JPH07270510A - Esr,nmr共用プローブ - Google Patents

Esr,nmr共用プローブ

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JPH07270510A
JPH07270510A JP6088078A JP8807894A JPH07270510A JP H07270510 A JPH07270510 A JP H07270510A JP 6088078 A JP6088078 A JP 6088078A JP 8807894 A JP8807894 A JP 8807894A JP H07270510 A JPH07270510 A JP H07270510A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ESRとNMR各信号を同時に検出可能とす
ることにより、試料を同一環境下で観測した相互補完的
な情報として入手し、生体計測、材料評価等のデーター
に使用できるようにするものである。 【構成】 同一の共振器ループ導体1を共通インダクタ
として、ESR周波数とNMR周波数とに共振点を持つ
レゾネータを形成して成るESR,NMR共用プロー
ブ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の目的】この発明は、同一のプローブでESR
(Electron Spin Resonanse:
電子スピン共鳴)およびNMR(Nuclear Ma
gnetic Resonanse:核磁気共鳴)の各
信号を同時に検出可能とすることにより、試料を同一環
境下で観測した相互補完的な情報として入手し、生体計
測、材料評価等のデーターに使用できるようにするもの
であり、物理、化学は固よりのこと、医学、薬学、生物
学等多様な分野での応用を可能とする計測装置を提供し
ようとするものである。
【0002】
【従来の技術】生体異常部の発見や材料の物性評価等の
ための判断情報として、これまでもESR信号およびN
MR信号からの情報を検出、利用する手段が採用されて
きている。これは、本来ESRが、不対電子等の特殊な
分子、原子状態を観測できるという特徴を有し、NMR
が、特定の原子の分布を秀れた空間分解能で計測できる
特性を備えていること等を利用するものであって、入手
できる情報の質に夫々個性があるものの、両者には、何
れも試料に磁場を加え、電磁波を照射することで共鳴、
吸収を検出できるるという共通点も有している。しかし
ながら、これまでのところ、両者は、共鳴周波数が大幅
に違うことから、それらは別々の装置として構築され、
個々に情報検出するようにしていた。
【0003】この別々の装置による従前までの計測方法
で情報検出するようにしたものの場合、不対電子を高感
度に検出可能だが空間分解能の劣るESRからの情報
と、水素原子を高い空間分解能で検出できるプロトンN
MRの情報とは、確かに相補的であるものの、試料の同
一部位を測定するための位置合わせが難しく、生体の薬
物代謝など経時変化が速いものの相互測定は殆ど不可能
であったし、また、装置として見た場合も、研究用や二
重共鳴観測のため、ESRとNMRの両方の信号を得ら
れるようにした装置にしようとすれば、狭い測定室中
に、空洞共振器またはループギャップ共振器と空芯コイ
ルとが、夫々ESRプローブ用、NMRプローブ用とし
て同居した、非常に複雑で効率の悪い装置となってしま
うものであった。更に、ESRとNMRとの検出部が違
ってしまうと、試料の同一部位の共鳴を観測していると
は言えないという問題を残すことにもなっていた。
【0004】このように、ESRとNMRとを別々の検
出器で計測し、両者からのデータを総合勘案したとして
も、電磁場の空間分布が異なってしまって、得られる空
間情報の相似性が確保できず、情報としての信頼性に欠
けるものとなっていたし、同時にESR、NMR両信号
を検出するために周波数を極端に落とし、両信号を集中
定数素子であるコイルで励振・検出すると、感度も極端
に低下してしまい、低品位な情報しか得られず、したが
って、物性の正確な測定には不向きなものであった。
【0005】そこで、それらの状況に対処すべくして、
例えば、特公平3−4114号公報や特公平4−290
9号公報等に掲載された発明に散見されるように、ES
R測定とNMR測定とを同時に実施できるようにした測
定装置が、これまでにも幾つか提案されている。
【0006】例えば、前者の測定装置では、高周波電力
をパルス化して照射するパルス法を用いて検出するよう
にした計測方法を利用するものであり、プローブ部とし
て従来から知られている空芯コイルあるいは鞍型コイル
によるものが提案されているに過ぎない。また、後者の
ものでも、単にESR、NMR同時測定のための装置構
成と計測手順について提案するだけで、プローブ(レゾ
ネータ)の具体的な提案は成されていないものであり、
これまた従来技術として採用されてきた鞍型コイルをプ
ローブ部として用いているに過ぎないものであり、それ
ら従前までのコイルを用いた検出方法では、実用に耐え
得るレベルの感度にまで高めた情報を検出する点におい
て限界のあるものとなっていた。
【0007】この発明では、上記のような実情に対処す
べく、不対電子等の特殊な分子、原子状態を観測できる
特徴を有しているESRと空間分解能に秀れた特性を備
えているNMRとからの信号を同時に検出することによ
って、相互補完的に正確な情報として捕らえることが可
能となるという知見、および、電子スピンと核スピンに
は強い相互作用があり、二重共鳴やパルス化計測等によ
り、物性に関する膨大な情報が得られるという知見に基
づき、鋭意開発、研究を進めてきた結果、同一ループ導
体で周波数の大巾に異なるESRとNMR周波数で同時
に励振・検出器とする、全く新規なプローブの開発、実
現化に成功したものである。
【0008】
【発明の構成】この発明のESR、NMR共用フローブ
は、基本的に、同一の信号検出用ループ導体を共通イン
ダクタとして、ESR周波数とNMR周波数とに共振点
を持つレゾネータを形成して成るESR,NMR共用プ
ローブを、その構成の要旨とするものである。
【0009】更に詳しくは、ループギャップレゾネータ
のギャップ部に、コンデンサを終端とした分布定数線路
を接続し、大幅に違う2つの周波数においてループギャ
ップレゾネータ共振周波数では無限大のインピーダン
ス、低周波ではコンデンサとなる共振回路を形成して成
るESR,NMR共用プローブとしてなるものであり、
更には、ループギャップレゾネータのギャップ部に導波
路を接続すると共に、該導波路の終端にはコンデンサを
接続した上、導波路の線路長を調整して大幅に違う2つ
の周波数においてループギャップレゾネータ共振周波数
では無限大のインピーダンス、低周波ではコンデンサと
なる共振回路を形成する如くして成るESR,NMR共
用プローブであるとすることができる。
【0010】複数の共振周波数をもつレゾネータによる
プローブは、理論的には集中定数のL(インダクタ)と
C(キャパシタ)をいくつか組み合わせることにより実
現できるが、ループ部のLを共通のセンサとし、RF帯
とマイクロ波とに共振点を持ち、Qが高いレゾネータを
実現するためには、回路上における工夫が必要となって
くる。即ち、大幅に周波数の違うESRとNMR周波数
とで共振点を持つレゾネータを実現するための回路上の
工夫をしなければならない。
【0011】また、試料の同一部位を正しく計測するた
めには、二つの周波数で試料の同一部位を励起し、磁界
モードも同一であることが必要になる。更に、ESRと
NMRで共用することで、夫々の検出感度が低下しては
実用にならないため、ESR、NMRとも測定感度を維
持したまま共用できる手法を開発する必要がある。そこ
で、この発明では、同一ループ導体を、高周波技術を応
用して、周波数の大幅に違う、ESRとNMR周波数で
同時に励起・検出器となるようにしたものである。
【0012】
【実施例1】実施例について、図面を参照して説明する
と、試料挿入空間部7に挿入した被測定物8を共振器ル
ープ導体1中に装着し、共振器ループ導体1と垂直方向
に静磁場を加え、カップリングループ6から、夫々ES
R、NMRの励起信号を照射し、磁気共鳴を観測する。
【0013】共振器ループ導体1のインピーダンスは、
静磁場を掃引すると共鳴吸収により、変化するため、こ
れを検出して、ESR、NMRの信号を夫々得るように
する。また、共振器ループ導体1は、全体の保持と、外
来ノイズや電磁放射防止のため、非磁性シールド筐体4
に納められ、信号ケーブル5や、磁場変調、温度調整装
置等が接続される。
【0014】
【作 用】ESR信号検出のための共振器ループ導体
1のギャップ部11に、分布定数回路である導波路2を
接続し、導波路2の終端21には、集中定数素子のコン
デンサ3を接続し、ギャップ部11が、高周波的には抵
抗が無限大となるように、線路長1を調整すると、高周
波的には導波路以降の回路は無視できるので、この共振
器ループ導体1は、ループギャップレゾネータとして動
作する。
【0015】一方、低周波的には、導波路2の位相回転
が無視出来るようになるので、集中定数素子のコンデン
サ3と共振器ループ導体1の1ターンコイルの共振回路
として動作する。また、共振器ループ導体1に、高性能
の集中定数素子や高周波リレーを接続する方法を採用す
れば、複数の共振周波数を実現することができる上、集
中定数素子であるコンデンサ3を、可変容量コンデンサ
とすることによって、共振周波数の調整も可能となる。
【0016】
【発明の効果】この発明は、以上のような構成からなる
ものであって、次のような秀れた特徴を有するものであ
る。先ず第一に、ESR、NMR各信号を同一のプロー
ブによって検出できるものとしているため、補完する有
効な情報を、装置やプローブを一切交換することなく正
確に観測できるという特徴を有している。
【0017】第二に、同一の共振器ループ導体1によっ
てESR、NMR各信号を励起、検出するようにしてい
るため、高周波電磁波と低周波電磁波との分布の相似性
が良く、電磁勾配法等による空間分布情報が、高品位の
ものとして得られるという利点を有している。
【0018】第三には、同一の共振器ループ導体1によ
り、ESR、NMR各信号を励起、検出するような構成
のものとしているため、二重共鳴およびオーバーハウザ
効果観測のための励起を、準マイクロ波帯およびRF帯
によって試料の同一部位に集中的に惹起することがで
き、検出も効率的に実施できることとなって、極めて利
用価値の高い正確な情報を容易に得ることが可能になる
という秀れた効果を奏するものとなっている。
【0019】更に第四に、同一の共振器ループ導体1で
ESR、NMR各信号を励起、検出するものとしたこと
から、従前までのような別々の検出部を持つ装置による
ものに比較し、構造や配線が単純化される上、電磁石、
データ処理装置等といった多くのユニットを共用するこ
とができるものとなることから、それまでのESR装
置、NMR装置を別々に製作、使用していた事例に比
べ、大幅に安価で経済的な装置を実現できることにな
り、多方面での応用がし易いものになるという実利上の
特徴をも兼ね備えている。叙上の如く、この発明のES
R,NMR共用プローブは、上記のとおりの新規な構成
によって、質の異なる二つの試料情報を同時的且つ相補
的に検出可能にすると共に、検出装置としても経済的に
実現可能とするものであることから、物理、化学を始
め、医学、薬学、生物学等広い分野で応用されるものに
なることが予想される。
【図面の簡単な説明】
図面は、この発明の技術的思想を具体化してなる代表的
な1実施例を示すに過ぎない。
【図 1】 この発明のESR,NMR共用プローブの
主要部を示す正面図である。
【図 2】 使用状態を示す一部切開した状態の斜視図
である。
【符号の説明】
1 共振器プローブ 11 同ギャップ部 2 導波路 21 同終端 3 コンデンサ 4 非磁性シールド筐体 5 信号ケーブル 6 カップリングループ 7 試料挿入空間部 8 被測定物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 8825−4C A61B 5/05 355 7507−4C 400 G01N 24/12 510 B

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 同一の共振器ループ導体を共通インダク
    タとして、ESR周波数とNMR周波数とに共振点を持
    つレゾネータを形成して成るESR,NMR共用プロー
    ブ。
  2. 【請求項2】 ループギャップレゾネータのギャップ部
    に、コンデンサを終端とした分布定数線路を接続し、大
    幅に違う2つの周波数においてループギャップレゾネー
    タ共振周波数では無限大のインピーダンス、低周波では
    コンデンサとなる共振回路を形成して成るESR,NM
    R共用プローブ。
  3. 【請求項3】 ループギャップレゾネータのギャップ部
    に導波路を接続すると共に、該導波路の終端にはコンデ
    ンサを接続した上、導波路の線路長を調整して大幅に違
    う2つの周波数においてループギャップレゾネータ共振
    周波数では無限大のインピーダンス、低周波ではコンデ
    ンサとなる共振回路を形成する如くして成るESR,N
    MR共用プローブ。
  4. 【請求項4】 非磁性シールド筐体内に試料挿入空間部
    を横設または縦設する一方、該試料挿入空間部を内包す
    る如くして配した共振器ループ導体のギャップ部には、
    終端にコンデンサが配されると共に、線路長の調整され
    た導波路を接続すると共に、励起信号照射・信号検出を
    兼用する共用カップリングループが、前記共振器ループ
    導体に並設されて成ることを特徴とするESR,NMR
    共用プローブ。
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