JPH0718925B2 - 放射性物質捕集型線量計 - Google Patents

放射性物質捕集型線量計

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JPH0718925B2
JPH0718925B2 JP60231208A JP23120885A JPH0718925B2 JP H0718925 B2 JPH0718925 B2 JP H0718925B2 JP 60231208 A JP60231208 A JP 60231208A JP 23120885 A JP23120885 A JP 23120885A JP H0718925 B2 JPH0718925 B2 JP H0718925B2
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【発明の詳細な説明】 〔発明の利用分野〕 本発明は、放射性物質捕集型線量計に係り、特にアルフ
ア(α)放射性物質で汚染した空気中の塵、気体分子ま
たはこれらの微粒子が表面に付着した物質の放射能濃度
を測定するのに好適な放射性物質捕集型線量計に関す
る。
〔発明の背景〕
原子力施設からはベータ(β)放射性物質及びガンマ
(γ)放射性物質と共にアルフア(α)放射性物質で汚
染した固体又は気体が発生する。このうち、α放射性物
質はヘリウム(He)を核とするイオン性物質であるた
め、飛距離が空気中でも20〜30mm程度と短い。従つて、
放射線量の測定は計測時の幾何的な影響を大きく受ける
と共に、ほとんどα放射性物質の表面部分から発生する
α放射線が測定されるだけである。このため表面積の大
きい平板状の放射線検出器ないしは膜状の放射線検出素
子が用いられている。主として安全性の観点から見る
と、α放射性物質が浮遊塵として飛散し易い状態にある
ときに注意を要するので、これに対処するためにα放射
性物質による表面汚染や空気汚染のモニタリングが必要
となる。従来、浮遊塵(ダスト)の放射能を測定する場
合は、ダストをろ過フイルタに吸引付着させて捕集する
か、または直流高電界場(30KV以上)負加した放電電極
部にダスト粒子を含む気体を導いてダスト粒子を帯電さ
せた後に帯電極性と逆の極性からなる捕集電極板にダス
トを付着させて捕集していた(静電気ハンドブツク、高
分子学会:p445〜地人書院(1966))。又は、すでに荷
電をおびているα放射性物質の気体であるラドンやトロ
ンそれらの崩壊生成核種を、直接1〜2KV負荷をかけた
電極板に捕集していた(エー・クハン アンド シー・
アール・フイリツプス:ヘルス フイジツクス,46巻,14
1〜149頁,1984年(A.Khan and C.R.Phillips:Health Ph
ysics,Vol46 p141〜149,1984))。しかるのち、これら
捕集ダストまたはミスト、さらに気体分子の放射能を放
射線検出器で計測し、捕集空気中の放射能濃度を求め
た。しかし、ろ過フイルタ法ではダスト粒子の捕集に時
間を要することと、ダスト粒子がろ材中まで入り込むの
で捕集効率を90%以上を維持することができても、放射
能計測時にろ材の奥に浸透したダスト粒子からのα放射
能を同じ効率で測定することができない。また、捕集量
が少なく、放射能濃度が低いときは長い計測時間を必要
とするので、サンプリング数が多いときは多数の放射線
検出器が必要になつた。一方、電気集塵法では、高電圧
を発生させるための装置が必要になるので、簡便に移動
させることが難しく、それを固定すれば多数の高電圧発
生装置を用いる必要がある。また、この方法でも捕集電
極に捕集したダスト粒子の放射能を計測するための放射
線計測器が必要である。しかも、サンプリング点が多
く、かつ低レベル放射能濃度の場合には計数時間が長く
なるので、複数の放射線検出器が必要になる。
以上述べたように、従来のダスト粒子の放射能濃度測定
法は、多数のサンプリング点でしかもサンプリング位置
が任意に変わるときには、モニタリングに要する時間が
長くなるとか、装置を何台も必要とするとかの欠点があ
つた。
他方、物体表面に付着したダスト粒子による物体表面汚
染を測定するには、従来はスミア法に基づきろ紙及び布
を用いて所定の表面積(10cm角)を拭きとり、ろ紙表面
の付着物の放射能を測定した。この場合も拭きとつた後
にそれぞれ放射能を測定する時間と手間を要した。ま
た、拭きとり時にも常に一定面積を一定の力で拭きとる
ことも必ずしも容易でなかつた。
前述の方法に代わるものとして高分子膜を直流高電圧
(約10KV)下で放電にかけ、内部分極及び表面帯電をさ
せたエレクトレツトを作成し、エレクトレツトと放射性
物質で汚染した被検体を密着又は接近させてエレクトレ
ツトの表面電荷密度の減衰率から被検体の汚染レベルを
測定する方法がある。しかし、この方法をダストやミス
ト等の粒子が浮遊する領域に適用すると、これらの粒子
がエレクトレツト材に付着して同様に表面電荷を減衰さ
せる現象があり、放射線によるものと粒子付着によるも
のとの判別が難しくなると云う問題があつた。
〔発明の目的〕
本発明の目的は、α放射性物質の捕集能力が大きくしか
も、低レベルのα放射線量を高感度で測定できる放射性
物質捕集型線量計を提供することにある。
〔発明の概要〕
本発明の特徴は、表面に静電気が帯電された透明なエレ
クトレットと、このエレクトレット内に混入され、前記
静電気により前記エレクトレットの表面に付着した放射
性物質の粒子から放出された放射線の照射により結晶格
子が不安定になってしかも外部エネルギの供給により前
記結晶格子が安定な状態になる時に光を発する線量検出
素子とを備えた放射性物質捕集型線量計にある。
静電気力などによつてα放射性物質を捕集する方法に発
明者等は着目した。本発明は、捕集器としてあらかじめ
高電圧下で放電をかけ分極帯電させた誘電性高分子材、
すなわちエレクトレツトの静電力によつてダストまたは
ミストなどの粒子を集塵する機能を利用している。また
本発明は、ダスト捕集材(例えば、エレクトレツト)中
に、放射線、照射後の積算線量を出力しうる線量計素子
を混合一体化させたものである。線量計素子の代表的な
ものは熱ルミネツセンス素子である。また、エレクトレ
ツト材として好適な材料はフツ素系高分子で、四フツ化
エチレン(TFE)、四フツ化エチレン・六フツ化プロピ
レン共重合体(FEP)やポリフツ化ビニリデン(PVDF)
などがあげられる。フツ素系以外でも例えばポリプロピ
レン(PP)も用いることが可能である。その他、帯電能
力を有する誘電体材が適用可能である。
上記の特徴を有する本発明は、表面に静電気が帯電され
た透明なエレクトレットのその静電気力により気体中の
放射性物質の粒子をエレクレットに捕集することがで
き、その粒子の捕集能力が著しく向上する。また、エレ
クトレットに捕集された放射性物質の粒子から放出され
るα放射線量がエレクレット内の線量検出素子により測
定でき、α放射線量の検出感度を向上できる。本発明で
は、α放射線量は、線量検出素子における結晶格子の不
安定の度合いに変換される。換言すれば、α放射線量
は、その結晶格子の不安定の度合いとして測定される。
特に、結晶格子が不安定になった線量検出素子を含むエ
レクレットを放射線のバックグランドが低い領域(例え
ば、自然界と同程度の放射線量である領域)に所定時間
放置することにより、線量検出素子における結晶格子の
不安定の度合いが、エレクトレットに捕集された全放射
性物質の粒子からのα放射線強度に対応する状態にな
る。このため、低レベルのα放射線量を高感度で測定で
きる。
〔発明の実施例〕
本発明の好適な一実施例を図面に基づて詳細に説明す
る。第1図は本実施例の熱ルミネツセンス線量計(以
後、TLDと称す。)素子の製作例を示す。ポリマー材と
してフツ素樹脂(例えば四フツ化エチレン−六フツ化プ
ロピレン共重合体樹脂、以後、FEPと称す。)の粉末又
はペレツトが、供給装置11内に充填される。TLD素子材
の粉末として硫酸カルシウム(CaSO4(Dy))が供給装
置12内に充填される。供給装置11内のFEP粉末及び供給
装置12内の硫酸カルシウムの粉末が、混合槽13内に供給
され、そこで2つの物質が混合される。混合槽13内で得
られた混合体は、スクリユー16の回転により加熱器14を
有する押出成型器15内に押込まれる。スクリユー16にて
押込まれた混合体は、加熱器14にて加熱される。この加
熱により混合体中のFEPが溶融する。FEPは、約270℃で
溶融する。溶融したFEP中に硫酸カルシウム粉末が混在
している溶融物が、押出された後、押出成型器15の出口
側に設けられた冷却器17により冷却され、さらにロール
18により延伸されると、硫酸カルシウムが混在したFEP
の高分子膜19ができる。この膜19の厚さは、押出成型器
15からの溶融物の押出し速度及びロール18による引張延
伸速度で制御される。第1図(B)は、このようにして
生成されたTLD素子材の粉末、すなわち硫酸カルシウム
粉末10が均一に分散されたFEPの高分子膜19の縦断面を
示している。高分子膜19の厚みは、α放射線を測定する
ときは、α線の膜材中飛程に従つて50μm程度にする。
しかし、膜材の強度や取扱い上の点から考えると、高分
子膜19の厚みは50〜100μmが適当である。得られた高
分子膜19中におけるTLD素子材10の含有率は、5%〜30
%(重量比)であり、感度を向上する場合にはその含有
率を高くする。
次に、この高分子膜19の表面に、第2図に示す放電装置
によつて表面を帯電させる。高分子膜19は、放電装置の
容器25内でしかも放電用電極22と対極板23との間に挿入
される。対極板23の下方にヒータ24が設けられている。
放電用電極22の極性は正、負いずれにすることも可能で
ある。仮に放電用電極22の極性を正にして空気中で20KV
/cm以下の電圧で放電されたとする。この場合、高分子
膜19の表面は正に帯電し、放電用電極22の対極板23は負
になる。しかし、この放電操作を室温で行つた場合は、
高分子膜19の表面に電荷は乗るが、安定かつ高い電荷密
度が得られない。したがつて、ヒータ24によつた高分子
膜19の難化温度まで加熱後、放電下で徐冷する。このよ
うな処理が行われた高分子膜19は、内部で分極が生じて
いる。このような状態は一般的にエレクトレツトと言わ
れている。更に、高分子膜19の表面電荷の経時変化に伴
なう消失を防ぐために、高分子膜19をアルミ箔などの導
電性の箔で覆つておけば、長期にわたつて高分子膜19は
高い表面電荷を保持できる。
高分子膜19を用いた放射線量の測定について以下に説明
する。高い表面電荷を保持した高分子膜19を第3図に示
すような集塵箱32内に設置する。モニタすべき浮遊ダス
トを含む空気をブロワ34を駆動することにより内に吸引
され、集塵箱32内に導かれる。吸引された空気中のダス
ト粒子は、集塵箱32内でエレクトレツトである波状の高
分子膜19(高分子膜19が波状の薄板サポートの両面に取
付けられている)に沿つて流れる間に高分子膜19表面の
静電気力により高分子膜19の表面に集塵される。高分子
膜19は、集塵箱32内で上下に配置された複数の細い棒に
交互に引掛けて波状に配置することもできる。高分子膜
19が波状に配置されることによつて、高分子膜19の表面
積が増加し、しかも空気の滞留時間が増加する。ダスト
を所定の吸引流量で所定時間の間採取したのち、この高
分子膜19を集塵箱32より取り出して自然界と同程度の放
射線量場又は低バツクグランド室に所定時間放置する。
所定時間放置する理由は、集塵箱32から高分子膜19を取
出した時点では高分子膜19に含まれたTLD素子が高分子
膜19の表面に付着したすべてのダスト粒子に含まれたα
放射性核種による影響を十分受けておらず、TLD素子へ
の全α放射性核種による影響を十分与えるためである。
高分子膜19に含まれたTLD素子は、α放射性核種から放
出されるα放射線により結晶格子が不安定な状態にな
る。前述の放置は、TLD素子の結晶格子の不安定な状態
が、全α放射性核種からのα放射線の強度に対応する状
態に至らせしめるためである。高分子膜19が放置時間中
の間に付着ダストのα放射線によつて受けた集積線量
(TLD素子の結晶格子の不安定度)を第4図に示すTLD読
取装置で測定する。まず、集塵箱32より取出して上記の
如く所定時間放置した高分子膜19を、遮光された暗箱59
内に設置する。その後、加熱器52で高分子膜19を加熱す
る。高分子膜19を加熱することによつて、それに含まれ
たTLD素子の不安定な結晶格子(歪んだ結晶格子)が安
定な結晶格子に変化する。この変化時に蛍光が発生する
のである。発生する蛍光量は、TLD素子の結晶格子の不
安定度(歪度)に比例し、不安定度が大きいと多くな
る。加熱過程において高分子膜19内に存在するTLD素子
から発生した蛍光量を光電子増培管55によつて測定する
とともに昇温過程の温度を熱電対54で測定する。光電子
増培管55で測定した蛍光量は昇温区間において積算器57
にて積分し、その積合量は表示器又は記録計58に出力さ
れる。昇温区間の判別は熱電対54の出力により行う。こ
の方法で得られたダストのα放射能が10−μCiであつ
たときの放置時間と集積線量の関係を第6図に示す。こ
のとき、ダストの捕集速度Dvは104cm3/分で、捕集時間
tは100分であつた。ダクトのα放射能濃度Cはこの場
合次式で求められる。
C=ε・Q/Dv・t ……(1) ここでεは捕集効率及びQはTLDの計算値から換算した
全α放射能線量(μCi)である。
尚、全α放射能量Qを求める場合は、α放射性物質のエ
ネルギーによつて換算係数が異なるので、あらかじめα
放射性核種の種類と割合を求めておく必要がある。しか
し、一般的に原子力施設で取扱う核物質の種類は決まつ
ており、核種の変動は僅かと考えられるので、換算係数
を一定としても10%以内の誤差で適用できる。例えばウ
ラン取扱施設で発生するα放射性核種についてみると、
高分子膜19の表面に10−μCi/cm2α放射性物質が付着
したとき、1分当りの膜吸収線量は10−2myad/cm2にな
る。ダクト中のα放射能核種の濃度が10−12μCi/cm3
その捕集効率が90%、空気の吸引流量が10/分で、高
分子膜19の表面積が100cm2のとき、総捕集α放射性物質
の量は10−12×0.9×104×102=0.9×10−μCiで、高
分子膜19の表面におけるα放射能密度は0.9×10−μC
i/cm2となる。この状態で10時間放置したときのα放射
線の集積線量はほぼ1mradになる。この空気中放射能濃
度(10−12μCi/cm3)はウランの空気中許容濃度の1/10
に当るので、目標感度は得られる。更に、低濃度のダス
トを測定するため感度を上げるには、(1)集塵時間を
長くする、(2)高分子膜19の表面積を大きくする、
(3)集塵後における高分子膜19の放置時間(集塵時
間)を長くすること、があげられる。また、集塵箱32か
ら取出した後で高分子膜19を放置するときのバツクグラ
ンドを低くすべきことは前述のとおりである。
以上述べたように、本実施例に係わる放射線量測定方法
及び装置は、比較的安価な高分子膜材と高感度なTLD素
子を混合して一体化させることにより、特にα放射性物
質を含む粒子、すなわちダスト、ミストや塵状物質の放
射能濃度モニターとして好適である。特に本実施例の特
徴はエレクトレツト性の集塵能力で粒子を膜表面に集め
たのた、汚染レベルに応じて放置時間を変えることで、
低レベル汚染のときも測定できることにある。また、モ
ニターすべき現場のγ放射線量率が比較的高い場合で
も、汚染物を捕集したのち検出膜を即ちに低バツクグラ
ンド室に移し、低バツクグランド室で捕集した汚染物に
よる線量集積を計ることが可能である。従つて、サンプ
リング場のバツクグランドに左右されることなくモニタ
リングできる利点がある。更に、一旦TLDで熱積線量を
測定したのち、集積線量が不足していたため再測定が必
要になつたときには、計測後再度放置して集積線量を求
めることも可能である。
更に、本実施例の放射性物質捕集型線量計は、静電気力
により高分子膜19の表面に付着したダスト粒子に含まれ
るα放射性核種から放出される放射線量によって高分子
膜19内のTLD素子の結晶格子が不安定な状態になるの
で、特に前述のように低バックグランド室等で所定時間
放置することによってTLD素子への全α放射性核種によ
る影響を十分与えるので、バックグランドに左右されな
いで上記α放射性核種から放出される放射線量をモニタ
リングでき、従来のエレクレットだけを用いた放射線量
計による表面電荷密度の減衰率から空気中のダスト等の
粒子の放射線量を測定する場合のような付着した粒子に
よる表面電荷の減衰の影響を受けるという問題が生じな
い。
以上では、膜状のエレクトレツト、すなわち高分子膜19
を対象に集塵効率を上げるために、高分子膜19を波状に
配置した例を述べた。さらに捕集効率を上げるために考
案した集塵エレクトレツトを第5図に示す。これは、ミ
クロンオーダーの細孔42を有するエレクトレツト膜、す
なわち高分子膜を1枚ないしは2枚以上重ねたフイルタ
ー状エレクトレツト44を用いたものである。この場合に
は、99%以上のダスト粒子の捕集効率が得られ、集塵さ
れたダスト粒子は静電気力によつてフイルター状エレク
トレツト44の表面に保持される。所定時間、ダスト粒子
を捕集した後、フイルター状エレクトレツト44は、容器
41から取出され、前述の如く所定時間放置する。その
後、第4図の装置にてフイルター状エレクトレツト44の
TLD素子に蓄積された集積線量を前述の実施例と同様に
して求める。この場合にはフイルターの形状効果により
集塵したダスト粒子を保持できるので、フイルターがエ
レクトレット化されていなくとも有効に目的を達するこ
とができる。
次に、TLD素子材と高分子材を組み合わせたときの材料
条件を述べる。TLD素子材は計測時に蛍光を発生させる
ために加熱する必要があるので、加熱温度で高分子材が
溶融したり著しく変形する材質であることは好ましくな
い。またTLD素子材からの発生する蛍光を効率良く測定
するには、高分子材は透明で光の透過率が高いものを用
いることが好ましい。一方、TLD素子材は、蛍光発生温
度ができる限り低いものを用いることが好ましい。具体
的には、高分子材としては、高融点かつエレクトレツト
化し易いフツ素系樹脂のうち、四フツ化エチレン(CF
2・CF2n、略称はTFE)、四フツ化エチレンと六フツ
化プロピレン(CF・CF3・CF2nの共重合体(略称は
FEP)、またはTFEとTFEの側鎖を有機フツ化アルキル基
で置換したフツ素系高分子材が適する。これらの物質
は、融点が250℃以上あるので好適である。TLD素子材
は、硫酸カルシウム結晶にデイスプロジウム(Dy)やマ
ンガン(Mn)をドープしたCaSO4(Dy),CaSO4(Mn)
や、フツ化カルシウム系のCaF2(Dy),CaF2(Mn)、及
びフツ化リチウム(LiF)があげられる。このうちCaSO4
(Mn)以外は250℃以下で蛍光を発するため、好適であ
る。
前述までは、ダスト粒子捕集材としてエレクトレツト材
を用い、この中に集積線量計素子としてTLDの粉末を分
散させた場合についての実施例をあげた。しかし、エレ
クトレツト膜が10μm以下の高分子膜であれば、TLD素
子をエレクトレツト膜に平板状に蒸着ないしは塗布して
得られる薄膜状TLDを積層させて二枚を一重ねにしたも
のでも同じ効果が得られる。
次に、エレクトレツト以外の集塵力でダストを吸収し、
同様に吸収材中にTLDなどの積算線量計素子を分散させ
る場合の一例を述べる。透明な高分子膜中にTLD素子材
を分散させることは前述の実施例と同じであるが、表面
に粘着性物質を塗布しておきダスト粒子を含む空気を吸
引し粘着性高分子膜表面に吹きつける方法である。一定
時間吸引後、放置してから表面付着ダスト中のα放射性
物質による膜吸収集積線量をTLDによつて計測する。
以上の実施例は、空気中に存在するダストの放射能測定
が主眼であつたが、以下では表面に堆積した塵状物質に
よる表面汚染濃度を測定する実施例を述べる。α放射性
物質による表面汚染密度の法規制による管理基準値は10
μCi/cm2であり、汚染の有無を判定する区分境界値
は10−μCi/cm2で、運用上10−〜10−μCi/cm2
採用している場合が多い。今、10−μCi/cm2汚染を受
けた物質表面に、前述のエルクトレツト化せしめた高分
子膜を押しつけると瞬時に浮遊塵が膜表面に吸引され
る。このときのエレクトレツト膜形状は10cm×10cm平方
程度の一定面積で、厚さは50〜100μmが適当である。
また、高分子膜材もダスト捕集の実施例に述べたように
フツ素系高分子材が好適であるが、他の高融点系高分子
材であるポリプロピレンも適用可能である。エレクトレ
ツト膜中にはTLD素子材が分散されており、ダスト捕集
の実施例と同様に表面汚染粒子を採取後に所定時間放置
した後、第4図に示す装置にてTLD素子への集積線量を
測定する。この場合も、α放射性核種による表面汚染レ
ベルが10−μCi/cm2で、捕集効率が90%であるとき、
1時間放置すれば1mradの吸収線量として測定できる。
表面汚染を測定する場合も、エレクトレツトに代わり、
粘着性テープで表面汚染物を貼り取り、同様の方法で集
積線量から求める。
これまでは、α放射性物質を対象放射能としてきたが、
β放射性物質についても適用できる。ただし、線質によ
つた感受性に差があるので、個々について標準物質によ
る比較校正が必要になる。また、以上述べた各実施例に
よる方法及び装置では、一回使用した検出材を洗浄化
し、熱処理(アニーリング)を施すことによつて再使用
できるため経済的でもあるなどの利点を有する。
本発明に係わる放射線量測定方法及び装置において、集
積線量計の計測時、TLDのごとく加熱することなく出力
できればダストなどの捕集材の制約が無くなり用途が広
がると共により安価な材料を選定できる。熱以外の方法
で脱励起させる一例として光が考えられる。光励起によ
つて蛍光を発生させ、その蛍光波長を分光計測すれば集
積放射線量が測定できる。現在、光励起によつて蛍光を
発生させて放射線量を求める素子としてはガラス線量計
があげられる。これを適用した例を第7図に示す。第7
図においてエレクトレツト化した高分子膜71の中に光励
起により発光する素子が分散されている。これを例えば
紫外線発光器73より一定波長の励起光を発生させたの
ち、光ガイド72を通してα放射性物質による照射を受け
た検出素子を含む高分子膜71に照射する。紫外線によつ
て励起された準安定状態の電子が基準状態に戻る際に放
出される一定波長の蛍光のみを分光器75で分光したの
ち、光の強度を光度測定器76で受光したのち出力表示器
77で出力する。
以上に述べた計測方法では熱を加える必要が無いため10
0℃以下の融点を有する材料であるポリカーボネート系
の高分子材に使用が可能になる。
〔発明の効果〕
本発明によれば、放射性物質の捕集が効率良く行え、し
かも低レベルのα放射能線量の検出感度を著しく向上で
きる。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)はTLD素子粉末を内部に分散させた放射性
物質捕集型線量計を作成する装置の構成図、第1図
(b)は本発明の好適な一実施例である放射性物質捕集
型線量計の縦断面図、第2図は高分子膜のエレクトレツ
ト化装置の構成図、第3図は第1図(b)に示す放射性
物質捕集型線量計を用いたダスト捕集装置の構成図、第
4図は第3図の捕集装置か取出した放射性物質捕集型線
量計のTLD測定装置の構成図、第5図は放射性物質捕集
型線量計を用いたダスト捕集装置の他の実施例の構成
図、第6図はTLD分散型エレクトレツト膜のα放射能に
よる集積線量値と集積時間の関係を示す特性図、第7図
は第4図に示す装置の他の実施例の構成図である。 10……TLD素子粉末、11,12……供給装置、14……加熱
器、15……押出成型器、16……スクリユー、17……冷却
器、18……ロール、19……高分子膜、22……放電用電
極、23……対極、31……吸引ダクト、32……集塵箱、34
……ブロワー、52……加熱器、54……温度計センサー、
55……光電子増幅管、57……積算器、58……表示器。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小沢 義弘 茨城県日立市森山町1168番地 株式会社日 立製作所エネルギー研究所内 (56)参考文献 特開 昭59−228200(JP,A) 特公 昭53−47079(JP,B2)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面に静電気が帯電された透明なエレクト
    レットと、このエレクトレット内に混入され、前記静電
    気により前記エレクトレットの表面に付着した放射性物
    質の粒子から放出された放射線の照射により結晶格子が
    不安定になってしかも外部エネルギの供給により前記結
    晶格子が安定な状態になる時に光を発する線量検出素子
    とを備えた放射性物質捕集型線量計。
JP60231208A 1985-10-18 1985-10-18 放射性物質捕集型線量計 Expired - Lifetime JPH0718925B2 (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPS5347079A (en) * 1976-10-12 1978-04-27 Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd Intermittently driving method and device
JPS59228200A (ja) * 1983-06-10 1984-12-21 富士写真フイルム株式会社 シ−ト状放射線測定具

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