JPH0714400Y2 - 抄紙機のサクションボックス - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は抄紙機のサクションボックスに関するものであ
る。

［従来の技術］ 第４図は、長網式抄紙機の一般的な配置を示したもの
で、紙料を供給し得るヘッドボックス１の前方に、紙料
を脱水し紙層形成を行うワイヤパート２を設け、該ワイ
ヤパート２は、紙料を運ぶワイヤ３を、ブレストロール
４、サクションクーチロール５、ワイヤパート２駆動用
ワイヤドライブロール６、ワイヤロール７にエンドレス
状に巻き掛け、前記ブレストロール４、サクションクー
チロール５間のワイヤ３は、長く水平に延びている。

前記水平に延びるワイヤ３の下面に、ブレストロール４
からサクションクーチロール５に向け、順に地合構成を
行うフォーミングボード８、脱水用フォイルボックス
９、強制脱水用サクションボックス10を配置している。

なお、図中11はプレスパートのピックアップロールであ
る。

ワイヤドライブロール６を第４図の時計方向に回転駆動
させワイヤ３がブレストロール４からサクションクーチ
ロール５側に移動中に、ヘッドボックス１からワイヤ３
上に紙料を噴出させ紙料を脱水し紙層形成を行うが、紙
料がサクションクーチロール５側に進むに従い次第にろ
過量が少なくなるので、真空吸引力を利用したサクショ
ンボックス10により強制脱水を行っている。

従来のサクションボックス10の構造を第３図により説明
すると、平面が矩形を成しワイヤ３長手方向及び該方向
と水平に直交する方向に所定の長さを有する板状の目板
12を、その上面がワイヤ３に接し得る様水平に配置する
と共に、該目板12に、上下に貫通する複数（第３図では
７つ）の貫通孔13を穿設している。

又、前記目板12の下面外縁部に、サクションボックス本
体14の上部を形成し水平断面が前記目板12の外形とほぼ
同一形状の箱形を成し且つ上下方向に所定の長さを有す
る上部サクションボックス本体15の上端を固着し、該上
部サクションボックス本体15の下端に、内側に向け下方
に傾斜する中間サクションボックス本体16の上端を接続
し、該中間サクションボックス本体16の下端に、サクシ
ョンボックス本体14の下部を形成し水平断面が前記上部
サクションボックス本体15よりも小さな寸法で上下方向
に筒状に延び且つ最下部で側方にＬ形に突出して該突出
部上面に大気に開放された開口部17を有する下部サクシ
ョンボックス本体18の上端を接続している。

更に、前記上部サクションボックス本体15の側壁に、真
空ポンプ（図示せず）に接続可能な接続孔19を設けてい
る。

ワイヤ３上の紙料を強制脱水する場合、白水をサクショ
ンボックス本体14内に収容し、ワイヤ３上に紙料を載せ
た状態で真空ポンプ（図示せず）により接続孔19を介し
て上部サクションボックス本体15内を真空状態にする
と、上面サクションボックス本体15内の水面イと大気に
開放された開口部17の水面ロとの間に高さｈの水柱が生
じ、真空ポンプ（図示せず）の能力を一定とすることに
より水柱の高さ（図示せず）の能力を一定とすることに
より水柱の高さｈを常に一定に保持する。

この状態で、ワイヤ３上の紙料は、上面が大気圧を受け
下面が負圧になっているため真空吸引力により内部の水
分が吸引されて目板12の貫通孔13を通り上部サクション
ボックス本体15内の水面イ上に落下し、この水柱の高さ
ｈは常に一定に保持されているので落下した量の水分は
常時開口部17を通り外部にオーバーフローする。

［考案が解決しようとする課題］ 一般に、抄紙機の抄速、紙質等により上部サクションボ
ックス本体15内の真空度の調整を必要とする場合があ
り、例えば真空度が弱過ぎると、サクションクーチロー
ル５へ水を多く持ち越されるので紙切れの原因となり、
又、反対に真空度が強過ぎると、地合をくずし溝孔のマ
ークなどが出来て紙層をこわしたり、サクションボック
ス10との摩擦、サクションクーチロール５でのスリップ
によりワイヤ３の摩耗を早めたりする。

しかしながら、従来のサクションボックス10の場合、サ
クションボックス本体14が一体形であるため、開口部17
上面から目板12上面までの高さＨが固定化されており、
従って水柱の高さｈも固定化されることにより、上部サ
クションボックス本体15内、すなわちサクションボック
ス10内の真空度の調整が出来ず、真空度の調整が必要な
場合にはその都度高さＨの異なるサクションボックス10
を交換使用しており、そのための装置費及び作業費が増
大するという問題があった。

本考案は、上記実情に鑑み、高さを任意に調整し得る構
造として真空度を変えられる様にした抄紙機のサクショ
ンボックスを提供することを目的としてなしたものであ
る。

［考案を解決するための手段］ 本考案はサクションボックスを、水を真空吸引し得る上
部サクションボックス本体と底部よりも上方に開口部を
備え水を排出し得る下部サクションボックス本体とに上
下に分割して形成し、前記上部サクションボックス本体
と下部サクションボックス本体とを上下方向に伸縮自在
に結合すると共に、前記上部サクションボックス本体に
対して前記下部サクションボックス本体を上下方向に移
動し得る上下移動機構を設けたことを特徴とするもので
ある。

［作用］ 従って、サクションボックス内の真空度を調整する場
合、上下移動機構を介してサクションボックス本体に対
して下部サクションボックス本体を上下方向に移動する
ことにより、サクションボックスの高さ変更する。

［実施例］ 以下、図面に基づいて本考案の実施例を説明する。

第１図は本考案の一実施例であり、サクションボックス
10を、フレーム等（図示せず）に固定された上部サクシ
ョンボックス本体20と、下部サクションボックス本体21
とに分割する。上部サクションボックス本体20では、目
板12の下面外縁部に、水平断面が前記目板12の外形とほ
ぼ同一形状の箱形を成す上部サクションボックス本体部
22の上端を固着し、該上部サクションボックス本体部22
の下端に、内側に向け下方に傾斜する中間サクションボ
ックス本体部23の上端を接続し、該中間サクションボッ
クス本体部23の下端に、水平断面が前記上部サクション
ボックス本体部22よりも小さな寸法で上下方向に筒状に
延び且つ下端に外側へ水平に張り出したフランジ24を備
えた下部サクションボックス本体筒状部25の上端を接続
する。

前記下部サクションボックス本体21では、上下方向に筒
状に延び且つ前記下部サクションボックス本体筒状部25
内にアダプタ26、シールパッキン27、グランド28を介し
て摺動自在に嵌入し得る上部サクションボックス本体筒
状部29の下端に、筒状のまま側方にＬ形に突出して該突
出部上面に大気に開放された開口部30を有する側方サク
ションボックス本体部31の側端を接続する。

前記下部サクションボックス本体筒状部25のフランジ24
下面に、前記上部サクションボックス本体筒状部29の外
周に固着された環状板32の孔に遊貫して下方に垂直に延
びるねじ棒33の上端を固定し、該ねじ棒33のおねじ部
に、手動又は動力で回転し得るウオーム34と噛合するウ
オームホイール35の中央めねじ部を螺合させると共に、
該ウオームホイール35を、前記環状板32の下面に固定さ
れた軸受箱36内に回転可能に保持し、前記ねじ棒33、ウ
オーム34、ウオームホイール35、軸受箱36により上下移
動機構37を形成する。

なお、図中38は防塵用蛇腹、39は取付ねじである。

ワイヤ３上の紙料を強制脱水する際に抄紙機の抄速、紙
質等により上部サクションボックス本体部22の真空度を
調整する場合、手動又は動力によりウオーム34を回転さ
せると、ウオームホイール35も回転するが、該ウオーム
ホイール35の中央めねじ部が固定された状態のねじ棒33
のおねじ部に螺合していることにより、ウオームホイー
ル35自体がねじ棒33の軸線方向に沿い移動し、それに伴
い軸受箱36、環状板32を介して下部サクションボックス
本体21が、上部サクションボックス本体20に対して上下
動する。

これにより、上部サクションボックス本体部22内の水面
イと開口部30水面ロとの間の水柱高さｈ、従ってサクシ
ョンボックス10の高さＨを調整することが可能となり、
サクションボックス10の上部サクションボックス本体20
を定置したまま真空度を容易に調整することが出来る。

第２図は本考案の他の実施例であり、上部サクションボ
ックス本体20の下端フランジ40下面と下部サクションボ
ックス本体21の上端フランジ41上面との間に伸縮自在な
蛇腹42を取り付け、前記フランジ40,41に第１図と同様
の上下移動機構37を取り付けたものである。

上下移動機構37の第１図と同様の作動により、下部サク
ションボックス本体21は上部サクションボックス本体20
に対して蛇腹42を介して上下動し、これにより該実施例
でも上記実施例と同様に、サクションボックス10の高さ
Ｈを調整することにより真空度を容易に調整することが
出来る。

第１図及び第２図の実施例中、第３図及び第４図と同一
の符号を付した部分は同一物を表わしている。

なお、本考案は、上述の実施例にのみ限定されるもので
はなく、本考案の要旨を逸脱しない範囲内において種々
変更を加え得ることは勿論である。

［考案の効果］ 以上説明した様に本考案によれば、サクションボックス
の高さを調整することによりサクションボックス内の真
空度を容易に調整することが可能となるので、高さの異
なるサクションボックスを準備し交換使用することが無
くなり、装置費及び作業費を低減させる等の優れた効果
を奏し得る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の一部断面で示した側面図、
第２図は本考案の他の実施例の一部断面で示した側面
図、第３図は従来のサクションボックスを断面で示した
側面図、第４図は長網式抄紙機のヘッドボックス及びワ
イヤパートの一般配置図である。 図中10はサクションボックス、20は上部サクションボッ
クス本体、21は下部サクションボックス本体、30は開口
部、37は上下移動機構である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】サクションボックスを、水を真空吸引し得
   る上部サクションボックス本体と底部よりも上方に開口
   部を備え水を排出し得る下部サクションボックス本体と
   に上下に分割して形成し、前記上部サクションボックス
   本体と下部サクションボックス本体とを上下方向に伸縮
   自在に結合すると共に、前記上部サクションボックス本
   体に対して前記下部サクションボックス本体を上下方向
   に移動し得る上下移動機構を設けたことを特徴とする抄
   紙機のサクションボックス。