JPH07205313A - Frp製管状体の製造装置および製造方法 - Google Patents

Frp製管状体の製造装置および製造方法

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JPH07205313A
JPH07205313A JP6014012A JP1401294A JPH07205313A JP H07205313 A JPH07205313 A JP H07205313A JP 6014012 A JP6014012 A JP 6014012A JP 1401294 A JP1401294 A JP 1401294A JP H07205313 A JPH07205313 A JP H07205313A
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mandrel
fiber bundle
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reinforcing fiber
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Yasuyuki Toyoda
靖之 豊田
Yukitane Kimoto
幸胤 木本
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 樹脂含浸後の強化繊維束を、幅変動やローラ
への巻付きを生じることなく、マンドレルまで安定して
案内し、FRP製管状体の品質向上および生産の安定化
をはかる。 【構成】 樹脂含浸強化繊維束12をマンドレル19へ
と送るフィードローラ14bが鼓形に形成され、樹脂含
浸バス9からフィードローラ14までのガイド13a、
13b、13cのうち少なくともマンドレル19側のガ
イド13cが固定ガイドに構成されているFRP製管状
体の製造装置、および製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、FRP(繊維強化プ
ラスチック)製管状体の製造装置および製造方法に関
し、とくに、フィラメントワインディング成形法による
FRP製管状体の製造装置および製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】樹脂含浸バスで強化繊維束に樹脂を含浸
し、樹脂含浸強化繊維束を回転中のマンドレルに所定の
角度で巻きつけていく、いわゆるフィラメントワインデ
ィング成形法と呼ばれるFRP製管状体の製造方法が知
られている。この成形法においては、通常、樹脂含浸バ
スとマンドレルとの間に、樹脂含浸強化繊維束を案内す
るガイドローラ(ガイド手段)と、マンドレル直前に、
マンドレルの所定の位置に所定の角度で樹脂含浸強化繊
維束を巻き付けるためのフィードローラが設けられてい
る。そして、ガイドローラは、通常(フリー)回転ロー
ラからなっており、フィードローラは、通常、案内する
強化繊維束がローラ面から脱落しないように、両端部に
鍔を有するストレートロールからなっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のよう
な従来の装置には、以下のような問題がある。まず、鍔
付ストレートロールを用いているために生じる問題につ
いて説明する。図6に示すように、フィードローラとし
て鍔付ストレートロール101を用いて樹脂含浸強化繊
維束102をマンドレル103へと案内する場合、フィ
ードローラ101の給糸位置Aと、マンドレル103へ
の巻付け位置Bとがz軸方向に異なるため、張力により
上向きの力Fが作用し、強化繊維束102がフィードロ
ーラ101の端部に押しやられ、鍔101aに当接す
る。その結果、強化繊維束102の幅が変動したり、強
化繊維束102がフィードローラ101に巻き付いたり
することがあり、品質上、生産上の問題を生じる。
【0004】また、ガイドローラが回転ローラからなっ
ているために生じる問題は、案内する強化繊維束が樹脂
含浸後のものであるため、ローラ表面への粘着力が高く
なっており、張力変動や速度変動等により、回転ローラ
に巻き付きやすいということである。回転ローラへの巻
付きが生じると、生産続行は不可能となる。
【0005】この発明の目的は、上記のような従来のフ
ィラメントワインディング成形法における問題点を解決
し、樹脂含浸後の強化繊維束を、幅変動やローラへの巻
付きを生じることなく、マンドレルまで安定して案内
し、究極的には、FRP製管状体の品質向上および生産
の安定化をはかることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明のFRP製管状体の製造装置は、強化繊維
束に樹脂を含浸する樹脂含浸バスと、樹脂含浸バスから
の樹脂含浸強化繊維束を案内するガイド手段と、マンド
レルの回転軸に沿う方向に往復移動しつつガイド手段か
らの樹脂含浸強化繊維束をマンドレル上へ送るフィード
ローラと、マンドレルを回転させ、フィードローラから
の樹脂含浸強化繊維束をマンドレル上に巻き取るマンド
レル回転駆動手段とを有し、かつ、前記フィードローラ
が鼓形に形成されていることを特徴とするものから成
る。
【0007】また、前記目的を達成するために、この発
明のFRP製管状体の製造装置は、ガイド手段部の改良
構造も提供する。すなわち、強化繊維束に樹脂を含浸す
る樹脂含浸バスと、樹脂含浸バスからの樹脂含浸強化繊
維束を案内するガイド手段と、マンドレルの回転軸に沿
う方向に往復移動しつつガイド手段からの樹脂含浸強化
繊維束をマンドレル上へ送るフィードローラと、マンド
レルを回転させ、フィードローラからの樹脂含浸強化繊
維束をマンドレル上に巻き取るマンドレル回転駆動手段
とを有し、前記ガイド手段は、樹脂含浸強化繊維束の送
り方向に配列された複数個のガイドからなり、かつ、少
なくともマンドレル側のガイドが固定ガイドからなって
いることを特徴とするFRP製管状体の製造装置であ
る。
【0008】さらに、この発明のFRP製管状体の製造
装置は、強化繊維束に樹脂を含浸する樹脂含浸バスと、
樹脂含浸バスからの樹脂含浸強化繊維束を案内するガイ
ド手段と、マンドレルの回転軸に沿う方向に往復移動し
つつガイド手段からの樹脂含浸強化繊維束をマンドレル
上へ送るフィードローラと、マンドレルを回転させ、フ
ィードローラからの樹脂含浸強化繊維束をマンドレル上
に巻き取るマンドレル回転駆動手段とを有し、前記フィ
ードローラが鼓形に形成されており、前記ガイド手段
は、樹脂含浸強化繊維束の送り方向に配列された複数個
のガイドからなり、かつ、少なくともマンドレル側のガ
イドが固定ガイドからなっていることを特徴とするもの
から成る。
【0009】上記フィードローラは、たとえば、樹脂含
浸強化繊維束の送り方向に配列された一対のローラから
なり、該一対のローラのうち少なくともマンドレル側の
ローラが鼓形に形成されている。
【0010】鼓形に形成されたフィードローラのローラ
面の曲率半径は、200〜500mm、好ましくは30
0〜400mmの範囲にあることが望ましい。
【0011】上記固定ガイドの表面には、例えば、梨地
クロムメッキ、フッ素樹脂被覆又はコーティング、セラ
ミック溶射等の低摩擦係数化処理が施されていることが
好ましい。
【0012】上述の如き装置を用いて、本発明に係るF
RP製管状体の製造方法は、樹脂が含浸された強化繊維
束をガイド手段によって案内し、ガイド手段からの樹脂
含浸強化繊維束をフィードローラを介してマンドレルへ
と送り、マンドレル上に樹脂含浸強化繊維束を巻き取っ
てFRP製管状体を製造するに際し、前記フィードロー
ラとして鼓形ローラを用い、樹脂含浸強化繊維束を該鼓
形ローラのローラ軸方向中央部に寄せながらマンドレル
へと送ることを特徴とする方法からなる。
【0013】また、本発明に係るFRP製管状体の製造
方法は、樹脂が含浸された強化繊維束をガイドによって
案内し、ガイドからの樹脂含浸強化繊維束をフィードロ
ーラを介してマンドレルへと送り、マンドレル上に樹脂
含浸強化繊維束を巻き取ってFRP製管状体を製造する
に際し、前記ガイドとして固定ガイドを用い、該固定ガ
イドで樹脂含浸強化繊維束をしごきながらフィードロー
ラへと送ることを特徴とする方法からなる。
【0014】
【作用】上述のこの発明に係るFRP製管状体の製造装
置および製造方法においては、フィードローラを鼓形に
形成することにより、フィードローラ上を案内される樹
脂含浸強化繊維束は、自身の張力により、ローラ軸方向
において中央部へと寄せられながら案内される。したが
って、両端部に脱落防止用の鍔を設ける必要がなくな
る。鍔がないので、鍔との接触による強化繊維束の幅変
動も生じなくなり、製品品質が安定する。さらには、フ
ィードローラ上での樹脂含浸強化繊維束の走行が安定す
るので、強化繊維束のローラへの巻付きも極めて生じに
くくなり、生産も安定する。
【0015】また、樹脂含浸バスとフィードローラとの
間においては、複数のガイドのうちの少なくともマンド
レル側のガイドが固定ガイド(つまり、回転しないガイ
ド)からなることにより、この固定ガイド部で樹脂含浸
強化繊維束がしごかれる。したがって、樹脂が含浸され
た強化繊維束から余分な樹脂が絞り取られ、最適な樹脂
含浸状態でフィードローラへと送られる。固定ガイドで
あるから、該固定ガイド上への樹脂含浸強化繊維束の巻
付きは基本的に生じない。また、固定ガイド表面に低摩
擦係数化処理を施しておくことにより、該ガイド上での
毛羽発生等も防止される。余分な樹脂が絞り取られ、最
適な樹脂含浸状態にされるから、この固定ガイド以降の
回転ローラ、たとえばフィードローラへの樹脂含浸強化
繊維束の巻付きも極めて生じにくくなり、安定した生産
状態が得られる。
【0016】
【実施例】以下に、この発明のFRP製管状体の製造装
置および製造方法の望ましい実施例を、図面を参照して
説明する。図1および図2は、この発明の一実施例に係
るFRP製管状体の製造装置を示している。図1におい
て、1は、強化繊維糸(例えば炭素繊維糸)を巻いたボ
ビン2を多数設置したクリールスタンドを示している。
クリールスタンド1の各ボビン2から繰り出された強化
繊維糸3は、所定本数引き揃えられて強化繊維束4とさ
れ、セパレートロール5へと送られる。強化繊維として
は、炭素繊維に限らず、たとえばガラス繊維、アラミド
繊維等を使用することが可能であり、これらを併用する
ことも可能である。
【0017】セパレートロール5は、本実施例では、実
質的に水平方向に延びる一対のフリー回転ロール6a、
6bと、その下流側の、実質的に上下方向に延びる一対
のフリー回転ロール7a、7bと、からなっている。こ
のセパレートロール5により、概ね所定断面形状に引き
揃えられた強化繊維束4は、フリー回転ローラからなる
ガイドロール8を介して樹脂含浸バス9へと導入され
る。
【0018】樹脂含浸バス9内には、FRP製管状体の
マトリクス樹脂となる、未硬化の樹脂10が収容されて
いる。マトリクス樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノ
ール樹脂、ポリイミド樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽
和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂を使用するが、他
の樹脂、たとえば、ポリアミド、ポリカーボネード、ポ
リエーテルイミド等の熱可塑性樹脂でもよい。
【0019】樹脂含浸バス9内には、本実施例では、回
転駆動される、あるいは、フリー回転の、ローラ11
a、11b、11cが設けられている。強化繊維束4
は、これら回転ローラ11a、11b、11c上を順次
案内され、バス9内で強化繊維束4に樹脂10が含浸さ
れる。
【0020】樹脂10が含浸された強化繊維束、つまり
樹脂含浸強化繊維束12は、ガイド手段13により、フ
ィードローラ14へと案内される。ガイド手段13は、
本実施例では3本のガイド13a、13b、13cから
なっており、樹脂含浸強化繊維束12は、これらガイド
13a、13b、13c上を順に案内される。
【0021】複数のガイド13a、13b、13cのう
ち、本実施例では、上流側の2本のガイド13a、13
bが、回転自在なローラに構成され、下流側(マンドレ
ル側)のガイド13cが固定ガイドに構成されている。
ただし、ガイド13a、13bも、固定ガイドに構成さ
れていてもよい。
【0022】ローラ13a、13b上には、たとえばゴ
ムからなるパッド15a、15bが設けられており、パ
ッド15a、15bは適当な押圧力で各ローラ13a、
13b上に付勢されている。このローラ13a、13b
の表面とパッド15a、15bにて、この間を通過する
樹脂含浸強化繊維束12をしごいて、余分な樹脂を絞り
取るようになっている。ただし、ローラ13a、13b
のみで、十分に余分な樹脂を絞り取ることができる場合
には、パッド15a、15bは必ずしも必要ではない。
【0023】固定ガイド13cの表面には、通過する樹
脂含浸強化繊維束12が粘着しにくいように、かつ、毛
羽等が発生しにくいように、低摩擦係数化処理が施され
ていることが好ましい。低摩擦係数化処理としては、前
述の如く、梨地クロムメッキ、フッ素樹脂被覆またはコ
ーティング、セラミック溶射等が挙げられる。
【0024】ガイド手段13からの樹脂含浸強化繊維束
12は、フィードローラ14へと案内される。本実施例
では、フィードローラ14は、樹脂含浸強化繊維束12
の送り方向に配列された一対のローラ14a、14bか
らなっている。一対のローラ14a、14bは、ブラケ
ット16に回転自在に支持されており、ブラケット16
は、キャリッジスタンド17に回転自在に支持されたシ
リンダ18上に固定されている。樹脂含浸強化繊維束1
2は、シリンダ18の中空部18aを挿通された後、一
対のフィードローラ14a、14bを介して、マンドレ
ル19上へと送られるようになっている。フィードロー
ラ14a、14bは、シリンダ18、キャリッジスタン
ド17とともに、マンドレル19の回転軸19aに沿う
方向に往復移動されるようになっている。
【0025】一対のフィードローラ14a、14bのう
ち、少なくともマンドレル19側のローラ14bのロー
ラ面は、図2に示すように、鼓形に形成されている。こ
の鼓形フィードローラ14bのローラ面の曲率半径R
は、200〜500mmの範囲、より好ましくは300
〜400mmの範囲に設定されている。図2において、
y軸はマンドレル19の回転軸方向を示しており、z軸
は垂直軸方向を示している。θは、樹脂含浸強化繊維束
12のマンドレル19上への巻付け角でかつ、ローラ1
4bのy軸に対する傾きを示している。
【0026】マンドレル19は、マンドレル回転駆動手
段20により、所定の回転速度で回転駆動される。マン
ドレル回転駆動手段20は、たとえばモータ、あるいは
モータと減速機との組合せ等からなっている。マンドレ
ル19上に所定の角度で所定の層数巻き付けられること
により、樹脂未硬化のFRP製管状体21が形成され、
樹脂を硬化させることにより、FRP製管状体21の成
形品が得られる。
【0027】上記のように構成された実施例装置におい
ては、クリールスタンド1から送り出されてきた強化繊
維糸3が、複数本引き揃えられて強化繊維束4が形成さ
れる。強化繊維束4は、セパレートロール5を通過した
後、ガイドロール8を介して樹脂含浸バス9内に導入さ
れる。樹脂含浸バス9内にて、強化繊維束4は、ローラ
11a、11b、11c上を案内されつつ、樹脂10が
含浸される。
【0028】樹脂10が含浸された強化繊維束12は、
ガイド13a、13b、13c上を順に案内されるが、
まず、ローラ13a、13bとパッド15a、15bと
の間を通過することにより、この部分で余分な樹脂が絞
り取られる。そして、固定ガイド13c上を通過するこ
とにより、この部分でしごかれて効率よく余分な樹脂が
絞り取られる。絞り取られた樹脂は、下方の樹脂含浸バ
ス9へと戻される。
【0029】樹脂含浸強化繊維束12から余分な樹脂が
絞り取られるので、樹脂含浸強化繊維束12の粘着力が
適当に弱められ、下流のフィードローラ14a、14b
への巻付きが防止される。
【0030】また、固定ガイド13cの表面に低摩擦係
数化処理を施しておけば、上記しごきによる毛羽等の発
生も抑えられる。
【0031】樹脂含浸強化繊維束12は、さらに、シリ
ンダ18の中空部18aを通してフィードローラ14
a、14bへと送られ、フィードローラ14bからマン
ドレル19上へと送られる。このフィードローラ14b
は、図2に示したように鼓形に構成されており、その両
端部に鍔は設けられていない。樹脂含浸強化繊維束12
は、無張力状態では、フィードローラ14b上を図2の
A−A方向に自由に移動し得るが、実際にはマンドレル
19上への巻付けに伴う張力が発生しているので、鼓形
ローラ表面のR形状に沿って、ローラ面長方向(A−A
方向)中央部へと寄せられる。この力は、フィラメント
ワインディング中常時、かつ自然に作用するものであ
る。
【0032】この力の作用により、樹脂含浸強化繊維束
12は,フィードローラ14b上では、常にローラ軸方
向の中央部を通過し、たとえ多少の変動があったとして
も、ローラ端部まで移動することはない。したがって、
ローラ端部に鍔がなくても、樹脂含浸強化繊維束12が
ローラ14b上から脱落することはない。鍔がないた
め、樹脂含浸強化繊維束12が鍔に当たることもなく、
それに伴う強化繊維束12の幅変動が生じることもな
い。また、前述の如く、樹脂含浸強化繊維束12からは
余分な樹脂が絞り取られており、かつ、鍔への当接に伴
う変動も生じないのであるから、フィードローラ14b
への巻付きは極めて生じにくくなる。
【0033】このように、樹脂含浸強化繊維束12の、
ガイド13a、13b、13c上への巻付きが防止さ
れ、フィードローラ14a、14b、とくにフィードロ
ーラ14b上での幅変動、巻付きが防止され、生産が安
定するとともに、マンドレル19上に形成されるFRP
製管状体21の品質が安定する。
【0034】なお、上記のフィラメントワインディング
成形においては、樹脂含浸強化繊維束12をマンドレル
19に巻き付ける際に、樹脂の温度を下げてその粘度を
上げることが好ましい。樹脂の粘度が低いと巻き込みボ
イド(気泡)を押し出しにくいが、粘度を上げて巻き付
け、径方向に圧力を加えることにより、容易にボイドが
外部に排出されるようになり、品質が向上する。
【0035】すなわち、熱硬化性樹脂においては、未硬
化の状態では、一般に図3に示すような特性を有する。
成形のため樹脂を硬化させる場合には、温度を上げて矢
印Bで示すように粘度を高めるが、上記においては、ボ
イド排出のため、矢印Cで示すように一旦温度を下げ、
粘度を上げるのである。温度を下げるには、マンドレル
への巻き付け直前に樹脂含浸強化繊維束12に冷風を吹
き付ければよい。また、注水による冷却も可能である。
【0036】また、フィラメントワインディング成形法
においては、所定径のマンドレル19上に樹脂含浸強化
繊維束12を巻き付けていくので、形成されるFRP製
管状体21は、内径律則で成形される。FRP製管状体
21は、現実には、外径の仕上り径が所定の径となるよ
うに要求されることが多い。これを達成するために、図
4に示すような方法が挙げられる。
【0037】すなわち、マンドレル19上に形成された
樹脂未硬化状態のFRP製管状体21の外表面に、複数
のローラ30(図示例では3本)からなる組合せローラ
を、それぞれFRP製管状体21の表面上に径方向に押
圧しながら、FRP製管状体21の回転軸に沿う方向に
走行させる。このとき、マンドレル19およびFRP製
管状体21は矢印方向に回転しているので、FRP製管
状体21の周方向には、FRP製管状体21の外表面と
各ローラ30の表面との間には滑りが生じる。各ローラ
30は、自身の回転軸を含む断面でみたとき、FRP製
管状体21の目標成形外径(目標仕上げ径)に相当する
円弧面を有している。
【0038】このように組合せローラ30を押しつける
ことにより、未硬化状態のFRP製管状体21の樹脂が
絞られ、押圧力およびFRP製管状体21表面上の走行
回数を調整することにより、外径律則の成形が可能とな
り、正確に目標とする外径仕上げ寸法が得られるように
なる。また、ローラ30の押圧により、巻き込まれてい
たボイドが排出され、成形されるFRP製管状体21の
強度が向上し、品質が向上する。
【0039】なお、ローラ30の表面仕上状態は、鏡面
仕上および梨地仕上のいずれでもよいが、切断糸等がロ
ーラ表面にもっていかれにくい点で、梨地仕上がより好
ましい。
【0040】さらに、図5に示すように、FRP製管状
体21の目標仕上径に相当する内径を有するリング40
を、たとえばキャリッジスタンド17と一体的に走行さ
せることもできる。樹脂含浸強化繊維束12は、リング
40に対し所定の角度を保ちながら接しつつ、マンドレ
ル19に巻き付けられていく。樹脂含浸強化繊維束12
は、リング40により樹脂が絞られながら巻き付けられ
ていくとともに、空気の巻き込みが抑えられる。また、
成形されつつある未硬化のFRP製管状体21の外径が
目標径近くになると、部分的に目標径をオーバーした部
分が生じたとしても、その部分はリング40によって絞
られ目標径に納められるので、最終的に外径律則の成形
が可能となり、目標とする仕上げ径が正確に得られる。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、樹脂含浸強化繊維束を、幅変動やローラへの巻付き
を生じることなく、安定した状態で、かつ適正な樹脂含
浸状態にてマンドレル上まで案内することができ、生産
の安定化、成形されるFRP製管状体の品質向上をはか
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るFRP製管状体の製造
装置の概略構成図である。
【図2】図1の装置のフィードローラ近傍の部分拡大正
面図である。
【図3】未硬化状態の熱硬化性樹脂の温度と粘度との関
係図である。
【図4】マンドレル上での好ましいFRP製管状体成形
法を示す概略縦断面図である。
【図5】マンドレル上での別の好ましいFRP製管状体
成形法を示す部分概略斜視図である。
【図6】従来の鍔付きフィードローラによる成形状態を
示す部分概略正面図である。
【符号の説明】
1 クリールスタンド 2 ボビン 3 強化繊維糸 4 強化繊維束(樹脂含浸前) 5、6a、6b、7a、7b セパレートロール 8 ガイドロール 9 樹脂含浸バス 10 樹脂 11a、11b、11c ローラ 12 樹脂含浸強化繊維束 13 ガイド手段 13a、13b ガイド 13c 固定ガイド 14、14a、14b フィードローラ 15a、15b パッド 16 ブラケット 17 キャリッジスタンド 18 シリンダ 18a 中空部 19 マンドレル 19a マンドレルの回転軸 20 回転駆動手段 21 FRP製管状体 30 ローラ 40 リング
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29L 23:00

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 強化繊維束に樹脂を含浸する樹脂含浸バ
    スと、樹脂含浸バスからの樹脂含浸強化繊維束を案内す
    るガイド手段と、マンドレルの回転軸に沿う方向に往復
    移動しつつガイド手段からの樹脂含浸強化繊維束をマン
    ドレル上へ送るフィードローラと、マンドレルを回転さ
    せ、フィードローラからの樹脂含浸強化繊維束をマンド
    レル上に巻き取るマンドレル回転駆動手段とを有し、か
    つ、前記フィードローラが鼓形に形成されていることを
    特徴とする、FRP製管状体の製造装置。
  2. 【請求項2】 強化繊維束に樹脂を含浸する樹脂含浸バ
    スと、樹脂含浸バスからの樹脂含浸強化繊維束を案内す
    るガイド手段と、マンドレルの回転軸に沿う方向に往復
    移動しつつガイド手段からの樹脂含浸強化繊維束をマン
    ドレル上へ送るフィードローラと、マンドレルを回転さ
    せ、フィードローラからの樹脂含浸強化繊維束をマンド
    レル上に巻き取るマンドレル回転駆動手段とを有し、前
    記ガイド手段は、樹脂含浸強化繊維束の送り方向に配列
    された複数個のガイドからなり、かつ、少なくともマン
    ドレル側のガイドが固定ガイドからなっていることを特
    徴とする、FRP製管状体の製造装置。
  3. 【請求項3】 強化繊維束に樹脂を含浸する樹脂含浸バ
    スと、樹脂含浸バスからの樹脂含浸強化繊維束を案内す
    るガイド手段と、マンドレルの回転軸に沿う方向に往復
    移動しつつガイド手段からの樹脂含浸強化繊維束をマン
    ドレル上へ送るフィードローラと、マンドレルを回転さ
    せ、フィードローラからの樹脂含浸強化繊維束をマンド
    レル上に巻き取るマンドレル回転駆動手段とを有し、前
    記フィードローラが鼓形に形成されており、前記ガイド
    手段は、樹脂含浸強化繊維束の送り方向に配列された複
    数個のガイドからなり、かつ、少なくともマンドレル側
    のガイドが固定ガイドからなっていることを特徴とす
    る、FRP製管状体の製造装置。
  4. 【請求項4】 フィードローラが、樹脂含浸強化繊維束
    の送り方向に配列された一対のローラからなり、該一対
    のローラのうち少なくともマンドレル側のローラが鼓形
    に形成されている、請求項1、2又は3のFRP製管状
    体の製造装置。
  5. 【請求項5】 鼓形に形成されたフィードローラのロー
    ラ面の曲率半径が200〜500mmの範囲にある、請
    求項1、3又は4のFRP製管状体の製造装置。
  6. 【請求項6】 固定ガイドの表面に低摩擦係数化処理が
    施されている、請求項2又は3のFRP製管状体の製造
    装置。
  7. 【請求項7】 樹脂が含浸された強化繊維束をガイド手
    段によって案内し、ガイド手段からの樹脂含浸強化繊維
    束をフィードローラを介してマンドレルへと送り、マン
    ドレル上に樹脂含浸強化繊維束を巻き取ってFRP製管
    状体を製造するに際し、前記フィードローラとして鼓形
    ローラを用い、樹脂含浸強化繊維束を該鼓形ローラのロ
    ーラ軸方向中央部に寄せながらマンドレルへと送ること
    を特徴とする、FRP製管状体の製造方法。
  8. 【請求項8】 樹脂が含浸された強化繊維束をガイドに
    よって案内し、ガイドからの樹脂含浸強化繊維束をフィ
    ードローラを介してマンドレルへと送り、マンドレル上
    に樹脂含浸強化繊維束を巻き取ってFRP製管状体を製
    造するに際し、前記ガイドとして固定ガイドを用い、該
    固定ガイドで樹脂含浸強化繊維束をしごきながらフィー
    ドローラへと送ることを特徴とする、FRP製管状体の
    製造方法。
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