JPH07285500A - 空間識適応の訓練方法及び訓練装置 - Google Patents

空間識適応の訓練方法及び訓練装置

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JPH07285500A
JPH07285500A JP10175694A JP10175694A JPH07285500A JP H07285500 A JPH07285500 A JP H07285500A JP 10175694 A JP10175694 A JP 10175694A JP 10175694 A JP10175694 A JP 10175694A JP H07285500 A JPH07285500 A JP H07285500A
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千春 関口
Kiyotaka Yashiro
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Tadashi Murai
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寛 三好
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 宇宙において空間識が正しく形成されない場
合に生じる錯覚・錯誤に対処する能力を、地上において
与えることの可能な空間識適応の訓練方法及び訓練装置
を提供する。 【構成】 水中服9及びヘルメット10を着用した被訓
練者8を、基準壁3及び移動壁5を備えた水槽1中に潜
水させ、ヘルメット10に設けた表示部14に正常視覚
情報を与えながら水中で能動的に移動回転等の運動させ
るステップと、表示部14に被訓練者8の移動状況とミ
スマッチを起こしている混乱視覚情報を与えて、空間識
の混乱を惹起させるステップと、基準軸情報を有する基
準視野情報と被訓練者の身体画像とからなる基準情報を
与えて、空間識の混乱を矯正するステップと、空間識の
混乱及び矯正の程度を評価・判断するステップとで、空
間識適応の訓練方法を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、宇宙飛行士が宇宙に
滞在する際に、宇宙で発生する錯覚、錯誤に対処する能
力を与えるために、地上で行う空間識適応の訓練方法及
び訓練装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、宇宙飛行士が宇宙に滞在する際
に、空間識形成に係る症状が発生する。なお、空間識と
は、視覚器、前庭器、自己受容器(筋・関節感覚、触
覚)等からの感覚情報を統合して形成される、空間内に
おける自己の身体位置の認識と定義されている。宇宙飛
行士を、宇宙ステーションなどの特異的環境下で、長期
間ミッション遂行能力を継続させながら滞在させ、且つ
安全に帰還させるためには、空間識形成に係る症状に耐
え得る効果的な訓練を必要とする。
【0003】空間識形成に係る症状は大別して2種類あ
る。一つは宇宙酔いであり、他の一つは錯覚・錯誤であ
る。無重力環境では、地上で形成された空間識が混乱
し、無重力に適応して再形成される。しかし再形成され
た空間識は強固なものではなく、視野情報等の変化によ
り混乱し、再び錯覚・錯誤現象が起こる。次に、このよ
うな空間識の形成課程を順を追って示すと、次のとおり
である。 地上では重力環境に基づいて空間識を形成 無重力環境下では耳石器等からの情報が変化 地上で形成された空間識が混乱 宇宙酔い、錯覚現象が発生 視野情報を中心に空間識を再形成 視野情報の変化により空間識が再び混乱 錯覚・錯誤現象が発生
【0004】宇宙空間に人間が生活すると、2〜5日間
に亘って悪心や嘔吐を来す。この症状を宇宙酔いと称し
ており、宇宙飛行士の約2/3がこの症状に遭遇する。
この間に宇宙飛行士の作業能率(パフォーマンス)は極
端に制限される。この宇宙酔いは、重力の消失した感覚
が大きな要因として、発症に関与している。
【0005】しかし、この宇宙酔いについては、特に長
期滞在では、最初の1日〜2日だけの発症による問題で
あることと、最近の新しい薬剤の使用によって、この宇
宙酔いへの対処は、ほぼ100%可能となっている。こ
の宇宙酔いへの対処が可能になることは、重力の消失し
た感覚の変化が引き金となり、宇宙空間では、人間の内
部で自ら空間識の認識過程に必要な入出力のシステムを
再構築する作用が働き、新しい適応過程が成立するため
であると考えられている。このことは、地上での片側内
耳の廃絶しためまい患者が数日から数週で、その症状が
消失する適応過程にも当てはまることであり、中枢神経
での活発な代償過程が行われた結果と考えられている。
【0006】一方、錯覚とは実際の知覚像に対して誤っ
た解釈をする現象であり、錯誤は錯覚に起因して誤操作
や誤動作を行うことで、習熟した行為が行えなくなる状
態である。錯覚に陥っている間は、意識の狭窄、不安、
自立神経系の興奮ないし圧迫が起こり、程度の差はある
が、身体の硬直から自然な運動の抑制まで起こり、パフ
ォーマンスに支障を来す。
【0007】宇宙酔いにおいては、適応過程が宇宙空間
で一旦成立すれば、同じ環境条件では殆ど問題なく行動
ができる。しかし、旧ソ連の長期ミッションの報告で
は、滞在日数にかかわらず錯覚・錯誤現象が発生するこ
とが述べられている。出現する最も多い現象は、動作時
に(身体を移動する場合に)発生する上下逆転の錯覚や
自分の周囲の静止している物体が移動しているように感
じる錯覚である。そして錯覚現象の発生類度は宇宙酔い
より多く、持続時間は2〜3分から4時間位で、再出現
があるとされており、特に動作時の姿勢と視覚に関する
錯覚反応が多いとされている。
【0008】以上のように、宇宙飛行士が長期ミッショ
ンで出現する錯覚・錯誤現象に代表される空間識を適確
に形成できない状態になる場合、行動の変容を示すの
で、十分に錯覚・錯誤現象を経験し慣熟して、それに対
処する方法を身につけておくことが必須となる。
【0009】従来、宇宙飛行士の錯覚・錯誤に対処し変
容行動を防止する訓練装置としては、回転椅子や傾斜椅
子を用いるもの、更には水平仰向けに横たえ視覚刺激を
与える、いわゆる水平仰向臥床方式など、種々の形式の
ものが提案されている。この内、水平仰向臥床方式は、
次のような考えに基づくものである。すなわち、宇宙酔
いは、重力の感覚器である耳石器の機能が役立たなくな
り、これを他の感覚器で代償しようとするために起こる
とされる。そして、耳石器の働きが本来の傾斜や重力の
感覚器としてではなく、位置の変化の感覚器として、そ
のシステムを再構築する働きに向かうという仮説があ
る。この考えに基づいて、地上で耳石器の働きを変化さ
せることにより、例えば、被訓練者を横にして耳石器に
常に一定方向の重力を与えた状態で、視野を変化させて
耳石器のシステムにも変化を起こさせようとしたりし
て、宇宙で起こる代償過程を促進させようとする装置が
水平仰向臥床方式である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】先に述べたように、従
来、宇宙飛行士の錯覚・錯誤の発生の防止のために種々
の訓練装置が提案されているが、それらは何れも酔いを
体験させることに重点を置いたもので、訓練としての機
能は不十分なもの、あるいは効果が確認されていないも
のである。特に水平仰向臥床方式の場合は、そのシステ
ムに適合してしまうと、逆に地上において、訓練時以外
には酔いが発生するなどの悪影響が生じるおそれがある
という問題点がある。
【0011】本発明は、従来の空間識適応のための地上
での訓練方法ないし訓練装置における上記問題点を解消
するためになされたもので、宇宙において空間識が正し
く形成されない場合に生じる錯覚・錯誤に対処する能力
を適確に与えることの可能な空間識適応の訓練方法及び
訓練装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段及び作用】上記問題点を解
決するため、本発明に係る空間識適応の訓練方法は、被
訓練者を水中又は水と同程度の比重を有する液体中、も
しくは水面上又は液体面上に位置させ、擬似微小重力環
境を与えるステップと、正常視覚情報及び又は正常視覚
刺激を与えながら被訓練者を能動的又は受動的に移動及
び回転させ、宇宙空間における身体の運動及び動きを擬
似的に体験させるステップと、混乱視覚情報及び又は混
乱視覚刺激を与えて、被訓練者に空間識の混乱を惹起さ
せるステップと、基準情報を付与して空間識の混乱を矯
正するステップと、空間識の混乱並びにその矯正の度合
を評価・判断するステップとで構成するものである。
【0013】空間識適応のための地上での訓練は、次の
2つに大別される。第1は宇宙における空間識形成シス
テムに類似のシステムを地上に現象として再現し、被訓
練者をその類似システムに適合させる訓練であり、第2
は宇宙では空間識が正しく形成されない場合があるとの
前提に立ち、その場合に備えて、被訓練者の意志により
能動運動を行わせ、その結果生じる錯覚・錯誤に対処す
る能力を体得させる訓練である。
【0014】上記第1の訓練は、被訓練者の動きが受動
的であるということと、宇宙での空間識形成システムの
メカニズムが正しく解明されていないと効果が出ないも
ので、宇宙での空間識形成システムのメカニズムが正確
に解明されていない現状では、効果的な訓練は期待でき
ない。これに対し、第2の訓練は、宇宙での空間識形成
のメカニズムについては、解明せずブラックボックス的
に考え、宇宙飛行士の体験談や地上での同様の空間識の
形成の困難な症状等を参考にして、とにかく、被訓練者
を能動的に運動させて、これに伴う空間識の混乱による
錯覚・錯誤の現象に対処する能力の付与に重点を置いて
訓練させるという考え方(対処重点型訓練)に基づくも
のであり、本発明は、この第2の訓練の考え方に基づく
もので、積極的に能動運動を行わせながら、自己中心軸
( Egocentric 基準軸)の確立を行う訓練である自己基
準軸確立方式を採用するものである。
【0015】地上では、空間識の認識には、視覚情報、
重力軸及び自己基準軸(身体軸)の3要素の認識が重要
であり、これら3要素は相補的な関係にある。宇宙空間
では、この内、重力軸の認識が失われるため、視覚情報
と自己基準軸の認識だけとなる。
【0016】そこで、本発明に係る空間識適応の訓練方
法では、上記のように、まず第1に被訓練者を水中又は
水と同程度の比重を有する液体中、もしくは水面上又は
液体面上に位置させ、擬似微小重力環境を与え能動運動
可能な状態とする。次いで、被訓練者に正常視覚情報及
び又は正常視覚刺激を与えながら能動的又は受動的に移
動及び回転動作を与えることにより、擬似的な宇宙空間
における上下方向の認識並びに自己基準軸の認識を高め
させ、擬似的な宇宙環境に慣熟させることができる。次
に、混乱視覚情報及び又は混乱視覚刺激を与えることに
より空間識を混乱させ、宇宙空間における錯覚・錯誤の
状態を被訓練者に経験させる。次いで、基準情報を与え
て空間識の混乱を矯正する手法を、被訓練者に身につけ
させる。そして、空間識の混乱並びにその矯正の度合を
評価し、訓練の態様を判断する。以上のステップにより
宇宙空間において空間識が混乱した場合に生じる錯覚・
錯誤現象の経験と、それに対処する能力を適確に与える
ことが可能となる。
【0017】また、本発明の請求項8記載の訓練装置
は、水又は水と同程度の比重を有する液体を満たし、基
準壁と移動壁とを備えた水槽と、被訓練者の生命維持部
と、被訓練者の水中における運動を補助するための手段
と、被訓練者に空間識の形成、混乱、矯正のための視覚
情報及び視覚刺激を与える視覚情報付与部と、被訓練者
の身体情報、身体位置及び反力を計測し、前記移動壁、
運動補助手段及び視覚情報付与部を制御し、被訓練者の
身体情報及び身体位置情報と数式モデルとの対比で空間
識形成の解析・評価を行う制御部とで構成するものであ
り、また同じく請求項11記載の訓練装置は、水又は水
より大なる比重を有する液体を満たし、水又は液体面上
に回転可能に配設し被訓練者を仰向けに保持するための
フイルム状シートを備えた身体保持機構と、該身体保持
機構の周囲に配設した基準壁及び移動壁と、被訓練者の
運動を補助するための手段と、被訓練者に空間識の形
成、混乱、矯正のための視覚情報及び視覚刺激を与える
視覚情報付与部と、被訓練者の身体情報、身体位置及び
反力を計測し、前記移動壁、運動補助手段及び視覚情報
付与部を制御し、被訓練者の身体情報及び身体位置情報
と数式モデルとの対比で空間識形成の解析・評価を行う
制御部とで構成するものである。
【0018】空間識適応の訓練装置を上記のように構成
することにより、被訓練者に宇宙空間における身体の運
動及び動きを容易に擬似的に体験させ、また容易に空間
識の混乱を惹起させると共に、その混乱した空間識を容
易に矯正させることが可能となり、更に空間識の混乱並
びにその矯正の度合を評価することができる。
【0019】
【実施例】次に、実施例について説明する。図1は、本
発明に係る空間識適応の訓練方法及び訓練装置の第1実
施例を説明するための概略図である。この実施例は能動
運動モードに対するもので、図1において、1は例えば
ガラス等の透明部材を含む材料で形成されている水槽、
2は該水槽中に充填された水、3は水槽1中に固定して
配置されている基準壁で把持金具4が設けられている。
5は移動壁で移動機構6により所定方向に移動できるよ
うに構成されており、同様に把持金具4が設けられてい
て、移動機構6は壁移動制御部7により制御されるよう
になっている。8は生命維持部が装着された被訓練者を
示しており、生命維持部は、被訓練者8が着用する水中
服9、ヘルメット10、地上に設置する空気調和・再生
装置11、冷却水循環装置12、及びこれらをつなぐア
ンビリカル(空気循環ホース、水循環ホース、各種信号
線、電力線、光ファイバー等を一体にして水密構造した
もの)13とで構成されている。
【0020】水中服9は、宇宙服と類似の構造・機構を
有しているもので、完全防水で且つ水圧による変形を防
止する構造になっている。変形防止は、水中服の内圧制
御機能と水中服の剛的構造形式との連動で、実現される
ようになっている。水圧による変形がないので、身体が
水圧で押し付けられることなく、水中での体勢感覚の違
和感の発生を極力防止できるようになっている。なお、
訓練目的によっては、上記構造の水中服を使用せずに、
通常のウェットスーツやドライスーツを使用することも
可能である。そして、この水中服9には、空気換気によ
る服内温度、湿度を制御する機能が付加されている。す
なわちアンビリカル13を経由して、地上の空気調和・
再生装置11から換気用空気が水中服9内に送り込ま
れ、服内各所を循環して、服内回収孔から一個所に集め
られ、再びアンビリカル13を経由して空気調和・再生
装置11へ戻る。
【0021】服内循環中に、身体から発生する熱及び水
分は、換気用空気により前記空気調和・再生装置11へ
運搬される。空気調和・再生装置11中の空気調和部
は、空気循環ファンと冷却器で構成され、服内に換気用
空気を送り込み、服内から換気用空気を回収すると共
に、冷却器で身体から発生した熱と水分を吸収して、暖
かく湿気を帯びるに至った服内空気を、冷却・除湿する
ことにより、再度、換気用空気として、前記空気循環フ
ァンで服内に送気する。そして服内の温度及び湿度セン
サからの信号と温度・湿度設定値との差により、制御部
が冷却器能力を調節することにより、服内の環境温度及
び湿度は、所定の範囲にコントロールされるようになっ
ている。
【0022】なお、空気循環のみでは被訓練者の体温上
昇を防止できない時は、冷却水で被訓練者の身体を冷却
する。この場合は、地上に設置した冷却水循環装置12
から、循環ポンプでアンビリカル13を経由して水中服
9の構成要素である冷却下着に編み込まれたチューブ内
を、冷却水を循環させることにより、身体を冷却する。
温度上昇した冷却水は、再度、冷却水循環装置の冷却部
で冷却され、服内に送り込まれる。空気調和・再生装置
11の空気再生部は、被訓練者に酸素を供給し、被訓練
者から発生する炭酸ガス等の有害ガスを除去するための
もので、酸素の供給と炭酸ガスの除去により再生された
空気を、空気調和部と服内回路からなる空気循環回路
に、バイパス回路として組み込まれる。
【0023】ヘルメット10は水中服9に剛結合状態で
取り付けられ、完全に外界と気相的に隔離されている。
そして該ヘルメット10には、外部に設置された視覚情
報付与部17において生成された視覚情報の表示部14
が装備されている。なお視覚情報付与部17は画像処理
用ワークステーション及び関連するソフトウエア等で構
成されている。表示部14は、HMD(Head Mounted D
isplay)形式のもので、表示デバイスと表示デバイス上
の像を拡大・結像させる光学系、シースルー機能を実現
するためのシャッタ等で構成されている。表示デバイス
としては、液晶デイスプレイ、CRT等を、目的や特徴
に応じて、使い分けして使用するようになっている。ま
たヘルメット10の前面のHMD部には、前記換気用空
気が吹き出し、曇るのを防止するようになっている。
【0024】また水中服9の胴部にはピッチ/ロール機
構15が設けられており、またヘルメット10にはヨー
機構16が取り付けられており、ピッチ/ロール機構及
びヨー機構制御部19により制御されるようになってい
る。これらの機構の使用目的は、被訓練者の能動運動時
の運動を補助することである。すなわち、水中の抵抗に
より、被訓練者の回転運動は抑止されるが、角加速度を
宇宙空間と同一にするために、この抑止分を本機構で補
い、被訓練者の回転運動を確保するものである。回転運
動は、被訓練者の座標系においてロール、ピーチ及びヨ
ーの3種があるが、これらに対し、ピッチ/ロール機構
とヨー機構を用いる。基本的にはピッチ/ロール及びこ
れらの合成運動とヨー運動は、個別に与えるものとする
が、これら3種の運動を同時に与えることも可能であ
る。
【0025】次に、ピッチ/ロール機構15を図2に基
づいて説明する。訓練の目的・内容に応じて能動運動の
種類が定められるが、その能動運動に対応したピッチ運
動(身体の前後方向の傾斜/回転)か、ロール運動(身
体の左右方向の傾斜/回転)か、またはこれらの合成運
動かにより、水中服9の胴部周りに取り付けられるピッ
チ/ロール機構15の取付けベルト21上の駆動部22
を、身体背面指標23及び駆動部指標24を参考にし
て、所定の位置(角度)にセットし、その駆動部22に
駆動シャフト25をつなぐ。
【0026】駆動部22は、ベルト21上の駆動部移動
用ガイド26上を、駆動部22に組み込まれている例え
ばピニオン機構により、制御信号に基づいて所定位置ま
で移動し、そこでロックされることによりセットされ
る。例えば、身体背面指標位置に駆動部22をセットす
ると、ロール方向の傾斜/回転運動を与えることができ
る。一方、90°位置にセットすると、ピッチ方向の傾
斜/回転運動を与えることができる。更に駆動部22を
ベルト21上の任意位置にもってきてセットすることに
より、ロールとピッチの合成運動を与えることができ
る。なお図2において、27はベルト21を水中服9に
取り付けるためのブラダーである。
【0027】ロール角及びピッチ角の設定は、予め地上
で行ってもよいが、訓練中に水中でのロール角及びピッ
チ角の変更が、地上からの遠隔操作で可能なように構成
できる。なお、ヨー機構16においても同様に駆動シャ
フトにより、ヨー方向の傾斜/回転運動を与えるように
構成されている。
【0028】また、被訓練者8の安全確保及び空間識形
成の状況をモニターするために、生体信号センサを被訓
練者に取り付けるようになっている。センサの種類は、
心電図、眼振、瞳孔反射画像、体温、血圧(連続)、筋
電図等を得るためのものである。心電図、体温、血圧
は、主としてバイタルサインとして、被訓練者の安全の
確認(生存の確認)目的で使用される。眼振及び瞳孔反
射画像は、空間識形成/混乱の状況の指標として活用さ
れる。腕、脚、首等の筋電図は、体勢感覚の作用の程度
の指標となる。
【0029】心電図、筋電図及び眼振は、電極を身体の
測定対象部位に貼り付けて得る。体温は、サーミスタを
測定対象部位に取り付けて検出する。瞳孔反射画像は、
HMDにCCDカメラを取り付け、眼球を撮影して得
る。連続血圧は、カフ・センサを指や手首に取り付けて
検出する。
【0030】各センサからの信号は、アンプ(プリアン
プ)で増幅され、テレメータ送信部で所定のプロトコル
/フォーマットに変換され、身体情報検出部18に向け
て発信されるようになっている。テレメータのメディア
としては、無線では赤外線、電波等が用いられる他に、
アンビリカル13を経由して有線で伝送する方法を用い
ることができる。
【0031】また訓練装置には能動運動時の身体位置及
び各部の反力の計測部20が設けられており、この計測
部20からの制御信号により、ピッチ/ロール機構及び
ヨー機構制御部19、壁移動制御部7並びに視覚情報付
与部17を駆動するようになっている。
【0032】次に、このように構成されている空間識適
応の訓練装置を用いた訓練方法について説明する。訓練
は、空間識を混乱させる前に、まず、水中の移動及び正
常視覚情報を与えて水中における擬似微小重力環境下に
慣熟させた後、空間識の混乱を惹起させ、次いでリファ
レンスを与えて空間識の混乱を矯正させ、効果を確認す
る課程からなっている。
【0033】(1)水中での擬似微小重力環境(擬似宇
宙環境)への慣熟課程 水中への潜水 被訓練者8は水中服9及びヘルメット10を着用して、
深さ2〜3m程度の水槽1内に入り、水中に浮くように
(中性浮力)、重しを水中服9に取り付けて調整する。
これにより被訓練者8を擬似無重力環境下におく。
【0034】能動運動の実施 能動運動は、被訓練者8の自己意思で、水中で3次元的
に宇宙空間と同等の運動を可能ならしめるものである。
この能動運動の際、水中の抵抗により被訓練者の運動が
阻止されるが、角加速度については、前記ピッチ/ロー
ル機構15及びヨー機構16で運動補助することによ
り、並進運動時の直線加速度については、壁移動機構6
の相対運動により対処する。なお、訓練目的によって
は、受動運動(被訓練者は自己意志では動かずに、動か
されるままの運動)を行わせる訓練の実施も可能であ
る。
【0035】この能動運動においては、別途、設定する
モーションプロファイルで、約数分〜1時間程度、身体
を動かす。または、被訓練者は、自己の意志で能動運動
を行う。モーションプロファイルは、基本的には数分間
の長さの基本運動単位からなり、これらを組み合わせて
又は繰り返して能動運動が構成される。次に基本運動単
位について例示する。運動の開始は、被訓練者が基準壁
3の把持金具4につかまって、自己の身体を固定させた
状態から、把持金具4を押し出すことにより行う。この
際、同時に足で基準壁3をけり出す動作を伴ってもよ
い。これらの動作により、被訓練者の身体は、手での押
し出し条件及び足でのけり出し条件により、水中を並進
運動と回転運動が合成された状態で、移動し始める。但
し、そのままでは水中抵抗により、数秒後には移動が停
止する。これら実際の能動運動時の身体各部の位置の座
標を、身体位置・反力計測部20で所定時間毎に計測す
る。身体位置の計測は、例えば磁気による方式や画像処
理による方式で、3次元的に行う。
【0036】動きのシミュレーション 実際の宇宙空間での動きをシミュレートするためには、
次の操作を行う。まず身体運動時の初期条件を算出す
る。これは、基準壁3に作用する反力から求められる。
これらの反力は、基準壁3に所定ピッチで埋め込まれて
いる感圧素子で、作用の位置と作用の時間変化を連続的
に検出・演算することにより、大きさと作用の方向を求
める。反力を求めるには、感圧素子を基準壁3に埋め込
む代わりに、水中服9の手のグラブ部分及び足の靴裏部
分に埋め込んでもよい。更に、反力の代わりに、押し出
し及びけり出し直後の身体の主要位置の時間変化を検出
・演算して、運動特性(初期条件)を求めてもよい。次
に、この初期条件をもとに、宇宙空間での身体の運動を
演算して求める。例えば、数秒から十数秒後に基準壁3
と反対側の壁に到達するまでの、身体各部の位置の座標
を、所定の時間毎に求めるようにする。
【0037】動きの補助 宇宙空間での身体位置と水中での実際の身体位置との差
を、次のようにして補正する。まず回転については、位
置情報のフィードバック制御により、制御部19を介し
てピッチ/ロール機構15及びヨー機構16により、所
定時間毎に、宇宙空間での動きと同一になるように、水
中服9及びヘルメット10を回転駆動する。これによ
り、被訓練者は宇宙空間と同一の角加速度を与えられる
ことになる。次に、並進運動については、身体位置・反
力計測部20からの制御信号により、制御部7を介して
移動壁5を壁移動機構6によって、被訓練者に近づける
ことにより、相対的に被訓練者の身体各位置が反対側の
移動壁5に接近することになる。
【0038】体勢感覚の付与 体勢感覚は、被訓練者8が基準壁3及び移動壁5の把持
金具4を把持したり、壁を押し出し/けり出したりする
ことにより、更に壁にたどりついて壁に触れることによ
り、反力を感じたり、触覚により付与される。
【0039】視覚情報/視覚刺激の付与 宇宙空間を移動しているのと同一の正常視覚情報(例え
ば、宇宙船内の情景や宇宙船外の情景等)を、HMD上
に画像として投影し、身体移動の条件に従い、画像を変
化させる。例えば、前記動きの補助の項で説明した並進
運動時に、被訓練者に視覚情報表示部14を介して、宇
宙空間を移動している際の視覚情報と同一の視覚情報を
与えることにより、実際には、水中で被訓練者が殆ど並
進運動をしていない状況で、宇宙空間と同じ運動をして
いるという感覚を得ることが可能になる。
【0040】上記正常視野情報を与える画像について
は、被訓練者の水中の位置を、例えば毎秒30回程度サ
ンプリングし、この位置に対応して、被訓練者が宇宙空
間で見えると想定される正規視覚情報を、地上に設置し
た視覚情報付与部17の画像生成部でリアルタイムで生
成し、画像伝送部(光ファイバ及び送受信部、入出力イ
ンターフェース等で構成されている)を介して、表示部
14へ伝送するという処理を行う。表示部14で表示さ
れる画像の周波数(毎秒当たりのコマ数)としては、3
0Hz程度以上が望ましい。これより遅いと画像がちら
ついたり、画がとんだりして、現実感が少なくなる。ま
た、リアルタイム性については、時間遅れを1/10秒
以下に抑える必要がある。これより遅いと、被訓練者の
身体の動きと視覚情報とでミスマッチが発生し、空間識
混乱の原因となるおそれがある。
【0041】(2)空間識の混乱を惹起する課程 混乱視覚情報/混乱視覚刺激の付与 被訓練者が上記水中の無重力環境下の移動及び正常視野
情報の付与に十分に慣熟したら、次に空間識を混乱させ
る課程に入る。この課程は、被訓練者の移動の状況とミ
スマッチを起こしている視覚情報すなわち混乱視覚情報
/混乱視覚刺激を付与することにより行う。ミスマッチ
による空間識の混乱の程度は、一般的に、予め定量化/
データベース化されており、訓練の段階、程度内容に応
じて、混乱視野情報/混乱視野刺激の内容を選択する。
【0042】混乱視野情報としては、例えば、身体の移
動と全く異なる、すなわち被訓練者に入力される加速度
情報と異なる視野情報、例えば、被訓練者に右回りに回
転しているのに、左回りに回転している視野情報を付与
する。混乱視野刺激としては、複数のスポット(点状)
を、例えば、視野上の左右方向にあるいは上下方向に連
続的に移動させたり、複数の縞を、同じく視野上の左右
方向あるいは上下方向に連続的に移動させたりすること
により、被訓練者に強制的に、ベクション(Vection )
を発生させる。また、これらの視覚情報と視覚刺激を組
み合わせる方法でもよい。
【0043】空間識混乱の程度の把握 空間識混乱の程度は、自覚的に感じることにより及び他
覚的にモニタすることにより行う。まず、自覚症状とし
ては、空間識混乱の結果、めまいを感じたり、吐き気を
もよおすことがある。訓練中に、これらの自覚症状が発
生した場合は、危険であることが多いので、即刻、訓練
を中止できるように、ヘルメット10内に設置してある
通話装置により、被訓練者が視覚情報の停止/変更や、
訓練の中止を求めることができるようになっている。
【0044】一方、空間識混乱の状況の外部からの把握
(他覚的モニタリング)は、主として被訓練者の身体各
部の3次元位置情報をモニタ、解析することにより行
う。解析は、主として身体の姿勢制御機能(姿勢安定性
/身体平衡機能)をチェックする。具体的には、宇宙空
間での理想的な姿勢制御のモデル(数式モデル)と実際
の姿勢制御状態とを比較して、その差の大きさを評価し
て判定する。姿勢制御モデルは、訓練目的により精度が
要求される場合は、個人差を考慮して設定する。また、
これらの身体各部の3次元情報の他に、生体信号がモニ
タ、解析される。生体信号としては、主として眼振及び
眼球運動がチェック対象となる。
【0045】(3)リファレンスを付与する課程 リファレンスを付与する目的は、空間識の混乱を矯正す
る手法を、被訓練者に身につけさせることである。この
訓練の主眼は、自己基準軸の形成/確立である。このた
めに次のようなリファレンスを付与する。
【0046】基準視覚情報/基準視覚刺激の付与によ
る座標の認識 周囲座標と自己身体の運動ベクトル(身体軸の動きー位
置、加速度、速度)を、周囲の物体・構造等と自己の身
体との相対関係を介して、知らしめることにより、座標
を認識させる。このためには、主として、表示部14に
画像(基準視覚情報/基準視覚刺激と、これらの視野の
中での自己の身体画像)を表示することで対応する。表
示部14に画像を表示する方法としては、前記視覚情報
付与部17の画像生成部で人工的に画像を生成してもよ
く、あるいはカメラ等からの実画像を用いてもよい。更
に、場合によっては、表示部14にシースルー機能を付
加して、周囲の状況を直視する方法でもよい。
【0047】空間識の混乱を矯正するような視覚情報/
視覚刺激としては、まず、宇宙空間を移動しているのと
同一の視野情報を付与した上で、更に視野上の基準軸、
例えば水平軸あるいは垂直軸となる軸情報を付加して付
与する。これらの軸情報は、具体的には、宇宙船内の天
井や床、あるいは壁等の視野情報が効果的である。視覚
刺激としては、連続的に移動するスポットや縞模様の中
に、移動しない固視的(1個の静止スポット)を視野の
中央におく等の方法がある。またこれらの視覚情報と視
覚刺激とを組み合わせて付与するようにしてもよい。
【0048】体勢感覚の付与 体勢感覚の付与は、被訓練者を、主として周囲の物体
(壁、把持金具等)に触れさせたり、つかまえさせた
り、押し出したり、けったりさせることにより行う。
【0049】前庭器への入力 前庭器への入力、すなわち半規管への角加速度情報及び
耳石器への直線加速度情報を入力するためには、被訓練
者に、水中で3次元空間的に能動運動を実施させればよ
い。被訓練者が、自己の意志で自由に動き回ることによ
り、所要の加速度情報が入力される。
【0050】自己基準軸の確認訓練 上記付与されたリファレンスを参考にして、被訓練者は
マニュアルに従い、自己基準軸の形成/確立の訓練を行
う。必要な場合は、訓練中にリアルタイムで、自己基準
軸の形成/確立の程度や結果は、被訓練者にフィードバ
ックされる。この訓練を、訓練効果の向上が認められる
まで、数回〜十数回繰り返す。
【0051】(4)訓練効果の確認の課程 上記訓練による効果の確認は、前記空間識に混乱を惹起
する課程における空間識混乱の程度、並びに前記リファ
レンス付与による空間識の混乱の矯正の課程における自
己基準軸の形成/確立の程度をチェックすることにより
行う。具体的には、前記他覚的モニタリングを行って、
別途定める基準により評価を行う。
【0052】上記実施例は、被訓練者を水中に潜水させ
て訓練を行うようにしたものを示したが、水面上におい
て同様な訓練を行わせても、擬似微小重力環境とするこ
とができ、同様な効果が得られる。また、水中ではな
く、水と同程度の比重を有する、例えば海水等の液体中
に潜らせてあるいは液面上で訓練を行うようにしても、
同様な効果が得られる。
【0053】次に第2実施例について説明する。図3は
本発明に係る訓練装置の第2実施例における身体保持機
構部分を示す概略断面図である。この実施例は限定能動
運動モード、すなわち、水平仰向けに横たわった状態で
3次元的に4自由度で能動運動を行う(6自由度能動運
動に比し、限定された状態で能動運動を行う)モードに
対応するものである。なお、本実施例の場合において
も、訓練目的によっては、受動運動、すなわち被訓練者
が自由意志では動かずに動かされるままの運動を、行わ
せることができる。図3において、31は身体保持機構
で、被訓練者32が極力、背中からの体勢感覚を低減さ
せた状態で、すなわち、水面上に仰向けに横たわった状
態で、被訓練者にロール回転(地上座標系に対してはヨ
ー回転)を可能にすると共に、手及び足で周囲の物体
(図示しない壁、把持金具等)に触れさせたり、つかま
えさせたり、押し出したり、けったりさせることを実現
する装置である。水面上に仰向けに浮くためのデバイス
としては、図示のように、身体保持盤33の中に、水
(または水より高比重の液体)34を入れ、その上面に
薄いフイルム状シート35を敷き、その上に被訓練者3
2が横たわるように構成されている。この場合、被訓練
者32はシャーツスリーブの状態で、訓練を実施できる
という利点がある。また上記フイルム状シート35を使
用する代わりに、ウェットスーツ類似の服を着用して、
水面上に横たわるという方法も採用することができる。
【0054】そして、この身体保持機構31の全体的な
概略外観構造は図4に示すようになっており、この身体
保持機構31は並進3軸の移動機構で移動できるように
構成されている。並進3軸移動機構としては、図5の
(A)に示す天井走行ゴンドラ型並進3軸移動機構51
や、図5の(B)に示すリニアガイド型並進3軸移動機
構52や、図5の(C)に示すように複数本の油圧シリ
ンダを用いた油圧シリンダ型並進3軸移動機構53を用
いることができる。図5の(C)に示した油圧シリンダ
型並進3軸移動機構を用いた場合には、並進3軸に加え
て被訓練者にロール回転(地上座標系に対してはヨー回
転)をも付与できる利点がある。
【0055】被訓練者のロール回転及び並進3軸の動き
(反力)が、身体保持機構31及び並進移動機構51〜
53に伝達される必要があるが、これはロール駆動軸3
6を介して行われる。このロール駆動軸36は、垂直方
向には弾性状であり、回転方向には剛体状になってい
て、被訓練者32の体重と浮力の垂直方向の荷重バラン
スをとると共に、ロール駆動機構37からのロール回転
力を伝達するようになっている。このロール駆動軸36
の駆動機構37の使用目的は、能動運動時の、すなわち
宇宙空間での動き、被訓練者が周囲の物体を押したり、
けったりして、移動をする状態を作り出すために、被訓
練者の回転運動を補助するのに必要な量の駆動を行うた
めのものである。すなわち、水の抵抗や訓練装置の慣性
により、反力のみでは被訓練者の回転運動は抑止される
が、角加速度を宇宙空間と同一にするために、この抑止
分を本機構37で補い、被訓練者の回転運動を確保する
ものである。
【0056】次に、ロール駆動機構37の詳細な構成を
図6に基づいて説明する。ロール駆動軸36の一端は、
DCサーボモータ38にジョイント39を介して直結さ
れ、バックラッシュなしの応答性の高い回転運動を発生
させることができるようになっている。但し、ACサー
ボモータをエンコーダと高機能ドライバと組み合わせて
使用することも可能である。なお、図6において、40
はスラストベアリング、41は身体保持盤の底板、42
はシール用Oリング、43は身体保持機構31の底板で
ある。
【0057】一方、ロール駆動軸36の他端は、荷重伝
達部材に結合されていて、この部材を介してフイルム状
シート35に回転力が伝達されるようになっている。荷
重伝達部材は、図7に示すように、ロール駆動軸36と
結合するフランジ部44と、このフランジ部44から放
射状に張り出している放射状部材45とから構成されて
いる。放射状部材45は、フイルム状シート35に接合
されていて、回転力が正しく、すなわちフイルム状シー
ト35が力学的にしわにならないように、フイルム状シ
ート35に伝達される役目を受け持っている。このた
め、放射状部材45は、被訓練者32のロール方向には
剛体で、垂直方向には弾性体である材料特性を有してい
る。上記フイルム状シート35は、身体保持盤33の外
周壁上を、ベアリング(又はガイドローラ)46を介し
て回転できるように構成されている。
【0058】身体保持盤33の大きさは、被訓練者32
が仰向けに横たわれるだけの大きさで、且つ手と足が身
体保持盤33の周囲の物体(壁及び把持金具:図示せ
ず)に触れることができるような小ささと身体保持盤外
周壁の低さが必要で、これらに見合うように適切に形状
及び寸法が調整されている。
【0059】そしてまた、被訓練者32は視覚情報付与
用の表示部47を着用するようになっている。表示部4
7は、例えばHMD形式のもので、表示デバイスと表示
デバイス上の像を拡大・結像する光学系や、シースルー
機能を実現するためのシャッタ等で構成されている。表
示デバイスとしては、液晶ディスプレイ、CRT等を、
目的や特徴に応じて使い分けして使用するようになって
いる。
【0060】その他に、第1実施例と同様に、被訓練者
32には、生体信号センサ、アンプ及び送信器が取り付
けられるようになっている。そして外部には身体情報検
出部や視覚情報付与部、ロール駆動機構制御部、壁移動
制御部、身体位置・反力計測部等が設けられており、ま
た身体保持盤33の周囲には、先に述べたように、固定
の基準壁と壁移動制御部からの制御信号により作動する
壁移動機構で駆動される移動壁が、被訓練者32を取り
囲むように設置されている。
【0061】次に、このように構成されている第2実施
例の動作について説明する。この実施例における限定能
動運動モードでは、完全な6自由度の能動運動はできな
いが、特に耳石器からの重力加速度入力の影響を低減さ
せることができるので、重力加速度の影響を軽減すると
いう観点から、より宇宙空間の微小重力環境に近い状況
を実現できるという特徴がある。
【0062】この実施例の限定能動運動モードにおける
訓練は、身体を一定位置、例えば水平仰向け位置に保持
したままで、4軸(並進3軸及びヨー軸)の運動をさせ
ると共に、視覚情報を付与することにより、被訓練者に
宇宙空間での身体の運動及び動きを擬似的に体験させ、
対処訓練を行うもので、以下第1実施例との差異部を重
点的に、順をおって説明する。
【0063】(1)訓練装置により形成される擬似宇宙
環境への慣熟課程 身体保持盤への搭乗 被訓練者32は、表示部47を着用し、生体信号セン
サ、アンプ及び送信器を取り付け、身体保持盤33のフ
イルム状シート35上に仰向けに横たわる。この際、基
本的にはシャーツスリーブ状態でよい。
【0064】能動運動の実施 能動運動は、被訓練者の自己意志で、水面上に横たわっ
た状態で、3次元的に、但し4自由度で、宇宙空間と同
等の運動を可能ならしめることである。この能動運動の
際、摩擦抵抗及び訓練装置の慣性等により、被訓練者の
運動が阻止されるが、これらについては、角加速度に関
しては、前記身体保持機構31のロール駆動機構37で
運動補助することにより、また並進運動時の直線加速度
については、並進3軸移動機構51〜53及び壁移動機
構の協調運動により対処する。並進3軸移動機構51〜
53は、ロール駆動機構37と同様に、宇宙空間での動
きと同じ動きを実現するために必要な水平・垂直方向の
移動を受け持っている。
【0065】この能動運動においては、別途、設定する
モーションプロファイルで、約数分〜1時間程度、身体
を動かす。または、被訓練者は、自己の意志で能動運動
を行う。モーションプロファイルは、基本的には数分間
の長さの基本運動単位からなり、これらを組み合わせて
又は繰り返して能動運動が構成される。次に基本運動単
位について例示する。運動の開始は、被訓練者が図示し
ない基準壁の把持金具につかまって、自己の身体を固定
させた状態から、図示しない把持金具を押し出すことに
より行う。この際、同時に足で基準壁をけり出す動作を
伴ってもよい。これらの動作により、被訓練者の身体
は、手での押し出し条件及び足でのけり出し条件によ
り、並進運動と回転運動が合成された状態で、身体保持
機構31及び並進移動機構51〜53の作用により、移
動し始める。
【0066】動きのシミュレーション 実際の宇宙空間での動きをシミュレートするためには、
次の操作を行う。まず身体運動時の初期条件を算出す
る。これは、基準壁を押し出したり及びけり出した際に
基準壁に作用する反力から求められる。これらの反力
は、基準壁に所定ピッチで埋め込まれている感圧素子
で、作用の位置と作用の時間変化を連続的に検出・演算
することにより、大きさと作用の方向を求める。反力を
求めるには、感圧素子を基準壁に埋め込む代わりに、手
の部分及び足の裏部分に取り付けておいてもよい。更
に、反力の代わりに、押し出し及びけり出し直後の身体
の主要位置の時間変化を検出・演算して、運動特性(初
期条件)を求めてもよい。把持金具に作用する反力は、
例えば把持金具に貼り付けた歪ゲージにより検出でき
る。この場合、当然のことながら、把持金具の材質は、
十分にヤング率の低い(歪ゲージで検出できる程度に変
形する)ものである必要がある。次に、この初期条件を
もとに、宇宙空間での身体の運動を演算して求める。例
えば、数秒から十数秒後に基準壁と反対側の壁に到達す
るまでの、身体各部の位置の座標を、所定の時間毎に求
めるようにする。
【0067】動きの補助 宇宙空間での身体位置と実際の身体位置との差を、次の
ように補正する。実際の身体各部の位置の座標を、所定
の時間毎に計測する。身体位置の計測は、例えば磁気に
よる方式や画像処理による方式で、3次元的に行う。ま
ず、回転については、位置情報のフィードバック制御に
より、ロール駆動機構37によって所定時間毎に、宇宙
空間での動きと同一になるように、フイルム状シート3
5を回転駆動する。これにより、被訓練者32は宇宙空
間と同一の角加速度が与えられるたことになる。
【0068】次に並進運動については、まず身体保持盤
33を位置情報のフィードバック制御により、並進3軸
移動機構51〜53によって所定時間毎に、宇宙空間で
の動きと同一になるように並進駆動する。更に、移動壁
を壁移動機構により、宇宙空間での位置及び角度になる
ように、被訓練者に近づけることにより、被訓練者の身
体各位置が、反対側の壁(移動壁)に接近することにな
る。これらにより、被訓練者は宇宙空間と同一の並進運
動を与えられることになる。
【0069】体勢感覚の付与 体勢感覚は、被訓練者が基準壁及び移動壁の把持金具を
把持したり、壁を押し出し/けり出したりすることによ
り、更に壁にたどりついて壁に触れることにより、反力
を感じたり、触覚により、付与される。また、訓練上阻
害要因になる恐れのある背中への反力は、水面から均一
に分散されて入力されるので、体勢感覚としては軽減さ
れている。
【0070】視覚情報/視覚刺激の付与 宇宙空間を移動しているのと同一の正常視覚情報(例え
ば、宇宙船内の情景や宇宙船外の情景等)を、表示部4
7のHMD上に画像として投影し、身体移動の条件に従
い、画像を変化させる。例えば、前記動きの補助の項で
説明した並進運動時に、被訓練者に視覚情報表示部47
を介して、宇宙空間を移動している際の視覚情報と同一
の視覚情報を与えることにより、実際の宇宙空間と同じ
運動をしているという感覚を得ることが可能になる。
【0071】上記正常視野情報を与える画像について
は、被訓練者の3次元位置を、例えば毎秒30回程度サ
ンプリングし、この位置に対応して、被訓練者が宇宙空
間で見えると想定される正規視覚情報を、地上に設置し
た視覚情報付与部の画像生成部でリアルタイムで生成
し、画像伝送部(光ファイバ及び送受信部、入出力イン
ターフェース等で構成されている)を介して、表示部4
7へ伝送するという処理を行う。表示部47で表示され
る画像の周波数(毎秒当たりのコマ数)としては、30
Hz程度以上が望ましい。これより遅いと画像がちらつ
いたり、画がとんだりして、現実感が少なくなる。ま
た、リアルタイム性については、時間遅れを1/10秒
以下に抑える必要がある。これより遅いと、被訓練者の
身体の動きと視覚情報とでミスマッチが発生し、空間識
混乱の原因となるおそれがある。
【0072】(2)空間識の混乱を惹起する課程 混乱視覚情報/混乱視覚刺激の付与 被訓練者が本装置により形成された擬似宇宙環境におけ
る移動及び正常視野情報の付与に十分に慣熟したら、次
に空間識を混乱させる課程に入る。この課程は、被訓練
者の移動の状況とミスマッチを起こしている視覚情報す
なわち混乱視覚情報/混乱視覚刺激を付与することによ
り行う。ミスマッチによる空間識の混乱の程度は、一般
的に、予め定量化/データベース化されており、訓練の
段階、程度内容に応じて、混乱視野情報/混乱視野刺激
の内容を選択する。
【0073】混乱視野情報としては、例えば、身体の移
動と全く異なる、すなわち被訓練者に入力される加速度
情報と異なる視野情報、例えば、被訓練者に右回りに回
転しているのに、左回りに回転している視野情報を付与
する。混乱視野刺激としては、複数のスポット(点状)
を、例えば、視野上の左右方向にあるいは上下方向に連
続的に移動させたり、複数の縞を、同じく視野上の左右
方向あるいは上下方向に連続的に移動させたりすること
により、被訓練者に強制的に、ベクション(Vection )
を発生させる。また、これらの視覚情報と視覚刺激を組
み合わせる方法でもよい。
【0074】空間識混乱の程度の把握 空間識混乱の程度は、自覚的に感じることにより及び他
覚的にモニタすることにより行う。まず、自覚症状とし
ては、空間識混乱の結果、めまいを感じたり、吐き気を
もよおすことがある。訓練中に、これらの自覚症状が発
生した場合は、危険であることが多いので、即刻、訓練
を中止できるように、身体保持盤33内に設置してある
通話装置により、被訓練者32が視覚情報の停止/変更
や、訓練の中止を求めることができるようになってい
る。
【0075】一方、空間識混乱の状況の外部からの把握
(他覚的モニタリング)は、主として被訓練者の身体各
部の3次元位置情報をモニタ、解析することにより行
う。解析は、主として身体の姿勢制御機能(姿勢安定性
/身体平衡機能)をチェックする。具体的には、宇宙空
間での理想的な姿勢制御のモデル(数式モデル)と実際
の姿勢制御状態とを比較して、その差の大きさを評価し
て判定する。姿勢制御モデルは、訓練目的により精度が
要求される場合は、個人差を考慮して設定する。また、
これらの身体各部の3次元情報の他に、生体信号がモニ
タ、解析される。生体信号としては、主として眼振及び
眼球運動がチェック対象となる。
【0076】(3)リファレンスを付与する課程 リファレンスを付与する目的は、空間識の混乱を矯正す
る手法を、被訓練者に身につけさせることである。この
訓練の主眼は、自己基準軸の形成/確立である。このた
めに次のようなリファレンスを付与する
【0077】基準視覚情報/基準視覚刺激の付与によ
る座標の認識 周囲座標と自己身体の運動ベクトル情報(身体軸の動き
ー位置、加速度、速度)を、周囲の物体・構造等と自己
の身体との相対関係を介して、知らしめることにより、
座標を認識させる。このためには、主として、表示部4
7に画像(基準視覚情報/基準視覚刺激と、これらの視
野の中での自己の身体画像)を表示することで対応す
る。表示部47に画像を表示する方法としては、前記視
覚情報付与部の画像生成部で人工的に画像を生成しても
よく、あるいはカメラ等からの実画像を用いてもよい。
更に、場合によっては、表示部にシースルー機能を付加
して、周囲の状況を直視する方法でもよい。
【0078】空間識の混乱を矯正するような視覚情報/
視覚刺激としては、まず、宇宙空間を移動しているのと
同一の視野情報を付与した上で、更に視野上の基準軸、
例えば水平軸あるいは垂直軸となる軸情報を付加して付
与する。これらの軸情報は、具体的には、宇宙船内の天
井や床、あるいは壁等の視野情報が効果的である。視覚
刺激としては、連続的に移動するスポットや縞模様の中
に、移動しない固視的(1個の静止スポット)を視野の
中央におく等の方法がある。またこれらの視覚情報と視
覚刺激とを組み合わせて付与するようにしてもよい。
【0079】体勢感覚の付与 体勢感覚の付与は、被訓練者を、主として周囲の物体
(壁、把持金具等)に触れさせたり、つかまえさせた
り、押し出したり、けったりさせることにより行う。
【0080】前庭器への入力 前庭器への入力、すなわち限定能動運動モードの場合に
は、特に半規管への角加速度情報を重点的に入力するた
めに、被訓練者に、横たわった状態で3次元空間的に能
動運動を実施させる。被訓練者が、自己の意志で自由に
動き回ることにより、所要の加速度情報が入力される。
【0081】自己基準軸の確認訓練 上記付与されたリファレンスを参考にして、被訓練者は
マニュアルに従い、自己基準軸の形成/確立の訓練を行
う。必要な場合は、訓練中にリアルタイムで、自己基準
軸の形成/確立の程度や結果が、被訓練者にフィードバ
ックされる。この訓練を、訓練効果の向上が認められる
まで、数回〜十数回繰り返す。
【0082】(4)訓練効果の確認の課程 上記訓練による効果の確認は、前記空間識に混乱を惹起
する課程における空間識混乱の程度、並びに前記リファ
レンス付与による空間識の混乱の矯正課程における自己
基準軸の形成/確立の程度をチェックすることにより行
う。具体的には、前記他覚的モニタリングを行って、別
途定める基準により評価を行う。
【0083】以上、能動運動モードと限定能動運動モー
ドに対応する2つの実施例について説明を行ったが、各
実施例における各構成部材は、被訓練者の運動中におけ
る反力及び身体位置等の検出に基づいて、図1〜図7に
おいては図示が省略されている制御部により、先に述べ
たように制御されるようになっており、その制御部にお
ける制御内容をまとめてブロック図で示すと図8のよう
に表される。図8において、61は初期条件検出部で、
壁等をつき放す/けり出す際の壁等から受ける手/足の
反力(ベクトル)と加速度を検出するブロックである。
62は運動量演算部で、前記初期条件検出部61からの
検出出力を受けて、宇宙環境下での運動量(移動方向、
加速度、速度、位置)を算出するブロックである。63
は身体状態検出部で、運動中(移動中)の実際の身体各
部の位置、速度、加速度を検出するブロックである。そ
して前記運動量演算部62の出力は、並進運動量演算部
(水による抵抗分を補正するのに必要な並進量を求める
演算部)64、回転運動量演算部(水による抵抗分を補
正するのに必要な回転量を求める演算部)65、状態/
モデル比較部68へそれぞれ入力され、一方、前記身体
状態検出部63の出力は、並進運動量演算部64、回転
運動量演算部65、視界情報演算部66、身体情報演算
部67、状態/モデル比較部68へそれぞれ入力され
る。
【0084】そして、並進運動量演算部64の出力は壁
移動制御部69へ入力され、該壁移動制御部69は壁移
動機構への出力を演算・制御し、また回転運動量演算部
65の出力はピッチ/ロール・ヨー駆動制御部70へ入
力され、該駆動制御部70はピッチ/ロール機構及びヨ
ー機構への出力を演算・制御するようになっている。前
記視界情報演算部66は、水による抵抗の影響を補正す
るため周囲の視界の状況を作成するブロックであり、身
体情報演算部67は被訓練者の手、足、眼球等の動きな
どを表示するための演算を行うブロックである。また状
態/モデル比較部68は、実際の被訓練者の運動状態と
数式モデルの運動状態とを比較して差を出力するブロッ
クである。そして、前記視界情報演算部66、身体情報
演算部67及び状態/モデル比較部68からの各出力は
視覚情報付与部71へ入力するようになっており、該視
覚情報付与部71は情報表示部への情報出力を演算・制
御するブロックである。また状態/モデル比較部68の
出力は解析・評価部72へ入力され、訓練結果の解析・
評価が行われるようになっている。
【0085】
【発明の効果】以上実施例に基づいて説明したように、
本発明に係る空間識適応の訓練方法によれば、宇宙にお
いて空間識が正しく形成されない場合に生じる錯覚・錯
誤に対処する能力を適確に与えることができる。また空
間識適応の訓練装置によれば、地上において宇宙空間で
発生するのと同様の空間識の混乱状態を容易に実現でき
ると共に、空間識の混乱の矯正を行わせることができ、
更に空間識混乱の程度並びにその矯正の度合を容易にチ
ェックすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る空間識適応の訓練方法及び訓練装
置の第1実施例を説明するための概略説明図である。
【図2】図1に示した第1実施例におけるピッチ/ロー
ル機構を示す概略斜視図である。
【図3】本発明の第2実施例の身体保持機構部分を示す
概略断面図である。
【図4】図3に示した身体保持機構の全体の外観を示す
概略斜視図である。
【図5】第2実施例の並進3軸移動機構を示す概略斜視
図である。
【図6】第2実施例のロール駆動機構を示す図である。
【図7】第2実施例の荷重伝達部材を示す図である。
【図8】各実施例における制御部における制御内容をま
とめて示すブロック図である。
【符号の説明】
1 水槽 2 水 3 基準壁 4 把持金具 5 移動壁 6 移動機構 7 壁移動制御部 8 被訓練者 9 水中服 10 ヘルメット 11 空気調和・再生装置 12 冷却水循環装置 13 アンビリカル 14 表示部 15 ピッチ/ロール機構 16 ヨー機構 17 視覚情報付与部 18 身体情報検出部 19 ピッチ/ロール機構及びヨー機構制御部 20 身体位置・反力計測部 21 取付けベルト 22 駆動部 23 身体背面指標 24 駆動部指標 25 駆動シャフト 26 駆動部移動用ガイド 27 ブラダー 31 身体保持機構 32 被訓練者 33 身体保持盤 34 水 35 フイルム状シート 36 ロール駆動軸 37 ロール駆動機構 38 DCサーボモータ 39 ジョイント 40 スラストベアリング 41 身体保持盤底板 42 Oリング 43 身体保持機構底板 44 フランジ部 45 放射状部材 46 ベアリング 47 表示部 51〜53 並進3軸移動機構
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 毛利 衛 東京都港区浜松町2丁目4番1号 宇宙開 発事業団内 (72)発明者 関口 千春 東京都港区浜松町2丁目4番1号 宇宙開 発事業団内 (72)発明者 矢代 清高 東京都港区浜松町2丁目4番1号 宇宙開 発事業団内 (72)発明者 村井 正 東京都港区浜松町2丁目4番1号 宇宙開 発事業団内 (72)発明者 若田 光一 東京都港区浜松町2丁目4番1号 宇宙開 発事業団内 (72)発明者 三好 寛 東京都港区浜松町2丁目4番1号 宇宙開 発事業団内 (72)発明者 阿部 貴宏 東京都港区浜松町2丁目4番1号 宇宙開 発事業団内 (72)発明者 荒木 秀二 東京都港区浜松町2丁目4番1号 宇宙開 発事業団内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被訓練者を水中又は水と同程度の比重を
    有する液体中、もしくは水面上又は液体面上に位置さ
    せ、擬似微小重力環境を与えるステップと、正常視覚情
    報及び又は正常視覚刺激を与えながら被訓練者を能動的
    又は受動的に移動及び回転させ、宇宙空間における身体
    の運動及び動きを擬似的に体験させるステップと、混乱
    視覚情報及び又は混乱視覚刺激を与えて、被訓練者に空
    間識の混乱を惹起させるステップと、基準情報を付与し
    て空間識の混乱を矯正するステップと、空間識の混乱並
    びにその矯正の度合を評価・判断するステップとを備え
    ていることを特徴とする空間識適応の訓練方法。
  2. 【請求項2】 前記正常視覚情報としては、被訓練者の
    移動及び回転に伴い、宇宙空間において同様の運動した
    ときに得られる視覚情報と同一の視覚情報を付与するこ
    とを特徴とする請求項1記載の空間識適応の訓練方法。
  3. 【請求項3】 前記能動的又は受動的な移動及び回転
    は、外部よりそれらの運動が補助されて行われることを
    特徴とする請求項1又は2記載の空間識適応の訓練方
    法。
  4. 【請求項4】 混乱視覚情報は、被訓練者の移動及び回
    転の状況とミスマッチを起こしている視覚情報であるこ
    とを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の空
    間識適応の訓練方法。
  5. 【請求項5】 前記基準情報は、基準軸情報を有する基
    準視野情報と該視野情報中に写した被訓練者の身体画像
    を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に
    記載の空間識適応の訓練方法。
  6. 【請求項6】 前記基準情報は、連続的に移動するパタ
    ーン画像中に固視点を中央に設けた基準視覚刺激を含む
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の
    空間識適応の訓練方法。
  7. 【請求項7】 前記空間識の混乱及びその矯正の度合
    は、被訓練者の身体各部の3次元位置情報及び生体信号
    と数式モデルとの対比により評価・判断することを特徴
    とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の空間識適応
    の訓練方法。
  8. 【請求項8】 水又は水と同程度の比重を有する液体を
    満たし、基準壁と移動壁とを備えた水槽と、被訓練者の
    生命維持部と、被訓練者の水中における運動を補助する
    ための手段と、被訓練者に空間識の形成、混乱、矯正の
    ための視覚情報及び視覚刺激を与える視覚情報付与部
    と、被訓練者の身体情報、身体位置及び反力を計測し、
    前記移動壁、運動補助手段及び視覚情報付与部を制御
    し、被訓練者の身体情報及び身体位置情報と数式モデル
    との対比で空間識形成の解析・評価を行う制御部とを備
    えていることを特徴とする空間識適応の訓練装置。
  9. 【請求項9】 前記生命維持部は、水中服とヘルメット
    と空気調和・再生装置と冷却水循環装置とアンビリカル
    とを備えていることを特徴とする請求項8記載の空間識
    適応の訓練装置。
  10. 【請求項10】 前記運動補助手段は、ピッチ/ロール機
    構及びヨー機構であることを特徴とする請求項8又は9
    記載の空間識適応の訓練装置。
  11. 【請求項11】 水又は水より大なる比重を有する液体を
    満たし、水又は液体面上に回転可能に配設し被訓練者を
    仰向けに保持するためのフイルム状シートを備えた身体
    保持機構と、該身体保持機構の周囲に配設した基準壁及
    び移動壁と、被訓練者の運動を補助するための手段と、
    被訓練者に空間識の形成、混乱、矯正のための視覚情報
    及び視覚刺激を与える視覚情報付与部と、被訓練者の身
    体情報、身体位置及び反力を計測し、前記移動壁、運動
    補助手段及び視覚情報付与部を制御し、被訓練者の身体
    情報及び身体位置情報と数式モデルとの対比で空間識形
    成の解析・評価を行う制御部とを備えていることを特徴
    とする空間識適応の訓練装置。
  12. 【請求項12】 前記運動補助手段は、前記フイルム状シ
    ートを回転駆動するロール駆動機構と、前記身体保持機
    構を並進3軸移動させる機構であることを特徴とする請
    求項11記載の空間識適応の訓練装置。
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