JPH0713915Y2 - 自動溶接スラグ取り装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、管，円筒，丸棒等丸材の突合わせ周継手，隅
肉周継手等周継手の自動溶接スラグ取り装置に関する。

〔従来の技術〕

従来、管，円筒，丸棒等丸材の突合わせ周継手，隅肉周
継手等周継手を自動溶接するにあたり、丸材の他の部分
がベンド部を有したり又は付属物を有する等複雑な形状
をしている場合は、ワークを中心に固定してトーチがそ
の周りを旋回する方式がとられており、例えばベンド部
を有するパイプの先端にブロックを隅肉周継手溶接する
自動溶接装置を示すと、第４図部分縦断正面図の通りで
ある。

すなわち、第４図において、隅肉周継手溶接されるパイ
プ１とブロック２とは、パイプ１を垂直にして継手部が
仮溶接され、締金３がブロック２をクランプし、締金３
を受けるバイス４は鉛直に固定された主柱５の上端にボ
ルト締めされている。

上下の軸受6,6は回転テーブル７に圧入され、主柱５を
中心に回転テーブル７が回るようになっており、回転テ
ーブル７の摺動面に設けられたエア入口8,エア入口9,シ
ールガス入口10及び溶接電源取入口11は、主柱５の下部
より回転テーブル７へそれぞれの気体及び電力を供給す
る。また大歯車12が回転テーブル７に固着され、小歯車
13とかみ合って減速モーター14の回転で回転テーブル７
を回す。

スイング用エアシリンダー15は回転テーブル７にピン結
合されそのロッドはスイングアーム16にピン結合されて
おり、スイングアーム16上のガイドバー17にトーチサポ
ート18が前後摺動可能に載架され、また接近シリンダー
19はスイングアーム16にボルト止めされそのロッドをト
ーチサポート18にピン結合しており、接近シリンダー19
を操作する４方弁20の切換信号はエアスイッチ21のオ
ン，オフによる。

引張ばね22はスイングアーム16とストッパー23の間に張
られ、またワイヤリール24からの溶接ワイヤはワイヤ供
給装置25からコンジット26を通り、トーチサポート18上
のトーチ27へ導かれる。更に原点検出スイッチ28が主柱
５に取付けられ、それを押すスイッチカム29が大歯車12
の下面に取付けられている。なおエア入口8,9からエア
シリンダー15,4方弁20にそれぞれエア配管30が接続され
ている。

このような装置において、作業者が仮溶接されたパイプ
１とブロック２を締金３で締付け、図示せざる起動押ボ
タンスイッチをオンすると、これまでエア入口８から供
給されていた空圧が０kg/cm²になり、引張ばね22の作用
によりスイングアーム16が支点16aを中心に時計方向に
回動して前進する。

ストッパー23へエアスイッチ21が当たると、エア入口９
からの空圧により４方弁20が作動し、トーチサポート18
が矢印Ａ方向へ前進しトーチ27が溶接可能位置になり、
ワイヤ供給装置25の作動開始と同時に、減速モーター14
が回転して回転テーブル７が回転し、これによりパイプ
１の隅肉周継手の溶接が進行する。

１層溶接のときは、回転テーブル７が１回転してスイッ
チカム29が原点検出スイッチ28をオンして、減速モータ
ー14とワイヤ供給装置25を停止させ溶接完了する。また
コントローラーの指令により多数回溶接することもでき
る。この後エア入口８に空圧がかかり、スイングアーム
16は後退してエアスイッチ21がオフになり、トーチサポ
ート18も後退して自動の動作は終了する。

次に、溶接個所に発生したスパッターとスラグ取りをす
るのは作業者の手作業によることになり、作業者は、手
にジェットたがねを持ち溶接個所へその針先を当て、ブ
ロック２の周りを回りながらスラグ取りをする。

しかしながらこのような装置には、次のような問題点が
ある。

（１）溶接完了後、作業者が手にジェットたがねを持
ち、スラグ取りをするため作業時間が長い。

（２）ジェットたがねを手で持つため、手にその振動が
伝わり安全衛生上良くない。

（３）ジェットたがね制御用エア源を従来の装置の主柱
に組込むとすると、エア配管本数が増え、構造が複雑に
なるとともに装置価格が高くなる欠点がある。

〔考案が解決しようとする課題〕

本考案は、このような事情に鑑みて提案されたもので、
丸材周継手自動溶接後のスラグ取りを自動的に連続して
行うことができ、作業時間の短縮と安全衛生面の向上が
達成され、更にジェットたがねの制御機構が簡便で設備
費用が廉価となる自動溶接スラグ取り装置を提供するこ
とを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

そのために本考案は、周継手溶接される丸材を鉛直に固
定した主柱の周りを、エアシリンダーにより位置調整可
能にトーチを搭載した回転テーブルを回転させて、上記
周継手を自動溶接する装置において、上記回転テーブル
上に上記周継手に向け布設されたガイドバー上を摺動す
るスライドと、上記スライドに水平軸周り回動可能に枢
着されたジェットたがねと、上記スライドを摺動させる
エアシリンダー，上記ジェットたがねを回動させるエア
シリンダー及び両エアシリンダーに上記トーチ位置調整
エア系統からエアを導くエア配管と、上記回転テーブル
の外側にある安全柵に設置され同回転テーブルの回転に
応じ上記エア配管の開閉を司掌する制御手段とを具えた
ことを特徴とする。

〔作用〕

本考案自動溶接スラグ取り装置においては、回転テーブ
ル上のトーチにより丸材の周継手溶接が終了し、安全柵
側の制御手段を操作してスライド摺動用エアシリンダー
及びジェットたがね回動用エアシリンダーへのエア配管
を開くと、スライドの前進及びジェットたがねの回動に
よりジェットたがねが周継手溶接部へ正しく対向し、回
転テーブルの回転によりジェットたがねによる自動スラ
グ取りが行われる。従ってこの装置によれば、溶接を行
う回転テーブル上に摺動可能なスライドとその上の回動
可能なジェットたがねを設置しただけの簡単な装置によ
り、自動的にスラグ取りが連続して行われ、さほどの設
備費を要しない上に大巾に作業時間が短縮できる。

〔実施例〕

本考案自動溶接スラグ取り装置の一実施例を図面につい
て説明すると、第１図は部分縦断正面図、第２図は第１
図のII矢視によるエア手動弁作動の説明図、第３図は第
１図のIII矢視によるエア手動弁作動の説明図である。

第１図において、第４図と同一の符号１〜30は同図と同
一の部材を表わし、説明は省略する。回転テーブル７の
トーチサポート18が載置されている部分の反対側の上面
に、輻線方向に向いたガイドバー31が布設され、その上
にスライド32が載架されてその後端がガイドバー31上に
固定の前後シリンダー33のロッドに連結されており、こ
のスライド32の上部にジェットたがね34が水平軸周りに
回動可能に枢着されるとともに、その後端がスライド32
上に固定の上下シリンダー35のロッドに連結されてい
る。

また上記前後シリンダー33には回転テーブル７の外周に
配置されたハンドル36付きエア手動弁37が付設され、上
下シリンダー35には４方弁38が付設され、これら両弁3
7,38には、トーチサポート18側の４方弁20にエアを送る
エア入口９からエア配管39が接続されており、更にこの
エア配管39はスライド32前部に設置のエアスイッチ40に
も接続されるとともに、このエアスイッチ40の出力側は
ジェットたがね34と４方弁38に連結されている。

更に回転テーブル７の周りを囲繞して設置されている安
全柵41の上端の取付板42に、切換シリンダー43がハンド
ル36に向けて設置されるとともに、そのロッド先端に平
板ばね44が取付けられており、この切換シリンダー43の
エア配管45に付設のエア電磁弁46が安全柵41の下部に取
付けられている。

このような装置において、スラグ取り動作を説明する
と、原点検出スイッチ28がオンされ溶接が完了すると、
回転テーブル７は停止する。そのときハンドル36は第３
図のオフ状態にある。エア電磁弁46がオンされると、切
換シリンダー43が作動し平板ばね44は仮想線の位置へ前
進する。

次いで回転テーブル７が回転開始し、第２図の取付角θ
だけ進むとハンドル36の頭部が平板ばね44に当たり、第
３図のオン状態に切換えられる。するとエア手動弁37の
切換えにより、前後シリンダー33がスライド32をエアス
イッチ40の方向へ前進させ、エアスイッチ40をオンし、
それに応じジェットたがね34と上下シリンダー35が作動
する。この際上下シリンダー35によりジェットたがね34
は水平軸周りに回動しその先端針部をブロック２の上面
に当てずに前進し、第１図の仮想線で示すように、パイ
プ１とブロック２に均一に当たる位置にセットされる。
この状態で回転テーブル７が回転を続けてジェットたが
ね34によりスラグ取りが行われ、原点検出スイッチ28を
通過後、更に図示せざるコントローラーのタイマー時間
により平板ばね44の出ている位置を通過する角度まで
（第２図の角度TR）回転して停止する。その後回転テー
ブル７はその位置から逆転して、再び原点検出スイッチ
28位置まで戻り停止する。

その逆転途中でハンドル36は平板ばね44に当たり、エア
手動弁37はオフ状態になり、これにより前後シリンダー
33は後退し、また上下シリンダー35は下位置になるとと
もにジェットたがね34も停止し、溶接開始前と同じ状態
になる。このときエア電磁弁46は切換わり、平板ばね44
は実線の位置に戻っている。

なお以上はワークの周りを１回だけジェットたがね34を
回しスラグ取りをする動作の説明であるが、図示せざる
コントローラーのセレクトスイッチ指示で多数回ジェッ
トたがね34を回することも可能である。

かくしてこの装置によれば、溶接に用いた回転テーブル
７を溶接後回転して、そこに設けたジェットたがね34に
よりスラグ取りを行うことにより、自動的にスラグ取り
が連続して行え、作業者の作業時間が短縮される。また
ジェットたがね34を手で持つ必要がなく、作業者の疲労
軽減になるとともに白ろう病などの心配がなくなる。更
にジェットたがね34の制御を安全柵41に取付けた切換シ
リンダー43と回転テーブル７上のシリンダー33,35の動
作だけで簡単に行える装置であり、設備費用が安価であ
る。

〔考案の効果〕

要するに本考案によれば、周継手溶接される丸材を鉛直
に固定した主柱の周りを、エアシリンダーにより位置調
整可能にトーチを搭載した回転テーブルを回転させて、
上記周継手を自動溶接する装置において、上記回転テー
ブル上に上記周継手に向け布設されたガイドバー上を摺
動するスライドと、上記スライドに水平軸周り回動可能
に枢着されたジェットたがねと、上記スライドを摺動さ
せるエアシリンダー，上記ジェットたがねを回動させる
エアシリンダー及び両エアシリンダーに上記トーチ位置
調整エア系統からエアを導くエア配管と、上記回転テー
ブルの外側にある安全柵に設置され同回転テーブルの回
転に応じ上記エア配管の開閉を司掌する制御手段とを具
えたことにより、丸材周継手自動溶接後のスラグ取りを
自動的に連続して行うことができ、作業時間の短縮と安
全衛生面の向上が達成され、更にジェットたがねの制御
機構が簡便で設備費用が廉価となる自動溶接スラグ取り
装置を得るから、本考案は産業上極めて有益なものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案自動溶接スラグ取り装置の一実施例の部
分縦断正面図、第２図は第１図のII矢視によるエア手動
弁作動の説明図、第３図は第１図のIII矢視によるエア
手動弁作動の説明図である。 第４図は従来の丸材の自動溶接装置の部分縦断正面図で
ある。 １……パイプ、２……ブロック、３……締金、４……バ
イス、５……主柱、６……軸受、７……回転テーブル、
８……エア入口、９……エア入口、10……シールドガス
入口、11……溶接電源取入口、12……大歯車、13……小
歯車、14……減速モーター、15……スイング用エアシリ
ンダー、16……スイングアーム、17……ガイドバー、18
……トーチサポート、19……接近シリンダー、20……４
方弁、21……エアスイッチ、22……引張ばね、23……ス
トッパー、24……ワイヤリール、25……ワイヤ供給装
置、26……コンジット、27……トーチ、28……原点検出
スイッチ、29……スイッチカム、30……エア配管、31…
…ガイドバー、32……スライド、33……前後シリンダ
ー、34……ジェットたがね、35……上下シリンダー、36
……ハンドル、37……エア手動弁、38……４方弁、39…
…エア配管、40……エアスイッチ、41……安全柵、42…
…取付板、43……切換シリンダー、44……平板ばね、45
……エア配管、46……エア電磁弁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】周継手溶接される丸材を鉛直に固定した主
   柱の周りを、エアシリンダーにより位置調整可能にトー
   チを搭載した回転テーブルを回転させて、上記周継手を
   自動溶接する装置において、上記回転テーブル上に上記
   周継手に向け布設されたガイドバー上を摺動するスライ
   ドと、上記スライドに水平軸周り回動可能に枢着された
   ジェットたがねと、上記スライドを摺動させるエアシリ
   ンダー，上記ジェットたがねを回動させるエアシリンダ
   ー及び両エアシリンダーに上記トーチ位置調整エア系統
   からエアを導くエア配管と、上記回転テーブルの外側に
   ある安全柵に設置され同回転テーブルの回転に応じ上記
   エア配管の開閉を司掌する制御手段とを具えたことを特
   徴とする自動溶接スラグ取り装置。