JPH07202555A - 携帯機器用アンテナ装置及びその同調周波数測定方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 リモートコントロール装置の受信ユニット内
に組み込むことが容易なアンテナ装置を提供すること。 【構成】 平板状のアッパアンテナ１とこれに平行なロ
ーアアンテナ２とを設ける。そしてこれらを細い平板状
のリボンインダクタ３によって連結する。こうすればＬ
Ｃ共振回路によるアンテナが構成できる。リボンインダ
クタ３の調整片３ｃの長さを調整することによって、ア
ンテナの共振周波数を変化させている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は車両のドアの開閉等の遠
隔制御を行うリモートコントロール装置等の携帯機器に
用いられるアンテナ装置及びその同調周波数測定方法に
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来車両のドアロックアンロック等のリ
モートコントロール装置に用いられるアンテナとして
は、λ／４のダイポールアンテナやホイップアンテナ等
が用いられる場合がある。又車両に搭載されるラジオ用
のアンテナ、例えばロッドアンテナや熱線プリントアン
テナと共用したり、リモートコントロール装置に専用の
熱線プリントアンテナを用いたものが知られている。

【０００３】又一般的な携帯用のアンテナ装置として、
常川光一，「板状逆Ｆ形アンテナの帯域特性」昭和63年
電子情報通信学会春期全国大会 集等に示されている
ように、いわゆる逆Ｆ形アンテナが知られている。一般
的な逆Ｆ形アンテナでは、１枚の導体板をアンテナとし
て用い、その縦の長さと横の長さの和を使用波長に対し
て１／４波長の前後に選択するものである。

【０００４】特開昭61-41205号に示されているように、
接地導体板と平行に放射導体板と付加導体板とを平行に
配置し、これらの間を短絡ピンで連結して一方の導体板
に給電するようにしたアンテナ装置も提案されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかるに微弱電波を利
用するリモートコントロール装置に用いる場合には、電
波法により３２２ＭHz以下となるように周波数を選択す
る必要がある。逆Ｆ形アンテナを用いる場合には、例え
ば３００ＭHz帯ではアンテナエレメントの縦と横の和は
２５０mm必要であり、形状が大型化するという問題があ
った。又従来のラジオ用アンテナをそのままリモートコ
ントロール装置に適用した場合には、ラジオへの影響が
大きくラジオの感度が低下したりノイズが増大すること
があるという欠点があった。更に熱線プリントアンテナ
を使用する場合には、熱線の両端が車両のバッテリーの
正極端及び車両の接地端に接続されているため、受信感
度が低下してしまうという欠点があった。更に専用のプ
リントアンテナ等を使用する場合には、価格が上昇する
だけでなく取付けの作業が必要となる。更にこれらのア
ンテナと受信器とのマッチングをとるのは容易でないと
いう欠点もあった。又特開昭61-41205号では接地導体板
に平行に２枚の平面導体板が必要でこれらを連結する必
要があるため、構造が複雑になるという欠点があった。

【０００６】本願の請求項１の発明はこのような従来の
問題点に着目してなされたものであって、受信ユニット
内にアンテナを組み込むことにより車両に容易に搭載す
ることができるリモートコントロール装置用のアンテナ
装置を提供することを目的とする。又本願の請求項２の
発明は周囲の影響を受けずにこのアンテナの周波数を測
定できるようにすることを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本願の請求項１の発明
は、第１の平面導体板と、第１の平面導体板と所定間隔
を隔てて平行に配置された第２の平面導体板と、第１，
第２の平面導体板の端部間を連結する細い平板状のリボ
ンインダクタと、を有し、第１，第２の平面導体板のい
ずれかの一方の端部を給電点とすると共に、第１，第２
の平面導体板をアンテナ装置が用いられる電子機器の接
地部に接続しないようにしたことを特徴とするものであ
る。

【０００８】本願の請求項２の発明は、請求項１記載の
携帯機器用アンテナ装置において、給電点にディップメ
ータのコイル部を近接させ、そのディップ周波数に基づ
いてアンテナ装置の同調周波数を測定することを特徴と
するものである。

【０００９】

【作用】このような特徴を有する本願の請求項１の発明
によれば、第１，第２の平面導体板によってコンデンサ
が構成され、この平面導体板間をリボンインダクタを介
して接続している。このためインダクタンス分を有する
リボンインダクタと平面導体板とによってＬＣ共振回路
が構成され、これによってアンテナの共振周波数が定ま
り、アンテナとして作用することとなる。又請求項２の
発明では、ディップメータを用いて同調周波数を測定す
ることによりＬＣ共振回路の同調周波数が測定できる。

【００１０】

【実施例】図１は本実施例によるリモートコントロール
用のアンテナの形状を示す斜視図である。このアンテナ
は図示のように長方形状の第１の平面導体板であるアッ
パアンテナ１とこれに平行に配置された同一の形状を有
する第２の平面導体板であるローアアンテナ２とを含ん
で構成されている。そしてアッパアンテナ１とローアア
ンテナ２との間は、細長い板状導体板を折り曲げたリボ
ンインダクタ３によって接続される。このリボンインダ
クタ３は図２（ａ）に拡大図、（ｂ）にその展開図を示
すように、アッパアンテナ１に接続されるアッパＬ部３
ａ，ローアアンテナ２に接続されるローアＬ部３ｂから
成る主コイル部４と、アッパアンテナ１との間に接続さ
れる調整片３ｃから成り立っている。このリボンインダ
クタ３の主コイル部４の長さｄ１と調整片３ｃの長さｄ
２によってイインダクタンスが調整できる。

【００１１】ここでリボンインダクタ３の主コイル部４
の部分のインダクタ値はその長さと幅及び厚さや材質に
よって決定されており、ここでは例えば１３．３ｎＨと
する。さて図２に示すようにリボンインダクタ３は主コ
イル部４と調整片３ｃとが接続されているため、これを
直列接続体と見なすと、全体のインダクタンスＬ０は次
式で示される。 Ｌ０＝主コイル部４の固定Ｌ成分＋調整片３ｃの調整Ｌ
成分 ここで調整Ｌ成分のインダクタンスは、例えば調整片３
ｃの幅を４mm, 厚さを0.35mmとすると、その長さｄ２に
対するインダクタンスの変化は例えば図３で示されるも
のとなる。又アッパアンテナ１とローアアンテナ２との
間の静電容量をＣ０とする。そうすれば図１（ｂ）に示
す等価回路による共振周波数ｆは次式で示される。 ｆ＝１／（２π√（Ｌ０×Ｃ０）） ここでこのアンテナの調整片３ｃの長さｄ２を変化させ
ることにより、図１においてアッパアンテナ１の左端か
ら調整片３ｃまでの長さｄを変化させたときに、ディッ
プメータにより測定した共振周波数は図４のように変化
する。ここで曲線Ａに示す理論値と曲線Ｂの実測値とは
わずかにずれているが、ほぼ近い値が得られている。こ
のようにこのアンテナではＬＣ共振型アンテナになって
いると言える。

【００１２】図５はこのアンテナを用いた受信器の組立
構成図である。本図においてアッパアンテナ１０は図示
のような略正方形の導体板で構成されており、その三方
には下向きの脚部１０ａ〜１０ｄが配置される。又１０
ａと１０ｄの間の側壁には図示のように下向きに折り曲
げた折曲部１１を有している。この折曲部１１には、前
述したようにリボンインダクタの調整片３ｃと主コイル
部４のアッパコイル部３ａを構成する部材をあらかじめ
成形しておき、折り曲げ加工によって図示のように形成
する。ここで各脚部１０ａ〜１０ｄ及び折曲部１１の下
端は夫々中央部のみを突出させて、プリント基板１２の
開口に挿入するものとする。又このアッパアンテナ１０
の下方には、これと平行でほぼ同一の面積を持つローア
アンテナ１３を配置する。ローアアンテナ１３は図示の
ように略正方形の導体板であって、脚部１３ａ〜１３ｄ
を有している。更にリボンインダクタを構成する折曲部
１１に平行となるように折曲部１４を脚部と同様に形成
する。これらの脚部１３ａ〜１３ｄ及び折曲部１４の長
さはアッパアンテナ１０の脚部や折曲部１１のアッパコ
イル部の長さより短く、その先端に突片を形成しておく
ものとする。このアッパアンテナ１０及びローアアンテ
ナ１３の脚部１０ａ〜１０ｄ，１３ａ〜１３ｄ及びロー
アコイル部，アッパコイル部の先端をプリント基板１２
に形成された細長い開口に挿入してその突片の折り曲げ
加工を行う。ここで折曲部１１と１４の突片はプリント
基板１２の下面で折り曲げてアッパアンテナとローアア
ンテナとを電気的に接続するものとするが、他の脚部は
プリント基板１２の接地パターンとは接続せず、電気的
に浮かせておくものとする。

【００１３】さてプリント基板１２上には高周波の信号
を受信するＲＦモジュール１５や受信した信号を処理す
るＣＰＵ部１６等が実装されている。そしてこのＲＦモ
ジュール１５の高周波出力にローアアンテナ１３の脚部
１３ｄが給電点として接続される。

【００１４】このようにしてプリント基板１２の上部に
アッパアンテナ９，ローアアンテナ１０を固定して携帯
用受信器２１を形成する。この受信器２１は例えば車両
のリモートコントロール装置に用いられる受信器とする
場合には、アンテナ面を車両の外部に向けて固定するも
のとする。

【００１５】さて本実施例によるアンテナを含む受信器
２１を図６に上面図を示すように、ＴＥＭセル２２内に
配置し、シグナルジェネレータ２３（ＳＧ）から一定レ
ベルの信号を送信して受信器２１の受信レベルを測定し
た。ＴＥＭセル２２の他端は50Ωの終端抵抗によって終
端している。図７はこのときの入力周波数に対するＴＭ
セルでの受信感度を示すグラフである。本図に示すよう
にこのアンテナは周波数307.9 ＭHzで共振しており、図
の曲線において感度が３ｄＢ低下するポイントは295 Ｍ
Hz〜314 ＭHzと約20ＭHzとあり、共振周波数に対して６
％の帯域幅を有する。このように周波数の変化に対して
広い範囲で一定の感度が得られることが示される。この
周波数は前述したように調整面３ｃの長さを調整するこ
とによって変化させることができる。

【００１６】本実施例ではアンテナの共振周波数はディ
ップメータを用いて測定している。これは通常ＳＷＲが
最も１に近い周波数を共振周波数とするが、この場合に
は周囲金属の影響を受け易く、使用環境によっては正確
な共振周波数を測定することが難しくなる。そこでこの
ような影響を受け難いディップメータを用いて共振周波
数を測定し、リボンインダクタの調整片を調整すること
によってその共振周波数を調整するものとする。

【００１７】

【発明の効果】以上詳細に説明したように本発明のアン
テナ装置によれば、２枚のエレメントを用いて構成して
いるため、従来の逆Ｆ形アンテナに比べて大幅に小型化
することが可能となり、リモートコントロール装置等の
筐体内にアンテナを組み込むことができる。又アンテナ
を高帯域化することができ、更にラジオ用のアンテナや
熱線プリントアンテナ等を用いる必要がないため、取付
場所の問題がなく取付作業性を向上させることができ
る。更にアンテナと送受信器のマッチングをとる必要が
なく、使い易いアンテナとすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】（ａ）は本発明の一実施例によるリモートコン
トロール装置用アンテナの外観を示す斜視図、（ｂ）は
その等価回路を示す図である。

【図２】本実施例によるアンテナのリボンインダクタを
示す拡大図及びリボンインダクタの展開図である。

【図３】リボンインダクタの調整片の長さに対する調整
片のインダクタンスの変化を示すグラフである。

【図４】アッパアンテナの端部から調整片までの長さｄ
に対する共振周波数の変化を示す計算値及び実測値を示
すグラフである。

【図５】本発明によるアンテナを用いたリモートコント
ロール装置の受信器の組立構成図である。

【図６】本実施例の受信器の感度の測定状態を示す図で
ある。

【図７】本実施例のアンテナの周波数に対する感度特性
を示すグラフである。

【符号の説明】

１，１０ アッパアンテナ ２，１３ ローアアンテナ ３ リボンインダクタ ３ａ アッパＬ部 ３ｂ ローアＬ部 ３ｃ 調整片 ４ 主コイル部 １０ａ〜１０ｄ，１３ａ〜１３ｄ 脚部 １１，１４ 折曲部 １２ プリント基板 １５ ＲＦモジュール １６ ＣＰＵ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｈ０４Ｑ 9/00 ３０１ Ｂ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 第１の平面導体板と、 前記第１の平面導体板と所定間隔を隔てて平行に配置さ
   れた第２の平面導体板と、 前記第１，第２の平面導体板の端部間を連結する細い平
   板状のリボンインダクタと、を有し、 前記第１，第２の平面導体板のいずれかの一方の端部を
   給電点とすると共に、前記第１，第２の平面導体板をア
   ンテナ装置が用いられる電子機器の接地部に接続しない
   ようにしたことを特徴とする携帯機器用アンテナ装置。
2. 【請求項２】 請求項１記載の携帯機器用アンテナ装置
   において、前記給電点にディップメータのコイル部を近
   接させ、そのディップ周波数に基づいてアンテナ装置の
   同調周波数を測定することを特徴とするアンテナ装置の
   同調周波数測定方法。