JPH07186632A - クローラベルト支持案内輪用空気入りタイヤ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 優れたトレッド部耐セパレーション性を発揮
する長寿命クローラベルト支持案内輪用空気入りタイヤ
を提供する。 【構成】 トレッド部がそのトレッドゴムに、両ショル
ダ部に開口する多数の幅方向横断横溝を踏面全周にわた
って同一ピッチ配列の下に備え、横溝の踏面円周に沿う
配列ピッチ（Ｐ）は、クローラベルトの内側に配設し
た、外歯平歯車状起動輪の歯と噛合う多数の突起体の配
列ピッチ（ｐ）に相当して、各横溝が該突起体と嵌り合
い、横溝深さ（Ｈ）の突起体嵌り合い部高さ（ｈ）に対
する比率が、０．６〜０．８の範囲内にあり、横溝幅
（Ｗ）の突起体嵌り合い部幅（ｗ）に対する倍率が、
１．０５〜１．３０の範囲内にある空気入りタイヤ。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、履帯式土木・建設機
械における起動輪と遊動論との中間位置に配置するクロ
ーラベルトの支持案内輪用空気入りタイヤに関し、特に
従来の該タイヤがそのトレッド部における不十分な耐セ
パレーション性の故に短い使用期間にて交換を余儀なく
されていたその使用期間を大幅に延長することにより資
源の有効活用に寄与することを狙いとして開発した、タ
イヤのセパレーション耐久性を主とする耐久性の大幅向
上に対する有効な技術成果を提供するものである。

【０００２】

【従来の技術】昨今の履帯式土木・建設機械は、そのク
ローラベルトの支持案内輪として、それまでの金属製の
車輪に対して、優れたクッション性を有すること、クロ
ーラベルトの駆動に係わる突起体の摩損抑制の点で有利
であること、そして取扱いが容易で、しかも安価である
ことなどの利点を有する空気入りタイヤが広く採用され
る傾向を示す。

【０００３】この空気入りタイヤは、その踏面にリブパ
タ─ンを備えるタイヤか、又は踏面に溝を一切備えてい
ないいわゆるスリックタイヤかの何れかである。それは
このタイヤに期待する性能がクローラベルトに対し上記
諸利点を発揮する支持案内輪としての機能であって、そ
れ以上の機能発揮を期待する複雑なトレッドパタ─ンは
不要であるとの見方が支配的であることに由来するもの
である。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしこの種の空気入
りタイヤは何れも、クローラベルトの内側に等間隔の配
列ピッチの下で配設した、外歯平歯車状起動輪と噛合い
駆動される多数の突起体を著しく大きな接触圧の下で乗
越えることが余儀なくされる。それというのも弛み勝ち
なクローラベルトに対し常時所定の張力を保持させるこ
と、そして荒れ地での稼働を前提とする履帯式土木・建
設機械の作動時に、接地するクローラベルト部分に高頻
度で加えられる大きな変形入力に対応することがこの種
のタイヤの使命だからである。

【０００５】その結果タイヤのトレッド部の局所に繰返
し大変形がもたらされ、この大変形に由来して不可避的
に発生する著大な歪は特にショルダ部に集中する傾向を
示すため、この部位に歪によるメカニカルセパレーショ
ンが早期に発生するのは止むを得ない。

【０００６】よって、ショルダ部はもとよりその他の部
位も含めたトレッド部全体ににおける耐セパレーション
性を、その他の耐久性を保持した上で、大幅に有利に向
上することが可能な長寿命クローラベルト支持案内輪用
空気入りタイヤを提供するのがこの発明の目的である。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的達成のためこの
発明によるクローラベルト支持案内輪用空気入りタイヤ
は、一対のビード部及びサイドウォール部と、この両サ
イドウォール部間にわたってトロイド状に連なるトレッ
ド部とからなるクローラベルト支持案内輪用空気入りタ
イヤにおいて、トレッド部が、その踏面側を形成するト
レッドゴムに、それを横断してタイヤの回転軸心方向に
延び、両ショルダ部に開口する多数の横溝を、踏面全周
にわたって同一ピッチ配列の下に備え、（１）横溝の踏
面円周に沿う配列ピッチ（Ｐ）は、クローラベルトの内
側に配設した、外歯平歯車状起動輪の歯と噛合う多数の
突起体の配列ピッチ（ｐ）に相当して、各横溝が該突起
体と嵌り合い、（２）横溝深さ（Ｈ）の突起体嵌り合い
部高さ（ｈ）に対する比率が、０．６〜０．８の範囲内
にあり、（３）横溝幅（Ｗ）の突起体嵌り合い部幅
（ｗ）に対する倍率が、１．０５〜１．３０の範囲内に
あることを特徴とする。

【０００８】またこの発明による空気入りタイヤは、横
溝の踏面における両溝縁に、タイヤ半径（ｒ）の３〜７
％に相当する曲率半径（Ｒ）をもつ面取り円弧を付すの
が実施上望ましい。

【０００９】以下この発明を図１及び図２（ａ）、
（ｂ）に基づき詳細に説明する。図１はこの発明による
クローラベルト支持案内輪用空気入りタイヤ（以降空気
入りタイヤと略記する）１の模式による側面図であり、
この図は要部の一部を図解により示すもので残余部分の
図解を省略した。図２（ａ）はクローラベルト要部の、
やはり模式による部分側面図であり、図２（ｂ）では図
２（ａ）の矢印の向きから見た正面図を示した。

【００１０】図１の二点鎖線で区画図解した領域におい
て、２は一対のビード部、３は一対のサイドウォール部
であり何れも片側のみ図示し、４はトレッド部である。
トレッド部４は両サイドウォール部３間にわたってトロ
イド状に連なる。これら各部は一対のビード部２内部に
埋設したビードコア相互間にわたるカーカスにより補強
し、バイアスカーカスの場合はブレーカの配設を可と
し、ラジアルカーカスではトレッド部４を強化するベル
トを備え、以上述べたところは何れも慣例に従う。

【００１１】ここにトレッド部４は、その踏面４ｔ側を
形成するトレッドゴムを有して、図１に示すように、こ
のトレッドゴムにそれを横断してタイヤ回転軸心Ｃａ方
向に延び、ショルダ部４ｓに開口する多数の横溝Ｇｔを
備えるものであり、これらの横溝Ｇｔは踏面４ｔの全周
にわたって同一ピッチ配列の下で配置することを要す
る。

【００１２】多数の横溝Ｇｔの配列ピッチＰは踏面４ｔ
の円周に沿って測った距離とするものであり、この横溝
の配列ピッチＰは、図２（ａ）に示すところのクローラ
ベルト１０の内側に配設した多数の突起体１１の配列ピ
ッチｐに相当して、各横溝Ｇｔがこれらの突起体１１と
嵌り合うことが必要である。

【００１３】この多数の突起体１１は、やはりクローラ
ベルト１０の内側に設けられてクローラベルト１０を駆
動する役を担う外歯平歯車状起動輪の歯と互いに噛合う
ところの、図２（ｂ）にて１１ｓ部分を除く１１ｔで示
す噛合い部分を指す。またここにいう突起体１１の配列
ピッチｐはクローラベルト１０の内周に沿って測った突
起体１１基部における距離である。

【００１４】さらに図１及び図２（ａ）に示すところに
おいて、横溝Ｇｔの深さＨの突起体１１における嵌り合
い部１１ｔ（上記噛合い部分）の高さｈに対する比率
が、０．６〜０．８の範囲内にあること、そして横溝Ｇ
ｔの幅Ｗの突起体１１における嵌り合い部１１ｔの幅ｗ
に対する倍率が、１．０５〜１．３０の範囲内にあるこ
とが必要である。

【００１５】また図３に踏面４ｔの円周に沿う横溝Ｇｔ
の断面（タイヤの回転軸心Ｃｒに直交する平面による断
面）を展開して示し、図３が示すように横溝Ｇｔの踏面
４ｔにおける両縁に、図１に示すタイヤ半径ｒの３〜７
％に相当する曲率半径Ｒをもつ面取り円弧を付すことが
望ましい。

【００１６】

【作用】トレッド部４が、トレッドゴムの踏面４ｔ側に
両ショルダ部４ｓに開口する多数の横溝Ｇｔを、踏面４
ｔ全周にわたって同一ピッチ配列配分として備えるこ
と、この横溝Ｇｔの踏面４ｔ円周に沿う配列ピッチＰ
を、クローラベルト１０の内側に配設した多数の突起体
１１の配列ピッチｐに相当するものとして、各横溝Ｇｔ
が突起体１１と嵌り合うようにしたこと、横溝Ｇｔの深
さＨを突起体１１の嵌り合い部１１ｔの高さｈの０．６
〜０．８倍の範囲内に収めたこと、そして横溝Ｇｔの幅
Ｗを突起体１１の嵌り合い部１１ｔの幅ｗの１．０５〜
１．３０倍の範囲内に拡幅したことにより、クローラベ
ルト１０の旋回に伴う突起体１１の嵌り合い部１１ｔ
は、円滑に空気入りタイヤ１の横溝Ｇｔに嵌り込み、そ
の結果トレッド部１の局部的大変形が大幅に抑制され
る。

【００１７】また横溝Ｇｔの深さＨを突起体１１の嵌り
合い部１１ｔの高さｈの０．６〜０．８倍の範囲内に収
めることは、横溝Ｇｔ部分とそれを除く踏面４ｔの陸部
（ラグ部）との荷重負担を一様にする効果をもたらす
他、陸部におけるゴム欠けを排除する効果をもたらし、
ここに０．６倍未満では荷重負担が横溝Ｇｔに偏るため
この部分の変形が大きくなる不利が生じる反面、０．８
倍をこえると陸部にゴム欠けの弊害がもたらされるので
何れも不所望である。

【００１８】さらに横溝Ｇｔの幅Ｗを突起体１１の嵌り
合い部１１ｔの幅ｗの１．０５〜１．３０倍の範囲内で
拡幅したことにより、クローラベルト１０の作動上の変
動に伴う突起体１１の嵌り合い部１１ｔの横溝Ｇｔに対
する「ずれ」が吸収できて、嵌り合い部１１ｔと横溝Ｇ
ｔとが常に好都合に嵌り合う効果が得られる。ここに
１．０５未満ではこの効果が十分ではなく、また１．３
０をこえると十分な陸部剛性の保持に支障をきたしてラ
グティア（陸部のゴム裂け）のうれいが生じるので、何
れも好ましくない。

【００１９】上述したところを纏めると、空気入りタイ
ヤ１のトレッド部４に入力される負荷のうち、突起体１
１の嵌り合い部１１ｔとの接触部分と、その他の部分と
における負荷の変動が大幅に抑制可能となり、換言すれ
ばトレッド部１の局部的大変形は抑制されるので、その
結果特に歪が大きくなり勝ちなショルダ部４ｓにおける
歪は大幅に低減して、他の耐久性を損なうことなくセパ
レーション故障の著大な改善が可能となる。

【００２０】また横溝Ｇｔの踏面４Ｔにおける両溝縁
に、タイヤ半径ｒの３〜７％に相当する曲率半径Ｒをも
つ面取り円弧を付すことは、横溝Ｇｔと突起体１１の嵌
り合い部１１ｔとの嵌り合いをより一層容易ならしめこ
とに大きく寄与し、ここに３％未満ではこの寄与が十分
ではなく、さらに７％をこえると面取り円弧部分のクロ
ーラベルト１０との非接触領域が拡大し過ぎて横溝Ｇｔ
の溝底に荷重が集中する不利がもたらされるので、何れ
の場合も好ましくない。

【００２１】

【実施例】空気入りタイヤのサイズが５．５０ー１４ー
８ＰＲであり、カーカスはバイアスプライからなる。横
溝Ｇｔの配列ピッチＰを１２０ｍｍとし、横溝Ｇｔの深
さＨは２５ｍｍ、横溝Ｇｔの幅Ｗは５０ｍｍとし、両溝
縁には曲率半径が１６ｍｍの面取り円弧を付した。なお
タイヤ赤道面にて測ったトレッドゴムの厚さは３１ｍｍ
である。

【００２２】この空気入りタイヤを装着する履帯式土木
・建設機械のクローラベルト１０における突起体１１の
配列ピッチｐは同様に１２０ｍｍであり、突起体１１の
嵌り合い部１１ｔの幅ｗは４０ｍｍである。

【００２３】実施例の効果を検証するためリブパタ─ン
の他は実施例に合せた従来例タイヤを準備して、まずリ
ム組みした各タイヤの充填内圧を５．０ｋｇｆ／ｃｍ²
として、上記機械に装着し、実際に走行させた状態に
て、トレッド部１が嵌り合い部１１ｔを乗り越す前後に
おけるタイヤショルダ部４ｓでのトレッドゴムとそれに
接するカーカスとの間の歪を測定した。その結果をまと
めて図４のグラフに示す。

【００２４】図４において、縦軸はショルダ部における
歪（％）をあらわし、横軸はトレッド部に対する嵌り合
い部１１ｔの踏込みから蹴出しに至るまでの移動距離を
あらわす。図中実線で示す曲線は従来例の歪挙動を示
し、破線にて示す曲線が実施例の歪挙動をあらわす。何
れの曲線も最大値を示す位置は嵌り合い部１１ｔの位置
と合致する。このグラフから明らかなように実施例にお
ける最大歪は従来例のそれの約１／２程度に抑制されて
いる。

【００２５】次に実際に実施例及び従来例を供試タイヤ
として、同じ機械に装着してセパレーションなどの故障
が発生するまで使用する実地耐久試験を実施した結果、
実施例の空気入りタイヤは従来例の約２ 〜３倍の走行
寿命を示す好成績をおさめ、先の歪比較試験の結果を裏
付けることができた。

【００２６】

【発明の効果】この発明によれば、履帯式土木・建設機
械における起動輪と遊動輪との中間位置に配置するクロ
ーラベルトの支持案内輪用空気入りタイヤに対し、ショ
ルダ部はもとよりその他の部位も含めたトレッド部全体
ににおける耐セパレーション性を、その他の耐久性を保
持した上で、大幅に有利に向上させて長寿命を実現させ
ることが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明による空気入りタイヤの模式による側
面図である。

【図２】この発明の空気入りタイヤに組合わす突起体を
備えるクローラベルトの一部側面図及び要部正面図であ
る。

【図３】この発明による要部断面図である。

【図４】この発明による空気入りタイヤのショルダ部に
加えられる歪曲線図である。

【符号の説明】

２ ビード部 ３ サイドウォール部 ４ トレッド部 ４ｔ 踏面 ４ｓ ショルダ部 １０ クローラベルト １１ 突起体 １１ｔ 嵌り合い部 Ｇｔ 横溝 Ｐ、ｐ 配列ピッチ Ｈ 横溝深さ Ｗ 横溝幅 ｈ 嵌り合い部高さ ｗ 嵌り合い部幅

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 一対のビード部及びサイドウォール部
   と、この両サイドウォール部間にわたってトロイド状に
   連なるトレッド部とからなるクローラベルト支持案内輪
   用空気入りタイヤにおいて、 トレッド部が、その踏面側を形成するトレッドゴムに、
   それを横断してタイヤの回転軸心方向に延び、両ショル
   ダ部に開口する多数の横溝を、踏面全周にわたって同一
   ピッチ配列の下に備え、（１）横溝の踏面円周に沿う配
   列ピッチ（Ｐ）は、クローラベルトの内側に配設した、
   外歯平歯車状起動輪の歯と噛合う多数の突起体の配列ピ
   ッチ（ｐ）に相当して、各横溝が該突起体と嵌り合い、
   （２）横溝深さ（Ｈ）の突起体嵌り合い部高さ（ｈ）に
   対する比率が、０．６〜０．８の範囲内にあり、（３）
   横溝幅（Ｗ）の突起体嵌り合い部幅（ｗ）に対する倍率
   が、１．０５〜１．３０の範囲内にあることを特徴とす
   るクローラベルト支持案内輪用空気入りタイヤ。
2. 【請求項２】 横溝の踏面における両溝縁に、タイヤ半
   径（ｒ）の３〜７％に相当する曲率半径（Ｒ）をもつ面
   取り円弧を付したことを特徴とする請求項１に記載した
   タイヤ。