JPH07206139A - ベルトコンベヤの落荷回収装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 リターン側のベルトから剥がれ落ちる荷を自
動的に回収する。 【構成】 粉炭Ｃを搬送するベルトコンベヤのリターン
側に臨む下方に設けられ幅方向に傾斜する面部１１を有
した落炭受板１２と、落炭受板１２の傾斜面部１１下端
に設けられ落下して集まった落炭Ｃ₀ を長手方向に搬出
するためのスクリューコンベヤ１３とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、粉炭等の粉粒状の荷を
搬送するベルトコンベヤに備えられる落荷回収装置に関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】図９に示すように、石炭火力発電所など
に設けられる粉炭搬送用のベルトコンベヤ１は、トラス
構造のガーダ２により例えば貯炭槽３からホッパ４まで
乗継部５を経由して延長され、建屋６及び支柱７により
ヘッド側が高くなるように傾斜した状態で構築されてい
る。ベルトコンベヤ１のヘッドプーリ８の位置には、ベ
ルトに付着した粉炭を落とすための水噴射ノズルやブラ
シなどが設けられている。またガーダ２には、ベルトコ
ンベヤ１に沿う平坦な落下防止板が設けられ、ベルトに
残った粉炭がリターン中に剥がれて地上にまで落ちるの
を防止するようになっている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところでその落下防止
板上には、粉炭の搬送が進行するに伴って落炭が堆積し
てゆくので、これが地上へ落ちることなどがないよう
に、作業者が定期的にガーダ２上に登って、この落炭を
回収するようにしていた。このため高所でしかも高速走
行しているベルトコンベヤの近傍での手作業が必要にな
り、危険で困難な仕事になると共に、省力化を図る上で
の課題になっていた。

【０００４】そこで本発明は、上記事情に鑑み、リター
ン側のベルトから剥がれ落ちる荷を自動的に回収できる
装置を新規に提供すべく創案されたものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、粉粒状の荷を
搬送するベルトコンベヤのリターン側に臨む下方に設け
られ幅方向に傾斜する面部を有した落荷受板と、落荷受
板の傾斜面部下端に設けられ落下して集まった荷を長手
方向に搬出するための搬出手段とを備えたものである。

【０００６】上記搬出手段は、リターン側のベルトに接
触して回転する動輪と、動輪から回転力を伝達されて駆
動されるスクリューコンベヤとで構成してよい。また上
記落荷受板は、傾斜面部に適宜打撃を与えて荷が下端へ
集まるのを促す集荷促進部材を備えることが好ましい。

【０００７】

【作用】上記構成によって、落荷受板は、リターン側の
ベルトに付着した荷が剥がれ落ちるのを受け、その傾斜
面部に沿わせて集める。搬出手段は、集まった落荷を長
手方向に送って回収する。

【０００８】搬出手段が動輪とスクリューコンベヤとで
成る構成によって、スクリューコンベヤはリターン側の
ベルトの走行に伴って回転駆動され、落荷を長手方向に
搬出する。また集荷促進部材を備えた構成によって、傾
斜面部に落ちた荷は速やかに集められる。

【０００９】

【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面に従って説
明する。

【００１０】図１は、本発明に係わるベルトコンベヤの
落荷回収装置の第一の実施例を示したものであり、粉炭
搬送用のベルトコンベヤに適用した場合を示している。
この落荷回収装置は、粉炭Ｃを搬送するベルトコンベヤ
のリターン側に臨む下方に設けられており、幅方向に傾
斜する面部１１を有した落荷受板たる落炭受板１２と、
その傾斜面部下端に設けられた搬出手段たるスクリュー
コンベヤ１３とにより主として構成されている。

【００１１】ベルトコンベヤは、傾斜したガーダ１４に
プーリ（図示せず）間で張架された無端ベルト１５が設
けられて構成され、粉炭Ｃを乗せるキャリヤ側のベルト
１５ａを支えるキャリヤローラ１６と、下方に折り返さ
れたリターン側のベルト１５ｂを支えるリターンローラ
１７とが長手方向に所定の間隔で設けられている。キャ
リヤローラ１６は、ベルト１５の幅方向に連ねられた三
本のローラで成り、キャリヤ側のベルト１５ａを適宜な
トラフ角で曲げて粉炭Ｃがこぼれないように保持してい
る。各ローラは、ガーダ１４の上部材１８にブラケット
１９，２０を介してそれぞれ軸支されている。リターン
ローラ１７は、幅方向に伸びた一本のゴムリング付きの
ローラで成り、ガーダ１４の側部材２１にブラケット２
２を介して軸支されている。

【００１２】落炭受板１２は、ベルト幅と略等しいか若
干大きい全幅を以てガーダ１４内に断面Ｖ字状に組み込
まれ、ベルトコンベアの全長に亘って設けられている。
そしてガーダ１４の側部材２１と下部材２３との間に掛
け渡された斜材２４によって、裏側から支持されてい
る。落炭受板１２の傾斜面部１１の水平からの傾斜角度
は、傾斜面部１１に乗った落炭Ｃ₀ が滑り落ちるよう
に、例えば50度程度となっている。傾斜面部１１の下端
には断面円弧状の樋２５が取り付けられ、落炭Ｃ₀の中
央収集部として形成されている。

【００１３】スクリューコンベヤ１３は、図２にも示し
たように、樋２５と平行に伸びたシャフト２６とシャフ
ト２６に取り付けられたネジ羽根２７とで成り、シャフ
ト２６が軸受２８を介して下部材２３に支持されてい
る。また樋２５は所定の間隔（例えば数ｍ毎）に開口さ
れており、これに貯留ホッパ２９が接続されている。す
なわちスクリューコンベヤ１３にて樋２５に沿って運ば
れてきた落炭Ｃ₀ を、貯留ホッパ２９に一時収容するよ
うになっている。

【００１４】図３及び図４に示すように、スクリューコ
ンベヤ１３は、本実施例にあってはリターン側のベルト
走行を駆動源として回転駆動されるようになっている。
その駆動機構は、リターン側のベルト１５ｂの上面に接
触して回転する動輪３０と、動輪３０の軸ロッド３１に
取り付けられたプーリ３２からスクリューコンベヤ１３
のシャフト２６に取り付けられたプーリ３３まで回転を
伝達する丸ベルト３４及び合計四個の中間プーリ３５，
３６，３７，３８とで構成されている。軸ロッド３１
は、ベルト１５の幅方向外方に延出して側部材２１に軸
支されている。軸ロッド３１のプーリ３２から丸ベルト
３４が渡される中間プーリ３５，３６はこれと平行に設
けられ、次に渡される中間プーリ３７，３８はベルト面
に垂直な支軸を有している。すなわち丸ベルト３４の経
路が側部材２１に沿う方向からスクリューコンベヤ１３
の径方向に沿う方向となるように転換している。これら
中間プーリ３５…３８の支軸は、側部材２１に回転自在
に支持されている。

【００１５】また本実施例にあっては、図５及び図６に
示すように、落炭受板１２の傾斜面部１１に、適宜打撃
を与える集炭（集荷）促進部材３９が設けられている。
この集炭促進部材３９は、傾斜面部１１の外側に係合す
る一対の回転円盤４０，４１と、回転円盤４０，４１の
回転軸４２を回転自在に支持する軸受部材４３とで成
り、回転軸４２の他端には丸ベルト４４を巻回させるた
めの溝５６が形成されて、前記動輪３０と同様にして回
転される動輪（図示せず）のプーリ４５から回転伝達さ
れるようになっている。回転円盤４０，４１には四個の
突起４６が周方向に等間隔に設けられ、回転によりこの
突起４６のみが傾斜面部１１を叩くようになっている。
そしてこれら回転円盤４０，４１はベルト１５の長手方
向に互いに隔てられ、位相がずれるように取り付けられ
ている。すなわち突起４６による打撃を交互に行うこと
により、落炭Ｃ₀ を落ち易くしている。軸受部材４３
は、側部材２１或いは下部材２３にブラケット４７を介
して支持され、回転軸４２を水平に保持している。

【００１６】このほかガーダ１４には、図１に示したよ
うに、ベルト１５の幅方向両側に張り出した横架材４８
が設けられ、この横架材４８上に、点検などの際にベル
トコンベヤの両側に沿って作業者が歩行できるように歩
廊４９，５０が設けられている。歩廊４９，５０の外側
には手摺５１，５２が設けられ、一方の手摺５２には非
常停止スイッチ用ワイヤ５３が取り付けられている。ま
た横架材４８の端部にはケーブルトレイ５４が設置され
ている。さらにガーダ１４の上端にはベルト１５を覆う
一部開閉式のドーム状のベルトカバー５５が設けられて
いる。

【００１７】次に本実施例の作用を説明する。

【００１８】駆動プーリの回転によりベルト１５が回行
されると、キャリヤ側のベルト１５ａに載置された粉炭
Ｃは例えば貯炭槽からホッパまで搬送される。そしてリ
ターン側のベルト１５ｂには、ヘッドプーリの近傍にて
取り除かれること無く残った粉炭Ｃが付着し、リターン
ローラ１７との接触などによって、リターンの途中で剥
離する。この粉炭Ｃは、落炭受板１２の傾斜面部１１上
に落ち、その傾斜に従って幅方向中央に寄せられ、下端
の収集部に集まる。集まった落炭Ｃ₀ は、リターン側の
ベルト走行で駆動されているスクリューコンベヤ１３に
て樋２５に沿って運ばれ、貯留ホッパ２９に一時保管さ
れた後、別途トラックなどにより搬出して、正規に搬送
された粉炭Ｃと一緒に利用される。また傾斜面部１１に
落ちた落炭Ｃ₀ のうち、途中で止まっていた落炭Ｃ
₀ は、回転円盤４０，４１による間欠的な打撃によって
傾斜面部１１から離れ、スクリューコンベヤ１３の位置
まで速やかに滑り落ちる。

【００１９】このように、リターン側のベルト１５ｂの
下方に断面Ｖ字状の落炭受板１２を設けて、その傾斜面
部１１によって集められた落炭Ｃ₀ をスクリューコンベ
ヤ１３にて搬出するようにしたので、リターン側のベル
ト１５ｂに付着して落下した粉炭Ｃを自動的に且つ確実
に回収することができる。すなわち危険な重労働であっ
た落炭回収の手作業を廃止することができ、安全性の向
上及び省人員化が達成される。

【００２０】また本実施例にあっては、スクリューコン
ベヤ１３をリターン側のベルト１５ｂにより回転される
動輪３０で駆動するようにしたので、集めた落炭Ｃ₀ を
搬出するための駆動源を別個に必要とせず、省エネルギ
ーに貢献できる。

【００２１】さらに落炭受板１２に回転円盤４０，４１
を備えたので、傾斜面部１１上に落ちた落炭Ｃ₀ を確実
に集めることができる。そしてこの回転円盤４０，４１
もリターン側のベルト１５ｂを利用して駆動されるよう
にしたので、省エネルギーの構成とすることができる。

【００２２】なおスクリューコンベヤ１３或いは回転円
盤４０，４１は常時駆動とせずに、一定の時間ごとに駆
動させるようにしてもよい。また回転円盤４０，４１の
形状は、図示例に限るものではなく、例えば偏心円盤や
多角形の回転盤を用いてもよい。さらにこの落炭促進部
材３９としては回転して叩くものに限らず、ピストン状
に往復移動して傾斜面部を叩くような構成としてもよ
い。そしてスクリューコンベヤ１３及び落炭促進部材３
９の駆動源を別個に設けて任意に作動させるようにして
も構わない。

【００２３】図７は、本発明の第二の実施例を示したも
のである。この実施例のベルトコンベヤは、ガーダ６１
がキャリヤローラ１６の位置まで囲うように形成されて
いるものであって、コンベヤ上方はガーダ６１の上端に
支持された平坦なシールベルト６２にて覆われている。
そして落炭受板６３は断面Ｗ型に形成され、計四面の傾
斜面部６４の下端は幅方向に二箇所となっている。この
下端収集部は断面Ｕ字状の樋６５にて区画され、この樋
６５のフランジ６６により落炭受板６３の全体がガーダ
６１の下部材６７（横架材６８）に実質的に支持されて
いる。

【００２４】図８に示すように、樋６５の長手方向上端
の位置には送水ポンプ６９が設置され、その吐出口に、
樋６５に水Ｗを注入するためのノズル７０が設けられて
いる。すなわち噴出される流水Ｗを搬出手段として、樋
６５に集められた落炭Ｃ₀ を下方に搬出するようになっ
ている。また樋６５の下流端にはフィルタ７１を備えた
水タンク７２が設けられ、樋６５に接続した排出管７３
から流出された落炭Ｃ₀ をフィルタ７１上に回収するよ
うになっている。この水タンク７１には圧送ポンプ７４
が備えられ、使用した水をパイプ７５により上流側に戻
すようになっている。この流水は、ヘッドプーリの近傍
に設けられる水洗い用の水を利用してもよい。

【００２５】このように落炭受板６３をＷ字状に形成し
たことで、傾斜面部６４の下端部分がガーダ６１の下方
に突き出すことがなく、余計なスペースを占めることが
ない。また落炭受板６３を下部材６７に支持させるよう
にしたので、斜材がないガーダに適用できる。そして流
水により落炭Ｃ₀ を長手方向に搬出するようにしたの
で、簡単な構成で回収できることとなり、コスト低減に
なる。この搬出用流体としては水のほかに、例えばエア
を用いることもできる。また流体とスクリューコンベヤ
とを併用して、落炭Ｃ₀ を搬出するようにしてもよい。
このほかの構成及び作用効果は前記第一の実施例と同様
であるので、同一の符号を付して説明を省略する。

【００２６】なお落炭受板の形状は、例示したＶ字状、
Ｗ字状とするほか、一面の傾斜面部により落炭を幅方向
一端に集めるようにしてもよいし、多数の傾斜面部を有
した波形にしてもよい。また以上実施例では粉炭を搬送
するベルトコンベヤを示したが、他の粉粒体を搬送する
ベルトコンベヤにも本発明は当然適用できる。

【００２７】

【発明の効果】以上要するに本発明によれば、次のよう
な優れた効果を発揮する。

【００２８】(1) 請求項１記載の構成によれば、リター
ン側のベルトから剥がれ落ちた荷を自動的に回収でき、
回収作業の省力化及び安全性向上が達成される。

【００２９】(2) 請求項２記載の構成によれば、落荷を
長手方向に確実に搬出できると共に搬出のための駆動源
が不要になって、省エネルギーが達成される。

【００３０】(3) 請求項３記載の構成によれば、落荷受
板上に落ちた荷を確実に集めて搬出することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係わるベルトコンベヤの落荷回収装置
の第一の一実施例を示した正面断面図である。

【図２】図１の側断面図である。

【図３】図１の他の正面断面図である。

【図４】図３の駆動伝達系を示した側面図である。

【図５】図１の集炭促進部材を示した側面図である。

【図６】図５の側面図である。

【図７】本発明の第二の実施例を示した正面断面図であ
る。

【図８】図７の要部側面図である。

【図９】ベルトコンベヤの全体を示した側面図である。

【符号の説明】

１１ 傾斜面部 １２ 落炭受板（落荷受板） １３ スクリューコンベヤ（搬出手段） １５ ベルト １５ｂ リターン側のベルト ３０ 動輪 ３９ 集炭促進部材（集荷促進部材） ４０，４１ 回転円盤 Ｃ 粉炭（粉粒状の荷） Ｃ₀ 落炭（リターン側のベルトから剥がれ落ちた荷）

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 粉粒状の荷を搬送するベルトコンベヤの
   リターン側に臨む下方に設けられ幅方向に傾斜する面部
   を有した落荷受板と、該落荷受板の傾斜面部下端に設け
   られ落下して集まった荷を長手方向に搬出するための搬
   出手段とを備えたことを特徴とするベルトコンベヤの落
   荷回収装置。
2. 【請求項２】 上記搬出手段が、リターン側のベルトに
   接触して回転する動輪と、該動輪から回転力を伝達され
   て駆動されるスクリューコンベヤとで成る請求項１記載
   のベルトコンベヤの落荷回収装置。
3. 【請求項３】 上記落荷受板が、その傾斜面部に適宜打
   撃を与えて荷が下端へ集まるのを促す集荷促進部材を備
   えた請求項１又は２に記載のベルトコンベヤの落荷回収
   装置。