JPH0715426U - 車輛装備の既存シートベルトを利用する子供用安全シート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 急制動、追突等のとき乗車中の子供乗員が投
げ出されないように拘束して保護する車輛装備の既存シ
ートベルトを利用する子供用安全シートに関する。 【構成】 柔軟性を有するシート本体を湾曲した肩部及
びひもを使用して座席の上部に装着し、シート本体の両
側面の少なくとも一方に、既存シートベルトが挿通され
る長孔状の挿入孔を設ける構成であり、既設の大人乗員
用の既存シートベルトを利用して緊急時に子供乗員を保
護することのできる子供用安全シートである。 【効果】 簡易な構成によって子供乗員が確実に保護さ
れる。また不使用時は、当該シート本体を助手席の裏側
等に移動ができることと、当該助手席等の有効利用、及
び各種手間、面倒等をなくし得る等の実用面での利点を
有する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、急制動、追突等のとき乗車中の子供乗員が投げ出されないように拘 束して保護する車輛装備の既存シートベルトを利用する子供用安全シートに関す る。

【０００２】

【従来の技術】

急制動、追突などのとき乗員を拘束して保護する主として大人用のシートベル トが車輛のシートに設けられ、事故防止のために効果を発揮している。しかしな がら、この大人用のシートベルトを子供乗員にそのまま使用しても、体格の相違 から十分にその効果が発揮できないこと、子供乗員の首部に傾斜状のシートベル トが周接されることから危険性があること、等から子供乗員を保護するための専 用の子供用安全シートが考案され効果を発揮している。

【０００３】 そして、子供用安全シートの中で、既存シートベルトを利用して、子供用のシ ート本体（シェル等）及び子供乗員を拘束する技術文献としては、実公昭５６− １３１４９号の車輛用シート、実公昭５６−１７２２２号の子供用安全シート、 又は実開平５−３４０２８号のチャイルドシート等の考案が挙げられる。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

以上で詳述した先行技術は、車輛の既存シートベルトを活用するが、シート本 体と子供乗員の腰部を拘束する構成であるので、シート本体及び／又は子供乗員 が前方に転倒する虞があり、特に急ブレーキ等の場合に危険性がある。また既存 シートベルトを腰部と胸部に係止しないことから、既存シートベルトの有効利用 と当該既存シートベルトの特性、例えば、引き出し及び巻き戻しによる人体への 緩衝効果、緊急時の安全性確保が十分に活用されていない課題がある。

【０００５】 またシートに完全に拘束することから、子供乗員以外が使用する際には、その 都度当該子供用安全シート、チャイルドシート等を取外さねばならず、大変であ ることと、ことのほか面倒なものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記に鑑み、本考案は、既存シートベルト及びその特性を有効・有益に活用す ること、設備の簡略化を図ること、又は不使用時にはシート本体の移動が図れ、 利便性が達成されること、等を目的として、下記の構成を採用した。

【０００７】 即ち、車輛装備の既存シートベルトを利用する子供用安全シートは、 座席のヘッドレストのピン又は貫通孔を利用して装着される布製、軟質プラス チック製又は一部の布製、軟質プラスチック製で構成してなり、その少なくとも 上部に柔軟性を備えたシート本体、及びこのシート本体の両側面に設けた車輛の 既存シートベルトが挿入される少なくともその一方が長孔状の挿入孔、並びに前 記シート本体に設けた、かつ前記座席より遊離して架承されるシート床で構成さ れ、前記シート床及びシート床に載架された子供乗員及びシート本体を、前記既 存シートベルトの拘束及び子供乗員の胸部への周接を介して、前記座席に安定保 持する構成とした。

【０００８】

【作用】

子供用安全シートを固定し子供乗員が着座した後、一方の側面の挿入孔に、既 存シートベルトのパックルより挿入し、当該挿入孔に既存シートベルトをダブル 状にして挿通する。その後、パックル及びシートベルトの折返し部を他方の側面 の挿入孔を経由して、車輛装備の連結金具に到らしめ当該パックルを前記連結金 具に緊締する。これによって、既存シートベルトの傾斜部位は、子供乗員の肩部 より腰部に、丁度、大人が既存シートベルトを締めるようにほぼ傾斜状に周接さ れる。したがって、前述の如く、大人がシートベルトを装着するとほぼ同様な状 態で、子供乗員はシート本体を介して助手席に安定かつ確実に装着される。

【０００９】

【実施例】 以下、本考案の一実施例を図面を参照しながら説明する。 本考案に係る子供用安全シートは、布製又は一部布製でなるシート本体１及
び シート本体１の両側面１ａ、１ｂに既存シートベルト１５が挿設される丈長の挿 入孔５、５と、前記シート本体１の着席面を構成するシート床２とを主構成要素 としている。このシート本体１は、原則として柔軟性の布地を使用するが、場合 により、前述の如く、軟質プラスチックを使用する構成では、その上部１ｃは布 製が望ましい。図中３はシート本体１の凭部を示している。尚シート本体１の全 体構成は、ほぼリフト形状を呈する。

【００１０】 そして、前記シート本体１は車輛の助手席（助手席に限定されない。）を構成 する座席の座板１１より遊離して架承され、かつ座席の凭板１２に添接する如く 、装着される。またこのシート本体１の上部１ｂは湾曲して凭板１２の上部に被 せられる形状となっており、更に上部１ｂに設けたひも４をヘッドレスト１３の ピン１４（杆又は棒）又は貫通孔（図示せず）に結縛する。これによって、シー ト本体１は、前述の如く、座板１１より遊離した状態で、かつ凭板１２に添接す るように架承される。そして、本考案では、シートベルトを使用するが、既設さ れている大人乗員用既設のシートベルト１５（既存シートベルト１５とする。） を利用する。

【００１１】 その取付状況の一例を説明すると、既設シートベルト１５はリトラクタ１６よ り引き出されて、そのパックル１５ａとともに、既存シートベルト１５はダブル 状になって一方の側面１ａの挿入孔５に挿入された後、シート本体１に載架され ている子供の腰部を周接し、前記パックル１５ａ及び既存シートベルト１５の折 返し部位及びパックル１５ａは、他方の側面１ｂの挿入孔５を通り、連結金具１ ７（折返り金具）に達した後、前記パックル１５ａは連結金具１７に緊締される 。これによって既存シートベルト１５の水平部位１５ｂは、一方の側面１ａの挿 入孔５の下方と他方の側面１ｂの挿入孔５との間に装着され、かつ子供乗員の腰 部にほぼ水平状に周接される。一方連結金具１７とパックル１５ａを介して折返 された既存シートベルト１５の傾斜部位１５ｃは、他方の側面１ｂの挿入孔５と 一方の側面１ａの挿入孔５の上方との間に装着され、かつ子供乗員の腰部から肩 部に向かって、ほぼ傾斜状に周接される。即ち、大人が既存シートベルト１５を 張装するように、子供乗員の腰部と肩部の全体を保持するように装着され、かつ 当該子供乗員への装着及び両挿入孔５、５への既存シートベルト１５の挿設を介 して、子供乗員及びシート本体１が助手席に、安定かつ確実に装着される。

【００１２】 これによって、シート本体１及び子供乗員は、助手席の座板１１より遊離し、 かつ凭板１２に添接するが如く、安定かつ適度の締付力を介して、安定保持され る。また既存シートベルト１５の傾斜部位で、子供乗員をシート本体１及び助手 席に安定装着できる。

【００１３】 尚、車輛の通常走行時においては、既存シートベルト１５はリトラクタ１６か ら自由に巻き出され又は捲き戻されるので、子供乗員の自由度は大きい利点と、 また車輛に緊急事態が発生した場合、例えば、急停車の際には、リトラクタ１６ によって、当該既存シートベルト１５の捲き出しを停止するので、子供乗員は既 存シートベルト１５によって適切な拘束力を受け、子供用安全シートから抜け落 ちることなく確実に保護される。

【００１４】 尚、既存シートベルト１５を取外すのは、既存シートベルト１５のパックル１ ５ａを連結金具１７より取外し、パックル１５ａとともに他方の挿入孔５及び一 方の挿入孔５より脱外すると、既存シートベルト１５の水平部位１５ａは自己捲 き戻し作用で、リトラクタ１６内に収容され、かつ子供乗員の肩部から腰部にか けて周接されていた既存シートベルト１５のが取り除かれる。よって、シート本 体１より子供乗員を降ろすことができる。

【００１５】 またシート本体１の上部１ｃが布製又は軟質プラスチック製等の柔軟質部材で 構成されているので、不要の場合は、図３に示す如く、ヘッドレストに装着した ままで、助手席の凭板１２の裏側に折曲げ状態に移動したり、又は回転して移動 することができ、大変に便利であることと、当該助手席及び後部シートを通常と 同様に使用でき大変に重宝する。尚、シート本体１は、前述の如くひも４をピン １４に捲装し、かつ図示の如く、紐により凭板１２に掛止する場合も有り得る。

【００１６】

【考案の効果】

以上のように、本考案の子供用安全シートは、車輛に既設の大人乗員用の既存 シートベルト、及び当該シートベルトの特性（例えば、緩衝効果、緊急時の安全 性の確保等）を利用して子供乗員の腰部及び肩部より腰部を、確実かつほぼ完全 に保護することができる。

【００１７】 殊に既存シートベルトを介して、かつ在来の使用方法とほぼ同様な態様を介し て、シート本体及び子供乗員を拘束及び安全確保を図る構成であるので、既存シ ートベルトの本来の目的達成による効果、又はほぼ１００％の安全確保が達成さ れること、並びに装着する子供の幾分の動きを与えること、等による効果が大い に期待できる。

【００１８】 またシート本体の少なくとも上部に柔軟性を備えた構成にし、ひも等を介して 装置する構成であるので、不使用時は、当該シート本体を助手席の裏側に移動が できる効果を介して助手席等の有効利用と、取付け及び取外しによる手間、面倒 等をなくし得る等の実用面での利点を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例の全体の斜視図である。

【図２】子供用安全シートの座席への装着を示す斜視図
である。

【図３】子供用安全シートの座席の正面側より裏面側に
移動した状態を示す斜視図である。

【符号の説明】

１ シート本体 １ａ 側面 １ｂ 側面 １ｃ 上部 ２ シート床 ３ 凭部 ４ ひも ５ 挿入孔 １１ 座板 １２ 凭板 １３ ヘッドレスト １４ ピン １５ 既存シートベルト １５ａ パックル １５ｂ 水平部位 １５ｃ 傾斜部位 １６ リトラクタ １７ 連結金具

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 座席のヘッドレストのピン又は貫通孔を
   利用して装着される布製、軟質プラスチック製又は一部
   の布製、軟質プラスチック製で構成してなり、その少な
   くとも上部に柔軟性を備えたシート本体、及びこのシー
   ト本体の両側面に設けた車輛の既存シートベルトが挿入
   される少なくともその一方が長孔状の挿入孔、並びに前
   記シート本体に設けた、かつ前記座席より遊離して架承
   されるシート床で構成され、前記シート床及びシート床
   に載架された子供乗員及びシート本体を、前記既存シー
   トベルトの拘束及び子供乗員の胸部への周接を介して、
   前記座席に安定保持する構成とした車輛装備の既存シー
   トベルトを利用する子供用安全シート。
2. 【請求項２】 請求項１の既存シートベルトは、リトラ
   クタより引き出された後、一方の側面の挿入孔の下方、
   及び他方の側面の挿入孔を順次通過して、子供乗員の腰
   部に周接される前記既存シートベルトの水平部位と、前
   記一方の側面の挿入孔の上方、及び他方の側面の挿入孔
   を通過して、子供乗員の肩部より腰部に周接される既存
   シートベルトの傾斜部位と、で構成されており、当該既
   存シートベルトのパックルを、車輛装置に装備された連
   結金具に緊締する構成とした請求項１の車輛装備の既存
   シートベルトを利用する子供用安全シート。