JPH0718263U - 採便容器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 糞便中の物質を測定するたに、糞便を一定量
採取して、一定濃度の検査用試料を作製するための採便
容器を提供する。 【構成】 先端部端面に採取溝を形成した採取棒と、採
取棒が収納される容器本体１とから構成し、容器本体１
内に採取棒の周囲と密着する有底筒形の弾性体４を配設
するとともに、弾性体４の底部５にほぼ採取棒の径と等
しい大きさのＣ字形の切り込み溝６を形成し、この切り
込み溝６に沿って弾性体４底部５が採取棒の先端により
容易に開口するようにした。 【効果】 特別の事後処理等を必要とせず、一定量の検
体により測定検査を行うことができる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、糞便中の物質を測定するために、糞便を一定量採取して、一定濃 度の検査用試料を作製するための採便容器に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

医学的臨床検査分野において、糞便中の各種物質の検査を行うために、採取棒 により糞便を採便容器に採取し、この一定量を水（試薬）に懸濁して検査試料（ 検体）とする方法が一般的に行われている。例えば、消化器系の異常を早期発見 するために、便中の潜血（ヒトヘモグロビン）を測定する場合である。

【０００３】 糞便を臨床検査用の検体として採取するための採取棒としては、例えば実開平 １−８５６６８号公報及び同２−２１５５７号に示されるように採取棒の先端に 採取溝を形成したものや、特公平５−１７６５２号公報及び同５−１７６５３号 公報に示されるように採取棒の先端付近に採取溝等を形成したものが公知である 。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

検体中の物質を定量的に測定するには、検体として使用する糞便の量が一定量 （一定濃度）でなければ、正確な測定値を得ることができない。

【０００５】 ところが、上記特公平５−１７６５２号公報及び同５−１７６５３号公報に示 される採取用容器は、採取棒を容器本体挿入時に採取棒の周囲を本体側壁（分離 壁）で掻き取るようにしたものであるが、採取棒に採取されて付着する糞便の硬 さや粘度によっては、溝等に入っている糞便まで同時に掻き取られてしまうとい う問題点を有している。

【０００６】 一方、実開平１−８５６６８号公報及び同２−２１５５７号に示される糞便採 取用容器は、採取溝が採取棒の先端部端面に形成してあるので、もともと少量の 糞便を採取するのに適しており、採取溝からはみ出している糞便も適当なところ に擦り付けることにより採取溝に一定量を残すことができる構成となっている。 しかし、採取棒先端の採取溝に糞便を詰め込むようにし、その他を掻き取るよ うにする作業も習熟すれば簡単な作業であるが、このような採取作業は一般的に 被験者が自ら行うものであるので、だれもが確実に行える作業ではなかった。し たがって、格別な訓練や習熟を必要とせずに、確実に一定量の糞便が採取溝に詰 め込まれるようにする必要がある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

そこで、上記問題点を解決するために、この考案にかかる採便容器は、先端部 端面に採取溝を形成した採取棒と、採取棒が収納される容器本体とから構成し、 容器本体内に採取棒の周囲と密着する有底筒形の弾性体を配設するとともに、弾 性体の底部にほぼ採取棒の径と等しい大きさのＣ字形の切り込み溝を形成し、こ の切り込み溝に沿って弾性体底部が採取棒の先端により容易に開口するようにし たものである。

【０００８】

【作用】

先端に糞便を採取した状態の採取棒を容器本体に挿入していくと、先端はやが て弾性体の底部に当る。そして、一定量の糞便は採取溝に詰め込まれるように押 し込まれ、その他は採取棒の周囲にはみ出すようになる。

【０００９】 この状態でさらに採取棒を押し込むようにすると、やがて採取棒の先端により 弾性体底部のＣ字形の溝が破られて開口し、採取棒は容器本体内にさらに挿入可 能となる。そして採取棒を容器本体内さらにに挿入していくと、採取棒の周囲は 弾性体の内壁と密着するようになっており、採取溝からはみ出した糞便はこの内 壁により掻き取られ、採取溝に埋め込まれた糞便だけが試薬と混ざり合うことに なる。

【００１０】

【実施例】

次に、この考案にかかる採便容器の一実施例を図面に基づいて述べると、１は 断面が円形の筒状の容器本体であり、下側に行くにしたがい径が細くなっている 。容器本体１の上端部内面には雌ネジが形成してあり、容器本体の下端部外面に は雄ネジが形成してある。また、容器本体下端部には下向きの小孔２が形成して あり、小孔２のすぐ上の容器本体内１にはフィルター３が配設してある。

【００１１】 ４は容器本体１内の上端部近傍に配設したシリコン樹脂により有底筒形に形成 した弾性体であり、底部５にはＣ字形の切り込み溝６が形成してある。この切り 込み溝６は底部５を部分的には貫通していてもよいが、切り込み溝６の全周を貫 通しないようにしておくと底部５として水密を確保できるという効果もある。な お、弾性体４は容器本体１内に固着しておいてもよいが、容器本体１の内部に段 部７を形成し、この段部７に弾性体４の底部５が当接することにより係止される ような構造としてもよい。あるいは、弾性体４は容器本体１と同一の樹脂により 一体成形してもよい。

【００１２】 ８は容器本体１上端部の雌ネジと螺合するようにした雄ネジが下部に形成して ある採取用蓋体であり、上部はラベル貼付用に平板状に形成してある。この採取 用蓋体８の下端には圧入により糞便採取用の採取棒９の上部が取り付けてある。 また、採取棒９の他端部の端面には、糞便取り込みのための採取溝１０が形成し てある。採取溝１０は適当な形状とすることができるが、例えば十字形状とする 。

【００１３】 なお、弾性体４の切り込み溝１０は採取棒１０の径とほぼ等しい径となるよう にしておき、採取棒１０の先端で切り込み溝１０を破るように開口したとき、採 取棒１０の径とほぼ等しい開口部となるようにし、開口部と採取棒１０が密着す るようにする。また、弾性体４の内壁は、採取棒１０の径とほぼ等しいか、ある いは若干大きく形成しておく。等しい径とした場合には、この内壁においても採 取棒１０と密着して採取棒１０周囲の糞便が掻き取られることになる。また、大 きく形成しておくと、採取棒１０と内壁の間に空隙ができ、この部分に掻き取ら れた糞便を溜めることができる。

【００１４】 １１は容器本体１上端部の雌ネジと螺合するようにした雄ネジが形成してある 仮蓋体である。仮蓋体１１は、使用時まで容器本体１の上端部開口を塞ぐ役割を する。１２は容器本体１下端部の雄ネジと螺合するようにした雌ネジが形成して ある蓋体である。この蓋体１２は容器本体１の下端部の小孔２を塞ぐ役割をする 。

【００１５】 次に、この考案の採便容器の組み立て方について、容器本体１と弾性体４を別 体として成形した場合を例にして説明する。 まず、容器本体１の下端部に蓋体１２を取り付け小孔２を塞ぐ。そして、試薬 を容器本体１内に適当量入れた後、弾性体４を上端部開口から容器本体１内に挿 入し、仮蓋体１１により容器本体１の上端部開口を塞ぐ。容器本体１内の試薬は 蓋体１２と弾性体４により密閉されることになる。 以上により容器本体１の組み立てができ使用準備は完了する。このようにした 容器本体１と採取棒９が取り付けてある採取用蓋体８により一組の採便容器が完 成する。

【００１６】 次に、この考案の採便容器の使用方法について説明する。 使用時には被検者は採取用蓋体８を持ち、採取棒９を糞便に突き刺し、採取棒 ９の先端部端面に形成してある採取溝１０に糞便が付着するようにする。採取溝 １０に糞便が適当量付着したら、容器本体１の仮蓋体１１を取り外し、採取棒９ を開口部から容器本体１内に挿入する。

【００１７】 やがて、採取棒９の先端部が弾性体４の底部５に当るようになると、採取溝１ ０に糞便が押し込まれ、他の余分な糞便は採取棒９の周囲へと押しやられる。そ して、さらに採取棒９を押し込むと、弾性体４の底部５が切り込み溝６に沿って 破られ開口する。この後採取棒９をさらに押し込むと、採取棒９の周囲に付着し ている糞便は弾性体４により掻き取られ、試薬側には採取溝１０に押し込まれて いる糞便のみが入るようになる。そして、採取用蓋体８を容器本体１に完全にね じ込むことにより、糞便の採取作業が完了する。

【００１８】 このようにすれば、採取棒９に糞便を付着させるときに格別の注意を払わなく ても、最終的には弾性体４の底部５により採取溝１０に押し込まれた糞便のみが 試薬と混合することになり、他の糞便は弾性体４により掻き取られてしまうので 常に一定量の糞便を試薬と混合することができる。

【００１９】 なお、弾性体４の底部５の切り込み溝６の形状としては、その他例えば十字形 や星形等の切り込み溝もあり得るが、Ｃ字形にした場合が採取溝１０に押し込ま れる糞便の量が最も精度よく一定量となった。したがって、切り込み溝６はＣ字 形とすることが望ましいのである。

【００２０】

【考案の効果】

以上述べたように、この考案にかかる採便容器によれば、先端部端面に採取溝 を形成した採取棒と、採取棒が収納される容器本体とから構成し、容器本体内に 採取棒の周囲と密着する有底筒形の弾性体を配設するとともに、弾性体の底部に ほぼ採取棒の径と等しい大きさのＣ字形の切り込み溝を形成し、この切り込み溝 に沿って弾性体底部が採取棒の先端により容易に開口するようにしたので、採取 棒を容器本体に押し込むことにより、必要量の糞便のみが弾性体の底部により採 取溝に押し込まれ、さらに採取棒の周囲に付着している検体は弾性体により掻き 取られる。したがって、特別の事後処理等を必要とせず、一定濃度の検体を得る ことができるという効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案にかかる採便容器の正面断面図であ
る。

【図２】採取棒とラベル貼付部を設けた採取用蓋体の正
面図である。

【図３】弾性体の平面図である。

【符号の説明】

１ 容器本体 ２ 小孔 ３ フィルター ４ 弾性体 ５ 底部 ６ 切り込み溝 ７ 段部 ８ 採取用蓋体 ９ 採取棒 １０ 採取溝 １１ 仮蓋体 １２ 蓋体

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 先端部端面に採取溝を形成した採取棒
   と、採取棒が収納される容器本体とから構成し、容器本
   体内に採取棒の周囲と密着する有底筒形の弾性体を配設
   するとともに、弾性体の底部にほぼ採取棒の径と等しい
   大きさのＣ字形の切り込み溝を形成し、この切り込み溝
   に沿って弾性体底部が採取棒の先端により容易に開口す
   るようにしたことを特徴とする採便容器。
2. 【請求項２】 弾性体をシリコン樹脂とした請求項１記
   載の採便容器。
3. 【請求項３】 容器本体内に段部を形成し、弾性体の底
   部がその段部に当接することにより係止されるようにし
   た請求項１記載の採便容器。