JPH07275350A - 経大動脈弁左心バイパス用カニューレ - Google Patents
経大動脈弁左心バイパス用カニューレInfo
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- JPH07275350A JPH07275350A JP6077193A JP7719394A JPH07275350A JP H07275350 A JPH07275350 A JP H07275350A JP 6077193 A JP6077193 A JP 6077193A JP 7719394 A JP7719394 A JP 7719394A JP H07275350 A JPH07275350 A JP H07275350A
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Abstract
(57)【要約】
【構成】 長さ方向に貫通する主腔2と副腔3を有する
二重腔チューブからなり、その前方部の外周にはバルー
ン4が付設され、副腔の先端は封止されていて、複数個
の開口部5によりバルーンの内腔に連通したカニューレ
と、可撓性チューブからなり、先端部が円錐状に形成さ
れ後端には逆流防止弁34を有する基部33を設けた内
筒31とで構成され、カニューレの基部と内筒の基部と
は着脱可能な状態で密閉的に接合できるようにした。 【効果】 挿入に伴う出血がなく、大動脈弁を徐々に無
理なく開口して容易に通過できて、緊急時にも安全かつ
迅速に装着することができる。
二重腔チューブからなり、その前方部の外周にはバルー
ン4が付設され、副腔の先端は封止されていて、複数個
の開口部5によりバルーンの内腔に連通したカニューレ
と、可撓性チューブからなり、先端部が円錐状に形成さ
れ後端には逆流防止弁34を有する基部33を設けた内
筒31とで構成され、カニューレの基部と内筒の基部と
は着脱可能な状態で密閉的に接合できるようにした。 【効果】 挿入に伴う出血がなく、大動脈弁を徐々に無
理なく開口して容易に通過できて、緊急時にも安全かつ
迅速に装着することができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、重篤な心機能不全の治
療で実施される補助循環に使用するカニューレに関する
ものであり、拍動流による左心バイパスを迅速に実施す
ることを可能とする、経大動脈弁左心バイパス用カニュ
ーレに関するものである。
療で実施される補助循環に使用するカニューレに関する
ものであり、拍動流による左心バイパスを迅速に実施す
ることを可能とする、経大動脈弁左心バイパス用カニュ
ーレに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、心不全の死亡要因に占める割合
は、年々増加する傾向にある。これに伴い、機能不全に
陥った心臓のポンプ機能を一時的に代行するいろいろな
補助循環法が検討、開発されてきている。
は、年々増加する傾向にある。これに伴い、機能不全に
陥った心臓のポンプ機能を一時的に代行するいろいろな
補助循環法が検討、開発されてきている。
【0003】重症の心不全患者は心臓の収縮力が低下、
もしくは喪失しているため、心臓から血液を送り出すこ
とができなくなっている。このため、全身の血液循環が
滞り、脳、肝臓、腎臓等に酸素や栄養を送ることができ
なくなる。そのまま放置した場合、心臓の回復を見込め
ないばかりか、脳や臓器に傷害が発生する危険性がでて
くる。補助循環の目的は、このような状態の心臓に代わ
って、脳や臓器への血液循環を維持し、血行動態を改善
するとともに、心臓が行っている仕事量を軽減して、そ
の回復を図ることにある。
もしくは喪失しているため、心臓から血液を送り出すこ
とができなくなっている。このため、全身の血液循環が
滞り、脳、肝臓、腎臓等に酸素や栄養を送ることができ
なくなる。そのまま放置した場合、心臓の回復を見込め
ないばかりか、脳や臓器に傷害が発生する危険性がでて
くる。補助循環の目的は、このような状態の心臓に代わ
って、脳や臓器への血液循環を維持し、血行動態を改善
するとともに、心臓が行っている仕事量を軽減して、そ
の回復を図ることにある。
【0004】このような目的で現在実用に供されている
補助循環法には、大動脈内バルーンポンピング法(以
下、IABPと略す)、静脈−動脈バイパス法(以下、
VABと略す)、補助人工心臓(以下、VADと略す)
等を使用した左心バイパス法がある。しかし、これらの
方法は緊急かつ強力な補助循環を必要とする重症心不全
患者に対しては、必ずしも十分な補助循環手段とは言え
ない。例えば、IABPは、心原性ショック等の重篤な
状態には効果が期待できず、救命率は40%以下であ
る。VABは血液循環の維持が可能であるが、血液拍出
時の心臓の負荷を増加するため、重症心不全の急性期を
のりきり、心臓の回復を図るための手段としては適切で
ない。また、VADは特別な設備を必要とし、装着には
開胸手術を必要とするので、緊急時には対応できないと
いう大きな欠点を有する。このため、迅速、容易に使用
できる強力な補助循環法が切望されていた。
補助循環法には、大動脈内バルーンポンピング法(以
下、IABPと略す)、静脈−動脈バイパス法(以下、
VABと略す)、補助人工心臓(以下、VADと略す)
等を使用した左心バイパス法がある。しかし、これらの
方法は緊急かつ強力な補助循環を必要とする重症心不全
患者に対しては、必ずしも十分な補助循環手段とは言え
ない。例えば、IABPは、心原性ショック等の重篤な
状態には効果が期待できず、救命率は40%以下であ
る。VABは血液循環の維持が可能であるが、血液拍出
時の心臓の負荷を増加するため、重症心不全の急性期を
のりきり、心臓の回復を図るための手段としては適切で
ない。また、VADは特別な設備を必要とし、装着には
開胸手術を必要とするので、緊急時には対応できないと
いう大きな欠点を有する。このため、迅速、容易に使用
できる強力な補助循環法が切望されていた。
【0005】本発明者らは、迅速な装着が可能で効果的
な補助循環装置の研究を実施した結果、大腿動脈から経
大動脈弁的に左心室にアプローチでき、かつ大動脈内バ
ルーンを備えた左心バイパス用カニューレ、血液ポン
プ、バルーン駆動装置から構成される補助循環装置を発
明し、これを特開平3−198864号公報に開示し
た。
な補助循環装置の研究を実施した結果、大腿動脈から経
大動脈弁的に左心室にアプローチでき、かつ大動脈内バ
ルーンを備えた左心バイパス用カニューレ、血液ポン
プ、バルーン駆動装置から構成される補助循環装置を発
明し、これを特開平3−198864号公報に開示し
た。
【0006】ここで、特開平3−198864号公報に
開示した補助循環装置について、図4を使用して概説
し、本発明の背景を明確にする。ここで使用されるカニ
ューレ(1)は、先端を封止した副腔を有する二重腔チ
ューブ、及びその前方部の外周に気密的に付設されたバ
ルーン(4)より構成される。また、副腔には、バルー
ン(4)の室内に通じる複数個の開口部が設けられてい
る。
開示した補助循環装置について、図4を使用して概説
し、本発明の背景を明確にする。ここで使用されるカニ
ューレ(1)は、先端を封止した副腔を有する二重腔チ
ューブ、及びその前方部の外周に気密的に付設されたバ
ルーン(4)より構成される。また、副腔には、バルー
ン(4)の室内に通じる複数個の開口部が設けられてい
る。
【0007】カニューレ(1)を大腿動脈(20)から
挿入、その先端を大動脈弁(22)を経て左心室(2
3)内に留置し、血液ポンプ(10)により左心室(2
3)から脱血を行い、鎖骨下動脈(21)、または大腿
動脈(20)に返血する。この操作により脳、臓器への
血液循環を維持することが可能となる。又、左心室(2
3)からの直接脱血は、心臓の血液拍出仕事量を大幅に
軽減することができる。
挿入、その先端を大動脈弁(22)を経て左心室(2
3)内に留置し、血液ポンプ(10)により左心室(2
3)から脱血を行い、鎖骨下動脈(21)、または大腿
動脈(20)に返血する。この操作により脳、臓器への
血液循環を維持することが可能となる。又、左心室(2
3)からの直接脱血は、心臓の血液拍出仕事量を大幅に
軽減することができる。
【0008】カニューレ(1)の外側に設けたバルーン
(4)は下行大動脈(24)内に位置し、心電図、また
は動脈圧波形に同期して拡張、収縮を繰り返す。この結
果、血液ポンプ(10)からの送血は拍動流となり、生
理的に優れた補助循環が可能となる。また、心電図に同
期したバルーンの拡張・収縮は、それぞれ、心臓拡張時
の心筋血液量の増加、心臓収縮時(血液拍出時)の駆出
抵抗の低下をもたらし、不全心の回復に好適な環境をも
たらす。バルーン(4)の拡張、収縮はバルーン駆動装
置(11)から副腔を通して駆動ガスが送排気されるこ
とにより行われる。
(4)は下行大動脈(24)内に位置し、心電図、また
は動脈圧波形に同期して拡張、収縮を繰り返す。この結
果、血液ポンプ(10)からの送血は拍動流となり、生
理的に優れた補助循環が可能となる。また、心電図に同
期したバルーンの拡張・収縮は、それぞれ、心臓拡張時
の心筋血液量の増加、心臓収縮時(血液拍出時)の駆出
抵抗の低下をもたらし、不全心の回復に好適な環境をも
たらす。バルーン(4)の拡張、収縮はバルーン駆動装
置(11)から副腔を通して駆動ガスが送排気されるこ
とにより行われる。
【0009】通常、重症心不全患者の心臓には血液の滞
留による拡大所見が見られるが、本補助循環装置の適用
により心拡大所見は消失する。さらに、心臓の動きも改
善され、駆出率や心拍出量の増加が観察されるようにな
る。このように、本補助環境装置は、容易に、拍動流に
よる左心室−大動脈バイパスを実現し、脳や臓器への血
液循環の維持、血行動態の改善に役立つとともに、心臓
の仕事量を軽減して、その早期回復に好適な状況を作り
出すことが可能である。
留による拡大所見が見られるが、本補助循環装置の適用
により心拡大所見は消失する。さらに、心臓の動きも改
善され、駆出率や心拍出量の増加が観察されるようにな
る。このように、本補助環境装置は、容易に、拍動流に
よる左心室−大動脈バイパスを実現し、脳や臓器への血
液循環の維持、血行動態の改善に役立つとともに、心臓
の仕事量を軽減して、その早期回復に好適な状況を作り
出すことが可能である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは本補助循
環装置を実用化すべく、多くの実験検討を繰り返してき
たが、そのプロセスの中で、カニューレを迅速、かつ安
全に装着するためのポイントは、カニューレがスムーズ
に大動脈弁を通過できることと、カニューレ操作中の出
血を最小限にとどめることが重要であるとの認識を持つ
に至った。
環装置を実用化すべく、多くの実験検討を繰り返してき
たが、そのプロセスの中で、カニューレを迅速、かつ安
全に装着するためのポイントは、カニューレがスムーズ
に大動脈弁を通過できることと、カニューレ操作中の出
血を最小限にとどめることが重要であるとの認識を持つ
に至った。
【0011】すなわち、本発明の目的は、特開平3−1
98864号公報で開示した補助循環装置の構成要素で
ある、経大動脈弁左心バイパス用カニューレを迅速かつ
安全に装着できるための構造を提案することである。ま
た、本発明のもう1つの目的は、左心バイパス用カニュ
ーレの性能を最大限に引き出すとともに、使用時の安全
性と操作性を一層高めたカニューレの構造を提案するこ
とである。
98864号公報で開示した補助循環装置の構成要素で
ある、経大動脈弁左心バイパス用カニューレを迅速かつ
安全に装着できるための構造を提案することである。ま
た、本発明のもう1つの目的は、左心バイパス用カニュ
ーレの性能を最大限に引き出すとともに、使用時の安全
性と操作性を一層高めたカニューレの構造を提案するこ
とである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、長さ方向に貫
通する主腔と先端が封止された副腔を有する二重腔可撓
性チューブからなり、該二重腔チューブの前方部の外周
に気密的に付設されたバルーンを有し、該バルーンの内
腔と前記二重腔チューブの副腔とが複数個の開口部でつ
ながっているカニューレと、該カニューレを生体管腔内
に導入するための補助具であって、可撓性チューブから
なり、円錐状に形成された先端部と逆流防止手段を付設
した基部を有し、予め前記カニューレの主腔内に貫通し
て配置されるカニューレ内筒とから構成され、該内筒の
基部と前記カニューレの基部とが着脱可能な状態で密閉
的に接合されていることを特徴とする経大動脈弁左心バ
イパス用カニューレを提供するものである。
通する主腔と先端が封止された副腔を有する二重腔可撓
性チューブからなり、該二重腔チューブの前方部の外周
に気密的に付設されたバルーンを有し、該バルーンの内
腔と前記二重腔チューブの副腔とが複数個の開口部でつ
ながっているカニューレと、該カニューレを生体管腔内
に導入するための補助具であって、可撓性チューブから
なり、円錐状に形成された先端部と逆流防止手段を付設
した基部を有し、予め前記カニューレの主腔内に貫通し
て配置されるカニューレ内筒とから構成され、該内筒の
基部と前記カニューレの基部とが着脱可能な状態で密閉
的に接合されていることを特徴とする経大動脈弁左心バ
イパス用カニューレを提供するものである。
【0013】以下、図面を用いて本発明を詳細に説明す
る。図1は本発明の一実施例となる経大動脈弁左心バイ
パス用カニューレを示す図で、(a)はその全体を示す
図、(b)は(a)図のA−A′における断面形状の例
を示す図、(c)はカニューレの先端部の構造を示す
図、(d)はカニューレの基部の構造を示す図である。
る。図1は本発明の一実施例となる経大動脈弁左心バイ
パス用カニューレを示す図で、(a)はその全体を示す
図、(b)は(a)図のA−A′における断面形状の例
を示す図、(c)はカニューレの先端部の構造を示す
図、(d)はカニューレの基部の構造を示す図である。
【0014】カニューレ(1)は造影性を有し、主腔
(2)と先端が封止された副腔(3)を有する二重腔可
撓性チューブ、およびチューブの外周に密閉的に取り付
けられた円筒状のバルーン(4)より形成される。主腔
(2)は脱血流路、副腔(3)はバルーン駆動ガスの導
管の役割をする。副腔(3)からバルーン(4)の内腔
へは複数個の開口部(5)が形成され、副腔(3)から
駆動ガスが供給され、バルーン(4)の拡張・収縮を行
う。駆動ガスとしては、生体内で不活性で、レスポンス
特性に優れるヘリウムを使用するのが好ましい。
(2)と先端が封止された副腔(3)を有する二重腔可
撓性チューブ、およびチューブの外周に密閉的に取り付
けられた円筒状のバルーン(4)より形成される。主腔
(2)は脱血流路、副腔(3)はバルーン駆動ガスの導
管の役割をする。副腔(3)からバルーン(4)の内腔
へは複数個の開口部(5)が形成され、副腔(3)から
駆動ガスが供給され、バルーン(4)の拡張・収縮を行
う。駆動ガスとしては、生体内で不活性で、レスポンス
特性に優れるヘリウムを使用するのが好ましい。
【0015】カニューレ(1)の生体管内への挿入可能
な長さは90〜120cm、A−A′断面における主腔
(2)の断面積は12〜24mm2、副腔(3)の断面積
は4〜11mm2の範囲で、カニューレの外径が7mm以下
であることが好ましい。カニューレ(1)の外径は、7
mm以上では大腿動脈からの挿入が困難で挿入後の下肢虚
血の危険性があり好ましくない。主腔(2)の断面積が
12mm2以下では、十分な脱血量が得られないばかり
か、脱血回路内の陰圧が上昇し、溶血や気泡の発生を誘
発して、合併症の原因となる危険性が高い。副腔(3)
の断面積が4mm2以下では、副腔(3)におけるバルー
ン(4)の駆動ガスの圧力損失が大きくなり過ぎ、通常
必要とされる120〜150回/分の拡張・収縮のレス
ポンスが低下する。
な長さは90〜120cm、A−A′断面における主腔
(2)の断面積は12〜24mm2、副腔(3)の断面積
は4〜11mm2の範囲で、カニューレの外径が7mm以下
であることが好ましい。カニューレ(1)の外径は、7
mm以上では大腿動脈からの挿入が困難で挿入後の下肢虚
血の危険性があり好ましくない。主腔(2)の断面積が
12mm2以下では、十分な脱血量が得られないばかり
か、脱血回路内の陰圧が上昇し、溶血や気泡の発生を誘
発して、合併症の原因となる危険性が高い。副腔(3)
の断面積が4mm2以下では、副腔(3)におけるバルー
ン(4)の駆動ガスの圧力損失が大きくなり過ぎ、通常
必要とされる120〜150回/分の拡張・収縮のレス
ポンスが低下する。
【0016】バルーン(4)の容量は15〜35mlが好
ましく、長さ15〜28cm、直径は12〜18mmに調整
される。15ml以下では十分な効果を得られず、35ml
以上ではバルーンが過大になり過ぎて大動脈の損傷を誘
発したり、バルーン(4)が腎動脈の分岐を封鎖してし
まう危険性がある。
ましく、長さ15〜28cm、直径は12〜18mmに調整
される。15ml以下では十分な効果を得られず、35ml
以上ではバルーンが過大になり過ぎて大動脈の損傷を誘
発したり、バルーン(4)が腎動脈の分岐を封鎖してし
まう危険性がある。
【0017】カニューレ(1)の先端から20〜30cm
の領域は柔軟化処理が施されており、挿入時の血管内壁
損傷等の危険性をなくし、安全性を一層高いものとして
いる。柔軟化は、任意の可塑剤を適当量配合したカニュ
ーレ(1)の材料の溶剤に、一定の温度でカニューレ
(1)を所定の時間、回数浸漬し、カニューレ(1)を
膨潤させた後、脱溶媒することにより実施できる。可塑
剤の添加量は、カニューレ(1)の材質と可塑剤の種類
によって異なるが、5〜40%の範囲が適当である。可
塑剤の添加量が少ない場合は、所望の柔軟性が得られず
安全性の確保ができない。逆に可塑剤の添加量が多い場
合はカニューレの肉厚、サイズが若干大きくなる可能性
があるので、設計段階で考慮しておく必要がある。
の領域は柔軟化処理が施されており、挿入時の血管内壁
損傷等の危険性をなくし、安全性を一層高いものとして
いる。柔軟化は、任意の可塑剤を適当量配合したカニュ
ーレ(1)の材料の溶剤に、一定の温度でカニューレ
(1)を所定の時間、回数浸漬し、カニューレ(1)を
膨潤させた後、脱溶媒することにより実施できる。可塑
剤の添加量は、カニューレ(1)の材質と可塑剤の種類
によって異なるが、5〜40%の範囲が適当である。可
塑剤の添加量が少ない場合は、所望の柔軟性が得られず
安全性の確保ができない。逆に可塑剤の添加量が多い場
合はカニューレの肉厚、サイズが若干大きくなる可能性
があるので、設計段階で考慮しておく必要がある。
【0018】カニューレ(1)の外表面及び主腔(2)
の内表面には、カニューレ(1)の挿入時や装着後の血
栓形成を防ぐため、抗血栓性処理が施される。抗血栓性
処理の方法には特に制限はないが、現時点では、血液の
接触面にヘパリンを化学的に結合させるか、コートする
方法がもっとも効果が確実である。一般的に体外循環に
おいては、循環回路内の血栓形成を防ぐために、ヘパリ
ンが継続的に投与される。ヘパリンの投与は患者の出血
傾向を増大させるため、特に開心術後の患者に対する補
助循環症例等では、止血するためにヘパリン投与が不要
な循環回路が切望されている。残念ながら、ヘパリン投
与なしで安全に補助循環に使用できる材料は今のところ
存在しない。しかし、血液接触面にヘパリン処理を施し
た循環回路の使用により、血液凝固系の活性化が抑えら
れ、ヘパリン投与量を減少できることは多くの報告があ
り、その積極的な使用が支持されている。抗血栓性処理
により、出血に伴う患者の負担は確実に軽減され、さら
に安全に補助循環を実施することが可能になる。
の内表面には、カニューレ(1)の挿入時や装着後の血
栓形成を防ぐため、抗血栓性処理が施される。抗血栓性
処理の方法には特に制限はないが、現時点では、血液の
接触面にヘパリンを化学的に結合させるか、コートする
方法がもっとも効果が確実である。一般的に体外循環に
おいては、循環回路内の血栓形成を防ぐために、ヘパリ
ンが継続的に投与される。ヘパリンの投与は患者の出血
傾向を増大させるため、特に開心術後の患者に対する補
助循環症例等では、止血するためにヘパリン投与が不要
な循環回路が切望されている。残念ながら、ヘパリン投
与なしで安全に補助循環に使用できる材料は今のところ
存在しない。しかし、血液接触面にヘパリン処理を施し
た循環回路の使用により、血液凝固系の活性化が抑えら
れ、ヘパリン投与量を減少できることは多くの報告があ
り、その積極的な使用が支持されている。抗血栓性処理
により、出血に伴う患者の負担は確実に軽減され、さら
に安全に補助循環を実施することが可能になる。
【0019】図2は内筒の構造を示す図である。内筒
(31)は長さ方向に貫通した内腔を有する造影性可撓
性チューブよりなり、先端部は円錐状に形成されてい
る。また、カニューレ(1)の先端部と内筒(31)の
円錐状の先端部の段差は、図1(c)に示すように最小
限に抑えられている。先端部の円錐の頂点の孔径は0.
7〜1.0mmで、直径0.035インチ(0.89mm)
のガイドワイヤーを通すことができる。内筒(31)後
端部の内筒基部(33)には逆流防止弁(34)が付設
されている。逆流防止弁(34)には必要に応じて枝管
(35)を付設してもよい。
(31)は長さ方向に貫通した内腔を有する造影性可撓
性チューブよりなり、先端部は円錐状に形成されてい
る。また、カニューレ(1)の先端部と内筒(31)の
円錐状の先端部の段差は、図1(c)に示すように最小
限に抑えられている。先端部の円錐の頂点の孔径は0.
7〜1.0mmで、直径0.035インチ(0.89mm)
のガイドワイヤーを通すことができる。内筒(31)後
端部の内筒基部(33)には逆流防止弁(34)が付設
されている。逆流防止弁(34)には必要に応じて枝管
(35)を付設してもよい。
【0020】内筒(31)は、予めカニューレ(1)の
主腔(2)内を貫通して配置され、カニューレ(1)基
部の栓(6)と内筒基部(33)とは、着脱可能な状態
で密閉的に接合できる構造になっている。内筒(31)
の長さと外径は、組み合わされるカニューレ(1)の寸
法に合致するように決定れさる。また、その表面はカニ
ューレ(1)と同様の抗血栓性処理が施されている。
主腔(2)内を貫通して配置され、カニューレ(1)基
部の栓(6)と内筒基部(33)とは、着脱可能な状態
で密閉的に接合できる構造になっている。内筒(31)
の長さと外径は、組み合わされるカニューレ(1)の寸
法に合致するように決定れさる。また、その表面はカニ
ューレ(1)と同様の抗血栓性処理が施されている。
【0021】次に図3を使用して、カニューレ(1)の
挿入方法を概説することにより、本発明の効果をより明
確にする。まず、患者の大腿動脈(20)から大動脈
(27)を経て、ガイドワイヤー(41)の挿入された
カテーテル(42)を左心室まで挿入する(図3a)。
次いで、ガイドワイヤー(41)の先端を左心室(2
3)に留置したままで、カテーテル(42)を抜去する
(図3b)。その後、ガイドワイヤー(41)の末端
を、カニューレ(1)に装着された内筒(31)の先端
からその内腔に通して、ガイドワイヤー(41)に沿っ
てカニューレ(1)を血管内に挿入して行く(図3
c)。
挿入方法を概説することにより、本発明の効果をより明
確にする。まず、患者の大腿動脈(20)から大動脈
(27)を経て、ガイドワイヤー(41)の挿入された
カテーテル(42)を左心室まで挿入する(図3a)。
次いで、ガイドワイヤー(41)の先端を左心室(2
3)に留置したままで、カテーテル(42)を抜去する
(図3b)。その後、ガイドワイヤー(41)の末端
を、カニューレ(1)に装着された内筒(31)の先端
からその内腔に通して、ガイドワイヤー(41)に沿っ
てカニューレ(1)を血管内に挿入して行く(図3
c)。
【0022】カニューレ(1)の先端が大腿動脈(2
0)内に挿入されると、血圧によりカニューレ(1)の
主腔(2)及び内筒(31)の内腔に血液が逆流してく
るが、逆流防止弁(34)及び密閉的に接合されたカニ
ューレ(1)の基部と内筒基部(33)の構造により、
出血は全く生じない。カニューレ(1)の先端は、X線
透視下で左心室(23)内に誘導されるが、ガイドワイ
ヤー(41)により、カニューレ(1)は安全かつ、迅
速な誘導が可能である。更にカニューレ(1)の先端領
域は柔軟処理をしているため、大動脈弓(26)も容易
かつ、安全に通過させることができる。
0)内に挿入されると、血圧によりカニューレ(1)の
主腔(2)及び内筒(31)の内腔に血液が逆流してく
るが、逆流防止弁(34)及び密閉的に接合されたカニ
ューレ(1)の基部と内筒基部(33)の構造により、
出血は全く生じない。カニューレ(1)の先端は、X線
透視下で左心室(23)内に誘導されるが、ガイドワイ
ヤー(41)により、カニューレ(1)は安全かつ、迅
速な誘導が可能である。更にカニューレ(1)の先端領
域は柔軟処理をしているため、大動脈弓(26)も容易
かつ、安全に通過させることができる。
【0023】大動脈弁(22)は3枚の弁から構成され
ているが、内筒(31)の先端を円錐状に形成している
ため、内筒(31)により弁を徐々に無理なく開口し
て、カニューレ(1)を通過させることができる。も
し、内筒(31)を装備していなかったり、内筒(3
1)の先端が円錐状でない場合、大動脈弁(22)を開
口させるためには相当な時間と、術者の忍耐・努力が必
要となる。このことは、術者にとって大きな負担である
ばかりか、緊急を要する患者にとっても生命を脅かす問
題となる。
ているが、内筒(31)の先端を円錐状に形成している
ため、内筒(31)により弁を徐々に無理なく開口し
て、カニューレ(1)を通過させることができる。も
し、内筒(31)を装備していなかったり、内筒(3
1)の先端が円錐状でない場合、大動脈弁(22)を開
口させるためには相当な時間と、術者の忍耐・努力が必
要となる。このことは、術者にとって大きな負担である
ばかりか、緊急を要する患者にとっても生命を脅かす問
題となる。
【0024】このようにしてカニューレ(1)の挿入が
完了した後、内筒(31)はガイドワイヤー(41)と
ともに抜去され、脱血回路(44)とバルーン回路(4
5)が接続されて装着が完了する。通常、これらの手順
は準備・後処理を含め30分以内に完了することが可能
である。
完了した後、内筒(31)はガイドワイヤー(41)と
ともに抜去され、脱血回路(44)とバルーン回路(4
5)が接続されて装着が完了する。通常、これらの手順
は準備・後処理を含め30分以内に完了することが可能
である。
【0025】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明による経大
動脈弁左心バイパス用カニューレを使用すれば、挿入に
伴う出血がなく、大動脈弁の通過も容易であり、安全、
かつ迅速に装着することができる。このため、左心バイ
パスを必要とする患者が何時発生しても、十分な対応が
できるデバイスとして極めて有用である。
動脈弁左心バイパス用カニューレを使用すれば、挿入に
伴う出血がなく、大動脈弁の通過も容易であり、安全、
かつ迅速に装着することができる。このため、左心バイ
パスを必要とする患者が何時発生しても、十分な対応が
できるデバイスとして極めて有用である。
【図1】本発明の一実施例となる経大動脈弁左心バイパ
ス用カニューレの構造を示す図で、(a)は全体を示す
概要図、(b)は(a)図のA−A′断面図、(c)は
カニューレ先端部の構造を示す図、(d)はカニューレ
基部の構造を示す図である。
ス用カニューレの構造を示す図で、(a)は全体を示す
概要図、(b)は(a)図のA−A′断面図、(c)は
カニューレ先端部の構造を示す図、(d)はカニューレ
基部の構造を示す図である。
【図2】本発明の経大動脈弁左心バイパス用カニューレ
を構成するカニューレ内筒の構造を示す図である。
を構成するカニューレ内筒の構造を示す図である。
【図3】本発明による経大動脈弁左心バイパス用カニュ
ーレの挿入方法を説明するための図である。
ーレの挿入方法を説明するための図である。
【図4】従来の経大動脈弁左心バイパス用カニューレを
説明するための図である。
説明するための図である。
1 カニューレ 2 主腔 3 副腔 4 バルーン 6 栓 20 大腿動脈 22 大動脈弁 23 左心室 26 大動脈弓 27 大動脈 31 内筒 33 内筒基部 34 逆流防止弁 41 ガイドワイヤー 42 カテーテル
【手続補正書】
【提出日】平成6年6月30日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正内容】
【0004】このような目的で現在実用に供されている
補助循環法には、大動脈内バルーンポンピング法(以
下、IABPと略す)、静脈−動脈バイパス法(以下、
VABと略す)、補助人工心臓(以下、VADと略す)
等を使用した方法がある。しかし、これらの方法は緊急
かつ強力な補助循環を必要とする重症心不全患者に対し
ては、必ずしも十分な補助循環手段とは言えない。例え
ば、IABPは、心原性ショック等の重篤な状態には効
果が期待できず、救命率は40%以下である。VABは
血液循環の維持が可能であるが、血液拍出時の心臓の負
荷を増加するため、重症心不全の急性期をのりきり、心
臓の回復を図るための手段としては適切でない。また、
VADは特別な設備を必要とし、装着には開胸手術を必
要とするので、緊急時には対応できないという大きな欠
点を有する。このため、迅速、容易に使用できる強力な
補助循環法が切望されていた。
補助循環法には、大動脈内バルーンポンピング法(以
下、IABPと略す)、静脈−動脈バイパス法(以下、
VABと略す)、補助人工心臓(以下、VADと略す)
等を使用した方法がある。しかし、これらの方法は緊急
かつ強力な補助循環を必要とする重症心不全患者に対し
ては、必ずしも十分な補助循環手段とは言えない。例え
ば、IABPは、心原性ショック等の重篤な状態には効
果が期待できず、救命率は40%以下である。VABは
血液循環の維持が可能であるが、血液拍出時の心臓の負
荷を増加するため、重症心不全の急性期をのりきり、心
臓の回復を図るための手段としては適切でない。また、
VADは特別な設備を必要とし、装着には開胸手術を必
要とするので、緊急時には対応できないという大きな欠
点を有する。このため、迅速、容易に使用できる強力な
補助循環法が切望されていた。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正内容】
【0005】本発明者らは、迅速な装着が可能で効果的
な補助循環装置を研究した結果、大腿動脈から経大動脈
弁的に左心室にアプローチでき、かつ大動脈内バルーン
を備えた左心バイパス用カニューレ、血液ポンプ、バル
ーン駆動装置から構成される補助循環装置を発明し、こ
れを特開平3−198864号公報に開示した。
な補助循環装置を研究した結果、大腿動脈から経大動脈
弁的に左心室にアプローチでき、かつ大動脈内バルーン
を備えた左心バイパス用カニューレ、血液ポンプ、バル
ーン駆動装置から構成される補助循環装置を発明し、こ
れを特開平3−198864号公報に開示した。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正内容】
【図4】
Claims (1)
- 【請求項1】 長さ方向に貫通する主腔と先端が封止さ
れた副腔を有する二重腔可撓性チューブからなり、該二
重腔チューブの前方部の外周に気密的に付設されたバル
ーンを有し、該バルーンの内腔と前記二重腔チューブの
副腔とが複数個の開口部でつながっているカニューレ
と、該カニューレを生体管腔内に導入するための補助具
であって、可撓性チューブからなり、円錐状に形成され
た先端部と逆流防止手段を付設した基部を有し、予め前
記カニューレの主腔内に貫通して配置されるカニューレ
内筒とから構成され、該内筒の基部と前記カニューレの
基部とが着脱可能な状態で密閉的に接合されていること
を特徴とする経大動脈弁左心バイパス用カニューレ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6077193A JPH07275350A (ja) | 1994-04-15 | 1994-04-15 | 経大動脈弁左心バイパス用カニューレ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6077193A JPH07275350A (ja) | 1994-04-15 | 1994-04-15 | 経大動脈弁左心バイパス用カニューレ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07275350A true JPH07275350A (ja) | 1995-10-24 |
Family
ID=13626990
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6077193A Pending JPH07275350A (ja) | 1994-04-15 | 1994-04-15 | 経大動脈弁左心バイパス用カニューレ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07275350A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100349240B1 (ko) * | 2000-04-08 | 2002-08-19 | 민병무 | 체크 밸브형 흉강 삽관 튜브 |
-
1994
- 1994-04-15 JP JP6077193A patent/JPH07275350A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100349240B1 (ko) * | 2000-04-08 | 2002-08-19 | 민병무 | 체크 밸브형 흉강 삽관 튜브 |
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