JPH0712469B2 - 成層海域の処理方法 - Google Patents
成層海域の処理方法Info
- Publication number
- JPH0712469B2 JPH0712469B2 JP3127017A JP12701791A JPH0712469B2 JP H0712469 B2 JPH0712469 B2 JP H0712469B2 JP 3127017 A JP3127017 A JP 3127017A JP 12701791 A JP12701791 A JP 12701791A JP H0712469 B2 JPH0712469 B2 JP H0712469B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- seawater
- stratified
- sea area
- tide
- tidal
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
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- Other Liquid Machine Or Engine Such As Wave Power Use (AREA)
- Farming Of Fish And Shellfish (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、潮汐を利用した成層海
域の処理方法及び該方法を利用した成層海域下層の貧酸
素化防止方法に関するものである。
域の処理方法及び該方法を利用した成層海域下層の貧酸
素化防止方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】成層海域の下層海水は、特に夏季に貧酸
素化し、生物が棲息しえない非常に悪質な水質状態とな
る。この環境汚染現象は大きな公害問題となっており、
貧酸素化防止に有効な方法が強く要望されている。
素化し、生物が棲息しえない非常に悪質な水質状態とな
る。この環境汚染現象は大きな公害問題となっており、
貧酸素化防止に有効な方法が強く要望されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、貧酸素化の
原因は、停滞性海域が成層状態すなわち上層海水と下層
海水が層を成して存在する状態になり、上下の混合が妨
げられ、上層により豊富に含まれる酸素が、下層に届か
なくなることにある。したがって、貧酸素化を防止する
には、成層を破壊するかあるいは抑制する方法、あるい
は上層の豊富な酸素を下層に供給する方法等が考えられ
る。例えばこれまでに空気を貧酸素水中に送り込むエア
レーション法などが提案されてきた。しかしながら、こ
の方法では、人為的なエネルギーを投入する必要がある
ため、貯水池などの小規模な水域では効果があるが、広
大な海域では実用化できなかった。
原因は、停滞性海域が成層状態すなわち上層海水と下層
海水が層を成して存在する状態になり、上下の混合が妨
げられ、上層により豊富に含まれる酸素が、下層に届か
なくなることにある。したがって、貧酸素化を防止する
には、成層を破壊するかあるいは抑制する方法、あるい
は上層の豊富な酸素を下層に供給する方法等が考えられ
る。例えばこれまでに空気を貧酸素水中に送り込むエア
レーション法などが提案されてきた。しかしながら、こ
の方法では、人為的なエネルギーを投入する必要がある
ため、貯水池などの小規模な水域では効果があるが、広
大な海域では実用化できなかった。
【0004】本発明は、このような従来の貧酸素化の防
止方法のもつ欠点を克服し、簡単で効率的に成層海域の
成層を破壊あるいは抑制し、あるいは成層海域の貧酸素
化を工業的に防止しうる方法を提供することを目的とし
てなされたものである。
止方法のもつ欠点を克服し、簡単で効率的に成層海域の
成層を破壊あるいは抑制し、あるいは成層海域の貧酸素
化を工業的に防止しうる方法を提供することを目的とし
てなされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記の好ま
しい特徴を有する成層海域の工業的な成層処理方法ある
いは貧酸素化防止方法を開発するために種々研究を重ね
た結果、自然エネルギーである潮汐の位置エネルギーを
利用して、成層海域の上層海水を下層海水に放流するこ
とにより、その目的を達成しうることを見出し、この知
見に基づいて本発明を完成するに至った。
しい特徴を有する成層海域の工業的な成層処理方法ある
いは貧酸素化防止方法を開発するために種々研究を重ね
た結果、自然エネルギーである潮汐の位置エネルギーを
利用して、成層海域の上層海水を下層海水に放流するこ
とにより、その目的を達成しうることを見出し、この知
見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明は、満潮時に成層海域の
上層海水を所定の潮汐池内に取水して貯溜し、満潮時か
ら干潮時の間、潮汐池内の海水を貯溜状態にセットし、
潮汐池に貯溜された海水を干潮時に下層海水中へ放流す
ることにより、成層海域の成層を破壊あるいは抑制する
か、あるいは酸素をより豊富に含んだ上層海水を、貧酸
素状態の下層海水中に混合させることを特徴とする成層
海域の処理方法あるいは成層海域下層の貧酸素化防止方
法を提供するものである。
上層海水を所定の潮汐池内に取水して貯溜し、満潮時か
ら干潮時の間、潮汐池内の海水を貯溜状態にセットし、
潮汐池に貯溜された海水を干潮時に下層海水中へ放流す
ることにより、成層海域の成層を破壊あるいは抑制する
か、あるいは酸素をより豊富に含んだ上層海水を、貧酸
素状態の下層海水中に混合させることを特徴とする成層
海域の処理方法あるいは成層海域下層の貧酸素化防止方
法を提供するものである。
【0007】本発明方法は、潮汐による位置エネルギー
を利用し、満潮時に前記上層海水を潮汐池内に取水貯溜
し、満潮時から干潮時の間、潮汐池内の海水を貯溜状態
にセットし貯溜したままとし、干潮時に潮汐池に貯溜さ
れた海水を下層海水中へ放流するものであり、特に有利
には、成層海域に面して水門を設けた堤防で囲まれた小
水域に形成されて成る潮汐池内に、満潮時に成層海域の
上層海水を水門を開けて取水して貯溜し、満潮時から干
潮時の間、水門及び潮汐池の海水を成層海域の下層中に
放流するための放水口をそれぞれ閉じたままとし、干潮
時に潮汐池に貯溜された海水を水門は閉じたまま前記放
水口を開けて放流するのが好ましい。水門としては、例
えば開閉自在の取水口を有するものなどが用いられる。
を利用し、満潮時に前記上層海水を潮汐池内に取水貯溜
し、満潮時から干潮時の間、潮汐池内の海水を貯溜状態
にセットし貯溜したままとし、干潮時に潮汐池に貯溜さ
れた海水を下層海水中へ放流するものであり、特に有利
には、成層海域に面して水門を設けた堤防で囲まれた小
水域に形成されて成る潮汐池内に、満潮時に成層海域の
上層海水を水門を開けて取水して貯溜し、満潮時から干
潮時の間、水門及び潮汐池の海水を成層海域の下層中に
放流するための放水口をそれぞれ閉じたままとし、干潮
時に潮汐池に貯溜された海水を水門は閉じたまま前記放
水口を開けて放流するのが好ましい。水門としては、例
えば開閉自在の取水口を有するものなどが用いられる。
【0008】このようにして、成層海域の成層が破壊あ
るいは抑制されるか、あるいは酸素をより豊富に含んだ
上層海水が貧酸素状態の下層海水中に混合される。
るいは抑制されるか、あるいは酸素をより豊富に含んだ
上層海水が貧酸素状態の下層海水中に混合される。
【0009】本発明方法を図面により説明すると、図1
は潮汐を利用した装置の一例の斜視説明図であって、潮
汐池1は、成層海域に面して堤防で囲まれた小水域に形
成され、成層海域側の堤防には水門2が設けられてい
る。
は潮汐を利用した装置の一例の斜視説明図であって、潮
汐池1は、成層海域に面して堤防で囲まれた小水域に形
成され、成層海域側の堤防には水門2が設けられてい
る。
【0010】潮汐によって成層海域の水位は上下するの
で、満潮時は、成層海域の上層海水を取水し、潮汐池1
に貯溜する。図2は海水貯溜時の図1の装置の操作の説
明図であって、この貯溜時には水門2に設けた成層海域
の上層海水の任意の水深から取水しうる取水口3を開放
し、潮汐池の海水を、成層海域の下層中に放流するため
の放水口4を閉鎖する。潮汐池に所定水位の海水を貯溜
させた後、満潮時から干潮時の間、放水口4とともに取
水口3も閉鎖する。
で、満潮時は、成層海域の上層海水を取水し、潮汐池1
に貯溜する。図2は海水貯溜時の図1の装置の操作の説
明図であって、この貯溜時には水門2に設けた成層海域
の上層海水の任意の水深から取水しうる取水口3を開放
し、潮汐池の海水を、成層海域の下層中に放流するため
の放水口4を閉鎖する。潮汐池に所定水位の海水を貯溜
させた後、満潮時から干潮時の間、放水口4とともに取
水口3も閉鎖する。
【0011】次いで、成層海域の干潮時に潮汐池1に貯
溜された海水を放流する。図3は海水放流時の図1の装
置の操作の説明図であって、放水口4を開放することに
より、潮汐池1に貯溜されていた海水(上層海水)は、
潮差(満潮水位と干潮水位の差)で生じる圧力によっ
て、放水口に連結された放水管5より下層海水中に放出
される。放出された海水は、下層海水中に混合される。
溜された海水を放流する。図3は海水放流時の図1の装
置の操作の説明図であって、放水口4を開放することに
より、潮汐池1に貯溜されていた海水(上層海水)は、
潮差(満潮水位と干潮水位の差)で生じる圧力によっ
て、放水口に連結された放水管5より下層海水中に放出
される。放出された海水は、下層海水中に混合される。
【0012】このような一連の操作を潮汐に合わせて繰
り返し行うと、成層海域の酸素を豊富に含んだ軽い上層
海水が、酸素の乏しい重い下層海水中に送り込まれて下
層海水の密度は低下し、上層海水の密度に近づき、成層
化は抑制される。この成層化の抑制により、上層海水と
下層海水間の混合が促進され、下層海水への酸素供給が
自然に増大することになる。また、上層海水が含んでい
た酸素が下層海水中に供給され、その結果下層海水の貧
酸素化が緩和される。
り返し行うと、成層海域の酸素を豊富に含んだ軽い上層
海水が、酸素の乏しい重い下層海水中に送り込まれて下
層海水の密度は低下し、上層海水の密度に近づき、成層
化は抑制される。この成層化の抑制により、上層海水と
下層海水間の混合が促進され、下層海水への酸素供給が
自然に増大することになる。また、上層海水が含んでい
た酸素が下層海水中に供給され、その結果下層海水の貧
酸素化が緩和される。
【0013】
【実施例】広島湾内のある成層海域において、上層海水
及び下層海水の層厚はそれぞれ5m、両者の密度差は2
kg/m3であった。この成層を完全に破壊するには2
45J/m2のエネルギーを要する。一方、潮汐の満
潮、干潮は1日2回あり(潮汐周期は約12時間)、広
島湾の平均的な潮差は2mであり、落差2mのもつ位置
エネルギーは19600J/m2である。このエネルギ
ーを用い、前記した図1のようにして成層海域の下層海
水中へ潮汐池に貯溜された一部の上層海水を放流する操
作を繰り返し行うことにより、潮汐池の面積よりもはる
かに広い面積の成層海域の成層を破壊あるいは抑制する
ことができる。
及び下層海水の層厚はそれぞれ5m、両者の密度差は2
kg/m3であった。この成層を完全に破壊するには2
45J/m2のエネルギーを要する。一方、潮汐の満
潮、干潮は1日2回あり(潮汐周期は約12時間)、広
島湾の平均的な潮差は2mであり、落差2mのもつ位置
エネルギーは19600J/m2である。このエネルギ
ーを用い、前記した図1のようにして成層海域の下層海
水中へ潮汐池に貯溜された一部の上層海水を放流する操
作を繰り返し行うことにより、潮汐池の面積よりもはる
かに広い面積の成層海域の成層を破壊あるいは抑制する
ことができる。
【0014】
【発明の効果】本発明方法によれば、成層破壊のための
エネルギー源として潮汐の自然エネルギーを利用してい
るので、その実施に必要な人工のエネルギーは、水門及
び放水口の開閉操作に必要な小さなエネルギーだけで足
りる上に、潮汐による水位の上昇・下降は高い精度で予
測しうるので、水門の操作は容易に自動化することがで
きるという顕著な効果を奏する。
エネルギー源として潮汐の自然エネルギーを利用してい
るので、その実施に必要な人工のエネルギーは、水門及
び放水口の開閉操作に必要な小さなエネルギーだけで足
りる上に、潮汐による水位の上昇・下降は高い精度で予
測しうるので、水門の操作は容易に自動化することがで
きるという顕著な効果を奏する。
【0015】
【図1】 潮汐を利用した装置の一例の斜視説明図
【図2】 海水貯溜時の図1の装置の操作の説明図
【図3】 海水放流時の図1の装置の操作の説明図
【符号の説明】 1 潮汐池 2 水門 3 取水口 4 放水口 5 放水管
Claims (3)
- 【請求項1】 満潮時に成層海域の上層海水を所定の潮
汐池内に取水して貯溜し、満潮時から干潮時の間、潮汐
池内の海水を貯溜状態にセットし、潮汐池に貯溜された
海水を干潮時に下層海水中ヘ放流することにより、成層
海域の成層を破壊あるいは抑制することを特徴とする成
層海域の処理方法。 - 【請求項2】 酸素をより豊富に含んだ上層海水を、貧
酸素状態の下層海水中に混合させ、成層海域下層の貧酸
素化を防止する請求項1記載の処理方法。 - 【請求項3】 成層海域に面して水門を設けた堤防で囲
まれた小水域に形成されて成る潮汐池内に、満潮時に成
層海域の上層海水を水門を開けて取水して貯溜し、満潮
時から干潮時の間、水門及び潮汐池の海水を成層海域の
下層中に放流するための放水口をそれぞれ閉じたままと
し、干潮時に潮汐池に貯溜された海水を水門は閉じたま
ま前記放水口を開けて放流する請求項1又は2記載の方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3127017A JPH0712469B2 (ja) | 1991-03-12 | 1991-03-12 | 成層海域の処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3127017A JPH0712469B2 (ja) | 1991-03-12 | 1991-03-12 | 成層海域の処理方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06292882A JPH06292882A (ja) | 1994-10-21 |
JPH0712469B2 true JPH0712469B2 (ja) | 1995-02-15 |
Family
ID=14949632
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3127017A Expired - Lifetime JPH0712469B2 (ja) | 1991-03-12 | 1991-03-12 | 成層海域の処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0712469B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2655391B2 (ja) * | 1994-01-18 | 1997-09-17 | 晴保 木村 | 潮汐ダム及び潮汐ダムによる内湾海水の貧酸素化防止方法 |
KR100521900B1 (ko) * | 2002-06-21 | 2005-10-14 | 주식회사 혜인이엔씨 | 조위차를 이용한 해안가의 수영장 급배수 시설 |
KR20090050333A (ko) * | 2007-11-15 | 2009-05-20 | (주)에코션 | 해안의 해수면 변화를 이용한 레저시설 |
-
1991
- 1991-03-12 JP JP3127017A patent/JPH0712469B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06292882A (ja) | 1994-10-21 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
EXPY | Cancellation because of completion of term |