JPH07270198A - カオス評価装置 - Google Patents

カオス評価装置

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JPH07270198A
JPH07270198A JP6165094A JP6165094A JPH07270198A JP H07270198 A JPH07270198 A JP H07270198A JP 6165094 A JP6165094 A JP 6165094A JP 6165094 A JP6165094 A JP 6165094A JP H07270198 A JPH07270198 A JP H07270198A
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JP
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noise
dimension
correlation
signal
chaotic
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JP6165094A
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English (en)
Inventor
Nobuyuki Watanabe
伸之 渡辺
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Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Optical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】離散的データ列のカオス性やノイズを評価する
ためのカオス評価装置を提供すること。 【構成】入力された離散的データ列について埋込み次元
に対する相関次元を求める相関次元計算手段5と、埋込
み次元と相関次元との関係に基づいて所定の評価式によ
り前記データ列に含まれるノイズを評価するノイズ評価
手段6とを具備する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はカオス中に含まれるノイ
ズを判別するためのカオス評価装置に関するものであ
り、特に計測されたデータ列に含まれるカオス性とノイ
ズ性を評価するカオス評価装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、カオス理論の工学的応用研究や、
将来の製品への開発研究が進められており、例えば、工
学的応用としては時系列解析、不規則な過程の制御など
の分野への応用が、また、その他では現在までの不規則
な時系列から将来を予測する株価予測や天気予報などの
分野において応用が検討されている。
【0003】従来、カオスの研究は、力学系が明かなも
のによる非決定論的な振舞いに対して特に主眼がおかれ
ていた。しかし、実際には現実に観測される現象の殆ど
は、力学系が明かでない。近年、カオスの研究の発展に
よって、このような現実の系、すなわち、観測された信
号列に備わっている秩序性(安定性、規則性、カオス
性)を判定し、一見何の規則性もなさそうな信号列の特
徴付けを行うことができるようになった。
【0004】このような秩序性を判別する基準として
は、フーリエ解析(スペクトル解析)、自己相関関数、
リアプノフ指数およびこれらのスペクトラム(分布構
造)解析による方法が知られている。
【0005】ところで、最近では、実験的に得られたカ
オス的な時系列から力学系を支配するパラメータに摂動
を与え、系を周期的状態に安定化させる方法が、オット
ー等により報告されている(Controlling Chaos;
E.Ott,C.Grebogi andA.Yorke.Phys .Re
v.Lett .64,[11]1196-1199(1990),Experiment
al Contro-lling of Chaos;W.L.Ditto,S.
N.Rauseo and M.L.Spano Phys .Rev.Let
t .65,[25] 3211-3214(1990))。
【0006】これらの方法により一見不規則に見える振
舞いをする系も、それがカオス的であれば系を制御する
ことが可能であることが示された。
【0007】また、カオスの理論の応用により不規則な
時系列における近未来の事象の予測を、過去のデータの
カオス性を調べることにより、可能にする技術が現在、
様々な分野で研究されている。
【0008】しかしながら、現実の系、たとえば電気回
路によってカオスを生成する系や、半導体レーザによっ
て光カオスを発生する系においては、素子や光信号の導
波路の熱的揺らぎによるストカステイック(stochastic)
なノイズが信号に含まれることがある。
【0009】確率論的な事象(ノイズ)とカオス挙動を
定量的に区別することは、実験系のカオスにおいては避
けて通ることができない課題である。また、前述のカオ
スを制御する方法においては、系にストカステイックな
ノイズが含まれていると、制御の精度や制御に要する応
答時間が劣化することが知られている。
【0010】また、予測の問題についても、不規則時系
列でのカオス性とランダムなノイズ成分を定量的に区別
することができれば、予測の信頼性の幅を明らかにする
ことができる。
【0011】従って、系がカオス的である場合にストカ
ステイックなノイズ信号がどの程度含まれているかは、
実験でのカオスの観測、系を制御する技術、予測する技
術の上で重要な問題であり、このような目的に適用でき
る判別方法にはフーリエ解析(スペクトル解析)による
方法などがあるものの、その判別精度や定量化に問題を
残している。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】確率論的な事象(ノイ
ズ)とカオス挙動を定量的に区別することは、カオスに
おいては重要である。そして、系がカオス的である場合
にストカステイックなノイズ信号がどの程度含まれてい
るかは、実験でのカオスの観測、系を制御する技術、予
測する技術を確立させる上で重要な問題である。
【0013】しかし、このような目的に適用可能な従来
方法は、その精度や定量化の点で問題が多い。
【0014】そこで、この発明の目的とするところは、
上記した問題点を克服し、データ列の中のカオス性と、
ノイズ性を信頼性を以て定量的に評価することが可能な
カオス評価装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明はつぎのように構成する。すなわち、離散的
データ列のカオス性やノイズを評価するためのカオス評
価装置であって、第1には、前記離散的データ列につい
て埋込み次元に対する相関次元を求める相関次元計算手
段と、前記埋込み次元と相関次元との関係に基づいて所
定の評価式により前記データ列に含まれるノイズを評価
するノイズ評価手段とを具備する。
【0016】また、第2には、前記離散的データ列につ
いて微分処理を施す微分処理手段と、前記入力された離
散的データ列について埋込み次元に対する相関次元を求
めると共に、また、前記微分処理手段により微分処理さ
れて得られたデータ列について埋込み次元に対する相関
次元を求める相関次元計算手段と、前記埋込み次元と相
関次元との関係に基づいて所定の評価式により前記デー
タ列に含まれるノイズを評価するノイズ評価手段とを具
備する。
【0017】また、第3には、前記離散的データ列につ
いて直交変換を施した後、この直交変換された値に対し
て位相雑音を加えて逆変換する位相処理手段と、前記入
力された離散的データ列について埋込み次元に対する相
関次元を求めると共に、また、前記位相処理手段により
処理されて得られたデータ列について埋込み次元に対す
る相関次元を求める相関次元計算手段と、前記埋込み次
元と相関次元との関係に基づいて所定の評価式により前
記データ列に含まれるノイズを評価するノイズ評価手段
とを具備する。
【0018】
【作用】第1の構成の場合、相関次元計算手段は入力さ
れた離散的データ列について埋込み次元に対する相関次
元を求め、ノイズ評価手段はこの埋込み次元と相関次元
との関係に基づいて所定の評価式によりを前記データ列
に含まれるノイズを評価する。
【0019】離散的時系列において、カオス性やカオス
系を支配する最小自由度の数の指標として相関次元があ
るが、本発明はこれを定量的に評価することにより、観
測された不規則な時系列に内在する決定論的カオス性と
ノイズを判別し、評価する。
【0020】すなわち、サンプリングされた時系列デー
タx1,x2,x3,…,xnから、多次元のベクトル
Xi=(xi,xi+t,xi+2t,…,xi+(m
−1)t),を構成する。
【0021】ここで、xi+jtはサンプリングデータ
xiからjt時間後のサンプリングデータであり、mは
埋め込み次元と呼ばれるものである。
【0022】つぎにXi|i=1,…,n−m−1
(n;データ数、m;次元数)の作る多様体について以
下の相関積分を計算する。
【0023】
【数1】 Θ( )はヘビサイド関数であり、これは( )の中の
実数が負であれば“0”であり、正であれば“1”とな
る2値関数である。ここで、Nは多様体でのサンプリン
グ数であり、rは埋め込み次元での超球の半径に相当す
る。また、||はユードリッドノルムである。rの関数
C(r)の意味は、ある点から半径r以内にある点の数
を表している。
【0024】ところで、有限自由度を持つカオスでは、
rと関数C(r)の間に次の様なスケール則が成り立
つ。 C(r)〜rD …(a) D〜dlogC(r)/dlogr …(b) このとき、DまたはDの極限を相関次元と呼ぶ。また、
相関次元Dは式(b) のように、両対数の微分で表すこと
もできる。以降の説明では相関次元Dはこれらの定義に
従う。相関次元Dはカオスを特徴付けるパラメータの一
つでもある。
【0025】ノイズの無い場合(Δ=0)と、ノイズの
ある場合について、(a) ,(b) の式を計算し、埋め込み
次元mに対する相関次元Dの関係を調べてみると、埋め
込み次元mに対して相関次元Dをプロットして得られる
関係は、ノイズのない場合は相関次元Dの値があるとこ
ろで一定に収束するが、ノイズがある場合には、相関次
元Dは一定値には収束せず、増加傾向を辿る。
【0026】従って、カオスに含まれるノイズを評価す
るためには、埋め込み次元mに対する相関次元Dの数の
描く曲線(m‐D曲線)の形状を評価すれば良いことに
なる。 本発明ではこれを利用した。
【0027】ここで、m‐D曲線の形状を評価する方法
として、次のような評価関数を導入する。まず、ノイズ
のない場合に埋め込み次元mと相関次元Dとの関数とし
て次のような関数を与える。
【0028】 v=c1 −c2 ・exp(−c3 ・u) …(c) ここで、uは埋め込み次元に対応する変数であり、vは
相関次元に対応する変数である。また、ここでci (但
し、i=1,…3)は正の実数である。
【0029】この関数は、uを増大していったとき、す
なわち、埋め込み次元を増大していったときに、一定の
値に収束する形を持っている。
【0030】一方、時系列が全くの無相関なランダムノ
イズであった場合、相関次元Dは埋め込み次元mの増加
とともに増加する1次の相関を示す。このような場合の
回帰関数を v=c4 ・u …(d) とする。式(c) に式(d) の項を付加することにより、評
価関数 v=c1 −c2 ・exp(−c3 ・u)+c4 ・u …(e) を得る。この評価関数はexp(−c3 ・u)のような、一
定の値に収束する収束項を含む関数を含んでいれば特に
式(e) の形に限定されるものではない。
【0031】相関次元の傾斜は(e) 式の評価関数のc4
の値に反映し、従って、c4 はノイズの標準偏差と密接
な関係を有するので、カオスに含まれるノイズを評価す
るためには(e) 式のc1 からc4 の値、特にc4 の値を
評価すれば良い。
【0032】これによりカオスとノイズの識別とノイズ
量の推定ができるようになる。
【0033】また、第2の構成の場合、微分処理手段は
入力された離散的データ列について微分処理を施し、相
関次元計算手段は前記入力された離散的データ列につい
て埋込み次元に対する相関次元を求めると共に、また、
前記微分処理手段により微分処理されて得られたデータ
列について埋込み次元に対する相関次元を求める。そし
て、ノイズ評価手段は相関次元計算手段が求めた前記埋
込み次元と相関次元との関係に基づいて所定の評価式に
より前記データ列に含まれるノイズを評価する。 m‐
D曲線に対して微分値((Dの変化量)/(mの変化
量))の平均値を以てノイズ量を評価すると、カオス的
時系列中のノイズ成分を知ることができる。
【0034】相関積分の方法の場合、1/fあるいは1
/f2 のようにパワスペクトル分布にスケ―ルの相関の
あるノイズでは、カオスとの間に区別がつかない。通
常、抵抗体の揺らぎなどの電子のフォノンによる散乱
や、熱運動体による光の散乱など多岐にわたる自然現象
において1/f揺らぎが存在することが知られている。
【0035】本発明の第2の構成では、1/fノイズの
場合に第1実施例が適応可能になるような信号の前処理
を施す、すなわち、微分する手続きを付加する。これに
より、微分された1/fノイズと前述のガウシアン・ノ
イズはm‐D平面上で同様の振る舞いを示す。
【0036】これと原信号のm‐Dプロットを比較す
る。両者の乖離が大きいほど1/fノイズを含んでいる
ことになる。これにより、カオス的な時系列中での1/
fノイズとカオスの区別が定量的にできる。
【0037】また、第3の構成の場合、位相処理手段は
入力された離散的データ列について直交変換を施した
後、この直交変換された値に対して位相雑音を加えて逆
変換する。また、相関次元計算手段は、前記入力された
離散的データ列について埋込み次元に対する相関次元を
求めると共に、また、前記位相処理手段により処理され
て得られたデータ列について埋込み次元に対する相関次
元を求める。そして、ノイズ評価手段は相関次元計算手
段が求めた前記埋込み次元と相関次元との関係に基づい
て所定の評価式により前記データ列に含まれるノイズを
評価する。
【0038】相関を持つノイズとカオスを識別するもう
一つの方法は、原信号と相関ノイズを与えた信号のm‐
Dプロットを比較することによって実現できる。例え
ば、原信号のフーリエ変換した周波数成分から逆フーリ
エ変換を用いさらに位相をランダマイズした時系列を合
成し、この時系列について信号の評価を行う手法であ
る。
【0039】フーリエ変換Fk は原信号Xn に対して
【数2】 で与えられる。次に、位相雑音を含ませた合成信号(合
成データ)xiは逆フーリエ変換を用いて
【数3】 と表わすことができ、この式を使用することにより、位
相雑音を含ませた合成信号(合成データ)xiを求める
ことができる。
【0040】ここでφRND は位相雑音で、ガウス分布の
ものでも、一様分布のものであっても良い。
【0041】1/fノイズにおいては原信号と位相をラ
ンダマイズしたものの間の乖離はほとんどないのに対し
て、カオス時系列の場合は両者の乖離が大きい。従っ
て、この方法は1/fノイズ中のカオス成分を定量化す
るのに適する。
【0042】
【実施例】本発明は相関次元を用いて、カオス的要素に
含まれるノイズ要素を定量的に評価するものであって、
埋め込み次元と相関次元の関係からノイズ要素を定量的
に評価するものであり、以下、本発明の実施例について
図面を参照して説明する。ノイズにはガウシアンノイ
ズ、1/fノイズ、1/f位相ノイズなどがあるが、こ
れらのノイズ種別に対応する識別手法と、ノイズ量の評
定手法を説明する。
【0043】初めにカオス的信号とガウシアンノイズの
識別と、ノイズ量の評定を行う評価装置の実施例を説明
する。
【0044】(実施例1)実施例1についてその詳細を
説明するが、初めにここで利用する本発明の原理につい
てふれておく。
【0045】離散的時系列において、カオス性、系を支
配する最小自由度の数の指標として相関次元があると云
う事実を利用して、本発明はこの相関次元を定量的に評
価することにより、観測された不規則な時系列に内在す
る決定論的カオス性とノイズを判別し、評価する。
【0046】本実施例に適用されるカオス判別の原理を
説明する。
【0047】サンプリングされた時系列データx1,x
2,x3,…,xnとする。これらサンプリングされた
時系列データから、多次元のベクトルXi=(xi,x
i+t,xi+2t,…,xi+(m−1)t),を構
成する。
【0048】ここで、xi+jtはサンプリングデータ
xiのサンプリング時点からjt時間経過後の時点で得
られたサンプリングデータであり、mは埋め込み次元と
呼ばれるものである。
【0049】つぎにXi|i=1,…,n−m−1の作
る多様体について以下の相関積分を計算する。
【0050】
【数4】 Θ( )はヘビサイド関数であり、これは( )の中の
実数が負であれば“0”であり、正であれば“1”とな
る2値関数である。ここで、Nは多様体でのサンプリン
グ数であり、rは埋め込み次元での超球の半径に相当す
る。また、||はユードリッドノルムである。rの関数
C(r)の意味は、ある点から半径r以内にある点の
数、あるいは全サンプリング数に対するその割合を表し
ている。
【0051】ところで、有限自由度を持つカオスでは、
rと関数C(r)の間に次の様なスケール則が成り立
つ。 C(r)〜rD …(1-a) D〜d log C(r)/d log r …(1-b) このとき、DまたはDの極限を相関次元と呼ぶ。また、
相関次元Dは式(1-b)のように、両対数の微分で表すこ
ともできる。以降の説明では相関次元Dはこれらの定義
に従う。相関次元Dはカオスを特徴付けるパラメータの
一つでもある。
【0052】カオス挙動を示す擬似データを生成するに
はレスラー方程式を使用する。レスラー方程式は式(2)
に示す如きであり、Δをガウシアンノイズとすると、レ
スラー方程式にこのガウシアンノイズΔを加えた式(3)
の如き系により、ガウシアンノイズを含むカオスのデー
タを生成できる。
【0053】
【数5】 である。ここで、p,q,sは時間の関数であり、pは
時間微分である。また、A,B,Cは定数である。
【0054】図1はレスラー方程式のみを使用して、生
成されたカオス挙動を示すデータの例であり(ノイズな
し)、図2は式(3) を用いて生成されたデータの例であ
る(ガウシアンノイズΔを含む)。
【0055】次に、このようにして生成した擬似データ
(疑似信号)p2 を用い、ノイズの無い場合(Δ=0)
と、ノイズのある場合について、(1-b) の式を計算し、
埋め込み次元mに対する相関次元Dの関係を調べた。
【0056】図1はノイズがない場合に横軸に時間をと
って、上記の式のp2 =pをプロットしたものであり、
図2はノイズがある場合の時間に対する疑似信号(デー
タ)p2 のプロットである。
【0057】図3に示すように、埋め込み次元mに対し
て相関次元Dをプロットしてみると、ノイズのない場合
は相関次元Dの値が、あるところで一定に収束するが、
ノイズがある場合には、相関次元Dは一定値には収束せ
ず、増加傾向を辿ることがわかる。
【0058】従って、カオスに含まれるノイズを評価す
るためには、埋め込み次元mに対する相関次元Dの数の
描く曲線(m‐D曲線)の形状を評価すれば良いことに
なる。
【0059】ここで、m‐D曲線の形状を評価する方法
として、次のような評価関数を導入する。まず、評価対
象とする信号(データ)がノイズのない、従って、カオ
ス的変化を呈する信号(データ)のみの場合における埋
め込み次元mと相関次元Dとの関数として次のような関
数を与える。
【0060】 v=c1 −c2 ・exp(−c3 ・u) …(4) ここで、uは埋め込み次元mに対応する変数であり、v
は相関次元Dに対応する変数である。また、ここでci
(但し、i=1,…3)は正の実数である。
【0061】この関数は、変数uを増大していったと
き、すなわち、埋め込み次元mを増大していったとき
に、例えば、図4の如き一定の値に収束する形を持って
いる。従って、このように一定の値に収束する形を持っ
ている場合に、ガウシアンノイズを含まないカオス的変
動を呈する信号と判断できる。
【0062】図4は実測したm‐D曲線に対して式(4)
を回帰させたものである。
【0063】一方、時系列が全くの無相関なランダムノ
イズであった場合、相関次元Dは埋め込み次元mの増加
とともに増加する。図5はホワイトノイズに対して各埋
め込み次元mでの相関次元Dを計算した例で、m‐D曲
線はほぼ1次の相関である。このような場合の回帰関数
を v=c4 ・u …(5) とする。式(4) に式(5) の項を付加することにより、評
価関数 v=c1 −c2 ・exp(−c3 ・u)+c4 ・u …(6) を得る。この評価関数はexp(−c3 ・u)のような、一
定の値に収束する収束項を含む関数であれば特に式(6)
の形に限定されるものではない。
【0064】図6はカオス的変動を呈する信号やデータ
に、ガウシアンノイズの標準偏差(SD)を変えたとき
の相関次元Dを埋め込み次元mに対してプロットしたも
のであり、この図からノイズ量の増加とともに埋め込み
次元mの増加に対する相関次元Dの増加傾向が大きくな
っていることが分かる。
【0065】相関次元の傾斜は(6) 式の評価関数のc4
の値に反映されるから、従って、このc4 はノイズの標
準偏差と密接な関係を有することになるので、カオス的
変動を呈する信号中に含まれるガウシアンノイズのノイ
ズ量を評価するためには(6)式のc1 からc4 の値、特
にc4 の値を評価すれば良い。
【0066】つぎに、この原理を適用した実施例1を説
明する。
【0067】図7は実施例1におけるハードウェア構成
を示したものである。図において、1は計測器、2はA
/D変換器、3は信号処理部、4は出力部である。
【0068】これらのうち、計測器1はカオス挙動を含
む現象を測定して測定値対応のアナログ信号として出力
するものであり、A/D変換器2はこの計測器1の出力
をディジタル変換してデータとして出力するものであ
り、信号処理部3はこのA/D変換器2によりデータ化
された計測器1の出力を取り込み、保存すると共に、相
関次元を求め、これよりノイズ評価を行って評価結果を
出力するものであり、出力部4はこの信号処理部3の評
価結果を出力するもので、プリンタやモニタ表示器等が
相当する。
【0069】信号処理部3は相関次元を求める相関次元
計算部5と、この相関次元計算部5により求められた相
関次元よりノイズ評価を行って評価結果を求めるノイズ
評価部6とを有している。
【0070】このような構成において、計測器1によ
り、計測された物理量はアナログ信号としてA/D変換
器2に入力される。この信号はA/D変換器2によって
ディジタル信号に変換され、信号処理部3に入力され
る。信号処理部3は相関次元計算部5およびノイズ評価
部6を有しており、信号処理部3に入力されたディジタ
ル信号は、以下に説明する所定の処理を施して、結果を
ディスプレイまたはプリンタなどの出力部5に出力す
る。
【0071】信号処理部3に入力されたディジタル信号
は相関次元計算部5に入力されると、ここで図8、図9
に示す処理が施される。
【0072】すなわち、図8におけるフローチャートに
示すように、A/D変換器2から順次入力されてくるn
個のデータ(離散的時系列)は入力順に対応して用意さ
れたn個のレジスタのうちの対応するものに順に格納さ
れる。そして、計算に必要なデータが揃ったならば、次
に相関積分および相関積分の両対数傾斜を計算する手続
きを開始する。
【0073】はじめに、埋め込み次元mに2がセットさ
れる(S1)。これは先のレジスタからデータを読出す
ことで行う。次に、入力されたディジタル信号(デー
タ)x[i],x[i+1]…を時系列信号としてm次
元のベクトルXm,iを生成する(S2)。
【0074】これはx[i]に対して、m個のスカラの
組、たとえば、x[i],x[i+1],…,x[i+
m−1]によってm次元空間のベクトルを生成するもの
であるが、スカラの組はrを整数として(x[i],x
[i+r],…,x[i+rx(m−1)]のような、
より一般化した離散値の組でも良い。このベクトルの組
Xm,i|i=1,…,n−(m−1)から相関積分を
求める(S3)。
【0075】ステップS3の手続きの詳細はたとえば図
9の如きである。
【0076】これを説明すると、まず、ステップS31
により、Xm,i|i=1,…,n−(m−1)の構成
する多様体の大きさを測る。次につぎにS32により距
離の単位を、例えば、距離に対応した1000個のレジ
スタを用意して、これらのレジスタを用いて離散化処理
をする。
【0077】これに先駆け、当該距離に対応した100
0個のレジスタC(k); k=1,…,1000はゼ
ロにセットする。
【0078】次に距離を測るための基準点Xm,jをサ
ンプル数Nだけ設定し、個々の基準点Xm,jから多様
体の各点Xm,iまでのノルム(距離)||Xm,i−
Xm,j||を測り、その距離に対応したレジスタC
(k)|k=1,…,1000をインクリメントする
(S35)。ステップS36、S37はステップS3
4、S33に対応した繰り返しループである。
【0079】すなわち、ここで||Xm,i−Xm,j
||(但し“|| ||”はノルムを示す)に対し
てn−(m−1)個、jに対してN個計測し、各レジス
タC(k)での分布を得る。つまり、距離毎のヒストグ
ラムを得る。
【0080】さらにステップS38でC(k)を積分す
る。この処理が終わると再び図8に戻ってステップS4
からの処理に移る。
【0081】ステップS4では埋め込み次元mでの相関
積分の両対数傾斜D(m)を得る。つぎにステップS5
に移り、ここでは例えば、埋込み次元mの上限を“1
3”と設定したとすると、“m”が“13”になるまで
インクリメントしながらステップS2、S3、S4の処
理を繰り返す。
【0082】ここでD(m)は相関次元に対応する。
“m”が“13”を越えたならば“m”(埋め込み次
元)の値と、この“m”に対応する“D”の値(相関次
元の値)をノイズ評価部6に出力し、m‐D曲線のデー
タとして与える(S6)。
【0083】相関次元計算部5によるこのような処理の
結果を受けたノイズ評価部6では図10に示す如き処理
を行う。
【0084】図10の処理を説明すると、まず、m‐D
曲線に対して、最小自乗法によって式(6) の関数をフィ
ッティングし(S611)、各係数c1 ,〜c4 を求め
る(S612)。係数c1 ,〜c4 が求められたなら
ば、ステップS613に移る。このステップS613で
は既知の系におけるノイズの分散または標準偏差と係数
4 の関係からノイズ量を推定し、係数c1 によりカオ
ス成分の相関次元を推定する。
【0085】すなわち、カオス的変動を呈する信号やデ
ータに、ガウシアンノイズの標準偏差(SD)を変えた
ときの相関次元Dを埋め込み次元mに対してプロットす
ると図6に示した如きとなるが、この図からノイズの増
加とともに埋め込み次元mの増加に対する相関次元Dの
増加傾向(変化率)が大きくなることが分かる。そし
て、相関次元の傾斜は(6) 式の評価関数のc4 の値に反
映されることになり、従って、c4 はノイズの標準偏差
と密接な関係を有するので、カオスに含まれるノイズを
評価するためには(6) 式のc1 からc4 の値、特にc4
の値を評価すれば良い。
【0086】従って、係数c1 の値からカオスの相関次
元を評価することができ、係数c4の値からノイズの分
散を評価することがきる。
【0087】このようにして求められたカオスの相関次
元とノイズの分散を出力部4に出力する(S614)。
【0088】上記のように、埋め込み次元をも、相関次
元をDとしたときにm‐D曲線を式(6) によって回帰さ
せ、式(6) の係、特に係数c1 とc4 を求めるようにし
たので、カオスの相関次元とノイズの分散を定量的に評
価できる。
【0089】この実施例1は、対象とする離散的データ
列のカオス性やノイズを評価するにあたり、埋込み次元
に対する相関次元を求める相関次元計算手段と、前記埋
込み次元と相関次元との関係に基づいて前記データ列に
含まれるノイズを評価するノイズ評価手段とより構成し
たものであり、ガウシアン・ノイズの標準偏差(SD)
を変えたときのD=D(m)を埋め込み次元mに対して
プロットすると、図6に示した如きとなり、ノイズの増
加とともに埋め込み次元に対するDの変化率が大きくな
ることが分かるが、この点に着目して式(5) で図6の各
々の曲線を回帰し(図11)、式(6) のc1 −c4 の係
数を求め、この求めたc1 とc4 からノイズを評価す
る。
【0090】式(5) で図6の各々の曲線を回帰し(図1
1)、式(6) のc1 −c4 の係数を求めると、図12の
ようにノイズの分散に対して式(4) の係数c4 は良い相
関を持つことが分かる。
【0091】従って、上記した構成によれば、カオス的
な時系列に含まれるノイズの種別を判別し、それを定量
化することが可能である。このような評価により、系の
制御の信頼性を評価することや、ノイズを低減する手段
に対するノイズ低減状態把握の指標となる。
【0092】つぎにカオス的信号とガウシアンノイズの
識別と、ノイズ量の評定を行う評価装置の別の実施例を
実施例2として説明する。
【0093】(実施例2)ここではノイズ量に関わる数
値を評価する別の例として、m‐D平面上に描かれた曲
線の1次回帰の傾斜を以てカオス時系列中のノイズ量を
評価する方式を示す。
【0094】実施例2ではつぎの原理を採用する。
【0095】先の図6はカオス的変動をする信号または
データにガウシアンノイズの標準偏差(SD)を変えた
ときの相関次元Dを、埋め込み次元mに対してプロット
したものである。そして、この図からノイズの増加とと
もに埋め込み次元mに対する相関次元Dの傾きが大きく
なっていることが分かる。
【0096】つまり、この傾きによりノイズ量の傾向が
わかることになるから、このことを利用してカオス的動
作を呈する信号中に含まれるノイズ量を定量化する。こ
の実施例では、回帰曲線として、つぎの1次関数式yを
用いる(一次フィッテイング)。
【0097】 y=c1 ・x+c2 …(7) この式(7) に示される1次関数式yのc1 は傾きの値を
示し、c2 は定数項で、実数をとる。
【0098】このように、実施例2で採用するノイズ量
に関わる数値を評価する評定方法は、図6のm‐D曲線
に対して回帰させ、その傾斜の値c1 を以てノイズ量を
評価すると云う手法をとる。
【0099】図6を式(7) で回帰した様子を図13に示
す。図からわかるように、1次関数式yにおける傾斜の
値c1 とノイズの標準偏差(SD)の間には良い相関が
みられた(図14)。ここではこのことに着目して評価
をする。
【0100】すなわち、本実施例においてはm‐D平面
上に描かれた曲線の1次回帰の傾斜を以てカオス時系列
中のノイズ量を評価する。評価は既知の系におけるノイ
ズの分散または標準偏差(SD)とc1 の関係から推定
する。これによりノイズ量を推定することができる。
【0101】この方法によるノイズ評価は、実施例1で
の構成である図7の構成におけるノイズ評価部6の処理
を図15のように変更することによって達成される。そ
の他は実施例1と同じであるので、ここでは異なる部分
のみ、説明する。
【0102】すなわち、計測器1により、計測された物
理量はアナログ信号としてA/D変換器2に与えられ、
ディジタル信号に変換されて信号処理部3に入力され
る。信号処理部3は相関次元計算部5およびノイズ評価
部6を有しており、信号処理部3に入力されたディジタ
ル信号は、以下に説明する所定の処理を施して、結果を
ディスプレイまたはプリンタなどの出力部5に出力す
る。
【0103】信号処理部3に入力されたディジタル信号
は相関次元計算部5に入力されると、ここで図8、図9
に示す処理が施される。そして、この処理の結果として
得られる埋め込み次元mの値と、この値に対応する
“D”の値(相関次元の値)をノイズ評価部6に出力す
る。
【0104】ノイズ評価部6では受け取ったデータに対
して、図15に示す処理を実施して、ノイズ量の評価を
行う。
【0105】すなわち、ノイズ評価部6では、図15に
おけるステップS621で式(7) に基づく最小自乗法回
帰分析を行い、c1 ,c2 を得る(S622)。つぎに
ステップS623に移り、ここで既知の系におけるノイ
ズの分散または標準偏差(SD)とc1 の関係からノイ
ズ量を推定する。
【0106】ノイズ評価部6により求められたノイズ量
は出力部4に出力され、出力(表示あるいはプリント)
される。
【0107】このように、実施例2は、ノイズ量に関わ
る数値を評価する別の方法を示したものであり、離散的
データ列のカオス性やノイズを評価するに際して、図6
のm‐D曲線に対して例えば、式(7) により回帰させ、
その結果の傾斜の値c1 を以てノイズ量を評価するよう
にした。
【0108】つまり、ノイズ評価部6において、m‐D
曲線に対する例えば、式(7) による回帰を実施させ、か
つ、その結果の傾斜の値c1 を以てノイズ量を評価させ
る。このようにしても、ノイズ量の評価を実施すること
ができる。
【0109】実施例2はノイズ量に関わる数値を評価す
る別の例として、m‐D平面上に描かれた曲線の1次回
帰の傾斜を以てカオス時系列中のノイズ量を評価する方
式を示したが、m‐D平面上に描かれた曲線の微分値を
以てカオス時系列中のノイズ量を評価する方法もある。
これを実施例3として説明する。
【0110】(実施例3)図6は、カオス的変動をする
信号にガウシアンノイズの標準偏差(SD)を変えたと
きの傾斜D=d log C(r)/d log r を、埋め込み次
元mに対してプロットしたものである。図からノイズの
増加とともに埋め込み次元mに対する傾斜の変化率
【数6】 が大きくなっていることが分かる。
【0111】従って、実施例3では図6からノイズ量に
関わる数値を評価する方法として当該変化率
【数7】 の大きさを以て行う手法を採用する。
【0112】具体的には、図6のm‐D曲線に対して微
分値 x=(Dの変化量)/(mの変化量) …(8) の平均値を以てノイズ量を評価する。それを一般的な表
示方法により表示する。これにより、カオス的時系列中
のノイズ成分を知ることができる。
【0113】実施例3をもう少し詳しく説明する。
【0114】たとえば、微分値は図16のように表され
る。微分値とノイズの標準偏差(SD)の間には良い相
関がみられた(図17)。そこで、本実施例において
は、m‐D平面上に描かれた曲線の微分値を以てカオス
時系列中のノイズ量を評価する。
【0115】この方法によるノイズ評価は実施例1の構
成図である図7におけるノイズ評価部6の処理を、図1
8のように変更することによって達成される。その他は
実施例1と同じであるので、ここでは異なる部分のみ、
説明する。
【0116】すなわち、計測器1により、計測された物
理量はアナログ信号としてA/D変換器2に与えられ、
ディジタル信号に変換されて信号処理部3に入力され
る。信号処理部3は相関次元計算部5およびノイズ評価
部6を有しており、信号処理部3に入力されたディジタ
ル信号は、以下に説明する所定の処理を施して、結果を
ディスプレイまたはプリンタなどの出力部5に出力す
る。
【0117】信号処理部3に入力されたディジタル信号
は相関次元計算部5に入力されると、ここで図8、図9
に示す処理が施される。そして、この処理の結果として
得られる埋め込み次元mの値と、この値に対応する
“D”の値(相関次元の値)をノイズ評価部6に出力す
る。
【0118】ノイズ評価部6では受け取ったデータに対
して、図18に示す処理を実施して、ノイズ量の評価を
行う。
【0119】すなわち、図18のフローチャートにおけ
る処理内容は、まず、ステップS631で微分値s=d
D(m)/dmを得る。ここで微分の計測範囲は図16
に示されたものに限定されず、任意である。
【0120】つぎにステップS632に移り、ここでは
既知の系におけるノイズの分散または標準偏差(SD)
と微分値sの関係からノイズ量を推定する。これでノイ
ズ評価部6の演算処理が終り、求めたノイズ量を出力部
4に出力する(S633)。そして、出力部4により出
力(表示あるいはプリント)させる。
【0121】これにより、カオス的な時系列中のノイズ
成分を知ることができる。
【0122】以上、上述した各実施例は、いずれもカオ
ス的信号とガウスノイズの識別と、ノイズ量の評定を可
能にする実施例である。すなわち、上述の実施例は相関
積分の方法を主体としているものであるが、この手法で
は1/fノイズあるいは1/f2 ノイズ(以下、これら
を総称して単に1/fノイズと呼ぶことにする)のよう
にパワスペクトル分布スケ―ルの相関のあるノイズでは
カオスとの間に区別がつかない。通常、抵抗体の揺らぎ
などの電子のフォノンによる散乱や、熱運動体による光
の散乱など多岐にわたる自然現象において1/f揺らぎ
が存在することが知られている。従って、このような1
/fノイズの識別法を実施例5として説明する。
【0123】(実施例4)実施例4はカオス的信号と1
/fノイズの識別と、そのノイズ量の評定を可能にする
もので、以下、実施例を説明する。ここでは対象が1/
fノイズの場合に、先の実施例1の装置構成を適応可能
にするような信号の前処理の手段を持たせることを特徴
としている。
【0124】すなわち、この実施例では信号処理部3A
に、A/D変換器2を介して与えられる測定器1の測定
データを微分する手続き要素を付加する。この微分要素
により微分された1/fノイズと前述のガウシアン・ノ
イズはm‐D平面上で同様の振る舞いを示す。
【0125】これと原信号を図8および図9と同様の手
続きで処理したものを比較する。そして、両者の乖離が
大きいほど1/fノイズを含んでいることになる。これ
により、カオス的な時系列中での1/fノイズとカオス
の区別が定量的にできる。
【0126】ここで採用した原理を説明する。
【0127】図19にカオス的信号について、原信号と
微分信号のmに対するD(m)をプロットしたものを、
また、図20に1/fノイズについて、原信号と微分信
号のmに対するD(m)をプロットしたものをそれぞれ
示す。図20に黒丸印で示したように、1/fノイズの
原信号は有限の相関次元を持つ。これに対して、それを
微分した信号は相関を持たないため、傾斜の値は埋め込
み次元の増加に対して傾斜の値は飽和しない。
【0128】一方、図19に示すように、カオスの場合
も原信号および微分信号に対する埋め込み次元‐傾斜の
プロットは、ほぼ同様の振る舞いを示す。
【0129】従って、実施例1の装置構成図である図7
における計算処理部3を、図21に示した如き構成に置
き換えることにより、カオス信号の中に含まれる1/f
ノイズのようなノイズ成分を評価できる。
【0130】以下、実施例4を図21に基づいて説明す
る。図において、3Aは計算処理部であり、この計算処
理部3Aは相関次元計算部5、微分処理部7、記憶部
8、記憶部9、比較部10、ノイズ評価部11よりな
る。
【0131】相関次元計算部5は内部に複数の入力デー
タ保持用レジスタを有しており、A/D変換器2を介し
て入力されたデータを順にこの入力データ保持用レジス
タに一時保存すると共に、これらレジスタに保存された
データ(非微分処理データ)について図8、図9に示す
処理を行うと共に、その処理結果をノイズ評価部11に
渡す機能の他、微分処理部7にて微分処理された結果
(微分処理データ)についても、図8、図9に示す処理
を行って、その処理結果をノイズ評価部11に渡す機能
を有する。
【0132】微分処理部7は、A/D変換器2を介して
入力されたデータについて微分演算処理をする装置であ
り、この微分処理部7も内部に複数の入力データ保持用
レジスタを有している他、微分結果保持用のレジスタを
も有している。微分処理部7はA/D変換器2を介して
入力されたデータを順にこれらの入力データ保持用レジ
スタに一時保存すると共に、これらレジスタに保存され
たデータを順に読出して微分演算処理し、その結果を微
分結果保持用のレジスタに保持すると云った機能を有す
るものである。相関次元計算部5には、この微分結果保
持用のレジスタを介して微分結果を引き渡すようにして
ある。
【0133】ノイズ評価部11は相関次元計算部5より
得られる非微分処理データに基づくm‐D曲線からノイ
ズ量の推定を行うと共に、微分処理のデータに基づくm
‐D曲線からノイズ量の推定を行うものであり、ここで
のノイズ量の推定は例えば、式(6) に基づく図10に示
す如き処理により実施する構成としてあり、係数c1
よび係数c4 を求める。また、既知の系におけるノイズ
の分散または標準偏差と係数c4 の関係からノイズ量を
推定し、係数c1 によりカオス成分の相関次元を推定す
る機能も有する。
【0134】記憶部8および記憶部9はデータを保持す
るためのものであり、記憶部8はノイズ評価部11から
の非微分処理データに基づく係数c4 を保持するもので
あり、記憶部9はノイズ評価部11からの微分処理デー
タに基づく係数c4 を保持するものである。
【0135】比較部10は記憶部8および記憶部9に記
憶されたデータを比較して両者の乖離の大小を比較する
ものであり、比較結果として得られる乖離の大小からカ
オスであるのか、1/f様ノイズであるのかを判定する
ものである。出力部4は比較部10の比較結果と、ノイ
ズ評価部11のノイズ量推定結果を出力するものであ
る。
【0136】このような構成において、計測器1によ
り、計測された物理量はアナログ信号としてA/D変換
器2に入力される。この信号はA/D変換器2によって
ディジタル信号に変換され、信号処理部3に入力され
る。信号処理部3は相関次元計算部5およびノイズ評価
部6を有しており、信号処理部3に入力されたディジタ
ル信号は、以下に説明する所定の処理を施して、結果を
ディスプレイまたはプリンタなどの出力部5に出力す
る。
【0137】信号処理部3に入力されたディジタル信号
は相関次元計算部5および微分処理部7に入力され、こ
こで一旦、それぞれの内部の入力データ保持用レジスタ
に保管される。そして、微分処理部7では自己の入力デ
ータ保持用レジスタに保管されたデータを読み出して微
分処理を行い、微分処理データとする。また、自己の入
力データ保持用レジスタに保管されたデータを読み出し
て相関次元計算部5では図8、図9に示す処理を施こ
し、また、微分処理部7での微分処理データを用いて相
関次元計算部5では図8、図9に示す処理を施こし、そ
れぞれm‐D曲線のデータとして得る。その結果をノイ
ズ評価部11に渡す。
【0138】すなわち、相関次元計算部5はA/D変換
器2から入力されたデータを、方やそのまま図8、図9
に示す処理を施し、方や微分処理部7に与えて微分処理
されたものを、図8、図9に示す処理を施し、そして、
この処理の結果として得られる埋め込み次元mの値と、
この値に対応する“D”の値(相関次元の値)をノイズ
評価部11に渡す。
【0139】具体的には次のようにして行う。相関次元
計算部5内にはデータの一時保持用にn個のレジスタx
[i] |i=1,…,nがあり、また、微分処理部7
内にもデータの一時保持用のn個のレジスタy[i]
|i=1,…,nと微分結果を保存するレジスタx_
[i]がある。
【0140】A/D変換器2を介して与えられた測定器
1からの入力データは、相関次元計算部5内の入力デー
タ保持用レジスタx[i]および微分処理部7内の入力
データ保持用レジスタy[i] |i=1,…,nにそ
れぞれ格納される。そして、相関次元計算部5内の入力
データ保持用レジスタx[i]に格納されたデータに対
して相関次元計算部5は図8および図9に示す処理を施
こす。そして、この処理の結果として得られる埋め込み
次元mの値と、この値に対応する“D”の値(相関次元
の値)をノイズ評価部11に出力する。
【0141】これによりノイズ評価部11には非微分処
理データに基づくm‐D曲線と、微分処理データに基づ
くm‐D曲線の2種のデータが揃うことになる。
【0142】ノイズ評価部11ではこれらのデータを元
に、例えば、実施例1のc4 が求められ、記憶部8,9
に格納する。すなわち、ノイズ評価部11では受け取っ
たデータに対して、式(6) に基づく計算処理を実施して
4 を求め、これより、ノイズ量の評価を行う。
【0143】つまり、ノイズ評価部11では図10に示
すように、まず、m‐D曲線に対して、最小自乗法によ
って式(6) の関数をフィッティングし(S611)、各
係数c1 ,〜c4 を求める(S612)。係数c1 ,〜
4 が求められたならば、ステップS613に移る。こ
のステップS613では既知の系におけるノイズの分散
または標準偏差と係数c4 の関係からノイズ量を推定
し、係数c1 によりカオス成分の相関次元を推定する。
求められたc4 は記憶部8に記憶される。
【0144】他方、微分処理部7の入力データ保持用レ
ジスタy[i]に格納されたデータには図22に示す処
理フローのステップS191からステップS193まで
の処理が施される。すなわち、微分処理部7では入力デ
ータ保持用レジスタy[i]に格納されたデータを読出
し(S191)、これに対して微分dX[i]/diが
計算され(S192)、さらに結果が微分処理部7内の
微分結果保持用のレジスタx_[i]に格納される。
【0145】つぎに微分処理部7内の微分結果保持用の
レジスタx_[i]に格納された微分結果が相関次元計
算部5によって読み出され、微分を施していない元のデ
ータに対して施されたものと同じ処理である図8、図9
に示す処理が相関次元計算部5により成され、そして、
この処理の結果として得られる埋め込み次元mの値と、
この値に対応する“D”の値(相関次元の値)をノイズ
評価部11に出力する。
【0146】ノイズ評価部11では受け取ったデータに
対して、式(6) に基づく計算処理を実施してc4 を求
め、これより、ノイズ量の評価を行う。
【0147】すなわち、ノイズ評価部11では図10に
示すように、まず、m‐D曲線に対して、最小自乗法に
よって式(6) の関数をフィッティングし(S611)、
各係数c1 ,〜c4 を求める(S612)。係数c1
〜c4 が求められたならば、ステップS613に移る。
このステップS613では既知の系におけるノイズの分
散または標準偏差と係数c4 の関係からノイズ量を推定
し、係数c1 によりカオス成分の相関次元を推定する。
【0148】そして、その処理結果が上記記憶部9に格
納される。
【0149】比較部10では記憶部8と記憶部9の内容
が比較され、1/f様のノイズの定量を行う。ここで比
較結果の乖離が大きければ、1/f様のノイズ、小さけ
ればカオスと判断される。
【0150】比較部10での判断結果およびノイズ評価
部11でのノイズ量推定結果はそれぞれ出力部4に出力
(表示あるいはプリント)される。
【0151】なお、上記でノイズ評価部11の処理は実
施例1に対応してc4 を求めるものであったが、1次回
帰の傾斜(実施例2のケース)、m‐D平面上の曲線の
微分値(実施例3のケース)を求めるものであっても良
い。
【0152】以上はカオス的挙動を示す信号と1/fノ
イズの識別、そして1/fノイズのノイズ量評定を可能
にする評価装置の実施例を述べた。この他にも1/f位
相ノイズがあるので、これを対象とした評価装置の実施
例を実施例5として説明する。
【0153】(実施例5)実施例5は1/f位相ノイズ
であるか、カオス的信号であるかを識別すると共にその
ノイズ量の評価をする実施例である。
【0154】相関を持つノイズとカオスを識別する方法
の一つに、位相ノイズを与えた信号と比較する方法があ
る。これを電子計算機上で実現するには、原信号のフー
リエ変換した周波数成分から、逆フーリエ変換を用い、
さらに位相をランダマイズした時系列を合成し、この時
系列について実施例1における図7の構成で行ったと同
様な手続きにより信号の評価を行うようにすれば良い。
【0155】すなわち、フーリエ変換Fk は原信号Xn
に対して
【数8】 で与えられる。次に、位相雑音を含ませた合成信号(合
成データ)xiは逆フーリエ変換を用いて
【数9】 と表わすことができ、この式(10)を使用することによ
り、位相雑音を含ませた合成信号(合成データ)xiを
求めることができる。
【0156】ここで、φRND は位相雑音で、ガウス分布
のものでも、一様分布のものであっても良い。
【0157】1/f位相ノイズにおいては、原信号と位
相をランダマイズしたものの間での乖離はほとんどない
のに対して、カオス時系列の場合は両者の乖離が大き
い。従って、この方法は1/f位相ノイズ中のカオス成
分を定量化するのに適した方法である。
【0158】カオス的信号と1/f位相ノイズについて
原信号と位相ランダマイズした逆フーリエ信号のmに対
するD(m)をプロットした特性図(m‐D曲線)を図
22、図23に示す。
【0159】カオスの原信号は図23に黒丸印で示した
ように、有限の相関次元を持つ。これに対して、位相を
ランダマイズした信号は同じ相関を持たないため、傾斜
の値は埋め込み次元mの増加に対して、傾斜の値は飽和
しない。
【0160】一方、1/f位相ノイズの場合は、原信号
および位相をランダマイズした逆フーリエ信号に対する
埋め込み次元m‐傾斜のプロットは、ほぼ同様の振る舞
いをする(図24)。
【0161】従って、原信号および位相をランダマイズ
した信号の相関積分の傾斜の埋め込み次元に対する振る
舞いについて、評価関数により評価した結果を比較する
ことにより、カオス信号の中に含まれる1/f位相ノイ
ズのような相関を持つノイズ成分を評価できる。
【0162】以下、この実施例を図25を参照して説明
する。
【0163】図25はカオス的信号と1/f位相ノイズ
の識別とノイズ量の評定を行うことができる信号処理部
3Bの構成を示すブロック図であり、図に示すようにこ
の信号処理部3Bは相関次元計算部5、位相処理部1
2、ノイズ評価部13、記憶部14、記憶部15、比較
部16から構成されている。
【0164】これらのうち、相関次元計算部5は、内部
に複数の入力データ保持用レジスタを有しており、A/
D変換器2を介して入力されたデータを順にこの入力デ
ータ保持用レジスタに一時保存すると共に、これらレジ
スタに保存されたデータ(非位相処理データ)について
図8、図9に示す処理を行うと共に、その処理結果をノ
イズ評価部13に渡す機能の他、位相処理部12にて位
相ランダマイズ処理された結果(位相処理データ)につ
いても、図8、図9に示す処理を行って、その処理結果
をノイズ評価部13に渡す機能を有する。
【0165】位相処理部12は、A/D変換器2を介し
て入力されたデータについて位相ランダマイズ処理をす
る装置であり、この位相処理部12も内部に複数の入力
データ保持用レジスタを有している他、位相処理結果保
持用のレジスタをも有している。位相処理部12はA/
D変換器2を介して入力されたデータを順にこれらの入
力データ保持用レジスタに一時保存すると共に、これら
レジスタに保存されたデータを順に読出して位相ランダ
マイズ処理し、その結果を位相処理結果保持用のレジス
タに保持すると云った機能を有するものである。
【0166】ノイズ評価部13は相関次元計算部5より
得られる非位相処理データに基づくm‐D曲線からノイ
ズ量の推定を行うと共に、位相処理済みのデータに基づ
くm‐D曲線からノイズ量の推定を行うものであり、こ
こでのノイズ量の推定は例えば、式(6) に基づく図10
に示す如き処理により実施する構成としてあり、係数c
4 を求める。また、既知の系におけるノイズの分散また
は標準偏差と係数c4の関係からノイズ量を推定し、係
数c1 によりカオス成分の相関次元を推定する機能も有
する。
【0167】記憶部14および記憶部15はデータを保
持するためのものであり、記憶部14はノイズ評価部1
3からの非位相処理データに基づく係数c4 を保持する
ものであり、記憶部15はノイズ評価部13からの位相
処理済みデータに基づく係数c4 を保持するものであ
る。
【0168】比較部16は記憶部14および記憶部15
に記憶されたデータを比較して両者の乖離の大小を比較
するものであり、比較結果として得られる乖離の大小か
らカオスであるのか、1/f様ノイズであるのかを判定
するものである。判定結果は出力部4に出力される。出
力部4は比較部16の比較結果と、ノイズ評価部13の
ノイズ量推定結果を出力するものである。
【0169】このような構成において、計測器1で計測
され、A/D変換器2でディジタル変換された出力は、
信号処理部3Bに与えられ、この信号処理部3B内にお
ける相関次元計算部5内の入力データ保持用レジスタx
[i]および位相処理部12内の入力データ保持用レジ
スタy[i]にそれぞれ格納される。
【0170】相関次元計算部5では自己の入力データ保
持用レジスタx[i]に格納されたデータについて、図
8、図9に示す処理を施こし、それぞれm‐D曲線のデ
ータとして得る。そして、この得られたデータ(非位相
処理データに基づくm‐D曲線のデータ)をノイズ評価
部13に送る。
【0171】ノイズ評価部13では例えば、実施例1の
4 が計算され、記憶部14に格納される。
【0172】他方、位相処理部12では自己の入力デー
タ保持用レジスタy[i]に格納されたデータに対し
て、図26に示す処理を施する。
【0173】すなわち、位相処理部12では自己の入力
データ保持用レジスタy[i]からデータを読み出し
(S230)、これをフーリエ変換してスペクトル成分
F(k)の分布を求める(S231)。
【0174】つぎに位相にガウシアン・ノイズφRND
加えて逆フーリエ変換する(S232)。この結果は、
位相処理部12の持つ位相処理済みデータ保持用のレジ
スタy´[i]に格納される。
【0175】そして、位相処理済みデータ保持用のレジ
スタy´[i]に保管されたデータは相関次元計算部5
によって読み出され、位相にノイズが加えられていない
データに対する先の処理の場合と同様に、図8、図9に
示す処理を施し、そして、この処理の結果として得られ
る埋め込み次元mの値とこの値に対応する“D”の値
(相関次元の値)をノイズ評価部13に渡す。
【0176】これによりノイズ評価部13には非位相処
理データに基づくm‐D曲線と、位相処理データに基づ
くm‐D曲線の2種のデータが揃うことになる。
【0177】ノイズ評価部13ではこれら2種のm‐D
曲線のデータそれぞれを元にして例えば、実施例1のc
4 が求められ、記憶部14,15に格納する。
【0178】つまり、ノイズ評価部13では図10に示
すように、まず、非位相処理データに基づくm‐D曲線
に対して、最小自乗法によって式(6) の関数をフィッテ
ィングし(S611)、各係数c1 ,〜c4 を求める
(S612)。係数c1 ,〜c4 が求められたならば、
ステップS613に移る。このステップS613では既
知の系におけるノイズの分散または標準偏差と係数c4
の関係からノイズ量を推定し、係数c1 によりカオス成
分の相関次元を推定する。求められたc4 は記憶部14
に記憶する。
【0179】同様に位相処理データに基づくm‐D曲線
に対して、最小自乗法によって式(6) の関数をフィッテ
ィングし(S611)、各係数c1 ,〜c4 を求める
(S612)。係数c1 ,〜c4 が求められたならば、
ステップS613に移る。このステップS613では既
知の系におけるノイズの分散または標準偏差と係数c4
の関係からノイズ量を推定し、係数c1 によりカオス成
分の相関次元を推定する。求められたc4 は記憶部15
に記憶する。
【0180】比較部16では記憶部14、記憶部15に
格納されたデータを比較し、その差が大の時はカオス、
小の時は1/f様のノイズと判定し、結果を出力部4に
出力する。
【0181】比較部10での判断結果およびノイズ評価
部13でのノイズ量推定結果はそれぞれ出力部4に出力
(表示あるいはプリント)される。
【0182】なお、上記した例では、ノイズ評価部13
の処理を実施例1に対応したものとして説明したが、実
施例2〜4に対応するものであっても良い。また、位相
処理部12での処理はフーリエ変換以外にもchip‐
Z変換のような離散的直交変換が適用できる。
【0183】以上はカオス的信号と1/f位相ノイズの
識別、そして1/f位相ノイズのノイズ量評定を可能に
する評価装置の実施例を述べた。
【0184】しかし、ノイズは単一種類で構成されるも
のではなく、複合するのが普通であるから、カオス的信
号とノイズの識別、そしてノイズについては各種別毎の
ノイズ量の評定を可能にすることが必要である。そこで
これを可能にする実施例をつぎに実施例6として説明す
る。
【0185】(実施例6)実施例6では、測定されたデ
ータに未知の種類のノイズおよびカオス性の挙動が含ま
れる場合に、それらを区別して評価できる装置を提供す
る。
【0186】図27に実施例6の構成例を示す。
【0187】図において2Aは信号入力部、5は相関次
元計算部、6Aはノイズ評価部、16は比較部、17は
微分計算部、18および19は記憶部、4は出力部であ
る。
【0188】信号入力部2Aは評価対象の信号を入力す
るためのもので、評価対象の信号を離散化して時系列X
[i]として与えるものである。
【0189】相関次元計算部5はこの信号入力部2Aか
ら与えられる離散化して時系列X[i]となった評価対
象の信号(データ)について図8、図9に示す処理を行
うと共に、その処理結果をノイズ評価部6Aに渡す機能
の他、微分処理部17にて微分処理された結果(微分処
理データ)についても、図8、図9に示す処理を行っ
て、その処理結果をノイズ評価部6Aに渡す機能を有す
る。
【0190】微分処理部17は、信号入力部2Aより入
力された評価対象の信号(データ)について微分演算処
理してその結果を相関次元計算部5に与える装置であ
る。
【0191】ノイズ評価部6Aは相関次元計算部5より
得られる非微分処理データに基づくm‐D曲線からノイ
ズ量の推定を行うと共に、微分処理のデータに基づくm
‐D曲線からノイズ量の推定を行うものであり、ここで
のノイズ量の推定は例えば、式(6) に基づく図10に示
す如き処理により実施する構成としてあり、係数c1
よび係数c4 を求める。また、既知の系におけるノイズ
の分散または標準偏差と係数c4 の関係からノイズ量を
推定し、係数c1 によりカオス成分の相関次元を推定す
る機能も有する。
【0192】記憶部18および記憶部19はデータを保
持するためのものであり、記憶部18はノイズ評価部6
Aからの非微分処理データに基づく係数c4 を保持する
ものであり、記憶部19はノイズ評価部6Aからの微分
処理データに基づく係数c4を保持するものである。
【0193】比較部16は記憶部18および記憶部19
に記憶されたデータを比較して両者の乖離の大小を比較
するものであり、比較結果として得られる乖離の大小か
らカオスであるのか、1/f様ノイズであるのかを判定
するものである。
【0194】出力部4は比較部16の比較結果と、ノイ
ズ評価部6Aのノイズ量推定結果を出力するものであ
る。
【0195】つぎにこのような構成の本装置の動作を説
明する。
【0196】信号入力部2Aから離散化された時系列X
[i]を相関次元計算部5と微分処理部17に入力す
る。相関次元計算部5では実施例1に示した方法により
相関次元を計算し、式(6) への回帰を用いて係数c1
4 を計算する。このとき、c4 の値は主にガウスノイ
ズの寄与である。また、このときのc1 ,c4 の値は微
分信号との比較のために、記憶部18に保持する。
【0197】微分処理部17に入力されたデータX
[i]は実施例5と同様な方法で微分処理し(dX
[i]/di)、求められた微分値を相関次元計算部5
に渡す。相関次元計算部5ではこの微分値に対して上述
同様、実施例1に示した方法により相関次元を計算し、
式(6) への回帰を用いて係数c1 ,c4 を計算する。こ
の結果を、記憶部19に保持する。
【0198】つぎに比較部16により記憶部18に保持
した結果と、記憶部19に保持した結果と比較を行う。
【0199】比較の結果、両者の間に乖離がなければ、
入力信号の時系列はガウスノイズのみを含むカオス時系
列と判定でき、その自由度はc1 の値であると推定でき
る。一方、両者の間に乖離があれば、入力信号の時系列
は1/f様のノイズを含むと判断でき、その自由度はc
4 の値であると推定できる。
【0200】従って、比較部16はその比較の結果、両
者の間に乖離がなければ、入力信号の時系列はガウスノ
イズのみを含むカオス時系列と判定し、その自由度はc
1 の値であると推定する。一方、両者の間に乖離があれ
ば、比較部16は入力信号の時系列は1/f様のノイズ
を含むと判断する。記憶部18に保持されているc4
値の差は1/fノイズのパワーに相関を持つ。
【0201】そして、出力部4には判断結果とノイズ量
推定値が出力される。
【0202】なお、実施例1から実施例3、及び実施例
4、5の組み合わせにより、カオス時系列中の、ガウシ
アンノイズ、1/fノイズをそれぞれ独立に評価する装
置が得られる。
【0203】通常の不規則時系列においては、ガウシア
ンノイズ、1/fノイズに代表されるスケ―ル則が成立
する不規則過程、決定論的力学に支配されているカオス
が混然となっている状況が考えられる。本発明では実施
例1,2,3のいずれか一つと、実施例4および実施例
5の各手法を組み合わせることにより、前述の3種類の
不規則過程をそれぞれ評価することができる。カオス過
程との量論的乖離はガウシアンノイズに起因するもので
ある。実施例4の方法によりm‐D曲線での原信号と微
分信号との乖離は1/fノイズによるものであり、実施
例5の方法によりカオス性を定量化できる。
【0204】以上、詳述したように、本発明は以下のよ
うに構成できる。
【0205】[1] 離散データ列のカオス性を評価す
るためのカオス評価装置において、前記離散データ列に
ついて埋め込み次元に対する相関次元を求める相関次元
計算手段と、前記埋め込み次元と前記相関次元との関係
に基づいて前記離散データ列に含まれるノイズを評価す
るノイズ評価手段とから構成する。
【0206】[2] 前記[1]の構成において、前記
離散データ列について微分処理を施す微分処理手段をさ
らに有し、前記離散データ列について相関次元計算手段
による処理とノイズ評価手段による処理とを経て得られ
た結果と、前記微分処理手段からの出力について相関次
元計算手段による処理とノイズ評価手段による処理とを
経て得られた結果を比較する比較手段とを設けて構成す
る。
【0207】[3] 前記[1]の構成において、前記
離散データ列について位相雑音を加える位相処理手段を
さらに有し、前記離散データ列について相関次元計算手
段による処理とノイズ評価手段による処理とを経て得ら
れた結果と、前記位相処理手段からの出力について相関
次元計算手段による処理とノイズ評価手段による処理と
を経て得られた結果を比較する比較手段とを設けて構成
する。
【0208】[4] 前記[3]の構成を採用する場合
において、前記位相処理手段は前記離散データ列に対し
て直交変換を施す直交変換手段と、この直交変換手段か
らの出力を受けて位相雑音を加える位相雑音付加手段
と、この位相雑音付加手段からの出力に対して逆直交変
換を施す逆直交変換手段とを設けて構成する。
【0209】[5] 前記[1]から[4]のいずれか
の構成を採用する場合において、前記ノイズ評価手段は
前記埋め込み次元と前記相関次元との関係を表わす所定
の関数の係数を求める係数算出手段を設けて構成する。
【0210】[6] 前記[5]の構成を採用する場合
において、前記関数は埋め込み次元が増加したときに一
定の値に収束する収束項を含むことを特徴とする。
【0211】[7] 前記[1]から[4]のいずれか
の構成を採用する場合において、前記ノイズ評価手段
は、相関次元の埋め込み次元に関する微分を求める微分
計算手段を設けて構成する。
【0212】[8] 前記[1]から[4]のいずれか
の構成を採用する場合において、前記ノイズ評価手段
は、前記埋め込み次元に対する前記相関次元の傾きを求
める傾き計算手段を設けて構成する。
【0213】[9] 前記[8]の構成を採用する場合
において、前記傾き計算手段は、前記埋め込み次元と前
記相関次元との関係を表わす所定の関数の傾きを表わす
係数を求める係数算出手段を設けて構成する。
【0214】[10] 前記[9]の構成を採用する場
合において、前記関数は埋め込み次元が増加したときに
一定の値に収束する収束項を含むようにする。
【0215】[11] 前記[8]の構成を採用する場
合において、前記傾き計算手段は、相関次元の埋め込み
次元に関する微分を求める微分計算手段を設けて構成す
る。
【0216】上記[1]から[11]によれば、離散デ
ータ列のカオス性を定量的に評価できるカオス票か装置
を提供できる。特に上記[1]から[4]によれば、1
/fノイズの性質を有するノイズの評価が可能となる。
また、[5]によれば離散データの全体の挙動に関する
性質を計算するので、精度が向上する。また、上記
[6]によれば、系を規定するカオス系の有限自由度の
値を収束項によって推定することができる。さらに、
[7]によれば、近接した離散データ列間の相関飲みに
着目しているので、計算速度が速くなる。また、[9]
によれば、離散データの全体の挙動に関する性質を計算
するので、精度が向上する。また、[10]によれば、
収束項によってカオス系の有限自由度を推定できると共
に、傾きを求めることによってノイズに関わる成分を求
めることができる。また、[11]によれば、近接した
離散データ列間の相関のみに着目しているので、計算速
度が速くなる。
【0217】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
観測された時系列の中のカオス性と、ノイズ性を定量的
に評価可能な装置を提供することができる。そして、本
発明により、カオス時系列中のノイズ量を把握し、測定
系の精度、ノイズ量、予測問題の精度保証、制御の精度
保証、またはノイズの低減を図るための対策等に対する
指標を提供することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を説明するための図であって、
レスラー方程式のみを使用して、生成されたカオス挙動
を示すデータの例を示す図。
【図2】本発明の実施例を説明するための図であって、
式(3) を用いて生成されたガウシアンノイズΔを含むデ
ータの例を示す図。
【図3】本発明の実施例を説明するための図であって、
埋め込み次元mに対して相関次元Dをプロットした例を
示す図。
【図4】本発明の実施例を説明するための図であって、
ガウシアンノイズを含まないカオス的変動を呈する信号
のm‐D曲線の例を示す図。
【図5】本発明の実施例を説明するための図であって、
ガウシアンノイズを含む信号のm‐D曲線の例を示す
図。
【図6】本発明の実施例を説明するための図であって、
カオス的変動を呈する信号やデータに、ガウシアンノイ
ズの標準偏差(SD)を変えたときの相関次元Dを埋め
込み次元mに対してプロットした図。
【図7】本発明の実施例を説明するための図であって、
実施例1におけるハードウェア構成を示すブロック図。
【図8】本発明の実施例を説明するための図であって、
実施例1における相関次元計算部5での処理内容を示す
フローチャート。
【図9】本発明の実施例を説明するための図であって、
実施例1における相関次元計算部5での処理内容を示す
フローチャート。
【図10】本発明の実施例を説明するための図であっ
て、実施例1におけるノイズ評価部6での処理内容を示
すフローチャート。
【図11】本発明の実施例を説明するための図であっ
て、図6の各々の曲線を回帰した場合の図。
【図12】本発明の実施例を説明するための図であっ
て、式(5) で図6の各々の曲線を回帰し(図11)、式
(6) のc1 −c4 の係数を求めて得られる図。
【図13】本発明の実施例を説明するための図であっ
て、図6を式(7) で回帰した様子を示す図。
【図14】本発明の実施例を説明するための図であっ
て、図6を式(7) で回帰した場合の1次関数式yにおけ
る傾斜の値c1 とノイズの標準偏差(SD)の相関を示
す図。
【図15】本発明の実施例を説明するための図であっ
て、実施例2におけるノイズ評価部6の処理の例を示す
フローチャート。
【図16】本発明の実施例を説明するための図であっ
て、微分値を利用する実施例3の説明をするための図。
【図17】本発明の実施例を説明するための図であっ
て、微分値を利用する実施例3の説明をするための図。
【図18】本発明の実施例を説明するための図であっ
て、実施例3におけるノイズ評価部6の処理の例を示す
フローチャート。
【図19】本発明の実施例を説明するための図であっ
て、実施例4の説明をするためにカオス的信号につい
て、原信号と微分信号のmに対するD(m)をプロット
した様子を示す図。
【図20】本発明の実施例を説明するための図であっ
て、実施例4の説明をするために1/fノイズについ
て、原信号と微分信号のmに対するD(m)をプロット
した様子を示す図。
【図21】本発明の実施例を説明するための図であっ
て、1/fノイズを評価するための実施例4の構成を示
すブロック図。
【図22】本発明の実施例を説明するための図であっ
て、実施例5の説明をするためにカオス的信号と1/f
位相ノイズについて原信号と位相ランダマイズした逆フ
ーリエ信号のmに対するD(m)をプロットした特性図
(m‐D曲線)を示した図。
【図23】本発明の実施例を説明するための図であっ
て、実施例5の説明をするためにカオス的信号と1/f
位相ノイズについて原信号と位相ランダマイズした逆フ
ーリエ信号のmに対するD(m)をプロットした特性図
(m‐D曲線)を示した図。
【図24】本発明の実施例を説明するための図であっ
て、実施例5の説明をするために1/f位相ノイズにつ
いて原信号と位相ランダマイズした逆フーリエ信号に対
する埋め込み次元m‐傾斜のプロットした特性図(m‐
D曲線)。
【図25】本発明の実施例を説明するための図であっ
て、カオス的信号と1/f位相ノイズの識別とノイズ量
の評定を行うことができる実施例5の構成を示すブロッ
ク図。
【図26】本発明の実施例を説明するための図であっ
て、実施例5における位相処理部12の処理内容を示す
フローチャート。
【図27】本発明の実施例を説明するための図であっ
て、本発明の実施例6の構成例を示すブロック図。
【符号の説明】
1…計測器 2…A/D変換器 2A…信号入力部 3,3A,3B…信号処理部 4…出力部 5…相関次元計算部 6,6A,11,13…ノイズ評価部 7,17…微分計算部 8,9,14,15,18,19…記憶部 10,16…比較部 12…位相処理部。
【手続補正書】
【提出日】平成7年6月28日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正内容】
【0038】相関を持つノイズとカオスを識別するもう
一つの方法は、原信号と位相ノイズを与えた信号のm‐
Dプロットを比較することによって実現できる。例え
ば、原信号のフーリエ変換した周波数成分から逆フーリ
エ変換を用いさらに位相をランダマイズした時系列を合
成し、この時系列について信号の評価を行う手法であ
る。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正内容】
【0039】フーリエ変換Fk は原信号xn に対して
【数1】 で与えられる。次に、位相雑音を含ませた合成信号(合
成データ)xiは逆フーリエ変換を用いて
【数2】 と表わすことができ、この式を使用することにより、位
相雑音を含ませた合成信号(合成データ)xiを求める
ことができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正内容】
【0042】
【実施例】本発明は相関次元を用いて、カオス的要素に
含まれるノイズ要素を定量的に評価するものであって、
埋め込み次元と相関次元の関係からノイズ要素を定量的
に評価するものであり、以下、本発明の実施例について
図面を参照して説明する。ノイズにはガウシアンノイズ
のように、スケール則のないもの、1/fノイズのよう
に、スケール則が成り立つものなどがあるが、これらの
ノイズ種別に対応する識別手法と、ノイズ量の評定手法
を説明する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0122
【補正方法】変更
【補正内容】
【0122】以上、上述した各実施例は、いずれもカオ
ス的信号とガウスノイズの識別と、不規則信号に含まれ
ノイズ量の評定を可能にする実施例である。すなわ
ち、上述の実施例は相関積分の方法を主体としているも
のであるが、この手法では1/fノイズあるいは1/f
2 ノイズ(以下、これらを1/f様ノイズと呼ぶことに
する)のようにパワスペクトル分布スケ―ルの相関のあ
るノイズではカオスとの間に区別がつかない。通常、抵
抗体の揺らぎなどの電子のフォノンによる散乱や、熱運
動体による光の散乱など多岐にわたる自然現象において
1/f揺らぎが存在することが知られている。従って、
このような1/f様ノイズの識別法を実施例4として説
明する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0123
【補正方法】変更
【補正内容】
【0123】(実施例4)実施例4はカオス的信号と
/f様ノイズの識別と、そのノイズ量の評定を可能にす
るもので、以下、実施例を説明する。ここでは対象が
/f様ノイズの場合に、先の実施例1の装置構成を適応
可能にするような信号の前処理の手段を持たせることを
特徴としている。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0124
【補正方法】変更
【補正内容】
【0124】すなわち、この実施例では信号処理部3A
に、A/D変換器2を介して与えられる測定器1の測定
データを微分する手続き要素を付加する。この微分要素
により微分された1/f様ノイズと前述のガウシアン・
ノイズはm‐D平面上で同様の振る舞いを示す。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0125
【補正方法】変更
【補正内容】
【0125】これと原信号を図8および図9と同様の手
続きで処理したものを比較する。そして、両者の乖離が
大きいほど1/f様ノイズを含んでいることになる。こ
れにより、カオス的な時系列中での1/f様ノイズとカ
オスの区別が定量的にできる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0127
【補正方法】変更
【補正内容】
【0127】図19にカオス的信号について、原信号と
微分信号のmに対するD(m)をプロットしたものを、
また、図20に1/f様ノイズについて、原信号と微分
信号のmに対するD(m)をプロットしたものをそれぞ
れ示す。図20に黒丸印で示したように、1/f様ノイ
ズの原信号は有限の相関次元を持つ。これに対して、そ
れを微分した信号は相関を持たないため、傾斜の値は埋
め込み次元の増加に対して傾斜の値は飽和しない。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0129
【補正方法】変更
【補正内容】
【0129】従って、実施例1の装置構成図である図7
における計算処理部3を、図21に示した如き構成に置
き換えることにより、カオス信号の中に含まれる1/f
ノイズのようなノイズ成分を評価できる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0152
【補正方法】変更
【補正内容】
【0152】以上はカオス的挙動を示す信号と1/f様
ノイズの識別、そして、不規則時系列に含まれる1/f
ノイズのノイズ量評定を可能にする評価装置の実施例
を述べた。この他にも1/fノイズがあるので、これを
対象とした評価装置の実施例を実施例5として説明す
る。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0153
【補正方法】変更
【補正内容】
【0153】(実施例5)実施例5は1/fノイズであ
るか、カオス的信号であるかを識別すると共にそのノイ
ズ量の評価をする実施例である。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0155
【補正方法】変更
【補正内容】
【0155】すなわち、フーリエ変換Fk は原信号xn
に対して
【数3】 で与えられる。次に、位相雑音を含ませた合成信号(合
成データ)xiは逆フーリエ変換を用いて
【数4】 と表わすことができ、この式(10)を使用することによ
り、位相雑音を含ませた合成信号(合成データ)xiを
求めることができる。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0157
【補正方法】変更
【補正内容】
【0157】1/fノイズにおいては、原信号と位相を
ランダマイズしたものの間での乖離はほとんどないのに
対して、カオス時系列の場合は両者の乖離が大きい。従
って、この方法は1/fノイズ中のカオス成分を定量化
するのに適した方法である。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0158
【補正方法】変更
【補正内容】
【0158】カオス的信号と1/fノイズについて原信
号と位相ランダマイズした逆フーリエ信号のmに対する
D(m)をプロットした特性図(m‐D曲線)を図2
2、図23に示す。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0160
【補正方法】変更
【補正内容】
【0160】一方、1/fノイズの場合は、原信号およ
び位相をランダマイズした逆フーリエ信号に対する埋め
込み次元m‐傾斜のプロットは、ほぼ同様の振る舞いを
する(図24)。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0161
【補正方法】変更
【補正内容】
【0161】従って、原信号および位相をランダマイズ
した信号の相関積分の傾斜の埋め込み次元に対する振る
舞いについて、評価関数により評価した結果を比較する
ことにより、カオス信号の中に含まれる1/fノイズの
ような相関を持つノイズ成分を評価できる。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0163
【補正方法】変更
【補正内容】
【0163】図25はカオス的信号と1/fノイズの識
別とノイズ量の評定を行うことができる信号処理部3B
の構成を示すブロック図であり、図に示すようにこの信
号処理部3Bは相関次元計算部5、位相処理部12、ノ
イズ評価部13、記憶部14、記憶部15、比較部16
から構成されている。
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0183
【補正方法】変更
【補正内容】
【0183】以上はカオス的信号と1/fノイズの識
別、そして1/fノイズのノイズ量評定を可能にする評
価装置の実施例を述べた。
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図22
【補正方法】変更
【補正内容】
【図22】本発明の実施例を説明するための図であっ
て、実施例5の説明をするためにカオス的信号と1/
イズについて原信号と位相ランダマイズした逆フーリ
エ信号のmに対するD(m)をプロットした特性図(m
‐D曲線)を示した図。
【手続補正20】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図23
【補正方法】変更
【補正内容】
【図23】本発明の実施例を説明するための図であっ
て、実施例5の説明をするためにカオス的信号と1/
イズについて原信号と位相ランダマイズした逆フーリ
エ信号のmに対するD(m)をプロットした特性図(m
‐D曲線)を示した図。
【手続補正21】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図24
【補正方法】変更
【補正内容】
【図24】本発明の実施例を説明するための図であっ
て、実施例5の説明をするために1/fノイズについて
原信号と位相ランダマイズした逆フーリエ信号に対する
埋め込み次元m‐傾斜のプロットした特性図(m‐D曲
線)。
【手続補正22】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図25
【補正方法】変更
【補正内容】
【図25】本発明の実施例を説明するための図であっ
て、カオス的信号と1/fノイズの識別とノイズ量の評
定を行うことができる実施例5の構成を示すブロック
図。
【手続補正23】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図24
【補正方法】変更
【補正内容】
【図24】
【手続補正24】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図25
【補正方法】変更
【補正内容】
【図25】

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 離散的データ列のカオス性を評価するた
    めのカオス評価装置において、 前記離散的データ列について埋込み次元に対する相関次
    元を求める相関次元計算手段と、 前記埋込み次元と相関次元との関係に基づいて所定の評
    価式により前記データ列に含まれるノイズを評価するノ
    イズ評価手段と、を有することを特徴とするカオス評価
    装置。
  2. 【請求項2】 離散的データ列のカオス性を評価するた
    めのカオス評価装置でにおいて、 前記離散的データ列について微分処理を施す微分処理手
    段と、 前記離散的データ列について埋込み次元に対する相関次
    元を求めると共に、また、前記微分処理手段により微分
    処理されて得られたデータ列について埋込み次元に対す
    る相関次元を求める相関次元計算手段と、 前記埋込み次元と相関次元との関係に基づいて所定の評
    価式により前記データ列に含まれるノイズを評価するノ
    イズ評価手段と、を有することを特徴とするカオス評価
    装置。
  3. 【請求項3】 離散的データ列のカオス性を評価するた
    めのカオス評価装置でにおいて、 前記離散的データ列について位相雑音を加える位相処理
    手段と、 前記離散的データ列について埋込み次元に対する相関次
    元を求めると共に、また、前記位相処理手段により処理
    されて得られたデータ列について埋込み次元に対する相
    関次元を求める相関次元計算手段と、 前記埋込み次元と相関次元との関係に基づいて所定の評
    価式により前記データ列に含まれるノイズを評価するノ
    イズ評価手段と、を有することを特徴とするカオス評価
    装置。
JP6165094A 1994-03-30 1994-03-30 カオス評価装置 Withdrawn JPH07270198A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09223122A (ja) * 1996-02-19 1997-08-26 Meidensha Corp 時系列データのカオス性の判別装置
DE19748312B4 (de) * 1996-10-31 2004-12-02 Kabushiki Kaisha Meidensha Vorrichtung zum Unterscheiden eines Zeitreihendatenwerts

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09223122A (ja) * 1996-02-19 1997-08-26 Meidensha Corp 時系列データのカオス性の判別装置
DE19748312B4 (de) * 1996-10-31 2004-12-02 Kabushiki Kaisha Meidensha Vorrichtung zum Unterscheiden eines Zeitreihendatenwerts

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