JPH07265409A - 大動脈内用バルーンカテーテルおよび血液補助循環装置 - Google Patents

大動脈内用バルーンカテーテルおよび血液補助循環装置

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JPH07265409A
JPH07265409A JP6087692A JP8769294A JPH07265409A JP H07265409 A JPH07265409 A JP H07265409A JP 6087692 A JP6087692 A JP 6087692A JP 8769294 A JP8769294 A JP 8769294A JP H07265409 A JPH07265409 A JP H07265409A
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JP
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blood
catheter
balloon
check valve
pressure
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Application number
JP6087692A
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English (en)
Inventor
Takayuki Tsuji
隆之 辻
Fujio Miyawaki
富士夫 宮脇
Kazuhiko Hagiwara
和彦 萩原
Atsuhiko Nogawa
淳彦 野川
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Terumo Corp
Original Assignee
Terumo Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明の目的は、効率的な血液補助循環を行
うこと、特に、IABP法とPCPS法を併用し、かつ
両者の利点を維持できる血液補助循環装置を提供する。 【構成】 血液補助循環装置40は、大動脈内用バルー
ンカテーテル1と、脱血カテーテル11と、バルーンカ
テーテル1より下流側に位置するように挿入される送血
カテーテル12と、カテーテル11よりカテーテル12
側に血液を送血する送血手段71と、補助循環制御装置
50を有する。バルーンカテーテル1は、ポンピング用
バルーン3、逆止弁4を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、人体の大動脈内に挿入
され、心臓の働きを補助するために使用される大動脈内
用バルーンカテーテルおよび血液補助循環装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、血液補助循環法としては、動
静脈バイパスを用いる方法、補助人工心臓を用いる方
法、大動脈内バルーンポンピング法(IABP法)など
がある。そして、補助人工心臓を用いる方法が、最も血
流量補助効果が高いが、開胸の必要があり患者に対する
負担も大きく、さらに操作が煩雑である。またIABP
法は、操作が容易であるが、主な効果が大動脈内に挿入
されたバルーンの膨張と収縮による血圧の補助にあり、
増加できる血流量も少なく、補助循環効果が低いもので
あった。
【0003】そして、動静脈バイパス法としては、PC
PS法と呼ばれる経皮的心肺バイパスが行われるように
なってきている。このPCPS法法は、補助人工心臓に
比べ、補助循環効果は低いが、開胸の必要がなく、この
点患者に与える負担も少なく、さらに、IABP法より
高い補助循環効果を有している。そして、PCPS法に
用いられる血液補助循環装置では、大腿静脈より挿入さ
れ右心房に先端が留置される脱血側カテーテルを先端に
取り付けた脱血側血液チューブ、血液ポンプ、人工肺お
よび送血側血液チューブを少なくとも備えている。さら
に、血液ポンプとしては、定圧ポンプ(例えば、遠心ポ
ンプ)またはローラーポンプが用いられる。そして、よ
り高い効率にて血液補助循環を行うことにより、上述し
たようなIABP法と動静脈バイパス法を併用すること
が検討されて来ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】IABP法によれば、
バルーンを心拍に同期して膨張・収縮させることによ
り、後負荷(血液拍出時の抵抗)の軽減、大動脈圧を上
昇させ冠血流量を増加できるという効果を有している。
また、PCPS法によれば、前負荷(心臓に戻る血流
圧)の軽減、体外循環血流量の維持(増加)という効果
を有している。しかし、後負荷が増加する、管理が難し
いなどの問題点もある。逆に、IABP法では、上述し
たように増加できる血液循環量は多くなく、また前負荷
の軽減といった効果を持たない。そこで、本発明者は、
IABP法とPCPS法を併用することを検討した。両
者を併用すれば、相和効果あるいは相乗効果が得られる
と考えたが、逆に以下の点より、問題があった。問題
は、両者を併用した時の非生理的な血行動態が関与して
いるものと思われる。
【0005】一般的にPCPS法では、大腿動脈を介し
逆行性に送血される。即ち、胸腹部大動脈付近で不全心
より拍出された血流とぶつかり合う。したがって、PC
PS法による動静脈バイパス量が多ければ、IABPバ
ルーンが収縮した時、胸部大動脈での血流が逆行する可
能性があり、IABP法による収縮性負荷軽減効果(sy
stolic unloading 効果、後負荷軽減効果)が減少す
る。また、バルーンが膨張した時、PCPS法の送血に
対する抵抗が大きくなるため送血量が減少する。同時
に、不全心への前負荷も増加することになり、心筋酸素
消費量を増大させる結果となる。このため、全身の血液
循環を維持し、かつ不全心を休ませ、心臓機能の回復を
はかる状態とはならず、心臓保護の観点からは、かなら
ずしも良好な状態ではなく、むしろ、IABP法とPC
PS法の利点を相殺した状態となる可能性が高い。
【0006】そこで、本発明の目的は、より効率的な血
液補助循環を行うことができる血液補助循環装置を提供
するものであり、具体的には、IABP法とPCPS法
を併用し、かつ両者の利点を維持し、かつ上記のような
問題点を解消した大動脈内用バルーンカテーテルおよび
血液補助循環装置を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するもの
は、カテーテル本体と、該カテーテル本体の先端部付近
に設けられたポンピング用バルーンと、該ポンピング用
バルーンよりカテーテル本体の基端側に設けられ、前記
バルーン側の圧力が前記カテーテル本体の圧以上となっ
たときに、前記バルーン側からのカテーテル本体の基端
側への血液の流通を許容し、かつ該カテーテル本体の基
端側から先端側への血液の流通を実質的に遮断する逆止
弁と有する大動脈内用バルーンカテーテルである。そし
て、前記大動脈内用バルーンカテーテルの前記逆止弁
は、開閉可能であり、かつ前記バルーンカテーテルは、
該逆止弁の開閉機構を有していることが好ましい。
【0008】また、上記目的を達成するものは、上記の
大動脈内用バルーンカテーテルと、大静脈内に挿入され
る脱血カテーテルと、前記大動脈内用バルーンカテーテ
ルの逆止弁より大動脈内の下流側に送血口が位置するよ
うに挿入される送血カテーテルと、脱血カテーテル側よ
り送血カテーテル側に血液を送血する送血手段と、補助
循環制御装置とを備える血液補助循環装置である。
【0009】また、上記目的を達成するものは、大動脈
内用バルーンカテーテルと、大静脈内に挿入される脱血
カテーテルと、前記大動脈内用バルーンカテーテルのバ
ルーンより大動脈内の下流側に送血口が位置するように
挿入される送血カテーテルと、脱血カテーテル側より送
血カテーテル側に血液を送血する送血手段と、前記大動
脈内用バルーンカテーテルのバルーンと前記送血カテー
テルの送血口との間となる位置に配置され、前記バルー
ン側の圧力が前記カテーテル本体の圧以上となったとき
に、前記バルーン側からの血液の流通を許容し、前記バ
ルーン側への血液の流通を実質的に遮断する逆止弁を有
する血流調整部材と、補助循環制御装置とを備える血液
補助循環装置である。そして、前記血液調整部材の前記
逆止弁は、開閉可能であり、かつ前記バルーンカテーテ
ルは、該逆止弁の開閉機構を有していることが好まし
い。
【0010】そこで、本発明の大動脈内用バルーンカテ
ーテルおよび血液補助循環装置を図面に示した実施例を
用いて説明する。この実施例の大動脈バルーンカテーテ
ル1は、カテーテル本体2、ポンピング用バルーン3、
逆止弁4、ハブ6と、接続チューブ23,24とにより
構成されている。
【0011】具体的に説明すると、図1に示す実施例の
大動脈バルーンカテーテル1は、図2、図3にも示すよ
うに、カテーテル本体2の外周にバルーン3と逆止弁4
を有しており、カテーテル本体2内には、バルーン3と
のみ連通する第1のルーメン13,逆止弁の環状部材拡
張用ルーメン34とのみ連通する第2のルーメン14を
有している。さらに、図2に示すように、カテーテル本
体2は、その中央部にカテーテル1を血管内に挿入する
ときに、ガイドワイヤーを挿入するための第3のルーメ
ン16を有している。そして、第1のルーメン13,第
2のルーメン14は、それぞれハブ6に接続されたカテ
ーテル側接続チューブ23,24と連通している。また
接続チューブ23,24には、それぞれ後述する補助循
環制御装置と接続するための接続用コネクター27,2
8が設けられている。
【0012】カテーテル本体2としては、ある程度の可
撓性を有するものが好ましく、例えば、ポリオレフィン
(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−
プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体
等)、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリウレタン等の
熱可塑性樹脂、ポリアミドエラストマー、シリコンゴ
ム、ラテックスゴム等が使用でき、好ましくは上記の熱
可塑性樹脂であり、より好ましくはポリウレタンであ
る。そして、カテーテル本体2の長さは、200〜60
0mm、より好ましくは、450〜550mm、外径
は、1.0〜5.0mm、より好ましくは、1.15〜
4,0mm、肉厚は、0.1〜0.4mm、より好まし
くは、0.15〜0.25mmである。
【0013】そして、カテーテル本体2の先端10は、
カテーテル1の誘導部として機能し、また、カテーテル
1の先端部が血管内に挿入中に血管壁に損傷を与えない
ようにするために設けられている。このため、カテーテ
ル本体2の先端部10は、砲弾状、半球状となった曲面
に形成されている。さらに、先端部10は、X線透視下
において位置を容易に確認できることが好ましい。この
ため、先端部の内部に、Pt、Pt合金、W、W合金、
Ag、Ag合金などにより形成された金属部材の埋設、
あるいは金属粉末の混入を行ってもよい。
【0014】ポンピング用バルーン3は、膨張・収縮が
可能であり、また、これらバルーン3は、収縮時には、
カテーテル本体の外周に密着あるいは折り畳まれた状態
となることができるように構成されている。バルーン3
の材質としては、ある程度の可塑性と血液を送液できる
程度の硬度を有するものが好ましく、例えば、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体
などのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートな
どのポリエステル、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体、架橋型エチレン−酢酸ビニル共重合体、
ポリウレタンなどの熱可塑性樹脂、ポリアミドエラスト
マー、シリコーンゴム、ラテックスゴム等が使用でき
る。
【0015】バルーン3は、それぞれの両端部がカテー
テル本体2の外周面に、例えば接着により、固定されて
いる。また、バルーン3の内部は、カテーテル本体2の
外面に設けられた開口33により、ルーメン13と連通
しており、バルーン3の内部に、膨張用流体が流入可能
となっている。バルーン3の大きさとしては、膨張した
ときの円筒部分の外径が、12〜17mm、好ましくは
15〜16mmである。また、ポンピング用バルーン3
の長さは、180〜300mm、逆止弁の長さは、8〜
75mm程度が好適である。
【0016】逆止弁4は、血液がカテーテル1の先端側
に流れることを確実に阻害する。このカテーテルでは、
逆止弁を有しており、心臓の拍出による血圧が、PCP
Sによる圧力(血圧)より高い場合には、心臓側から下
流に血流が流れることを許容し、逆に、PCPSによる
圧力が、心臓の拍出による血圧より高い場合には、PC
PS側のから上流に血液が流れることを阻害する。この
ため、IABPによる補助循環血流とPCPSによる補
助循環血流とがぶつかることを防止できる。
【0017】そして、逆止弁は、膨張時に血管内壁に密
着し、血管を閉塞できるものであってもよい。このよう
にすることにより、送血カテーテル側からの血液がバル
ーンカテーテルの先端側に流れることを確実に阻止でき
る。ポンピング用バルーンの作動による血液が送血カテ
ーテルの基端側に流れることも確実に阻止できる。しか
し、使用される患者のかつ逆止弁が位置する付近の血管
の内径より若干小さいことが好適である。このようにす
れば、逆止弁の外周より流通する血液量は極わずかであ
り、かつ、血管に密着しないので、血管内壁に負担がか
かることもない。逆止弁の膨張時の外径は、使用される
患者の体格により相違し、一律なものではないが、ポン
ピング用バルーンの外径より1〜5mm程度大きいこと
が好適である。
【0018】逆止弁4は、後端側が開口し、先端側に突
出した血液流入空間を形成する折り畳みおよび拡張可能
な血液不透過性材料よりなる弁部材15と、弁部材15
の拡張および折り畳みを行う弁開閉部材を有している。
具体的には、図3に示すように、カテーテル本体内に設
けられた流体流入ルーメン14と、カテーテル本体2を
挿通し、拡張および収縮または折り畳み可能であり、拡
張した状態にて動脈内壁にほぼ密着する中空環状部材3
7と、一端がカテーテル本体2に取り付けられ、ルーメ
ン14と連通し、他端がカテーテル本体2の後端側に延
び、中空環状部材37に取り付けられ、中空環状部材内
部37と連通する複数の中空環状部材拡張用チューブ3
8と、中空環状部材拡張用チューブ38に沿って設けら
れた複数の弾性部材39aと複数の弾性部材39aの先
端部に設けられた弾性部材固定部39bとからなる弁保
持部39と、弁保持部39に固定された折り畳みおよび
拡張可能な弁部材15とからなり、弁保持部39の弾性
部材39aは、中空環状部材37が拡張していない状態
では、カテーテル本体2に近接し弁部材15を折り畳ん
だ状態とし、中空環状部材37が拡張されることによ
り、弾性部材39aの他端がカテーテル本体2より離間
し、弁部材15を拡張させるものである。
【0019】中空環状部材37は、カテーテル本体2を
挿通し、拡張および収縮または折り畳み可能であり、拡
張した状態にて動脈内壁にほぼ密着することが好まし
い。中空環状部材37は、その内部が、中空環状部材拡
張用チューブ38によって、カテーテル本体2のルーメ
ン14と連通しておりカテーテル本体2のルーメン14
に流入された流体により、中空環状部材は拡張する。中
空環状部材37としては、伸縮性材料により形成し、流
体の流入により伸張することにより拡張するもの、ま
た、ほとんど伸縮性のない材料により形成し、流体の流
入により予め形成した形状に拡張するもののいずれであ
ってもよい。好ましくは、ある程度の伸縮性を有する材
料により形成することである。このような材料で形成す
ることにより、動脈内壁への密着がより確実なものとな
り、内壁に損傷を与えることも少ない。また、中空環状
部材は、動脈の内径よりやや小さくてもよい。環状部材
と動脈の間にわずかな間隙があっても、流れる血液量は
極わずかであり特に問題とならない。また、環状部材が
動脈の内径より小さくても、逆止弁が拡張することによ
り、動脈内壁に密着するものであれば、逆止弁よりその
上流側に血液が流れることを阻止できる。
【0020】中空環状部材37の拡張時の外径として
は、10〜30mm程度であることが好ましい。伸縮性
材料としては、ポリオレフィンエラストマー(例えば、
ポリエチレンエラストマー、ポリプロピレンエラストマ
ー、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体、ポリプロピレンとポリブテンの混合物な
ど)、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラスト
マー、ポリウレタンエラストマーなどの伸縮性合成樹
脂、シリコンゴム、ラテックスゴムなどのゴムが好適に
使用できる。また、伸縮性の低い材料としては、例え
ば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピ
レン共重合体などのポリオレフィン、ポリエチレンテレ
フタレートなどのポリエステル、ポリ塩化ビニル、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体、架橋型エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体、ポリウレタン、ポリフェニレンサルファイ
ドなどの熱可塑性樹脂が好適である。
【0021】中空環状部材拡張用チューブ38は、カテ
ーテル本体2の先端部に、枝分かれするように、取り付
けられている(図3参照)。そして、チューブ38の内
部に設けられたルーメン36は、カテーテル本体2のル
ーメン14と連通している。そして、他端がカテーテル
本体2の後端側に延び、中空環状部材37に取り付けら
れ、かつその内部と連通している。そして、この拡張用
チューブ38は、複数設けられることが好ましく、2〜
8本程度が好適であり、特に3〜6本が好適である。そ
して、弁保持部39は、中空環状部材拡張用チューブ3
8に沿って設けられた複数の弾性部材39aと複数の弾
性部材39aの先端部に設けられた弾性部材固定部39
bとを有している。弾性部材39aは、通常状態では、
ほぼカテーテル本体と平行に、かつ近接した状態となっ
ている。そして、ルーメン14内を通過して流入した流
体により、中空環状部材拡張用チューブ38および中空
環状部材37内が満たされ、さらに中空環状部材37が
拡張することにより、図3に示すように、弾性部材39
aが中空環状部材37に押されて、その他端部が広がり
カテーテル本体2より離間する。固定部39bの先端部
は、挿入時に血管壁などに損傷を与えないように丸みを
帯びた形状となっている。
【0022】弾性部材39aは、ある程度の弾性と剛性
を有する合成樹脂、例えば、ポリカーボネート、ポリス
チレン、ポリアミドなどにより全体が形成されたもの、
また、ピアノ鋼、ステンレス鋼などにより全体が形成さ
れたもの、固定部39bを合成樹脂により形成し、弾性
部材39aをピアノ鋼、ステンレス鋼などにより形成し
たものなどが考えられる。弁保持部39の長さ、言い換
えれば、弾性部材39aの長さとしては、25〜70m
m程度が好適である。弁保持部39は、複数、例えば、
2〜8本程度、好ましくは、3〜6本の弾性部材39a
で形成されていることが好ましく、さらに、中空環状部
材拡張用チューブ38は、弁保持部39の弾性部材39
aの内面に固着されていることが好ましい。このように
することにより、弾性部材39aは、中空環状部材37
の拡張時に、中空環状部材37および拡張用チューブ3
8の両者より力を受けるので、その変形が容易なものと
なり、後述する弁部材15の拡張も確実なものとなる。
【0023】そして、図3に示すように、弁保持部39
には、弁部材15が、折り畳まれた状態にて、固定され
ている。弁保持部39は、上述のように、中空環状部材
37が拡張することにより変形し、弁部材15を拡張さ
せる。これにより弁部材15は、カテーテル本体2の後
端側が開口し、カテーテル本体2の先端側に突出した空
間を形成する。弁部材15は、弾性部材39aに固定さ
れており、さらに、弁部材15を完全に広げたとき断面
がほぼ円状となるように形成されている。このため、中
空環状部材37が拡張し、動脈内壁に密着した状態とな
っても、弁部材15は、各弾性部材39a間にゆとりを
もった状態となっていることもある。そして、この血流
調整部材30では、動脈血が弁部材15の後端側から先
端側に流れるときのみ、その血流により弁部材15の後
端側またはその付近の部分が、血管内壁にほぼ密着す
る。さらに、逆止弁は端部の全周が環状部材37には固
定されておらず、チューブ38が設けられている部分に
て、環状部材37と固定されており、チューブ38と他
のチューブ38の間の部分では、逆止弁は環状部材37
に固定されていない。このため、逆止弁の先端側の圧力
(血圧)が基端側の圧力(血圧)より高い場合には、逆
止弁は内方に変形し、血液の流通を許容する。逆に、逆
止弁の基端側の圧力(血圧)が先端側の圧力(血圧)よ
り高い場合には、逆止弁は、血圧に押されて膨らみ、円
錐状となりその環状端部(基端部)またはその付近が動
脈内壁に密着あるいは近接し血液の流通を遮断あるいは
阻害する。弁部材15は、上記のような機能を発揮する
ために、図3に示すように、ほぼ円錐形に形成されてい
る。
【0024】弁部材15としては、血液不透過性材料の
薄膜が使用でき、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、エチレン−プロピレン共重合体などのポリオレフィ
ン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、
ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、架橋
型エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタンなどの
熱可塑性樹脂、ポリアミドエラストマー、シリコーンゴ
ム、ラテックスゴム等の薄膜が使用できる。
【0025】次に、図4に示す本発明の第1の血液補助
循環装置40について説明する。この血液補助循環装置
は、図4に示すように、上述した大動脈内用バルーンカ
テーテル1と、大静脈内に挿入される脱血カテーテル1
1と、大動脈内用バルーンカテーテル1の逆止弁4より
大動脈内の下流側に送血口16が位置するように挿入さ
れる送血カテーテル12と、脱血カテーテル11側より
送血カテーテル12側に血液を送血する送血手段71
と、人工肺78と、補助循環制御装置50を有してい
る。そして、後述する図10に示すように、患者の血流
形態は、大動脈内用バルーンカテーテル1の逆止弁4の
前後において区分され、上流側は、ポンピング用バルー
ンにより補助循環される上肢側体内血液循環路に、下流
側は、上記の送血手段により補助循環される下肢側体内
血液循環路に区分される。つまり、上肢側が、IABP
法による補助循環がされ、下肢側は、送血カテーテル、
脱血カテーテル、送血手段、人工肺より構成されるPC
PS法による補助循環がされることになる。
【0026】この血液補助循環装置40に使用する送血
手段71としては、定圧ポンプ手段、ローラポンプ、ぺ
リスタルリックポンプなどが使用できる。好ましくは、
定圧ポンプ手段であり、定圧ポンプは、一定の圧力で流
体を送液する。定圧ポンプ手段は、定圧ポンプとこの定
圧ポンプを駆動させるためのモータからなり、定圧ポン
プとしては、遠心ポンプ、タービンポンプ、スクリュー
ポンプなどが使用できる。そして、図4に示す実施例の
装置では、送血手段71は、遠心ポンプ72とこの遠心
ポンプを駆動するためのモータ73により構成されてい
る。
【0027】人工肺78としては、どのようなタイプの
人工肺でもよく、好ましくは、膜型人工肺であり、特に
好ましくは、中空糸膜型人工肺である。中空糸膜型人工
肺としては、ハウジングと、ハウジング内に挿入された
血液処理用部材であるガス交換用中空糸膜と、中空糸膜
束の両端部をハウジングの両端部に液密に固定する隔壁
と、ハウジングの両端部付近にそれぞれ設けられ、血液
処理用部材である中空糸膜の外面とハウジングの内面と
隔壁とにより形成される空間(酸素室)に連通する血液
処理用流体であるガスの流入口およびガス流出口と、ハ
ウジングの両端部にそれぞれ取り付けられた血液流入口
を有する血液流入ポートおよび血液流出口を有する血液
流出ポートとを有するものが好適に使用できる。筒状体
のハウジング内に収納されている中空糸束としては、ガ
ス交換用中空糸膜が10,000〜60,000本程度
を束ねたものが使用されており、ガス交換用中空糸膜と
しては、多孔質膜であり、貫通する多数の微細孔を有し
ている。ガス交換用中空糸膜としては、内径100〜1
000μm、好ましくは100〜300μm、肉厚5〜
80μm、好ましくは10〜60μm、空孔率20〜8
0%、好ましくは30〜60%、また微細孔の孔径は
0.01〜5μm、好ましくは0.01〜1μm程度の
ものが好適に使用される。また、中空糸膜に限らず平膜
状のものであってもよい。ガス交換用中空糸膜の材質と
しては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリテトラフ
ルオロエチレン、ポリスルホン、ポリアクリロニトリ
ル、セルロースアセテート等の高分子材料が使用でき、
好ましくは、疎水性高分子であり、特に好ましくは、ポ
リオレフィン系樹脂であり、より好ましくは、ポリプロ
ピレンであり、延伸法または相分離法などにより微細孔
を形成させたポリプロピレンが望ましい。
【0028】脱血側血液チューブ74は、先端側に脱血
カテーテル11を備えており、他端は、定圧ポンプ72
に接続されている。また、送血側血液チューブ75の後
端は、人工肺78に接続されており、先端には、送血カ
テーテル12が取り付けられている。そして、脱血カテ
ーテル11の基端部には、血液チューブ74とのコネク
ター31が、また血液チューブ74にもコネクター31
と接続するためのコネクター76が設けられている。同
様に、送血カテーテル12の基端部にも、血液チューブ
75とのコネクター32が、また血液チューブ75にも
コネクター32と接続するためのコネクター77が設け
られている。脱血カテーテル11、送血カテーテル1
2、脱血側血液チューブ74および送血側血液チューブ
75としては、例えば塩化ビニル樹脂、シリコーンゴム
などの透明性を有する可撓性合成樹脂製管が好適に使用
できる。
【0029】さらに、血液チューブ74、75のいずれ
かに、流量計53を取り付けてもよい。これは、定圧ポ
ンプ、特に遠心ポンプを用いた場合、ポンプの回転数か
ら流量を確認することが困難であり、流量確認のために
設けることが好ましい。流量計としては、血液に直接接
触することなく、送血管の内部を流れる血液の流量を測
定出来るものが好ましく、例えば、超音波流量計、電磁
流量計などが好適に使用される。
【0030】さらに、この血液補助循環装置40は、抗
凝固剤を用いる事なく血液循環ができることが好まし
い。このために、血液補助循環回路中の血液接触面、特
に、人工肺78、血液チューブ74,75、送血カテー
テル11、脱血カテーテル12、大動脈内用バルーンカ
テーテル1の血液接触面に抗血栓性材料を固定すること
が好ましい。抗血栓性材料としては、ヘパリン、ポリア
ルキルスルホン、エチルセルロース、アクリル酸エステ
ル系重合体、メタアクリル酸エステル系重合体(例え
ば、ポリHEMA[ポリヒドロキシエチルメタクリレー
ト])、疎水性セグメントと親水性セグメントの両者を
有するブロックまたはグラフト共重合体(例えば、HE
MA−スチレン−HEMAのブロック共重合体、HEM
A−MMA[メチルメタアクリレート]のブロック共重
合体、HEMA−LMA[ラウリルメタアクリレート]
のブロック共重合体、PVP[ポリビニルピロリドン]
−MMAのブロック共重合体、HEMA−MMA/AA
[アクリル酸]のブロック共重合体、さらにこのブロッ
ク共重合体にアミノ基を有するポリマーを混合したブレ
ンドポリマー、および含フッ素樹脂などが使用できる。
好ましくは、HEMA−スチレン−HEMAのブロック
共重合体、HEMA−MMA[メチルメタアクリレー
ト]のブロック共重合体、HEMA−MMA/AA[ア
クリル酸]のブロック共重合体などが好ましい。そし
て、上記のヘパリンを除く親水性樹脂を血液接触面に被
覆した後、さらにその上にヘパリンを固定することが好
ましい。この場合、ヘパリンをこの親水性樹脂の表面に
固定するためには、親水性樹脂は、水酸基、アミノ基、
カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基、エポ
キシ基、チオシアネート基、酸クロリド基、アルデヒド
基および炭素−炭素二重結合のうちのいずれかを有する
か、もしくは容易にこれらの基に変換可能な基を有して
いることが好ましい。特に好ましくは、上記親水性樹脂
にアミノ基を有するポリマーを混合したブレンドポリマ
ーを用いることであり、アミノ基を有するポリマーとし
ては、ポリアミン、特にPEI[ポリエチンイミン]が
好ましい。
【0031】ヘパリン固定は、血液補助循環回路の血液
接触面に上記の親水性樹脂を被覆したのち、その表面に
ヘパリン水溶液を接触させた後、グルタールアルデヒ
ド、テレフタルアルデヒド、ホルムアルデヒドなどのア
ルデヒド類、ジフェニルメタンジイソシアネート、2,
4−トリレンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジ
フェニルメタンジイソシアネート、エピクロルヒドリ
ン、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ポ
リエチレングリコールジグリシジルエーテルなどの固定
化剤と接触させることにより、上記の親水性樹脂に共有
結合させることにより固定することができる。
【0032】次に、本発明の血液補助循環装置に使用さ
れる補助循環制御装置50を図4および図5を用いて説
明する。制御装置50は、2つのルーメン13,14に
流体を独立して流通することができるポンプ手段58
と、ポンプ手段58の制御器55を少なくとも備えてい
る。そして、使用時には、制御装置50に、心電計5
1、大動脈圧センサ52、流量センサ53(血流センサ
53、血液チューブ74または75に取り付けられる)
が接続される。これら全体を制御装置と考えてもよい。
【0033】さらに、この制御器55は、ポンピング用
バルーンおよび送血手段の作動に対応して、逆止弁を拡
張作動させる逆止弁制御機能を有することが好ましい。
つまり、この制御器55は、逆止弁4を、ポンピング用
バルーンと送血手段の両者が少なくとも作動する状態
(IABPによる補助循環とPCPSによる補助循環の
両者を行う状態)でなければ、逆止弁として機能しない
ように制御する機能を有している。制御器55が、上記
の逆止弁制御機能を有することにより、例えば、この装
置による補助循環がポンピング用バルーンのみの場合、
また、逆にPCPSのみの場合には、逆止弁は拡張せず
逆止弁としては、機能しないことになる。この機能は、
IABPによる補助循環とPCPSによる補助循環の両
者を行っていたときに、何らかの原因(例えば、患者の
様態の急激な変化、装置の不良)により、いずれかの補
助循環を中止する場合にも有効である。このような機能
を持たないと、PCPS単独の補助循環時に、逆止弁が
常時膨張状態になると、PCPSによる血流は、逆止弁
より上流側に流れなくなる。
【0034】この制御装置50は、上記した逆止弁の制
御機能のほかに種々の機能を有しており、補助循環制御
装置となっている。この制御装置50は、図4および図
5に示すように、制御器55、スイッチパネル56、表
示器57、圧力発生ポンプ(バルーン膨張収縮用ポン
プ)59、ポンピング用バルーン駆動用制御弁60、逆
止弁駆動用制御弁61、モータドライバ54を有してい
る。圧力発生ポンプ(バルーン膨張収縮用ポンプ)5
9、ポンピング用バルーン駆動用制御弁60、逆止弁駆
動用制御弁61により、ポンプ手段58が構成されてい
る。さらに、制御弁60には、第1のカテーテル接続用
チューブ63が、制御弁61には、第2のカテーテル接
続用チューブ64が、接続されており、それらチューブ
には、カテーテルのコネクタ27,28との接続用コネ
クタ66,67が取り付けられている。
【0035】そして、制御器55は、心電計51より出
力された心電図波形をもとに、算出された信号を、制御
弁60に送り、制御弁の開放・閉塞を行うことにより、
バルーン3の膨張、収縮タイミングを制御する。つま
り、心拍に同期してポンピング用バルーン3の膨張・収
縮を行わせる機能を有している。具体的には、心電計5
1から入力される心拍の電気的分析である心電図波形か
ら、P波、R波、T波を確認することができる。しか
し、電気的に容易に取り出すことができるのは、最も電
気的出力の高いR波である。そして、心臓の動きと上記
各波の関係は、P波付近で大動脈弁が開放し、T波付近
で大動脈弁が閉塞するといわれている。つまり、心臓に
おける血液流は、P波付近にて始まり、T波付近にて終
わり、T波からP波までは、血液が流れない状態となっ
ている。また、R波は、P波より遅れて発生する。
【0036】つまり、冠血流の大半は、心臓の拡張期に
流れるので、大動脈弁が閉塞してるときに大動脈圧を上
げれば、冠動脈に血液を確実に送ることができる。ま
た、逆に、大動脈弁が開放している状態、つまり、左心
室が収縮し、血流を拍出(心臓へ静脈から還流している
血液と区別するため)している状態のとき補助循環によ
る血液を送らないようにすれば、左心室に負担をかける
ことがない。そして、大動脈弁が閉塞している間に、大
動脈内バルーンカテーテル1のバルーンを膨張させれ
ば、さらに、拡張期圧を上昇でき、冠動脈に血液を送る
ことができる。また、逆に、大動脈弁が開放している状
態、つまり、心臓により血流が拍出している状態のとき
バルーンを収縮させれば、心臓が血液を拍出するための
仕事量を軽減することができる。
【0037】ポンピング用バルーンの膨張タイミング
は、T波を検出し、それを出力してもよいが、上述のよ
うに、R波の検出が最も確実であるので、R波に基づい
てT波(疑似T波)を算出することが好適である。具体
的には、R波からT波までの間隔は、心拍数の変動によ
ってもあまり変化しないので、R波検出より所定時間遅
れた信号(疑似T波信号)を膨張開始信号(バルーン内
が陽圧状態となるように制御弁60を作動させる信号)
として出力することにより、ほぼ大動脈弁の閉塞に合わ
せて、バルーンを膨張することができる。
【0038】また、バルーンの収縮タイミングは、所定
数(例えば、常に最近の5回)のR波の発生時期および
間隔より平均値を算出し、R波の発生周期を常時算出
し、その算出周期と疑似T波(開放信号)の発生タイミ
ングより、疑似T波より適度に遅れた疑似P波を算出
し、これをバルーンの収縮開始信号(バルーン内が負圧
状態となるように制御弁60を作動させる信号)として
出力するように構成されている。つまり、この閉塞信号
は、ほぼ大動脈弁の開放に合わせて出力される。また、
ポンピング用バルーン3の膨張は、心拍数と同じ数行わ
なくてもよく、例えば、疑似T波信号が数回、例えば、
1〜8回入力されるごとに1回膨張させるようにしても
よい。
【0039】そして、制御器55は、上記の逆止弁の制
御機能の他に、補助循環選択機能を有することが好まし
い。補助循環選択機能としては、例えば、上記したよう
なIABPとPCPSの両者を行うフルモード(IAB
P・PCPS併用モード)、IABPのみのIABP単
独モード、PCPSのみのPCPS単独モードを任意に
選択できる機能を有することが好ましい。このような機
能を有すれば、この制御装置は、IABP、PCPSの
単独による補助循環にも使用できる。制御弁60,61
としては、それぞれ内部に2つの電磁弁を持ち、その2
つの電磁弁の作動により、圧力発生ポンプからの圧力を
陽圧、陰圧に切り替えることができるものが使用され
る。また、このようなものに限らず、少なくとも、圧力
発生ポンプからの圧力を陽圧、陰圧に切り替えることが
できるものであればどのようなものでもよい。
【0040】また、モータドライバ54は、制御器55
より出力させる信号に基づいて、ポンプ用モーター73
を回転させる。このモーター73の回転は、遠心ポンプ
72に伝達され、遠心ポンプ内のロータが回転し、脱血
カテーテル側より送血カテーテル側に血液を送血する。
制御器55には、血流センサ53により検知される血流
値が入力される。制御器55は、スイッチパネル56に
設けられたPCPS流量入力スイッチにより入力された
流量と血流センサ53により検知された流量検知信号を
考慮して演算された演算値より、モータードライバ54
にポンプ用モーターの回転信号を出力する機能を備えて
いてもよい。このようにすれば、血流計53により検知
される血流量を考慮して、PCPSによる補助循環量を
自動制御することができる。血流センサとしては、超音
波流量センサ、電磁流量センサなどが使用できる。モー
ターは、ACモーター、DCモーターなどいずれでもよ
いが、可変速モーターが好適である。さらに、流量の制
御が容易なものが好ましく、例えば、ACモーターであ
るステッピングモーターが好適である。そして、モータ
ードライバは、使用されるモーターにより相違するが、
電圧、電流、パルスを可変に出力できるものである。具
体的には、モーターが、ステッピングモーターであれ
ば、モータードライバとしては、所定時内のパルス数を
可変に出力できるものが使用される。
【0041】また、大動脈圧センサ52より検知される
大動脈圧は、制御器55に入力される。制御器55は、
スイッチパネル56に設けられたポンピング用バルーン
膨張圧力入力スイッチにより入力された圧力値と検知さ
れた大動脈圧を考慮して演算された演算値より、適宜ポ
ンピング用バルーン膨張圧を調整する機能を備えていて
もよい。このようにすれば、大動脈センサにより検知さ
れる血圧を考慮して、最適なポンピング圧にてIABP
による補助循環を行うことができる。大動脈圧センサと
しては、半導体圧力センサ(例えば、拡散型半導体圧力
センサ)が使用できる。
【0042】圧力発生ポンプとしては、圧力、例えば、
気体または液体の吐出または吸引ができるようなもので
あれば、公知のものが使用できる。例えば、エアーコン
プレッサー、真空ポンプである。表示器57には、ポン
ピング用バルーン作動圧力表示部、逆止弁作動圧力表示
部、流量センサにより検知された流量表示部、大動脈圧
センサにより検知された大動脈圧表示部、PCPSによ
る補助循環量表示部などが設けられている。
【0043】また、スイッチパネル56には、電源スイ
ッチ、IABP・PCPS併用モードスイッチ(併用モ
ードを選択するためのスイッチ)、IABP単独モード
スイッチ(IABP単独モードを選択するためのスイッ
チ)、PCPS単独モードスイッチ(PCPS単独モー
ドを選択するためのスイッチ)、IABPスタートスイ
ッチ、PCPSスタートスイッチ、PCPS流量入力ス
イッチ、ポンピング用バルーン膨張圧力入力スイッチ、
逆止弁膨張圧力入力スイッチなどが設けられている。ま
た、制御装置55は、異常時に鳴動するアラーム69を
有している。このアラームは、例えば、制御器55によ
り、心電計51より入力される心電図波形の異常、流量
センサにより検知された流量の許容範囲以上の変化(例
えば、急激な低下)、大動脈圧センサにより検知された
大動脈圧の許容範囲以上の変化(例えば、、急激な低
下)、制御器、ポンプ、制御弁、ドライバなどの異常を
検知したときに鳴動する。
【0044】次に、本発明の第2の実施例の血液補助循
環装置70について説明する。この実施例の血液補助循
環装置70は、図6および図7に示すように、大動脈内
用バルーンカテーテル20と、大静脈内に挿入される脱
血カテーテル11と、大動脈内用バルーンカテーテル1
のバルーン3より大動脈内の下流側に送血口16が位置
するように挿入される送血カテーテル12と、脱血カテ
ーテル11側より送血カテーテル12側に血液を送血す
る送血手段71と、大動脈内用バルーンカテーテル1の
バルーン3と送血カテーテル12の送血口16との間に
位置する逆止弁4を有する血流調整部材30と、補助循
環制御装置50を有している。
【0045】この血液補助循環装置70と上述した第1
の血液補助循環装置40との相違は、大動脈内用バルー
ンカテーテルの相違である。図3に示した装置に使用さ
れるバルーンカテーテル1は、ポンピング用バルーン3
とともに逆止弁4を有していた。しかし、この実施例の
装置に使用される大動脈内用バルーンカテーテル20
は、ポンピング用バルーン3のみを有するものが使用さ
れており、このカテーテル20とは別に、逆止弁4を備
えた血流調整部材30が用いられている。大動脈内用バ
ルーンカテーテル20は、カテーテル本体2、ポンピン
グ用バルーン3、バルーン3と連通するルーメン13、
ハブ6とにより構成されている。そして、ハブ6は、大
動脈内用バルーンカテーテル制御装置側接続チューブ6
3と接続するための接続用コネクターとして機能する。
【0046】カテーテル本体2としては、ある程度の可
撓性を有するものが好ましく、例えば、ポリオレフィン
(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−
プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体
等)、ポリ塩化ビニル、ポリアミドエラストマー、ポリ
ウレタン等の熱可塑性樹脂、ポリイミド、シリコンゴ
ム、ラテックスゴム等が使用でき、好ましくは上記の熱
可塑性樹脂であり、より好ましくはポリウレタンであ
る。そして、カテーテル本体2の長さは、200〜60
0mm、より好ましくは、200〜550mm、外径
は、1.0〜5.0mm、より好ましくは、2.0〜
4.0mm、肉厚は、0.1〜0.4mm、より好まし
くは、0.15〜0.25mmである。
【0047】そして、カテーテル本体2の先端10は、
カテーテル20の誘導部として機能し、また、カテーテ
ル20の先端部が血管内に挿入中に血管壁に損傷を与え
ないようにするために設けられている。このため、カテ
ーテル本体2の先端部10は、砲弾状、半球状となった
曲面に形成されている。さらに、先端部10は、X線透
視下において位置を容易に確認できることが好ましい。
このため、先端部の内部に、Pt、Pt合金、W、W合
金、Ag、Ag合金などにより形成された金属部材の埋
設、あるいは金属粉末の混入を行ってもよい。
【0048】ポンピング用バルーン3は、膨張・収縮が
可能であり、また、バルーン3は、収縮時には、カテー
テル本体の外周に密着あるいは折り畳まれた状態となる
ことができるように構成されている。バルーン3の材質
としては、ある程度の可塑性と血液を送液できる程度の
硬度を有するものが好ましく、例えば、ポリエチレン、
ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体などの
ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートなどのポ
リエステル、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共
重合体、架橋型エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウ
レタンなどの熱可塑性樹脂、ポリアミドエラストマー、
シリコーンゴム、ラテックスゴム等が使用できる。
【0049】バルーン3は、両端部がカテーテル本体2
の外周面に、例えば接着により、固定されている。ま
た、バルーン3の内部は、カテーテル本体2の外面に設
けられた開口33により、ルーメン13と連通してお
り、バルーン3の内部に、膨張用流体を流入可能となっ
ている。また、カテーテル本体2は、その中央部にカテ
ーテル20を血管内に挿入するときにガイドワイヤーを
挿入するためのルーメン(図示せず)を有している。バ
ルーン3の大きさとしては、膨張したときの円筒部分の
外径が、12〜17mm、好ましくは15〜16mmで
ある。また、バルーン3の長さは、180〜300m
m、また、バルーンの容量は、20〜40mlが好適で
ある。また、小児用の場合には、バルーン3の大きさと
しては、膨張したときの円筒部分の外径が、4〜12m
m、好ましくは4〜10mmである。また、バルーン3
の長さは、60〜200mm、バルーンの容量は、1〜
10mlが好適である。
【0050】血流調整部材30は、後端側が開口し、先
端側に突出した血液流入空間を形成する折り畳み、およ
び拡張可能な血液不透過性材料よりなる逆止弁4と、逆
止弁4の拡張および折り畳みを行う弁開閉部材とを有す
る。具体的には、図8および図9に示すように、内部に
流体流入ルーメン14を有する本体チューブ31と、本
体チューブ31を挿通する拡張および収縮または折り畳
み可能であり、拡張した状態にて動脈内壁にほぼ密着す
る中空環状部材37と、一端が本体チューブ31に取り
付けられ、本体チューブ31のルーメン14と連通し、
他端が本体チューブ31の後端側に延び、中空環状部材
37に取り付けられ、中空環状部材内部37と連通する
複数の中空環状部材拡張用チューブ38と、中空環状部
材拡張用チューブ38に沿って設けられた複数の弾性部
材39aと複数の弾性部材39aの先端部に設けられた
弾性部材固定部39bとからなる弁保持部39と、弁保
持部39に固定された折り畳みおよび拡張可能な弁部材
35とからなり、弁保持部39の弾性部材39aは、中
空環状部材37が拡張していない状態では、本体チュー
ブ31に近接し弁部材35を折り畳んだ状態とし、中空
環状部材37が拡張されることにより、弾性部材39a
の他端が本体チューブ31より離間し、弁部材35を拡
張させるものである。弁部材35により逆止弁が形成さ
れ、その他の弁保持部材、弾性部材、拡張用チューブ、
中空環状部材により弁の開閉機構が形成されている。そ
して、本体チューブ31は、後端部にコネクタ67を有
している。
【0051】本体チューブ31は、内部に流体流入ルー
メン14を有するチューブ体であり、弁保持部39の先
端側の固定部を形成し、本発明の血流調整部材30の基
本骨格を形成している。本体チューブ31としては、可
撓性チューブ、例えば、軟質塩化ビニル樹脂、ポリオレ
フィンエラストマー(例えば、ポリエチレンエラストマ
ー、ポリプロピレンエラストマー、エチレン−プロピレ
ン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロ
ピレンとポリブテンの混合物など)、ポリアミドエラス
トマー、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラ
ストマーなどの可撓性合成樹脂チューブ、シリコンゴ
ム、ラテックスゴムなどのゴム製チューブが好適に使用
される。そして、本体チューブ31の長さとしては、1
00〜800mm程度が好適である。
【0052】中空環状部材37は、本体チューブ31を
挿通し、拡張および収縮または折り畳み可能であり、拡
張した状態にて動脈内壁にほぼ密着することが好まし
い。密着すれば、使用時の移動を防止できる。中空環状
部材37は、その内部が、中空環状部材拡張用チューブ
38によって、本体チューブ31のルーメン14と連通
しており、本体チューブ31のルーメン14に流入され
た流体により、中空環状部材は拡張する。中空環状部材
37としては、伸縮性材料により形成し、流体の流入に
より伸張することにより拡張するもの、また、ほとんど
伸縮性のない材料により形成し、流体の流入により予め
形成された形状に拡張するもののいずれであってもよ
い。好ましくは、ある程度の伸縮性を有する材料により
形成することである。このような材料で形成することに
より、動脈内壁への密着がより確実なものとなり、内壁
に損傷を与えることも少ない。また、中空環状部材は、
動脈の内径よりやや小さくてもよい。環状部材と動脈の
間にわずかな間隙があっても、流れる血液量は極わずか
であり特に問題とならない、また、環状部材が動脈の内
径より小さくても、逆止弁が拡張することにより、動脈
内壁に密着するものであれば、逆止弁よりその上流側に
血液が流れることを阻止できる。
【0053】中空環状部材37の拡張時の外径として
は、10〜30mm程度であることが好ましい。伸縮性
材料としては、ポリオレフィンエラストマー(例えば、
ポリエチレンエラストマー、ポリプロピレンエラストマ
ー、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体、ポリプロピレンとポリブテンの混合物な
ど)、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラスト
マー、ポリウレタンエラストマーなどの伸縮性合成樹
脂、シリコンゴム、ラテックスゴムなどのゴムが好適に
使用できる。また、伸縮性の低い材料としては、例え
ば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピ
レン共重合体などのポリオレフィン、ポリエチレンテレ
フタレートなどのポリエステル、ポリ塩化ビニル、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体、架橋型エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体、ポリウレタン、ポリフェニレンサルファイ
ドなどの熱可塑性樹脂が好適である。
【0054】中空環状部材拡張用チューブ38は、本体
チューブ31の先端部に、図9に示すように、枝分かれ
するように、取り付けられている。そして、チューブ3
8の内部に設けられたルーメン36は、本体チューブ3
1のルーメン14と連通している。そして、他端が本体
チューブ31の後端側に延び、中空環状部材37に取り
付けられ、かつその内部と連通している。そして、この
拡張用チューブ38は、複数設けられることが好まし
く、2〜8本程度が好適であり、特に3〜6本が好適で
ある。
【0055】そして、弁保持部39は、中空環状部材拡
張用チューブ38に沿って設けられた複数の弾性部材3
9aと複数の弾性部材39aの先端部に設けられた弾性
部材固定部39bとを有している。弾性部材39aは、
通常状態では、図8に示すように、ほぼ本体チューブと
平行に、かつ近接した状態となっている。そして、ルー
メン14内を通過して流入した流体により、中空環状部
材拡張用チューブ38および中空環状部材37内が満た
され、さらに中空環状部材37が拡張することにより、
図9に示すように、弾性部材39aが中空環状部材37
に押されて、その他端部が広がり本体チューブ31より
離間する。固定部39bの先端部は、挿入時に血管壁な
どに損傷を与えないように丸みを帯びた形状となってい
る。
【0056】弾性部材39aは、ある程度の弾性と剛性
を有する合成樹脂、例えば、ポリカーボネート、ポリス
チレン、ポリアミドなどにより全体が形、ピアノ鋼、ス
テンレス鋼などにより全体が形成されたもの、固定部3
9bを合成樹脂により形成し、弾性部材39aをピアノ
鋼、ステンレス鋼などにより形成したものなどが考えら
れる。弁保持部39の長さ、言い換えれば、弾性部材3
9aの長さとしては、25〜70mm程度が好適であ
る。弁保持部39は、複数、例えば、2〜8本程度、好
ましくは、3〜6本の弾性部材39aで形成されている
ことが好ましく、さらに、中空環状部材拡張用チューブ
38は、弁保持部39の弾性部材39aの内面に固着さ
れていることが好ましい。このようにすることにより、
弾性部材39aは、中空環状部材37の拡張時に、中空
環状部材37および拡張用チューブ38の両者より力を
受けるので、その変形が容易なものとなり、後述する弁
部材35の拡張も確実なものとなる。
【0057】そして、図8に示すように、弁保持部39
の中間部より先端側には、弁部材35が、折り畳まれた
状態にて、固定されている。弁保持部39は、上述のよ
うに、中空環状部材37が拡張することにより変形し、
弁部材35を拡張させる。これにより弁部材35は、本
体チューブ31の後端側が開口し、本体チューブ31の
先端側に突出した捕捉空間を形成する。弁部材35は、
弾性部材39aに固定されており、さらに、弁部材35
を完全に広げたとき断面がほぼ円状となるように形成さ
れている。このため、中空環状部材37が拡張し、動脈
内壁に密着した状態となっても、弁部材35は、各弾性
部材39a間にゆとりをもった状態となっていることも
ある。
【0058】そして、この血流調整部材30では、動脈
血が弁部材35の後端側から先端側に流れるときのみ、
その血流により弁部材35の後端側またはその付近の部
分が、血管内壁にほぼ密着する。このため、逆止弁は端
部の全周が環状部材には固定されておらず、チューブ3
8が設けられている部分にて、環状部材と固定されてお
り、チューブ38と他のチューブ38の間の部分では、
逆止弁は環状部材に固定されていない。このため、逆止
弁の先端側の圧力(血圧)が基端側の圧力(血圧)より
高い場合には、逆止弁は内方に変形し、血液の流通を許
容する。逆に、逆止弁の基端側の圧力(血圧)が先端側
の圧力(血圧)より高い場合には、逆止弁は、血圧に押
されて膨らみ、円錐状となりその環状端部またはその付
近が動脈内壁に密着あるいは近接し血液の流通を遮断あ
るいは阻害する。弁部材35は、上記のような機能を発
揮するために、図9に示すように、ほぼ円錐形に形成さ
れている。
【0059】弁部材35としては、血液不透過性材料の
薄膜が使用でき、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、エチレン−プロピレン共重合体などのポリオレフィ
ン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、
ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、架橋
型エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタンなどの
熱可塑性樹脂、ポリアミドエラストマー、シリコーンゴ
ム、ラテックスゴム等の薄膜が使用できる。また、逆止
弁の外径(環状部材の外径)は、ポンピング用バルーン
の外径より1〜5mm程度大きいことが好適である。
【0060】さらに、本発明の血液補助循環装置は、上
述した血液補助循環装置40と同様に、抗凝固剤を用い
る事なく血液循環ができることが好ましい。このため
に、血液補助循環回路中の血液接触面、特に、人工肺7
8、血液チューブ74,75、送血カテーテル11、脱
血カテーテル12、大動脈内用バルーンカテーテル2
0、血流調整部材30の血液接触面に抗血栓性材料を固
定することが好ましい。その他については、上述した実
施例の血液補助循環装置40と同じである。
【0061】
【作用】本発明の血液補助循環装置の作用を、図4,図
5,図10〜図14を用いて説明する。まず、図10に
示すように、逆止弁4が閉じた状態の大動脈内用バルー
ンカテーテル1を大動脈内に挿入し、制御装置50と接
続する。そして、脱血カテーテル11を大腿静脈より挿
入し、右心房付近に留置させる。さらに、送血カテーテ
ル12を大動脈内に挿入し、その血液流出口が大動脈内
用バルーンカテーテル1の逆止弁4よりも、下流側とな
る位置に留置する。そして、それぞれのカテーテル1
1,12をチューブ74,75に接続する。この状態に
て、制御装置50のスイッチパネル56に設けられた電
源スイッチ(図示せず)をオンにする。これにより、心
電計51より心電図波形が制御装置50の制御器55に
入力され、制御器50は心電図波形に基づき、バルーン
膨張開始信号(疑似T波信号)および収縮開始信号(疑
似P波信号)を算出する。また、表示器57には、大動
脈内圧センサ52および流量センサ53により検知され
たデータが表示される。
【0062】そして、図11のフローチャートに示すよ
うに、IABP・PCPS併用モードスイッチがオンさ
れると、あらかじめ記憶されているポンピング用バルー
ンの膨張圧に変更があるか(スイッチパネル56に設け
られているポンピング用バルーン膨張圧変更スイッチが
押され、テンキーより新たな設定圧が入力されたか)を
判断し、設定圧に変更があれば入力された設定圧を制御
器55が記憶するとともに表示器57に表示し、この設
定圧によりポンピング用バルーンの膨張を行う。そし
て、あらかじめ記憶されている逆止弁の膨張圧に変更が
あるか(スイッチパネル56に設けられている逆止弁膨
張圧変更スイッチが押され、テンキーより新たな設定圧
が入力されたか)を判断し、設定圧に変更があれば入力
された設定圧を制御器55が記憶するとともに表示器5
7に表示される。また、PCPS流量に変更があるか
(スイッチパネル56に設けられているPCPS流量変
更スイッチが押され、テンキーより新たな流量が入力さ
れたか)を判断し、流量に変更があれば入力された流量
を制御器55が記憶するとともに表示器57に表示し、
これら設定圧および設定流量にて後述する血液補助循環
が行われる。
【0063】そして、スイッチパネル56にあるIAB
Pスタートスイッチがオンされると、ポンプ59が作動
し、制御器55は、ポンピング用バルーン3の膨張・収
縮を反復して行うように制御弁60を制御する。そし
て、このIABPスタートスイッチがオンされたのみで
は、逆止弁は膨張しない。そして、PCPSスタートス
タートがオンされると、制御器55は、制御弁61を制
御して、弁部材35を膨張させるとともに、モータード
ライバ54に信号を送り、この信号に対応したモーター
駆動信号がドライバ54よりポンプモーター73に送ら
れ、モーター73が回転し、この回転がポンプ72に伝
達され、脱血カテーテルより送血カテーテル側に血液が
送られる。血液は、脱血側チューブ74を通り、遠心ポ
ンプ72、人工肺78に送られ、この人工肺78にて血
液への酸素付加および二酸化炭素の除去が行われた後、
送血側チューブ75および送血カテーテル12を通り、
大動脈内用バルーンカテーテル1のバルーン3よりも、
下流側である逆止弁5付近に流入する。
【0064】そして、流入した血液は、逆止弁により、
大動脈の上流側(ポンピング用バルーン側)に実質的に
流れることが阻害され、大動脈の下流側、つまり、下肢
側に確実に流れる。ポンピング用バルーン(IABP)
による血液流とポンプ(PCPS)による血液流とは、
逆止弁において、区分され、両者の血液流がぶつかるこ
とも、混合することも実質的にない。このため、IAB
P法による、後負荷(血液拍出時の抵抗)の軽減、大動
脈圧を上昇させ冠血流量を増加できるという効果を保持
し、さらに、PCPS法による、前負荷(心臓に戻る血
流圧)の軽減、体外循環血流量の維持(増加)という効
果も保持でき、両者の利点をそのまま備えた血液補助循
環を行うことができる。さらに、心臓が回復してくる
と、動脈圧が上がり、拍出された血液が逆止弁を越えて
下肢側にリークするので、循環動態の急激な変化がおさ
えられる。
【0065】そして、ポンピング用バルーン、逆止弁、
遠心ポンプの作動中、異常がないか判断する。異常は例
えば、大動脈内圧の低下、血流の低下、制御器のエラー
等を判断する。異常があると判断した場合には、アラー
ムが鳴動し、異常処理を行う。そして、患者の回復状態
を考慮して、PCPSスタートスイッチをオフすること
により、逆止弁および遠心ポンプの作動が停止する。な
お、PCPSスタートスイッチがオフされると、制御器
は、徐々に遠心ポンプによる血液量を低下させるととも
に、逆止弁を収縮させた状態とする心機能回復確認機能
を備えている。これにより、逆止弁を収縮させて、ポン
プ流量が低下すると、それにともない心臓からの脱血も
少なくなるため、前負荷が増加する。もし心機能が回復
していれば、この負荷に打ち勝って拍出できるため、上
肢の動脈圧は維持され、生体の血液循環動態は維持され
る。もし、心機能が回復していないと、拍出能力が低い
ため、上肢の動脈圧は低下し、PCPS補助を終了でき
る時期でないことがわかる。このために、制御器は、心
機能回復確認機能を備えており、PCPSスタートスイ
ッチがオフされると、心機能回復確認モードとなり、上
記のように徐々に遠心ポンプによる血液量を低下させる
とともに、逆止弁を収縮させた状態として、大動脈圧を
確認し、変化がない場合(回復している場合)には、遠
心ポンプの作動を完全に停止する。また、大動脈圧が低
下した場合には、自動的にPCPSスタートスイッチが
オンとなり、遠心ポンプ駆動用モータが作動し、かつ逆
止弁も拡張する。
【0066】そして、制御器の心機能回復確認機能によ
り回復が確認され、遠心ポンプの作動が停止した状態に
て、図9のAに示すように、バルーン3は作動を継続す
る。そして、スイッチパネル56にある自動作動頻度制
御スイッチがオンされることにより、制御装置50は、
心拍数に対するバルーン作動頻度を、1:1より徐々に
少なくし、8:1まで減少させる。なお、上記の各スイ
ッチがオンされることにより、それぞれのモードにて
(言い換えれば、モード変更時に)、上述と同様に心機
能回復確認機能が作動し、大動脈圧を確認し、変化がな
い場合(回復している場合)には、選択されたモードを
継続する。また、大動脈圧が低下した場合には、自動的
に以前のモードに復帰する。例えば、自動作動頻度制御
スイッチがオンされたときに、大動脈圧を確認し、変化
がない場合(回復している場合)には、作動頻度制御モ
ードを継続し、また、大動脈圧が低下した場合には、自
動的にバルーン3による通常の補助モードに復帰する。
そして、IABPスタートスイッチがオフされることに
より、ポンピング用バルーンの作動が停止し、血流補助
循環作業を終了し、患者よりバルーンカテーテル1、脱
血カテーテル11、送血カテーテル12を抜去して、手
技を終了する。
【0067】また、図11における併用モードスイッチ
がオンされない場合は、図13のに移行し、IABP
単独モードスイッチがオンされるとIABP単独モード
に移行する。この場合にも、図13のフローチャートに
示すように、ポンピング用バルーンの膨張圧に変更があ
るかを判断し、設定圧に変更があれば入力された設定圧
を制御器55が記憶するとともに表示器57に表示され
る。そして、IABPスタートスイッチがオンされる
と、IABP単独モードに移行し、ポンピング用バルー
ンが作動を開始する。そして、作動中上述したように異
常があるかどうかを判断し、異常がある場合は、アラー
ムが鳴動する。また、併用モードスイッチがオンされる
と、流量設定値に変更がないか判断し、変更がある場合
には、変更された設定値を記憶し、併用モードとなる。
また、この併用モードスイッチがオンされることなく、
作動頻度制御スイッチがオンされると、上述した作動頻
度制御モードに移行する。そして、IABPスタートス
イッチをオフすることにより、ポンピング用バルーンの
作動が停止し、血流補助循環作業を終了し、患者よりバ
ルーンカテーテル1、脱血カテーテル11、送血カテー
テル12を抜去して、手技を終了する。また、IABP
単独モード進行状態中にPCPSモードスイッチおよび
PCPSスタートスイッチがオンされると、逆止弁が膨
張し、ポンプが作動し併用モードに移行する。なお、そ
れぞれのスイッチがオンされたとき、言い換えればモー
ドが変更されるときには、上述した心機能回復確認が行
われる。
【0068】また、併用モードスイッチおよびIABP
単独モードスイッチがオンされることなく、PCPS単
独モードスイッチがオンされると、図14のに示すよ
うに、PCPS単独モードに移行する。PCPS単独モ
ードに移行すると、併用モードにて説明したように、P
CPS流量に変更があるかを判断し、流量に変更があれ
ば入力された流量を制御器55が記憶するとともに表示
器57に表示し、これら設定圧および設定流量にて後述
する血液補助循環が行われる。そして、PCPSスター
トスイッチがオンされると、モータが作動し、PCPS
による補助循環が開始される。そして、モータの作動中
に、IABP・PCPS併用モードスイッチがオンされ
ると、図14に示すように、モータが停止し、図14お
よび図11に示すに移行し、併用モードとなる。ま
た、IABP単独モードスイッチがオンされると、モー
タが停止するとともに、図14および図13のに示す
ように、IABP単独モードに移行する。また、PCP
S単独モードにおいてモータ作動中は、上述したように
異常があるかどうかを判断し、異常がある場合は、アラ
ームが鳴動する。そして、患者の回復により、モータの
停止を考える場合には、PCPSスタートスイッチをオ
フすることにより、モータが停止し、血流補助循環作業
を終了し、患者より、脱血カテーテル11、送血カテー
テル12を抜去して、手技を終了する。なお、それぞれ
のスイッチがオンされたときであって、補助を少なくす
るモードに移行するときは、言い換えれば補助低下モー
ドへの変更時には、上述した心機能回復確認が行われ
る。
【0069】
【発明の効果】本発明の大動脈内用バルーンカテーテル
は、カテーテル本体と、該カテーテル本体の先端部付近
に設けられたポンピング用バルーンと、該ポンピング用
バルーンよりカテーテル本体の基端側に設けられ、前記
バルーン側からのカテーテル本体の基端側への血液の流
通を許容し、かつ該カテーテル本体の基端側から先端側
への血液の流通を実質的に遮断する逆止弁とを有する。
このため、ポンピング用バルーンの作動による血液が送
血カテーテルの基端側に流れることを確実に抑制できる
とともに、カテーテルの基端側から別の血液流が、逆止
弁を越えてバルーンカテーテルの先端側に流れることを
抑制する。
【0070】また、本発明の第1の血液補助循環装置
は、上記の大動脈内用バルーンカテーテルと、大静脈内
に挿入される脱血カテーテルと、大静脈内に挿入される
脱血カテーテルと、前記大動脈内用バルーンカテーテル
の逆止弁より大動脈内の下流側に送血口が位置するよう
に挿入される送血カテーテルと、脱血カテーテル側より
送血カテーテル側に血液を送血する送血手段と、補助循
環制御装置とを備えている。また、本発明の第2の血液
補助循環装置は、大動脈内用バルーンカテーテルと、大
静脈内に挿入される脱血カテーテルと、前記大動脈内用
バルーンカテーテルのバルーンより大動脈内の下流側に
送血口が位置するように挿入される送血カテーテルと、
脱血カテーテル側より送血カテーテル側に血液を送血す
る送血手段と、前記大動脈内用バルーンカテーテルのバ
ルーンと前記送血カテーテルの送血口との間となる位置
に配置され、前記バルーン側からの血液の流通を許容
し、前記送血カテーテルの送血口側からの血液の流通を
実質的に遮断する逆止弁を有する血流調整部材と、補助
循環制御装置とを備えている。
【0071】このため、これら血液補助循環装置では、
逆止弁により、ポンプ(PCPS)による血液流は、ポ
ンピング用バルーン(IABP)による血液流とぶつか
ることも、混合することも実質的にない。このため、I
ABP法による、後負荷(血液拍出時の抵抗)の軽減、
大動脈圧を上昇させ冠血流量を増加できるという効果を
保持し、さらに、PCPS法による、前負荷(心臓に戻
る血流圧)の軽減、体外循環血流量の維持(増加)とい
う効果も保持でき、両者の利点をそのまま備えた血液補
助循環を行うことができる。また、逆止弁は、心臓の血
液拍時の血圧、PCPSによる血圧より高い場合に開放
し、心臓側からの血液の流通を許容するので、この点に
おいても、後負荷が少なく心臓に対する負担が少ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の大動脈内用バルーンカテーテ
ルの一実施例の側面図である。
【図2】図2は、図1のA−A線断面図である。
【図3】図3は、本発明の大動脈内用バルーンカテーテ
ルの一実施例の先端部の拡大断面図である。
【図4】図4は、本発明の血液補助循環装置の一実施例
の概略図である。
【図5】図5は、本発明の血液補助循環装置に使用され
る補助循環制御装置の一例のブロック図である。
【図6】図6は、本発明の他の実施例の血液補助循環装
置の概略図である。
【図7】図7は、本発明の血液補助循環装置に使用され
る補助循環制御装置の一例のブロック図である。
【図8】図8は、本発明の血液補助循環装置に使用され
る血流調整部材の一例の逆止弁が収縮している断面図で
ある。
【図9】図9は、本発明の血液補助循環装置に使用され
る血流調整部材の一例の逆止弁が膨張した状態の外観図
である。
【図10】図10は、本発明の血液補助循環装置の作用
を説明するための説明図である。
【図11】図11は、本発明の血液補助循環装置の作用
を説明するためのフローチャートである。
【図12】図12は、本発明の血液補助循環装置の作用
を説明するためのフローチャートである。
【図13】図13は、本発明の血液補助循環装置の作用
を説明するためのフローチャートである。
【図14】図14は、本発明の血液補助循環装置の作用
を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
1 大動脈内用バルーンカテーテル 2 カテーテル本体 3 ポンピング用バルーン(第1のバルーン) 4 逆止弁 11 脱血カテーテル 12 送血カテーテル 13 第1のルーメン 14 第2のルーメン 20 大動脈内用バルーンカテーテル 30 血流調整部材 40 血液補助循環装置 50 補助循環制御装置 55 制御器 58 ポンプ手段 51 心電計 52 大動脈圧センサ 53 流量センサ(血流センサ) 54 モータードライバ 56 スイッチパネル 57 表示器 59 圧力発生ポンプ(バルーン膨張収縮用ポンプ) 60 ポンピング用バルーン駆動用制御弁 61 逆止弁駆動用制御弁 70 血液補助循環装置 71 送血手段 72 定圧ポンプ 73 ポンプ用モーター 74 脱血カテーテル側血液チューブ 75 脱血カテーテル側血液チューブ 78 人工肺
フロントページの続き (72)発明者 野川 淳彦 神奈川県足柄上郡中井町井ノ口1500番地 テルモ株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カテーテル本体と、該カテーテル本体の
    先端部付近に設けられたポンピング用バルーンと、該ポ
    ンピング用バルーンよりカテーテル本体の基端側に設け
    られ、前記バルーン側の圧力が前記カテーテル本体の圧
    以上となったときに、前記バルーン側からのカテーテル
    本体の基端側への血液の流通を許容し、かつ該カテーテ
    ル本体の基端側から先端側への血液の流通を実質的に遮
    断する逆止弁とを有することを特徴とする大動脈内用バ
    ルーンカテーテル。
  2. 【請求項2】 前記大動脈内用バルーンカテーテルの前
    記逆止弁は、開閉可能であり、かつ前記バルーンカテー
    テルは、該逆止弁の開閉機構を有している請求項1に記
    載の大動脈内用バルーンカテーテル。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2の大動脈内用バ
    ルーンカテーテルと、大静脈内に挿入される脱血カテー
    テルと、前記大動脈内用バルーンカテーテルの逆止弁よ
    り大動脈内の下流側に送血口が位置するように挿入され
    る送血カテーテルと、脱血カテーテル側より送血カテー
    テル側に血液を送血する送血手段と、補助循環制御装置
    とを備えることを特徴とする血液補助循環装置。
  4. 【請求項4】 大動脈内用バルーンカテーテルと、大静
    脈内に挿入される脱血カテーテルと、前記大動脈内用バ
    ルーンカテーテルのバルーンより大動脈内の下流側に送
    血口が位置するように挿入される送血カテーテルと、脱
    血カテーテル側より送血カテーテル側に血液を送血する
    送血手段と、前記バルーンカテーテルのバルーンと前記
    送血カテーテルの送血口との間となる位置に配置され、
    前記バルーン側の圧力が前記カテーテル本体の圧以上と
    なったときに、前記バルーン側からの血液の流通を許容
    し、前記バルーン側への血液の流通を実質的に遮断する
    逆止弁を有する血流調整部材と、補助循環制御装置とを
    備えることを特徴とする血液補助循環装置。
  5. 【請求項5】 前記血液調整部材の前記逆止弁は、開閉
    可能であり、かつ前記血流調整部材は、該逆止弁の開閉
    機構を有している請求項4に記載の血液補助循環装置。
JP6087692A 1994-03-31 1994-03-31 大動脈内用バルーンカテーテルおよび血液補助循環装置 Pending JPH07265409A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016002347A (ja) * 2014-06-18 2016-01-12 日本ゼオン株式会社 Iabp駆動装置

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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