JPH0724938B2 - 高温高圧蒸気タ−ビン及び溶接方法 - Google Patents

高温高圧蒸気タ−ビン及び溶接方法

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JPH0724938B2
JPH0724938B2 JP6843585A JP6843585A JPH0724938B2 JP H0724938 B2 JPH0724938 B2 JP H0724938B2 JP 6843585 A JP6843585 A JP 6843585A JP 6843585 A JP6843585 A JP 6843585A JP H0724938 B2 JPH0724938 B2 JP H0724938B2
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【発明の詳細な説明】 〔発明の利用分野〕 本発明は、例えば温度600〜650℃、圧力300〜350kg/cm2
の蒸気を使用する高温高圧タービン、及びその溶接部の
形成に利用すると特に好適な、新らしい溶接方法に関す
る。
〔発明の背景〕 蒸気タービンは、従来538℃の主蒸気を使用し、Cr−Mo
−V鋳鋼、 によりケーシング及び主蒸気管を形成していた。しか
し、発電プラントの効率向上化の要請により、主蒸気の
温度が例えば600℃以上の高温高圧発電プラントが検討
されている。
第1図は、蒸気温度600〜650℃、圧力300〜350kg/cm2
蒸気タービンの断面図である。第1図において、符号1
は主蒸気管、2は伸縮管、3はブレード、4はロータシ
ヤフト、5は内部ケーシング、6は外部ケーシング、7
は異材溶接部、8は同材溶接部を意味する。
第1図において、例えば650℃の主蒸気は、主蒸気管
1、伸縮管2を経てブレード3に当つてロータシヤフト
4を回転させる。その時の外部ケーシング6は550℃で
ある。
主蒸気管1の材料、内部ケーシング5及び弁ケーシング
などには高温強度及び耐酸化性の点からオーステナイト
ステンレス系鋼(例えばSUS316)が使用される。
他方、外部ケーシング6にはその温度が約550℃と低い
ため、クリープ強度及び経済性を考慮するとフエライト
系鋳鋼(又は鍛鋼)である低合金鋳鋼の適用が有望であ
る。
したがつて、650℃、352kg/cm2用蒸気タービンの溶接と
してはオーステナイト系鋳鋼同志の溶接(主蒸気管の溶
接、主塞止弁と加減弁の溶接など)とオーステナイト系
鋳鋼と低合金鋳鋼との溶接がある。
しかしながら、オーステナイト鋳鋼は一般に伸べられて
いるごとく凝固後のオーステナイト組織が、常温に達し
ても組織変態することなく、著しく成長したデンドライ
ト組織がそのまま残る〔参考文献、例えば日本学術振興
会、耐熱金属材料研究第123委員会、研究報告 第13
巻、第2号、第79〜91頁(昭47年)〕。この著しい粗大
組織は1000〜1200℃の高温まで加熱する溶体化熱処理を
施しても、再結晶して微細化することはない。
しかるに、結晶粒径が大きいもの程、結晶界への低融点
不純物(P及びSなど)の偏析量が多くなる。したがつ
てこのような材料は低融点不純物の粒界偏析に起因する
溶接高温割れ感受性が著しく高い。そこで一般のオース
テナイト系ステンレス鋳鋼では高温割れを防止するため
に、デルタフエライトを10数%含ませるような化学成分
にしている。しかしながら、溶接過程で高温割れが防止
できても、デルタフエライトを10数%含む材料は600℃
以上で長時間加熱するとシグマ相が析出し、脆化を起
す。したがつて高温高圧蒸気タービンには適用できな
い。
そして、高温割れに高い抵抗性を持つ溶接部を形成でき
る溶接方法は、従来開発されていなかつた。
〔発明の目的〕
本発明の目的は、主蒸気600〜650℃、圧力300〜350kg/c
m2の高温高圧の蒸気の使用を可能にすることができる蒸
気タービンを提供することにある。
また本発明の他の目的は、高温割れを発生せず強度の高
い溶接部を形成することができる溶接方法を提供するこ
とにある。
〔発明の概要〕
本発明を概説すれば、本発明の第1の発明は高温高圧蒸
気タービンに関する発明であつて、ロータ、内部ケーシ
ング、外部ケーシング、及び主蒸気管を備え、かつ該内
部ケーシング及び主蒸気管がオーステナイトステンレス
鋳鋼により構成された高温高圧蒸気タービンにおいて、
その少なくとも一方がオーステナイトステンレス鋳鋼で
ある同材又は異材の継手溶接部又は補修溶接部における
溶接熱影響部の組織が、再結晶組織であることを特徴と
する。
また本発明の第2の発明は溶接方法に関する発明であつ
て、少なくとも一方がオーステナイトステンレス鋳鋼で
ある被溶接材を溶接する方法において、その溶接開先面
を冷間塑性加工する工程、及び該加工後溶接を行う工程
の各工程を包含することを特徴とする。
本発明者等は、オーステナイト系ステンレス鋳鋼の組織
が著しく粗大化し、しかもデルタフライトが約50%以下
であつても高温割れが防止できることを実験的に見出し
た。
すなわち、本発明ではオーステナイトステンレス鋳鋼の
溶接が施される溶接開先面をあらかじめ機械的な衝撃を
加え、開先面を塑性変形させるものである。しかるに、
開先面に塑性変形を加えることにより、その後の溶接に
おいて、その塑性変形部が溶接熱によつて再結晶を起
し、著く微細組織となり、高温割れが防止できる。その
深さは、溶接境界より0.05mm以上が有効である。
冷間塑性加工を加える方法は溶接開先面に塑性変形が残
るものであればいかなる方法でもよい。特にエアーハン
マによるタガネピーニングなどは簡便で、効果を十分発
揮する。
第2図は、本発明の溶接部の1例の金属組織の顕微鏡写
真である。すなわち、第2図は、オーステナイトステン
レス鋳鋼(SIS316)の溶接開先面にエアーハンマによる
ピーニング処理を施した後にSUS316系の被覆アーク溶接
棒を用いて溶接した溶接部の金属組織の顕微鏡写真、第
3図は、従来法のピーニング処理を施さずに溶接を施し
た後の溶接部の顕微鏡組織を示す。両者を比較して明ら
かなごとく、溶接前にあらかじめ溶接開先面にピーニン
グ処理を施した第2図の本発明の溶接熱影響部の組織は
微細な再結晶組織を呈している。もちろん、高温割れも
認められない。それに対して、第3図の従来法の溶接熱
影響部の組織は第2図のような微細組織は認められな
い。また第3図では溶接熱影響部と溶接金属に高温割れ
が発生している。
次に本発明の溶接方法を適用した高温用(温度600〜65
0、圧力300〜350kgf/cm2)蒸気タービンケーシングの溶
接構造と溶接施工について説明する。
主蒸気管の溶接は、オーステナイトステンレス鋳鋼であ
るため、オーステナイトステンレス鋳鋼同志の溶接構造
となる。主蒸気管は重量でC 0.03〜0.1%、Si 0.6〜1.3
%、Mn 1〜2%、Ni 11〜16%、Cr 14〜20%、Mo 2〜3
%及び残部Fe、又はこれにTi 0.1〜0.4%、Nb 0.05〜0.
3%、B 10〜60ppm、Al 0.010〜0.06%の1種以上を含む
ことが好ましい。この溶接施工は初めに溶接熱が加わる
開先面全面を塑性加工を施す。塑性加工は圧縮空気を用
いたタガネピーニング法が好ましい。シヨツトピーニン
グ法も好ましい。
次に開先面に塑性加工を施した後に、開先部を2〜5層
程度肉盛溶接を施す。あらかじめ、肉盛溶接を施すのは
溶接境界付近の割れなどの欠陥の有無を検査する際に、
検査が容易にするためである。開先肉盛溶接後は継手溶
接を実施する。
第4図は本発明の方法による溶接継手構造の1例を示す
概要図である。ここで符号20は被溶接材、9は肉盛溶接
部、10は継手溶接部を意味する。
溶接棒はフエライトを数%含む、オーステナイトステン
レス系の使用が好ましい。肉盛溶接及び継手溶接用溶接
棒は同一のものが好ましい。予熱は施さないことが好ま
しい。溶接パス間温度は150℃以下が好ましい。溶接後
は600〜650℃の応力除去焼なまし処理を施すのが好まし
い。
次に外部ケーシングと主蒸気管との溶接について説明す
る。
第5図は、本発明の溶接方法を適用した溶接継手構造の
1例を示す概要図である。第5図において、符号1と6
は第1図と同義であり、11は主蒸気管1の開先面の肉盛
溶接部、12は外部ケーシング6の開先面の肉盛溶接部、
13は継手溶接部を意味する。
主蒸気管1は前述した化学成分である。外部ケーシング
6は重量でC 0.08〜0.16%、Si 1.0%以下、Mn 0.5〜1.
5%、Ni 0.5%以下Cr 0.8〜1.8%、Mo 0.8〜1.5%、V
0.1〜0.3%、その他Al 0.01%以下、Ti 0.001〜0.02%
及びB 5〜10ppmを含み残部Feからなるものが好ましい。
不純物としてCuが入つて来るが0.4%以下が好ましい。
更に、本発明の溶接継手構造は外部ケーシング6の開先
面にニツケル基系肉盛溶接部12を有し、主蒸気管1の開
先面にニツケル基系肉盛溶接部11を有し、更に肉盛溶接
部12と11の間にNi基系継手溶接部13を有する。
外部ケーシングの開先面にNi基系肉盛溶接12を施すの
は、オーステナイト系ステンレス溶接棒の中でも特に炭
化物の安定性に優れているためであり、フエライト系鋼
に溶接してもその溶接境界部には脱炭層や浸炭層は形成
しない。
次に本発明の溶接継手構造における溶接施工法について
以下に説明する。
最初に主蒸気管1及び外部ケーシング6の開先面に肉盛
溶接11及び12を施す。主蒸気管1の開先部の肉盛溶接11
に際しては、先に述べたごとく、溶接割れ防止のため
に、あらかじめ、開先面全面に塑性加工を施す。塑性加
工はタガネピーニングが好ましい。ピーニング加工後は
ニツケル基系溶接棒を用いて、肉盛溶接11をする。他
方、外部ケーシング側の肉盛溶接12に対しては、予熱及
びパス間温度は100〜200℃が好ましい。上記溶接後は残
留応力除去及び溶接熱影響部の靭性向上のために応力除
去焼なまし処理を施す。なお、応力除去焼なまし処理前
の温度は100℃以上が好ましい。また、応力除去焼なま
し処理前に400℃、30分間保持程度の脱水素処理を施し
てもよい。応力除去焼なまし処理は630〜700℃、1時間
以上の条件であることが好ましい。以上の肉盛溶接11及
び12が終了後は継手溶接13を実施する。継手溶接は肉盛
溶接11及び12で用いた溶接棒と同じものが好ましい。予
熱は必要とせず、パス間温度は150℃以下が好ましい。
次に、主蒸気管の鋳造欠陥の溶接補修について説明す
る。鋳造欠陥は実機稼働中にき裂へ進展する恐れがある
ので、検査を十分行い除去する必要がある。第6図は欠
陥部の本発明の溶接方法による補修溶接構造の1例を示
す概要図である。
第6図において、符号1は主蒸気管、14は補修溶接部を
意味する。
本発明の補修溶接に際しては初めに、溶接熱が加わる面
及び開先面をタガネピーニングによつて、被溶接材に塑
性加工を施す。塑性加工後は補修溶接14を実施する。溶
接棒はオーステナイト系ステンレス溶接棒又はNi基系溶
接棒が好ましい。予熱は必要とせず、パス間温度は150
℃以下が好ましい。また、600〜650℃程度の後熱処理を
施すことが好ましい。
次に、本発明の溶接欠陥部の補修溶接について説明す
る。溶接欠陥の補修溶接は欠陥を除去後、第6図の鋳造
欠陥補修に準じて実施するのが好ましい。
〔発明の実施例〕
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、
本発明はこれら実施例に限定されない。
なお、第7図及び第8図は、本発明及び比較例の溶接部
の高温割れ試験の結果を示すグラフである。
実施例1 本発明の塑性加工と溶接割れとの関係を検討するため下
記の実験を実施した。
第1表に実験に用いた被溶接材の化学組成を示す。
被溶接材は高周波大気溶解炉で溶製した。SUS316オース
テナイト系ステンレス鋼である。熱処理は1100℃、2時
間保持後水冷である。
第2表は実験に使用した溶接棒及び溶着金属の化学組成
を示す。溶接棒は市販のSUS316L及びNi基系溶接棒3.2φ
を用いた。
実験に用いた試験片形状は板厚100mm、板幅130mm、長さ
400mmである。溶接は試験片全面を空気圧によるタガネ
ピーニング処理後2層肉盛溶接で行つた。なお、予熱は
せず、パス間温度は100℃以下である。
第7図はピーニング時間(秒/cm2、横軸)及び圧力(kg
/cm2、縦軸)と溶接高温割れとの関係を示すグラフであ
る。ピーニング時間が5kg/cm2と高くてもピーニング時
間が0.3秒/cm2では高温割れが発生していた。割れは第
3図に示したごとく、溶接金属と母材にまたがつた高温
割れであつた。他方、ピーニング時間が0.5秒/cm2以上
であれば高温割れは認められなかつた。溶接部のミクロ
組織は第2図に示したが、溶接熱影響部はピーニング処
理により塑性変形を受け、その後の溶接熱によつて再結
晶していることが明らかである。
以上の結果、本発明によれば溶接棒がSUS316L及びNi基
系共にピーニング時間を0.5秒/cm2以上施せば溶接割れ
は防止できることが明らかである。
第8図はピーニング加工に伴つて生じる再結晶深さ(m
m、縦軸)及びピーニング時間(秒/cm2、横軸)と割れ
との関係を示すグラフである。
この結果、割れは再結晶深さが0.05mm以上であれば発生
しない。すなわち、本発明の溶接割れを防止するために
は、溶接熱影響部の再結晶深さを0.05mm以上にさせるよ
う被溶接材開先面を塑性加工すればよいことが明らかで
ある。
実施例2 次に本発明の継手溶接部の継手強度試験を実施した。共
試材としては第1表に示した化学成分のSUS316鋳鋼と第
3表に示す化学成分のCr−Mo−V鋳鋼を用いた。
溶接継手試験片の形状は板厚50mm、板幅100mm、長さ300
mmである。開先形状は45゜とした。
溶接方法はまず第3表に示したCr−Mo−V鋳鋼の開先部
に第2表で示したNi基溶接棒を用いて、3層の肉盛溶接
を行つた。その時の予熱及びパス間温度は150℃であ
る。溶接後は690℃、8時間保持の応力除去焼なまし処
理を実施した。他方、第1表のSUS316鋳鋼の開先面の肉
盛溶接施工法は、まず初めに溶接開先面全面をタガネピ
ーニングを施した後に、Ni基溶接棒を用いて、3層肉盛
溶接を行つた。ピーニングは圧力:3kg/cm2及びピーニン
グ時間3秒/cm2の条件で実施した。肉盛溶接は予熱は施
さず、パス間温度100℃以下で実施した。次に両者の肉
盛溶接後、継手溶接を行つた。継手溶接に用いた溶接棒
は上記肉盛溶接に適用したものと同じNi基系溶接棒であ
る。溶接施工は予熱を施さず、パス間温度150℃以下で
実施した。
以上の溶接試験片より、継手溶接面検査用の試験片を採
取し、顕微鏡により割れの有無を検査した。その結果、
本発明の溶接継手には割れは認められなかつた。
次に、継手溶接部の継手溶接クリープ試験を実施した。
試験片の形状は平行部直径10φ及び長さ50mmであり、平
行部内にCr−Mo−V鋳鋼、溶接金属及びSUS316鋳鋼が入
るようにした。
クリープ破断試験の結果、破断位置は全てCr−Mo−V鋳
鋼母材であつた。550℃、10分時間クリープ破断応力は1
0.5kg/cm2であつた。実機のCr−Mo−V鋳鋼の溶接継手
付近の温度は550℃であり、その所の設計クリープ破断
応力は550℃、10万時間で10kg/cm2である。本結果は設
計応力を満足している。
以上の結果、本発明の異材溶接構造及び接合方法はSUS3
16系鋼主蒸気管材とCr−Mo−V鋳鋼外部ケーシングの溶
接に適していることが明らかである。また、本発明によ
れば蒸気タービンの作動源として温度600〜650℃、圧力
352kg/cm2の高温蒸気タービンに適していることが明ら
かである。
なお、高温部材にピーニング処理を施す方法は既に特開
昭56−148602号で開示されている。しかし、その方法は
Cr−Mo−V鋼系ロータ材のキー溝内にピーニングを施し
て表面に圧縮残留応力を発生させて応力腐食割れを防止
する方法であり、本発明のステンレス鋳鋼の溶接開先面
をピーニング処理を施し、溶接熱影響部を再結晶組織に
させて、高温割れを防止する方法とは根本的に異なる。
実施例3 次に本発明の主蒸気管の継手溶接構造の実験を実施し
た。継手溶接母材は第1表のSUS316系鋼の継手であり、
溶接棒には市販のSUS316L溶接棒を用いた。試験片の形
状は、前記の実施例と同一である。溶接方法として、1
つは一般に行われている溶接のごとく、直接SUS316鋳鋼
をSUS316L溶接棒で溶接するものである。もう1つは本
発明の溶接構造であり、実施例1の溶接割れの防止でき
る発明条件で実施したものである。すなわち、本発明の
実施例は、溶接熱が加わる溶接開先面に塑性変形を加え
るためにタガネピーニングを施し、その後両溶接開先面
に5層の肉盛溶接を施してから継手溶接を行つた。ピー
ニング条件は圧力:3kg/cm2、時間:3秒/cm2である。肉盛
溶接及び継手溶接は予熱を施さず、パス間温度150℃以
下で行つた。
以上の溶接試験片より、継手溶接継面検査用の試験片を
採取し、顕微鏡により割れの有無を検査した。その結
果、本発明の溶接部には全く溶接割れは認められなかつ
た。しかし、本発明との比較溶接材には溶接境界部に割
れが認められた。
次に継手溶接部のクリープ破断試験を実施した。なお、
本発明との比較溶接材においては溶接割れのない位置よ
り、継手クリープ試験片を採取した。第4表にそのクリ
ープ破断試験結果を示す。
その結果、本発明の650℃、105時間クリープ破断強度は
10.8kg/mm2である。本溶接継手部の650℃、105時間クリ
ープ破断強度の設計要求値は10kg/mm2以上である。本発
明の溶接継手構造はそれを満足している。他方、本発明
の比較材は7.5kg/mm2で、設計要求値を満足しない。な
お、試験片の破断位置は本発明材が溶接金属であるのに
対して、比較材は溶接境界部からであつた。本発明材の
破断位置が溶接境界部からでなかつた要因は、あらかじ
め溶接開先部にピーニングによる塑性加工を加えたこと
により、その後の溶接熱により熱影響部が微細な再結晶
組織となるため、溶接境界部が強化されたものと推定さ
れる。
以上のように、本発明の溶接継手は溶接割れがなく、ク
リープ破断強度が著しく高いため信頼性が高く、実機へ
の適用に対して好適であることが明らかである。
〔発明の効果〕
本発明によれば、溶接割れが発生せす、蒸気温度600〜6
50℃、圧力300〜352kg/cm2の高温高圧下にさらされる蒸
気タービンにおいて溶接部の組織が安定で強度が高い優
れた効果が発揮される。
更に本発明のオーステナイトステンレス鋳鋼の溶接割れ
を防止するための、あらかじめ開先部に塑性加工を施す
方法においては、蒸気タービンの溶接構造物ばかりでな
く、必要であれば原子力、水力、化学機器の溶接構造に
使用してもなんら問題ない。
【図面の簡単な説明】
第1図は蒸気温度600〜650℃、圧力300〜350kg/cm2用蒸
気タービンの断面図、第2図は本発明の、第3図は従来
法の各溶接部の1例の各金属組織の顕微鏡写真、第4図
及び第5図は本発明の溶接方法を適用した溶接継手構造
の1例を示す概要図、第6図は欠陥部に本発明の溶接方
法を適用した補修溶接構造の1例を示す概要図、第7図
及び第8図は本発明及び比較例の溶接部の高温割れ試験
の結果を示すグラフである。 1:主蒸気管、2:伸縮管、3:プレード、4:ロータシヤフ
ト、5:内部ケーシング、6:外部ケーシング、7:異材溶接
部、8:同材溶接部、9、11及び12:肉盛溶接部、10及び1
3:継手溶接部、14:補修溶接部、20:被溶接材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福井 寛 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内 (72)発明者 志賀 正男 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内 (72)発明者 ▲吉▼田 武彦 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内 (72)発明者 金子 了市 茨城県日立市幸町3丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内 (72)発明者 小林 計 茨城県日立市幸町3丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内 (72)発明者 川上 正美 茨城県勝田市堀口832番地の2 株式会社 日立製作所勝田工場内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ロータ、内部ケーシング、外部ケーシン
    グ、及び主蒸気管を備え、かつ該内部ケーシング及び主
    蒸気管がオーステナイトステンレス鋳鋼により構成され
    た高温高圧蒸気タービンにおいて、その少なくとも一方
    がオーステナイトステンレス鋳鋼である同材又は異材の
    継手溶接部又は補修溶接部における溶接熱影響部の組織
    が、再結晶繊維であることを特徴とする高温高圧蒸気タ
    ービン。
  2. 【請求項2】少なくとも一方がオーステナイトステンレ
    ス鋳鋼である被溶接材を溶接する方法において、その溶
    接開先面を冷間塑性加工する工程、及び該加工後溶接を
    行う工程の各工程を包含することを特徴とする溶接方
    法。
  3. 【請求項3】該溶接を行う工程が、該塑性加工を施した
    溶接開先面に肉盛溶接層を設ける工程、次いで溶接材に
    より溶接する工程を含むものである特許請求の範囲第2
    項記載の溶接方法。
  4. 【請求項4】該塑性加工が、ピーニング加工である特許
    請求の範囲第2項又は第3項記載の溶接方法。
  5. 【請求項5】該ピーニング加工が、溶接開先面の単位面
    積当り0.5秒/cm2でピーニングを施すものである特許請
    求の範囲第4項記載の溶接方法。
JP6843585A 1985-04-02 1985-04-02 高温高圧蒸気タ−ビン及び溶接方法 Expired - Lifetime JPH0724938B2 (ja)

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