JPH07197428A - 水理気象現象の改善方法及びその装置 - Google Patents

水理気象現象の改善方法及びその装置

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JPH07197428A
JPH07197428A JP5312330A JP31233093A JPH07197428A JP H07197428 A JPH07197428 A JP H07197428A JP 5312330 A JP5312330 A JP 5312330A JP 31233093 A JP31233093 A JP 31233093A JP H07197428 A JPH07197428 A JP H07197428A
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ザハロフ・ヴラヂーミル・マトヴェーヴィッチ
Nikolai Vasilievich Kariyaagin
カリャーギン・ニコライ・ヴァシーリエヴィッチ
Aleksei Alekseevich Parei
パレイ・アレクセイ・アレクセーヴィッチ
Valerij Ioganesovich Uibo
ウイボ・ヴァレーリー・イオガネソヴィッチ
Masaya Tanaka
正哉 田中
Shoichi Obata
正一 小幡
Okitada Hara
興忠 原
Katsuharu Yamamoto
克治 山本
Yukihiro Kamase
幸広 釜瀬
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 水理気象現象の改善方法及びその装置に係
り、少ない電力で広範囲の水理気象現象に対して影響を
及ぼし、霧や雲の消散を効果的に行なう。 【構成】 上下間隔を空けたコロナ放電線と制御電線と
に、直流高電圧を印加してコロナ放電に基づいて荷電粒
子を発生させるとともに、コロナ放電線及び制御電線の
電位で荷電粒子を駆動する電界を制御して、荷電粒子と
水分子等との吸着及び水滴化を集中的に行ない、潜熱分
のエネルギー放出によって上昇気流を発生させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、放電励起型水理気象現
象の改善方法及びその装置に係り、特に、霧及び雲の消
散、人工降雨、過度な降雨の予防等を図る技術に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】水理気象現象の中で、広範囲に霧が発生
した場合や、雲高が低い場合には、空港や道路等を閉鎖
して安全性を確保する等の対策が必要になり、その影響
が多大なものとなる。
【0003】霧には、低温時に発生する、いわゆる過冷
却霧(cold fog)と、常温で発生する、いわゆ
る温霧(warm fog)とがある。
【0004】過冷却霧を消散する手段としては、液体プ
ロパン等を過冷却霧に散布して氷晶核を形成し、周囲の
過冷却霧を衝突併合させて氷雪として落下させる冷却法
があり、これは、サラエボ冬季五輪において、空港や競
技会場等の霧を消散すべき区域に適用され、大きな効果
を上げた実績がある。
【0005】一方温霧を消散する手段としては、バー
ナ等によって空気を暖めて霧を蒸発させる熱的方法、
ヘリコプタや飛行機等から吸湿性物質を散布する吸湿
法、ヘリコプタの下降気流を利用する機械的方法等が
考えられているが、これらは以下のような課題を抱えて
いる。つまり、の方法の場合には、設備費並びにラン
ニングコストが非常に大きくなって経済性が損なわれ、
の方法及びの方法の場合には、霧が発生していると
きにヘリコプタや飛行機等を飛ばす危険性が伴うことに
なり、いずれの方法も実用性を満足させることができな
い。
【0006】一方、水理気象のうち、霧を積極的に消散
する手段として、実開昭64−32747号「霧液化消
去用静電ネット」が提案されている。この技術では、図
13に示すように、導電性細線11の両側に導電性ネッ
ト12,13を間隔をあけて並設し、導電性細線11に
高電圧を印加してコロナ放電を発生させ、帯電された霧
粒子を、接地電極とした導電性ネット12,13にクー
ロン力によって吸着せしめて、水滴として捕集するよう
にしたものであり、導電性細線11及び導電性ネット1
2,13を通過する霧粒子または近傍に介在する霧粒子
を少ない電力で消散し得るものと考えられる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、図13例の技
術であると、霧の消散範囲が導電性細線11及び導電性
ネット12,13の面と直交するごく狭い範囲に限られ
るとともに、濃霧発生時等にあっては霧が移動しないた
めに、霧の消散効率が低下する等の解決すべき点が残さ
れている。
【0008】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、少ない電力で広範囲の水理気象現象に対して能動的
に影響を及ぼし、霧や雲の消散を効果的に行なうことを
目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の複数の手段を提案する。請求項1に係る発明は、直流
高電圧をコロナ放電線に印加してコロナ放電を生じさ
せ、コロナ放電線の電界に基づいて駆動される荷電粒子
に、コロナ放電線と反対極性または同極性の直流高電圧
を印加して制御電線の電界に基づく影響を及ぼし、荷電
粒子を誘導して荷電粒子と大気中の水分とを吸着させる
ことにより、水分の凝結反応及び結合反応を生じさせる
水理気象現象の改善方法としている。請求項2に係る発
明は、直流高電圧をコロナ放電線に印加してコロナ放電
を生じさせ、コロナ放電線の電位とその下方の反対極性
の電位とでコロナ放電線の上方に電界の谷部を形成し、
該電界の傾斜によって荷電粒子を上方に誘導して荷電粒
子と大気中の水分とを吸着させることにより、水分の凝
結反応及び結合反応を生じさせる水理気象現象の改善方
法としている。請求項3に係る発明は、架線状態のコロ
ナ放電線と、該コロナ放電線の上方または下方に間隔を
空けておおむね水平に架線され格子状をなす制御電線
と、コロナ放電線及び制御電線に接続されこれらの間に
反対極性または同極性の直流高電圧を印加する電源装置
とを具備する構成の水理気象現象の改善装置としてい
る。請求項4に係る発明は架線状態のコロナ放電線と、
該コロナ放電線の下方に間隔を空けておおむね平行に配
されコロナ放電線よりも設置幅が大きく設定される制御
電線と、コロナ放電線及び制御電線に接続されこれらの
間に反対極性の直流高電圧を印加する電源装置とを具備
する構成の水理気象現象の改善装置としている。
【0010】
【作用】コロナ放電線に直流高電圧を印加すると、コロ
ナ放電線の近傍の電位傾度が大きくなることに基づいて
コロナ放電が生じる。コロナ放電によって生成された荷
電粒子は、コロナ放電線の周囲の電界に基づいて静電的
に各方向に駆動されるが、この際に、コロナ放電線の近
傍の制御電線に直流高電圧が印加されていると、コロナ
放電線による電界に影響を及ぼして荷電粒子の方向が変
化する。コロナ放電線に対して、水平ないし下方に駆動
される荷電粒子は、大気中の水分子(気体状態の水蒸
気)と吸引し合って結合し、粒が徐々に大きくなって最
終的には水滴として落下する。コロナ放電線に対して、
上方に駆動される荷電粒子にあっても、大気中の水分と
クーロン力に基づいて吸引し合うことにより、最終的に
は水滴となって落下する。荷電粒子が大気中の水蒸気と
結合すると、水の凝結反応が生じ、その結果、潜熱(凝
結熱)を放出する。この熱エネルギーは、荷電粒子の移
動範囲の空気媒体や水蒸気を加熱して膨張させ、気体の
上昇流を形成する。したがって、コロナ放電によって生
成された荷電粒子は、気体の上昇流に乗って上方へと運
ばれるとともに、上昇流に隣接する領域の水分と吸着し
合って、凝結、熱の放出、水滴化による水分の除去が繰
り返される。また、コロナ放電線の近傍には、その周囲
から気体の上昇流分に見合った流れが形成されて、新た
な気体(水分を含む空気)が補充される。一方、気体が
静止していると仮定した場合の荷電粒子の移動方向は、
電位の等高線と直交する方向となるので、制御電線に反
対極性の直流高電圧を印加して、コロナ放電線の上方に
電界の谷部を形成すると、谷部に荷電粒子が集積して、
水の凝結作用、気体の上昇流の発生、荷電粒子の上方へ
の送り込み作用、水分の除去等の作用が頻繁に行われ
る。なお、コロナ放電の際には、コロナ損に相当するエ
ネルギの供給が必要であるが、気体から液体への相変化
に基づく水の凝結熱エネルギの放出は、自然現象によっ
て蓄積されているものであり、このエネルギを引き出す
ことによって、供給エネルギに対して莫大なエネルギを
利用した気体の加熱を行なうことが可能となる。
【0011】
【実施例】以下、本発明に係る水理気象現象の改善装置
の第1実施例について、図1を参照して説明する。図1
にあって、符号1はコロナ放電線、2は支柱、3は電源
装置(直流高電圧発生装置)4は制御電線(上部制御電
線)、5は電圧調整器、6は制御電線(下部制御電
線)、7は補助電圧調整器、8は碍子である。
【0012】前記コロナ放電線1は、支柱2の中間高さ
に配された碍子8によって水平状態に架線され、図1例
では、同一高さに3本並列に配され、電源装置3にそれ
ぞれ接続されるとともに、許容される範囲で直径を細く
するように設定される。
【0013】前記電源装置3は、数万ボルト以上の正電
位及び負電位の選択が可能な複数の直流高電圧を、連続
的に発生させる能力を有するものが適用され、例えば、
電圧調整器5または補助電圧調整器7によって出力電圧
が制御される試験変圧器、整流器、平滑用コンデンサ
(蓄電器)、放電電流抑制用直列抵抗器の組み合わせ等
によって構成される。
【0014】前記上部制御電線4及び下部制御電線6
は、支柱2の頂部及び中間部にコロナ放電線1に上下間
隔を空けて碍子8によって水平状態にかつ格子状をなす
ように架線され、電源装置3に接続される。なお、形成
される電界が平等電界とみなし得る程度であれば、網目
を粗くしても、かつ、長方形や多角形の網目をなすもの
であってもよい。そして、コロナ放電線1、両制御電線
4,6は、例えば100m×100mの範囲、高さ6〜
7mの範囲に設定される。
【0015】図1例の装置の作動状況について説明する
と、装置の設置高さの範囲や装置の上方及びその近傍の
広い範囲における水理気象現象の改善、具体例として霧
の消散処理を所望する場合には、電源装置3を作動させ
て、コロナ放電線1及び両制御電線4,6に直流高電圧
を印加する。
【0016】コロナ放電線1の直径が十分に小さく、そ
の回りの電位傾度が数kV/cm以上である場合には、
コロナ放電によって荷電粒子(イオン、電子等)が発生
する。コロナ放電で生成された荷電粒子は、上下の両制
御電線4,6による電界の影響を受け、両制御電線4,
6が反対の極性の電位のときに加速度が大きくなる。
【0017】コロナ放電線1と下部制御電線6とが反対
の電位である場合には、コロナ放電線1で生成された荷
電粒子が下方に移動して、下部制御電線6に到達するま
での間に、荷電粒子が大気中の水分子(水蒸気)を捕捉
することにより凝結して、粒が徐々に大きくなることに
より、水滴となって地上に落下する。
【0018】コロナ放電線1と下部制御電線6とによっ
て形成される電界内で、荷電粒子の移動に基づいて水の
凝結現象が頻繁に生じると、潜熱分の凝結熱が放出され
てコロナ放電線1と下部制御電線6との空間で気体が膨
張して緩やかな上昇流が形成される。
【0019】そして、コロナ放電線1と上部制御電線4
とが反対の電位であることによって、その間に電界が形
成されると、コロナ放電線1で生成された荷電粒子が上
方に移動して、上部制御電線4に到達するまでの間で大
気中の水分と結合凝結する現象が生じる。
【0020】しかし、荷電粒子は、電界の等高線と直交
する方向の静電気によって緩やかに移動するため、上部
制御電線4が格子状に架線されている状況下では、一部
の荷電粒子が上部制御電線4に到達して吸着されるもの
の、残りの荷電粒子が格子状の目の近傍まで到達して停
滞すると考えられ、この際に上昇気流が格子の目を通り
抜けると、静電気による荷電粒子の弱い駆動力を上昇気
流による搬送力が上回って、荷電粒子の一部が上昇気流
に乗って大気中に放出される。
【0021】したがって、装置の上部制御電線4から上
方に離間した空間においても、搬送された荷電粒子と空
中水分との結合凝結現象と凝結エネルギの放出による気
体の膨張及び上昇力の付加現象と、水滴の生成による水
分の除去及び霧の消散現象が発生する。
【0022】なお、上昇気流は、荷電粒子が存在する範
囲では加速されて上空に到達する。
【0023】次いで、本発明に係る水理気象現象の改善
装置の第2実施例について、図2ないし図10を参照し
て説明する。これら各図にあっても、図1例と共通する
箇所には同一符号を付してあるが、図2に示すように、
制御電線6が1本のコロナ放電線1に対して下方に左右
間隔を空けて2本配される。2本の制御電線6は、取付
ブラケット9を上下させることによって、上下位置を調
整し得るとともに、取付ブラケット9から左右に伸した
取付アーム10の水平回転によって、左右間隔が調整し
得るように設定されている。図2において、上下方向の
寸法Hは、例えば1m、左右方向の間隔Lは、例えば
0.75mに設定され、これらは必要に応じて調整され
る。
【0024】図3は、支柱2を縦3列に複数並べた状態
を示している。この場合、各列について、図2に示すコ
ロナ放電線1及び2本の制御電線6が配される。各列の
幅寸法は例えば35m、列の長さは120mに設定され
る。
【0025】図4は、コロナ放電線1の改善例を示して
おり、機械的強度を考慮した導体1aに針状の突起1b
を多数配してなるものである。
【0026】図5に示すコロナ放電線1は、より線導体
1cの表面に針状またはけば立った状態の突起1bを多
数配してなるものである。
【0027】図6に示すコロナ放電線1は、機械的強度
を考慮した導体1aに複数の吊持線1dによって細線1
eを吊持状態に配したものである。
【0028】図7ないし図10は、図2に示す配置のコ
ロナ放電線1及び制御電線6に、条件の異なる直流高電
圧を印加した場合に形成される電界の電位分布(等高
線)を示している。これらの電位分布による荷電粒子の
駆動について以下検討する。ただし、基本的には、コロ
ナ放電、気相液相の相変化、水分子の凝縮の過程で電気
的に複雑な反応を呈するので、以下の説明は典型例を示
している。また、装置は、電位とその正負を任意に設定
できるものとする。
【0029】図7で示すコロナ放電線1が−50kV,
制御電線6が+75kVの条件下では、コロナ放電線1
の上方位置に電位分布の等高線が凹んだ状態の電界の谷
部Vが形成される。静電界による荷電粒子の駆動方向
は、電位分布の等高線と直交する方向となるので、例え
ば正の荷電粒子は、図7に実線の矢印で示す方向及び破
線の矢印の反対方向に駆動され、負の荷電粒子は、破線
の矢印の方向及び実線の矢印の反対方向となる。ここ
で、電界の谷部Vの部分に注目すると、正の荷電粒子の
一部が実線の矢印で示すように谷部Vに入り込む現象が
生じることが予測される。そして、谷部Vの近傍は、電
位傾度が小さくなっており、正の荷電粒子が負電位のコ
ロナ放電線1に吸引されにくい領域となっている。一
方、コロナ放電線1及び制御電線6の直径を細くする等
によって、これら各線1,6の電位傾度が高くなるよう
に設定されている場合には、各線1,6の近傍位置で多
量の正負の荷電粒子が生成され、特に、各線1,6を頂
点とする三角形の領域近傍で、各荷電粒子が水分を凝結
させることによる潜熱分のエネルギの放出、気体の加熱
膨張、上昇気流の発生が頻繁になると考えられる。この
ため、図7に白抜きの矢印で示すように、上昇気流が電
界の谷部Vに介在している各荷電粒子を巻き込んで上方
空間に順次搬送することにより、コロナ放電線1から離
間した上方空間においても、荷電粒子と水蒸気との吸着
による水の凝結、潜熱の放出、気体の温度上昇、上昇気
流の発生等の各現象が発生して、霧の消散作用が顕著に
なることが予測される。
【0030】図8に示すコロナ放電線1が−50kV,
制御電線6が+50kVの条件下では、図7例の電界の
谷部Vが明確に生じていないものの、正の荷電粒子の動
きが矢印で示すようになるので、その一部がコロナ放電
線1の上方空間に送り込まれ、上昇気流によって、電位
傾度が低く静電駆動力が小さくなっている部分の各荷電
粒子が、白抜き状態の上昇気流により、コロナ放電線1
の上方の大気中に放出される現象が比較的頻繁に生じる
と考えられる。
【0031】図9及び図10に示すコロナ放電線1が+
50kV,制御電線6が+75kV及び50kVの条件
下では、正の荷電粒子の流れが、実線の矢印で示すよう
に、ほぼ放射方向に放出されることになるとともに、コ
ロナ放電線1及び制御電線6の電位が同極性であること
により、その間の電位傾度が低くなるため、上昇流を利
用した荷電粒子の上方大気中への送り込みが、図7例や
図8例と比較して緩慢になると予測される。
【0032】したがって、図2例のような電線配置をし
た場合には、図7例のように、下方の制御電線6にコロ
ナ放電線1よりも電位が高くかつ極性の異なる高電圧を
印加することが効果的であると結論づけられ、この場合
にあって、制御電線6もコロナ放電を頻繁にする細線化
や突起の付与等の対策を行なうことが望ましい。
【0033】次いで、図11及び図12に基づき、図2
及び図3に示す装置を、水理気象現象に適用した実験例
について説明する。図11及び図12に示すように、視
程が2000mから1000mというように悪くなり、
かつ、雲高(雲の底部までの地上からの高さ)が175
mから90mというように低くなる状況下において、午
前9時15分に装置を作動させて、図7に基づく直流高
圧の印加によるコロナ放電、荷電粒子生成を行なったと
ころ、徐々に視程が良くなり、かつ雲高が高くなる現象
が現われた。そして、12時ないし13時の間装置を停
止して、13時に再び装置を作動させたところ、装置を
停止させた17時までの間、視程が5000m以上まで
良くなり、かつ、雲高が250mまで高くなる改善効果
が得られた。
【0034】
【発明の効果】本発明の水理気象現象の改善方法及びそ
の装置によれば、以下のような効果を奏する。 (1) コロナ放電線と制御電線とを上下間隔を空けて
配し、直流高電圧を印加してコロナ放電に基づく荷電粒
子を発生させるとともに、荷電粒子を駆動する電界をコ
ロナ放電線及び制御電線の電位で制御することにより、
荷電粒子流の強さと方向とを調整して多数の荷電粒子を
水分子等に結合させて水滴化し、霧の消散を静電界によ
る少ない電力供給で行なうことができる。 (2) 荷電粒子の移動を制御して、荷電粒子と水分と
の吸着凝結を集中的に行なわせるとともに、潜熱分の熱
エネルギの放出により、その近傍及び荷電粒子発生箇所
の近傍に上昇気流を発生させて、荷電粒子を上方の大気
中に送り込み、上昇流に隣接する領域まで水の凝結領域
を広げて、霧の消散範囲を拡大することができる。 (3) 上昇気流の発生にともなって、気体の入れ替え
を行ない、荷電粒子発生箇所等に新しい気体を供給する
ことにより、荷電粒子発生量を大きくすることができ
る。 (4) コロナ放電線に対して反対電位の直流高圧力を
下方の制御電線に印加し、かつ、制御電線を左右に広げ
て配することにより、コロナ放電線の上方に電界の谷部
を形成し、谷部に荷電粒子を集積して、水分の凝結、上
昇気流の発生、荷電粒子の上方への送り込み及びこれに
基づく水分の除去を集中させるとともに上下方向に延長
し、霧及び雲の消散効果を高めることができる。 (5) 上記により、霧及び雲を雨滴とすることによる
人工降雨を発生させることができるとともに、過度な降
雨が予想される場合に、予め水分を適宜場所で除去する
ことによる降雨量の制御等を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る水理気象現象の改善装置の第1実
施例を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る水理気象現象の改善装置の第2実
施例を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る水理気象現象の改善装置の第2実
施例の配置状況を示す平面図である。
【図4】図2に示すコロナ放電線の改善例を示す斜視図
である。
【図5】図2に示すコロナ放電線の他の改善例を示す斜
視図である。
【図6】図2に示すコロナ放電線の他の実施例を示す正
面図である。
【図7】図2に示すコロナ放電線及び制御電線により−
50kV及び75kVを印加した場合の発生電界の等高
線図である。
【図8】図2に示すコロナ放電線及び制御電線により−
50kV及び50kVを印加した場合の発生電界の等高
線図である。
【図9】図2に示すコロナ放電線及び制御電線により5
0kV及び75kVを印加した場合の発生電界の等高線
図である。
【図10】図2に示すコロナ放電線及び制御電線により
50kV及び50kVを印加した場合の発生電界の等高
線図である。
【図11】本発明に係る水理気象現象の改善装置の作動
時における時間−視程関係図である。
【図12】本発明に係る水理気象現象の改善装置の作動
時における時間−雲高関係図である。
【図13】霧液化消去用静電ネットの従来例を示す斜視
図である。
【符号の説明】
1 コロナ放電線 1a 導体 1b 突起 1c より線導体 1d 吊持線 1e 細線 2 支柱 3 電源装置(直流高電圧発生装置) 4 制御電線(上部制御電線) 5 電圧調整器 6 制御電線(下部制御電線) 7 補助電圧調整器 8 碍子 9 取付ブラケット 10 取付アーム V 谷部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 593224717 パレイ・アレクセイ・アレクセーヴィッチ ロシア連邦・127844・モスクワ市・カレリ スキー・ブリヴァール・ドム・21−1・ア パート・34 (71)出願人 593224728 ウイボ・ヴァレーリー・イオガネソヴィッ チ ロシア連邦・141730・モスクワ州・ロブニ ャ市・ウーリッツア・チェーホフ・ドム・ 11・アパート・39 (71)出願人 000000099 石川島播磨重工業株式会社 東京都千代田区大手町2丁目2番1号 (72)発明者 ザハロフ・ヴラヂーミル・マトヴェーヴィ ッチ ロシア連邦・103050・モスクワ市・ヴォロ トニコフスキー・ペレウーロク・ドム・2 /11・アパート・47 (72)発明者 カリャーギン・ニコライ・ヴァシーリエヴ ィッチ ロシア連邦・129327・モスクワ市・ウーリ ッツア・チチェリン・ドム・8/1・アパ ート・41 (72)発明者 パレイ・アレクセイ・アレクセーヴィッチ ロシア連邦・127844・モスクワ市・カレリ スキー・ブリヴァール・ドム・21−1・ア パート・34 (72)発明者 ウイボ・ヴァレーリー・イオガネソヴィッ チ ロシア連邦・141730・モスクワ州・ロブニ ャ市・ウーリッツア・チェーホフ・ドム・ 11・アパート・39 (72)発明者 田中 正哉 東京都千代田区大手町二丁目2番1号 石 川島播磨重工業株式会社 本社内 (72)発明者 小幡 正一 東京都江東区豊洲三丁目1番15号 石川島 播磨重工業株式会社 東二テクニカルセン ター内 (72)発明者 原 興忠 東京都江東区豊洲三丁目1番15号 石川島 播磨重工業株式会社 東二テクニカルセン ター内 (72)発明者 山本 克治 東京都江東区豊洲三丁目1番15号 石川島 播磨重工業株式会社 東二テクニカルセン ター内 (72)発明者 釜瀬 幸広 東京都江東区豊洲三丁目1番15号 石川島 播磨重工業株式会社 東二テクニカルセン ター内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直流高電圧をコロナ放電線(1)に印加
    してコロナ放電を生じさせ、コロナ放電線の電界に基づ
    いて駆動される荷電粒子に、コロナ放電線と反対極性ま
    たは同極性の直流高電圧を印加して制御電線(4)の電
    界に基づく影響を及ぼし、荷電粒子を誘導して荷電粒子
    と大気中の水分とを吸着させることにより、水分の凝結
    反応及び結合反応を生じさせることを特徴とする水理気
    象現象の改善方法。
  2. 【請求項2】 直流高電圧をコロナ放電線(1)に印加
    してコロナ放電を生じさせ、コロナ放電線の電位とその
    下方の反対極性の電位とでコロナ放電線の上方に電界の
    谷部(V)を形成し、該電界の傾斜によって荷電粒子を
    上方に誘導して荷電粒子と大気中の水分とを吸着させる
    ことにより、水分の凝結反応及び結合反応を生じさせる
    ことを特徴とする水理気象現象の改善方法。
  3. 【請求項3】 架線状態のコロナ放電線(1)と、該コ
    ロナ放電線の上方または下方に間隔を空けておおむね水
    平に架線され格子状をなす制御電線(4)(6)と、コ
    ロナ放電線及び制御電線に接続されこれらの間に反対極
    性または同極性の直流高電圧を印加する電源装置(3)
    とを具備することを特徴とする水理気象現象の改善装
    置。
  4. 【請求項4】 架線状態のコロナ放電線(1)と、該コ
    ロナ放電線の下方に間隔を空けておおむね平行に配され
    コロナ放電線よりも設置幅が大きく設定される制御電線
    (4)と、コロナ放電線及び制御電線に接続されこれら
    の間に反対極性の直流高電圧を印加する電源装置(3)
    とを具備することを特徴とする水理気象現象の改善装
    置。
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