JPH07271889A - Idカードを用いる識別装置 - Google Patents

Idカードを用いる識別装置

Info

Publication number
JPH07271889A
JPH07271889A JP6057947A JP5794794A JPH07271889A JP H07271889 A JPH07271889 A JP H07271889A JP 6057947 A JP6057947 A JP 6057947A JP 5794794 A JP5794794 A JP 5794794A JP H07271889 A JPH07271889 A JP H07271889A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
card
voltage
coil
value
electrode plate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6057947A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshiji Nakato
由二 中藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fuji Electric Co Ltd
Original Assignee
Fuji Electric Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Electric Co Ltd filed Critical Fuji Electric Co Ltd
Priority to JP6057947A priority Critical patent/JPH07271889A/ja
Publication of JPH07271889A publication Critical patent/JPH07271889A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【目的】IDカードの薄形化,軽量化および低コスト化
が容易なIDカードを用いる識別装置を提供する。 【構成】IDカード2は、電磁誘導方式のIDカードで
あって、両面プリント配線板製の閉コイル構造体26が
備える一方の箔状の導電層を、エッチング加工等により
一体に加工された3個の閉コイル21(閉コイル21
A,21B,21C)を移送方向Xに沿って順次備えて
いる。各閉コイル21の導体部の寸法は、幅寸法WA ,
B ,WC 、長さ寸法ΛA , ΛB ,ΛC 共に同一であ
り、閉コイル21Aの巻き数は4巻き,閉コイル21B
の巻き数は3巻き,閉コイル21Cの巻き数は2巻きで
ある。また、閉コイル21Aと閉コイル21Bの中心間
隔τ A-B と、閉コイル21Bと閉コイル21Cの中心間
隔τB-C も同一としている。さらに、各閉コイル21の
端部間は、両面プリント配線板の他方の箔状の導電層を
用いた接続体23によって接続されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、個人の入門管理等に
用いられるIDカードを用いる識別装置に係わり、ID
カードの薄形化,軽量化等を意図したその構成に関す
る。
【0002】
【従来の技術】IDカードを用いる識別装置は、入門を
厳格に管理すべき施設における個人の入門管理、スキー
場におけるリフト等の施設利用者の個人別管理等にその
利用が広まりつつある。このようなIDカードを用いる
従来例の識別装置に採られているIDカードの方式とし
ては、電磁誘導方式,電磁結合方式,容量結合方式等の
ものが知られている。
【0003】ここでは、まず電磁誘導方式のIDカード
を用いた従来例の識別装置について説明する。図14
は、電磁誘導方式のIDカードを用いた従来例の識別装
置を説明する概念的なブロック図である。図14におい
て、9は、IDカード7と、IDカード7に内蔵された
情報を読み取る読取装置8を備えたIDカードを用いた
識別装置である。
【0004】IDカード7は、受信コイル71と、復調
回路部72と、信号処理回路部73と、メモリ部74
と、電池75と、変調回路部76と、発信コイル77と
を備えている。後記する読取装置8が備える発信コイル
83で生成された交番磁界91が受信コイル71に鎖交
すると、受信コイル71には交番磁界91に対応した交
流電圧が発生する。受信コイル71が発生した交流電圧
を入力した復調回路部72は、この交流電圧が予め定め
られたレベル以上であると、信号処理回路部73に信号
を出力する。この信号を入力した信号処理回路部73
は、メモリ部74に記録されている個別のIDカード7
に特有の内容を読み出し、記録されている内容に対応す
る信号を変調回路部76に向けて出力する。この信号を
入力した変調回路部76は、この信号に対応した周波数
値,電圧値を持つ交流電圧を発信コイル77に出力す
る。発信コイル77は、この電圧に対応した周波数,強
さを持つ交番磁界92を発生する。電池75は、前記し
たIDカード7の動作を行うのに必要な電源を、復調回
路部72,信号処理回路部73,メモリ部74,変調回
路部76に供給する。
【0005】また、読取装置8は、識別回路部81と、
変調回路部82と、発信コイル83と、受信コイル84
と、復調回路部85とを備えている。識別回路部81
は、外部から指示信号8aが入力されると、変調回路部
82に信号を出力する。この信号を受けた変調回路部8
2は、この信号に対応した周波数値,電圧値を持つ交流
電圧を発信コイル83に出力する。発信コイル83は、
この電圧に対応した周波数,強さを持つ交番磁界91を
発生する。また、この交番磁界91によって前記したと
ころにより、IDカード7から発生された交番磁界92
が鎖交することにより、受信コイル84には、交番磁界
92の周波数,強さに対応する交流電圧が発生する。受
信コイル84が発生した交流電圧を入力した復調回路部
85は、この交流電圧の周波数,電圧値に対応する信号
を識別回路部81に向けて出力する。復調回路部85か
ら出力された信号を入力した識別回路部81は、この信
号,あるいは,必要によってはこの信号をデジタル値に
変換したデジタル信号と,識別回路部81に内蔵された
ROMに記録されているデータとを比較し、前記信号に
従うROM内のデータに対応する信号8bを出力する。
この信号8bによって、或る個人に対する、入門の可
否,施設利用の可否等の識別が行われている。
【0006】さらに、図15は、電磁結合方式のIDカ
ードを用いた従来例の識別装置を説明する概念的なブロ
ック図である。図15において、図14に示した従来例
の識別装置9と同一部分には同じ符号を付し、その説明
を省略する。図15において、9Aは、IDカード7A
と、IDカード7Aに内蔵された情報を読み取る読取装
置8Aを備えたIDカードを用いた識別装置である。
【0007】IDカード7Aは、受信コイル71Aと、
コンデンサ711と、復調回路部72と、信号処理回路
部73Aと、メモリ部74と、スイッチング回路部78
と、電源回路部79とを備えている。後記する読取装置
8Aが備える発信コイル83で生成された交番磁界91
Aが受信コイル71Aに鎖交すると、受信コイル71A
とコンデンサ711とで構成された共振回路の、受信コ
イル71Aおよびコンデンサ711のそれぞれの両端に
は、この共振回路の共振周波数を持つ交流電圧が発生す
る。この交流電圧を入力した復調回路部72は、この交
流電圧が予め定められたレベル以上であると、信号処理
回路部73Aに信号を出力する。この信号を入力した信
号処理回路部73Aは、メモリ部74に記録されている
個別のIDカード7に特有の内容を読み出し、記録され
ている内容に対応する断続信号をスイッチング回路部7
8に向けて出力する。この信号を入力したスイッチング
回路部78は、この信号に対応した周期,オン・オフ比
率によって受信コイル71Aおよびコンデンサ711の
端子間を短絡する。電源回路部79は、交番磁界91A
から受信コイル71Aに伝達されるエネルギーの一部を
入力し、これを整流して直流電圧を得る回路装置であ
り、少なくともこの直流電圧は、復調回路部72と、信
号処理回路部73Aと、メモリ部74とに供給される。
【0008】また、読取装置8Aは、識別回路部81
と、変調回路部82Aと、発信コイル83と、包絡線検
出回路部88とを備えている。識別回路部81から出力
された信号を受けた変調回路部82Aは、一定の周波数
値と,一定の電圧値を持つ交流電圧を発信コイル83に
出力する。発信コイル83は、この電圧に対応した一定
の周波数を持つ交番磁界91Aを発生する。ところが、
前記したところにより、IDカード7が持つ受信コイル
71Aは、スイッチング回路部78により断続的に短絡
される。短絡された状態の受信コイル71Aでは、交番
磁界91Aに対応する短絡電流が通流することで反作用
磁界が発生する。この反作用磁界が発信コイル83に鎖
交することで、発信コイル83には、受信コイル71A
が短絡されている間,変調回路部82Aから大きな値の
電流i1 が通流することになる。すなわち、受信コイル
71Aの短絡状態が断続されるタイミングと同一のタイ
ミングによって、変調回路部82Aから発信コイル83
に供給される電流i1 の値が増減する。包絡線検出回路
部88は、例えば、ホール素子のごとき電流センサ88
1と、電流センサ881の出力した発信コイル83に供
給する電流i1 の瞬時値に対応した信号を入力し、この
信号の検波を行う検波回路882を備えている。検波回
路882の出力する信号は、電流i1 の瞬時値の包絡線
に対応する信号である。包絡線検出回路部88が出力し
た信号を入力した識別回路部81は、この信号と,ある
いは,必要によってはこの信号をデジタル値に変換した
デジタル信号と,識別回路部81に内蔵されたROMに
記録されているデータとを比較し、前記信号に従うRO
M内のデータに対応する信号8bを出力する。この信号
8bの利用方法は、識別装置9で述べたところと同様で
ある。
【0009】なお、電磁結合方式のIDカードを用いた
従来例の識別装置としては、上記以外に、IDカードと
してはコイルとコンデンサから構成された共振回路のみ
を内蔵するものとし、読取装置からコイルにまず交番磁
界を与えることでこの共振回路を共振状態にし、次にこ
の交番磁界を遮断して、共振状態の共振回路に蓄積され
たエネルギー量をIDカードが所持するデータとして読
取装置で検出するものも知られている。
【0010】次に、容量結合方式のIDカードを用いた
従来例の識別装置について説明する。図16は、容量結
合方式のIDカードを用いた従来例の一例の識別装置を
説明する概念的なブロック図である。図16において、
図14に示した従来例の識別装置9と同一部分、およ
び、図15に示した従来例の識別装置9Aと同一部分に
は同じ符号を付し、その説明を省略する。図16におい
て、9Bは、IDカード7Bと、IDカード7Bに内蔵
された情報を読み取る読取装置8Bを備えたIDカード
を用いた識別装置である。
【0011】IDカード7Bは、受信電極板71Bと、
復調回路部72Bと、信号処理回路部73と、メモリ部
74と、変調回路部76Bと、発信電極板77Bと、電
源回路部79とを備えている。後記する読取装置8Bが
備える発信電極板83で生成された交番電界91Bが受
信電極板71Bに伝達されると、受信電極板71Bには
交番電界91Bに対応した交流電流が発生する。受信電
極板71Bが発生した交流電流を入力した復調回路部7
2Bは、この交流電流が予め定められたレベル以上であ
ると、信号処理回路部73に信号を出力する。この信号
を入力した信号処理回路部73は、メモリ部74に記録
されている個別のIDカード7に特有の内容を読み出
し、記録されている内容に対応する信号を変調回路部7
6Bに向けて出力する。この信号を入力した変調回路部
76Bは、この信号に対応した周波数値,電流値を持つ
交流電流を発信電極板77Bに出力する。発信電極板7
7Bは、この電流に対応した周波数,強さを持つ交番電
界92Bを発生する。
【0012】また、読取装置8Bは、識別回路部81
と、変調回路部82Bと、発信電極板83Bと、受信電
極板84Bと、復調回路部85Bとを備えている。識別
回路部81は、外部から指示信号8aが入力されると、
変調回路部82Bに信号を出力する。この信号を受けた
変調回路部82Bは、この信号に対応した周波数値,電
流値を持つ交流電流を発信電極板83Bに出力する。発
信電極板83Bは、この電流に対応した周波数,強さを
持つ交番電界91Bを発生する。また、この交番電界9
1Bによって前記したところにより、IDカード7Bか
ら発生された交番電界92Bが伝達されることにより、
受信電極板84Bには、交番電界92Bの周波数,強さ
に対応する交流電流が発生する。受信電極板84Bが発
生した交流電流を入力した復調回路部85Bは、この交
流電流の周波数,電流値に対応する信号を識別回路部8
1に向けて発信する。復調回路部85Bが発信した信号
を入力した識別回路部81は、この信号と,あるいは,
必要によってはこの信号をデジタル値に変換したデジタ
ル信号と,識別回路部81に内蔵されたROMに記録さ
れているデータとを比較し、前記信号に従うROM内の
データに対応する信号8bを出力する。この信号8bの
利用方法は、識別装置9で述べたところと同様である。
【0013】なお、図14〜図16中に示した識別回路
部81の機能の一部を、ホストコンピュータで実行させ
るようにしたIDカードを用いる識別装置も知られてい
る。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】前述した従来技術によ
るIDカードを用いる識別装置においては、個人の入門
管理、施設利用者の個人別管理等に用いて、或る個人に
対する入門の可否,施設利用の可否等の識別を有効に行
うことができているが、次記するような問題が有る。す
なわち、 IDカードには、コイル,電極板以外に、各種の回路
部内に,IC等の多くの回路素子が使用されており、こ
れ等の回路素子の寸法,重量が加わることで、IDカー
ドの厚さが厚く,かつ重量が重くなっている。また、 IDカードには、IC等の回路素子を駆動するため
に、電池,直流電源回路等の何らかの直流電源が必須で
あるので、これ等の直流電源の寸法,重量が加わること
で、IDカードの厚さが厚く,かつ重量が重くなってい
る。特に、直流電源に電池が採用された場合には、ID
カードは電池の交換等を配慮した構造を備えねばならな
いことが、前記の問題を拡大させることにもなってい
た。また、 前記,による理由のために、IDカードの製造原
価の低減が極めて困難であった。さらに、 IDカードにコイルとコンデンサから成る共振回路の
みを内蔵する電磁結合方式の識別装置であっては、ID
カードにIC等の回路素子や電池を内蔵することによる
問題は解消される。しかしながら、この場合には、ID
カードの厚さを薄くするために、コンデンサには厚さの
薄いものが必要となる。この薄いコンデンサを得るため
に、極めて薄い電気絶縁性シートの両面に電極板を配置
してコンデンサを構成するのであるが、この構造のコン
デンサでは、電極板へのリード線の取り付け作業,シー
トの厚さのばらつきが原因での静電容量値のばらつきに
対応するための静電容量値の調整作業,等に作業時間を
要するために、コンデンサの製造原価が高価となるとい
う新たな問題が発生するのである。
【0015】この発明は、前述の従来技術の問題点に鑑
みなされたものであり、その目的は、IDカードの薄形
化,軽量化および低コスト化が容易なIDカードを用い
る識別装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】この発明では前述の目的
は、 1)識別されるべき情報が内蔵されたIDカードと、I
Dカードに内蔵された情報を読み取る読取装置とよりな
るIDカードを用いる識別装置であって、IDカード
は、1個,または移送方向に沿って順次配列された2個
以上の閉コイルを備え、前記移送方向は、読取装置によ
ってIDカードの持つ情報が読み取られる際に、IDカ
ードが読取装置によって移送される方向であり、読取装
置は、IDカードを通過させるIDカード用の移送通路
と、IDカード用の移送通路を通過させてIDカードを
移送する移送手段と、移送通路に対向させて配置され,
IDカードが備えるそれぞれの閉コイルと順次トランス
結合を行うアンテナコイルと、アンテナコイルに交流電
圧を印加する交流電源部と、交流電源部によってアンテ
ナコイルに通流する電流の包絡線を検出して,電流の包
絡線に対応した値を持つ信号を出力する包絡線検出部
と、IDカードの移送された位置に対応する信号を出力
するカード位置検出部と、包絡線検出部およびカード位
置検出部が出力するそれぞれの信号を入力して,IDカ
ードの内蔵する情報を識別する情報識別部とを備えた構
成とすること、または 2)前記1項に記載の手段において、読取装置が備える
アンテナコイルは、そのIDカードの移送方向の寸法
が、IDカードの備えるいずれの閉コイルのIDカード
の移送方向の寸法よりも短いものである構成とするこ
と、または 3)識別されるべき情報が内蔵されたIDカードと、I
Dカードに内蔵された情報を読み取る読取装置とよりな
るIDカードを用いる識別装置であって、IDカード
は、1対,または移送方向に沿って順次配列された2対
以上の電極板と、これ等の対となっている電極板の相互
間をそれぞれ接続するコイルとを備え、前記移送方向
は、読取装置によってIDカードの持つ情報が読み取ら
れる際に、IDカードが読取装置によって移送される方
向であり、読取装置は、IDカードを通過させるIDカ
ード用の移送通路と、IDカード用の移送通路を通過さ
せてIDカードを移送する移送手段と、移送通路に対向
させて,IDカードが備える電極板と容量結合されるよ
うに配置された1対の結合用電極板と、基準となる周波
数を持つ基準電圧を出力する発振器と、位相比較回路部
と、位相比較回路部の出力する電圧から直流成分を取り
出して直流電圧として出力するローパスフィルタと、1
対の出力端子を持ち,ローパスフィルタから出力された
直流電圧を直流制御電圧として入力して,この直流制御
電圧の値が高いほど高い値を持つ直流出力電圧を発生し
て1対の出力端子間から出力すると共に,直流出力電圧
値の値が高いほど大きい値に変化する静電容量値を持つ
電圧制御型コンデンサを1対の出力端子間に有する可変
容量コンデンサ回路部と、IDカードの移送された位置
に対応する信号を出力するカード位置検出部と、ローパ
スフィルタの出力する直流電圧およびカード位置検出部
が出力する信号を入力して,IDカードが内蔵する情報
を識別する情報識別部とを備え、位相比較回路部は、発
振器が出力する基準電圧と,可変容量コンデンサ回路部
の1対の出力端子間の交流電圧が持つ周波数に対応する
信号とを入力し、可変容量コンデンサ回路部からの交流
電圧の持つ周波数が基準電圧の持つ周波数よりも高いほ
ど高い値となる直流成分を含む電圧を出力するものであ
る構成とすること、または 4)前記3項に記載の手段において、読取装置が備える
それぞれの結合用電極板は、そのIDカードの移送方向
の寸法が、IDカードの備えるいずれの電極板のIDカ
ードの移送方向の寸法よりも短いものである構成とする
こと、または 5)前記3項または4項に記載の手段において、IDカ
ードが備える電極板およびコイルは、いずれも重なり合
わないように配置されてなる構成とすること、さらにま
たは 6)前記1項から5項までのいずれかに記載の手段にお
いて、IDカードの備える閉コイル,または,電極板と
コイルは、いずれもプリント配線板が備える箔状の導電
層を用いて形成されてなる構成とすること、により達成
される。
【0017】
【作用】この発明においては、 1)IDカードは、読取装置に形成された移送通路に沿
って,読取装置が備える移送手段によって移送される
が、そのことによって、読取装置が備えるアンテナコイ
ルは、IDカードの備えるそれぞれの閉コイルと順次ト
ランス結合を行うこととなる。閉コイルと電磁結合され
た状態のアンテナコイルの端子間の、交流電源部から見
た見掛けのインピーダンスの値は、一定周波数の下で
は、良く知られているところの短絡コイルとトランス結
合されたコイルの持つ総合インピーダンスと同様に、ア
ンテナコイルと閉コイルのトランス結合状態に応じて変
化する。すなわち、見掛けのインピーダンスの値は、ア
ンテナコイルが単独で存在する場合(閉コイルとトラン
ス結合されていない状態と言うこともできる。)の自己
インピーダンスに、閉コイルの等価自己インピーダンス
(閉コイルのアンテナコイル側に換算された自己インピ
ーダンスである。)が並列に接続された状態の総合イン
ピーダンスの値となる。また、この場合、アンテナコイ
ルの自己インピーダンスに対して閉コイルの等価自己イ
ンピーダンスが接続される位置は、アンテナコイルと閉
コイルのトランス結合状態,すなわち,両コイルの重な
り具合に依存し、重なり度合いが増加するほどより完全
な並列接続状態に近付き、アンテナコイルで発生してい
る磁束が、全て閉コイルと鎖交する場合に、アンテナコ
イルの自己インピーダンスと、閉コイルの等価自己イン
ピーダンスは、ほぼ完全な並列接続状態になる。このた
めに、交流電源部から見たアンテナコイルの端子間の見
掛けのインピーダンスの値は、対象とする閉コイルが、
同一閉コイルである場合には、閉コイルとトランス結合
されていない状態におけるアンテナコイルの持つ自己イ
ンピーダンスに対して、両コイルの重なり度合いが増加
するほどより低減されることになる。また、対象とする
閉コイルが、異なる閉コイルである場合には、閉コイル
の等価自己インピーダンス値が小さいほどより低減され
る。
【0018】このように、交流電源部から見たアンテナ
コイルの端子間の見掛けのインピーダンスの値が変化す
ることによって、一定電圧を持つ交流電源部からアンテ
ナコイルに供給される電流の値は、前記見掛けのインピ
ーダンスの値の逆比に従って変化する。すなわち、アン
テナコイルに供給される電流の値は、IDカード内に設
置された閉コイルの個数,配列された位置、等価自己イ
ンピーダンス値、および、閉コイルとアンテナコイルと
の重合いが最高となる場合の重合いの度合い(例えば、
IDカードの移送方向に対して垂直方向となる閉コイル
の幅方向の寸法について考察すると、この寸法が両コイ
ル間で一致している場合に対して、この寸法が両コイル
間で不一致である場合には、不一致度が増加するに従っ
て、アンテナコイルの自己インピーダンスと,閉コイル
の等価自己インピーダンスとの並列接続の状態は、不完
全な並列接続になる。)に対応して、IDカードが移送
されるに従って経時的に変化することになる。
【0019】アンテナコイルに通流するこの電流の包絡
線を検出することで得られたこの包絡線の絶対値とその
変化度と、カード位置検出部の出力するIDカードの移
送された位置に対応する信号とから、IDカード内に設
置された閉コイルの個数,配列された位置、等価自己イ
ンピーダンス値、あるいは、閉コイルとアンテナコイル
との重合いが最高となる場合の重合いの度合いを知るこ
とができる。従って、IDカード内に設置された閉コイ
ルの個数,配列された位置、等価自己インピーダンス
値、あるいは、閉コイルとアンテナコイルとの重合いが
最高となる場合の重合いの度合いを、IDカードが内蔵
した識別されるべき情報として利用することができるの
である。そうして、これ等の識別されるべき情報を得る
のに、IDカードは、IC等の回路素子、および、直流
電源を一切内蔵する必要が無いのである。
【0020】2)アンテナコイルのIDカードの移送方
向の寸法を、IDカードの備えるいずれの閉コイルのI
Dカードの移送方向の寸法よりも短い構成とすることに
より、閉コイルとアンテナコイルとの重合いが最高とな
る時間を、両コイルの移送方向の寸法差に対応する時間
だけ持続することが可能となるので、閉コイルの等価自
己インピーダンス値、あるいは、閉コイルとアンテナコ
イルとの重合いが最高となる場合の重合いの度合いを、
包絡線検出部において、前記(1)項による場合よりも
確実に把握することができるのである。
【0021】3)IDカードは、読取装置に形成された
移送通路に沿って,読取装置が備える移送手段によって
移送されるが、そのことによって、読取装置が備える結
合用電極板は、IDカードの備えるそれぞれのカード側
電極板と順次容量結合を行うこととなる。電圧制御コン
デンサ回路部が有する1対の出力端子から見た結合用電
極板とカード側電極板との間で得られる静電容量の値
は、一般の静電容量の場合と同様に、結合用電極板とカ
ード側電極板との間の重合う状態により変化する。すな
わち、電圧制御コンデンサ回路部の出力端子から見た場
合の、結合用電極板とカード側電極板との間で得られる
静電容量CC の値は、(式1)の関係で得られる。
【0022】
【数1】 CC =ε(S/d)/2 ……………………………(1) ここで、εは、結合用電極板とカード側電極板との間に
介在する諸材料のそれぞれの誘電率を総合した、等価誘
電率である。またdは、結合用電極板とカード側電極板
との間の間隔長である。さらに Sは、いずれかの結合
用電極板と重合っているカード側電極板の面積である。
【0023】末尾の2は、1対の結合用電極板のそれぞ
れと重合っているカード側電極板の面積が等しいものと
仮定したうえで、これ等のカード側電極板がコイルで互
いに接続されていることで、それぞれの結合用電極板
と,この結合用電極板と重合うカード側電極板との間で
得られる静電容量が、電気的に直列に接続されているこ
とを意味するものである。
【0024】電圧制御コンデンサ回路部の出力端子から
見た電気回路は、前記の静電容量C C とIDカードの持
つコイルのインダクタンスLとの直列回路である。この
直列回路に、電圧制御コンデンサ回路部が持つ直流電圧
値に対応して変化する静電容量値を持つコンデンサの静
電容量CV が、さらに直列に接続されることになる。そ
うして、この静電容量CV の両端に、ローパスフィルタ
から取り出される直流電圧である直流制御電圧の値に対
応する値を持つ直流出力電圧が印加されることになる。
こうした構成による回路の等価回路図を図17に示す。
【0025】図17に示した等価回路を持つ回路は、よ
く知られているように、この回路の持つインダクタンス
LとキャパシタンスCとによる発振が生じる。この発振
の周波数は、(式2)による共振周波数f0 の値とな
る。
【0026】
【数2】 f0 =1/2π(LC)1/2 ……………………………(2) ここで、キャパシタンスCは、この回路の合成静電容量
であり、その値は、(式3)の関係で与えられる。
【0027】
【数3】 C=CC ・CV /(CC +CV ) ……………………………(3) 前記したところにより、静電容量CC の値は、結合用電
極板とカード側電極板との重合う面積にほぼ正比例して
変化するものであり、他方、IDカードの持つコイルの
インダクタンスLは、結合用電極板とカード側電極板と
の重合う面積に無関係に一定値を保つのである。
【0028】前記した結合用電極板とカード側電極板と
の間に形成される静電容量CC と、IDカードの持つコ
イルのインダクタンスLと、可変容量コンデンサ回路部
とは、前記のごとく接続されているので、VCO(電圧
制御発信器)を構成していることになる。また、位相比
較回路部,ローパスフィルタ,および可変容量コンデン
サ回路部を含むVCOとは、前記のごとく接続されてい
るので、PLL周波数復調器を構成していることにな
る。このことを用いて、静電容量CV の値についてまず
説明することにする。
【0029】PLL周波数復調器(以降、単にPLL回
路と略称することがある。)は、よく知られているとこ
ろにより、位相比較回路部に基準電圧と、VCOで発生
された交流電圧を入力して、VCOで発生された交流電
圧の周波数が基準電圧の周波数よりも高いほど高い値と
なる直流成分を含む電圧を出力する。ローパスフィルタ
によって直流成分のみを取り出して、直流電圧が得られ
る。この直流電圧が直流制御電圧として可変容量コンデ
ンサ回路部に与えられるので、可変容量コンデンサ回路
部の持つ電圧制御型コンデンサの静電容量CV の値は、
VCOで発生された交流電圧の周波数が基準電圧の周波
数よりも高いほど大きな値となることになる。
【0030】ところで、このように静電容量CV の値が
大きくなると、(式2),(式3)による関係から、V
COが発生する交流電圧の周波数は低下することにな
る。このようにして、VCOが発生する交流電圧の周波
数は、静電容量CC の値が最大値(これは、結合用電極
板とカード側電極板とが、いずれかの全面積で他方の電
極板と重合っている場合に実現する。)よりも小さい場
合には、小さくなるほど高くなる。すなわち、静電容量
C の値が最大値よりも小さい場合にVCOが発生する
交流電圧の周波数は、静電容量CC の値が最大値の場合
にVCOが発生する交流電圧の周波数よりも必ず高くな
る関係に在る。理解を容易にするために、静電容量CC
の値が最大値の場合にVCOが発生する交流電圧の周波
数が、基準電圧の周波数に一致するようにしたと仮定す
ると、静電容量CC の値が最大値よりも小さい場合にV
COが発生する交流電圧の周波数は、基準電圧の周波数
よりも高くなる。この結果、位相比較回路部が出力する
直流成分は、静電容量CC の値が小さくなるに従い高く
なり、ローパスフィルタによって得られる直流電圧の値
も高くなる。従って、情報識別部に入力されるローパス
フィルタの出力する直流電圧の値は、静電容量CC の値
に関係を持つ値であると言えることになる。
【0031】この静電容量CC の値は、(式1)に示し
た関係から、IDカードが移送されるに従って、IDカ
ード内に設置されたカード側電極板の対数,配列された
位置、面積値、および、このカード側電極板と結合用電
極板との重合いが最高となる場合の重合いの度合い(例
えば、IDカードの移送方向に対して垂直方向の幅方向
の寸法について考察すると、この寸法が両電極板間で一
致している場合に対して、この寸法が両電極板間で不一
致である場合には、不一致度が増加するに従って、静電
容量CC の値は低減する。)に対応して、経時的に変化
することになる。
【0032】ところで、ローパスフィルタの出力端の電
圧の値と、静電容量CC の値との間には前記の関係があ
るので、ローパスフィルタの出力端の電圧の値から、静
電容量CC の値を逆算できることになる。この性質に着
目し、ローパスフィルタの出力端の電圧値および/また
はその変化度と、カード位置検出部の出力するIDカー
ドの移送された位置に対応する信号とから、IDカード
内に設置されたカード側電極板の対数,配列された位
置、面積値、あるいは、このカード側電極板と結合用電
極板との重合いが最高となる場合の重合いの度合いを知
ることができる。従って、IDカード内に設置されたカ
ード側電極板の対数,配列された位置、面積値、あるい
は、このカード側電極板と結合用電極板との重合いが最
高となる場合の重合いの度合いを、IDカードが内蔵し
た識別されるべき情報として利用することができるので
ある。そうして、これ等の識別されるべき情報を得るの
に、IDカードは、IC等の回路素子、および、直流電
源を一切内蔵する必要が無いのである。
【0033】4)結合用電極板のIDカードの移送方向
の寸法を、IDカードの備えるいずれのカード側電極板
のIDカードの移送方向の寸法よりも短い構成とするこ
とにより、IDカードの備えるカード側電極板と結合用
電極板との重合いが最高となる時間を、両電極板の移送
方向の寸法差に対応する時間だけ持続することが可能と
なるので、IDカードの備えるカード側電極板と結合用
電極板との重合いが最高となる場合の重合いの度合い
を、前記(3)項による場合よりも確実に把握すること
ができるのである。
【0034】5)IDカードが備えるカード側電極板お
よびコイルは、いずれも重なり合わないように配置され
てなる構成とすることにより、IDカードに内蔵される
カード側電極板とコイルの厚さ方向の寸法は、カード側
電極板およびコイルそれぞれの厚さ方向の寸法に抑える
ことが可能となる。 6)IDカードの備える閉コイル,または,カード側電
極板とコイルは、いずれもプリント配線板が備える箔状
の導電層を用いて形成されてなる構成とすることによ
り、閉コイルおよびコイルのそれぞれの層の間隔を、プ
リント配線板が備えるベース層によって保持することが
可能となる。また、閉コイルの端部間の接続体に、両面
プリント配線板の裏面側の箔状の導電層を用いること
で、余分の寸法を付加することなく閉コイルの端部間の
接続を行うことが可能となる。さらに、一方のカード側
電極板とコイルの端部間の接続体に、両面プリント配線
板の裏面側の箔状の導電層を用いると共に、他方のカー
ド側電極板とコイルの端部間の接続を表面側の箔状の導
電層を用いることで、余分の寸法を付加することなくカ
ード側電極板とコイルの端部間の接続を行うことが可能
となる。
【0035】
【実施例】以下この発明の実施例を図面を参照して詳細
に説明する。 実施例1;図1は、請求項1,2,6に対応するこの発
明の一実施例によるIDカードを用いる識別装置に用い
られるIDカードのその一部を破断して示した上面図で
あり、図2(a)は、図1におけるM−M断面図であ
り、図2(b)は、図1おけるN−N断面図である。図
3は、図1中に示したIDカードを用いる識別装置を説
明する概念的なブロック図である。図4は、図3に示し
たIDカードを用いる識別装置を示す斜視図であり、図
5は、図4に示したIDカードを用いる識別装置の、
(a)はIDカードを除く縦断面図であり、(b)は、
図5(a)におけるQ−Q断面図である。図1〜図5に
おいて、図15に示した従来例によるIDカードを用い
る識別装置と同一部分には同じ符号を付し、その説明を
省略する。
【0036】図1〜図5において、1は、前記図15に
示した従来例によるIDカードを用いる識別装置9Aに
対して、IDカード7Aに替えてIDカード2を、読取
装置8Aに替えて読取装置3を用いるようにしたIDカ
ードを用いる識別装置であって、トランス結合方式のI
Dカードを用いる識別装置でもある。IDカード2は、
直方体状の外形をなし、閉コイル21A,21B,21
Cの3個の閉コイルを、IDカード2の移送方向Xに沿
って順次備えている。閉コイル21(以降、閉コイル2
1A,21B,21Cを総称する場合には、このように
言うことがある。)は、共に両面プリント配線板製の閉
コイル構造体26として形成され、この両面プリント配
線板(以降、単にプリント板と略称することがある。)
が備える一方の箔状の導電層を、例えば、一般のプリン
ト板の場合の箔状導電層の加工方法と同様に、エッチン
グ加工により所望の形状に加工したものである。
【0037】この実施例の場合、それぞれの閉コイル2
1はいずれも矩形状をなし、その導体部の諸寸法は、次
記するとおりに設定されている。まず、閉コイル21の
IDカード2の移送方向Xに対して垂直となる方向の閉
コイル21の幅方向の中心寸法である幅寸法W
A , B ,WC は、全て同一である。また、閉コイル2
1のIDカード2の移送方向Xに対して平行する方向と
なる閉コイルの長さ方向の中心寸法である長さ寸法Λ
A , ΛB ,ΛC も、全て同一である。また、閉コイル2
1Aの巻き数は4巻き,閉コイル21Bの巻き数は3巻
き,閉コイル21Cの巻き数は2巻きである。また、閉
コイル21A,21B,21Cの各導体の厚さ,幅のそ
れぞれの寸法は同一である。さらに、閉コイル21Aと
閉コイル21Bの中心間隔τA-B と,閉コイル21Bと
閉コイル21Cの中心間隔τB-C とは同一としている。
それぞれの閉コイル21A,21B,21Cは、前記の
諸寸法を有するものとして、プリント板の備えるベース
層22に強固に固着された箔状の導電層を用いて形成さ
れている。閉コイル21は、このベース層22に固着さ
れて保持されることで、前記諸寸法を保持することが可
能となっている。さらに、それぞれの閉コイル21の端
部間の接続体23は、両面プリント配線板の閉コイル2
1が形成されていない裏面側の箔状の導電層が用いられ
ており、閉コイル21と同様に、一般のプリント板の場
合の箔状導電層の加工方法と同様の方法で加工されてい
る。閉コイル21の端部と、接続体23の前記端部とが
互いに対向する部位の間は、両面プリント板の両側の箔
状導電層の間を接続するために一般に用いられているス
ルーホール接続によって接続されている。このスルーホ
ール接続をされている部位を、図2中にスルーホール接
続部24として示している。このような構成により、閉
コイル21を搭載した閉コイル構造体26の厚さ寸法
は、プリント板の厚さ寸法と同等値に保持することが可
能となる。この閉コイル構造体26を、電気絶縁材製の
ケース本体271と,このケース本体271に接着剤に
よって接着される電気絶縁材製の蓋体272とから成る
収納ケース27内に収納することで、IDカード2が構
成されている。なお、収納ケース27は、閉コイル構造
体26を埋設した射出成形体として構成してもよいこと
は、勿論のことである。
【0038】読取装置3は、電気回路上では、読取装置
8Aに対して、識別回路部81に替えて識別回路部31
を、発信コイル83に替えてアンテナコイル32を用い
るようにすると共に、IDカード2の移送された位置に
対応する信号を出力するカード位置検出部33と、必要
に応じて、変調回路部82Aからアンテナコイル32に
供給する電流i1 の最大値を制限する抵抗器34を、変
調回路部82Aの出力端に接続される配線に接続してい
る。また、構造上では、IDカード2を通過させるID
カード2用の移送通路36と、IDカード2を移送する
移送手段37を備えている。
【0039】IDカード2用の移送通路36は、IDカ
ード2のIDカード2の移送方向Xに対して,垂直とな
る方向の断面の各寸法よりも大きい寸法の開口部36a
を読取装置3の相対する一対の側面にそれぞれ開口して
いる。IDカード2を移送する移送手段37は、一方の
開口部36aに端部を挿入されたIDカード2を、他方
の開口部36aに向けて移送方向Xに沿って移送する装
置であり、その搬送面をIDカード2をその上下両面か
ら挟んで設置された、ベルト搬送装置37A,37Bで
構成されている。これ等のベルト搬送装置37A,37
BのIDカード2に接するそれぞれの搬送面は、駆動モ
ータ371によって駆動されて、図5(a)中に矢印で
示したごとく移動運動を行っている。
【0040】アンテナコイル32は、矩形状をなし、ベ
ルト搬送装置37A,37Bの持つIDカード2の搬送
面に平行させて設置されている。また、アンテナコイル
32の導体部の寸法については、そのIDカード2の移
送方向Xに対して垂直となる幅方向の中心寸法である幅
寸法wを、閉コイル21の幅寸法W(以降、閉コイル2
1A,21B,21Cのそれぞれの幅寸法WA , B
C を総称する場合には、このように言うことがあ
る。)と同一値としている。また、アンテナコイル32
は、そのIDカード2の移送方向Xに対して平行する方
向となるアンテナコイル32の長さ方向の中心寸法であ
る長さ寸法λを、閉コイル21の長さ寸法Λ(以降、閉
コイル21A,21B,21Cのそれぞれの長さ寸法Λ
A , ΛB ,Λ C を総称する場合には、このように言うこ
とがある。)よりもΔΛだけ短い寸法としている。
【0041】カード位置検出部33は、例えば、受発光
式の光センサー33A,33B,33Cで構成されてい
る。これ等の受発光式の光センサー(以降、単に光セン
サーと略称することがある。)33(以降、光センサー
33A,33B,33Cを総称する場合には、このよう
に言うことがある。)は、閉コイル21の中心間隔τ
(以降、閉コイル21Aと閉コイル21Bの中心間隔τ
A-B ,閉コイル21Bと閉コイル21Cの中心間隔τ
B-C を総称する場合には、このように言うことがあ
る。)とほぼ同等の間隔τ33で、IDカード2の移送方
向Xに沿って互いに間隔を隔てて設置されている。それ
ぞれの光センサー33は、光センサー33の発光部から
発射された光束がIDカード2で遮られことで,その受
光部に到達しなくなると、検知信号33aを出力する。
【0042】識別回路部31は、包絡線検出回路部88
が出力した信号88aと、カード位置検出部33から出
力された検知信号33aとを入力して、これ等の信号,
あるいは,必要に応じては,これ等の信号をデジタル値
に変換したデジタル信号に基づく電流i1 に関するデー
タを、識別回路部31に内蔵されたROMに記録されて
いるデータとを比較・参照のうえで、信号8bを出力す
る。なお、検知信号33aは、光センサー33の設置状
況から、このままでは、IDカード2の移送位置に対応
した連続の信号は得られない。このために、識別回路部
31に、一定周期でパルス波を出力するクロックパルス
発生器(以降、CPと略称することがある。)を備え、
それぞれの光センサー33A,33B,33Cで発生す
る検知信号33の間をこのCPで補完した検知信号を用
いるようにしてもよいものである。
【0043】電流i1 の値については、作用の項ですで
に説明済のところにより、IDカード2の移送位置に対
応して、IDカード2内に設置された閉コイル21の個
数,配列された位置(例えば、閉コイル21の中心間隔
τである。)、等価自己インピーダンス値(閉コイル2
1の巻き数,幅寸法W,長さ寸法Λで主として定ま
る。)、あるいは、閉コイル21とアンテナコイル32
との重合いが最高となる場合の重合いの度合い(閉コイ
ル21の幅寸法W,長さ寸法Λと、アンテナコイル32
の幅寸法w,長さ寸法λとの差異により主として定ま
る。)等で定まる変化をする。従って、包絡線検出回路
部88から出力される信号88aも、この電流i1 の包
絡線の値に対応して変化する信号として得られる。この
ような信号88aと,前記の検知信号33aを総合して
得られるデータの一例を、グラフとして示したのが図6
である。図6は、縦軸に信号88aを、横軸にCPで補
完された検知信号33aをとって作成されており、横軸
は、開口部36aから挿入されたIDカード2の読取装
置3内の移送距離を示し、縦軸は、それぞれ前記した仕
様を持つ閉コイル21,アンテナコイル32に基づく電
流i1 の包絡線の値を示すものである。
【0044】次に、図6の説明を行う。図6によるグラ
フの横軸に示したIDカード2の移送位置Xに関して、
0 は、開口部36aにIDカード2が挿入されていな
い場合を示し、X11は、アンテナコイル32の長さ寸法
λのIDカード2挿入側の端部に、閉コイル21Aの長
さ寸法Λ側の先端が到達した場合を示し、X12は、アン
テナコイル32の長さ寸法λの,反IDカード2挿入側
の導体部の中心に、閉コイル21Aの長さ寸法Λ側の,
挿入側の導体部の中心が到達した場合を示し、X13は、
アンテナコイル32の長さ寸法λの,IDカード2挿入
側の導体部の中心に、閉コイル21Aの長さ寸法Λ側
の,反挿入側の導体部の中心が到達した場合を示し、X
14は、アンテナコイル32の長さ寸法λの反IDカード
2挿入側の端部に、閉コイル21Aの長さ寸法Λ側の後
端が到達した場合を示している。
【0045】また、X21は、アンテナコイル32の長さ
寸法λのIDカード2挿入側の端部に、閉コイル21B
の長さ寸法Λ側の先端が到達した場合を示し、X22は、
アンテナコイル32の長さ寸法λの,反IDカード2挿
入側の導体部の中心に、閉コイル21Bの長さ寸法Λ側
の,挿入側の導体部の中心が到達した場合を示し、X 23
は、アンテナコイル32の長さ寸法λの,IDカード2
挿入側の導体部の中心に、閉コイル21Bの長さ寸法Λ
側の,反挿入側の導体部の中心が到達した場合を示し、
24は、アンテナコイル32の長さ寸法λの反IDカー
ド2挿入側の端部に、閉コイル21Bの長さ寸法Λ側の
後端が到達した場合を示している。
【0046】さらに、X31は、アンテナコイル32の長
さ寸法λのIDカード2挿入側の端部に、閉コイル21
Cの長さ寸法Λ側の先端が到達した場合を示し、X
32は、アンテナコイル32の長さ寸法λの,反IDカー
ド2挿入側の導体部の中心に、閉コイル21Cの長さ寸
法Λ側の,挿入側の導体部の中心が到達した場合を示
し、X33は、アンテナコイル32の長さ寸法λの,ID
カード2挿入側の導体部の中心に、閉コイル21Cの長
さ寸法Λ側の,反挿入側の導体部の中心が到達した場合
を示し、X34は、アンテナコイル32の長さ寸法λの反
IDカード2挿入側の端部に、閉コイル21Cの長さ寸
法Λ側の後端が到達した場合を示している。
【0047】図6によるグラフの縦軸に示した電流i1
の包絡線の値に関して、i11は、アンテナコイル32と
閉コイル21Aとの重合いが最高となった場合の電流i
1 の包絡線の値を示し、i12は、アンテナコイル32と
閉コイル21Bとの重合いが最高となった場合の電流i
1 の包絡線の値を示し、i13は、アンテナコイル32と
閉コイル21Cとの重合いが最高となった場合の電流i
1 の包絡線の値を示している。それぞれの電流i1 の包
絡線の値i11,i12,i13が、i11>i12>i 13の関係
になっている理由は、閉コイル21の巻き数が、閉コイ
ル21Aで4巻き,閉コイル21Bで3巻き,閉コイル
21Cで2巻きとなっており、よく知られているよう
に、それぞれの閉コイル21の自己インピーダンスがほ
ぼ巻き数の自乗に比例する関係にあるためである。
【0048】また、i11の持続期間であるX13とX12
の差は、アンテナコイル32の長さ寸法λと閉コイル2
1Aの長さ寸法ΛA との差寸法ΔΛであり、i12の持続
期間であるX23とX22との差は、アンテナコイル32の
長さ寸法λと閉コイル21Bの長さ寸法ΛB との差寸法
ΔΛであり、i13の持続期間であるX33とX32との差
は、アンテナコイル32の長さ寸法λと閉コイル21C
の長さ寸法ΛC との差寸法ΔΛである。さらに、i11
始点X12とi12の始点X22との差の期間は、閉コイル2
1Aと閉コイル21Bの中心間隔τA-B であり、i12
始点X22とi13の始点X32との差期間は、閉コイル21
Bと閉コイル21Cの中心間隔τB-C である。
【0049】以上による図6に示した信号88aと検知
信号33aから得られるデータを、IDカード2が内蔵
した識別されるべき情報として利用することができるの
である。そうして、これ等の識別されるべき情報を得る
のに、IDカード2は、IC等の回路素子、および、直
流電源を一切内蔵する必要が無いのである。識別回路部
31では、このデータと、識別回路部31に内蔵された
ROMに記録されているデータとを比較・照合し、前記
データに対応する従うROM内のデータに対応する信号
8bを出力する。この信号8bの利用方法は、従来例の
識別装置9で述べたところと同様である。
【0050】ところで、信号88aと検知信号33aか
ら得られるデータは、閉コイル21A,閉コイル21B
および閉コイル21Cの巻き数が、それぞれ4巻き,3
巻きおよび2巻きであることによっている。IDカード
2の備えるそれぞれの閉コイル21の巻き数を、4巻
き,3巻きおよび2巻きの,3種類の中から選ぶものと
した場合に、33 =27種類の異なるデータを持つID
カード2を準備することが可能であることが分かる。そ
れぞれの閉コイル21の巻き数を、3種類としただけで
もこれだけの異なる種類のIDカード2の準備が可能と
なるのである。また、識別装置1を、スキー場用のリフ
ト利用者に対するゲート管理に利用する場合には、ID
カード2として1回利用券と,1日利用券とを準備すれ
ばよい場合が多い。この場合には、1日利用券を他日に
利用できないようにするために,複数の1日利用券を準
備するようにしたとしても、さして多数のIDカード2
を準備する必要は無いものである。しかも、前記構造を
備えたIDカード2は、大量生産が容易な構造であるこ
とから、同種類のIDカード2を多数準備するに当たっ
て、IDカード2の製造原価を低減するのに有効な構成
方法となっている。また、閉コイル構造体26の両面プ
リント配線板を使用する前記した構造は、それぞれの閉
コイル21をベース層22によって保持できるとか、閉
コイルの端部間を,両面プリント配線板の裏面側の箔状
の導電層を用いた接続体23によって行うことが可能に
なること等により、IDカード2の厚さ寸法の大幅な低
減を図るうえから有効な構造である。
【0051】実施例1における今までの説明では、閉コ
イル構造体26が備えるそれぞれの閉コイル21の持
つ、幅方向の中心寸法である幅寸法W,長さ方向の中心
寸法である長さ寸法Λ,およびそれぞれの閉コイル21
の中心間隔τは、共に同一であるとしてきたが、これに
限定されるものではなく、例えば、幅寸法W,長さ寸法
Λ,および中心間隔τは、それぞれの閉コイル21で異
なる値であってもよいものである。これにより、極めて
多種類のIDカード2を準備することが可能となる。
【0052】また、実施例1における今までの説明で
は、IDカード2は両面プリント配線板製の閉コイル構
造体26を用いるとしてきたが、これに限定されるもの
ではなく、例えば、それぞれの閉コイル21は絶縁電線
を絶縁材製のボビンに巻回する構造であってもよいもの
である。この構造によると、多種類の寸法の閉コイル2
1を持つIDカード2を準備することが容易となるもの
である。
【0053】さらにまた、実施例1における今までの説
明では、アンテナコイル32は、IDカード2の一方の
面に対向させて設置されるとしてきたが、これに限定さ
れるものではなく、例えば、アンテナコイル32は、2
個のコイルを1組として、互いにIDカード2を挟むよ
うにして設置してもよいものである。その場合、互いに
組み合わされる2個のコイルは、それぞれのコイルが発
生する交番磁界が互いに相加されるように電気接続が行
われる必要がある。
【0054】実施例2;図7は、請求項3〜6に対応す
るこの発明の一実施例によるIDカードを用いる識別装
置を説明する概念的なブロック図である。図8は、図7
に示したIDカードを用いる識別装置に用いられるID
カードのその一部を破断して示した上面図であり、図9
(a)は、図8におけるM−M断面図であり、図9
(b)は、図8おけるN−N断面図である。図10は、
図7に示したIDカードを用いる識別装置を示す斜視図
であり、図11は、図10に示したIDカードを用いる
識別装置の、(a)はIDカードを除く縦断面図、
(b)は、図11(a)におけるQ−Q断面図である。
図12は、図7に示したIDカードを用いる識別装置の
主要部の波形を示す線図であり、図13は、ローパスフ
ィルタの出力する直流電圧とカード位置検出部から得ら
れる信号との関係を説明するグラフである。図7〜図1
2において、図1〜5に示した請求項1,2,6に対応
するこの発明の一実施例によるIDカードを用いる識別
装置と同一部分には同じ符号を付し、その説明を省略す
る。
【0055】図7〜図12において、4は、図1〜5に
示したIDカードを用いる識別装置1に対して、IDカ
ード2に替えてIDカード5を、読取装置3に替えて読
取装置6を用いるようにしたIDカードを用いる識別装
置であって、容量結合方式のIDカードを用いる識別装
置でもある。IDカード5は、直方体状の外形をなし、
カード側電極板とコイルとの結合体51A,51B,5
1Cの3個のカード側電極板とコイルとの結合体(以
降、単に結合体と略称することがある。)を、IDカー
ド5の移送方向Xに沿って順次備えている。それぞれの
結合体51(以降、結合体51A,51B,51Cを総
称する場合には、このように言うことがある。)は、い
ずれも1対のカード側電極板511Aと512A,51
1Bと512B,511Cと512Cと、これ等の対と
なっているカード側電極板511(以降、カード側電極
板511A,511B,511Cを総称する場合には、
このように言うことがある。)とカード側電極板512
(以降、カード側電極板512A,512B,512C
を総称する場合には、このように言うことがある。)の
相互間をそれぞれ接続するコイル521A,521B,
521Cとを備えている。カード側電極板511,51
2およびコイル521(以降、コイル521A,521
B,521Cを総称する場合には、このように言うこと
がある。)は、共に両面プリント配線板製の結合構造体
56として形成され、この両面プリント配線板(以降、
単にプリント板と略称することがある。)が備える一方
の箔状の導電層を、例えば、一般のプリント板の場合の
箔状導電層の加工方法と同様に、エッチング加工により
所望の形状に加工したものである。
【0056】この実施例の場合、それぞれのカード側電
極板511とカード側電極板512はいずれも矩形状を
なし、その諸寸法は、次記するとおりに設定されてい
る。まず、それぞれのカード側電極板511とカード側
電極板512のIDカード5の移送方向Xに対して平行
する方向となる長さ寸法、すなわちカード側電極板51
1に対しての長さ寸法Λ1A ,Λ1B,Λ1C、およびカード
側電極板512に対しての長さ寸法Λ2A ,Λ2B,Λ2C
全て同一である。また、カード側電極板511とカード
側電極板512のIDカード5の移送方向Xに対して垂
直となる方向の幅寸法、すなわちカード側電極板511
に対しての幅寸法W1A ,1B,W1C、およびカード側電
極板512に対しての幅寸法W2A ,2B,W2Cは、W1A
=W2A,W 1B=W2B,W1C=W2Cで、しかも、W1A>W
1B>W1Cの関係に形成されている。また、互いに対とな
るカード側電極板511とカード側電極板512の、I
Dカード5の移送方向Xに対して垂直となる方向の最側
端部寸法WA , B ,WC は、全て同一である。さら
に、互いに対となるカード側電極板511Aとカード側
電極板512Aと,互いに対となるカード側電極板51
1Bとカード側電極板512Bとの中心間隔τA-B と、
互いに対となるカード側電極板511Bとカード側電極
板512Bと,互いに対となるカード側電極板511C
とカード側電極板512Cとの中心間隔τB-C とは同一
としている。
【0057】それぞれの結合体51に所属するコイル5
21は、同一の結合体51に所属する対となるカード側
電極板511,512の外周部を巡るようにして、それ
ぞれのカード側電極板511,512と間隔を設けて形
成されている。また、それぞれのコイル521の巻き数
は共に2巻きである。それぞれの結合体51A,51
B,51Cは、前記の諸寸法を有するものとして、プリ
ント板の備えるベース層53に強固に固着された箔状の
導電層を用いて形成されている。結合体51は、このベ
ース層53に固着されて保持されることで、前記諸寸法
を保持することが可能となっている。さらに、それぞれ
のコイル521の一方の端部は、それぞれのカード側電
極板511に,プリント板の備える一方の箔状の導電層
を用いて一体に接続され、それぞれのコイル521の他
方の端部は、プリント板の備える一方の箔状の導電層を
用いて,それぞれのカード側電極板512から一体に引
き出されたリード部521aと、接続体54を介して接
続される。接続体54には、両面プリント配線板の結合
体51が形成されていない裏面側の箔状の導電層が用い
られており、結合体51と同様に、一般のプリント板の
場合の箔状導電層の加工方法と同様の方法で加工されて
いる。コイル521の他方の端部およびリード部521
aの端部と、接続体54の端部とが互いに対向する部位
の間は、両面プリント板の両側の箔状導電層の間を接続
するために一般に用いられているスルーホール接続によ
って接続されている。このスルーホール接続をされてい
る部位を、図9中にスルーホール接続部55として示し
ている。このような構成により、結合体51を搭載した
結合構造体56の厚さ寸法は、プリント板の厚さ寸法と
同等値に保持することが可能となる。この結合構造体5
6を、電気絶縁材製のケース本体571と,このケース
本体571に接着剤によって接着される電気絶縁材製の
蓋体572とから成る収納ケース57内に収納すること
で、IDカード5が構成されている。なお、収納ケース
57は、結合構造体56を埋設した射出成形体として構
成してもよいことは、勿論のことである。
【0058】読取装置6は、電気回路上では、読取装置
3に対して、識別回路部31に替えて識別回路部61
を、変調回路部82A,包絡線検出回路部88,アンテ
ナコイル32等に替えて、発振器62,位相比較回路部
63,ローパスフィルタ64,可変容量コンデンサ回路
部65,結合用電極板66A,66Bを用いるようにし
ている。また、構造上では、読取装置3と同様にIDカ
ード5を通過させるIDカード5用の移送通路36と、
IDカード5を移送する移送手段37を備えている。
【0059】それぞれの結合用電極板66(以降、結合
用電極板66A,66Bを総称する場合には、このよう
に言うことがある。)は、矩形状をなし、ベルト搬送装
置37A,37Bの持つIDカード2の搬送面に平行さ
せて設置されている。また、それぞれの結合用電極板6
6は、そのIDカード5の移送方向Xに対して垂直とな
る方向の幅寸法w1A,w1Bを、w1A=w1Bとし、しか
も、幅寸法w1A,w1Bをカード側電極板511A,カー
ド側電極板512Aのそれぞれの幅寸法W1A,W 2Aと等
しく設定されている。また、結合用電極板66の、ID
カード5の移送方向Xに対して垂直となる方向の最側端
部寸法wも、カード側電極板511Aとカード側電極板
512Aの、IDカード5の移送方向Xに対して垂直と
なる方向の最側端部寸法WA と同一値にしている。それ
ぞれの結合用電極板66の、IDカード5の移送方向X
に対して平行する方向となる長さ寸法λを、カード側電
極板511Aの長さ寸法Λ1Aおよびカード側電極板51
2Aの長さ寸法Λ2AよりもΔΛだけ短い寸法としてい
る。
【0060】発振器62は、識別回路部61から出力さ
れた信号を受けて、基準となる周波数f02を持つ基準電
圧であるところの、図12(a)に示したような、一定
波高値V62,一定導通幅t62(t62=t02/2)を持つ
矩形波パルスが、一定周期t 02(t02=1/f02)でオ
ン・オフを繰り返す電圧62aを、位相比較回路部63
に出力する。なおこの実施例の場合には、周波数f
02は、結合用電極板66がその全面積で、IDカード5
の備える結合体51Aの持つカード側電極板511A,
512Aと重合っている場合に、後記する可変容量コン
デンサ回路部65から出力される交流電圧の周波数f05
と同一値とするように設定されている。
【0061】位相比較回路部63は、電圧62aおよび
可変容量コンデンサ回路部65が出力する後記する信号
65aとを入力し、可変容量コンデンサ回路部65から
出力される交流電圧の持つ周波数f05が電圧62aの持
つ周波数f02よりも高いほど高い値となる直流成分を含
む電圧を出力する回路である。すなわち、この実施例に
よる位相比較回路部63は、信号65aが、図12
(b)に示したような、波高値V62,導通幅t65(t65
=t05/2)を持つ矩形波パルスが、周期t05でオン・
オフを繰り返すパルス波形をした信号である場合には、
図12(c)に示したような、電圧62aと信号65a
とが共にオンしている期間では零であり、電圧62aだ
けがオンしている期間では正側に,また,信号65aだ
けがオンしている期間では負側に、それぞれ同一の波高
値を持つ矩形波パルス状をした電圧63aを出力する。
電圧63aは、このように、電圧62aと信号65aと
の位相差に対応する電圧であって、図12に例示したの
は、周波数f05>周波数f02である場合であり、その結
果得られる電圧63aには、図12(c)に示すごとく
正の直流成分が含まれることになる。従って、周波数f
05が周波数f02と同一値である場合には、電圧63aは
零である。この電圧63aは、よく知られているところ
による直流分のみを通過させる働きを持つローパスフィ
ルタ64に入力される。従って、図12に例示した場合
には、ローパスフィルタ64から出力される電圧v
1 は、正の値を持つ直流電圧であり、このようにして得
られた直流電圧v1 は、識別回路部61と可変容量コン
デンサ回路部65とに向けて出力される。
【0062】可変容量コンデンサ回路部65は、直流出
力電圧発生回路651と、電圧制御型コンデンサである
既知の可変容量ダイオード652と、可変容量ダイオー
ド652の両端に発生する交流電圧を入力して,矩形波
パルス状の信号65aを出力する波形成形回路653を
備えている。直流出力電圧発生回路651は、直流電圧
1 を直流制御電圧として入力して、この直流制御電圧
の値,すなわち,直流電圧v1 の値が高いほど高い値を
持つ直流出力電圧を発生して、可変容量ダイオード65
2の両端と、1対の出力端子654A,654Bとの間
に与える。可変容量ダイオード652は、よく知られて
いるように、印加される電圧の値が高いほど大きい値に
変化する静電容量CV を持つコンデンサと同等の働きを
備える素子である。この可変容量ダイオード652の静
電容量CV は、出力端子654A,654Bを介して結
合用電極板66に接続されている。
【0063】このように構成された可変容量コンデンサ
回路部65は、結合用電極板66が、IDカード5が備
える結合体51の有するカード側電極板511,512
と共に前記(式1)によるの値の静電容量CC を持つコ
ンデンサを形成し、しかも、このコンデンサに直列にコ
イル521が接続されていることで、よく知られている
VCO(電圧制御発信器)を構成することになる。そう
して、可変容量ダイオード652は、結合用電極板66
とカード側電極板511,512とで形成されるコンデ
ンサに、直列に接続されるコンデンサとしてVCOの発
振回路を構成する。
【0064】このように構成されたVCOは、作用の項
ですでに説明済のところにより、静電容量CC の値が、
IDカード5が移送するに従って、IDカード5内に設
置されたカード側電極板511,512の対数,配列さ
れた位置、面積値、および、このカード側電極板51
1,512と結合用電極板66との重合いが最高となる
場合の重合いの度合いに対応して、経時的に変化するに
従い、(式2)による共振周波数f0 で発振する。VC
Oのこの発振による交流電圧は、当然のことながら可変
容量ダイオード652の両端においても得られるので、
出力端子654A,654Bとの間から出力される。従
って、(式2)による共振周波数f0 が、出力端子65
4A,654Bとの間から出力される交流電圧の周波数
05である。波形成形回路653にも入力されたこの交
流電圧が、波形成形されて得られた信号が信号65aで
ある。
【0065】従って、前記VCOと、発振器62,位相
比較回路部63,ローパスフィルタ64とで、よく知ら
れているPLL周波数復調器を構成していることにな
る。このようにして構成されたPLL回路の、ローパス
フィルタ64から出力される電圧v1 の値は、静電容量
C の値を逆算できることになるものである。すなわ
ち、電圧v1 の値については、作用の項ですでに説明済
のところにより、IDカード5の移送位置に対応して、
IDカード5内に設置された結合体51の個数,配列さ
れた位置(例えば、互いに対となるカード側電極板51
1Aとカード側電極板512Aと,互いに対となるカー
ド側電極板511Bとカード側電極板512Bとの中心
間隔τA-B である。)、静電容量CC の値(カード側電
極板511の幅寸法W1A,W2A等、長さ寸法Λ1A,Λ2A
等、および、それぞれの結合用電極板66の幅寸法
1A,w1B、長さ寸法λで主として定まる。)、あるい
は、カード側電極板511と結合用電極板66との重合
いが最高となる場合の重合いの度合い(閉コイル21の
幅寸法W1A,長さ寸法Λ1A等と、結合用電極板66の幅
寸法の幅寸法w1A,長さ寸法λとの差異により主として
定まる。)等で定まる変化をする。
【0066】識別回路部61は、この電圧v1 と、カー
ド位置検出部33出力した検知信号33aとを入力し
て、これ等の信号,あるいは,必要に応じては,これ等
の信号をデジタル値に変換したデジタル信号に基づく電
圧v1 に関するデータを、識別回路部61に内蔵された
ROMに記録されているデータと比較・参照のうえで、
信号8bを出力する。前記した電圧v1 と,前記の検知
信号33aを総合して得られるデータの一例を、グラフ
として示したのが図13である。図13は、縦軸に電圧
1 を、横軸にCPで補完した検知信号33aをとって
作成されており、横軸は、開口部36aから挿入された
IDカード2の読取装置6内の移送距離を示し、縦軸
は、それぞれ前記した仕様を持つ結合体51と,結合用
電極板66に基づく電圧v1 の値を示すものである。
【0067】次に、図13の説明を行う。図13による
グラフの横軸に示したIDカード5の移送位置Xに関し
て、X0 は、開口部36aにIDカード5が挿入されて
いない場合を示し、X11は、結合用電極板66の長さ寸
法λのIDカード5挿入側の端部に、結合体51Aが備
えるそれぞれのカード側電極板511A,512Aの長
さ寸法側の先端が到達した場合を示し、X12は、結合用
電極板66の長さ寸法λの反IDカード5挿入側の端部
に、カード側電極板511A,512Aの長さ寸法側の
先端が到達した場合を示し、X13は、結合用電極板66
の長さ寸法λのIDカード5挿入側の端部に、カード側
電極板511A,512Aの長さ寸法側の後端が到達し
た場合を示し、X14は、結合用電極板66の長さ寸法λ
の反IDカード5挿入側の端部に、カード側電極板51
1A,512Aの長さ寸法側の後端が到達した場合を示
している。
【0068】また、X21は、結合用電極板66の長さ寸
法λのIDカード5挿入側の端部に、結合体51Bが備
えるそれぞれのカード側電極板511B,512Bの長
さ寸法側の先端が到達した場合を示し、X22は、結合用
電極板66の長さ寸法λの反IDカード5挿入側の端部
に、カード側電極板511B,512Bの長さ寸法側の
先端が到達した場合を示し、X23は、結合用電極板66
の長さ寸法λのIDカード5挿入側の端部に、カード側
電極板511B,512Bの長さ寸法側の後端が到達し
た場合を示し、X24は、結合用電極板66の長さ寸法λ
の反IDカード5挿入側の端部に、カード側電極板51
1B,512Bの長さ寸法側の後端が到達した場合を示
している。
【0069】さらに、X31は、結合用電極板66の長さ
寸法λのIDカード5挿入側の端部に、結合体51Cが
備えるそれぞれのカード側電極板511C,512Cの
長さ寸法側の先端が到達した場合を示し、X32は、結合
用電極板66の長さ寸法λの反IDカード5挿入側の端
部に、カード側電極板511C,512Cの長さ寸法側
の先端が到達した場合を示し、X33は、結合用電極板6
6の長さ寸法λのIDカード5挿入側の端部に、カード
側電極板511C,512Cの長さ寸法側の後端が到達
した場合を示し、X34は、結合用電極板66の長さ寸法
λの反IDカード5挿入側の端部に、カード側電極板5
11C,512Cの長さ寸法側の後端が到達した場合を
示している。
【0070】図13によるグラフの縦軸に示した電圧v
1 の値に関して、v11は、結合用電極板66とカード側
電極板511A,512Aとの重合いが最高となった場
合の電圧v1 の値を示し、v12は、結合用電極板66と
カード側電極板511B,512Bとの重合いが最高と
なった場合の電圧v1 の値を示し、v13は、結合用電極
板66とカード側電極板511C,512Cとの重合い
が最高となった場合の電圧v1 の値を示している。それ
ぞれの電圧v1 の値v11,v12,v13が、v11<v12
13の関係になっている理由は、それぞれの結合体51
の備えるカード側電極板511,512の寸法,従って
その面積が、結合体51Aにおける面積>結合体51B
における面積>結合体51Cにおける面積の関係となっ
ており、これに伴って結合用電極板66とそれぞれの結
合体51の備えカード側電極板で得られるところの、前
記(式1)に示した関係にある静電容量CC の値が小さ
くなっている。このために、カード側電極板511,5
12の面積が狭くなるに従い、可変容量コンデンサ回路
部65から出力される交流電圧の周波数f05の値が高く
なるためである。
【0071】また、v11の持続期間であるX13とX12
の差は、結合用電極板66の長さ寸法λと,カード側電
極板511A,512Aの長さ寸法との差寸法ΔΛであ
り、v12の持続期間であるX23とX22との差は、結合用
電極板66の長さ寸法λと,カード側電極板511B,
512Bの長さ寸法との差寸法ΔΛであり、v13の持続
期間であるX33とX32との差は、結合用電極板66の長
さ寸法λとカード側電極板511C,512Cの長さ寸
法との差寸法ΔΛである。さらに、v11の始点X12とv
12の始点X22との差の期間は、結合体51Aと結合体5
1Bの中心間隔τA-B であり、v12の始点X22とv13
始点X32との差期間は、結合体51Bと結合体51Cの
中心間隔τB-C である。
【0072】なお、図13に示した電圧v10は、カード
側電極板511,512が結合用電極板66と全く重合
っていない状態での電圧v1 の値を示している。この場
合には、静電容量CC の値がほぼ零であるので、可変容
量コンデンサ回路部65が備える1対の出力端子654
A,654Bから見たところの、結合用電極板66A,
66Bを含むそれ以降の回路のインピーダンスはほぼ無
限大となる。このために、VCOは発振することができ
ない。従って、電圧63aは電圧62aと全く同一とな
る。電圧v10は、このような電圧63aを入力したロー
パスフィルタ64が出力する電圧v1 である。
【0073】以上による図13に示した電圧v1 と検知
信号33aから得られるデータを、IDカード5が内蔵
した識別されるべき情報として利用することができるの
である。そうして、これ等の識別されるべき情報を得る
のに、IDカード5は、IC等の回路素子、および、直
流電源を一切内蔵する必要が無いのである。識別回路部
31では、このデータと、識別回路部31に内蔵された
ROMに記録されているデータとを比較・照合し、前記
データに対応する従うROM内のデータに対応する信号
8bを出力する。この信号8bの利用方法は、従来例の
識別装置9で述べたところと同様である。
【0074】ところで、電圧v1 と検知信号33aから
得られるデータは、結合体51A,結合体51Bおよび
結合体51Cのカード側電極板511,512の寸法
を、それぞれ異ならせるようにしたことで得られたもの
である。電圧v1 の値を異ならせるには、カード側電極
板511,512の寸法を変えることの他、例えば、コ
イル521の巻き数を変えて、コイル521のインダク
タンスLの値を変える方法も、この実施例によるIDカ
ード5の持つ構造にあっては容易に採用できるものであ
る。
【0075】また、識別装置4では、識別装置1の場合
と同様に、スキー場用のリフト利用者に対するゲート管
理に利用する場合には、さして多数のIDカード5を準
備する必要は無いものである。しかも、前記構造を備え
たIDカード5は、大量生産が容易な構造であることか
ら、同種類のIDカード5を多数準備するに当たって、
IDカード5の製造原価を低減するのに有効な構成方法
である。また、結合構造体56の両面プリント配線板を
使用する前記した構造は、それぞれの結合体51をベー
ス層53によって保持できるとか、それぞれのカード側
電極板512とコイル521との間の接続を接続体54
を介して接続を,両面プリント配線板の裏面側の箔状の
導電層を用いた接続体54によって行うことが可能にな
ること等により、IDカード5の厚さ寸法の大幅な低減
を図るうえから有効な構造である。特に、それぞれのコ
イル521は、それぞれのカード側電極板512が備え
るカード側電極板の外周部を巡るようにして、それぞれ
のカード側電極板511,512と間隔を設けて形成さ
れており、カード側電極板とコイル521とは重なり合
わないことから、その分,結合構造体56の厚さ寸法が
低減されている。また、この構造は、両面プリント配線
板を使用しての結合構造体56の製作を、容易に実施す
ることを可能にしている。実施例2における今までの説
明では、結合構造体56が備えるそれぞれの結合体51
の持つカード側電極板の幅寸法、およびそれぞれの結合
体51の中心間隔は、共に同一であるとしてきたが、こ
れに限定されるものではなく、例えば、幅寸法および中
心間隔は、それぞれの結合体51で異なる値であっても
よいものである。これにより、極めて多種類のIDカー
ド5を準備することが可能となる。
【0076】また、実施例2における今までの説明で
は、IDカード5は両面プリント配線板製の結合構造体
56を用いるとしてきたが、これに限定されるものでは
なく、例えば、それぞれの結合体51が備えるコイル5
21は、絶縁電線を絶縁材製のボビンに巻回する構造で
あってもよいものである。この構造によると、多種類の
インダクタンスLの値のコイル521を持つIDカード
5を準備することが容易となるものである。
【0077】さらにまた、実施例2における今までの説
明では、結合用電極板66は、IDカード5の一方の面
に対向させて設置されるとしてきたが、これに限定され
るものではなく、例えば、結合用電極板66は、2個の
電極板を1組として、互いにIDカード5を挟むように
して設置してもよいものである。その場合に、互いに組
み合わされる電極板は、電気的に並列に接続される必要
がある。
【0078】
【発明の効果】この発明によるIDカードを用いる識別
装置においては、次の効果が有る。 IDカードを、1個,または移送方向に沿って順次配
列された2個以上の閉コイルを備え、前記移送方向は、
読取装置によってIDカードの持つ情報が読み取られる
際に、IDカードが読取装置によって移送される方向で
あり、読取装置を、IDカードを通過させるIDカード
用の移送通路と、IDカード用の通路を通過させてID
カードを移送する移送手段と、移送通路に対向させて配
置され,IDカードが備えるそれぞれの閉コイルと順次
トランス結合を行うアンテナコイルと、アンテナコイル
に交流電圧を印加する交流電源部と、交流電源部によっ
てアンテナコイルに通流する電流の包絡線を検出して,
電流の包絡線に対応した値を持つ信号を出力する包絡線
検出部と、IDカードの移送された位置に対応する信号
を出力するカード位置検出部と、包絡線検出部およびカ
ード位置検出部が出力するそれぞれの信号を入力して,
IDカードの内蔵する情報を識別する情報識別部とを備
えた構成とすることにより、アンテナコイルに供給され
る電流の値は、IDカード内に設置された閉コイルの個
数,配列された位置、等価自己インピーダンス値、およ
び、閉コイルとアンテナコイルとの重合いが最高となる
場合の重合いの度合いに対応して、IDカードが移送さ
れるに従って経時的に変化することになる。この電流値
およびその変化をIDカードが内蔵するデータとして使
用して、IDカードの内蔵する情報を識別する。これに
より、IDカード内にIC等の回路素子、および、直流
電源を一切内蔵する必要が無いので、IDカードの厚さ
の薄型化,かつ軽量化が可能となるのである。
【0079】前記項において、読取装置が備えるア
ンテナコイルを、そのIDカードの移送方向の寸法が、
IDカードの備えるいずれの閉コイルのIDカードの移
送方向の寸法よりも短いものである構成とすることによ
り、閉コイルとアンテナコイルとの重合いが最高となる
時間を、両コイルの移送方向の寸法差(実施例1におけ
るΔΛである。)に対応する時間だけ持続することが可
能となるので、アンテナコイルとそれぞれの閉コイルと
の重合いが最高となった場合の、変調回路部からアンテ
ナコイルに供給する電流の包絡線の値(例えば、実施例
1におけるi11,i12,i13である。)を情報識別部で
識別する際に、この識別の作業を前記による場合より
も確実に把握することが可能となる。
【0080】識別されるべき情報が内蔵されたIDカ
ードと、IDカードに内蔵された情報を読み取る読取装
置とよりなるIDカードを用いる識別装置であって、I
Dカードは、1対,または移送方向に沿って順次配列さ
れた2対以上のカード側電極板と、これ等の対となって
いるカード側電極板の相互間をそれぞれ接続するコイル
とを備え、前記移送方向は、読取装置によってIDカー
ドの持つ情報が読み取られる際に、IDカードが読取装
置によって移送される方向であり、読取装置は、IDカ
ードを通過させるIDカード用の移送通路と、IDカー
ド用の移送通路を通過させてIDカードを移送する移送
手段と、移送通路に対向させて,IDカードが備えるカ
ード側電極板と容量結合されるように配置された1対の
結合用電極板と、基準となる周波数を持つ基準電圧を出
力する発振器と、位相比較回路部と、位相比較回路部の
出力する電圧から直流成分を取り出して直流電圧として
出力するローパスフィルタと、1対の出力端子を持ち,
ローパスフィルタから出力された直流電圧を直流制御電
圧として入力して,この直流制御電圧の値が高いほど高
い値を持つ直流出力電圧を発生して1対の出力端子間か
ら出力すると共に,直流出力電圧値の値が高いほど大き
い値に変化する静電容量値を持つ電圧制御型コンデンサ
を1対の出力端子間に有する可変容量コンデンサ回路部
と、IDカードの移送された位置に対応する信号を出力
するカード位置検出部と、ローパスフィルタの出力する
直流電圧およびカード位置検出部が出力する信号を入力
して,IDカードが内蔵する情報を識別する情報識別部
とを備え、位相比較回路部は、発振器が出力する基準電
圧と,可変容量コンデンサ回路部の1対の出力端子間の
交流電圧が持つ周波数に対応する信号とを入力し、可変
容量コンデンサ回路部からの交流電圧の持つ周波数が基
準電圧の持つ周波数よりも高いほど高い値となる直流成
分を含む電圧を出力するものである構成とすることによ
り、ローパスフィルタから出力される電圧の値は、ID
カード内に設置されたカード側電極板とコイルとが組み
合わされた結合体の個数,配列された位置、静電容量の
値、コイルのインダクタンス値、あるいは、カード側電
極板と結合用電極板との重合いが最高となる場合の重合
いの度合い等に対応して、IDカードが移送されるに従
って経時的に変化することになる。この電圧値およびそ
の変化をIDカードが内蔵するデータとして使用して、
IDカードの内蔵する情報を識別する。これにより、I
Dカード内にIC等の回路素子、および、直流電源を一
切内蔵する必要が無いので、IDカードの厚さの薄型
化,かつ軽量化が可能となるのである。
【0081】前記項において、読取装置が備えるそ
れぞれの結合用電極板は、そのIDカードの移送方向の
寸法が、IDカードの備えるいずれのカード側電極板の
IDカードの移送方向の寸法よりも短いものである構成
とすることにより、カード側電極板と結合用電極板との
重合いが最高となる時間を、両電極板の移送方向の寸法
差(実施例2におけるΔΛである。)に対応する時間だ
け持続することが可能となるので、結合用電極板とそれ
ぞれのカード側電極板との重合いが最高となった場合
の、ローパスフィルタから出力される電圧の値(例え
ば、実施例2におけるv11,v12,v13である。)を情
報識別部で識別する際に、この識別の作業を前記によ
る場合よりも確実に把握することが可能となる。
【0082】前記,項において、IDカードが備
えるカード側電極板およびコイルは、いずれも重なり合
わないように配置されてなる構成とすることにより、カ
ード側電極板とコイルとは重なり合わないことから、そ
の分,IDカードの厚さ寸法が低減することが可能とな
る。 前記〜項において、IDカードの備える閉コイ
ル,または,カード側電極板とコイルを、いずれもプリ
ント配線板が備える箔状の導電層を用いて形成されてな
る構成とすることにより、閉コイルおよびコイルを、プ
リント配線板が備えるベース層によって保持できるし、
閉コイルの端部間の接続体,コイルの端部一方のカード
側電極板間の接続体に、両面プリント配線板の裏面側の
箔状の導電層を用いること等が可能となる。これ等にに
より、同一種類のIDカードを大量に生産する場合に、
製造原価の大幅な低減が可能となる。また、IDカード
の厚さの大幅な薄型化と、IDカードの重量の1桁程度
の大幅な軽減であり、使い勝手の優れたIDカードを得
ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1,2,6に対応するこの発明の一実施
例によるIDカードを用いる識別装置に用いられるID
カードのその一部を破断して示した上面図
【図2】図2(a)は、図1におけるM−M断面図であ
り、図2(b)は、図1おけるN−N断面図
【図3】図1中に示したIDカードを用いる識別装置を
説明する概念的なブロック図
【図4】図3に示したIDカードを用いる識別装置を示
す斜視図
【図5】図4に示したIDカードを用いる識別装置の、
(a)はIDカードを除く縦断面図、(b)は、図5
(a)におけるQ−Q断面図
【図6】包絡線検出部とカード位置検出部から得られる
信号との関係を説明するグラフ
【図7】請求項3〜6に対応するこの発明の一実施例に
よるIDカードを用いる識別装置を説明する概念的なブ
ロック図
【図8】図7に示したIDカードを用いる識別装置に用
いられるIDカードのその一部を破断して示した上面図
【図9】図9(a)は、図8におけるM−M断面図、図
9(b)は、図8おけるN−N断面図
【図10】図7に示したIDカードを用いる識別装置を
示す斜視図
【図11】図10に示したIDカードを用いる識別装置
の、(a)は、IDカードを除く縦断面図、(b)は、
図11(a)におけるQ−Q断面図
【図12】図7に示したIDカードを用いる識別装置の
主要部の波形を示す線図
【図13】ローパスフィルタの出力する直流電圧とカー
ド位置検出部から得られる信号との関係を説明するグラ
【図14】電磁誘導方式のIDカードを用いた従来例の
識別装置を説明する概念的なブロック図
【図15】電磁誘導方式のIDカードを用いた従来例の
識別装置を説明する概念的なブロック図
【図16】容量結合方式のIDカードを用いた従来例の
識別装置を説明する概念的なブロック図
【図17】この発明による容量結合方式の識別装置のV
COの等価回路図
【符号の説明】
1 識別装置 2 IDカード 21A 閉コイル 21B 閉コイル 21C 閉コイル 23 接続体 26 閉コイル構造体 3 読取装置

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】識別されるべき情報が内蔵されたIDカー
    ドと、IDカードに内蔵された情報を読み取る読取装置
    とよりなるIDカードを用いる識別装置であって、 IDカードは、1個,または移送方向に沿って順次配列
    された2個以上の閉コイルを備え、前記移送方向は、読
    取装置によってIDカードの持つ情報が読み取られる際
    に、IDカードが読取装置によって移送される方向であ
    り、 読取装置は、IDカードを通過させるIDカード用の移
    送通路と、IDカード用の移送通路を通過させてIDカ
    ードを移送する移送手段と、移送通路に対向させて配置
    され,IDカードが備えるそれぞれの閉コイルと順次ト
    ランス結合を行うアンテナコイルと、アンテナコイルに
    交流電圧を印加する交流電源部と、交流電源部によって
    アンテナコイルに通流する電流の包絡線を検出して,電
    流の包絡線に対応した値を持つ信号を出力する包絡線検
    出部と、IDカードの移送された位置に対応する信号を
    出力するカード位置検出部と、包絡線検出部およびカー
    ド位置検出部が出力するそれぞれの信号を入力して,I
    Dカードの内蔵する情報を識別する情報識別部とを備え
    たことを特徴とするIDカードを用いる識別装置。
  2. 【請求項2】請求項1に記載のIDカードを用いる識別
    装置において、 読取装置が備えるアンテナコイルは、そのIDカードの
    移送方向の寸法が、IDカードの備えるいずれの閉コイ
    ルのIDカードの移送方向の寸法よりも短いものである
    ことを特徴とするIDカードを用いる識別装置。
  3. 【請求項3】識別されるべき情報が内蔵されたIDカー
    ドと、IDカードに内蔵された情報を読み取る読取装置
    とよりなるIDカードを用いる識別装置であって、 IDカードは、1対,または移送方向に沿って順次配列
    された2対以上のカード側電極板と、これ等の対となっ
    ているカード側電極板の相互間をそれぞれ接続するコイ
    ルとを備え、前記移送方向は、読取装置によってIDカ
    ードの持つ情報が読み取られる際に、IDカードが読取
    装置によって移送される方向であり、 読取装置は、IDカードを通過させるIDカード用の移
    送通路と、IDカード用の移送通路を通過させてIDカ
    ードを移送する移送手段と、移送通路に対向させて,I
    Dカードが備えるカード側電極板と容量結合されるよう
    に配置された1対の結合用電極板と、基準となる周波数
    を持つ基準電圧を出力する発振器と、位相比較回路部
    と、位相比較回路部の出力する電圧から直流成分を取り
    出して直流電圧として出力するローパスフィルタと、1
    対の出力端子を持ち,ローパスフィルタから出力された
    直流電圧を直流制御電圧として入力して,この直流制御
    電圧の値が高いほど高い値を持つ直流出力電圧を発生し
    て1対の出力端子間から出力すると共に,直流出力電圧
    値の値が高いほど大きい値に変化する静電容量値を持つ
    電圧制御型コンデンサを1対の出力端子間に有する可変
    容量コンデンサ回路部と、IDカードの移送された位置
    に対応する信号を出力するカード位置検出部と、ローパ
    スフィルタの出力する直流電圧およびカード位置検出部
    が出力する信号を入力して,IDカードが内蔵する情報
    を識別する情報識別部とを備え、位相比較回路部は、発
    振器が出力する基準電圧と,可変容量コンデンサ回路部
    の1対の出力端子間の交流電圧が持つ周波数に対応する
    信号とを入力し、可変容量コンデンサ回路部からの交流
    電圧の持つ周波数が基準電圧の持つ周波数よりも高いほ
    ど高い値となる直流成分を含む電圧を出力するものであ
    ることを特徴とするIDカードを用いる識別装置。
  4. 【請求項4】請求項3に記載のIDカードを用いる識別
    装置において、 読取装置が備えるそれぞれの結合用電極板は、そのID
    カードの移送方向の寸法が、IDカードの備えるいずれ
    のカード側電極板のIDカードの移送方向の寸法よりも
    短いものであることを特徴とするIDカードを用いる識
    別装置。
  5. 【請求項5】請求項3または4に記載のIDカードを用
    いる識別装置において、 IDカードが備えるカード側電極板およびコイルは、い
    ずれも重なり合わないように配置されてなることを特徴
    とするIDカードを用いる識別装置。
  6. 【請求項6】請求項1から5までのいずれかに記載のI
    Dカードを用いる識別装置において、 IDカードの備える閉コイル,または,カード側電極板
    とコイルは、いずれもプリント配線板が備える箔状の導
    電層を用いて形成されてなることを特徴とするIDカー
    ドを用いる識別装置。
JP6057947A 1994-03-29 1994-03-29 Idカードを用いる識別装置 Pending JPH07271889A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6057947A JPH07271889A (ja) 1994-03-29 1994-03-29 Idカードを用いる識別装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6057947A JPH07271889A (ja) 1994-03-29 1994-03-29 Idカードを用いる識別装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07271889A true JPH07271889A (ja) 1995-10-20

Family

ID=13070237

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6057947A Pending JPH07271889A (ja) 1994-03-29 1994-03-29 Idカードを用いる識別装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07271889A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020017157A (ja) * 2018-07-27 2020-01-30 日本電産サンキョー株式会社 非接触式通信モジュールおよびカードリーダ

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020017157A (ja) * 2018-07-27 2020-01-30 日本電産サンキョー株式会社 非接触式通信モジュールおよびカードリーダ

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AU700340B2 (en) Remotely powered electronic tag and associated exciter/reader and related method
CA1290452C (en) Personal memory card system
US9520225B2 (en) Apparatus, a system and a method for enabling electromagnetic energy transfer
US6906495B2 (en) Contact-less power transfer
US6960968B2 (en) Planar resonator for wireless power transfer
US6825754B1 (en) Radio frequency identification device for increasing tag activation distance and method thereof
US4506148A (en) Identification card
JP2834584B2 (ja) データ媒体装置
US6496382B1 (en) Radio frequency identification tag
KR100341629B1 (ko) 비접촉 ic카드 통신시스템에 있어서의 응답기, 집적회로칩, 비접촉 ic카드, 자기 전원 불요형 장치, 및 자기 전원 불요형 장치의 자동조정방법
US5847447A (en) Capcitively coupled bi-directional data and power transmission system
EP0646895A2 (en) Thin IC card and method for producing the same
US6392544B1 (en) Method and apparatus for selectively activating radio frequency identification tags that are in close proximity
HUT76003A (en) Device for a cable-less data-inquiry apparatus and method of production of this device
PT2067115E (pt) Processo e sistema de leitura optimizada de transmissor-respondedor de comunicação em radiofrequências por intermédio de um circuito passivo em ressonância
EP0977145A2 (en) Radio IC card
KR20010005739A (ko) 알에프아이디 태그를 자기적으로 분리하는 장치
WO1998053423A1 (fr) Dispositif de reponse dans un systeme de communication a carte a circuit integre
WO1996030960A1 (en) Battery charging system
EP0333388A3 (en) Power transfer circuit including a sympathetic resonator
JPH08226966A (ja) 並列共振質問装置および直列共振応答を有するrfトランスポンダシステム
WO1997031325A1 (en) Capacitively coupled identity verification and escort memory apparatus
KR20150050024A (ko) 무선 전력 중계 장치 및 이를 구비하는 케이스
US6762683B1 (en) Tag device
JP2007060076A (ja) 移動体通信装置