JPH07178161A - 医療器具 - Google Patents
医療器具Info
- Publication number
- JPH07178161A JPH07178161A JP5347703A JP34770393A JPH07178161A JP H07178161 A JPH07178161 A JP H07178161A JP 5347703 A JP5347703 A JP 5347703A JP 34770393 A JP34770393 A JP 34770393A JP H07178161 A JPH07178161 A JP H07178161A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- blood
- heparin
- pump tube
- coupling agent
- tube
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
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- Infusion, Injection, And Reservoir Apparatuses (AREA)
- External Artificial Organs (AREA)
- Materials For Medical Uses (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 ポンプチューブ、人工心臓のように使用時に
継続的に変形、復元が繰り返される可撓性変形可能部を
有する医療器具に関し、血液接触面のほとんどに抗血栓
性物質が固定されており、高い抗血栓性を有すると共
に、使用時に抗血栓性物質の剥離を生じることのない医
療器具を提供する。 【構成】 医療器具1は、使用時に血液と接触し、使用
時に負荷される外力により継続的に変形、復元が繰り返
される可撓性変形可能部2を有し、可撓性変形可能部2
を除く血液接触面3に抗血栓性物質4が固定されてい
る。例えば、医療器具はポンプチューブであり、ポンプ
により押圧されるチューブ部分2の内壁面を除く血液接
触面に抗血栓性物質4が固定されている。
継続的に変形、復元が繰り返される可撓性変形可能部を
有する医療器具に関し、血液接触面のほとんどに抗血栓
性物質が固定されており、高い抗血栓性を有すると共
に、使用時に抗血栓性物質の剥離を生じることのない医
療器具を提供する。 【構成】 医療器具1は、使用時に血液と接触し、使用
時に負荷される外力により継続的に変形、復元が繰り返
される可撓性変形可能部2を有し、可撓性変形可能部2
を除く血液接触面3に抗血栓性物質4が固定されてい
る。例えば、医療器具はポンプチューブであり、ポンプ
により押圧されるチューブ部分2の内壁面を除く血液接
触面に抗血栓性物質4が固定されている。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、可撓性合成樹脂材料に
より形成され、使用時に血液と接触し、かつ使用時に負
荷される外力により継続的に変形、復元が繰り返される
可撓性変形可能部を少なくとも有する医療器具に関す
る。具体的には、使用時にポンプにより挟圧される送血
用ポンプチューブ、ポンプチューブを備える血液回路、
使用時に変形と復元を繰り返すダイヤフラムを備えた補
助人工心臓などに関する。
より形成され、使用時に血液と接触し、かつ使用時に負
荷される外力により継続的に変形、復元が繰り返される
可撓性変形可能部を少なくとも有する医療器具に関す
る。具体的には、使用時にポンプにより挟圧される送血
用ポンプチューブ、ポンプチューブを備える血液回路、
使用時に変形と復元を繰り返すダイヤフラムを備えた補
助人工心臓などに関する。
【0002】
【従来の技術および問題点】従来より、可撓性合成樹脂
材料により形成され、使用時に血液と接触し、かつ使用
時に負荷される外力により継続的に変形、復元が繰り返
される可撓性変形可能部を少なくとも有する医療器具が
使用されている。具体的には、使用時にローラーポン
プ、ペリスタルリックポンプなどのポンプにより挟圧さ
れることにより血液を送液するポンプチューブ、ポンプ
チューブを備えた人工心肺用血液回路、人工透析用血液
回路などの体外循環用血液回路、使用時に変形と復元を
繰り返すダイヤフラムを備えた補助人工心臓などがあ
る。
材料により形成され、使用時に血液と接触し、かつ使用
時に負荷される外力により継続的に変形、復元が繰り返
される可撓性変形可能部を少なくとも有する医療器具が
使用されている。具体的には、使用時にローラーポン
プ、ペリスタルリックポンプなどのポンプにより挟圧さ
れることにより血液を送液するポンプチューブ、ポンプ
チューブを備えた人工心肺用血液回路、人工透析用血液
回路などの体外循環用血液回路、使用時に変形と復元を
繰り返すダイヤフラムを備えた補助人工心臓などがあ
る。
【0003】従来より、種々の血液接触面を有する医療
器具も使用されており、これら医療器具を使用する場合
において、内面における血栓の発生などを防止するため
に、血液接触面に種々の抗血栓性物質を固定する方法が
提案されている。しかし、上記のポンプチューブ、ポン
プチューブを有する血液回路、補助人工心臓などの使用
時に血液と接触し、かつ使用時に負荷される外力により
継続的に変形、復元が繰り返される可撓性変形可能部を
有する医療器具では、この可撓性変形可能部の血液接触
面に固定された抗血栓性物質が使用時に負荷される外力
により、血液接触面より剥離する可能性がある。そし
て、剥離した抗血栓性物質がマイクロエンボリズムの原
因となることも考えられる。
器具も使用されており、これら医療器具を使用する場合
において、内面における血栓の発生などを防止するため
に、血液接触面に種々の抗血栓性物質を固定する方法が
提案されている。しかし、上記のポンプチューブ、ポン
プチューブを有する血液回路、補助人工心臓などの使用
時に血液と接触し、かつ使用時に負荷される外力により
継続的に変形、復元が繰り返される可撓性変形可能部を
有する医療器具では、この可撓性変形可能部の血液接触
面に固定された抗血栓性物質が使用時に負荷される外力
により、血液接触面より剥離する可能性がある。そし
て、剥離した抗血栓性物質がマイクロエンボリズムの原
因となることも考えられる。
【0004】そして、本発明者が検討したところ、この
可撓性変形可能部およびその付近では、与えられた外力
により変形可能部が継続的に変形と復元を繰り返すた
め、血液の滞留がなく、変形可能部での表面での血液の
流れも早く、血栓の発生がほとんどないことを知見し
た。そこで、本発明の目的は、使用時に負荷される外力
により継続的に変形、復元が繰り返される可撓性変形可
能部を有する医療器具において、血液接触面のほとんど
に抗血栓性物質が固定されており、高い抗血栓性を有す
ると共に、使用時に抗血栓性物質の剥離を生じることの
ない医療器具を提供する。
可撓性変形可能部およびその付近では、与えられた外力
により変形可能部が継続的に変形と復元を繰り返すた
め、血液の滞留がなく、変形可能部での表面での血液の
流れも早く、血栓の発生がほとんどないことを知見し
た。そこで、本発明の目的は、使用時に負荷される外力
により継続的に変形、復元が繰り返される可撓性変形可
能部を有する医療器具において、血液接触面のほとんど
に抗血栓性物質が固定されており、高い抗血栓性を有す
ると共に、使用時に抗血栓性物質の剥離を生じることの
ない医療器具を提供する。
【0005】
【問題点を解決するための手段】上記目的を達成するも
のは、可撓性合成樹脂材料により形成され、使用時に血
液と接触し、かつ使用時に負荷される外力により継続的
に変形、復元が繰り返される可撓性変形可能部を少なく
とも有する医療器具であって、該医療器具は、前記可撓
性変形可能部を少なくとも除く血液接触面に抗血栓性物
質が固定されている医療器具である。
のは、可撓性合成樹脂材料により形成され、使用時に血
液と接触し、かつ使用時に負荷される外力により継続的
に変形、復元が繰り返される可撓性変形可能部を少なく
とも有する医療器具であって、該医療器具は、前記可撓
性変形可能部を少なくとも除く血液接触面に抗血栓性物
質が固定されている医療器具である。
【0006】また、上記目的を達成するものは、内部に
血液流路を有するポンプチューブであって、該ポンプチ
ューブは、可撓性合成樹脂材料により一体に形成されて
おり、かつ、少なくとも使用時にポンプにより押圧され
るチューブ部分の内壁面を除く血液接触面に抗血栓性物
質が固定されているポンプチューブである。
血液流路を有するポンプチューブであって、該ポンプチ
ューブは、可撓性合成樹脂材料により一体に形成されて
おり、かつ、少なくとも使用時にポンプにより押圧され
るチューブ部分の内壁面を除く血液接触面に抗血栓性物
質が固定されているポンプチューブである。
【0007】上記目的を達成するものは、ハウジング
と、該ハウジング内を血液室と、駆動流体流入室とに区
分する可撓性ダイヤフラムと、前記血液室に連通する血
液流入ポートと血液流出ポートと、前記駆動流体流入室
と連通する駆動流体流出入用ポートとを有する合成樹脂
製補助人工心臓であって、前記可撓性ダイヤフラムは、
合成樹脂により一体に形成されており、かつ、少なくと
も可撓性ダイヤフラムの使用時に変形する部分を除くダ
イヤフラムの血液接触面および前記血液室側ハウジング
の血液接触面に抗血栓性物質が固定されている補助人工
心臓である。
と、該ハウジング内を血液室と、駆動流体流入室とに区
分する可撓性ダイヤフラムと、前記血液室に連通する血
液流入ポートと血液流出ポートと、前記駆動流体流入室
と連通する駆動流体流出入用ポートとを有する合成樹脂
製補助人工心臓であって、前記可撓性ダイヤフラムは、
合成樹脂により一体に形成されており、かつ、少なくと
も可撓性ダイヤフラムの使用時に変形する部分を除くダ
イヤフラムの血液接触面および前記血液室側ハウジング
の血液接触面に抗血栓性物質が固定されている補助人工
心臓である。
【0008】前記抗血栓性物質は、ヘパリンであること
が好ましい。さらに、前記可撓性変形可能部を少なくと
も除く血液接触面には、オゾン処理により基材表面に生
成された酸素原子を含む官能基と、抗血栓性物質である
ヘパリンのアミノ基とが、直接、または少なくとも一種
のカップリング剤を介して共有結合したことにより抗血
栓性物質が固定されていることが好ましい。
が好ましい。さらに、前記可撓性変形可能部を少なくと
も除く血液接触面には、オゾン処理により基材表面に生
成された酸素原子を含む官能基と、抗血栓性物質である
ヘパリンのアミノ基とが、直接、または少なくとも一種
のカップリング剤を介して共有結合したことにより抗血
栓性物質が固定されていることが好ましい。
【0009】上記目的を達成するものは、可撓性合成樹
脂材料により形成され、使用時に血液と接触し、かつ使
用時に負荷される外力により継続的に変形、復元が繰り
返される可撓性変形可能部を少なくとも有する医療器具
を形成し、該医療器具の少なくとも前記可撓性変形可能
部に水性液体を接触させ、該医療器具の前記可撓性変形
可能部に水性液体が接触した状態にて医療器具の血液接
触面をオゾン処理し、血液接触面を形成する合成樹脂表
面に酸素原子を含む官能基を生成させた後、この官能基
と抗血栓性物質とを、水系溶媒を用いて、直接、または
少なくとも一種のカップリング剤を介して共有結合させ
ることを特徴とする医療器具の製造方法である。
脂材料により形成され、使用時に血液と接触し、かつ使
用時に負荷される外力により継続的に変形、復元が繰り
返される可撓性変形可能部を少なくとも有する医療器具
を形成し、該医療器具の少なくとも前記可撓性変形可能
部に水性液体を接触させ、該医療器具の前記可撓性変形
可能部に水性液体が接触した状態にて医療器具の血液接
触面をオゾン処理し、血液接触面を形成する合成樹脂表
面に酸素原子を含む官能基を生成させた後、この官能基
と抗血栓性物質とを、水系溶媒を用いて、直接、または
少なくとも一種のカップリング剤を介して共有結合させ
ることを特徴とする医療器具の製造方法である。
【0010】また、上記目的を達成するものは、可撓性
合成樹脂材料により一体に形成されたポンプチューブを
作製し、少なくとも使用時にポンプにより押圧されるポ
ンプチューブ部分内に細管を挿入し、ポンプチューブの
内面と前記細管の外面間に該細管を閉塞することなく水
性液体を充填し、該水性液体を充填した状態にてポンプ
チューブの血液接触面をオゾン処理し、血液接触面を形
成する合成樹脂表面に酸素原子を含む官能基を生成させ
た後、この官能基と抗血栓性物質とを、水系溶媒を用い
て、直接、または少なくとも一種のカップリング剤を介
して共有結合させることを特徴とするポンプチューブの
製造方法である。そして、前記ヘパリンは、少なくとも
一種のカップリング剤を介して前記酸素原子を含む官能
基と共有結合していることが好ましい。
合成樹脂材料により一体に形成されたポンプチューブを
作製し、少なくとも使用時にポンプにより押圧されるポ
ンプチューブ部分内に細管を挿入し、ポンプチューブの
内面と前記細管の外面間に該細管を閉塞することなく水
性液体を充填し、該水性液体を充填した状態にてポンプ
チューブの血液接触面をオゾン処理し、血液接触面を形
成する合成樹脂表面に酸素原子を含む官能基を生成させ
た後、この官能基と抗血栓性物質とを、水系溶媒を用い
て、直接、または少なくとも一種のカップリング剤を介
して共有結合させることを特徴とするポンプチューブの
製造方法である。そして、前記ヘパリンは、少なくとも
一種のカップリング剤を介して前記酸素原子を含む官能
基と共有結合していることが好ましい。
【0011】そこで、本発明の医療器具をポンプチュー
ブに応用した実施例を用いて説明する。本発明の医療器
具1は、可撓性合成樹脂材料により形成され、使用時に
血液と接触し、かつ使用時に負荷される外力により継続
的に変形、復元が繰り返される可撓性変形可能部2を少
なくとも有する医療器具であり、可撓性変形可能部2を
少なくとも除く血液接触面3に抗血栓性物質4が固定さ
れている。
ブに応用した実施例を用いて説明する。本発明の医療器
具1は、可撓性合成樹脂材料により形成され、使用時に
血液と接触し、かつ使用時に負荷される外力により継続
的に変形、復元が繰り返される可撓性変形可能部2を少
なくとも有する医療器具であり、可撓性変形可能部2を
少なくとも除く血液接触面3に抗血栓性物質4が固定さ
れている。
【0012】図1は、本発明の医療器具をポンプチュー
ブに応用した実施例の側面図であり、図2は、図1に示
したポンプチューブの拡大断面図である。ポンプチュー
ブ1は、内部に血液流路5を有し、可撓性合成樹脂材料
により一体に形成されたポンプチューブ本体6からな
り、少なくとも使用時にポンプにより押圧されるチュー
ブ部分2の内壁面を除く血液接触面に抗血栓性物質4が
固定されている。このポンプチューブ1は、図1に示す
ように、ローラーポンプ用のポンプチューブであり、チ
ューブ部分2は、ローラーポンプ7のローラーシャフト
8の回転により、ローラー9に接触し、挟圧され、変形
する。そして、ローラー9が通過することにより再び元
の形状に復元する。このため使用時に、このチューブ部
分2は、ローラー9による外力により変形と復元が継続
して繰り返される。
ブに応用した実施例の側面図であり、図2は、図1に示
したポンプチューブの拡大断面図である。ポンプチュー
ブ1は、内部に血液流路5を有し、可撓性合成樹脂材料
により一体に形成されたポンプチューブ本体6からな
り、少なくとも使用時にポンプにより押圧されるチュー
ブ部分2の内壁面を除く血液接触面に抗血栓性物質4が
固定されている。このポンプチューブ1は、図1に示す
ように、ローラーポンプ用のポンプチューブであり、チ
ューブ部分2は、ローラーポンプ7のローラーシャフト
8の回転により、ローラー9に接触し、挟圧され、変形
する。そして、ローラー9が通過することにより再び元
の形状に復元する。このため使用時に、このチューブ部
分2は、ローラー9による外力により変形と復元が継続
して繰り返される。
【0013】ポンプチューブ本体6は、可撓性合成樹脂
により一体に形成されており、ローラーポンプ用に用い
る場合、内径が1.0〜20.0mm程度、外径が1.
2〜30.0mm程度、長さが50〜650mm程度の
ものが好適に使用される。ポンプチューブ本体の形成材
料としては、可撓性を有する合成樹脂が使用され、例え
ば、軟質塩化ビニル樹脂、塩化ビニル共重合体(例え
ば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エ
チレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合
体、ポリ塩化ビニル−ウレタン共重合体、ポリ塩化ビニ
ル−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−メタクリ
ル酸メチル共重合体、および上記ポリマーと可塑剤とか
らなる軟質塩化ビニル変性体)、ポリウレタン、シリコ
ン樹脂、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラス
トマー、ジエン系重合物(ブタジエン重合物、ブタジエ
ン−スチレン共重合物、ブタジエンアクリロニトリル共
重合物、イソプレン重合物、クロロプレン重合物)など
が好適に使用できる。
により一体に形成されており、ローラーポンプ用に用い
る場合、内径が1.0〜20.0mm程度、外径が1.
2〜30.0mm程度、長さが50〜650mm程度の
ものが好適に使用される。ポンプチューブ本体の形成材
料としては、可撓性を有する合成樹脂が使用され、例え
ば、軟質塩化ビニル樹脂、塩化ビニル共重合体(例え
ば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エ
チレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合
体、ポリ塩化ビニル−ウレタン共重合体、ポリ塩化ビニ
ル−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−メタクリ
ル酸メチル共重合体、および上記ポリマーと可塑剤とか
らなる軟質塩化ビニル変性体)、ポリウレタン、シリコ
ン樹脂、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラス
トマー、ジエン系重合物(ブタジエン重合物、ブタジエ
ン−スチレン共重合物、ブタジエンアクリロニトリル共
重合物、イソプレン重合物、クロロプレン重合物)など
が好適に使用できる。
【0014】そして、ポンプチューブ本体6の内面全体
は、使用時に血液と接触する血液接触面である。本発明
のポンプチューブ1では、血液接触面の全体ではなく、
使用時に変形と復元が繰り返されるチューブ部分2の血
液接触面以外の部分に抗血栓性物質が固定されている。
さらに、抗血栓性物質4は、チューブ部分2を除く血液
接触面に、オゾン処理により生成された基材表面の酸化
物中に含まれる官能基と、抗血栓性物質のアミノ基と
が、直接、または少なくとも一種のカップリング剤を介
して共有結合することにより固定されていることが好ま
しい。抗血栓性物質4としては、ヘパリン、ウロキナー
ゼ、プロスタグランジンI2類似物質、各種セリンプロ
テアーゼインヒビター、トロンボモジュリンなどが好適
に使用できる。そして、オゾン処理を用いることによ
り、溶剤を使用することなく、血液接触面にヘパリンが
固定されるので、血液接触面を形成するポンプチューブ
本体6の基材の物性の変化、具体的には、可撓性、弾
性、強度などの低下が少ない。
は、使用時に血液と接触する血液接触面である。本発明
のポンプチューブ1では、血液接触面の全体ではなく、
使用時に変形と復元が繰り返されるチューブ部分2の血
液接触面以外の部分に抗血栓性物質が固定されている。
さらに、抗血栓性物質4は、チューブ部分2を除く血液
接触面に、オゾン処理により生成された基材表面の酸化
物中に含まれる官能基と、抗血栓性物質のアミノ基と
が、直接、または少なくとも一種のカップリング剤を介
して共有結合することにより固定されていることが好ま
しい。抗血栓性物質4としては、ヘパリン、ウロキナー
ゼ、プロスタグランジンI2類似物質、各種セリンプロ
テアーゼインヒビター、トロンボモジュリンなどが好適
に使用できる。そして、オゾン処理を用いることによ
り、溶剤を使用することなく、血液接触面にヘパリンが
固定されるので、血液接触面を形成するポンプチューブ
本体6の基材の物性の変化、具体的には、可撓性、弾
性、強度などの低下が少ない。
【0015】オゾン処理によってポンプチューブ本体6
の表面に形成される酸化物中には、種々の官能基、例え
ば、アルデヒド、ケトン、エポキシなど反応性の高い官
能基が生成される。そして、これらの官能基に直接官能
基を結合させることも可能であるが、立体障害等の問題
も有り、これらの官能基にスペーサー(カップリング
剤)を導入し、ヘパリンを固定する方法が、容易で、し
かも表面のヘパリン活性発現の点からも有用である。カ
ップリング剤としては、一種または2種以上のものを用
いてもよく、また2つ以上のアルデヒド基や、エポキシ
基を有する化合物が好適に用いられる。
の表面に形成される酸化物中には、種々の官能基、例え
ば、アルデヒド、ケトン、エポキシなど反応性の高い官
能基が生成される。そして、これらの官能基に直接官能
基を結合させることも可能であるが、立体障害等の問題
も有り、これらの官能基にスペーサー(カップリング
剤)を導入し、ヘパリンを固定する方法が、容易で、し
かも表面のヘパリン活性発現の点からも有用である。カ
ップリング剤としては、一種または2種以上のものを用
いてもよく、また2つ以上のアルデヒド基や、エポキシ
基を有する化合物が好適に用いられる。
【0016】また、複数種のカップリング剤を用いる場
合は、ポンプチューブ本体6の基材上に導入された上記
官能基にアミノ基等の官能基を2つ以上有する化合物か
らなるカップリング剤(スペーサ用カップリング剤)を
予め結合させて基材にアミノ酸等を導入した後、ヘパリ
ンを2つ以上のアルデヒド基やエポキシ基を有する化合
物からなるカップリング剤(ヘパリン固定用カップリン
グ剤)を用いて基材に結合させる事が好ましい。さらに
はヘパリンを結合する際に、カップリング剤をヘパリン
と同時、あるいはヘパリン投入以降に反応系内に投入す
ることが好ましい。特に、スペーサ用カップリング剤を
用いて、アミノ基を導入すれば、ヘパリンのアミノ基と
反応系内でほぼ同様な反応性を示すので、より効果的に
後者のヘパリン固定用カップリング剤によるヘパリンの
基材への固定を行わせることができる。
合は、ポンプチューブ本体6の基材上に導入された上記
官能基にアミノ基等の官能基を2つ以上有する化合物か
らなるカップリング剤(スペーサ用カップリング剤)を
予め結合させて基材にアミノ酸等を導入した後、ヘパリ
ンを2つ以上のアルデヒド基やエポキシ基を有する化合
物からなるカップリング剤(ヘパリン固定用カップリン
グ剤)を用いて基材に結合させる事が好ましい。さらに
はヘパリンを結合する際に、カップリング剤をヘパリン
と同時、あるいはヘパリン投入以降に反応系内に投入す
ることが好ましい。特に、スペーサ用カップリング剤を
用いて、アミノ基を導入すれば、ヘパリンのアミノ基と
反応系内でほぼ同様な反応性を示すので、より効果的に
後者のヘパリン固定用カップリング剤によるヘパリンの
基材への固定を行わせることができる。
【0017】また、ヘパリンと直接結合するカップリン
グ剤の官能基または基材に導入された官能基がアルデヒ
ド基である場合は、ヘパリンとして、ヘパリンのN−硫
酸基の一部を脱硫化して第1級アミノ化したものを用い
ることが好ましい。スペーサ用カップリング剤として
は、ポンプチューブ本体6の基材上のオゾン処理により
得た官能基と結合(共有結合)し、かつ2つ以上の第1
級アミノ基を有するものが好ましい。アミノ基を2つ以
上有するスペーサ用カップリング剤としては、ポリエチ
エレンイミン(PEI)、ポリエチレングリコールジア
ミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン等が
挙げられる。ヘパリンをポンプチューブ本体6の基材に
固定するために使用されるカップリング剤としては、ア
ルデヒド化合物、エポキシ化合物が好適に使用できる。
アルデヒド化合物としては、グルタルアルデヒド、グリ
オキサール、スクシンジアルデヒド、エポキシ化合物と
しては、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテ
ル、1,4−ブタンジオール−ジグリシジルエーテル、
ソルビトールジグリシジルエーテル、グリセロールジグ
リシジルエーテルなどが好適に使用される。
グ剤の官能基または基材に導入された官能基がアルデヒ
ド基である場合は、ヘパリンとして、ヘパリンのN−硫
酸基の一部を脱硫化して第1級アミノ化したものを用い
ることが好ましい。スペーサ用カップリング剤として
は、ポンプチューブ本体6の基材上のオゾン処理により
得た官能基と結合(共有結合)し、かつ2つ以上の第1
級アミノ基を有するものが好ましい。アミノ基を2つ以
上有するスペーサ用カップリング剤としては、ポリエチ
エレンイミン(PEI)、ポリエチレングリコールジア
ミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン等が
挙げられる。ヘパリンをポンプチューブ本体6の基材に
固定するために使用されるカップリング剤としては、ア
ルデヒド化合物、エポキシ化合物が好適に使用できる。
アルデヒド化合物としては、グルタルアルデヒド、グリ
オキサール、スクシンジアルデヒド、エポキシ化合物と
しては、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテ
ル、1,4−ブタンジオール−ジグリシジルエーテル、
ソルビトールジグリシジルエーテル、グリセロールジグ
リシジルエーテルなどが好適に使用される。
【0018】具体的には、エポキシ化合物がソルビトー
ルジグリシジルエーテルであるデナコール EX−42
1、521、611、612、614、614B)、ジ
エポキシ化合物がグリセロールジグリシジルエーテルで
あるデナコール EX−313、ジエポキシ化合物がポ
リエチレングリコールグリジジルエーテルであるEX−
810、811、851、821、830、832、8
41、861(ナガセ化成社製)等が挙げられる。さら
にエポキシの反応性の違いから、デナコールEX−31
3、421、512、521、810、811、82
1、851等が更に好ましい。
ルジグリシジルエーテルであるデナコール EX−42
1、521、611、612、614、614B)、ジ
エポキシ化合物がグリセロールジグリシジルエーテルで
あるデナコール EX−313、ジエポキシ化合物がポ
リエチレングリコールグリジジルエーテルであるEX−
810、811、851、821、830、832、8
41、861(ナガセ化成社製)等が挙げられる。さら
にエポキシの反応性の違いから、デナコールEX−31
3、421、512、521、810、811、82
1、851等が更に好ましい。
【0019】そして、上記のヘパリン固定では、基材に
固定されたポリエチレンイミンとグルタールアルデヒド
の結合、グルタールアルデヒドとヘパリンの結合はすべ
て共有結合であり、ヘパリンの離脱が少ない。なお、本
発明のポンプチューブは、上述したローラーポンプ用ポ
ンプチューブに限定されるものではなく、ペリスタルリ
ック式ポンプ用のポンプチューブにも応用することがで
きる。
固定されたポリエチレンイミンとグルタールアルデヒド
の結合、グルタールアルデヒドとヘパリンの結合はすべ
て共有結合であり、ヘパリンの離脱が少ない。なお、本
発明のポンプチューブは、上述したローラーポンプ用ポ
ンプチューブに限定されるものではなく、ペリスタルリ
ック式ポンプ用のポンプチューブにも応用することがで
きる。
【0020】そして、このようなポンプチューブ1は、
各種の血液回路に使用される。例えば、体外循環用血液
回路であり、具体的に、人工心肺用血液回路、人工透析
用血液回路などがある。ポンプチューブを備えた人工心
肺血液回路の一例を図3に示す。この人工心肺血液回路
20は、脱血カテーテル(図示せず)が接続される脱血
カテーテル接続部21,21と、静脈貯血槽22と、接
続部21,21と静脈貯血槽22を接続する血液チュー
ブ23と、血液チューブ23に接続されたポンプチュー
ブ1と、熱交換器付人工肺24と、人工肺24とポンプ
チューブ1とを接続する血液チューブ25と、人工肺2
4と送血カテーテル(図示せず)が接続される送血カテ
ーテル接続部26,26とを接続する血液チューブ27
とからなる。そして、ポンプチューブ1は、ローラーポ
ンプ7に取り付けられている。この血液回路は、心臓機
能の低下した患者、心臓手術後の患者などに使用される
長期的に血液の循環を行うための人工心肺血液回路であ
る。
各種の血液回路に使用される。例えば、体外循環用血液
回路であり、具体的に、人工心肺用血液回路、人工透析
用血液回路などがある。ポンプチューブを備えた人工心
肺血液回路の一例を図3に示す。この人工心肺血液回路
20は、脱血カテーテル(図示せず)が接続される脱血
カテーテル接続部21,21と、静脈貯血槽22と、接
続部21,21と静脈貯血槽22を接続する血液チュー
ブ23と、血液チューブ23に接続されたポンプチュー
ブ1と、熱交換器付人工肺24と、人工肺24とポンプ
チューブ1とを接続する血液チューブ25と、人工肺2
4と送血カテーテル(図示せず)が接続される送血カテ
ーテル接続部26,26とを接続する血液チューブ27
とからなる。そして、ポンプチューブ1は、ローラーポ
ンプ7に取り付けられている。この血液回路は、心臓機
能の低下した患者、心臓手術後の患者などに使用される
長期的に血液の循環を行うための人工心肺血液回路であ
る。
【0021】そして、この血液回路20では、患者の体
内より流出し、脱血カテーテルを通過した血液は、落差
により、接続部21,21より矢印方向に流れ、一時的
に貯血槽22内に貯留される。そして、貯血槽22内に
貯留された血液は、ローラーポンプ7の駆動により、ポ
ンプチューブ1が挟圧され、かつ挟圧部の矢印の方向へ
の移動に伴い、矢印方向に送液される。送液された血液
は、人工肺24内に流入し、ガス交換(二酸化炭素の除
去および酸素付加)された後、流出し、血液チューブ2
7および接続部26を通り、送血カテーテルより患者に
返還される。そして、この血液回路20内に形成される
血液接触面には、使用時に変形と復元が繰り返されるポ
ンプチューブ1の中央部分2を除いて抗血栓性物質が固
定されている。このためほとんどの血液接触面における
血栓の発生を防止し、かつ、ポンプにより挟圧されるポ
ンプチューブ部分には、抗血栓性物質が固定されていな
いので、その剥離のおそれもない。また、ポンプにより
挟圧されるポンプチューブ部分では、変形と復元が繰り
返されるため、血液の滞留がなく、かつ血液の流れも速
いため、抗血栓性物質が固定されていなくても、血栓の
発生がほとんどない。なお、この血液回路の血液接触面
への抗血栓性物質の固定および使用される材料について
は、上述のポンプチューブの説明と同じものおよび方法
が好適に使用できる。
内より流出し、脱血カテーテルを通過した血液は、落差
により、接続部21,21より矢印方向に流れ、一時的
に貯血槽22内に貯留される。そして、貯血槽22内に
貯留された血液は、ローラーポンプ7の駆動により、ポ
ンプチューブ1が挟圧され、かつ挟圧部の矢印の方向へ
の移動に伴い、矢印方向に送液される。送液された血液
は、人工肺24内に流入し、ガス交換(二酸化炭素の除
去および酸素付加)された後、流出し、血液チューブ2
7および接続部26を通り、送血カテーテルより患者に
返還される。そして、この血液回路20内に形成される
血液接触面には、使用時に変形と復元が繰り返されるポ
ンプチューブ1の中央部分2を除いて抗血栓性物質が固
定されている。このためほとんどの血液接触面における
血栓の発生を防止し、かつ、ポンプにより挟圧されるポ
ンプチューブ部分には、抗血栓性物質が固定されていな
いので、その剥離のおそれもない。また、ポンプにより
挟圧されるポンプチューブ部分では、変形と復元が繰り
返されるため、血液の滞留がなく、かつ血液の流れも速
いため、抗血栓性物質が固定されていなくても、血栓の
発生がほとんどない。なお、この血液回路の血液接触面
への抗血栓性物質の固定および使用される材料について
は、上述のポンプチューブの説明と同じものおよび方法
が好適に使用できる。
【0022】次に、ポンプチューブを備えた人工透析用
肺血液回路の一例を図4に示す。この人工透析用血液回
路30は、透析器31を境にして、上流側である動脈側
回路32と、下流側である静脈回路33に区分される。
具体的には、上流側である動脈側回路32は、採血側穿
刺針(図示せず)を取り付けるためのコネクター34
と、陰圧モニター35と、両者を接続する血液チューブ
36と、ポンプチューブ1と、ポンプチューブ1と陰圧
モニター35とを接続する血液チューブ37と、血液中
の異物除去などを行うドリップチャンバー39と、ポン
プチューブ1とドリップチャンバー35とを接続する血
液チューブ38と、ドリップチャンバー39に接続さ
れ、端部に透析器31の血液ポートに接続されるポート
コネクター40を有しており、このポートコネクター4
0が透析器31の血液流入ポートに接続されている。そ
して、血液チューブ36には、ヘパリン投与用チューブ
36およびプライミング用チューブ37が接続されてい
る。下流側である静脈側回路33は、透析器31の血液
流出ポートに接続されたポートコネクター41を一端に
備えた血液チューブ42と、この血液チューブ42の他
端に接続された血液中の異物除去などを行うドリップチ
ャンバー43と、ドリップチャンバー43に接続された
血液チューブ44と、血液チューブ44の端部に取り付
けられた返血側穿刺針(図示せず)を取り付けるための
コネクター34とからなる。
肺血液回路の一例を図4に示す。この人工透析用血液回
路30は、透析器31を境にして、上流側である動脈側
回路32と、下流側である静脈回路33に区分される。
具体的には、上流側である動脈側回路32は、採血側穿
刺針(図示せず)を取り付けるためのコネクター34
と、陰圧モニター35と、両者を接続する血液チューブ
36と、ポンプチューブ1と、ポンプチューブ1と陰圧
モニター35とを接続する血液チューブ37と、血液中
の異物除去などを行うドリップチャンバー39と、ポン
プチューブ1とドリップチャンバー35とを接続する血
液チューブ38と、ドリップチャンバー39に接続さ
れ、端部に透析器31の血液ポートに接続されるポート
コネクター40を有しており、このポートコネクター4
0が透析器31の血液流入ポートに接続されている。そ
して、血液チューブ36には、ヘパリン投与用チューブ
36およびプライミング用チューブ37が接続されてい
る。下流側である静脈側回路33は、透析器31の血液
流出ポートに接続されたポートコネクター41を一端に
備えた血液チューブ42と、この血液チューブ42の他
端に接続された血液中の異物除去などを行うドリップチ
ャンバー43と、ドリップチャンバー43に接続された
血液チューブ44と、血液チューブ44の端部に取り付
けられた返血側穿刺針(図示せず)を取り付けるための
コネクター34とからなる。
【0023】そして、この血液回路30では、ポンプチ
ューブ1が取り付けられるローラーポンプの駆動によ
り、ポンプチューブ1が挟圧され、かつ挟圧部の矢印の
方向への移動に伴い、矢印方向に血液が送液される。送
液された血液は、ドリップチャンバー39を通過し、異
物が除去された後、透析器31に流入し、老廃物の除
去、電解質調整、水分除去などが行われる。透析器31
より流出した血液は、血液チューブ42を通り、ドリッ
プチャンバー43により異物が再び除去された後、血液
チューブ44を通り、返血側穿刺針より患者に返還され
る。そして、この血液回路30内に形成される血液接触
面には、使用時に変形と復元が繰り返されるポンプチュ
ーブ1の中央部分2を除いて抗血栓性物質が固定されて
いる。このためほとんどの血液接触面における血栓の発
生を防止し、かつ、ポンプにより挟圧されるポンプチュ
ーブ部分には、抗血栓性物質が固定されていないので、
その剥離のおそれもない。また、ポンプにより挟圧され
るポンプチューブ部分では、変形と復元が繰り返される
ため、血液の滞留がなく、かつ血液の流れも速いため、
抗血栓性物質が固定されていなくても、血栓の発生がほ
とんどない。なお、この血液回路の血液接触面への抗血
栓性物質の固定および使用される材料については、上述
のポンプチューブの説明と同じものおよび方法が好適に
使用できる。
ューブ1が取り付けられるローラーポンプの駆動によ
り、ポンプチューブ1が挟圧され、かつ挟圧部の矢印の
方向への移動に伴い、矢印方向に血液が送液される。送
液された血液は、ドリップチャンバー39を通過し、異
物が除去された後、透析器31に流入し、老廃物の除
去、電解質調整、水分除去などが行われる。透析器31
より流出した血液は、血液チューブ42を通り、ドリッ
プチャンバー43により異物が再び除去された後、血液
チューブ44を通り、返血側穿刺針より患者に返還され
る。そして、この血液回路30内に形成される血液接触
面には、使用時に変形と復元が繰り返されるポンプチュ
ーブ1の中央部分2を除いて抗血栓性物質が固定されて
いる。このためほとんどの血液接触面における血栓の発
生を防止し、かつ、ポンプにより挟圧されるポンプチュ
ーブ部分には、抗血栓性物質が固定されていないので、
その剥離のおそれもない。また、ポンプにより挟圧され
るポンプチューブ部分では、変形と復元が繰り返される
ため、血液の滞留がなく、かつ血液の流れも速いため、
抗血栓性物質が固定されていなくても、血栓の発生がほ
とんどない。なお、この血液回路の血液接触面への抗血
栓性物質の固定および使用される材料については、上述
のポンプチューブの説明と同じものおよび方法が好適に
使用できる。
【0024】次に、本発明の医療器具の製造方法をポン
プチューブの製造方法に応用した実施例を用いて説明す
る。本発明の医療器具の製造方法は、可撓性合成樹脂材
料により形成され、使用時に血液と接触し、かつ使用時
に負荷される外力により継続的に変形、復元が繰り返さ
れる可撓性変形可能部を少なくとも有する医療器具を形
成する工程と、医療器具の少なくとも可撓性変形可能部
に水性液体を接触させる工程と、医療器具の可撓性変形
可能部に水性液体が接触した状態にて医療器具の血液接
触面をオゾン処理する工程と、血液接触面を形成する合
成樹脂表面に酸素原子を含む官能基を生成させた後、こ
の官能基と抗血栓性物質とを、水系溶媒を用いて、直
接、または少なくとも一種のカップリング剤を介して共
有結合させる工程とを有している。
プチューブの製造方法に応用した実施例を用いて説明す
る。本発明の医療器具の製造方法は、可撓性合成樹脂材
料により形成され、使用時に血液と接触し、かつ使用時
に負荷される外力により継続的に変形、復元が繰り返さ
れる可撓性変形可能部を少なくとも有する医療器具を形
成する工程と、医療器具の少なくとも可撓性変形可能部
に水性液体を接触させる工程と、医療器具の可撓性変形
可能部に水性液体が接触した状態にて医療器具の血液接
触面をオゾン処理する工程と、血液接触面を形成する合
成樹脂表面に酸素原子を含む官能基を生成させた後、こ
の官能基と抗血栓性物質とを、水系溶媒を用いて、直
接、または少なくとも一種のカップリング剤を介して共
有結合させる工程とを有している。
【0025】そして、ポンプチューブ1の具体的な製造
方法では、可撓性合成樹脂材料により一体に形成された
ポンプチューブ本体6を作製する工程と、少なくとも使
用時にポンプにより押圧されるポンプチューブ部分2内
に細管を挿入し、ポンプチューブ本体6の内面と細管1
0の外面間に細管10を閉塞することなく水性液体12
を充填し、水性液体12を充填した状態にてポンプチュ
ーブ本体6の血液接触面をオゾン処理し、水性液体12
と接触しない血液接触面を形成する合成樹脂表面に酸素
原子を含む官能基を生成させた後、この官能基と抗血栓
性物質4とを、水系溶媒を用いて、直接、または少なく
とも一種のカップリング剤を介して共有結合させる工程
とを有している。
方法では、可撓性合成樹脂材料により一体に形成された
ポンプチューブ本体6を作製する工程と、少なくとも使
用時にポンプにより押圧されるポンプチューブ部分2内
に細管を挿入し、ポンプチューブ本体6の内面と細管1
0の外面間に細管10を閉塞することなく水性液体12
を充填し、水性液体12を充填した状態にてポンプチュ
ーブ本体6の血液接触面をオゾン処理し、水性液体12
と接触しない血液接触面を形成する合成樹脂表面に酸素
原子を含む官能基を生成させた後、この官能基と抗血栓
性物質4とを、水系溶媒を用いて、直接、または少なく
とも一種のカップリング剤を介して共有結合させる工程
とを有している。
【0026】具体的に各工程について説明する。まず、
可撓性合成樹脂材料によりポンプチューブ本体6を一体
に形成する。この工程は、上述した可撓性合成樹脂を用
いて、押出成形、射出成型などにより行われる。
可撓性合成樹脂材料によりポンプチューブ本体6を一体
に形成する。この工程は、上述した可撓性合成樹脂を用
いて、押出成形、射出成型などにより行われる。
【0027】続いて、図5に示すように、ポンプチュー
ブ本体6内に、可撓性材料(例えば、可撓性合成樹脂、
ゴム)により形成された細管10を挿入する。細管10
は、少なくとも使用時にポンプにより押圧されるポンプ
チューブ部分2の長さより長いものが使用される。そし
て、細管10は、図5に示すように、上述のポンプチュ
ーブ部分2となる部分に少なくとも位置するように挿入
する。さらに、この細管10を閉塞することなく、ホン
プチューブ本体6のポンプチューブ部分2の内面と細管
10の外面間に水性液体12を充填する。この状態が、
図5に示す状態である。
ブ本体6内に、可撓性材料(例えば、可撓性合成樹脂、
ゴム)により形成された細管10を挿入する。細管10
は、少なくとも使用時にポンプにより押圧されるポンプ
チューブ部分2の長さより長いものが使用される。そし
て、細管10は、図5に示すように、上述のポンプチュ
ーブ部分2となる部分に少なくとも位置するように挿入
する。さらに、この細管10を閉塞することなく、ホン
プチューブ本体6のポンプチューブ部分2の内面と細管
10の外面間に水性液体12を充填する。この状態が、
図5に示す状態である。
【0028】水性液体としては、水、特に、蒸留水、精
製水、RO水などが好適である。また、アルコール(例
えば、エチルアルコール、メチルアルコールなど)と水
の混合液体であってもよい。そして、水性液体12を充
填した状態にてポンプチューブ本体6の血液接触面をオ
ゾン処理し、水性液体10と接触しない血液接触面を形
成するポンプチューブ本体6の基材表面に酸素原子を含
む官能基を生成させる。オゾン処理は、O2をオゾン発
生機で酸化させたO3/O2ガスをポンプチューブ本体6
の内部に流入させる。そして、この実施例の製造方法で
は、ポンプチューブ本体6内に細管10が挿入されてい
るので、ポンプチューブ本体6の一端6aより流入させ
たオゾンは、細管10内を通り、他端6b側に移行す
る。このため、ポンプチューブ本体6の両端部6c,6
d部分の内面を同時にオゾンと接触させることができ、
さらに、水性液体12の両液面10a,10b付近のポ
ンプチューブ本体6の内面にもオゾンを確実に接触させ
ることができる。
製水、RO水などが好適である。また、アルコール(例
えば、エチルアルコール、メチルアルコールなど)と水
の混合液体であってもよい。そして、水性液体12を充
填した状態にてポンプチューブ本体6の血液接触面をオ
ゾン処理し、水性液体10と接触しない血液接触面を形
成するポンプチューブ本体6の基材表面に酸素原子を含
む官能基を生成させる。オゾン処理は、O2をオゾン発
生機で酸化させたO3/O2ガスをポンプチューブ本体6
の内部に流入させる。そして、この実施例の製造方法で
は、ポンプチューブ本体6内に細管10が挿入されてい
るので、ポンプチューブ本体6の一端6aより流入させ
たオゾンは、細管10内を通り、他端6b側に移行す
る。このため、ポンプチューブ本体6の両端部6c,6
d部分の内面を同時にオゾンと接触させることができ、
さらに、水性液体12の両液面10a,10b付近のポ
ンプチューブ本体6の内面にもオゾンを確実に接触させ
ることができる。
【0029】オゾンの処理条件は、濃度、反応時間、反
応温度等、その材質により千差万別である。例えば、あ
る材質には至適条件でも、他の材質には十分官能基が導
入できなかったり反応が強すぎて材質が劣化しすぎたり
する。一つの目安として気体状態で接触させる時は、1
〜50g/m3の濃度、50〜5000ml/minの
流量、0〜70℃の反応温度で0.5〜120minの
反応時間のうちからその材質に合った至適条件を選択す
ることが可能である。
応温度等、その材質により千差万別である。例えば、あ
る材質には至適条件でも、他の材質には十分官能基が導
入できなかったり反応が強すぎて材質が劣化しすぎたり
する。一つの目安として気体状態で接触させる時は、1
〜50g/m3の濃度、50〜5000ml/minの
流量、0〜70℃の反応温度で0.5〜120minの
反応時間のうちからその材質に合った至適条件を選択す
ることが可能である。
【0030】そして、オゾン処理は、ポンプチューブ本
体6の両端にオゾン発生機のチューブを接続し、ポンプ
チューブ本体6の一端6a側より、オゾンを流入させて
行う。さらに、血液接触面へのオゾンの接触をより確実
にするために、流入方向を変えて、ポンプチューブ本体
6の他端6b側よりもオゾンを流入させることが好まし
い。さらに、上記のオゾンの流入作業を、方向を変えて
交互に、複数回行うことが好ましい。このようにして、
ポンプチューブ本体6の血液接触面はオゾンと接触す
る。しかし、水性液体12と接触している部分は、オゾ
ンに接触しない。このため、水性液体12と接触してい
ない血液接触面部分の表面にのみ酸化物が形成され、か
つその中に官能基が生成される。
体6の両端にオゾン発生機のチューブを接続し、ポンプ
チューブ本体6の一端6a側より、オゾンを流入させて
行う。さらに、血液接触面へのオゾンの接触をより確実
にするために、流入方向を変えて、ポンプチューブ本体
6の他端6b側よりもオゾンを流入させることが好まし
い。さらに、上記のオゾンの流入作業を、方向を変えて
交互に、複数回行うことが好ましい。このようにして、
ポンプチューブ本体6の血液接触面はオゾンと接触す
る。しかし、水性液体12と接触している部分は、オゾ
ンに接触しない。このため、水性液体12と接触してい
ない血液接触面部分の表面にのみ酸化物が形成され、か
つその中に官能基が生成される。
【0031】そして、このオゾン処理工程が終了した
後、水性液体12をポンプチューブ本体6より排出し、
細管10を抜去する。このようにして、水性液体12と
接触しないポンプチューブ本体6の血液接触面を形成す
る合成樹脂表面に、酸素原子を含む官能基が生成された
ポンプチューブ本体6が形成される。続いて、ポンプチ
ューブ本体6の血液接触面に形成された官能基と抗血栓
性物質4とを、水系溶媒を用いて、直接、または少なく
とも一種のカップリング剤を介して共有結合させる工程
を行う。
後、水性液体12をポンプチューブ本体6より排出し、
細管10を抜去する。このようにして、水性液体12と
接触しないポンプチューブ本体6の血液接触面を形成す
る合成樹脂表面に、酸素原子を含む官能基が生成された
ポンプチューブ本体6が形成される。続いて、ポンプチ
ューブ本体6の血液接触面に形成された官能基と抗血栓
性物質4とを、水系溶媒を用いて、直接、または少なく
とも一種のカップリング剤を介して共有結合させる工程
を行う。
【0032】抗血栓性物質としては、この実施例ではヘ
パリンを用いる。ヘパリンは、抗血栓性を示す化合物と
して広く知られ、N−硫酸部位を有している。ヘパリン
をそのまま基材表面に固定することもできる。好ましく
は、ヘパリンと結合する相手の官能基がアルデヒド基の
ように元来ヘパリンが持つアミノ基だけでは、十分に固
定しきれない官能基である場合は、ヘパリンのN−硫酸
部位の一部の脱硫酸化を行って第1級アミノ化しておく
ことが好ましい。
パリンを用いる。ヘパリンは、抗血栓性を示す化合物と
して広く知られ、N−硫酸部位を有している。ヘパリン
をそのまま基材表面に固定することもできる。好ましく
は、ヘパリンと結合する相手の官能基がアルデヒド基の
ように元来ヘパリンが持つアミノ基だけでは、十分に固
定しきれない官能基である場合は、ヘパリンのN−硫酸
部位の一部の脱硫酸化を行って第1級アミノ化しておく
ことが好ましい。
【0033】この場合、第1級アミノ化の程度は、ヘパ
リン中の全アミノ基の内、第1級アミノ基の量が5〜2
5%にするのがよい。より好ましくは10〜20%、更
に好ましくは10〜15%が良い。ここで、ヘパリン中
の第1級アミノ基とは、N−硫酸部位の一部の脱硫酸し
て第1級アミノ化したもの、およびヘパリン自体がもっ
ていたもの両方を含む。ヘパリン中の第1級アミノ基の
量が5%未満では基材に固定されにくくなり、25%を
越えるとヘパリンの活性が低下して来るので、5〜25
%にしておくのが良い。ヘパリンのN−硫酸部位の一部
の脱硫酸化は次のようにして行うことができる。すなわ
ち、市販のヘパリンを蒸留水に溶かし、ヘパリン溶液を
作成し、このヘパリン溶液に硫酸を加え、加温し、イン
キュベートさせることにより行うことができる。
リン中の全アミノ基の内、第1級アミノ基の量が5〜2
5%にするのがよい。より好ましくは10〜20%、更
に好ましくは10〜15%が良い。ここで、ヘパリン中
の第1級アミノ基とは、N−硫酸部位の一部の脱硫酸し
て第1級アミノ化したもの、およびヘパリン自体がもっ
ていたもの両方を含む。ヘパリン中の第1級アミノ基の
量が5%未満では基材に固定されにくくなり、25%を
越えるとヘパリンの活性が低下して来るので、5〜25
%にしておくのが良い。ヘパリンのN−硫酸部位の一部
の脱硫酸化は次のようにして行うことができる。すなわ
ち、市販のヘパリンを蒸留水に溶かし、ヘパリン溶液を
作成し、このヘパリン溶液に硫酸を加え、加温し、イン
キュベートさせることにより行うことができる。
【0034】ヘパリン溶液の濃度としては、1.0〜2
0%程度が好適であり、添加する硫酸としては、5.0
〜20Nのものを、ヘパリン溶液10mlに対して、
0.1〜1.0ml程度添加し、50〜100℃で、2
〜30分間インキュベートすることが好ましい。そし
て、インキュベーション時間とともにヘパリン中の第1
級アミノ基は増加するが、ヘパリン活性は徐々に低下す
る。したがってヘパリン活性が不適当に低下しないよう
な程度にN−硫酸部位の第1級アミノ化を行うことが好
ましい。具体的にはヘパリンのロイシン当量が0.05
〜0.25(μmol/10mg)であることが好まし
い。即ち、ロイシン当量が0.05〜0.13(μmo
l/10mg)より低いと、第1級アミノ基が十分でな
く、基材表面へのヘパリンの固定量が低下してしまい、
0.25(μmol/10mg)より高いと、ヘパリン
活性が低下してしまうので好ましくない。
0%程度が好適であり、添加する硫酸としては、5.0
〜20Nのものを、ヘパリン溶液10mlに対して、
0.1〜1.0ml程度添加し、50〜100℃で、2
〜30分間インキュベートすることが好ましい。そし
て、インキュベーション時間とともにヘパリン中の第1
級アミノ基は増加するが、ヘパリン活性は徐々に低下す
る。したがってヘパリン活性が不適当に低下しないよう
な程度にN−硫酸部位の第1級アミノ化を行うことが好
ましい。具体的にはヘパリンのロイシン当量が0.05
〜0.25(μmol/10mg)であることが好まし
い。即ち、ロイシン当量が0.05〜0.13(μmo
l/10mg)より低いと、第1級アミノ基が十分でな
く、基材表面へのヘパリンの固定量が低下してしまい、
0.25(μmol/10mg)より高いと、ヘパリン
活性が低下してしまうので好ましくない。
【0035】次に、前述のようにして得た官能基が導入
されたポンプチューブ本体6の血液接触面にヘパリンを
固定する方法について述べる。ポンプチューブ本体6の
オゾン処理された血液接触面を形成する基材とヘパリン
との固定は、カップリング剤の少なくとも1つ、好まし
くは2つ以上のアルデヒド基やエポキシ基等を有する化
合物を用い、アミノ基とこれらの官能基の反応により結
合することができる。このようなアルデヒド化合物とし
ては、グルタルアルデヒドなどを挙げることができる。
カップリング剤としては、アルデヒド化合物の他にエポ
キシ化合物であるポリエチレングリコールグリシジルエ
ーテルなどを用いてもよい。これらの場合、基材上のオ
ゾン処理により得た官能基に、2つ以上の第1級アミノ
基を有するカップリング剤(スペーサー用カップリング
剤)をあらかじめカップリングすることが好ましく、以
下にその説明をする。
されたポンプチューブ本体6の血液接触面にヘパリンを
固定する方法について述べる。ポンプチューブ本体6の
オゾン処理された血液接触面を形成する基材とヘパリン
との固定は、カップリング剤の少なくとも1つ、好まし
くは2つ以上のアルデヒド基やエポキシ基等を有する化
合物を用い、アミノ基とこれらの官能基の反応により結
合することができる。このようなアルデヒド化合物とし
ては、グルタルアルデヒドなどを挙げることができる。
カップリング剤としては、アルデヒド化合物の他にエポ
キシ化合物であるポリエチレングリコールグリシジルエ
ーテルなどを用いてもよい。これらの場合、基材上のオ
ゾン処理により得た官能基に、2つ以上の第1級アミノ
基を有するカップリング剤(スペーサー用カップリング
剤)をあらかじめカップリングすることが好ましく、以
下にその説明をする。
【0036】まず、2つ以上の第1級アミノ基を有する
スペーサー用カップリング剤溶液を、ポンプチューブ本
体6の内部に流入させ、十分にオゾン処理された血液接
触面に接触させ、血液接触面の酸化物中の官能基とカッ
プリング剤の官能基を共有結合させ、アミノ基導入血液
接触面を形成する。カップリング剤溶媒としては、例え
ば、水、低級アルコールなどの水系溶媒が使用され、接
触条件としては、pH4〜12、温度0〜80℃、反応
時間は10分〜24時間とするのが好ましい。pHが4
未満であるとカップリング剤の基材表面への結合性が低
下し、また材質によっては基材の劣化の恐れがあり、1
2より大きいと、基材の材質によっては劣化の恐れがあ
るので好ましくない。温度が0℃未満であると、反応性
が低下してしまい、80℃より高いと、第1級アミノ基
が変性してしまう恐れがあるので好ましくない。
スペーサー用カップリング剤溶液を、ポンプチューブ本
体6の内部に流入させ、十分にオゾン処理された血液接
触面に接触させ、血液接触面の酸化物中の官能基とカッ
プリング剤の官能基を共有結合させ、アミノ基導入血液
接触面を形成する。カップリング剤溶媒としては、例え
ば、水、低級アルコールなどの水系溶媒が使用され、接
触条件としては、pH4〜12、温度0〜80℃、反応
時間は10分〜24時間とするのが好ましい。pHが4
未満であるとカップリング剤の基材表面への結合性が低
下し、また材質によっては基材の劣化の恐れがあり、1
2より大きいと、基材の材質によっては劣化の恐れがあ
るので好ましくない。温度が0℃未満であると、反応性
が低下してしまい、80℃より高いと、第1級アミノ基
が変性してしまう恐れがあるので好ましくない。
【0037】アミノ基を2つ以上有するカップリング剤
としては、ポリエチエレンイミン(PEI)、ポリエチ
レングリコールジアミン、エチレンジアミン、テトラメ
チレンジアミン等が挙げられる。このようにして血液接
触面を形成するポンプチューブ本体6の基材表面にアミ
ノ基を導入した後、このアミノ基とヘパリンのアミノ基
とを2つ以上のアルデヒド基やエポキシ基を有するヘパ
リン固定用カップリング剤により結合し、基材にヘパリ
ンを固定する。2つ以上のエポキシ基またはアルデヒド
基を有するカップリング剤としては、上述のものが使用
できる。
としては、ポリエチエレンイミン(PEI)、ポリエチ
レングリコールジアミン、エチレンジアミン、テトラメ
チレンジアミン等が挙げられる。このようにして血液接
触面を形成するポンプチューブ本体6の基材表面にアミ
ノ基を導入した後、このアミノ基とヘパリンのアミノ基
とを2つ以上のアルデヒド基やエポキシ基を有するヘパ
リン固定用カップリング剤により結合し、基材にヘパリ
ンを固定する。2つ以上のエポキシ基またはアルデヒド
基を有するカップリング剤としては、上述のものが使用
できる。
【0038】さらに、前述の方法によって、共有結合し
たスペーサー用カップリング剤が有するアミノ基とヘパ
リンのアミノ基とを、ヘパリン固定用カップリング剤に
より結合させる反応方法は、上記カップリング剤の水溶
液と、ヘパリン水溶液とを同時に混合したものを、ポン
プチューブ本体6内に充填し、反応させることが好まし
い。また。ヘパリン水溶液のみを流入、充填させ、血液
接触面のアミノ基とヘパリンの官能基とを反応させ、軽
く結合させた後、カップリング剤水溶液を流入させて、
反応させてもよい。
たスペーサー用カップリング剤が有するアミノ基とヘパ
リンのアミノ基とを、ヘパリン固定用カップリング剤に
より結合させる反応方法は、上記カップリング剤の水溶
液と、ヘパリン水溶液とを同時に混合したものを、ポン
プチューブ本体6内に充填し、反応させることが好まし
い。また。ヘパリン水溶液のみを流入、充填させ、血液
接触面のアミノ基とヘパリンの官能基とを反応させ、軽
く結合させた後、カップリング剤水溶液を流入させて、
反応させてもよい。
【0039】ヘパリン水溶液とカップリング剤水溶液を
同時に混合し反応させる場合には、反応条件として、p
H2.0〜10.0が好ましく、反応時間は1時間〜2
00時間程度、反応温度は15〜80℃程度が好まし
い。1時間以上であれば、反応は十分であり、200時
間以下であれば、ヘパリンの分解、過度の架橋による表
面に固定されたヘパリンの安定性の低下が少ない。反応
温度は15℃以上であれば、反応が生じ、80℃以下で
あれば、ヘパリンの安定性の低下が少ない。カップリン
グ剤水溶液中の化合物の濃度は効率的な架橋のため、エ
ポキシ基およびアルデヒド基の含量で0.01〜2mo
l/lとするのが良い。
同時に混合し反応させる場合には、反応条件として、p
H2.0〜10.0が好ましく、反応時間は1時間〜2
00時間程度、反応温度は15〜80℃程度が好まし
い。1時間以上であれば、反応は十分であり、200時
間以下であれば、ヘパリンの分解、過度の架橋による表
面に固定されたヘパリンの安定性の低下が少ない。反応
温度は15℃以上であれば、反応が生じ、80℃以下で
あれば、ヘパリンの安定性の低下が少ない。カップリン
グ剤水溶液中の化合物の濃度は効率的な架橋のため、エ
ポキシ基およびアルデヒド基の含量で0.01〜2mo
l/lとするのが良い。
【0040】また、はじめに血液接触面のアミノ基と、
ヘパリンの官能基とを反応させて、これらをイオン結合
させておき、その後カップリング剤と架橋反応させる場
合は、基材とヘパリンとの反応条件として、pH2.0
〜5.0とするのがよい。pH2.0以下であればヘパ
リンの安定性の低下が少なく、pH5.0以下であれ
ば、基材表面の陽荷電の低下がなく、結合ヘパリン量は
十分である。反応温度は、0〜80℃とするのがよい。
0℃以上であれば、イオン結合速度も十分であり、80
℃以下であればヘパリンの安定性の低下が少なく。ま
た、反応時間は、10〜1500分とするのがよい。1
0分以上であればイオン結合が十分に生じ、1500分
以上行っても、イオン結合量が完全に飽和してしまい、
新たに結合することはないためである。
ヘパリンの官能基とを反応させて、これらをイオン結合
させておき、その後カップリング剤と架橋反応させる場
合は、基材とヘパリンとの反応条件として、pH2.0
〜5.0とするのがよい。pH2.0以下であればヘパ
リンの安定性の低下が少なく、pH5.0以下であれ
ば、基材表面の陽荷電の低下がなく、結合ヘパリン量は
十分である。反応温度は、0〜80℃とするのがよい。
0℃以上であれば、イオン結合速度も十分であり、80
℃以下であればヘパリンの安定性の低下が少なく。ま
た、反応時間は、10〜1500分とするのがよい。1
0分以上であればイオン結合が十分に生じ、1500分
以上行っても、イオン結合量が完全に飽和してしまい、
新たに結合することはないためである。
【0041】さらに、血液接触面とヘパリン水溶液とカ
ップリング剤水溶液とを架橋反応させる際、pHはアル
カリ下でも酸性下でもよい。しかし、本発明において、
酸性下でなければアミノ基をもった表面が、+にチャー
ジしないため、ヘパリンが表面からすみやかに離脱する
ため酸性でないと効果的な架橋はできず、好ましくな
い。カップリング剤水溶液中の化合物の濃度は効率的な
架橋のため、エポキシ基およびアルデヒド基の含量で
0.01〜2mol/lとするのが良い。また、反応温
度としては、15〜80℃とするのがよい。反応時間
は、1〜200時間とするのがよい。
ップリング剤水溶液とを架橋反応させる際、pHはアル
カリ下でも酸性下でもよい。しかし、本発明において、
酸性下でなければアミノ基をもった表面が、+にチャー
ジしないため、ヘパリンが表面からすみやかに離脱する
ため酸性でないと効果的な架橋はできず、好ましくな
い。カップリング剤水溶液中の化合物の濃度は効率的な
架橋のため、エポキシ基およびアルデヒド基の含量で
0.01〜2mol/lとするのが良い。また、反応温
度としては、15〜80℃とするのがよい。反応時間
は、1〜200時間とするのがよい。
【0042】
【実施例】以下に本発明のポンプチューブの具体的実施
例について説明する。
例について説明する。
【0043】(実施例1)軟質塩化ビニル樹脂(ポリ塩
化ビニル100重量部に対してDOP60重量部を含
有)を用いて、内径6.0mm、外径9.0mm、長さ
約1mのポンプチューブ本体を押出成形により作製し
た。また、軟質塩化ビニル樹脂(ポリ塩化ビニル100
重量部に対してDOP45重量部を含有)を用いて、内
径2.0mm、外径3.5mm、長さ約50cmの細管
を押出成形により作製した。そして、図5に示すよう
に、ポンプチューブ本体6の内部に細管10を挿入し、
細管10を閉塞しないように、蒸留水を充填した。な
お、蒸留水が充填されている部分のポンプチューブ本体
の長さは、約30cmであり、蒸留水が充填されていな
い両端部の長さは、それぞれ約18cmであった。
化ビニル100重量部に対してDOP60重量部を含
有)を用いて、内径6.0mm、外径9.0mm、長さ
約1mのポンプチューブ本体を押出成形により作製し
た。また、軟質塩化ビニル樹脂(ポリ塩化ビニル100
重量部に対してDOP45重量部を含有)を用いて、内
径2.0mm、外径3.5mm、長さ約50cmの細管
を押出成形により作製した。そして、図5に示すよう
に、ポンプチューブ本体6の内部に細管10を挿入し、
細管10を閉塞しないように、蒸留水を充填した。な
お、蒸留水が充填されている部分のポンプチューブ本体
の長さは、約30cmであり、蒸留水が充填されていな
い両端部の長さは、それぞれ約18cmであった。
【0044】そして、ポンプチューブ本体の両端にオゾ
ン発生機(日本オゾン株式会社製)を接続し、オゾン発
生機に純酸素を流量0.8l/minで流し、オゾンを
濃度21.5g/m3で発生させた。この処理を温度2
5℃で10分間行った。オゾン処理は、ポンプチューブ
本体の両端にオゾン発生機のチューブを接続し、最初
は、一端側より他端側にオゾンを流し、その後、逆に、
他端側より一端側にオゾンを流した。市販のヘパリンを
蒸留水に溶かし、10%溶液を作製した。このヘパリン
溶液1mlを5.5N硫酸0.4ml中に入れ、97℃
で10分間インキュベートした。得られたヘパリン中の
全アミノ基内の第1級アミノ基は、ヘパリンが最初から
有するものおよびN−硫酸部位が脱硫酸化されて第1級
アミノ化されたものを含めて11%であった。
ン発生機(日本オゾン株式会社製)を接続し、オゾン発
生機に純酸素を流量0.8l/minで流し、オゾンを
濃度21.5g/m3で発生させた。この処理を温度2
5℃で10分間行った。オゾン処理は、ポンプチューブ
本体の両端にオゾン発生機のチューブを接続し、最初
は、一端側より他端側にオゾンを流し、その後、逆に、
他端側より一端側にオゾンを流した。市販のヘパリンを
蒸留水に溶かし、10%溶液を作製した。このヘパリン
溶液1mlを5.5N硫酸0.4ml中に入れ、97℃
で10分間インキュベートした。得られたヘパリン中の
全アミノ基内の第1級アミノ基は、ヘパリンが最初から
有するものおよびN−硫酸部位が脱硫酸化されて第1級
アミノ化されたものを含めて11%であった。
【0045】上記のオゾン処理したポンプチューブ本体
の血液接触部位に、pH10に調整した0.5%ポリエ
チレンイミン水溶液(PEI)(BASF社)を充填
し、45℃、24時間放置した。そして、ポリエチレン
イミン水溶液を排出した後、水洗した。上記のようにし
て調製した一部脱硫酸化ヘパリンの0.2%水溶液(p
H4.0酢酸緩衝液)を作製し、このヘパリン水溶液を
ポリエチレンイミン処理したポンプチューブ本体の血液
接触部位に充填し、45℃、24時間放置した。そし
て、ヘパリン水溶液を排出した後、乾燥させた。続い
て、1.0%グルタルアルデヒド水溶液(pH4.0酢
酸緩衝液)を、ヘパリン処理したポンプチューブ本体の
血液接触部位に充填し、室温で24時間放置した。そし
て、グルタールアルデヒド水溶液を排出した後、乾燥さ
せた。続いて1%NaBH4水溶液(pH10炭酸緩衝
液)を、グルタールアルデヒド処理したポンプチューブ
本体の血液接触部位に充填し、室温で4時間放置したの
ち、排出し、乾燥させた。そして、蒸留水によりポンプ
チューブ本体の内部を洗浄し、本発明のポンプチューブ
(実施例1)を3本作成した。
の血液接触部位に、pH10に調整した0.5%ポリエ
チレンイミン水溶液(PEI)(BASF社)を充填
し、45℃、24時間放置した。そして、ポリエチレン
イミン水溶液を排出した後、水洗した。上記のようにし
て調製した一部脱硫酸化ヘパリンの0.2%水溶液(p
H4.0酢酸緩衝液)を作製し、このヘパリン水溶液を
ポリエチレンイミン処理したポンプチューブ本体の血液
接触部位に充填し、45℃、24時間放置した。そし
て、ヘパリン水溶液を排出した後、乾燥させた。続い
て、1.0%グルタルアルデヒド水溶液(pH4.0酢
酸緩衝液)を、ヘパリン処理したポンプチューブ本体の
血液接触部位に充填し、室温で24時間放置した。そし
て、グルタールアルデヒド水溶液を排出した後、乾燥さ
せた。続いて1%NaBH4水溶液(pH10炭酸緩衝
液)を、グルタールアルデヒド処理したポンプチューブ
本体の血液接触部位に充填し、室温で4時間放置したの
ち、排出し、乾燥させた。そして、蒸留水によりポンプ
チューブ本体の内部を洗浄し、本発明のポンプチューブ
(実施例1)を3本作成した。
【0046】(実施例2)軟質塩化ビニル樹脂(ポリ塩
化ビニル100重量部に対してDOP65重量部を含
有)を用いて、内径6.0mm、外径9.0mm、長さ
約5mのチューブ本体を押出成形により作製した。ま
た、軟質塩化ビニル樹脂(ポリ塩化ビニル100重量部
に対してDOP45重量部を含有)を用いて、内径2.
0mm、外径3.5mm、長さ約50cmの細管を5本
押出成形により作製した。チューブ本体内に、5本の細
管をほぼ等間隔離間して挿入し、それぞれの細管挿入部
を図5に示す用に湾曲させ、5カ所の湾曲部を形成し、
それぞれの湾曲部内に細管を閉塞させることなく蒸留水
を充填した。そして、その後は、実施例1と同様の処理
を行い部分的に五ヶ所のヘパリン固定部を持たない本発
明のチューブ(実施例2)を作成した。
化ビニル100重量部に対してDOP65重量部を含
有)を用いて、内径6.0mm、外径9.0mm、長さ
約5mのチューブ本体を押出成形により作製した。ま
た、軟質塩化ビニル樹脂(ポリ塩化ビニル100重量部
に対してDOP45重量部を含有)を用いて、内径2.
0mm、外径3.5mm、長さ約50cmの細管を5本
押出成形により作製した。チューブ本体内に、5本の細
管をほぼ等間隔離間して挿入し、それぞれの細管挿入部
を図5に示す用に湾曲させ、5カ所の湾曲部を形成し、
それぞれの湾曲部内に細管を閉塞させることなく蒸留水
を充填した。そして、その後は、実施例1と同様の処理
を行い部分的に五ヶ所のヘパリン固定部を持たない本発
明のチューブ(実施例2)を作成した。
【0047】[実験]実施例1のポンプチューブを用い
て以下の実験を行った。
て以下の実験を行った。
【0048】(実験1)実施例1のポンプチューブの血
液接触部位に、0.01N塩酸を充填し、排出した後、
トルイジンブルーにより染色した。ポンプチューブの両
端部のそれぞれ約18cmの部分の内面は、紫〜赤紫色
に染色されたが、ポンプチューブの中央部約30cmの
部分は、染色されなかった。
液接触部位に、0.01N塩酸を充填し、排出した後、
トルイジンブルーにより染色した。ポンプチューブの両
端部のそれぞれ約18cmの部分の内面は、紫〜赤紫色
に染色されたが、ポンプチューブの中央部約30cmの
部分は、染色されなかった。
【0049】(実験2)実施例1のポンプチューブを切
断し、中央部および端部の内面の元素分析をESCA
(商品名JPA90SX、日本電子株式会社製)を用い
て行った。なお、元素分析は、実施例1のポンプチュー
ブを4MNaCl(pH9.6、60℃)を用いて24
時間洗浄したものと、この洗浄を行わないものの両者に
ついて行った。測定された表面元素比は、表1に示すと
おりであった。
断し、中央部および端部の内面の元素分析をESCA
(商品名JPA90SX、日本電子株式会社製)を用い
て行った。なお、元素分析は、実施例1のポンプチュー
ブを4MNaCl(pH9.6、60℃)を用いて24
時間洗浄したものと、この洗浄を行わないものの両者に
ついて行った。測定された表面元素比は、表1に示すと
おりであった。
【0050】
【表1】
【0051】(実験3)実施例1のポンプチューブ本体
(蒸留水の注入以降の処理を行わないもの)を切断した
ものの内面および上記の実施例1のポンプチューブを中
央部および端部にて切断したものの内面を走査電子顕微
鏡(日本電子株式会社製、商品名F−840)にて確認
したところ、実施例1のポンプチューブの端部では、ヘ
パリンの固定層が確認でき、実施例1のポンプチューブ
の中央部ではヘパリンの固定層は確認できず、ポンプチ
ューブ本体の内面と同様の内表面が確認された。
(蒸留水の注入以降の処理を行わないもの)を切断した
ものの内面および上記の実施例1のポンプチューブを中
央部および端部にて切断したものの内面を走査電子顕微
鏡(日本電子株式会社製、商品名F−840)にて確認
したところ、実施例1のポンプチューブの端部では、ヘ
パリンの固定層が確認でき、実施例1のポンプチューブ
の中央部ではヘパリンの固定層は確認できず、ポンプチ
ューブ本体の内面と同様の内表面が確認された。
【0052】(実験4)実施例2のチューブの血液接触
部位に、0.01N塩酸を充填し、排出した後、トルイ
ジンブルーにより染色した。チューブの両端部よりそれ
ぞれ約18cmの部分およびほぼ等間隔離間した5カ所
の部分36cmの内面は、紫〜赤紫色に染色されたが、
その他の部分(ほぼ等間隔離間した5カ所の30cmの
部分)は、染色されなかった。
部位に、0.01N塩酸を充填し、排出した後、トルイ
ジンブルーにより染色した。チューブの両端部よりそれ
ぞれ約18cmの部分およびほぼ等間隔離間した5カ所
の部分36cmの内面は、紫〜赤紫色に染色されたが、
その他の部分(ほぼ等間隔離間した5カ所の30cmの
部分)は、染色されなかった。
【0053】次に、本発明の医療器具を補助人工心臓に
応用した実施例を図面を参照して説明する。本発明の補
助人工心臓40は、ハウジング42,43と、ハウジン
グ42,43内を血液室61と、駆動流体流入室62と
に区分する可撓性ダイヤフラム50と、血液室61に連
通する血液流入ポート48と血液流出ポート49と、駆
動流体流入室62と連通する駆動流体流出入用ポート5
1とを有し、さらに、可撓性ダイヤフラム50は、合成
樹脂により一体に形成されており、かつ、少なくとも可
撓性ダイヤフラム50の使用時に変形する部分を除くダ
イヤフラム50の血液接触面および血液室側ハウジング
42の血液接触面に抗血栓性物質65が固定されてい
る。
応用した実施例を図面を参照して説明する。本発明の補
助人工心臓40は、ハウジング42,43と、ハウジン
グ42,43内を血液室61と、駆動流体流入室62と
に区分する可撓性ダイヤフラム50と、血液室61に連
通する血液流入ポート48と血液流出ポート49と、駆
動流体流入室62と連通する駆動流体流出入用ポート5
1とを有し、さらに、可撓性ダイヤフラム50は、合成
樹脂により一体に形成されており、かつ、少なくとも可
撓性ダイヤフラム50の使用時に変形する部分を除くダ
イヤフラム50の血液接触面および血液室側ハウジング
42の血液接触面に抗血栓性物質65が固定されてい
る。
【0054】この補助人工心臓40では、使用時に変形
する部分のダイヤフラム50の血液接触面を除く血液接
触面に、抗血栓性物質が固定されているので、高い抗血
栓性を有し、かつ、使用時にダイヤフラム50が変形と
復元が繰り返されても、その血液接触面には抗血栓性が
固定されていないので、剥離の危険性がない。また、ダ
イヤフラム50の駆動部分の血液接触面では、血液の滞
留がなく、血液の流れも速いため血栓の発生もない。
する部分のダイヤフラム50の血液接触面を除く血液接
触面に、抗血栓性物質が固定されているので、高い抗血
栓性を有し、かつ、使用時にダイヤフラム50が変形と
復元が繰り返されても、その血液接触面には抗血栓性が
固定されていないので、剥離の危険性がない。また、ダ
イヤフラム50の駆動部分の血液接触面では、血液の滞
留がなく、血液の流れも速いため血栓の発生もない。
【0055】図6は、本発明の医療器具を補助人工心臓
に応用した実施例の平面図、図7は、図6の補助人工心
臓の右側面図であり、図8は、左側面図であり、図9
は、図6の補助人工心臓の中央断面図である。この実施
例の補助人工心臓40は、図6,図7,図8および図9
に示すように、上部側である血液室側ハウジング42
と、下部側である駆動流体室側ハウジング43と、血液
室側ハウジング42と駆動流体室側ハウジング43との
間に両者を区分するように設けられたダイヤフラム50
とにより構成されている。
に応用した実施例の平面図、図7は、図6の補助人工心
臓の右側面図であり、図8は、左側面図であり、図9
は、図6の補助人工心臓の中央断面図である。この実施
例の補助人工心臓40は、図6,図7,図8および図9
に示すように、上部側である血液室側ハウジング42
と、下部側である駆動流体室側ハウジング43と、血液
室側ハウジング42と駆動流体室側ハウジング43との
間に両者を区分するように設けられたダイヤフラム50
とにより構成されている。
【0056】そして、血液室側ハウジング42は、図7
および図8に示すようにほぼ半球状となっており、その
上部には、血液流入ポート44、血液流出ポート45を
有しており、ダイヤフラム50は、その周縁部が、血液
室側ハウジング42の周縁に固着されており、血液室側
ハウジング42とダイヤフラム50により血液室61が
形成されている。さらに、血液流入ポート44内には、
第1の逆流防止弁46が設けられており、第1の逆流防
止弁46は、血液室内への血液の流入を許容し、実質的
に血液室内からの血液の流出を阻止するものである。こ
の第1逆流防止弁46としては、図6および図7に示す
ような、流体抵抗の少ない二尖弁を用いることが好適で
ある。
および図8に示すようにほぼ半球状となっており、その
上部には、血液流入ポート44、血液流出ポート45を
有しており、ダイヤフラム50は、その周縁部が、血液
室側ハウジング42の周縁に固着されており、血液室側
ハウジング42とダイヤフラム50により血液室61が
形成されている。さらに、血液流入ポート44内には、
第1の逆流防止弁46が設けられており、第1の逆流防
止弁46は、血液室内への血液の流入を許容し、実質的
に血液室内からの血液の流出を阻止するものである。こ
の第1逆流防止弁46としては、図6および図7に示す
ような、流体抵抗の少ない二尖弁を用いることが好適で
ある。
【0057】この逆流防止弁46は、血液流入ポート内
に固着するための環状部材46aと、この環状部材46
aの下部に吊下げられるように固着され、血液室内に位
置する2つの可動片46bを有している。この2つの可
動片は、先端がほぼ直線状に形成された平板状部分と、
この平板状部分と所定の角度をもって連続する薄片状先
端部6cを有している。よって、図7に示すように、こ
の第1の逆流防止弁は、血液が流入する際には、言い換
えれば、ダイヤフラム50が駆動流体室側に変形する際
には、2つの可動片46aは、互いに離間する方向に変
形し、血液室内への血液の流入許容し、また、血液を流
出させる際には、言い換えれば、ダイヤフラム50が血
液室側に変形する際には、2つの可動片は、互いに密着
する方向に変形し、血液室からの血液の流出を阻止す
る。
に固着するための環状部材46aと、この環状部材46
aの下部に吊下げられるように固着され、血液室内に位
置する2つの可動片46bを有している。この2つの可
動片は、先端がほぼ直線状に形成された平板状部分と、
この平板状部分と所定の角度をもって連続する薄片状先
端部6cを有している。よって、図7に示すように、こ
の第1の逆流防止弁は、血液が流入する際には、言い換
えれば、ダイヤフラム50が駆動流体室側に変形する際
には、2つの可動片46aは、互いに離間する方向に変
形し、血液室内への血液の流入許容し、また、血液を流
出させる際には、言い換えれば、ダイヤフラム50が血
液室側に変形する際には、2つの可動片は、互いに密着
する方向に変形し、血液室からの血液の流出を阻止す
る。
【0058】また、血液流出ポート内45には、第2の
逆流防止弁47が設けられており、第2の逆流防止弁4
7は、血液室内からの血液の流出を許容し、実質的に血
液室内への血液の流入を阻止するものである。この第2
逆流防止弁47としては、図6に示すような、血液の逆
流の少ない三尖弁を用いることが好適である。この逆流
防止弁47は、血液流入ポートを形成すると共に、逆流
防止弁のハウジングを形成する筒状部と、該筒状部に湾
曲状態となるように固着された3つの可動片を有し、3
つの可動片は、その上端がそれぞれ隣合う可動片に密着
している。
逆流防止弁47が設けられており、第2の逆流防止弁4
7は、血液室内からの血液の流出を許容し、実質的に血
液室内への血液の流入を阻止するものである。この第2
逆流防止弁47としては、図6に示すような、血液の逆
流の少ない三尖弁を用いることが好適である。この逆流
防止弁47は、血液流入ポートを形成すると共に、逆流
防止弁のハウジングを形成する筒状部と、該筒状部に湾
曲状態となるように固着された3つの可動片を有し、3
つの可動片は、その上端がそれぞれ隣合う可動片に密着
している。
【0059】よって、この第2の逆流防止弁は、図6に
示すように、血液が流入する際には、言い換えれば、ダ
イヤフラム50が駆動流体室側に変形する際には、3つ
の可動片の先端部は、互いに密着する方向に変形し、血
液室内からの血液の流出を阻止し、また、血液を流出さ
せる際には、言い換えれば、ダイヤフラム50が血液室
側に変形する際には、図8に示すように、3つの可動片
の先端部は、互いに離間する方向に変形し、形成される
3つの可動片の先端部の間隙から、血液の流出を許容す
る。さらに、この実施例の補助人工心臓40では、図6
に示すように血液流入ポート44および血液流出ポート
45には、心臓カニューレと接続するための血液流入側
接続チューブ48、血液流出側接続チューブ49が固着
されている。
示すように、血液が流入する際には、言い換えれば、ダ
イヤフラム50が駆動流体室側に変形する際には、3つ
の可動片の先端部は、互いに密着する方向に変形し、血
液室内からの血液の流出を阻止し、また、血液を流出さ
せる際には、言い換えれば、ダイヤフラム50が血液室
側に変形する際には、図8に示すように、3つの可動片
の先端部は、互いに離間する方向に変形し、形成される
3つの可動片の先端部の間隙から、血液の流出を許容す
る。さらに、この実施例の補助人工心臓40では、図6
に示すように血液流入ポート44および血液流出ポート
45には、心臓カニューレと接続するための血液流入側
接続チューブ48、血液流出側接続チューブ49が固着
されている。
【0060】そして、血液室側ハウジング42、第1お
よび第2の逆流防止弁46,47は、可撓性合成樹脂に
より形成されている。可撓性合成樹脂としては、ポリ塩
化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニ
ル−エチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共
重合体、ポリ塩化ビニル−ウレタン共重合体、ポリ塩化
ビニル−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−メタ
クリル酸メチル共重合体、および上記ポリマーと可塑剤
とからなる軟質ポリ塩化ビニル変性体、ポリウレタンが
使用できる。特に、熱可塑性ポリウレタンが好適であ
る。熱可塑性ポリウレタンとしては、熱可塑性ポリエー
テルポリウレタン、熱可塑性ポリエステルポリウレタン
のいずれでもよいが、より好ましくは熱可塑性ポリエー
テルポリウレタンである。
よび第2の逆流防止弁46,47は、可撓性合成樹脂に
より形成されている。可撓性合成樹脂としては、ポリ塩
化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニ
ル−エチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共
重合体、ポリ塩化ビニル−ウレタン共重合体、ポリ塩化
ビニル−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−メタ
クリル酸メチル共重合体、および上記ポリマーと可塑剤
とからなる軟質ポリ塩化ビニル変性体、ポリウレタンが
使用できる。特に、熱可塑性ポリウレタンが好適であ
る。熱可塑性ポリウレタンとしては、熱可塑性ポリエー
テルポリウレタン、熱可塑性ポリエステルポリウレタン
のいずれでもよいが、より好ましくは熱可塑性ポリエー
テルポリウレタンである。
【0061】特に、好ましくは、ソフトセグメント部分
とハードセグメント部分を有するセグメント化熱可塑性
ポリエーテルポリウレタンである。ソフトセグメントの
主成分としては、ポリテトラメチレンエーテルグリコー
ル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ルなどが好ましく、ハードセグメントの主成分として
は、1,4−ブタンジオールなどが好ましい。また、ジ
イソシアネートとしては、4,4−ジフェニルメタンジ
イソシアネート、トリレンジイソシアネート、1,6−
ヘキサメチレンジイソシネートなどが好適にである。特
に好ましいポリウレタン材料としては、ソフトセグメン
トの主成分として、ポリテトラメチレンエーテルグリコ
ールを、ハードセグメントの主成分としては、1,4−
ブタンジオールを、ジイソシアネートとしては、4,4
−ジフェニルメタンジイソシアネートを使用して形成さ
れる熱可塑性セングメント化ポリウレタンであり、この
ポリウレタンは、商品名ペレセン2363として、ダウ
ケミカル日本株式会社により販売されている。
とハードセグメント部分を有するセグメント化熱可塑性
ポリエーテルポリウレタンである。ソフトセグメントの
主成分としては、ポリテトラメチレンエーテルグリコー
ル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ルなどが好ましく、ハードセグメントの主成分として
は、1,4−ブタンジオールなどが好ましい。また、ジ
イソシアネートとしては、4,4−ジフェニルメタンジ
イソシアネート、トリレンジイソシアネート、1,6−
ヘキサメチレンジイソシネートなどが好適にである。特
に好ましいポリウレタン材料としては、ソフトセグメン
トの主成分として、ポリテトラメチレンエーテルグリコ
ールを、ハードセグメントの主成分としては、1,4−
ブタンジオールを、ジイソシアネートとしては、4,4
−ジフェニルメタンジイソシアネートを使用して形成さ
れる熱可塑性セングメント化ポリウレタンであり、この
ポリウレタンは、商品名ペレセン2363として、ダウ
ケミカル日本株式会社により販売されている。
【0062】駆動流体室側ハウジング43は、図7およ
び図8に示すように、ほぼ半球状となっており、その中
央より周縁部側に寄った位置に、駆動流体流出入ポート
52が設けられており、その流出入ポート52には、駆
動流体吐出装置に接続するためのチューブ51が接続さ
れている。そして、ダイヤフラム50は、その周縁部
が、駆動流体室側ハウジングの周縁に固着されており、
駆動流体室側ハウジング43とダイヤフラム50により
駆動流体室22が形成されている。ダイヤフラム50
は、図7および図8に示すように、中央部にゆとりを持
った状態、いいかえれば、血液室側61または駆動流体
室側62に中央部が突出する状態にて、両ハウジングに
固着されている。そして、このダイヤフラム50は、駆
動流体室22に駆動流体が流入することにより、血液室
側に変形し、血液室側の体積を減少させると共に、血液
室内の血液を流出させ、また、駆動流体室の駆動流体が
吸引されることにより、駆動流体室側に変形し、血液室
側の体積を増加させると共に、血液室内に血液を流入さ
せる。この繰り返しにより、血液が補助人工心臓より、
間欠的に送血される。
び図8に示すように、ほぼ半球状となっており、その中
央より周縁部側に寄った位置に、駆動流体流出入ポート
52が設けられており、その流出入ポート52には、駆
動流体吐出装置に接続するためのチューブ51が接続さ
れている。そして、ダイヤフラム50は、その周縁部
が、駆動流体室側ハウジングの周縁に固着されており、
駆動流体室側ハウジング43とダイヤフラム50により
駆動流体室22が形成されている。ダイヤフラム50
は、図7および図8に示すように、中央部にゆとりを持
った状態、いいかえれば、血液室側61または駆動流体
室側62に中央部が突出する状態にて、両ハウジングに
固着されている。そして、このダイヤフラム50は、駆
動流体室22に駆動流体が流入することにより、血液室
側に変形し、血液室側の体積を減少させると共に、血液
室内の血液を流出させ、また、駆動流体室の駆動流体が
吸引されることにより、駆動流体室側に変形し、血液室
側の体積を増加させると共に、血液室内に血液を流入さ
せる。この繰り返しにより、血液が補助人工心臓より、
間欠的に送血される。
【0063】ダイヤフラム50および駆動流体室側ハウ
ジング43の形成材料としては、上述の血液室側ハウジ
ングにて説明したものが好適に使用できる。そして、ダ
イヤフラム50の周縁、血液室側ハウジング42および
駆動流体室側ハウジング43の周縁の固着は、加熱、高
周波または超音波による熱融着、接着剤、溶剤などによ
り行うことができるが、固着時におけるダイヤフラム5
0の物性の変化をより少ないものとするために、それら
を熱可塑性合成樹脂により成型し、かつ熱融着すること
が好ましい。
ジング43の形成材料としては、上述の血液室側ハウジ
ングにて説明したものが好適に使用できる。そして、ダ
イヤフラム50の周縁、血液室側ハウジング42および
駆動流体室側ハウジング43の周縁の固着は、加熱、高
周波または超音波による熱融着、接着剤、溶剤などによ
り行うことができるが、固着時におけるダイヤフラム5
0の物性の変化をより少ないものとするために、それら
を熱可塑性合成樹脂により成型し、かつ熱融着すること
が好ましい。
【0064】そして、補助人工心臓の血液接触面には、
図9に示すように、ダイヤフラム50の駆動部分を除い
て抗血栓性物質65が固定されている。具体的には、人
工心臓1のダイヤフラム50の駆動部分を除き、かつ逆
流防止弁を含む血液接触面は、オゾン処理により生成さ
れた基材表面の酸化物中に含まれる官能基と、ヘパリン
のアミノ基とが、直接、または少なくとも一種のカップ
リング剤を介して共有結合した抗血栓性表面65となっ
ている。このようにダイヤフラムの駆動部分である血液
接触面部分には、抗血栓性物質65が固定されていない
ので、使用時に剥離するおそれがない。
図9に示すように、ダイヤフラム50の駆動部分を除い
て抗血栓性物質65が固定されている。具体的には、人
工心臓1のダイヤフラム50の駆動部分を除き、かつ逆
流防止弁を含む血液接触面は、オゾン処理により生成さ
れた基材表面の酸化物中に含まれる官能基と、ヘパリン
のアミノ基とが、直接、または少なくとも一種のカップ
リング剤を介して共有結合した抗血栓性表面65となっ
ている。このようにダイヤフラムの駆動部分である血液
接触面部分には、抗血栓性物質65が固定されていない
ので、使用時に剥離するおそれがない。
【0065】そして、抗血栓性物質の固定は、オゾン処
理によりその表面に酸化物を形成させ、溶媒を用いるこ
となく血液接触面に官能基を生成または導入させ、さら
に、抗血栓性材料として水系溶媒を使用できるヘパリン
を用い、かつ酸化物中の官能基とヘパリンのアミノ基と
を、直接、または少なくとも一種のカップリング剤を介
して共有結合させることにより行うことが好ましい。こ
れにより、補助人工心臓を形成する合成樹脂の物性の変
化、特に逆流防止弁を形成する材料の物性の低下、特に
可撓性、弾性、強度をあまり変化させることなく、か
つ、補助人工心臓の血液接触面を高い抗血栓性表面とす
ることができるので、補助人工心臓として長期的な使用
が可能となる。また、ヘパリンは、オゾン処理によりそ
の表面に形成された酸化物中の官能基と直接または間接
的に結合しており、酸化物は基材より離脱することは実
質的にないので、使用時におけるヘパリンの離脱も少な
い。そして、抗血栓性物質としては、ヘパリン、ウロキ
ナーゼ、プロスタグランジンI2、類似物質、各種セリ
ンプロテアーゼインヒビター、トロンボモジュリンなど
が好適であり、特に、ヘパリンが好ましい。
理によりその表面に酸化物を形成させ、溶媒を用いるこ
となく血液接触面に官能基を生成または導入させ、さら
に、抗血栓性材料として水系溶媒を使用できるヘパリン
を用い、かつ酸化物中の官能基とヘパリンのアミノ基と
を、直接、または少なくとも一種のカップリング剤を介
して共有結合させることにより行うことが好ましい。こ
れにより、補助人工心臓を形成する合成樹脂の物性の変
化、特に逆流防止弁を形成する材料の物性の低下、特に
可撓性、弾性、強度をあまり変化させることなく、か
つ、補助人工心臓の血液接触面を高い抗血栓性表面とす
ることができるので、補助人工心臓として長期的な使用
が可能となる。また、ヘパリンは、オゾン処理によりそ
の表面に形成された酸化物中の官能基と直接または間接
的に結合しており、酸化物は基材より離脱することは実
質的にないので、使用時におけるヘパリンの離脱も少な
い。そして、抗血栓性物質としては、ヘパリン、ウロキ
ナーゼ、プロスタグランジンI2、類似物質、各種セリ
ンプロテアーゼインヒビター、トロンボモジュリンなど
が好適であり、特に、ヘパリンが好ましい。
【0066】オゾン処理によって基材表面に形成される
酸化物中には、種々の官能基、例えば、酸素原子を有す
る官能基、具体的には、アルデヒド、ケトン、エポキシ
など反応性の高い官能基が生成される。そして、これら
の官能基に直接官能基を結合させることも可能である
が、立体障害等の問題も有り、これらの官能基にスペー
サー(カップリング剤)を導入し、ヘパリンを固定する
方法が、容易で、しかも表面のヘパリン活性発現の点か
らも有用である。カップリング剤としては、一種または
2種以上のものを用いてもよく、また2つ以上のアルデ
ヒド基や、エポキシ基を有する化合物が好適に用いられ
る。
酸化物中には、種々の官能基、例えば、酸素原子を有す
る官能基、具体的には、アルデヒド、ケトン、エポキシ
など反応性の高い官能基が生成される。そして、これら
の官能基に直接官能基を結合させることも可能である
が、立体障害等の問題も有り、これらの官能基にスペー
サー(カップリング剤)を導入し、ヘパリンを固定する
方法が、容易で、しかも表面のヘパリン活性発現の点か
らも有用である。カップリング剤としては、一種または
2種以上のものを用いてもよく、また2つ以上のアルデ
ヒド基や、エポキシ基を有する化合物が好適に用いられ
る。
【0067】また、複数種のカップリング剤を用いる場
合は、基材上に導入された上記官能基にアミノ基等の官
能基を2つ以上有する化合物からなるカップリング剤
(スペーサ用カップリング剤)を予め結合させて基材に
アミノ酸等を導入した後、ヘパリンを2つ以上のアルデ
ヒド基やエポキシ基を有する化合物からなるカップリン
グ剤(ヘパリン固定用カップリング剤)を用いて基材に
結合させる事が好ましい。さらにはヘパリンを結合する
際に、カップリング剤をヘパリンと同時、あるいはヘパ
リン投入以降に反応系内に投入することが好ましい。特
に、スペーサ用カップリング剤を用いて、アミノ基を導
入すれば、ヘパリンのアミノ基と反応系内でほぼ同様な
反応性を示すので、より効果的に後者のヘパリン固定用
カップリング剤によるヘパリンの基材への固定を行わせ
ることができる。
合は、基材上に導入された上記官能基にアミノ基等の官
能基を2つ以上有する化合物からなるカップリング剤
(スペーサ用カップリング剤)を予め結合させて基材に
アミノ酸等を導入した後、ヘパリンを2つ以上のアルデ
ヒド基やエポキシ基を有する化合物からなるカップリン
グ剤(ヘパリン固定用カップリング剤)を用いて基材に
結合させる事が好ましい。さらにはヘパリンを結合する
際に、カップリング剤をヘパリンと同時、あるいはヘパ
リン投入以降に反応系内に投入することが好ましい。特
に、スペーサ用カップリング剤を用いて、アミノ基を導
入すれば、ヘパリンのアミノ基と反応系内でほぼ同様な
反応性を示すので、より効果的に後者のヘパリン固定用
カップリング剤によるヘパリンの基材への固定を行わせ
ることができる。
【0068】また、ヘパリンと直接結合するカップリン
グ剤の官能基または基材に導入された官能基がアルデヒ
ド基である場合は、ヘパリンとして、ヘパリンのN−硫
酸基の一部を脱硫化して第1級アミノ化したものを用い
ることが好ましい。スペーサ用カップリング剤として
は、基材上のオゾン処理により得た官能基と結合(共有
結合)し、かつ2つ以上の第1級アミノ基を有するもの
が好ましい。アミノ基を2つ以上有するスペーサ用カッ
プリング剤としては、ポリエチエレンイミン(PE
I)、ポリエチレングリコールジアミン、エチレンジア
ミン、テトラメチレンジアミン等が挙げられる。ヘパリ
ンを基材に固定するために使用されるカップリング剤と
しては、アルデヒド化合物、エポキシ化合物が好適に使
用できる。アルデヒド化合物としては、グルタルアルデ
ヒド、グリオキサール、スクシンジアルデヒド、エポキ
シ化合物としては、ポリエチレングリコールジグリシジ
ルエーテル、1,4−ブタンジオール−ジグリシジルエ
ーテル、ソルビトールジグリシジルエーテル、グリセロ
ールジグリシジルエーテルなどが好適に使用される。
グ剤の官能基または基材に導入された官能基がアルデヒ
ド基である場合は、ヘパリンとして、ヘパリンのN−硫
酸基の一部を脱硫化して第1級アミノ化したものを用い
ることが好ましい。スペーサ用カップリング剤として
は、基材上のオゾン処理により得た官能基と結合(共有
結合)し、かつ2つ以上の第1級アミノ基を有するもの
が好ましい。アミノ基を2つ以上有するスペーサ用カッ
プリング剤としては、ポリエチエレンイミン(PE
I)、ポリエチレングリコールジアミン、エチレンジア
ミン、テトラメチレンジアミン等が挙げられる。ヘパリ
ンを基材に固定するために使用されるカップリング剤と
しては、アルデヒド化合物、エポキシ化合物が好適に使
用できる。アルデヒド化合物としては、グルタルアルデ
ヒド、グリオキサール、スクシンジアルデヒド、エポキ
シ化合物としては、ポリエチレングリコールジグリシジ
ルエーテル、1,4−ブタンジオール−ジグリシジルエ
ーテル、ソルビトールジグリシジルエーテル、グリセロ
ールジグリシジルエーテルなどが好適に使用される。
【0069】具体的には、エポキシ化合物がソルビトー
ルジグリシジルエーテルであるデナコール EX−42
1、521、611、612、614、614B)、ジ
エポキシ化合物がグリセロールジグリシジルエーテルで
あるデナコール EX−313、ジエポキシ化合物がポ
リエチレングリコールグリジジルエーテルであるEX−
810、811、851、821、830、832、8
41、861(ナガセ化成社製)等が挙げられる。 さ
らにエポキシの反応性の違いから、デナコールEX−3
13、421、512、521、810、811、82
1、851等が更に好ましい。そして、上記のヘパリン
固定では、基材に固定されたポリエチレンイミンとグル
タールアルデヒドの結合、グルタールアルデヒドとヘパ
リンの結合はすべて共有結合であり、ヘパリンの離脱が
少ない。
ルジグリシジルエーテルであるデナコール EX−42
1、521、611、612、614、614B)、ジ
エポキシ化合物がグリセロールジグリシジルエーテルで
あるデナコール EX−313、ジエポキシ化合物がポ
リエチレングリコールグリジジルエーテルであるEX−
810、811、851、821、830、832、8
41、861(ナガセ化成社製)等が挙げられる。 さ
らにエポキシの反応性の違いから、デナコールEX−3
13、421、512、521、810、811、82
1、851等が更に好ましい。そして、上記のヘパリン
固定では、基材に固定されたポリエチレンイミンとグル
タールアルデヒドの結合、グルタールアルデヒドとヘパ
リンの結合はすべて共有結合であり、ヘパリンの離脱が
少ない。
【0070】次に、本発明の補助人工心臓の製造方法に
ついて説明する。本発明の補助人工心臓の製造方法は、
ハウジング42,43と、ハウジング42,43内を血
液室61と、駆動流体流入室62とに区分する可撓性合
成樹脂により一体成形された可撓性ダイヤフラム50
と、血液室61に連通する血液流入ポート48と血液流
出ポート49と、駆動流体流入室62と連通する駆動流
体流出入用ポート51とを有する人工心臓本体を作成
し、ダイヤフラム50を駆動流体流入室62側に窪むよ
うに変形させて、ダイヤフラム50の中央部に窪みを形
成し、この窪みがダイヤフラム50の中央部に形成され
た状態にて、ダイヤフラム50の窪んだ中央部に水性液
体を注入し、この水性液体が注入された状態にて人工心
臓本体の血液接触面をオゾン処理し、血液接触面を形成
する合成樹脂表面の酸化物中に官能基を生成させた後、
この官能基と抗血栓性物質とを、水系溶媒を用いて、直
接、または少なくとも一種のカップリング剤を介して共
有結合させる工程を有している。
ついて説明する。本発明の補助人工心臓の製造方法は、
ハウジング42,43と、ハウジング42,43内を血
液室61と、駆動流体流入室62とに区分する可撓性合
成樹脂により一体成形された可撓性ダイヤフラム50
と、血液室61に連通する血液流入ポート48と血液流
出ポート49と、駆動流体流入室62と連通する駆動流
体流出入用ポート51とを有する人工心臓本体を作成
し、ダイヤフラム50を駆動流体流入室62側に窪むよ
うに変形させて、ダイヤフラム50の中央部に窪みを形
成し、この窪みがダイヤフラム50の中央部に形成され
た状態にて、ダイヤフラム50の窪んだ中央部に水性液
体を注入し、この水性液体が注入された状態にて人工心
臓本体の血液接触面をオゾン処理し、血液接触面を形成
する合成樹脂表面の酸化物中に官能基を生成させた後、
この官能基と抗血栓性物質とを、水系溶媒を用いて、直
接、または少なくとも一種のカップリング剤を介して共
有結合させる工程を有している。
【0071】そこで、各工程について説明する。まず、
図6ないし図8に示すような構造および形状を有する人
工心臓本体を作成する。人工心臓本体の形成材料として
は、上述したものが好適に使用される。具体的には、合
成樹脂を用いて、射出成型、浸漬成形、シート状の合成
樹脂を加熱変形させる方法などにより形成される。簡単
に説明すると、例えば、熱可塑性ポリウレタンを用い
て、シートを形成し、目的とする血液室側ハウジングお
よび目的とする駆動流体室側ハウジングの内面形状をし
た金型に圧し当て、ハウジングを形成し、不要な部分を
切断する。そして、熱可塑性ポリウレタンなどによりあ
らかじめ形成した逆流防止弁を形成された血液室側ハウ
ジングの血液流入ポートおよび血液流出ポート内に、接
着剤、熱融着により固定する。さらに、あらかじめポリ
ウレタン、塩化ビニルどにより形成した心臓カニューレ
接続チューブを、血液流入ポートおよび血液流出ポート
に、接着剤、熱融着により固定する。また、同様に、あ
らかじめポリウレタン、塩化ビニルなどにより形成した
駆動流体吐出装置接続用チューブを駆動流体室側ハウジ
ングのポートに、接着剤、熱融着により固定する。そし
て、ポリウレタンなどの可撓性合成樹脂により形成した
ダイヤフラムが、血液室側ハウジングと駆動流体室側ハ
ウジングのそれぞれの周縁部により挟持されるように、
接着剤、熱融着により固定する。
図6ないし図8に示すような構造および形状を有する人
工心臓本体を作成する。人工心臓本体の形成材料として
は、上述したものが好適に使用される。具体的には、合
成樹脂を用いて、射出成型、浸漬成形、シート状の合成
樹脂を加熱変形させる方法などにより形成される。簡単
に説明すると、例えば、熱可塑性ポリウレタンを用い
て、シートを形成し、目的とする血液室側ハウジングお
よび目的とする駆動流体室側ハウジングの内面形状をし
た金型に圧し当て、ハウジングを形成し、不要な部分を
切断する。そして、熱可塑性ポリウレタンなどによりあ
らかじめ形成した逆流防止弁を形成された血液室側ハウ
ジングの血液流入ポートおよび血液流出ポート内に、接
着剤、熱融着により固定する。さらに、あらかじめポリ
ウレタン、塩化ビニルどにより形成した心臓カニューレ
接続チューブを、血液流入ポートおよび血液流出ポート
に、接着剤、熱融着により固定する。また、同様に、あ
らかじめポリウレタン、塩化ビニルなどにより形成した
駆動流体吐出装置接続用チューブを駆動流体室側ハウジ
ングのポートに、接着剤、熱融着により固定する。そし
て、ポリウレタンなどの可撓性合成樹脂により形成した
ダイヤフラムが、血液室側ハウジングと駆動流体室側ハ
ウジングのそれぞれの周縁部により挟持されるように、
接着剤、熱融着により固定する。
【0072】そして、補助人工心臓本体は、少なくとも
逆流防止弁を含む血液接触面を形成する基材全体が、同
一系材料、例えば、ポリウレタン系により形成されてい
ることが好ましい。特に、同一材料を用いることが好ま
しい。さらに、補助人工心臓を組み立てた後に、血液接
触面にヘパリンを固定するので、ヘパリンの固定として
は、最適条件を見いだし行うことが好ましい。そして、
同一系、さらには、同一材料により補助人工心臓を形成
していれば、見いだした最適条件によりヘパリンを固定
することができ、また、ヘパリンの固定量にもバラツキ
が生じにくい。
逆流防止弁を含む血液接触面を形成する基材全体が、同
一系材料、例えば、ポリウレタン系により形成されてい
ることが好ましい。特に、同一材料を用いることが好ま
しい。さらに、補助人工心臓を組み立てた後に、血液接
触面にヘパリンを固定するので、ヘパリンの固定として
は、最適条件を見いだし行うことが好ましい。そして、
同一系、さらには、同一材料により補助人工心臓を形成
していれば、見いだした最適条件によりヘパリンを固定
することができ、また、ヘパリンの固定量にもバラツキ
が生じにくい。
【0073】次に、ダイヤフラム50を駆動流体流入室
62側に窪むように変形させて、ダイヤフラムの中央部
に窪みを形成し、この窪みがダイヤフラムの中央部に形
成された状態にて、ダイヤフラム50の窪んだ中央部に
水性液体を注入する工程について説明する。まず、作成
された人工心臓本体の駆動流体流出入用ポート51に適
当なチューブを接続し、駆動流体流入室内を陰圧にす
る。これにより、ダイヤフラム50は、図7および図9
に示すように中央部がへこみ、窪みを形成する。そし
て、血液流入側接続チューブ48より細管(図示せず)
を挿入し、弁46を通過させて、ダイヤフラム50の中
央部の窪みに位置させ、この細管より水性液体をダイヤ
フラムの50の周縁部に液面が到達しないように量を考
慮して充填し、細管を抜去する。この状態が図9に示す
状態である。このように細管を用いて水性液体71を注
入することにより、ハウジング42の内面、弁6および
弁7の表面、さらにダイヤフラム50の周縁に水性液体
が付着することなく、ダイヤフラムの中央部の窪みに水
性液体を注入することができる。
62側に窪むように変形させて、ダイヤフラムの中央部
に窪みを形成し、この窪みがダイヤフラムの中央部に形
成された状態にて、ダイヤフラム50の窪んだ中央部に
水性液体を注入する工程について説明する。まず、作成
された人工心臓本体の駆動流体流出入用ポート51に適
当なチューブを接続し、駆動流体流入室内を陰圧にす
る。これにより、ダイヤフラム50は、図7および図9
に示すように中央部がへこみ、窪みを形成する。そし
て、血液流入側接続チューブ48より細管(図示せず)
を挿入し、弁46を通過させて、ダイヤフラム50の中
央部の窪みに位置させ、この細管より水性液体をダイヤ
フラムの50の周縁部に液面が到達しないように量を考
慮して充填し、細管を抜去する。この状態が図9に示す
状態である。このように細管を用いて水性液体71を注
入することにより、ハウジング42の内面、弁6および
弁7の表面、さらにダイヤフラム50の周縁に水性液体
が付着することなく、ダイヤフラムの中央部の窪みに水
性液体を注入することができる。
【0074】水性液体71としては、水、特に、蒸留
水、精製水、RO水などが好適である。また、アルコー
ル(例えば、エチルアルコール、メチルアルコールな
ど)と水の混合液体であってもよい。続いて、水性液体
が注入された状態にて人工心臓本体の血液接触面をオゾ
ン処理し、血液接触面を形成する合成樹脂表面に酸素原
子を含む官能基を生成させた後、この官能基と抗血栓性
物質とを、水系溶媒を用いて、直接、または少なくとも
一種のカップリング剤を介して共有結合させる工程を行
う。この工程では、まず最初に水性液体71を充填した
状態にて、人工心臓本体の血液接触面をオゾン処理し、
水性液体71と接触しない血液接触面を形成する基材表
面の酸化物中に官能基を生成させる。
水、精製水、RO水などが好適である。また、アルコー
ル(例えば、エチルアルコール、メチルアルコールな
ど)と水の混合液体であってもよい。続いて、水性液体
が注入された状態にて人工心臓本体の血液接触面をオゾ
ン処理し、血液接触面を形成する合成樹脂表面に酸素原
子を含む官能基を生成させた後、この官能基と抗血栓性
物質とを、水系溶媒を用いて、直接、または少なくとも
一種のカップリング剤を介して共有結合させる工程を行
う。この工程では、まず最初に水性液体71を充填した
状態にて、人工心臓本体の血液接触面をオゾン処理し、
水性液体71と接触しない血液接触面を形成する基材表
面の酸化物中に官能基を生成させる。
【0075】オゾン処理は、O2をオゾン発生機で酸化
させたO3/O2ガスを基材と接触させればよい。また、
オゾンの処理条件は、濃度、反応時間、反応温度等、そ
の材質により千差万別である。例えば、ある材質には至
適条件でも、他の材質には十分官能基が導入できなかっ
たり反応が強すぎて材質が劣化しすぎたりする。一つの
目安として気体状態で接触させる時は、1〜50g/m
3の濃度、50〜5000ml/minの流量、0〜7
0℃の反応温度で0.5〜120minの反応時間のう
ちからその材質に合った至適条件を選択することが可能
である。
させたO3/O2ガスを基材と接触させればよい。また、
オゾンの処理条件は、濃度、反応時間、反応温度等、そ
の材質により千差万別である。例えば、ある材質には至
適条件でも、他の材質には十分官能基が導入できなかっ
たり反応が強すぎて材質が劣化しすぎたりする。一つの
目安として気体状態で接触させる時は、1〜50g/m
3の濃度、50〜5000ml/minの流量、0〜7
0℃の反応温度で0.5〜120minの反応時間のう
ちからその材質に合った至適条件を選択することが可能
である。
【0076】そして、オゾン処理は、補助人工心臓本体
の2つのチューブ48,49にオゾン発生機(図示せ
ず)のチューブを接続し、血液流入ポート側より、オゾ
ンを流入させて行う。さらに、上記オゾンの流入後に、
血液接触面全体にオゾンが接触するように、特に、逆流
防止弁の表裏面にオゾンが接触するように、血液流出ポ
ート側よりもオゾンを流入させることが好ましい。さら
に、上記のオゾンの流入作業を、方向を変えて交互に、
複数回行うことが好ましい。このようにして、人工心臓
本体の血液接触面はオゾンと接触する。しかし、水性液
体と接触しているダイヤフラムの窪み部分は、オゾンに
接触しない。このため、水性液体と接触していない血液
接触面部分の表面にのみ酸化物が形成され、かつその中
に官能基が生成する。そして、このオゾン処理工程が終
了した後、水性液体を人工心臓本体より排出する。次
に、上述した官能基を有する基材に固定するためのヘパ
リンについて述べる。
の2つのチューブ48,49にオゾン発生機(図示せ
ず)のチューブを接続し、血液流入ポート側より、オゾ
ンを流入させて行う。さらに、上記オゾンの流入後に、
血液接触面全体にオゾンが接触するように、特に、逆流
防止弁の表裏面にオゾンが接触するように、血液流出ポ
ート側よりもオゾンを流入させることが好ましい。さら
に、上記のオゾンの流入作業を、方向を変えて交互に、
複数回行うことが好ましい。このようにして、人工心臓
本体の血液接触面はオゾンと接触する。しかし、水性液
体と接触しているダイヤフラムの窪み部分は、オゾンに
接触しない。このため、水性液体と接触していない血液
接触面部分の表面にのみ酸化物が形成され、かつその中
に官能基が生成する。そして、このオゾン処理工程が終
了した後、水性液体を人工心臓本体より排出する。次
に、上述した官能基を有する基材に固定するためのヘパ
リンについて述べる。
【0077】ヘパリンは、抗血栓性を示す化合物として
広く知られ、N−硫酸部位を有している。ヘパリンをそ
のまま基材表面に固定することもできるが、ヘパリンと
結合する相手の官能基がアルデヒド基のように元来ヘパ
リンが持つアミノ基だけでは、十分に固定しきれない官
能基である場合は、ヘパリンのN−硫酸部位の一部の脱
硫酸化を行って第1級アミノ化しておくことが好まし
い。この場合、第1級アミノ化の程度は、ヘパリン中の
全アミノ基の内、第1級アミノ基の量が5〜25%にす
るのがよい。より好ましくは10〜20%、更に好まし
くは10〜15%が良い。ここで、ヘパリン中の第1級
アミノ基とは、N−硫酸部位の一部の脱硫酸して第1級
アミノ化したもの、およびヘパリン自体がもっていたも
の両方を含む。ヘパリン中の第1級アミノ基の量が5%
未満では基材に固定されにくくなり、25%を越えると
ヘパリンの活性が低下して来るので、5〜25%にして
おくのが良い。ヘパリンのN−硫酸部位の一部の脱硫酸
化は次のようにして行うことができる。市販のヘパリン
を蒸留水に溶かし、ヘパリン溶液を作成した。このヘパ
リン溶液に硫酸を加え、加温し、インキュベートさせる
ことにより行うことができる。
広く知られ、N−硫酸部位を有している。ヘパリンをそ
のまま基材表面に固定することもできるが、ヘパリンと
結合する相手の官能基がアルデヒド基のように元来ヘパ
リンが持つアミノ基だけでは、十分に固定しきれない官
能基である場合は、ヘパリンのN−硫酸部位の一部の脱
硫酸化を行って第1級アミノ化しておくことが好まし
い。この場合、第1級アミノ化の程度は、ヘパリン中の
全アミノ基の内、第1級アミノ基の量が5〜25%にす
るのがよい。より好ましくは10〜20%、更に好まし
くは10〜15%が良い。ここで、ヘパリン中の第1級
アミノ基とは、N−硫酸部位の一部の脱硫酸して第1級
アミノ化したもの、およびヘパリン自体がもっていたも
の両方を含む。ヘパリン中の第1級アミノ基の量が5%
未満では基材に固定されにくくなり、25%を越えると
ヘパリンの活性が低下して来るので、5〜25%にして
おくのが良い。ヘパリンのN−硫酸部位の一部の脱硫酸
化は次のようにして行うことができる。市販のヘパリン
を蒸留水に溶かし、ヘパリン溶液を作成した。このヘパ
リン溶液に硫酸を加え、加温し、インキュベートさせる
ことにより行うことができる。
【0078】ヘパリン溶液の濃度としては、1.0〜2
0%程度が好適であり、添加する硫酸としては、5.0
〜20Nのものを、ヘパリン溶液10mlに対して、
0.1〜1.0ml程度添加し、50〜100℃で、2
〜30分間インキュベートすることが好ましい。そし
て、インキュベーション時間とともにヘパリン中の第1
級アミノ基は増加するが、ヘパリン活性は徐々に低下す
る。したがってヘパリン活性が不適当に低下しないよう
な程度にN−硫酸部位の第1級アミノ化を行うことが好
ましい。具体的にはヘパリンのロイシン当量が0.05
〜0.25(μmol/10mg)であることが好まし
い。即ち、ロイシン当量が0.05〜0.13(μmo
l/10mg)より低いと、第1級アミノ基が十分でな
く、基材表面へのヘパリンの固定量が低下してしまい、
0.25(μmol/10mg)より高いと、ヘパリン
活性が低下してしまうので好ましくない。
0%程度が好適であり、添加する硫酸としては、5.0
〜20Nのものを、ヘパリン溶液10mlに対して、
0.1〜1.0ml程度添加し、50〜100℃で、2
〜30分間インキュベートすることが好ましい。そし
て、インキュベーション時間とともにヘパリン中の第1
級アミノ基は増加するが、ヘパリン活性は徐々に低下す
る。したがってヘパリン活性が不適当に低下しないよう
な程度にN−硫酸部位の第1級アミノ化を行うことが好
ましい。具体的にはヘパリンのロイシン当量が0.05
〜0.25(μmol/10mg)であることが好まし
い。即ち、ロイシン当量が0.05〜0.13(μmo
l/10mg)より低いと、第1級アミノ基が十分でな
く、基材表面へのヘパリンの固定量が低下してしまい、
0.25(μmol/10mg)より高いと、ヘパリン
活性が低下してしまうので好ましくない。
【0079】次に、前述のようにして得た官能基を有す
る補助人工心臓の血液接触面にヘパリンを固定する工程
について述べる。血液接触面を形成する基材とヘパリン
との固定はカップリング剤の少なくとも1つ好ましくは
2つ以上のアルデヒド基やエポキシ基等を有する化合物
を用い、アミノ基とこれらの官能基の反応により結合す
ることができる。このようなアルデヒド化合物として
は、グルタルアルデヒドなどを挙げることができる。カ
ップリング剤としては、アルデヒド化合物の他にエポキ
シ化合物であるポリエチレングリコールグリシジルエー
テルなどを用いてもよい。これらの場合、基材上のオゾ
ン処理により得た官能基に、2つ以上の第1級アミノ基
を有するカップリング剤(スペーサー用カップリング
剤)をあらかじめカップリングすることが好ましく、以
下にその説明をする。
る補助人工心臓の血液接触面にヘパリンを固定する工程
について述べる。血液接触面を形成する基材とヘパリン
との固定はカップリング剤の少なくとも1つ好ましくは
2つ以上のアルデヒド基やエポキシ基等を有する化合物
を用い、アミノ基とこれらの官能基の反応により結合す
ることができる。このようなアルデヒド化合物として
は、グルタルアルデヒドなどを挙げることができる。カ
ップリング剤としては、アルデヒド化合物の他にエポキ
シ化合物であるポリエチレングリコールグリシジルエー
テルなどを用いてもよい。これらの場合、基材上のオゾ
ン処理により得た官能基に、2つ以上の第1級アミノ基
を有するカップリング剤(スペーサー用カップリング
剤)をあらかじめカップリングすることが好ましく、以
下にその説明をする。
【0080】まず、2つ以上の第1級アミノ基を有する
スペーサー用カップリング剤溶液を、補助人工心臓の血
液接触部位側に流入させ、十分に血液接触面に接触さ
せ、血液接触面に酸素原子を含む官能基とカップリング
剤の官能基を共有結合させ、アミノ基導入血液接触面を
形成する。カップリング剤溶媒としては、例えば、水、
低級アルコールなどの水系溶媒が使用され、接触条件と
しては、pH4〜12、温度0〜80℃、反応時間は1
0分〜24時間とするのが好ましい。pHが4未満であ
るとカップリング剤の基材表面への結合性が低下し、ま
た材質によっては基材の劣化の恐れがあり、12より大
きいと、基材の材質によっては劣化の恐れがあるので好
ましくない。温度が0℃未満であると、反応性が低下し
てしまい、80℃より高いと、第1級アミノ基が変性し
てしまう恐れがあるので好ましくない。
スペーサー用カップリング剤溶液を、補助人工心臓の血
液接触部位側に流入させ、十分に血液接触面に接触さ
せ、血液接触面に酸素原子を含む官能基とカップリング
剤の官能基を共有結合させ、アミノ基導入血液接触面を
形成する。カップリング剤溶媒としては、例えば、水、
低級アルコールなどの水系溶媒が使用され、接触条件と
しては、pH4〜12、温度0〜80℃、反応時間は1
0分〜24時間とするのが好ましい。pHが4未満であ
るとカップリング剤の基材表面への結合性が低下し、ま
た材質によっては基材の劣化の恐れがあり、12より大
きいと、基材の材質によっては劣化の恐れがあるので好
ましくない。温度が0℃未満であると、反応性が低下し
てしまい、80℃より高いと、第1級アミノ基が変性し
てしまう恐れがあるので好ましくない。
【0081】アミノ基を2つ以上有するカップリング剤
としては、ポリエチエレンイミン(PEI)、ポリエチ
レングリコールジアミン、エチレンジアミン、テトラメ
チレンジアミン等が挙げられる。このようにして血液接
触面の形成する基材表面にアミノ基を導入した後、この
アミノ基とヘパリンのアミノ基とを2つ以上のアルデヒ
ド基やエポキシ基を有するヘパリン固定用カップリング
剤により結合し、基材にヘパリンを固定する。2つ以上
のエポキシ基またはアルデヒド基を有するカップリング
剤としては、上述のものが使用できる。
としては、ポリエチエレンイミン(PEI)、ポリエチ
レングリコールジアミン、エチレンジアミン、テトラメ
チレンジアミン等が挙げられる。このようにして血液接
触面の形成する基材表面にアミノ基を導入した後、この
アミノ基とヘパリンのアミノ基とを2つ以上のアルデヒ
ド基やエポキシ基を有するヘパリン固定用カップリング
剤により結合し、基材にヘパリンを固定する。2つ以上
のエポキシ基またはアルデヒド基を有するカップリング
剤としては、上述のものが使用できる。
【0082】さらに、前述の方法によって、共有結合し
たスペーサー用カップリング剤が有するアミノ基とヘパ
リンのアミノ基とを、ヘパリン固定用カップリング剤に
より結合させる反応方法は、上記カップリング剤の水溶
液と、ヘパリン水溶液とを同時に混合したものを、補助
人工心臓の血液接触面側に流入および充填し、反応させ
ることが好ましい。また。ヘパリン水溶液のみを流入、
充填させ、血液接触面のアミノ基とヘパリンの官能基と
を反応させ、軽く結合させた後、カップリング剤水溶液
を流入させて、反応させてもよい。
たスペーサー用カップリング剤が有するアミノ基とヘパ
リンのアミノ基とを、ヘパリン固定用カップリング剤に
より結合させる反応方法は、上記カップリング剤の水溶
液と、ヘパリン水溶液とを同時に混合したものを、補助
人工心臓の血液接触面側に流入および充填し、反応させ
ることが好ましい。また。ヘパリン水溶液のみを流入、
充填させ、血液接触面のアミノ基とヘパリンの官能基と
を反応させ、軽く結合させた後、カップリング剤水溶液
を流入させて、反応させてもよい。
【0083】ヘパリン水溶液とカップリング剤水溶液を
同時に混合し反応させる場合には、反応条件として、p
H2.0〜10.0が好ましく、反応時間は1時間〜2
00時間程度、反応温度は15〜80℃程度が好まし
い。1時間以上であれば、反応は十分であり、200時
間以下であれば、ヘパリンの分解、過度の架橋による表
面に固定されたヘパリンの安定性の低下が少ない。反応
温度は15℃以下であれば、反応が生じ、80℃以下で
あれば、ヘパリンの安定性の低下が少ない。カップリン
グ剤水溶液中の化合物の濃度は効率的な架橋のため、エ
ポキシ基およびアルデヒド基の含量で0.01〜2mo
l/lとするのが良い。
同時に混合し反応させる場合には、反応条件として、p
H2.0〜10.0が好ましく、反応時間は1時間〜2
00時間程度、反応温度は15〜80℃程度が好まし
い。1時間以上であれば、反応は十分であり、200時
間以下であれば、ヘパリンの分解、過度の架橋による表
面に固定されたヘパリンの安定性の低下が少ない。反応
温度は15℃以下であれば、反応が生じ、80℃以下で
あれば、ヘパリンの安定性の低下が少ない。カップリン
グ剤水溶液中の化合物の濃度は効率的な架橋のため、エ
ポキシ基およびアルデヒド基の含量で0.01〜2mo
l/lとするのが良い。
【0084】また、はじめに血液接触面のアミノ基と、
ヘパリンの官能基とを反応させて、これらをイオン結合
させておき、その後カップリング剤と架橋反応させる場
合は、基材とヘパリンとの反応条件として、pH2.0
〜5.0とするのがよい。pH2.0以下であればヘパ
リンの安定性の低下が少なく、pH5.0以下であれ
ば、基材表面の陽荷電の低下がなく、結合ヘパリン量は
十分である。反応温度は、0〜80℃とするのがよい。
0℃以上であれば、イオン結合速度も十分であり、80
℃以下であればヘパリンの安定性の低下が少なく。ま
た、反応時間は、10〜1500分とするのがよい。1
0分以上であればイオン結合が十分に生じ、1500分
以上行っても、イオン結合量が完全に飽和してしまい、
新たに結合することはないためである。
ヘパリンの官能基とを反応させて、これらをイオン結合
させておき、その後カップリング剤と架橋反応させる場
合は、基材とヘパリンとの反応条件として、pH2.0
〜5.0とするのがよい。pH2.0以下であればヘパ
リンの安定性の低下が少なく、pH5.0以下であれ
ば、基材表面の陽荷電の低下がなく、結合ヘパリン量は
十分である。反応温度は、0〜80℃とするのがよい。
0℃以上であれば、イオン結合速度も十分であり、80
℃以下であればヘパリンの安定性の低下が少なく。ま
た、反応時間は、10〜1500分とするのがよい。1
0分以上であればイオン結合が十分に生じ、1500分
以上行っても、イオン結合量が完全に飽和してしまい、
新たに結合することはないためである。
【0085】さらに、血液接触面とヘパリン水溶液とカ
ップリング剤水溶液とを架橋反応させる際、pHはアル
カリ下でも酸性下でもよい。しかし、本発明において、
酸性下でなければアミノ基をもった表面が、+にチャー
ジしないため、ヘパリンが表面からすみやかに離脱する
ため酸性でないと効果的な架橋はできず、好ましくな
い。カップリング剤水溶液中の化合物の濃度は効率的な
架橋のため、エポキシ基およびアルデヒド基の含量で
0.01〜2mol/lとするのが良い。また、反応温
度としては、15〜80℃とするのがよい。反応時間
は、1〜200時間とするのがよい。
ップリング剤水溶液とを架橋反応させる際、pHはアル
カリ下でも酸性下でもよい。しかし、本発明において、
酸性下でなければアミノ基をもった表面が、+にチャー
ジしないため、ヘパリンが表面からすみやかに離脱する
ため酸性でないと効果的な架橋はできず、好ましくな
い。カップリング剤水溶液中の化合物の濃度は効率的な
架橋のため、エポキシ基およびアルデヒド基の含量で
0.01〜2mol/lとするのが良い。また、反応温
度としては、15〜80℃とするのがよい。反応時間
は、1〜200時間とするのがよい。
【0086】以下に本発明の医療器具を補助人工心臓に
応用した具体的実施例を説明する。
応用した具体的実施例を説明する。
【0087】(実施例3)熱可塑性かつ可撓性を有する
セグメント化ポリウレタン(ペレセン2363−80A
E)を用いて、血液室側ハウジング、駆動流体室側ハウ
ジング、ダイヤフラム、図6に示すような構造の二尖弁
タイプの逆流防止弁、図6に示すような構造の三尖弁タ
イプの逆流防止弁、接続チューブを形成し、ダイヤフラ
ムとそれぞれのハウジングは、周縁部を超音波加熱によ
り、熱融着した。また、それぞれの逆流防止弁および接
続チューブは、血液ポートにポリウレタン系接着剤を用
いて、固着し、図6ないし図8に示すようなコルフタイ
プの補助人工心臓本体を数個作成した。
セグメント化ポリウレタン(ペレセン2363−80A
E)を用いて、血液室側ハウジング、駆動流体室側ハウ
ジング、ダイヤフラム、図6に示すような構造の二尖弁
タイプの逆流防止弁、図6に示すような構造の三尖弁タ
イプの逆流防止弁、接続チューブを形成し、ダイヤフラ
ムとそれぞれのハウジングは、周縁部を超音波加熱によ
り、熱融着した。また、それぞれの逆流防止弁および接
続チューブは、血液ポートにポリウレタン系接着剤を用
いて、固着し、図6ないし図8に示すようなコルフタイ
プの補助人工心臓本体を数個作成した。
【0088】そして、図7に示すように、ダイヤフラム
を駆動流体流入室側に変形させて、その中央部に窪みを
形成し、この窪みのほぼ中心に、外径2.0mm、内径
1.5mm、長さ300ミリの軟質塩化ビニル樹脂チュ
ーブの先端を位置させ、他端より約5mlの蒸留水を注
入した。蒸留水の液面は、ダイヤフラムの周縁には到達
していなかった。そして、細管を抜去した。そして、蒸
留水を注入した状態のまま人工心臓本体の2つの接続チ
ューブにオゾン発生機(日本オゾン(株))を接続し、
濃度25g/m3、流量0.8l/min,温度25℃
で10分処理した。オゾン処理は、補助人工心臓の2つ
のチューブにオゾン発生機のチューブを接続し、最初
は、血液流入ポート側より、オゾンを流入させて行い、
その終了後、血液流出ポート側よりもオゾンを流入さ
せ、補助人工心臓の血液接触面、特に、逆流防止弁の表
裏両面に確実にオゾンを接触させた。そして、このオゾ
ン処理が終了した後、人工心臓本体内の蒸留水を排出し
た。
を駆動流体流入室側に変形させて、その中央部に窪みを
形成し、この窪みのほぼ中心に、外径2.0mm、内径
1.5mm、長さ300ミリの軟質塩化ビニル樹脂チュ
ーブの先端を位置させ、他端より約5mlの蒸留水を注
入した。蒸留水の液面は、ダイヤフラムの周縁には到達
していなかった。そして、細管を抜去した。そして、蒸
留水を注入した状態のまま人工心臓本体の2つの接続チ
ューブにオゾン発生機(日本オゾン(株))を接続し、
濃度25g/m3、流量0.8l/min,温度25℃
で10分処理した。オゾン処理は、補助人工心臓の2つ
のチューブにオゾン発生機のチューブを接続し、最初
は、血液流入ポート側より、オゾンを流入させて行い、
その終了後、血液流出ポート側よりもオゾンを流入さ
せ、補助人工心臓の血液接触面、特に、逆流防止弁の表
裏両面に確実にオゾンを接触させた。そして、このオゾ
ン処理が終了した後、人工心臓本体内の蒸留水を排出し
た。
【0089】市販のヘパリンを蒸留水に溶かし、10%
溶液を作製した。このヘパリン溶液1mlを5.5N硫
酸0.4ml中に入れ、97℃で10分間インキュベー
トした。得られたヘパリン中の全アミノ基内の第1級ア
ミノ基は、ヘパリンが最初から有するものおよびN−硫
酸部位が脱硫酸化されて第1級アミノ化されたものを含
めて11%であった。
溶液を作製した。このヘパリン溶液1mlを5.5N硫
酸0.4ml中に入れ、97℃で10分間インキュベー
トした。得られたヘパリン中の全アミノ基内の第1級ア
ミノ基は、ヘパリンが最初から有するものおよびN−硫
酸部位が脱硫酸化されて第1級アミノ化されたものを含
めて11%であった。
【0090】上記のオゾン処理した補助人工心臓組立体
の血液接触部位(逆流防止弁、接続チューブを含む)内
に、pH10に調整した0.5%ポリエチレンイミン水
溶液(PFI)(BASF社)を充填し、45℃、24
時間放置した。そして、ポリエチレンイミン水溶液を排
出した後、水洗し)た。上記のようにして調製した一部
脱硫酸化ヘパリンの0.2%水溶液(pH4.0酢酸緩
衝液)を作製し、このヘパリン水溶液をポリエチレンイ
ミン処理した人工心臓組立体の血液接触部位(逆流防止
弁、接続チューブを含む)内に充填し、45℃、24時
間放置した。そして、ヘパリン水溶液を排出した後、乾
燥させた。続いて、1.0%グルタルアルデヒド水溶液
(pH4.0酢酸緩衝液)を、ヘパリン処理した人工心
臓組立体の血液接触部位(逆流防止弁、接続チューブを
含む)内に充填し、室温で24時間放置した。そして、
グルタールアルデヒド水溶液を排出した後、乾燥させ
た。続いて1%NaBH4水溶液(pH10炭酸緩衝
液)を、グルタールアルデヒド処理した人工心臓組立体
の血液接触部位(逆流防止弁、接続チューブを含む)内
に充填し、室温で4時間放置したのち、排出し、乾燥さ
せた。これにより、血液室最大容積20mlの本発明の
補助人工心臓(実施例3)を作成した。そして、蒸留水
の注入以降の工程を行わない人工心臓本体を比較例の補
助人工心臓とした。
の血液接触部位(逆流防止弁、接続チューブを含む)内
に、pH10に調整した0.5%ポリエチレンイミン水
溶液(PFI)(BASF社)を充填し、45℃、24
時間放置した。そして、ポリエチレンイミン水溶液を排
出した後、水洗し)た。上記のようにして調製した一部
脱硫酸化ヘパリンの0.2%水溶液(pH4.0酢酸緩
衝液)を作製し、このヘパリン水溶液をポリエチレンイ
ミン処理した人工心臓組立体の血液接触部位(逆流防止
弁、接続チューブを含む)内に充填し、45℃、24時
間放置した。そして、ヘパリン水溶液を排出した後、乾
燥させた。続いて、1.0%グルタルアルデヒド水溶液
(pH4.0酢酸緩衝液)を、ヘパリン処理した人工心
臓組立体の血液接触部位(逆流防止弁、接続チューブを
含む)内に充填し、室温で24時間放置した。そして、
グルタールアルデヒド水溶液を排出した後、乾燥させ
た。続いて1%NaBH4水溶液(pH10炭酸緩衝
液)を、グルタールアルデヒド処理した人工心臓組立体
の血液接触部位(逆流防止弁、接続チューブを含む)内
に充填し、室温で4時間放置したのち、排出し、乾燥さ
せた。これにより、血液室最大容積20mlの本発明の
補助人工心臓(実施例3)を作成した。そして、蒸留水
の注入以降の工程を行わない人工心臓本体を比較例の補
助人工心臓とした。
【0091】[実験]上記実施例3の補助人工心臓およ
び比較例の人工心臓を用いて以下の実験を行った。
び比較例の人工心臓を用いて以下の実験を行った。
【0092】(実験4)実施例3の補助人工心臓および
比較例の補助人工心臓の血液接触部位に、0.01N塩
酸を充填し、排出した後、トルイジンブルーにより染色
した結果、実施例の補助人工心臓では、ダイヤフラムの
中央部分を除く血液接触部位のほぼ全体が紫〜赤紫色に
染色された。また、比較例の補助人工心臓では、いずれ
も染色されなかった。
比較例の補助人工心臓の血液接触部位に、0.01N塩
酸を充填し、排出した後、トルイジンブルーにより染色
した結果、実施例の補助人工心臓では、ダイヤフラムの
中央部分を除く血液接触部位のほぼ全体が紫〜赤紫色に
染色された。また、比較例の補助人工心臓では、いずれ
も染色されなかった。
【0093】(実験5)実施例および比較例の補助人工
心臓を用いて、成羊による急性左心補助実験を行った。
成羊としては、体重60kgのもの用い、補助人工心臓
の駆動は、補助人工心臓駆動装置(商品名IABP−P
AD駆動装置、日本ゼオン株式会社製)を用い、駆動モ
ードは、80bpm固定にて行った。そして、血栓の形
成を確認したところ、比較例の補助人工心臓では、1日
当たりより、逆流防止弁の周縁部、ダイヤフラムの周縁
部に血栓の形成が見られた。また、実施例の補助人工心
臓では、4日当たりより、逆流防止弁の周縁部、ダイヤ
フラムの周縁部に、わずかに血栓の形成が見られたが、
比較例のもの比べ、極めて少量であった。
心臓を用いて、成羊による急性左心補助実験を行った。
成羊としては、体重60kgのもの用い、補助人工心臓
の駆動は、補助人工心臓駆動装置(商品名IABP−P
AD駆動装置、日本ゼオン株式会社製)を用い、駆動モ
ードは、80bpm固定にて行った。そして、血栓の形
成を確認したところ、比較例の補助人工心臓では、1日
当たりより、逆流防止弁の周縁部、ダイヤフラムの周縁
部に血栓の形成が見られた。また、実施例の補助人工心
臓では、4日当たりより、逆流防止弁の周縁部、ダイヤ
フラムの周縁部に、わずかに血栓の形成が見られたが、
比較例のもの比べ、極めて少量であった。
【0094】(実験6)熱可塑性かつ可撓性を有するセ
グメント化ポリウレタン(ペレセン2363−80A
E)を用いて、厚さ0.4mmのシートを形成した。そ
して、オゾン発生機(日本オゾン(株))を用いて、オ
ゾン濃度25g/m3、0.8l/minO2,5℃で1
0分(サンプル3)、25℃で10分(サンプル4),
45℃で10分(サンプル5)処理した。また、未処理
のものをサンプル2とした。そして、上記サンプル2〜
5について、実施例と同様に処理し、両面にヘパリンが
固定されたポリウレタンシートを作成した。また、オゾ
ン処理およびヘパリン処理を行わなかったものをサンプ
ル1とした。サンプル1〜5を5×20mmに切断して
物性を測定したところ、その結果は表1に示す通りであ
った。
グメント化ポリウレタン(ペレセン2363−80A
E)を用いて、厚さ0.4mmのシートを形成した。そ
して、オゾン発生機(日本オゾン(株))を用いて、オ
ゾン濃度25g/m3、0.8l/minO2,5℃で1
0分(サンプル3)、25℃で10分(サンプル4),
45℃で10分(サンプル5)処理した。また、未処理
のものをサンプル2とした。そして、上記サンプル2〜
5について、実施例と同様に処理し、両面にヘパリンが
固定されたポリウレタンシートを作成した。また、オゾ
ン処理およびヘパリン処理を行わなかったものをサンプ
ル1とした。サンプル1〜5を5×20mmに切断して
物性を測定したところ、その結果は表1に示す通りであ
った。
【0095】
【表1】 (kg/cm2)
【0096】上記の結果より、ヘパリン処理により、初
期弾性率が若干低下し、少し柔らかくなることが分かっ
たが、大きな物性の変化はみられなかった。また、オゾ
ン処理の有無による物性の相違は見られなかった。
期弾性率が若干低下し、少し柔らかくなることが分かっ
たが、大きな物性の変化はみられなかった。また、オゾ
ン処理の有無による物性の相違は見られなかった。
【0097】
【発明の効果】本発明の医療器具は、可撓性合成樹脂材
料により一体成形され、使用時に血液と接触し、かつ使
用時に負荷される外力により継続的に変形、復元が繰り
返される可撓性変形可能部を少なくとも有する医療器具
であって、該医療器具は、前記可撓性変形可能部を少な
くとも除く血液接触面に抗血栓性物質が固定されてい
る。このため、医療器具の血液接触面は全体として高い
抗血栓性を有し、かつ、可撓性変形可能部には抗血栓性
物質が固定されていないので、使用時の変形により剥離
することがない。また、この可撓性変形可能部の表面で
は、変形と復元が繰り返えされるので、血液の滞留がな
くかつ流れも速く、この部分での血栓の発生は少ない。
料により一体成形され、使用時に血液と接触し、かつ使
用時に負荷される外力により継続的に変形、復元が繰り
返される可撓性変形可能部を少なくとも有する医療器具
であって、該医療器具は、前記可撓性変形可能部を少な
くとも除く血液接触面に抗血栓性物質が固定されてい
る。このため、医療器具の血液接触面は全体として高い
抗血栓性を有し、かつ、可撓性変形可能部には抗血栓性
物質が固定されていないので、使用時の変形により剥離
することがない。また、この可撓性変形可能部の表面で
は、変形と復元が繰り返えされるので、血液の滞留がな
くかつ流れも速く、この部分での血栓の発生は少ない。
【0098】また、本発明のポンプチューブは、内部に
血液流路を有するポンプチューブであって、該ポンプチ
ューブは、可撓性合成樹脂材料により一体に形成されて
おり、かつ、少なくとも使用時にポンプにより押圧され
るチューブ部分の内壁面を除く血液接触面に抗血栓性物
質が固定されている。このため、使用時にポンプにより
挟圧される部分には抗血栓性物質が固定されていないの
で、その剥離がない。
血液流路を有するポンプチューブであって、該ポンプチ
ューブは、可撓性合成樹脂材料により一体に形成されて
おり、かつ、少なくとも使用時にポンプにより押圧され
るチューブ部分の内壁面を除く血液接触面に抗血栓性物
質が固定されている。このため、使用時にポンプにより
挟圧される部分には抗血栓性物質が固定されていないの
で、その剥離がない。
【0099】また、本発明の人工心臓本体は、ハウジン
グと、該ハウジング内を血液室と、駆動流体流入室とに
区分する可撓性ダイヤフラムと、前記血液室に連通する
血液流入ポートと血液流出ポートと、前記駆動流体流入
室と連通する駆動流体流出入用ポートとを有する合成樹
脂製補助人工心臓であって、少なくとも血液接触面を形
成する前記血液室側ハウジングおよび前記可撓性ダイヤ
フラムは、合成樹脂により一体に形成されており、か
つ、少なくとも可撓性ダイヤフラムの使用時に変形する
部分を除くダイヤフラムの血液接触面および前記血液室
側ハウジングの血液接触面に抗血栓性物質が固定されて
いる。このため、使用時にダイヤフラムが変形と復元を
繰り返しても、変形と復元を繰り返す部位のダイヤフラ
ムには、抗血栓性物質が固定されていないので、その剥
離がない。
グと、該ハウジング内を血液室と、駆動流体流入室とに
区分する可撓性ダイヤフラムと、前記血液室に連通する
血液流入ポートと血液流出ポートと、前記駆動流体流入
室と連通する駆動流体流出入用ポートとを有する合成樹
脂製補助人工心臓であって、少なくとも血液接触面を形
成する前記血液室側ハウジングおよび前記可撓性ダイヤ
フラムは、合成樹脂により一体に形成されており、か
つ、少なくとも可撓性ダイヤフラムの使用時に変形する
部分を除くダイヤフラムの血液接触面および前記血液室
側ハウジングの血液接触面に抗血栓性物質が固定されて
いる。このため、使用時にダイヤフラムが変形と復元を
繰り返しても、変形と復元を繰り返す部位のダイヤフラ
ムには、抗血栓性物質が固定されていないので、その剥
離がない。
【0100】また、本発明の医療器具の製造方法は、可
撓性合成樹脂材料により形成され、使用時血液と接触
し、かつ使用時に負荷される外力により継続的に変形、
復元が繰り返される可撓性変形可能部を少なくとも有す
る医療器具を形成し、該医療器具の少なくとも前記可撓
性変形可能部に水性液体を接触させ、該医療器具の前記
可撓性変形可能部に水性液体が接触した状態にて医療器
具の血液接触面をオゾン処理し、血液接触面を形成する
合成樹脂表面に酸素原子を含む官能基を生成させた後、
この官能基と抗血栓性物質とを、水系溶媒を用いて、直
接、または少なくとも一種のカップリング剤を介して共
有結合させるものである。よって、上記のような効果を
有する医療器具を容易に製造することができる。さら
に、医療器具を形成する合成樹脂の物性の変化、特に物
性の低下、可撓性、弾性、強度の低下をあまり生じさせ
ることなく、血液接触面を高い抗血栓性表面とすること
ができる。また結合された抗血栓性物質の離脱も少な
い。
撓性合成樹脂材料により形成され、使用時血液と接触
し、かつ使用時に負荷される外力により継続的に変形、
復元が繰り返される可撓性変形可能部を少なくとも有す
る医療器具を形成し、該医療器具の少なくとも前記可撓
性変形可能部に水性液体を接触させ、該医療器具の前記
可撓性変形可能部に水性液体が接触した状態にて医療器
具の血液接触面をオゾン処理し、血液接触面を形成する
合成樹脂表面に酸素原子を含む官能基を生成させた後、
この官能基と抗血栓性物質とを、水系溶媒を用いて、直
接、または少なくとも一種のカップリング剤を介して共
有結合させるものである。よって、上記のような効果を
有する医療器具を容易に製造することができる。さら
に、医療器具を形成する合成樹脂の物性の変化、特に物
性の低下、可撓性、弾性、強度の低下をあまり生じさせ
ることなく、血液接触面を高い抗血栓性表面とすること
ができる。また結合された抗血栓性物質の離脱も少な
い。
【図1】図1は、本発明の医療器具をポンプチューブに
応用した実施例の側面図である。
応用した実施例の側面図である。
【図2】図2は、図1に示したポンプチューブの拡大断
面図である。
面図である。
【図3】図3は、本発明の医療器具を人工心肺用血液回
路に応用した実施例の概略図である。
路に応用した実施例の概略図である。
【図4】図4は、本発明の医療器具を人工透析用血液回
路に応用した実施例の概略図である。
路に応用した実施例の概略図である。
【図5】図5は、本発明の医療器具をポンプチューブに
応用した実施例の製造方法を説明するための説明図であ
る。
応用した実施例の製造方法を説明するための説明図であ
る。
【図6】図6は、本発明の補助人工心臓の平面図であ
る。
る。
【図7】図7は、本発明の補助人工心臓の右面図であ
る。
る。
【図8】図8は、本発明の補助人工心臓の左面図であ
る。
る。
【図9】図9は、図6に示した補助人工心臓の中央断面
図である。
図である。
【図10】図10は、本発明の医療器具を補助人工心臓
に応用した実施例の製造方法を説明するための説明図で
ある。
に応用した実施例の製造方法を説明するための説明図で
ある。
1 医療器具(ポンプチューブ) 2 可撓性変形可能部(ポンプチューブの中央部分) 3 血液接触面 4 抗血栓性物質 5 血液流路 6 ポンプチューブ本体 20 血液回路 30 血液回路 40 補助人工心臓 42 血液室側ハウジング 43 駆動流体室側ハウジング 44 血液流入ポート 45 血液流出ポート 46 逆流防止弁 47 逆流防止弁 50 ダイヤフラム 61 血液室 62 駆動流体室
Claims (1)
- 【請求項1】 可撓性合成樹脂材料により形成され、使
用時に血液と接触し、かつ使用時に負荷される外力によ
り継続的に変形、復元が繰り返される可撓性変形可能部
を少なくとも有する医療器具であって、該医療器具は、
前記可撓性変形可能部を少なくとも除く血液接触面に抗
血栓性物質が固定されていることを特徴とする医療器
具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5347703A JPH07178161A (ja) | 1993-12-24 | 1993-12-24 | 医療器具 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5347703A JPH07178161A (ja) | 1993-12-24 | 1993-12-24 | 医療器具 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07178161A true JPH07178161A (ja) | 1995-07-18 |
Family
ID=18392013
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5347703A Pending JPH07178161A (ja) | 1993-12-24 | 1993-12-24 | 医療器具 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07178161A (ja) |
Cited By (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2015080177A1 (ja) * | 2013-11-28 | 2015-06-04 | 東レ株式会社 | 抗血栓性材料 |
JP2016526416A (ja) * | 2013-06-24 | 2016-09-05 | エクステラ・メディカル・コーポレーション | マンノース被覆基材を含有する血液濾過システム |
US10188783B2 (en) | 2005-12-13 | 2019-01-29 | Exthera Medical Corporation | Method for extracorporeal removal of pathogenic microbe, an inflammatory cell or an inflammatory protein from blood |
US10457974B2 (en) | 2013-11-08 | 2019-10-29 | Exthera Medical Corporation | Methods for diagnosing infectious diseases using adsorption media |
US10537280B2 (en) | 2011-02-15 | 2020-01-21 | Exthera Medical Corporation | Device and method for removal of blood-borne pathogens, toxins and inflammatory cytokines |
US10786615B2 (en) | 2016-03-02 | 2020-09-29 | Exthera Medical Corporation | Method for treating drug intoxication |
US10857283B2 (en) | 2014-09-22 | 2020-12-08 | Exthera Medical Corporation | Wearable hemoperfusion device |
US11123466B2 (en) | 2009-12-01 | 2021-09-21 | Exthera Medical Corporation | Methods for removing cytokines from blood with surface immobilized polysaccharides |
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US11844895B2 (en) | 2014-04-24 | 2023-12-19 | Exthera Medical Corporation | Method for removing bacteria from blood using high flow rate |
US11911551B2 (en) | 2016-03-02 | 2024-02-27 | Exthera Medical Corporation | Method for treating drug intoxication |
US12090261B2 (en) | 2019-05-16 | 2024-09-17 | Exthera Medical Corporation | Method for modulating endothelial glycocalyx structure |
-
1993
- 1993-12-24 JP JP5347703A patent/JPH07178161A/ja active Pending
Cited By (19)
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---|---|---|---|---|
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JP2016526416A (ja) * | 2013-06-24 | 2016-09-05 | エクステラ・メディカル・コーポレーション | マンノース被覆基材を含有する血液濾過システム |
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WO2015080177A1 (ja) * | 2013-11-28 | 2015-06-04 | 東レ株式会社 | 抗血栓性材料 |
JPWO2015080177A1 (ja) * | 2013-11-28 | 2017-03-16 | 東レ株式会社 | 抗血栓性材料 |
US9795721B2 (en) | 2013-11-28 | 2017-10-24 | Toray Industries, Inc. | Antithrombotic material |
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US10857283B2 (en) | 2014-09-22 | 2020-12-08 | Exthera Medical Corporation | Wearable hemoperfusion device |
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