JPH0725955U - サイクロン集塵装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 軟化溶融域まで加熱された石炭粉を含む気体
の集塵用サイクロンにおいて、サイクロンの内壁に付着
する溶融した石炭をバインダーとする集塵粉の付着成長
を抑制することのできるサイクロン集塵装置を提供す
る。 【構成】 軟化溶融域まで加熱された石炭粉を含む気体
の集塵用サイクロンにおいて、該サイクロンの軸線上に
回転軸に設け、該回転軸より半径方向に支軸を設け、該
支軸の先端部にサイクロンの円錐部内壁面と一定の間隙
を隔てて平行に旋回掻き羽根を取り付けてなることを特
徴とするサイクロン集塵装置により達成される。 【効果】 従来の耐熱、耐摩耗に加えて、付着性集塵粉
の一定厚さ以上の付着成長を抑制でき、サイクロン集塵
装置を連続して安定的に運転できる。一定の付着粉によ
り、サイクロン内張ライニング材の保護を行うことがで
きる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、新規なサイクロン集塵装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

含じん気体に旋回運動を与えると、粒子に重力加速度の数百倍以上の遠心加速 度を与えることができるので、数μｍの粒子までも分離が可能となる。かかる遠 心力を利用した集塵機として、現在広く実用化されている唯一の形式はサイクロ ンであり、該サイクロンの標準的な形状としては、以下の図面に示す接線流入形 式のものが用いられている。

【０００３】 図２（ａ）は、従来のサイクロン集塵装置の軸線方向に沿った断面図であり、 図２（ｂ）は、図２（ａ）のサイクロン集塵装置の平面図を示す。

【０００４】 図２（ａ）および（ｂ）より、従来のサイクロン集塵装置２１においては、サ イクロン本体としてじょうご形の外筒容器２を設け、該外筒容器２の上部に設け られた吹込口３より、粉粒体を含む気体を接線方向に吹き込むことで、サイクロ ン内部に激しい旋回流を発生させ、密度の大きい固体成分を遠心力によって内壁 付近に集め、該サイクロン内壁に沿って沈下させて下端の粉粒体出口４より排出 する一方、気体成分のみは、反転気流による巻上流を利用して、中央上部に設け られた内筒５の一端の気体出口６から排出されている。

【０００５】 しかしながら、石炭加熱温度を軟化溶融域まで上昇させる石炭事前処理設備に おいて、その排ガスをサイクロンを用いて集塵させる場合、上述のような形状の サイクロンを用いると該サイクロンの内壁に軟化溶融した石炭粉が付着成長し、 最終的には、サイクロンの旋回流れに影響を及ぼすと共に、下端の粉粒体出口４ を閉塞させる等の問題を生じる。

【０００６】 通常、こうしたサイクロンの内壁面付着物の除去方法としては、該サイクロン の容器に振動機を設け、サイクロンを振動させることにより該付着物を振るい落 とす方法が取られているが、軟化溶融した石炭粉においては、その付着力が比較 的大きいためにサイクロンに外部より振動を与えた程度では、これら付着物を振 るい落とすことはできないものであった。

【０００７】 また、石炭事前処理設備におけるサイクロンでは、該サイクロンの内壁面に、 耐熱性や耐摩耗性を目的としたセラミックやバサルトによるライニングが行われ ているが、こうしたライニング材自身によって、３００〜５００℃で軟化した石 炭をバインダーとする集塵粉の付着を抑制する効果は少ないものである。

【０００８】 さらに、上記集塵粉の付着対策としては、集塵粉に同伴された水分やタール分 などの凝縮抑制のため、サイクロン全体をスチームトレースする対策の実施例は ある。

【０００９】 しかしながら、上記付着対策においては、サイクロン全体を常時スチームトレ ースする必要があることから、これに要する設備およびコストが大きく広く実用 化するには至らないものである。

【００１０】 したがって、今日、石炭事前処理設備におけるサイクロンでは、定期的に石炭 事前処理設備全体を停止し、サイクロンの内壁に付着した石炭粉を除去する作業 を行っており、かかる石炭事前処理設備の連続操業化のために解決すべき大きな 課題事項となっているのが現状である。

【００１１】

【考案が解決しようとする課題】

したがって、本考案の目的は、新規なサイクロン集塵装置を提供するものであ る。

【００１２】 さらに本考案の他の目的は、軟化溶融域まで加熱された石炭粉を含む気体の集 塵用サイクロンにおいて、サイクロンの内壁に付着する溶融した石炭をバインダ ーとする集塵粉の付着成長を抑制することのできるサイクロン集塵装置を提供す るものである。

【００１３】 さらに本考案の他の目的は、軟化溶融域まで加熱された石炭粉を含む気体の集 塵用サイクロンにおいて、連続的に操業することのできるサイクロン集塵装置を 提供するものである。

【００１４】

【課題を解決するための手段】

本考案者は、上記目的を達成するために、新規なサイクロン集塵装置について 、旋回流の遠心力場への影響あるいは圧力損失の増加による分離性能の低下から 従来なんら開発が成されていなかったサイクロンの内部への新たな装置の設置に より集塵物の付着抑制を可能とする構造について鋭意研究した結果、サイクロン 内の気流は、複雑な３次元運動をしているが、分離性能に影響するのは接線方向 速度であることに着目し、かかる接線方向速度を低下させることなく接線方向に 極めて薄い部材断面を有する旋回掻き羽根を、サイクロン内の集塵物を掻き落と す部材として、サイクロンの内壁より一定の間隔を隔てて設け、これを旋回させ ることにより、該羽根と内壁面間の間隙以上の厚さの集塵粉の付着を抑制できる ことを見出だし、これによりサイクロン本来の分離性能および捕集性能を損なう ことなく極めて効果的にサイクロン内部の集塵物を除去できるできることを知り 、この知見に基づき本考案を完成するに至ったものである。

【００１５】 すなわち、本考案の目的は、軟化溶融域まで加熱された石炭粉を含む気体の集 塵用サイクロンにおいて、該サイクロンの軸線上に回転軸を設け、該回転軸より 円周方向に支軸を設け、該支軸の先端部にサイクロンの円錐部内壁面と一定の間 隙を隔てて平行に旋回掻き羽根を取り付けてなることを特徴とするサイクロン集 塵装置により達成される。

【００１６】

【作用】 本考案のサイクロン集塵装置においては、サイクロン内部に旋回掻き羽根を円 錐部内壁面と一定の間隙を隔てて設けることにより、高温状態の使用によるサイ クロン本体および羽根部材の偏心や熱変形等に対する十分な許容差を得ることが でき、該旋回掻き羽根を旋回させることにより、上記間隔以上に堆積成長した集 塵物である溶融した石炭粉同士の付着力以上の剪断力を発生することにより、容 易に掻き落とすことができ、さらに、上記間隔の厚さで付着された集塵粉は、上 記旋回掻き羽根による剪断力を受けないため、見掛上、一定厚みの保護層を形成 し得るものであり、これにより錐部内壁のライニング保護の役割を果たすもので ある。

【００１７】

【実施例】

以下、本考案の実施例について実施態様に基づき、より詳細に説明する。

【００１８】 図１（ａ）は、本考案のサイクロン集塵装置の一実施態様として軟化溶融域ま で加熱された石炭粉を含む気体の集塵用サイクロンにおいて、該サイクロンの内 部に旋回掻き羽根を取り付けてなるサイクロン集塵装置の軸線方向に沿った断面 図を示す。また、図１（ｂ）は、図１（ａ）のサイクロン集塵装置の平面図を示 す。

【００１９】 図１（ａ）および（ｂ）より、本考案のサイクロン集塵装置１としては、サイ クロン本体としてじょうご形の外筒容器２を設置し、該外筒容器２の上部には粉 粒体を含む気体を接線方向に吹き込むための吹込口３を、また該外筒容器２の下 端には粉粒体出口４を、さらに該外筒容器２の中央上部には、内筒５をそれぞれ 設け、該内筒５の一端を気体出口６としている。なお、内筒５の他端は集塵機経 由で大気解放してもよいが、好ましくは系外の熱交換装置等の設備に連設され、 加熱された気体の有効利用が図られていることが望ましい。さらに、該サイクロ ン集塵装置１の軸線上には回転軸部材７を設け、該回転軸部材７の径方向外方に 支軸部材８を設け、該支軸部材８の先端部に外筒容器２の円錐部９の内壁面１０ と一定の間隙Ａを隔てて旋回掻き羽根１１を取付けてなるものである。また、上 記回転軸部材７の上端部は、外筒容器２の上方のモータ１２に減速機１３を介し て連設されている。そして上記回転軸部材７が外筒容器２の内筒５を貫通する部 分には、シール部材１４が周設されており、内筒５を通って系外の熱交換設備に 送られる気体が大気中に漏洩しないようにされている。

【００２０】 また、本考案において特徴のある部分の上記回転軸部材７への支軸部材８の設 置箇所、設置数量、材質、形状ならびに該支軸部材７に取り付けられる旋回掻き 羽根１１の数量、形状、大きさ、厚み、材質等に関しては、特に制限されるもの でないが、軟化溶融域まで加熱された石炭粉を含む気体の集塵用サイクロンであ ることから、材質においては、セラミックやバサルト等の耐熱性や耐摩耗性を有 するものが望まれ、また支軸部材８や旋回掻き羽根１１の表面は、石炭粉が付着 し難い滑らかな表面であることが望ましく、また支軸部材８の形状および大きさ においては、支持強度が許すかぎり細く抵抗の少ない軸断面が円または楕円形状 などのものが望ましく、旋回掻き羽根１１の形状および大きさにおいては、接線 方向速度に対し影響を及ぼさないように接線方向の渦との衝突面（厚み）をでき るだけ小さく抵抗の少ない掻き方向背面に１０〜５０°のテーパーを有する掻き 板形状等を通常２枚（１８０°に配置）か、３枚（１２０°に配置）か、４枚（ ９０°に配置）用いて、分離性能に影響する接線方向速度を低下させることなく 該旋回掻き羽根１１の旋回により外筒容器２の内壁面１０全体に対応できる大き さ（面積および数量）となるように設計および選定されてなることが望ましいも のであるが、これらを具体的に決定する場合には、この他に接線方向に吹き込み 風量、石炭銘柄等により異なる粉塵の種類、性状、外筒容器２の形状、内壁面１ ０の材質や粗さなどの一般的なサイクロンにおける設計および選定によっても分 離性能および捕集性能は異なってくるため、これらを十分勘案した上で決定する ことが望ましい。

【００２１】 また、上記旋回掻き羽根１１の旋回方向については、接線方向速度に対し影響 を及ぼさないものであれば、含じん気流吹き込みによる旋回流と同方向であって も逆方向であってもよく、また旋回速度についても、接線方向速度に対し影響を 及ぼさないものであればいかなる旋回速度であってもよく、旋回流の接線方向速 度の変動、石炭種や気体温度の変化等により旋回速度を変更する必要がある場合 などにも対応できるように、これらの旋回速度を調節できる減速機１３を設けて なることが望ましい。

【００２２】 さらに上記旋回掻き羽根１１と内壁面との間隔Ａの大きさとしては、高温状態 の使用によるサイクロン本体の外筒容器２や旋回掻き羽根１１の偏心や熱変形等 に対する適正な許容差ならびに間隔Ａの厚さで付着された集塵粉が見掛上、一定 厚みの保護層を形成し、円錐部９の内壁面１０のライニング保護の役割を果たす のに必要な厚さを有していればよく、通常１０μｍ〜３０ｍｍの範囲である。

【００２３】 なお、石炭粉をライニング保護の役割で用いる場合には、外筒容器２の内壁面 １０の部材に該溶融石炭粉に対する耐腐食性を有する部材を用い、該内壁面１０ も積極的に粗くする等して石炭粉の付着を誘発するようなものを用いることもで きる。

【００２４】 次に、上記構成を有する本実施例のサイクロン集塵装置１を用いて、本考案の 目的を達成するための動作を詳述する。

【００２５】 図１（ａ）および（ｂ）より、本考案のサイクロン集塵装置１においては、じ ょうご形の外筒容器２の上部に設けられた吹込口３より、軟化溶融域まで加熱さ れた石炭粉を含む気体を接線方向に吹き込むことで、サイクロン集塵装置１内部 に激しい旋回流を発生させ、密度の大きい固体成分たる石炭粉を遠心力によって 円錐部９の内壁付近に集め、該サイクロン集塵装置１の外筒容器２の円錐部９の 内壁に沿って沈下させて下端の粉粒体出口４より排出する一方、気体成分と未捕 集微粉は、反転気流による巻上流を利用して、中央上部に設けられた内筒５によ る気体出口６から排出させるものである。こうしてサイクロン集塵装置１を運転 することにより、遠心力によって上記内壁付近に集められた溶融石炭粉の一部は 、内壁面１０との衝突などにより、そのまま該内壁に付着し、堆積成長していく 。かかる石炭粉の付着成長が、内壁面１０と旋回掻き羽根１１との間隔Ａに達し た時点で、連続的にモータ１２を動作させると共に、これに連設されてなる旋回 掻き羽根１１の回転速度が最適となるように減速機１３を調整して、旋回掻き羽 根１１を常時旋回させて、上記間隔Ａ以上に堆積成長してくる集塵粉を掻き落と す。ここで、一度掻き落とされた石炭粉は、その後上記外筒容器２の円錐部９の 内壁に沿って沈下される間に付着と旋回掻き羽根１１による剪断剥離を繰り返し ながら、最終的には下端の粉粒体出口４より排出されるものである。これにより サイクロン集塵装置１の外筒容器２の内壁に付着した石炭粉による弊害をなくす ことができるため、従来のようにサイクロン集塵装置を含む設備全体を停止して 、かかるサイクロン集塵装置の外筒容器２の内壁の清掃を行うような作業が必要 でなくなるために、極めて効率よく上記サイクロン集塵装置１を含む設備を連続 して運転できる。また、上記サイクロン集塵装置１の外筒容器２の内壁面１０を ライニング材により施工する必要性がなくなるなどの利点を有するものである。

【００２６】 なお、設備全体の運転を終了する場合には、終了後に該サイクロン集塵装置１ の内壁に一定厚みＡで付着している石炭粉の塊が冷却固化されるおそれがあり、 また、冷却の際の熱収縮による内壁部材と石炭粉の塊の収縮率の相違によりサイ クロンの外筒容器２に歪みを生じるおそれもある。また、再度設備を運転する際 には、内壁面１０と旋回掻き羽根１１との間隔Ａには固化された石炭粉が充填さ れているため、場合によっては、旋回掻き羽根１１の旋回に支障をきたすおそれ もあるなど好ましくないため、吹込口３よりサイクロン本体への気体の吹き込み を停止した後、旋回掻き羽根１１により内壁面１０に一定の厚みＡで付着してい る石炭粉の層を、該旋回掻き羽根１１を用いて掻き落とすことができるように、 回転軸部材７もしくはモータ１２自体が上下動できるような昇降機構を該サイク ロン本体の上方のモータ１２側に設けたものであってもよい。

【００２７】

【考案の効果】

本考案により、従来の耐熱、耐摩耗に加えて、付着性集塵粉の一定厚さ以上の 付着成長を抑制でき、サイクロン集塵装置を連続して安定的に運転できる。

【００２８】 一定の付着粉により、サイクロン内張ライニング材の保護を行うことができる 。

【図面の簡単な説明】

【図１】 図１（ａ）は、本考案のサイクロン集塵装置
の一実施態様として軟化溶融域まで加熱された石炭粉を
含む気体の集塵用サイクロンにおいて、該サイクロンの
内部に旋回掻き羽根を取り付けてなるサイクロン集塵装
置の軸線方向に沿った断面概略図を示す。また、図１
（ｂ）は、図１（ａ）のサイクロン集塵装置の平面概略
図を示す。

【図２】 図２（ａ）は、従来の代表的なサイクロン集
塵装置の軸線方向に沿った断面概略図であり、図２
（ｂ）は、図２（ａ）のサイクロン集塵装置の平面概略
図を示す。

【符号の説明】

１、２１…サイクロン集塵装置、 ２…外筒容器、
３…吹込口、 ４…粉粒体出
口、５…内筒、 ６…気体出
口、７…回転軸部材、 ８…支軸部
材、９…円錐部、 １０…内壁
面、１１…旋回掻き羽根、 １２…モー
タ、１３…減速機、 １４…シー
ル部材、Ａ…内壁面１０と旋回掻き羽根１１との間隙。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 軟化溶融域まで加熱された石炭粉を含む
   気体の集塵用サイクロンにおいて、該サイクロンの軸線
   上に回転軸を設け、該回転軸より半径方向に支軸を設
   け、該支軸の先端部にサイクロンの円錐部内壁面と一定
   の間隙を隔てて平行に旋回掻き羽根を取り付けてなるこ
   とを特徴とするサイクロン集塵装置。