JPH07232734A - 合成樹脂製の運搬用パレット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】包装用のフィルムを剥がす作業を繰り返し行っ
ても、肉の盛り上がり等を発生させることがなく長期間
にわたり安定した姿勢で使用することのできる合成樹脂
製の運搬用パレットを提供する。 【構成】矩形平板状で、少なくとも片面を物品の載置面
として、この載置面上に物品を多段に積み重ねて周囲を
フィルム１２で包括的に包囲して物品の運搬あるいは管
理を行なうとともに、梱包を取り外すときには底面３の
四隅部に対角線状に熱線を押し当てて前記フィルム１２
を切断するようにした合成樹脂製の運搬用パレットにお
いて、熱線が押し当てられる底面の対角線に沿って、凹
条部７を形成したことを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は合成樹脂製の運搬用パレ
ットに関し、特に、搭載された物品を下部のパレットご
と熱可塑性樹脂からなるフィルムで包装して他の場所に
搬送する際に使用される合成樹脂製の運搬用パレットに
関する。

【０００２】

【従来の技術】例えば、流通業界では、木製のパレット
に代わって合成樹脂からなる運搬用パレットが広く使用
されている。

【０００３】この運搬用パレットは、木製のパレットと
略等しい大きさに形成されているが、木製のものに比べ
て耐久性に優れ長寿命であり、しかも作業者にとげ、さ
さくれなどを引き起こす虞がないので安心して作業する
ことができ、カビ、バクテリアなどの温床となる虞が少
ないという優れた利点を有している。

【０００４】このようなパレットを用いて、例えば、
缶、あるいは瓶などをまとめて運搬する場合がある。そ
の場合、これらの小物は、パレット上で転がる虞がある
ことから、従来、以下のようにして運搬していた。

【０００５】すなわち、例えば缶類を運搬する場合、先
ず、パレットの上に多数の缶を縦横に略整列させて配置
する。次いで、このように並べられた缶群の上にセパレ
ートシートを敷設し、缶群の上に平坦面を形成する。次
いで、この平坦面に２段目の缶群を縦横に略整列させて
配置する。さらに、この２段目の缶群の上にもセパレー
トシートを敷設する。

【０００６】以後、このような作業を繰り返し、全体と
してパレット上に例えば２０数段ほどの缶群の山を構築
する。こうして、幾段もの缶群を搭載した後、最上段の
缶群から最下端の缶群、およびこれらを搭載したパレッ
トに至るまで熱可塑性樹脂からなるフィルムで一体に包
み込む。これにより、荷崩れをおこし易い缶群の山は、
熱可塑性のフィルムで一体化され緊密に締め付けられる
ので、これらはパレット上で移動不能となる。

【０００７】したがって、これらの幾段もの缶群を以
後、一体化した荷として取り扱うことが可能となる。こ
のように物品をパレットごと包装する手段としては、従
来から張力を利用したストレッチ包装、熱を加えて収縮
させるシュリンク包装などの手段が知られている。

【０００８】一方、パレット上のこれらの荷を再度単品
として取り扱う場合には、搬送するために巻かれたフィ
ルムを、パレットおよび物品の周囲から取り外さなけれ
ばならない。この場合、従来は作業者がフィルムをカッ
ターで切断していたが、今日ではカバーフィルム自動剥
取器が普及され、この専用機械でフィルムの取外し作業
を行っている。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記フィル
ム自動剥取器によりフィルムを取り外す場合には、先ず
パレットを自動剥取器の作業台の上に載置し、この作業
台上でパレットの角部底面に対角線状に熱線を押し当て
てフィルムを切断する。そして、切断された部分から梱
包が解除されている。

【００１０】しかしながら、このようにしてパレットか
らフィルムを剥がす場合には、熱線を押し当てる部分が
一部分であっても、繰り返し使用していると熱線が当て
られる部分が軟化して変形し、その部分が盛り上がって
しまう。

【００１１】このようにパレットの下面が部分的に盛り
上がってしまうと、空パレットを何枚も重ねて管理した
ときに、安定した姿勢に管理することができない。ま
た、パレットの下面に部分的に盛り上がった部分がある
と、例えばローラーコンベヤを介してパレットごと他の
場所に物品を搬送する場合などに、パレットに不規則な
振動が発生し、その結果、積載した物品の荷崩れを引き
起こすなどの問題が生じていた。

【００１２】本発明は、上記実情に鑑み、包装用のフィ
ルムを剥がす作業を繰り返し行っても、肉の盛り上がり
等を発生させることがなく長期間にわたり安定した姿勢
で使用することのできる合成樹脂製の運搬用パレットを
提供することを目的としている。

【００１３】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明に係る合成樹脂製の運搬用パレットは、矩形平
板状で、少なくとも片面を物品の載置面として、この載
置面上に物品を多段に積み重ねて周囲をフィルムで包括
的に包囲して物品の運搬あるいは管理を行なうととも
に、梱包を取り外すときには底面の四隅部に対角線状に
熱線を押し当てて前記フィルムを切断するようにした合
成樹脂製の運搬用パレットにおいて、前記熱線が押し当
てられる底面の対角線に沿って、凹条部を形成したこと
を特徴としている。

【００１４】

【作用】上記構成による本発明に係る合成樹脂製の運搬
用パレットによれば、熱線が押し当てられる部分には予
め凹条部が形成されているので、熱線がパレットに接触
する虞が少なくなる。したがって、熱線によりパレット
が加熱されて肉が盛り上がってしまうこともない。

【００１５】

【実施例】以下、図面を参照しながら本発明に係る合成
樹脂製の運搬用パレットの一実施例を説明する。

【００１６】図１は本発明の一実施例による合成樹脂製
の運搬用パレットを示したものである。この実施例で
は、運搬用パレット１が、ポリプロピレン、ポリエチレ
ンあるいはポリオレフィンなどの適宜な合成樹脂から形
成されている。また外寸法は、１４４０ｍｍ×１１３０
ｍｍ×１４０ｍｍ程で、全体として矩形平板状に形成さ
れている。

【００１７】このような板状のパレット１は、一方の面
２が床面に配置され、他方の面３に物品が載置される。
しかし、実際にはこのパレット１は両面使用となってお
り、表裏面に特に違いは設けられていない。

【００１８】また、パレット１の相対向する一対の二側
壁間には、フォークリフトの爪をそれぞれ挿入できるよ
うに、フォーク差込み口Ａ、ＡおよびＢ、Ｂがそれぞれ
形成されている。そして、これらは貫通して形成されて
いるが、口元には円弧状のテーパが形成されており、作
業の迅速化に寄与している。

【００１９】このような２方向のフォーク差込み口が形
成されたパレット１は、第１の部材４と第２の部材５と
の２部材から構成されており、これら２部材は中心線Ｐ
で一体に接合されている。

【００２０】一方、パレット１の両面２、３には、積載
物、フォークの爪およびパレット同士の滑りを防止する
ため、各種ゴム製のグロメット６、６…６が埋設されて
いる。

【００２１】このように形成された運搬用パレット１の
両面２、３の四隅部には、凹条部７、７、７、７が対角
線状に形成されている。この凹条部７の大きさおよぶ深
さは、何ら限定されるものではない。

【００２２】本実施例による運搬用パレット１は上記の
ように形成されているが、以下に図２を参照しながらこ
の作用について説明する。今、パレット１は、中心軸２
０を中心に回転自在なテーブル８の上に載置されてい
る。そして、パレット１には、多数の缶群９がセパレー
トシート１０を挟んで、高さ方向に幾段にも積載されて
いる。

【００２３】パレット１上に多数の缶群９を積載した
ら、これらは公知のストレッチ包装機１１により自動あ
るいは半自動で包装される。その際、パレット１がテー
ブル８とともに回転され、フィルム１２は伸ばしながら
包装される。

【００２４】フィルム１１が上段から下段のパレット１
に至るまで巻き付けられると、フィルムの一部は積載し
た缶群９の角部などに引っ掛り、巻き緩みが防止される
とともに、全体を一つの荷としてまとめることができ
る。また、最下端のフィルム１２は、パレット１の底面
に折り返され、その周囲を覆うように引き回される。こ
れにより、フィルム１２の端部をパレット１に密に係止
させることができるので、運搬の途中にフィルム１２が
剥がれたりすることがない。

【００２５】一方、この状態にしてパレット１ごと所定
場所に搬送し、梱包を解く場合には、パレット１は図示
しない自動剥取器の作業台の上に載置される。この自動
剥取器の作業台には、パレットが置かれたときの四隅に
対応する位置に、下方から図３に示すような加熱手段１
３が出没自在に配置される。この加熱手段１３は、ニク
ロム線等の熱線１４を主体とするものである。加熱手段
１３は、いかなる構造であっても良いが、例えばこの自
動剥取器では、シリンダ１５とともに上下動するテーブ
ル１６が固定板１７から立設された２本のアーム１８、
１８に案内され上下動することでパレット１の下面２に
接近、あるいは離反する。

【００２６】このとき、熱線１４が接近したときのこの
熱線１４に対応するパレット１の下面２には予め凹条部
７が形成されているので、フィルム１２を切断した後の
熱線１４は凹条部７内に没入される。したがって、パレ
ット１の下面２が熱線１４で溶融されることはない。し
たがって、この周辺が熱で変形して盛り上がったりする
ことがない。

【００２７】このように、本実施例によれば、パレット
１を積載した物品とともにフィルムで覆い、このフィル
ムを自動剥取器で切除するように使用した場合であって
も、パレット１に変形が生じることはない。また、フィ
ルムを効率的に剥がすことができる。さらに、繰り返し
使用しても変形が生じていないので、空のパレットを積
載しても姿勢が崩れたりすることがなく、勿論、通常の
パレットとして用いても座りが悪くなることはない。

【００２８】以上、本発明の一実施例について説明した
が、本発明は上記実施例に何ら限定されない。例えば、
上記実施例では、線状の凹条部７を形成したが、この凹
条部は熱線１４の当接域をカバーする大きさであれば、
いかなる形状であっても良い。

【００２９】また、上記実施例では、両方の面２、３に
このような凹条部７を形成したが、片面使用のパレット
の場合には、その一方面に凹条部７を形成すれば良い。
さらに、上記実施例のように２部材を接合するものでは
なく、１部材からなるものにも勿論、適用することがで
きる。

【００３０】

【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る合成
樹脂製の運搬用パレットによれば、フィルム切断用の熱
線が当たる部分にのみ凹条部を設け、この凹条部に熱線
を逃がすようにしているので、パレット自体に変形が生
じたり、軟化した部分が盛り上がったりすることがな
い。したがって、包装用のフィルムを剥がす作業を繰り
返し行っても、肉の盛り上がり等を発生させることがな
く、長期間にわたり安定した姿勢で使用することができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本発明の一実施例による合成樹脂製の運
搬用パレットの概略を示す斜視図である。

【図２】図２は同実施例による運搬用パレットに積載し
た物品にフィルムを包装するときの説明図である。

【図３】図３は同実施例による運搬用パレットに積載さ
れフィルムで包装された物品からフィルムを剥ぎ取ると
きの説明図である。

【符号の説明】

１ 運搬用パレット ２、３ 面 ７ 凹条部 １２ フィルム

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】矩形平板状で、少なくとも片面を物品の載
   置面として、この載置面上に物品を多段に積み重ねて周
   囲をフィルムで包括的に包囲して物品の運搬あるいは管
   理を行なうとともに、梱包を取り外すときには底面の四
   隅部に対角線状に熱線を押し当てて前記フィルムを切断
   するようにした合成樹脂製の運搬用パレットにおいて、 前記熱線が押し当てられる底面の対角線に沿って、凹条
   部を形成したことを特徴とする合成樹脂製の運搬用パレ
   ット。