
【0149】また、放電回路は放電電圧をチャージして
放電するコンデンサユニットを本体ケース内に収容した
ので、高圧部が本体ケース内にコンパクトに収容され、
安全性を高めることができる。
【0150】請求項4に記載の放電式弾性波検層装置
は、放電回路のコンデンサユニットは、複数のコンデン
サを並列に接続してユニット化したので、各コンデンサ
は小さなものでよく、小さなコンデンサを並列に接続す
ることにより、放電可能なコンデンサ容量を有し、放電
電圧をチャージ可能なコンデンサユニットを小型でコン
パクト化することができ、このコンデンサユニットを用
いて充分な放電電圧をチャージすることができる。
【0151】請求項5に記載の放電式弾性波検層装置に
おいては、発振装置の本体ケースに磁気シールド装置を
設け、この磁気シールド装置により、受振装置出力線を
放電時の電磁誘導や静電誘導から保護したので、発振装
置内で高電圧が印加されたり、大きな発振エネルギで放
電されても、受振装置出力線を悪影響を受けることな
く、S/N比を向上させることができる。
【0152】請求項6に記載の放電式弾性波検層装置に
おいては、磁気シールド装置は、透磁性に優れたFe−
Ni合金製のシールド管で構成し、シールド管内に受振
装置出力線を挿通させたから、発振装置内で高電圧印加
されたり、大きな発振エネルギで放電されても、電磁誘
導や静電誘導がシールド管でシールドされ、受振装置出
力線は悪影響を与えるのを有効的に防止できる。
【0153】請求項7に記載の放電式弾性波検層装置に
おいては、受振装置は発振装置に接続ケーブルを介して
着脱自在に連結されたから、受振装置の変換が容易とな
り、受振装置の相対的な感度特性を容易に把握すること
ができる。
【0154】また、受振装置を発振装置にケーブル接合
させることにより、ケーブル区間では土木・建設用の調
査ボーリング孔のように小孔径のボーリング孔であって
も、ボーリング孔とケーブル表面との間の間隙を充分に
確保することができ、発振装置で発振される弾性波動が
伝播されて受振装置で受振するとき、この受振装置の受
振器でP波,S波およびストンリー波のフルウェイブ
(Full Wave )に感振し、中でも土木・建設分野に必要
なS波の解析を有効的に行なうことができる。
【0155】さらに、受振装置は、受振器の高いインピ
ーダンスを差動入力,差動出力の増幅器で低減させ、同
相ノイズを互いに打ち消すようにしたので、低レベルの
弾性波の波動から高レベルの弾性波の波動に至る広範な
波動を大きなS/N比をもって検出することができる。
【0156】請求項8に記載の放電式弾性波検層装置に
おいては、受振装置の増幅器で処理された、広範な弾性
波の波動を受振装置出力線(信号ケーブル)により大き
なS/N比を持って地上設置の記録装置に伝送し、記録
させることができる。その際、スリップリングや発振装
置には磁気シールド装置が設けられているので、波動検
出信号のS/N比の低下を極力抑えることができる。
【0157】請求項9に記載の放電式弾性波検層装置に
おいては、受振装置と発振装置は直列状にケーブル接合
させて100mmφ以下の土木・建設用ボーリング孔に挿
入させ、受振装置は発振装置の下方または上方に配置さ
れるので、土木・建設分野で測定対象の地盤の境界条件
に適した音波検層が可能となり、100mmφ以下のボー
リング孔であっても、フルウェイブの弾性波の解析を行
なうことができる。
【0158】請求項10に記載の放電式弾性波検層装置
においては、受振装置は複数台が接続ケーブルにより直
列状に着脱自在にケーブル結合されて受振装置群が構成
されるので、各受振装置の配置を任意に選択することに
より、測定対象の地質の測定条件に適した測定が可能で
あるとともに、各受振装置の感度特性を比較的容易に把
握することができる。
【0159】さらに、受振装置は複数台備えられ、各受
振装置は着脱自在に直列状に連結されたので、ボーリン
グ孔に沿う複数箇所の地盤を同時に探査でき、地盤探査
効率を向上させ、能率よく探査できる。
【0160】請求項11に記載の放電式弾性波検層装置
においては、発振装置と受振装置を異なるボーリング孔
に挿入することにより、比較的狭い範囲のボーリング孔
間の音波検層を精度よく行なうことができ、この音波検
層を画像処理技術と組み合せると測定対象となる地盤の
トモグラフィを実現することができる。
【0161】請求項12に記載の放電式弾性波検層装置
においても、比較的狭い範囲のボーリング孔間の音波検
層を効率的に精度よく行なうことができる。
【0162】請求項13に記載の放電式弾性波検層装置
では、発振装置および受振装置は土木・建設用ボーリン
グ孔に挿入でき、小型・コンパクト化が図れる一方、土
木・建設用ボーリング孔でも音波検層を行なうことがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る放電式弾性波検層装置の一実施例
を示す原理的な概略図。
【図2】図1の放電式弾性波検層装置に備えられる発振
装置を示す概略図。
【図3】図2に示す発振装置の変圧器部分で横断した断
面図。
【図4】図1の放電式弾性波検層装置に備えられる受振
装置を示す概略図。
【図5】図4に示す受振装置内に組み込まれる受振回路
の一例を示す図。
【図6】本発明の放電式弾性波検層装置の昇降装置に付
設されるスリップリングの断面図。
【図7】放電式弾性波検層装置に備えられる記録装置を
示すブロックダイヤグラム。
【図8】本発明の放電式弾性波検層装置でフロッピディ
スクに記録された弾性波の波動データを波形解析表示す
るシステムを示すブロックダイヤグラム。
【図9】上部発振・下部受振方式の放電式弾性波検層装
置を示す図。
【図10】下部発振・上部受振方式の放電式弾性波検層
装置を示す図。
【図11】地中に掘削されたトンネル周辺の地質探査に
本発明の放電式弾性波検層装置を適用した例を示す概略
図。
【図12】(A),(B)および(C)は放電式弾性波
検層装置の構成部品を示すもので、発振装置,受振装置
およびコネクタケーブルをそれぞれ示す外観図。
【図13】発振装置,受振装置およびコネクタケーブル
の各コネクタ部を示す断面図。
【図14】本発明の放電式弾性波検層装置を用いて地盤
探査するために形成した実験用モデル地盤を示す断面
図。
【図15】図14に示すモデル地盤の平面図。
【図16】(A)〜(E)は本発明に係る放電式弾性波
検層装置をモデル地盤を使用して実験したときの出力波
形のデータを示す断面図。
【図17】本発明に係る放電式弾性波検層装置を用いて
コンクリート製人工地盤の弾性波(音波)検層を行なっ
た波動データを示す図。
【図18】本発明に係る放電式弾性波検層装置を用いて
泥岩における弾性波(音波)検層を行なった波動データ
を示す図。
【図19】本発明に係る放電式弾性波検層装置を用いて
地盤の各地層毎のP波の速度を示す実験データ図。
【図20】図19と同様なS波の速度を示す実験データ
図。
【図21】本発明に係る放電式弾性波検層装置を用いて
関東ローム層を音波検層した波動データ図。
【図22】本発明に係る放電式弾性波検層装置を用いて
関東ローム層におけるP波の初動を音波検層した波動デ
ータ図。
【図23】人工地盤におけるP波の初動を示す波動デー
タ図。
【図24】人工地盤におけるP波の屈折を示す波動デー
タ図。
【図25】人工地盤における反射コニカル波を示す波動
データ図。
【図26】人工地盤におけるP波の速度決定のための波
動データ図。
【図27】泥岩におけるP波の速度決定のための波動デ
ータ図。
【図28】人工地盤におけるS波の速度決定のための波
動データ図。
【図29】泥岩におけるS波の速度決定のための波動デ
ータ図。
【図30】人工地盤における第1チャンネルでのP波の
スペクトル解析を示す図。
【図31】人工地盤における第2チャンネルでのP波の
スペクトル解析を示す図。
【図32】人工地盤における第3チャンネルでのP波の
スペクトル解析を示す図。
【図33】人工地盤における第1チャンネルでのS波の
スペクトル解析を示す図。
【図34】人工地盤における第2チャンネルでのS波の
スペクトル解析を示す図。
【図35】人工地盤における第3チャンネルでのS波の
スペクトル解析を示す図。
【図36】非均質なコンクリート地盤におけるP波の減
衰を表わす図。
【図37】人工地盤におけるP波の減衰を表わす図。
【図38】人工地盤と泥岩との境界域におけるP波の減
衰を表わす図。
【図39】泥岩中におけるP波の減衰を表わす図。
【図40】(A),(B),(C)および(D)は従来
のボーリング孔を利用する弾性波探査の種類を表わす原
理図。
【図41】石油分野で使用される従来の磁歪型音波検層
装置を示す図。
【符号の説明】
15 放電式弾性波検層装置 16 地盤 17 ボーリング孔 18 電源 19 制御装置 20 記録装置 21 本体ケーシング 22 発振装置 23 受振装置 24 昇降装置 25 ケーブル 26 スリップリング 27 コネクタケース 29 本体ケース 30 充電回路 31 放電回路 33 変圧器(トランス) 34 整流器 35 コンデンサユニット 36 開閉器 37 放電極 38 ディレイ回路 40 収納ケース 41 磁気シールド装置 43 シールド管 44 信号ケーブル(制御ケーブル) 47 本体ケース 48 受振器(電歪型センサ) 49 増幅器(インピーダンス変換回路) 50 安全回路 58 インピーダンス変換器 59 信号ケーブル 60 増幅回路 61 増幅機 70 シューリング 71 シューブラシ 73 電源ケーブル 74 信号ケーブル,制御ケーブル 76 磁気シールド装置 77 シールドカバー 80 メモリ 82 フロッピィレコーダ 83 ロギング波動モータ 88 弾性波の波形解析装置 89 コンピュータ 90 ディスプレイ装置 91 プリンタ 94 トンネル 95 緩み域 96,98,99 コネクタ部 97 防水キャップ 100,101 コネクタ 105 人工地盤 106 泥岩 107 盛土
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G01B 17/00 Z G01V 1/00 C 9406−2G

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体で満たされたボーリング孔内に挿入
    され、弾性波動を発振させる発振装置と、この発振装置
    に所定の間隔をおいてケーブル連結され、伝播される弾
    性波動を受振する受振装置と、前記発振装置および受振
    装置をボーリング孔内で昇降させる昇降装置と、前記受
    振装置で受振した波動信号を記録する記録装置と、前記
    発振装置,受振装置および記録装置の作動を制御する制
    御装置とを有し、前記発振装置は放電極に放電電圧を印
    加する放電回路を本体ケースに内蔵したことを特徴とす
    る放電式弾性波検層装置。
  2. 【請求項2】 発振装置は円筒状の耐圧本体ケースを有
    し、この本体ケース内に交流電圧を昇圧させ、整流化し
    て充電する充電回路と、この充電回路で充電された高電
    圧を印加して放電させ、弾性波動を発振させる放電回路
    とを収容した請求項1に記載の放電式弾性波検層装置。
  3. 【請求項3】 受振装置の本体ケース内に収容される充
    電回路は、電源電圧を昇圧させる変圧器と、こ変圧器か
    らの出力を整流させるとともにさらに昇圧させる整流器
    とを有するとともに、放電回路は前記整流器で昇圧され
    た高電圧をチャージするコンデンサユニットと、コンデ
    ンサユニットにチャージされた放電電圧を遠隔指令によ
    り作動制御する開閉器と、放電電圧の印加により弾性波
    動を発振させる放電極とを有する請求項2記載の放電式
    弾性波検層装置。
  4. 【請求項4】 コンデンサユニットは複数のコンデンサ
    を並列に接続してユニット化し、放電可能なコンデンサ
    容量を有し、放電可能な電圧をチャージ可能に設定した
    請求項3に記載の放電式弾性波検層装置。
  5. 【請求項5】 受振装置は、放電極からの放電と同期し
    て記録装置および制御装置作動用トリガパルスを生成さ
    せるトリガ発生器と、本体ケース内を挿通させる受振装
    置出力線を放電時の電磁誘導から保護する磁気シールド
    装置とを備えた請求項1ないし3のいずれかに記載の放
    電式弾性波検層装置。
  6. 【請求項6】 磁気シールド装置はFe−Ni合金製の
    シールド管を複数本備え、各シールド管内に受振装置出
    力線を挿通させた請求項4記載の放電式弾性波検層装
    置。
  7. 【請求項7】 受振装置は所要長さのコネクタケーブル
    を介して発振装置に着脱自在に連結される一方、円筒状
    の耐圧本体ケースを有し、この本体ケース内に伝播され
    る弾性波動に感振して電気信号を出力する受振器と、こ
    の受振器からの電気信号を処理する差動入力・差動出力
    の増幅器とを収容した請求項1ないし3のいずれかに記
    載の放電式弾性波検層装置。
  8. 【請求項8】 受振装置の増幅器で処理された波動検出
    信号は受振装置出力線により昇降装置に付設のスリップ
    リングを通して地上設置の記録装置に伝送される一方、
    スリップリングは磁気シールド装置が備えられた請求項
    7記載の放電式弾性波検層装置。
  9. 【請求項9】 受振装置は発振装置と直列状にケーブル
    結合されて100mmφ以下の土木・建設用ボーリング孔
    に挿入される一方、受振装置は発振装置の下方または上
    方に配置された請求項1〜3のいずれかに記載の放電式
    弾性波検層装置。
  10. 【請求項10】 受振装置は複数台が接続ケーブルによ
    り直列状に着脱自在にケーブル結合されて受振装置群が
    構成され、上記受振装置群は隣り合う受振装置間の間隔
    および発振装置と隣り合う受振装置の間隔が互いに等し
    くなるように調節設定された請求項9記載の放電式弾性
    波検層装置。
  11. 【請求項11】 液体で満たされたボーリング孔内に挿
    入された弾性波動を発振させる発振装置と、この発振装
    置から発振され、伝播される弾性波動を受振する受振装
    置と、この受振装置で受振した波動信号を記録する記録
    装置と、前記発振装置,受振装置および記録装置の作動
    を制御する制御装置とを有し、前記発振装置は放電極に
    放電電圧を印加する放電回路を本体ケースに内蔵させる
    とともに、受振装置は、発振装置を収容したボーリング
    孔と異なるボーリング孔に挿入されたことを特徴とする
    放電式弾性波検層装置。
  12. 【請求項12】 発振装置は接続ケーブルにより複数台
    が直列状に接続されて受振装置群を構成し、上記受振装
    置群が発振装置を収容したボーリング孔と異なるボーリ
    ング孔に挿入された請求項11に記載の放電式弾性波検
    層装置。
  13. 【請求項13】 発振装置および受振装置を収容するボ
    ーリング孔は土木・建設用ボーリング孔である請求項1
    1または12に記載の放電式弾性波検層装置。
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