JPH0725337A - 車両用換気装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 車両の給気送風機および排気送風機の送風量
を制御してトンネル内を高速で走行する鉄道車両の車内
の圧力の変動を減少することを可能にする。 【構成】 車両内外の圧力を車内圧力検出装置５および
車外圧力検出装置６により検出し、制御装置７において
演算を行い、制御信号を給気風量調節装置１および排気
風量調節装置３に出力して、給気風量調節装置１および
排気風量調節装置３により車両に流入または流出する空
気量を調節して車内の圧力を車内の圧力の基準値に対し
ある範囲内に制御する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、車両用換気装置に係わ
り、特に高速でトンネル内を走行する車両に使用して好
適な鉄道車両用換気装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】車両が高速でトンネル内を走行すると
き、トンネル内に大きな圧力変動が発生し、この車外の
圧力の変動の影響を受けて車内の圧力が変動する。この
車内の圧力の変動の大きさ及び変化速度の大きさが許容
限界を越えると乗客の耳に不快感を与える。このような
不具合を解決するものとして、特公昭６２−２２７８５
０号公報に記載のものが知られている。この先行技術の
要旨は、車内への給気用及び排気用としてそれぞれ高静
圧の送風機を備えた車両用換気装置において、前記各送
風機の吸い込み側に絞り手段を設け、かつ該車両に各種
検知手段を設けて、車両の状況に合わせて前記絞り手段
の制御を行い車内の圧力の制御をするものである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記発
明において長大トンネルでトンネル突入直前の車内の圧
力を制御の基準値に用いた場合、トンネル内走行中に標
高変化による車外の圧力の変化があるため、トンネル突
入直前の車内の圧力を基準にした車内の圧力制御では、
車両が高速でトンネル内を走行するときのトンネル内の
大きな圧力変動のほかに、車外の圧力の標高変動分の車
両内外の圧力差が発生する。車両の走行に伴う標高変化
による圧力の変化速度は充分遅いため乗客の耳に不快感
を与えることはないが、車両内外に発生する圧力差は車
両の構体に気密荷重として働き、構体の強度に対して影
響を与える。また、給気送風機及び排気送風機に目詰ま
りが発生した場合に、それぞれの送風量の間に不平衡が
生じ、車両内外の圧力の間に定常的な不平衡が生じる
が、車内の圧力の検出のみをもとに車内の圧力の制御を
行った場合には、この不平衡状態を検出できず、車両内
外の圧力の間に不平衡が発生した状態で車内の圧力が制
御されることになる。さらに、車両がトンネルの出入り
を繰り返した場合、制御を行っていても車内の圧力は変
動するため車内の圧力の基準が変化するため車内の圧力
はかえって変動することになる。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明では、トンネル内
走行中に車内の圧力を車内圧力検出装置により検出し、
制御装置において車内の圧力の基準値との差を求め、こ
の車内の圧力の基準値との差の大きさに応じて車両に流
入する空気量を給気風量調節装置により、車両から流出
する空気量を排気風量調節装置により多段階に調節し
て、車内の圧力を車内の圧力の基準値に対しある範囲内
に制御し乗客の耳の不快感を低減する。

【０００５】前記において車内の圧力の基準値を、トン
ネルの位置と駅の位置及び車両の走行位置に対する車外
の圧力の標高補正値をあらかじめ制御装置に記憶し、車
両位置検出装置により求めた車両の位置を制御装置のト
ンネルの位置の記憶と比較してトンネル突入位置を検出
し、車外圧力検出装置により求めたトンネル突入直前の
車外圧力値を制御装置に記憶し、この車外圧力値に制御
装置にあらかじめ記憶した車両の走行位置に対する車外
の圧力の標高補正値を加算することにより得られる値と
することにより、車両が高速でトンネル内を走行すると
きのトンネル内の大きな圧力変動のほかに発生する車外
の圧力の標高変動分による車両内外の圧力差を減少す
る。

【０００６】また、車外圧力検出装置により求めたトン
ネル突入直前の車外圧力値を車内の圧力の基準値として
制御に用いることにより、車内の圧力の検出のみをもと
に車内の圧力の制御を行った場合には解消できない、給
気送風機及び排気送風機に目詰まりが発生した場合に発
生する車両内外の圧力の間の定常的な不平衡と、車両が
トンネルの出入りを繰り返した場合に制御を行っていて
も車内の圧力が変動するために発生する車内の圧力の基
準値の変動を無くす制御が可能になる。

【０００７】さらに、本発明では車両位置検出装置によ
り求めた車両の走行位置を制御装置の駅の位置の記憶と
比較して駅の位置に車両がいることを検出し、さらにド
ア開閉検出装置によりドアが開いたことを検出して、停
車中に車両の内外の圧力が同一である時の車内圧力検出
装置から出力された車内圧力値と車外圧力検出装置から
出力された車外圧力値の差を制御装置に記憶し、この値
をトンネル内走行中の車内圧力検出装置から出力された
車内圧力値と車内の圧力の基準値との差から減算して車
外圧力検出装置と車内圧力検出装置の出力の零点変動の
差に起因して発生する車両の内外の圧力の不平衡状態を
防止することができる。

【０００８】

【作用】列車がトンネル内を走行する場合、車外の圧力
の変動の影響を受け車内の圧力が変動するが、トンネル
内走行中に車内の圧力を車内圧力検出装置により検出
し、制御装置において車内の圧力の基準値との差を求
め、この車内の圧力の基準値との差の大きさに応じて車
両に流入する空気量を給気風量調節装置により、車両か
ら流出する空気量を排気風量調節装置により多段階に調
節して、車内の圧力を車内の圧力の基準値に対しある範
囲内に制御する。さらに、あらかじめ制御装置にトンネ
ルの位置を記憶し、車両位置検出装置により求めた車両
の位置からトンネル突入位置を求め、車外圧力検出装置
で求めたトンネル突入直前の車外圧力値を制御装置に記
憶し、この車外圧力値にあらかじめ制御装置に記憶した
車両の走行位置に対する車外の圧力の標高補正値を加算
して補正し、車内の圧力の基準値とする。さらに、制御
装置に駅の位置を記憶し、車両位置検出装置により求め
た車両の走行位置から車両が駅位置にいることを検出
し、ドア開閉検出装置によりドアが開いたことを検出し
て、停車中に車両の内外の圧力が同一である時の車内圧
力検出装置と車外圧力検出装置の出力の差を制御装置に
記憶し、この値をトンネル内走行中の車内圧力検出装置
と車内の圧力の基準値との差から減算して車内圧力検出
装置と車外圧力検出装置の出力の零点変動の差に起因し
て発生する車両の内外の圧力の不平衡状態を防止する。

【０００９】

【実施例】第１図は、トンネルの位置と駅の位置及び車
両の走行位置に対する車外の圧力の標高補正値をあらか
じめ制御装置７に記憶し、車両位置検出装置８の出力か
らトンネル突入位置を検出し、トンネル突入直前の車外
圧力検出装置６で検出した車外圧力値を制御装置７に記
憶し、この車外圧力値をあらかじめ制御装置７に記憶し
た標高補正値により補正して車内の圧力の基準値とし、
トンネル内走行中は車内圧力検出装置５により検出した
車内圧力値が該基準値より設定値以上に変動した場合
に、制御装置７から制御信号を給気風量調節装置１また
は排気風量調節装置３に出力し、車両に流入する空気量
を給気風量調節装置１により、車両から流出する空気量
を排気風量調節装置３により多段階に調整して車内の圧
力を車内の圧力の基準値に対しある範囲内に制御し乗客
の耳の不快感を低減する装置の概要である。

【００１０】第１図において、１は給気風量調節装置、
２は給気送風機、３は排気風量調節装置、４は排気送風
機、５は車内圧力検出装置、６は車外圧力検出装置、７
は制御装置、８は車両位置検出装置、９はドア開閉検出
装置、１０は車体である。

【００１１】給気風量調節装置１および排気風量調節装
置３は、バタフライバルブの組み合わせまたは電磁弁の
組み合わせまたはバタフライバルブと電磁弁の組み合わ
せによりその流路の断面積を多段階に変更して流通する
空気量を多段階に変更することができる構造を有し、制
御装置７からの制御信号により流通する空気量を多段階
に変更する機能を有する。

【００１２】制御装置７にはあらかじめ走行する線路の
トンネルの位置、駅の位置、車両の走行位置に対する標
高の補正値を記憶しておく。

【００１３】車両が走行し、車両位置検出装置８の出力
が制御装置７のトンネルの位置の記憶に一致したことを
検出したとき、トンネル突入直前の車外圧力検出装置６
で検出した車外圧力値を制御装置７に記憶する。このト
ンネル突入直前の車外圧力値を車両位置検出装置８の車
両の走行位置の出力を使用して制御装置７に記憶した車
両の走行位置に対する標高の補正値を加算することによ
り補正し、車内の圧力の基準値として使用することによ
りトンネル内の大きな圧力変動のほかに発生する、車外
の圧力の標高変動分による車両内外の圧力差を減少させ
る。

【００１４】車両がトンネル内走行中に、車内圧力検出
装置５で検出した車内圧力値が車内の圧力の制御の基準
値に対し変動した場合、制御装置７は給気風量調節装置
１または排気風量調節装置３に対し車内の圧力の変動が
小さい場合には、流路断面積の減少率が小さい制御信号
を出力し、圧力変動が大きい場合には、流路断面積の減
少率が大きい制御信号を出力して、車両に流入または流
出する空気量を制御して車内の圧力の基準値に対する車
内の圧力の変動を小さくする。

【００１５】車両位置検出装置８の出力が制御装置７の
駅の位置の記憶と一致したことを検出し、ドア開閉検出
装置９によりドアが開いたことを検出したとき、制御装
置７は停車中に車両の内外の圧力が同一である時の車内
圧力検出装置５で検出した車内圧力値及び車外圧力検出
装置６で検出した車外圧力値の値の差を制御装置７に記
憶し、トンネル内走行中の車内圧力検出装置５と車内の
圧力の基準値との差からこの値を減算して、車内圧力検
出装置５と車外圧力検出装置６の出力の零点変動の差に
起因して発生する車両の内外の圧力の不平衡状態を防止
する。

【００１６】

【発明の効果】以上説明したように本発明の車両用換気
装置は、車外の圧力の変動の大きな車両において車内の
圧力を車内の圧力の基準値に対しある範囲内に制御して
車内の圧力の変動を抑制し乗客の耳の不快感を低減する
とともに、長大トンネルにおいて標高の変動が有る場合
に発生する車両内外の圧力差を少なくする、さらに車内
圧力検出装置と車外圧力検出装置との出力の差の変動を
補正し車内圧力検出装置と車外圧力検出装置の出力の零
点変動の差に起因する車両内外の圧力の不平衡を防止す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】車両用換気装置の実施例を示した説明図であ
る。

【符号の説明】

１ 給気風量調節装置 ２ 給気送風機 ３ 排気風量調節装置 ４ 排気送風機 ５ 車内圧力検出装置 ６ 車外圧力検出装置 ７ 制御装置 ８ 車両位置検出装置 ９ ドア開閉検出装置 １０ 車体

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車外の空気を車両に取り入れる給気送風
   機と、該給気送風機の送風量を制御装置からの制御信号
   により多段階に変更する給気風量調節装置と、車内の空
   気を車外に排気する排気送風機と、該排気送風機の送風
   量を制御装置からの制御信号により多段階に変更する排
   気風量調節装置と、車両の走行位置を検出し制御装置に
   出力する車両位置検出装置と、車内の圧力を検出し制御
   装置に車内圧力値を出力する車内圧力検出装置と、車外
   の圧力を検出し制御装置に車外圧力値を出力する車外圧
   力検出装置と、車両のドアの開閉を検出しドア開閉信号
   を制御装置に出力するドア開閉検出装置と、車内圧力検
   出装置の出力と車外圧力検出装置の出力及び車両位置検
   出装置の出力に基づき演算を行い風量調節装置に制御信
   号を出力する制御装置とを有する鉄道車両用換気装置に
   おいて、トンネルの位置と駅の位置及び車両の走行位置
   に対する車外の圧力の標高補正値をあらかじめ制御装置
   に記憶し、車両位置検出装置により求めた車両の位置を
   制御装置のトンネルの位置の記憶と比較してトンネル突
   入位置を検出して車外圧力検出装置により求めたトンネ
   ル突入直前の車外圧力値を制御装置に記憶し、この車外
   圧力値を制御装置にあらかじめ記憶した車両の走行位置
   に対する車外の圧力の標高補正値により補正して得た値
   を車内の圧力の基準値として使用して制御装置において
   演算を行い、風量調節装置に制御信号を出力して車内の
   圧力を車内の圧力の基準値に対してある範囲内に制御し
   乗客の耳の不快感を低減することを特徴とする車両用換
   気装置。
2. 【請求項２】 車両位置検出装置により求めた車両の走
   行位置を制御装置の駅の位置の記憶と比較して駅の位置
   を検出し、駅の位置においてドア開閉検出装置によりド
   アが開いたことを検出して、車内圧力検出装置から出力
   された車内圧力値及び車外圧力検出装置から出力された
   車外圧力値の差を求め、求めた差の値を制御装置に記憶
   し、この車内圧力値と車外圧力値の差の値を使用して走
   行中の車内圧力検出装置と車外圧力検出装置の出力の零
   点変動の差を補正する制御装置を有することを特徴とす
   る請求項１の車両用換気装置。