JPH072589A - 醗酵産物とその製法 - Google Patents

醗酵産物とその製法

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JPH072589A
JPH072589A JP6066551A JP6655194A JPH072589A JP H072589 A JPH072589 A JP H072589A JP 6066551 A JP6066551 A JP 6066551A JP 6655194 A JP6655194 A JP 6655194A JP H072589 A JPH072589 A JP H072589A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】アルカリ環境下において生存可能な微生物を経
時的に変化する環境に対応して順次優先的に増殖させる
ことにより、反応生成物をアルカリ醗酵させて、保水性
と透水性に富み、かつ肥効性成分が緩効性の醗酵産物を
得る。 【構成】固液混合の腐敗性廃棄物と高活性な酸化カルシ
ウムを主成分とする添加材との反応生成物から成り、p
H値が12以上の高アルカリ環境下で生存する微生物を
含有し、この微生物が、pH11から12未満の間で増
殖を開始する第1のグループのバクテリアと、pH11
付近から9の間で良好に生育する第2のグループのバク
テリアと、pH9付近以下で良好に生育する第3のグル
ープのバクテリアとから成るバクテリア群と、糸状菌
と、90−A−1菌とから構成され、これら微生物が増
殖してpHが8前後に維持されている醗酵産物である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、腐敗性廃棄物の醗酵産
物とその製法に関し、一層詳しくは、腐敗性廃棄物の自
然腐敗を一旦停止させた後、耐久性状態にある特定微生
物によって所望の時期にアルカリ醗酵させて得られる醗
酵産物と、その製法に関するものである。
【0002】
【従来技術】家畜糞尿、上下水余剰汚泥その他の腐敗性
廃棄物(焼酎カス、動物血液等を含む)は、従来、その
腐敗性廃棄物中に生存する、腸内細菌群、例えば大腸
菌、エンテロバクターなどの微生物により、あるいは光
合成細菌や麹カビ等といった特定の添加微生物資材によ
って有機物を分解させることにより、堆肥または土壌改
良材として資材化される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これら従来の
醗酵による資材化は、往々にして醗酵という言葉を使用
するものの、実際には上記した微生物による有機物の単
なる分解、即ち自然腐敗に頼るものであるため、悪臭が
長期にわたって発生したり、あるいは腐敗性廃棄物中に
溶解している可溶性成分が流出し、また、堆肥化に長期
間を要するばかりでなく人的制御が難しく、更に二次腐
敗による資材劣化を生じるなどの点で問題を有する。
【0004】また、このようにして醗酵させて得られた
資材のうち堆肥は、土に混入したときに微生物によって
窒素が吸収される窒素飢餓や、逆に土壌富化の現象を起
こすことがある。土壌改良材と称するものも、保水性や
透水性あるいは肥効性成分を十分に確保することのでき
ないものが多く、病害抑制に対してはほとんど実効性が
ない。
【0005】本発明の目的は、上記した腐敗醗酵産物の
抱える種々の問題点を解消することにある。即ち、本発
明の目的は、腐敗性廃棄物を高熱と高アルカリ環境で殺
菌することにより腐敗進行を一旦停止させ、この環境下
で耐久性状態にあり、かつ高アルカリ状態で生育可能な
微生物を順次増殖させることにより得られるアルカリ醗
酵産物とその製法を提供することにある。また、本発明
の目的は、短時間でしかも人的制御が容易で、二次醗酵
のおそれのない醗酵産物とその製法を提供することにあ
る。また、本発明は、透水性や保水性に富み、肥効性成
分が緩効性で、しかもそのまま単独で培土としての利用
が可能な醗酵産物とその製法を提供することにある。更
に、本発明は、病害抑制に効果的な醗酵産物とその製法
を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る醗酵産物
は、固液混合の腐敗性廃棄物と高活性な酸化カルシウム
を主成分とする添加材との反応生成物から成り、pH値
が12以上の高アルカリ環境下で生存する微生物を含有
し、この微生物が、pH11から12未満の間で増殖を
開始する第1のグループのバクテリアと、pH11付近
から9の間で良好に生育する第2のグループのバクテリ
アと、pH9付近以下で良好に生育する第3のグループ
のバクテリアとから成るバクテリア群と、糸状菌と、9
0A1菌とから構成され、これら微生物が増殖してpH
が8前後に維持されている、点に特徴がある。
【0007】また、本発明に係る醗酵産物の製造法は、
腐敗性廃棄物に高活性な生石灰を主成分とする添加剤を
添加することにより急激な水和反応を生じさせ、この水
和反応の反応熱と高いアルカリ環境によるアルカリ殺菌
によって反応生成物の腐敗を停止させると共に、反応生
成物中に、pH11から12未満の間で増殖を開始する
第1のグループのバクテリアと、pH11付近から9の
間で良好に生育する第2のグループのバクテリアと、p
H9付近以下で良好に生育する第3のグループのバクテ
リアとから成るバクテリア群と、糸状菌と、90A1菌
とから構成される、検出可能で耐久性状態にあり、かつ
高アルカリ状態で生育可能な微生物を残し、適宜の時期
に水分と空気とを供給することにより、上記バクテリア
群を用いてpH値を継承的に下げ、pH値の下降に伴
い、反応生成物中に生存する耐久性状態にあった糸状菌
と90A1菌を増殖させ、これらの微生物の増殖によっ
て反応生成物をアルカリ醗酵させるようにした、点に特
徴がある。
【0008】本発明の原材料として用いられる腐敗性廃
棄物には、豚し尿(糞を含む)、鶏糞その他の家畜糞
尿、動物血液、上下水余剰汚泥、焼酎カス等の食品製造
工場から排出される腐敗性残渣などがある。例えば豚し
尿の場合には通常86.5%〜94.5%、乾燥鶏糞の
場合には通常15〜30%、上下水余剰汚泥の場合には
通常75〜97%、食品工場の腐敗性残渣の場合には通
常75〜95%の水分をそれぞれ含んでいるが、本発明
の原材料として用いるには水分を75〜97%の状態に
調整することが望ましい。
【0009】上記原材料には、高活性な酸化カルシウム
を主成分とする添加剤が添加されて混合攪拌される。具
体的には、上記した腐敗性の産業廃棄物100重量部に
対して所定の添加剤を5〜25重量部加え、両者を反応
させる。
【0010】高活性な添加剤は、次の条件を具備するも
のが望ましい。 酸化カルシウムの含有率が高く(望ましくは95%以
上)、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム及びその他の
物質の含有率が低いこと。尚、組成成分として酸化マグ
ネシウムが少量(例えば5%以下)含まれていても良
い。 多孔性を有し、表面積及び比表面積が広大で、細孔組
織が高度に発達していること。 水に少量を接触させたときに、優れた分散性、例えば
全方向に広く速やかに分散する性質を有すること。 水に中量を添加したときに、激しくかつ速やかに反応
して水蒸気を発生させること。 水に一定量を添加したときに充分に反応し、理論値に
近似した温度上昇が認められること。 更に必要によっては、水と接触後の消石灰を主成分と
するスラリーにおいて、沈降速度が小で、沈降現象が認
められないこと。
【0011】本発明に使用される添加材が水に添加され
たときの昇温速度を、市販の生石灰と比較した結果を図
1に示す。また、4物質について反応時の理論値に対す
る実測反応温度の割合を図2に示す。市販の生石灰は、
空気接触していない開封直後のもの(1)と、開封後、
湿度90%の環境下に1時間放置したもの(2)と、開
封後、同様の環境下に4時間放置したもの(3)の3種
類を用意した。両図は、初期水温20度Cの水100m
lに本添加材と上記3種類の市販生石灰(1)〜(3)
をそれぞれ20g添加したときの昇温速度(度C/秒)
の違いと実測温度の理論値に対する割合とをグラフで示
してある。
【0012】これらの図から明らかなように、本添加材
は他の市販品(1)から(3)に比べて昇温速度が著し
く大、即ち、極めて短時間(1秒前後)で高い温度まで
急上昇していることが解る。このことは、水和反応によ
って添加材中の酸化カルシウムからカルシウムのほとん
どが瞬間的にイオン化して解離されることと、腐敗性廃
棄物中に含まれている有機物を熱分解するに必要な局部
的高熱状態が創りだされることを意味している。
【0013】従って、本添加材を腐敗性廃棄物中に添加
すると、同廃棄物中のセルローズ、リグニン、高分子量
蛋白質、リン脂質などがアルカリ性の下で励起され、酸
化カルシウムと水との反応による局部的高熱によって低
分子化合物に分解される。そして、急速に解離されたカ
ルシウムイオンが、上記分解された低分子化合物の端末
基あるいは上記リン脂質、高級脂肪酸のみならず、蟻酸
や酢酸といった低級脂肪酸とも結合して、反応生成物中
に難溶性の安定したカルシウム塩を生じさせる。この化
学反応、特に低級脂肪酸との錯塩反応によって生成され
たカルシウム化合物は、例えば消石灰や前記市販の生石
灰を添加した場合の凝集作用によって生成される物理的
にのみ安定な物質とは全く異質のものとなる。これらの
場合には、カルシウムイオンの解離度も低くあるいは解
離する速度も緩やかで、また腐敗性廃棄物中の有機物の
分解も不十分なために、カルシウム塩を生成し得ない。
【0014】表1から表4は、家畜糞尿に本添加材をそ
れぞれ5%(F5)、10%(F10)、20%(F2
0)添加したときの炭素量、窒素量、脂質及び主要な有
機酸量、並びに無機成分量のそれぞれ変化を見た表であ
る。なお、これらの表において、対照物は添加剤を添加
する前の豚の生糞尿である。また、換算値は添加剤を添
加した処理物の各成分実測値×(対照物の有機物量÷添
加剤添加処理物の有機物量)であり、減少率は1−(添
加剤添加処理物の各成分換算値÷対照物の各成分実測
値)×100(%)に基づいて計算した。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【0015】図3は、腐敗性廃棄物中に含まれる可溶性
有機酸類が、本発明における上記反応生成物中に難溶性
のカルシウム塩として固定されていることを示すための
実験結果のグラフである。乾燥糞尿と堆肥化物では、水
洗浄した後の塩酸洗浄では溶出割合が10%をきってい
るのに対して、反応生成物の場合には、水洗浄後の塩酸
洗浄でも40%程度の有機酸が溶出されている。これ
は、本発明に係る反応生成物の場合、有機酸が水に難溶
性で酸に可溶性のカルシウム化合物として固定されてい
ることを示している。しかも、その内訳として蟻酸が固
定されている点に著しい特徴を有する。
【0016】蟻酸は、本来、比較的に不安定であって揮
散し易い物質である。しかしながら、本発明方法では上
記した反応によって瞬間的に多量に解離されたカルシウ
ムイオンが、蟻酸とすばやく結合してこれを蟻酸カルシ
ウムとして固定化する。蟻酸等の低級脂肪酸は、腐敗性
廃棄物中に元々含まれているだけでなく、前記した反応
熱によって腐敗性廃棄物中の蛋白質やアミノ酸が熱分解
されることによっても生成される。新たに生成されたこ
の蟻酸等を含む低級の脂肪酸も、前記カルシウムイオン
によってカルシウム塩として固定化される。ちなみに水
酸化カルシウムを添加材として使用した場合には、蟻酸
の固定化、即ちカルシウム塩の形成は極めて困難で、蟻
酸は空中に揮散するか、雨水などにより流出することに
なる。
【0017】上記の化学反応によって、腐敗性廃棄物中
に含まれる高級の脂肪酸も同様にカルシウム塩として形
成される。また腐敗性廃棄物中に含まれる他の有機物、
例えば水溶性リン酸は、その約98%が有効態のリン酸
カルシウムとして固定される。有効態のリン酸カルシウ
ムは、腐敗性廃棄物中に含まれるリン酸及びリン脂質中
に含まれるリン酸と添加材との反応によって生成される
ので、反応生成物中からは、原材料たる腐敗性廃棄物中
に含まれていた水溶性リン酸及び脂質が著しく減少す
る。
【0018】グリセライドを比較的に多量に含有する腐
敗性廃棄物の場合には、このグリセライドも活性力の強
い酸化カルシウムによって安定した難溶性のカルシウム
塩となる。このため、上記反応生成物自体は嫌気性醗酵
やガスあるいは害虫の発生等を生じることがない。
【0018】カルシウム塩の生成に寄与しないカルシウ
ムイオンの残部は、消和反応によって水酸化カルシウム
に、また炭酸ガスと接触して炭酸カルシウムにそれぞれ
変換されて反応生成物中に混在する。カルシウム塩を含
めたこれらのカルシウム化合物の割合の一例を示すと、
添加した酸化カルシウムの量を100とした場合、水酸
化カルシウムが約18%、炭酸カルシウムが約48%、
カルシウム塩が約34%である。
【0020】酸化カルシウムを添加することによって、
カルシウム化合物が生成されるだけでなく、腐敗性廃棄
物中に含有されているアンモニアやアミン類などの塩基
性成分がガス状となって除去される。すなわち、水和反
応時に脱窒現象が行われる。この結果、反応生成物中の
窒素含有量を適量に調整することが可能となる。従っ
て、本生成物をその生成物中に生存する後述の微生物に
より発酵させて製造した培土では、窒素過多現象や後醗
酵による製品の品質劣化や嫌気性環境の形成が防止され
る。
【0021】添加材による反応時間は、長すぎると練り
現象(ペースト化、微細化)を呈し、生成される培土が
団粒構造になりにくく、また乾燥しにくくなることか
ら、一般的には15分以内が望ましい。但し、原材料中
に、例えばリン脂質、液状油分、塩基性物質、難分解性
の高分子化合物などの反応しにくい物質が含まれている
場合には反応時間は適宜延長される。添加材は、一回で
上記量を添加せずに、多回に分割して添加するようにし
ても良い。
【0022】このようにして反応生成物は、上記したカ
ルシウム化合物と、未反応の有機物及び無機物とが混在
し、特にカルシウム化合物が酸化カルシウムの前記した
活性により物理的に全方向(立体的全方位)に均一に分
散した物質となる。
【0023】次に、製造された反応生成物の性状特性を
様々な角度から観察したものを表とともに説明する。先
ず、表5から表7は、反応生成物中の窒素、燐酸、及び
加里の肥効形態を調べたもので、窒素に関しては(表5
参照)、対照資材よりも無機化量が低く、分解が緩やか
で、肥効形態が緩やかであることを示している。燐酸に
関しては(表6参照)、そのほぼ全量がク溶性で、同様
に肥効形態が緩行的であることを示している。また、加
里に関しては(表7参照)、その8割以上が水溶性であ
り、肥効形態は速効的であることを示している。
【表5】
【表6】
【表7】
【0024】表8は、本発明に係る反応生成物中のカル
シウムの化合形態の分配割合を示したものである。これ
から明らかなように反応生成物中には34%のカルシウ
ム塩化合物が存在している。また、この反応生成物を土
壌施用したときの土壌pH緩衝能曲線を図4に示す。上
記表8のカルシウム割合からしてこの反応生成物がアル
カリ資材で、pH値を上げる資材であることが分かる。
【表8】
【0025】表9は本反応生成物の土壌物理的性質を調
べたもので、図5の水分曲線にも見られるように本反応
生成物は保水率の良いことが分かる。同図中、は易効
性有効水分領域を、は正常生育有効水分領域を、また
は非正常生育有効水分領域をそれぞれ示している。ま
た、表9から、三相分布では、対照区に比べ、固相率が
減少し、液・気相率が増加しているのが解る。また透水
係数は、対照区の約3倍高い値を示した。pFは、試験
区では、易・難両水分域において容水量が約40%増加
した。これを更に裏付けるものとして土壌施用における
水分挙動を示した図6を参照されたい。対照区では雨の
降らない時期にはpF値が0に低下し、降雨時には極端
に曲線が上昇するのに対し、本反応生成物の施用区では
pF値が平均して2.5程度に保たれており、その保水
性が向上しているのが解る。
【表9】
【0026】こうした物理的、化学的特性を有する反応
生成物は、その生成過程で水和反応熱と高アルカリ性と
による殺菌によって好アルカリ性微生物などの特定の微
生物のみが生息する環境が形成され、また、生成後は、
微生物の炭素源となる有機酸が酸化カルシウムとの反応
による難溶性のカルシウム塩を形成しており、pHが1
2以上ある高アルカリ環境下にある。
【0027】反応過程での反応熱は図1に示した通り、
瞬間的に急激に上昇しており、また結果物としての反応
生成物は上記したように強アルカリ状態にある。従っ
て、反応生成物が生成される過程で腐敗性廃棄物中に含
まれていた大部分の微生物は滅菌され、この環境変化に
生き残った微生物のみが生息する。
【0028】これらの微生物は、豚糞尿を原材料とする
反応生成物の場合、表10から表13に示す細菌群と糸
状菌と90−A−1菌(放線菌と思われる)とを含んで
いる。表10は醗酵に伴う細菌群の推移とその数量を示
しており、表11は醗酵に伴う微生物群の推移とその数
量を示しており、また表12は醗酵に伴い増殖した細菌
群の環境及び栄養に対する特徴を表し、さらに表13は
単離細菌の生育環境を示している。
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】 細菌は、例えば104/gレベルで検出可能な優先種と
なっており、放線菌と糸状菌とは102/gレベルでも
検出されない。ここで検出された細菌は、全てが耐熱胞
子を形成し、好気的に生育するものであり、バチルス
(Bacillus)属に所属するものが多い。これら微生物
は、いずれも反応生成物中では休眠状態にある。
【0025】上記休眠状態にある細菌群の生育環境を示
す表13において、これらの細菌群には多数の新菌が含
まれている。それらを新菌とする根拠は次の通りであ
る。 GM−4菌(なお、表10乃至表13中では代表菌株N
O.0−7に対応する。微工研寄託NO.FERM P
−13578) 好気性のグラム陽性桿菌で菌で、楕円から長楕円の胞子
を形成すること及び寒天平板上でのコロニーが乱糸状を
示すこと、生育pH域が7〜11の範囲にあること、並
びに生理的性状で、カタラーゼ陽性、VP陰性、MR陰
性、デンプンの分解陰性等の諸性質からBacillu
s badiusの近縁種と考えられるが、本菌が硝酸
還元能を有すること及びクエン酸利用能を有する点で
B.badiusとは異なるので、新種と判断した。
【0026】GM−5菌(表10乃至表13中では代表
菌株NO.30−2に対応する。微工研寄託NO.FE
RM P−13579) 好気性のグラム陽性桿菌で、胞子形成能を有すること及
びカタラーゼ陽性、VP陰性、MR陰性、澱粉の分解陰
性等から、B.brevis,B.sphaericu
s,あるいはB.pasteuriiに近い菌と考えら
れるが、ウレアーゼ陽性、ゼラチン及びカゼイン分解能
陰性、7%NaClで生育すること、Xyloseから
酸を生成する点でB.brevisとは異なる。また、
B.sphaericusとは、本菌の胞子が楕円形で
あること、硝酸還元能を有すること、及びXylos
e,D−Mannitolから酸を生成する点で異な
る。更に、B.pasteuriiとは、胞子の形が楕
円形であること、嫌気的条件で生育しないこと及びゼラ
チンを分解しない点で異なるので、新種と判断した。
【0027】GM−8菌(表10乃至表13中では代表
菌株NO.30−1に対応する。微工研寄託NO.FE
RM P−13581) 好気性のグラム陽性桿菌で、胞子形成能を有すること及
びカタラーゼ陽性、VP陰性、MR陰性、澱粉の分解陽
性等から、B.firmusの近縁種と考えられるが、
本菌は55゜Cで生育できること及びクエン酸の利用能
が陽性であること、マニトールから酸を生成しない点
で、B.firmusとは異なるので、新種と判断し
た。
【0028】GM−9菌(表10乃至表13中では代表
菌株NO.60−7に対応する。微工研寄託NO.FE
RM P−13582) 胞子の形が一部球状であること、硝酸還元能が陰性であ
ること、アラビノース、キシロース、D−マニトールか
ら酸を生成しないこと、生育因子を要求する点でB.s
ubtilisとは異なるため、新種と判断した。
【0029】90−4菌(微工研寄託NO.FERM
P−14218) 本菌は胞子の形が球状であること、50゜Cで生育でき
る点で、B.lentusとは異なるので、新種と判断
した。
【0030】90−7菌(微工研寄託NO.FERM
P−14219) 本菌はウレアーゼ陽性、カゼイン分解能陰性及び7%N
aClで生育できる点でB.brevisとは異なる。
又、胞子の形が短楕円形であること、硝酸還元能が陽性
である点でB.sphaericusとは異なる。更
に、本菌株の胞子の形が短楕円形であること、嫌気条件
で生育しないことの2点でB.pasteuriiとは
異なる。よって、新種と判断した。
【0031】90−11菌(微工研寄託NO.FERM
P−14213) 本菌は、胞子嚢の膨らみがなく、ウレアーゼ陽性、カゼ
イン分解能陰性、7%NaClで生育可能な点でB.b
revisとは異なる。また、胞子の形が楕円形である
こと、胞子嚢に膨らみがないこと、硝酸塩還元能陽性と
いう点で、B.sphaericusとは異なる。更
に、胞子の形が楕円形であること、胞子嚢に膨らみがな
いこと、嫌気条件下で生育できないことからB.pas
teuriiとは異なる。よって新種と判断した。
【0032】90−1菌(微工研寄託NO.FERM
P−14215) 本菌株は、55゜Cで生育すること、胞子嚢に膨らみが
あること、嫌気条件下で生育できること、クエン酸を利
用できること、マニトールから酸を生成しないことで
B.firmusとは異なる。よって新菌と判断した。
【0033】90−8菌(微工研寄託NO.FERM
P−14220) 本菌株は、カゼインの加水分解能陰性、グルコース及び
D−マニトールからの酸の生成陰性及び55゜Cで生育
可能な点でB.firmusとは異なる。よって、新種
と判断した。
【0034】90−2菌(微工研寄託NO.FERM
P−14216) 本菌株はCoryneformグループに属する菌と考
えられるが、細胞壁ジアミノ酸としてオルニチンを有し
ていること及びキノン分子種がMK−8(H4)を有す
る点でCoryneform bacteriaとは異
なる。なお、細胞壁ジアミノ酸がオルニチン、キノン分
子種がMK−8(H4)である菌はBergey’s
Manualには記載がないので、新菌と判断した。
【0035】90−3菌(微工研寄託NO.FERM
P−14217) セルロースを分解しない点でCellulomonas
属細菌とは異なるので、新属の可能性がある。
【0036】90−10菌(微工研寄託NO.FERM
P−14221) セルロースを分解しない点でCellulomonas
属細菌とは異なるので、新属の可能性がある。なお、9
0−3菌と90−10菌とでは、カゼイン分解能、7%
NaCl生育能、プロピオン酸利用能、デンプンの加水
分解能において相違点が認められるが、両者は非常に近
縁なグループの菌と考えられる。
【0037】また、前記微生物中の糸状菌は、大型の球
状の分生子が特徴であり、分生子形成はフィアロ型と思
われるが、いわゆる典型的なPenicillium型
とは異なり、不明の部分が多い。よって新種の菌と判断
し、90−F−1菌(微工研寄託NO.FERM P−
14214)と命名した。
【0038】更に、前記放線菌と思われる菌(90−A
−1、微工研寄託NO.FERMP−14222)は、
菌糸は分断せず、気中菌糸の形成は認められない。菌体
加水分解中のジアミノピメリン酸はmeso−DAPで
ある。イースト・麦芽寒天培地で良好に生育し、コーラ
ル赤のバター状のコロニーを形成する。
【0039】前記したように反応生成物中の微生物は全
て休眠状態にあり、したがって反応生成物においては、
微生物による有機物分解が行われず、腐敗が停止された
状態にある。このため、反応生成物は有機物の発する臭
気(糞便臭)が若干感じられるものの腐敗は進行しな
い。なお、腐敗性廃棄物に消石灰を混合した場合には、
高い反応熱が得られないため、蟻酸をはじめとする低級
脂肪酸のカルシウム塩化率は低く、アンモニア等の脱窒
も起こらない。また、分解されない固形物が消石灰の周
りに凝集されるだけなので、資材のpHも均一になら
ず、可溶性成分も多く、一般微生物もかなり大量に生存
しているので、pHが生成直後に12以上あっても、腸
内細菌等酸を生成する微生物の増殖により反応生成物の
pHが低下すると、それまで抑制されていた他の微生物
の増殖が一気に起こり、悪臭の発生を伴う異常発酵が起
こる。これに対し、本発明方法に係る反応生成物では、
上記した理由から有害ガスの発生や有害微生物の増殖と
いった未分解有機物による弊害を生じない。
【0040】そして、所望の時期にこの反応生成物に水
分と空気とを供給すると、空気中の二酸化炭素によって
中和され、pH値が12以下に下がり、上記アルカリ環
境下で生息する細菌群が増殖をはじめる(図7参照)。
特にGM−4菌が高アルカリ環境下(pH11からpH
12未満)で増殖可能であることから(表13参照)、
この菌が優先的に増殖を開始する。この醗酵に伴ってp
H値が低下する。このpHの低下に伴い、これまで増殖
できなかった他の菌群の増殖が可能となる。GM−5菌
はpH10の環境下で増殖可能であるので、GM−4菌
の増殖がある程度進むとGM−5菌もこれに呼応して増
殖を開始する。
【0041】これら両GM菌の増殖に伴い、反応熱が発
生し、反応生成物の温度が上昇する。これにより、休眠
状態にあったGM−8菌及びGM−9菌の増殖が始ま
る。GM−9菌は、後述すように、熱を発生する菌とし
て周知のB.subtilisに似た菌であるため、更
に反応生成物の温度を上昇させる。
【0042】そして、これら菌群の増殖が活発になるに
つれてますます反応生成物のpHが低下する。このpH
の低下が放線菌と糸状菌の増殖可能な域に達すると、当
初は検出不可能な菌数にすぎなかったこれら両菌が増殖
を開始する。両菌は、前記した高熱及び高アルカリ環境
下で生残した菌であるから、耐久性胞子を有する菌であ
る。
【0043】また、pHが10から9の間では90−4
菌も増殖を行う。そして、pHが9になると、90−7
菌、90−11菌、90−1菌、90−8菌、90−2
菌、90−3菌及び90−10菌が良好な増殖を行い、
pH値を更に8のやや上付近まで低下させる(表10及
び図7参照)。なお、細菌群は表13に見られるとお
り、ほとんどのものが食塩耐性を有し、この中には好塩
性菌と思われるものも存在するので、土壌に還元したと
きに土壌中の塩分を吸収し、土壌の塩障害をなくす作用
があると考えられる。これら細菌が定常期に達すると、
細菌の増殖がほぼ停止し、品温が低下する(図8参
照)。これにより、放線菌と糸状菌の増殖がますます活
発に行われるため、反応生成物中の可溶性有機物は微生
物により資化され、同時にこれら菌群の代謝産物が反応
生成物中に蓄積される。また、反応生成物中の水酸化カ
ルシウムは、微生物群による一連の醗酵作用によって炭
酸カルシウムとなる。この結果、反応生成物は、上記微
生物群によって植物にとって有益な物理的及び化学的特
性を有する醗酵産物となる。
【0044】
【実施例】以下、本発明の実施例を示す。原材料として
豚糞尿100Kgに対して高活性な酸化カルシウムを1
0Kg添加し、これを反応機中で15分間混合攪拌し、
スラリー状の反応生成物110Kgを得た。これを温度
30度cの乾燥室にて乾燥し、約20%の水分を除去し
た後、保管し、60日後に醗酵槽に投入した。醗酵槽か
らほぼ72時間後に取り出したところ、約40Kgの醗
酵産物を得ることができた。この醗酵産物は、カルシウ
ム化合物が15Kg(乾物重量)で、醗酵した有機物及
び他の無機物が12Kg(乾物重量)であった。
【0045】上記醗酵物のpH値等及び組成成分中のカ
ルシウムとマグネシウムとカリウムの重量%を、反応生
成物と比較する。先ず、反応生成物は、pHが12.
6、ECが6.9、全カルシウム量が28.2%、全マ
グネシウム量が1.54%、全カリウム量が1.48%
であったのに対して、醗酵物は、pHが7.78、EC
が2.62、全カルシウム量が25.8%、全マグネシ
ウム量が0.88%、全カリウム量が0.66%であっ
た。
【0047】図8は、前記のようにして得られた反応生
成物に適度の水分を与えて醗酵させたときの温度、pH
及びECの経時変化を示したものである。本図から明ら
かなように、温度は最初の7日間で急激に上昇し、続く
14日では緩やかに上昇した。しかし、その後は急激に
低下し、21日後には最初の品温にまで戻った。pH
は、温度上昇が観察された14日間はpH12〜13〜
8.6付近までほぼ直線的に下降したが、品温の低下が
開始された14日以降では下降直線の勾配は緩やかにな
り、ほぼ横ばいの傾向を示した。一方、EC値は、最初
の7日は12から8まで急激に低下したが、それ以降の
14日間はEC8からEC5とやゝ緩やかな勾配でほぼ
直線的に低下した。
【0048】図7は、醗酵過程における微生物の消長を
示したものである。最初に増殖する微生物は細菌であ
り、放線菌及び糸状菌は検出されなかった。細菌の増殖
は醗酵開始数日後から急上昇した。即ち、約5日間が対
数増殖期前期及び中期であり、その後約14日間が対数
増殖期後期の増殖曲線を示した。醗酵開始から14日後
にpHが9以下に低下すると放線菌及び糸状菌が検出さ
れるようになった。この時期、特に放線菌が顕著な増殖
を示すことが分かった。
【0049】以上述べたように、本反応生成物は腸内細
菌や一般細菌が極めて増殖困難な環境における醗酵資材
であるため、本環境に適応できる特異な微生物によって
醗酵されていくことが強く示唆された。また、これら微
生物は、本醗酵の期間全体に関与するものではなく、経
時的に変化する環境に応じて種々異なる微生物が優先種
となり、醗酵を促進していくものと解釈される。
【0050】醗酵生成物は以下の特徴をもっていた。 色:褐色〜薄黒褐色。 臭気:堆肥臭もしくは殆ど無臭。 形状:原物の形状を全く認めない。小粒状。 水分:強く握っても掌に殆ど付かない。水分30%位。 熟度判定基準(原田;1984)においては最高品質の
グレードと判定できる。
【0051】この醗酵物は、完熟の条件を満たす堆肥あ
るいは植物用培地としてそのまま用いることができた。
特に、メロン、小松菜、ほうれん草、茄子、トマト、キ
ュウリなどの各種作物の育成用培土として一般に使用す
ることができた。これらの培土として使用した場合に
は、カルシウム塩中に含まれている種々の有機酸が栽培
植物の根に吸収され易い形態となっており、それぞれの
植物特性を高めるように作用する。例えば、糖度の向
上、含水率の低下、耐病性の向上、澱粉含量の増大、葉
厚の向上を図る。また、開花時期を早め、根張りも良好
となるなどの実施例が報告されている。
【0052】更に、各種植物病害に対する効果を調べた
ところ、フザリウム、モンパ病菌、リゾクトニアによる
病害の顕著な抑制効果が認められた。
【0053】平成3年9月より12月にかけ、静岡県立
磐田農業高校において、腐植に富む壌質水田土を対照区
とし、本発明方法の結果物である醗酵物を試験区として
メロンの栽培試験を行った。施肥はメロン専用有機配合
N成分で10g/株を4回に分け、行った。試験区で
は、水酸化カルシウム及びカリウムの追肥は行わなかっ
た。果実の糖度では、対照区が13.6%であったのに
対して、試験区では14.5%と約1%上昇した。
【0054】また、本醗酵産物は、これを水田及び畑地
の穀類、根もの、蔬菜類の栽培に施用することにより、
これらの生育に対して良好な結果を及ぼすことが判明し
ている。水田に対しては、平成3年から平成4年にか
け、表14に示す条件で稲の栽培試験を行ったところ、
その収量に関しては表15、品質及び食味に関しては表
16に示す結果が得られた。なお、試験区規模及び配置
図を図9に示す。収量に関しては対照区とそれほどかわ
らないものの、食味において優れたものを生産できたこ
とが解る。また、表17は上記水田施用跡地土壌の成分
値を比較したもので、カルシウム資材であるにも拘らず
カルシウムが蓄積されず土壌pH値も上昇していないの
が解る。
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
【0055】本醗酵産物資材による大麦の栽培試験を、
平成3年から平成4年にかけて表18に示す栽培条件で
図10に示す規模と配置で行ったところ、表19及び表
20に示す結果が得られた。なお、E区は1年目は本資
材無施用の対照区であったが、2年目ではD区に合区さ
れた。したがって2年目は対照区はなくなり、代わって
D区の栽培面積は14aとなった。表20から、1年
目、2年目のいずれにおいても収量が著しく増大してい
るのが解る。
【表18】
【表19】
【表20】
【0056】本醗酵産物資材による甘藷の栽培試験を、
平成3年において表21に示す栽培条件で行ったとこ
ろ、表22に示す結果が得られた。表22から、実収量
および1個平均重量が3割増し、澱粉含量および炭水化
物含量も増えているのが解る。
【表21】
【表22】
【0057】本醗酵産物資材による長いもの栽培試験
を、平成2年から平成3年にかけて表23から表28に
示す栽培条件で行ったところ(表23は展示園構成を、
表24は試験区の内容を、表25は種概要を、表26は
施肥量を、表27は薬剤使用回数を、表28は気象条件
を示す。)、表29及び表30に示す結果が得られた。
表29は品質規格を比較したもので、3年目においても
品質規格にばらつきのないものが得られたことが解る。
また、表30は澱粉含量等の品質を比較したもので、1
年目と3年目において試験区のものが優れているのが解
る。
【表23】
【表24】
【表25】
【表26】
【表27】
【表28】
【表29】
【表30】
【0058】本醗酵産物資材による大豆の栽培試験を、
平成元年において表31に示す栽培条件で行ったとこ
ろ、表32に示す結果が得られた。表32は3粒、2粒
莢収量を比較したもので、合計では平均した収量が得ら
れ、堆肥区と遜色の無い、あるいはそれ以上の収量にな
っているのが解る。
【表31】
【表32】
【0059】本醗酵産物資材によるほうれん草連作の栽
培試験を、昭和63年において表33に示す栽培条件で
行ったところ、生育、収量に関し、表34に示す結果が
得られた。表34によれば、生育及び収量共に顕著な効
果が見られた。
【表33】
【表34】
【0060】大豆の根粒形成に及ぼす本醗酵資材連用の
影響を表35に示す栽培条件でおこなったところ、表3
6に示す結果が得られた。対照区に比較して根粒重量が
平均で約40%増加しているのが解る。
【表35】
【表36】
【0061】長いもの根腐れ病に対する本醗酵資材連用
の影響を見たところ、表37に示す結果が得られた。な
お、0は発病なしを、1〜4は発病した株のうち、病気
の重さを示しており、数字が高くなるほど重い。対照区
の2年目は本醗酵資材を施用してあり、この年は本資材
単年度施用の試験区として見る。表37に見られる通
り、本醗酵資材を施用したところでは、発病度が著しく
低いことが解る。
【0062】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば次の
効果を奏する。本発明方法は、腐敗性廃棄物を、アルカ
リ殺菌環境下で耐久性状態にあった微生物を利用して醗
酵させるようにしたものであるから、簡単かつ低コスト
で、しかも短期間のうちに完熟堆肥と同等な資材に変換
できる。
【0063】また、本発明は、上記微生物の増殖開始を
人に調整できるので、醗酵を人的に制御でき、しかも二
次醗酵のおそれのない醗酵産物を得ることができる。ま
た、本発明は、その反応生成物の特異な物理的構造によ
り、透水性や保水性に富み、肥効性成分が緩効性で、し
かもそのまま単独で培土としても利用できるものであ
る。
【0064】更に、本発明は、上記微生物と特異な物理
的構造をもつ微生物生息環境により、種々の病害抑制能
を有する資材を提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用される酸化カルシウムの水和反応
速度を市販の生石灰と比較して示したグラフ
【図2】本発明に使用される酸化カルシウムと市販の生
石灰の水和反応の違いを理論値に対する実測反応温度の
割合によって示したグラフ
【図3】本発明の水和反応直後の反応生成物と対照資材
とを水洗浄したときの溶出有機物の割合比較を示す図。
【図4】上記反応生成物を土壌施用したときの土壌pH
緩衝能曲線を示すグラフ。
【図5】上記反応生成物のpF−水分曲線を示すグラ
フ。
【図6】上記反応生成物を土壌施用したときの水分挙動
の実例を示すグラフ。
【図7】醗酵過程における微生物の消長を示すグラフ。
【図8】醗酵に伴う上記反応生成物の物性変化を示すグ
ラフ。
【図9】本醗酵産物を水田施用した実施例における試験
区の配置図。
【図10】本醗酵産物を畑に施用し、大麦の収量を試験
した実施例における試験区の配置図。
【表37】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09K 17/32 H 9451−4H // C12N 1/00 S 7236−4B

Claims (38)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】固液混合の腐敗性廃棄物と高活性な酸化カ
    ルシウムを主成分とする添加材との反応生成物から成
    り、 pH値が12以上の高アルカリ環境下で生存する微生物
    を含有し、 この微生物が、pH11から12未満の間で増殖を開始
    する第1のグループのバクテリアと、pH11付近から
    9の間で良好に生育する第2のグループのバクテリア
    と、pH9付近以下で良好に生育する第3のグループの
    バクテリアとから成るバクテリア群と、糸状菌と、90
    −A−1菌とから構成され、 これら微生物が増殖してpHが8前後に維持されてい
    る、 ことを特徴とする醗酵産物。
  2. 【請求項2】前記第1のグループに属するバクテリア
    が、GM−4菌であることを特徴とする請求項1に記載
    の醗酵産物。
  3. 【請求項3】前記第1のグループに属するバクテリア
    が、GM−4菌とGM−5菌であることを特徴とする請
    求項1に記載の醗酵産物。
  4. 【請求項4】前記第2のグループに属するバクテリア
    が、GM−5菌であることを特徴とする請求項1もしく
    は請求項2に記載の醗酵産物。
  5. 【請求項5】前記第2のグループに属するバクテリア
    が、GM−8菌であることを特徴とする請求項1、請求
    項2もしくは請求項3に記載の醗酵産物。
  6. 【請求項6】前記第2のグループに属するバクテリア
    が、GM−9菌であることを特徴とする請求項1、請求
    項2もしくは請求項3に記載の醗酵産物。
  7. 【請求項7】前記第2のグループに属するバクテリア
    が、90−4菌であることを特徴とする請求項1、請求
    項2もしくは請求項3に記載の醗酵産物。
  8. 【請求項8】前記第2のグループに属するバクテリア
    が、GM−5菌とGM−8菌とGM−9と90−4菌の
    組み合わせであることを特徴とする請求項1、請求項2
    もしくは請求項3に記載の醗酵産物。
  9. 【請求項9】前記第3のグループに属するバクテリア
    が、90−7菌であることを特徴とする請求項1から請
    求項8のいずれかに記載の醗酵産物。
  10. 【請求項10】前記第3のグループに属するバクテリア
    が、90−11菌であることを特徴とする請求項1から
    請求項8のいずれかに記載の醗酵産物。
  11. 【請求項11】前記第3のグループに属するバクテリア
    が、90−1菌であることを特徴とする請求項1から請
    求項8のいずれかに記載の醗酵産物。
  12. 【請求項12】前記第3のグループに属するバクテリア
    が、90−8菌であることを特徴とする請求項1から請
    求項8のいずれかに記載の醗酵産物。
  13. 【請求項13】前記第3のグループに属するバクテリア
    が、90−4菌であることを特徴とする請求項1から請
    求項8のいずれかに記載の醗酵産物。
  14. 【請求項14】前記第3のグループに属するバクテリア
    が、90−2菌であることを特徴とする請求項1から請
    求項8のいずれかに記載の醗酵産物。
  15. 【請求項15】前記第3のグループに属するバクテリア
    が、90−3菌であることを特徴とする請求項1から請
    求項8のいずれかに記載の醗酵産物。
  16. 【請求項16】前記第3のグループに属するバクテリア
    が、90−10菌であることを特徴とする請求項1から
    請求項8のいずれかに記載の醗酵産物。
  17. 【請求項17】前記第3のグループに属するバクテリア
    が、90−7菌、90−11菌、90−1菌、90−8
    菌、90−4菌、90−3菌、90−2菌、90−10
    菌の組み合わせであることを特徴とする請求項1から請
    求項8のいずれかに記載の醗酵産物。
  18. 【請求項18】前記糸状菌が90−F−1菌であること
    を特徴とする請求項1から請求項17のいずれかに記載
    の醗酵産物。
  19. 【請求項19】腐敗性廃棄物に高活性な生石灰を主成分
    とする添加剤を添加することにより急激な水和反応を生
    じさせ、 この水和反応の反応熱と高いアルカリ環境によるアルカ
    リ殺菌によって反応生成物の腐敗を停止させると共に、
    反応生成物中に、pH11から12未満の間で増殖を開
    始する第1のグループのバクテリアと、pH11付近か
    ら9の間で良好に生育する第2のグループのバクテリア
    と、pH9付近以下で良好に生育する第3のグループの
    バクテリアとから成るバクテリア群と、糸状菌と、90
    −A−1菌とから構成される、検出可能で耐久性状態に
    あり、かつ高アルカリ状態で生育可能な微生物を残し、 適宜の時期に水分と空気とを供給することにより、上記
    バクテリア群を用いてpH値を継承的に下げ、 pH値の下降に伴い、反応生成物中に生存する耐久性状
    態にあった糸状菌と90−A−1菌を増殖させ、 これらの微生物の増殖によって反応生成物をアルカリ醗
    酵させるようにした、 ことを特徴とする醗酵産物の製造方法。
  20. 【請求項20】前記水和反応によって酸化カルシウム中
    のカルシウムイオンが解離されると共に腐敗性廃棄物中
    のアミノ酸から蟻酸等の低級脂肪酸が生成され、 この低級脂肪酸並びに腐敗性廃棄物中に元々含まれてい
    る蟻酸等の低級脂肪酸を含む脂肪酸及びアミノ酸などの
    酸類と、上記解離されたカルシウムイオンとによってカ
    ルシウム塩が生成される、 ことを特徴とする醗酵産物の製造方法。
  21. 【請求項21】前記水和反応直後の反応生成物のpH値
    が12から13の高アルカリ状態にあることを特徴とす
    る請求項19もしくは請求項20に記載の醗酵産物の製
    造方法。
  22. 【請求項22】前記第1のグループに属するバクテリア
    が、GM−4菌であることを特徴とする請求項19から
    請求項21のいずれかに記載の醗酵産物の製造方法。
  23. 【請求項23】前記第1のグループに属するバクテリア
    が、GM−4菌とGM−5菌であることを特徴とする請
    求項19から請求項21のいずれかに記載の醗酵産物の
    製造方法。
  24. 【請求項24】前記第2のグループに属するバクテリア
    が、GM−5菌であることを特徴とする請求項19から
    請求項22のいずれかに記載の醗酵産物の製造方法。
  25. 【請求項25】前記第2のグループに属するバクテリア
    が、GM−8菌であることを特徴とする請求項19から
    請求項23のいずれかに記載の醗酵産物の製造方法。
  26. 【請求項26】前記第2のグループに属するバクテリア
    が、GM−9菌であることを特徴とする請求項19から
    請求項23のいずれかに記載の醗酵産物の製造方法。
  27. 【請求項27】前記第2のグループに属するバクテリア
    が、90−4菌であることを特徴とする請求項19から
    請求項23のいずれかに記載の醗酵産物の製造方法。
  28. 【請求項28】前記第2のグループに属するバクテリア
    が、GM−5菌とGM−8菌とGM−9と90−4菌の
    組み合わせであることを特徴とする請求項19から請求
    項23のいずれかに記載の醗酵産物の製造方法。
  29. 【請求項29】前記第3のグループに属するバクテリア
    が、90−7菌であることを特徴とする請求項19から
    請求項28のいずれかに記載の醗酵産物の製造方法。
  30. 【請求項30】前記第3のグループに属するバクテリア
    が、90−11菌であることを特徴とる請求項19から
    請求項28のいずれかに記載の醗酵産物の製造方法。
  31. 【請求項31】前記第3のグループに属するバクテリア
    が、90−1菌であることを特徴とする請求項19から
    請求項28のいずれかに記載の醗酵産物の製造方法。
  32. 【請求項32】前記第3のグループに属するバクテリア
    が、90−8菌であることを特徴とする請求項19から
    請求項28のいずれかに記載の醗酵産物の製造方法。
  33. 【請求項33】前記第3のグループに属するバクテリア
    が、90−4菌であることを特徴とする請求項19から
    請求項26のいずれかに記載の醗酵産物。
  34. 【請求項34】前記第3のグループに属するバクテリア
    が、90−2菌であることを特徴とする請求項19から
    請求項28のいずれかに記載の醗酵産物の製造方法。
  35. 【請求項35】前記第3のグループに属するバクテリア
    が、90−3菌であることを特徴とする請求項19から
    請求項28のいずれかに記載の醗酵産物の製造方法。
  36. 【請求項36】前記第3のグループに属するバクテリア
    が、90−10菌であることを特徴とする請求項19か
    ら請求項28のいずれかに記載の醗酵産物の製造方法。
  37. 【請求項37】前記第3のグループに属するバクテリア
    が、90−7菌、90−11菌、90−1菌、90−8
    菌、90−4菌、90−3菌、90−2菌、90−10
    菌の組み合わせであることを特徴とする請求項19から
    請求項28のいずれかに記載の醗酵産物の製造方法。
  38. 【請求項38】前記糸状菌が90−F−1菌であること
    を特徴とする請求項19から請求項28のいずれかに記
    載の醗酵産物の製造方法。
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WO1996019420A1 (fr) * 1994-12-20 1996-06-27 Mitsuyo Kimura Produit de fermentation et procede de fabrication
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