JPH07122722B2 - 前方誘導ラマンパルス幅圧縮器 - Google Patents

前方誘導ラマンパルス幅圧縮器

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JPH07122722B2
JPH07122722B2 JP8557893A JP8557893A JPH07122722B2 JP H07122722 B2 JPH07122722 B2 JP H07122722B2 JP 8557893 A JP8557893 A JP 8557893A JP 8557893 A JP8557893 A JP 8557893A JP H07122722 B2 JPH07122722 B2 JP H07122722B2
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裕治 松本
芳郎 大和田野
功 奥田
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工業技術院長
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高効率でレーザ光のパ
ルス幅を圧縮し、ピークパワーの増倍を行う前方誘導ラ
マンパルス幅圧縮器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図3は、従来の前方誘導ラマンパルス幅
圧縮器の一例を示す概略構成図である。この図におい
て、1は前方誘導ラマンパルス増幅器の主体をなすラマ
ン媒質が収容されたラマン媒質容器、2は波長選択性の
ある反射鏡で、励起光Leを反射し、被増幅1次ストー
クス光Lsaを透過する。ラマン媒質容器1に励起光L
eと被増幅1次ストークス光Lsaとを窓1aから同方
向に入射し、励起光Leから1次ストークス光Lsbに
ラマン変換し、窓1bから出射している。このように励
起光Leと被増幅1次ストークス光Lsaとが同方向の
ものを前方誘導ラマン増幅法といい、互いに反対方向の
ものを後方誘導ラマン増幅法と称する。被増幅1次スト
ークス光Lsaのパルス幅を励起光Leのパルス幅より
短くすることによって、励起光Leのピークパワーより
短いパルス幅の1次ストークス光Lsbを得ている。な
お、被増幅1次ストークス光Lsaを得るには、別に設
けたラマン媒質容器に励起光を入射して1次ストークス
光Lsaを発生させて用いるが、これは周知のことであ
るので、説明は省略する。そして、ラマンパルス幅圧縮
器は、ラマン媒質の分子振動を介して励起光を1次スト
ークス光に変換する誘導ラマン増幅器の1つである。理
想的には励起光のエネルギーがストークス光のエネルギ
ーにラマン媒質の分子振動のエネルギーを除いて変換さ
れるので、パルス幅の長い励起光のエネルギーがパルス
幅の短いストークス光のパルス幅の中に圧縮できると言
う意味でラマンパルス幅圧縮器と言われる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、図3に示した
従来の前方誘導ラマンパルス幅圧縮器では、励起光Le
から1次ストークス光Lsbへのラマン変換は、励起光
Leのパルスと被増幅1次ストークス光Lsaのパルス
の重なった部分しか行われないので、励起光エネルギー
から1次ストークス光エネルギーへの変換効率が小さ
く、出力である1次ストークス光Lsbのピークパワー
は励起光Leのピークパワーを越えることができないと
いう問題点があった。
【0004】本発明は、上記の問題点を解決するために
なされたもので、高いエネルギー変換効率で、ピークパ
ワーが高くパルス幅の短い1次ストークス光を得ること
を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる前方誘導
ラマンパルス幅圧縮器は、被増幅1次ストークス光と励
起光とをラマン媒質中に入射して1次ストークス光へ変
換する前方誘導ラマンパルス増幅器と、この前方誘導ラ
マンパルス増幅器から出射する前記励起光を反射して前
記ラマン媒質中に多重回再入射させ、前記1次ストーク
ス光は透過させる励起光反射鏡と、前記1次ストークス
光のみを繰り返し反射して前記ラマン媒質中に多重回再
入射させ、しかも1次ストークス光を励起光に対し1次
ストークス光のパルス幅以上時間的に毎回遅延させてラ
マン媒質中に繰り返し入射させる1次ストークス光反射
鏡とを具備したものである。
【0006】
【作用】本発明においては、励起光は波長選択性のある
励起光反射鏡によって繰り返しラマン媒質容器内に入射
することによって多重光路を伝搬している。ラマン媒質
容器から出射した1次ストークス光も1次ストークス光
反射鏡によって励起光と同じ多重光路を伝搬している。
ラマン媒質中の多重光路の最初の光路、第2番目の光路
と進んでいくに従い、励起光の最初の1次ストークス光
パルス幅に対応した部分、次の1次ストークス光パルス
幅に対応した部分と順次励起光は1次ストークス光へラ
マン変換される。1次ストークス光のピークパワーは、
励起光のそれを越え逐次増倍されていく。
【0007】
【実施例】図1は本発明の実施例を示す概略図である。
この図において、11は前方誘導ラマンパルス増幅器の
主体をなす多重光路を有するラマン媒質容器、12は前
記励起光Leを反射し、被増幅1次ストークス光Lsa
および1次ストークス光Lsbを透過する誘電体多層膜
の波長選択性を有する励起光反射鏡、13は前記1次ス
トークス光Lsbを反射し、2次ストークス光(図示せ
ず)を反射しない誘電体多層膜の1次ストークス光反射
鏡である。
【0008】図2(a)〜図2(c)は励起光Leと被
増幅1次ストークス光Lsaと1次ストークス光Lsb
との時間的同期関係を示す図で、ラマン媒質中での多重
光路の各光路での状態を示す。
【0009】次に、動作について説明する。図2(a)
のように、励起光Leおよび被増幅1次ストークス光L
saは窓11aより入射し、被増幅1次ストークス光L
saと重なった部分の励起光Leを1次ストークス光L
sbとしてラマン変換した後、励起光Leと1次ストー
クス光Lsbとは窓1bより出射する。次いで、図2
(b)のように、1次ストークス光Lsbを1次ストー
クス光Lsbのパルス幅以上に励起光Leより時間的に
遅延させてから、励起光Leおよび1次ストークス光L
sbを再度ラマン媒質中に窓11bより入射させる。ラ
マン媒質中で励起光Leと1次ストークス光Lsbが重
なった部分の励起光Leが1次ストークス光Lsbにラ
マン変換される。次いで、励起光Leと1次ストークス
光Lsbとはラマン媒質中を繰り返して、順次励起光L
eは1次ストークス光Lsbに高効率で変換されてい
き、最終的には図2(c)のように、パルス幅の長い励
起光Leが短パルスの1次ストークス光Lsbにパルス
圧縮される。
【0010】以下に、本実施例における具体的条件を下
記表1〜表5に列挙した。
【0011】
【表1】 励起光波長 λp 249nm 励起光波長幅 Δλp 0.003nm 励起光フルエンス Ep 0.3J/cm2 励起光強度 Ip 1.5x107 W/cm2 励起光パルス幅 τp 20ns
【0012】
【表2】 1次ストークス光波長 λs 268nm 1次ストークス光波長幅 Δλs 0.003nm 1次ストークス光フルエンス Es 0.03J/cm2 1次ストークス光強度 Is1 1.5x107 W/cm2 1次ストークス光パルス幅 τs 2ns
【0013】
【表3】 ラマン媒質 メタンガス 3気圧 媒質容器の長さ L 300cm 多重光路の数 10
【0014】
【表4】 励起光反射鏡 励起光の反射率 99.5% 1次ストークスの光透過率 98%
【0015】
【表5】 1次ストークス光反射鏡 1次ストークス光の反射率 99.5% 2次ストークス光の反射率 0.3% 多重光路中のN番目の光路における励起光Leの強度か
ら1次ストークス光Lsbの強度への変換効率ηN は、
【0016】
【数1】 である。IsN はN番目の光路への入力1次ストークス
光パワー強度であり、最初の光路への入力1次ストーク
ス光パワー強度Is1 の(1+η1 +η2 +‥‥η
N-1 )倍となる。γIpLは、増幅特性を示すラマン利
得であり、γは、メタンガス圧と励起光の波長幅に関係
する係数で、ここで示した条件では、2.25x10
-10 cm/Wである。Ipは入力励起光強度、Lは容器
の長さであり、これらの値を代入するとラマン利得(γ
IpL)は1となる。多重光路の最初の光路での変換効
率η1 は69%、第2番目の光路での変換効率η2 は7
7%、最終の10番目の光路での変換効率η10は89%
に達する。
【0017】励起光Leから1次ストークス光Lsbへ
のラマン変換の損失過程として、励起光Leおよび被増
幅1次ストークス光Lsa自身による自発ストークス光
(図示せず)の発生がある。励起光Le自身による自発
1次ストークス光の光路は、被増幅1次ストークス光L
saの光路と同じとなり、多重光路のある光路で発生し
た自発ストークス光は、次の光路では励起光Leより光
路差によって2ns遅延して伝播する。この遅延時間
は、励起光Leの可干渉時間(66ps)より長くなっ
ているので、自発1次ストークス光と被増幅1次ストー
クス光Lsaのラマン利得の値は同じとなる。このた
め、自発ストークス光の全多重光路でのラマン利得は1
0となり、自発ストークス光発生がラマン変換に影響を
与え始めるラマン利得20より十分小さいので、励起光
Leから自発1次ストークス光への損失は無視できる。
【0018】次に、増幅され強度が大きくなった被増幅
1次ストークス光Lsa自身による自発2次ストークス
光は、1次ストークス光Lsbをラマン媒質容器11に
再入射させる3枚の1次ストークス光反射鏡13によっ
て3x10-8倍に低減するので、多重光路のある1つの
光路で発生した自発2次ストークス光は、その光路での
増幅以上に減衰させることができる。自発2次ストーク
ス光のラマン利得は、最も大きい多重光路の最終光路で
も17であり、20以下であるので被増幅1次ストーク
ス光Lsaから自発2次ストークス光への損失は無視で
きる。
【0019】励起光Leを反射し、被増幅1次ストーク
ス光Lsaを透過する波長選択性の励起光反射鏡12の
ストークス光の透過率は98%であり、全多重光路を伝
播した後の1次ストークス光Lsbの励起光反射鏡12
による損失は9.4%となる。
【0020】図1に示した構成により、長パルスの励起
光Leから短パルスの1次ストークス光Lsbへエネル
ギー変換効率ηは76%でラマン変換することができ
る。出力1次ストークス光強度は、1.1x108 W/
cm2 となり、励起光強度の7.6倍に増強することが
できる。
【0021】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、前記ラマ
ン媒質中から出射する前記励起光を繰り返し反射し、前
記被増幅1次ストークス光と前記1次ストークス光とを
透過させる励起光反射鏡と、前記1次ストークス光を繰
り返し反射させ2次ストークス光を反射しない1次スト
ークス光反射鏡とが設けられたので、励起光エネルギー
から短パルスの1次ストークス光エネルギーへの変換効
率が向上する利点がある。また、1次ストークス光反射
鏡は、ラマン媒質から出射する1次ストークス光を1次
ストークス光のパルス幅以上前記励起光に対し時間的に
毎回遅延させてラマン媒質中に繰り返し入射させるの
で、パルス幅を圧縮する機能が加わり、さらに、高いエ
ネルギー変換効率が得られる利点がある。
【0022】このことにより、出力ストークス光強度を
大きくでき、高効率な前方誘導ラマンパルス幅圧縮器が
得られるので、産業界での応用範囲が急速に拡大するこ
とが期待できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す概略構成図である。
【図2】図1の実施例における励起光と被増幅1次スト
ークス光の時間的同期関係を示すである。
【図3】従来の前方誘導ラマンパルス幅圧縮器の概略構
成図である。
【符号の説明】
11 ラマン媒質容器 11a 窓 11b 窓 12 励起光反射鏡 13 1次ストークス光反射鏡 Le 励起光 Lsa 被増幅1次ストークス光 Lsb 1次ストークス光

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被増幅1次ストークス光と励起光とをラ
    マン媒質中に入射して1次ストークス光へ変換する前方
    誘導ラマンパルス増幅器と、この前方誘導ラマンパルス
    増幅器から出射する前記励起光を反射して前記ラマン媒
    質中に多重回再入射させ、前記1次ストークス光は透過
    させる励起光反射鏡と、前記前方誘導ラマンパルス増幅
    器から出射する1次ストークス光を前記励起光に対し1
    次ストークス光のパルス幅以上時間的に毎回遅延させて
    ラマン媒質中に繰り返し入射させる1次ストークス光反
    射鏡とを具備したことを特徴とする前方誘導ラマンパル
    ス幅圧縮器。
JP8557893A 1993-03-19 1993-03-19 前方誘導ラマンパルス幅圧縮器 Expired - Lifetime JPH07122722B2 (ja)

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