JPH0711476B2 - 電磁波共鳴吸着ガス分析装置 - Google Patents

電磁波共鳴吸着ガス分析装置

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JPH0711476B2
JPH0711476B2 JP4220706A JP22070692A JPH0711476B2 JP H0711476 B2 JPH0711476 B2 JP H0711476B2 JP 4220706 A JP4220706 A JP 4220706A JP 22070692 A JP22070692 A JP 22070692A JP H0711476 B2 JPH0711476 B2 JP H0711476B2
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vacuum
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洋一 平野
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工業技術院長
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、壁からの不純物質の放
出量や混入量の小さい清浄な真空を要請される真空装置
に関する分野において使用される電磁波共鳴吸着ガス分
析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のガス分析装置において、真空容器
壁に付着した物質の同定等の分析には、質量分析計と何
等かの脱ガス方法の組合せが用いられてきた。質量分析
計は本質的には真空容器内に残っている残留ガスの分析
を行うものであり、容器壁に付着した物質を直接的に分
析するものではない。従って、上記付着物質の分析には
これらのものを壁から離脱させ、離脱したものを質量分
析計内に導くことが必要である。付着物質の離脱には一
般的には常温での壁面からの蒸発を用いているが、これ
では不十分な場合には真空容器全体を100℃以上の高
い温度にまで加熱する方法や、電子流を容器壁に当てて
付着物をたたき出す等の手法が一般的に用いられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上に述べたことから明
らかなように、質量分析計は真空容器表面に付着した物
質を直接分析するものではなく、それらの物質が容器表
面から離脱してガス化したものを分析している。従っ
て、その分析結果は必ずしも表面に付着している物質に
対応していない可能性がある。特に、蒸発しにくくて蒸
気圧の低い物質、壁への吸着性の高い物質などに対して
は感度が非常に低くなる。
【0004】真空容器表面からの付着物質の離脱を促進
するために用いられる従来の手法の内、一般的な加熱脱
ガス方法においては、真空容器全体を最低100℃以
上、通常は200℃〜300℃、場合によっては350
℃以上の高温度にまで加熱する必要があるので、装置全
体に大がかりな熱絶縁を施す必要があること、またかな
り効果的な熱絶縁を施しても加熱に大電力を必要とする
という問題がある。さらに、200℃を越える場合に
は、真空シールによく用いられるバイトン(商標名)等
の有機物シール材が使用できなくなるという問題があ
る。さらにまた容器の熱膨張が引き起こす熱歪による容
器の損傷を避けるため、容器の材質や組合せ、覗き窓の
材質等から加熱可能な温度の最大値が制限される。ま
た、真空容器の機械的な精度が要請される場合には熱膨
張や歪が大きな問題を引き起こす可能性がある。さら
に、真空容器全体もしくはその一部を電気的に絶縁する
必要がある場合には、高温度に耐える絶縁材料を用いな
ければならず、加工性、絶縁耐圧、価格等の点が大きな
問題となる。
【0005】熱電子放射による付着物質の離脱法におい
ては、熱電子放射用のフィラメントその他の装置、並び
にその装置を真空容器内に出し入れするための機構が必
要となること、電子流は直線的にしか進めないので影に
なるところができやすく、それを避けるためには熱電子
の放射装置を真空容器内で移動するための複雑な駆動機
構が必要になること等の問題点を持っている。さらに、
高温度になるフィラメント自体がガスを発生してしまう
こと、フィラメントの材料が蒸発して壁に付着してしま
うこと(フィラメント材料の蒸着)等の問題点も発生す
る。
【0006】本発明の目的は、上述の点に鑑みて、蒸気
圧が非常に低いか、表面への吸着力が非常に強くて、残
留ガス分圧が非常に小さいものに対しても感度の高い計
測が可能であり、容器全体の加熱無しでも吸着物質の効
率的な分析が可能な電磁波共鳴吸着ガス分析装置を提供
することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、真空容器と、該真空容器の壁に付着して
いる物質の共鳴周波数の電磁波を選択的に出力する発信
器と、該発信器の出力を前記真空容器へ伝送する伝送手
段と、該伝送手段に接続されて前記真空容器内に前記電
磁波を放出するアンテナと、前記真空容器内の真空度を
測定する真空計とを具備し、前記発信器の周波数をスイ
ープした時の前記真空計の真空度の変化の様子から共鳴
点を見いだし、吸着物質の分析を行うことを特徴とす
る。
【0008】また、本発明は、好ましくは前記真空容器
内のガスの質量分析を行う質量分析計をさらに有するこ
とにより、分析の精度を一層向上させることが可能であ
ることを特徴とすることができる。
【0009】
【作用】各々の分子は分子間や他の物質との間でその分
子に固有の振動数を持った振動を行うことが知られてい
る。例えば、水は2.4GHz付近に液体状態の水分子
の回転に付随した固有の振動数を持っており、この振動
数に共鳴する2.4GHzの周波数を持ったマイクロ波
のエネルギーを強く吸収する。この原理を利用した加熱
調理器具が電子レンジであることは良く知られている。
この水分子による2.4GHzの電磁波エネルギーの吸
収は、真空容器壁面に付着した水分子においても現れる
と考えられるが、さらに付着分子間の振動や付着分子と
壁面との間の振動等、水分子は2.4GHz以外にもい
くつかの固有振動を持っている。また、水以外の他の物
質の分子もその分子に特有のいくつかの固有振動を持っ
ている。従って、その振動数に共鳴する周波数を持った
電磁波を加えて電磁波のエネルギーを共鳴吸収させるこ
とにより、その分子だけを選択的に加熱し真空容器壁か
ら離脱させることが可能である。
【0010】本発明は、上記の原理を真空容器壁表面に
付着した物質の分析に応用するものである。すなわち、
周波数可変の電磁波を真空装置内に導入して、周波数の
変化に伴う真空容器内の真空度の変化を観測し、特定の
周波数における真空度の増加のパターンから壁に付着し
た物質の同定その他の分析を行う。
【0011】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細
に説明する。
【0012】図1は本発明の一実施例の電磁波共鳴吸着
ガス分析装置の概略構成を示す。ここで、1は真空容器
であり、真空配管3を通して真空排気装置5に接続さ
れ、真空排気装置5により真空に排気される。7は真空
計、9は質量分析計である。質量分析計9は必ずしも必
要でないが、後述のように質量分析計9があると本実施
例のガス分析装置全体の分析能力の大きな向上が期待で
きる。11は周波数可変の発信器であり、発信器の高周
波出力は、出力ケーブルもしくは導波管13、並びに真
空フィールドスルーを通して真空容器内に導かれアンテ
ナ15から容器内全体に放射される。発信器11の可変
発信周波数領域は、利用する固有振動の物理的な機構に
よって異なり、分析対象の物質の固有振動として分子の
回転等の運動に対応するものを用いる場合には数mmか
ら数十cmのミリ波並びにセンチメートル波領域が、ま
た分子間や分子と壁との間の振動に対応するものを用い
る場合にはサブミリ波領域が、さらにまた物質内部の原
子レベルの振動を用いる場合には遠赤外線領域が必要と
される。ただし、遠赤外線領域では通常の発信器や、ケ
ーブル、導波管、アンテナを使うことはできないので、
レーザ発信器や遠赤外光の入射窓等の特別のものが必要
である。
【0013】真空容器1内にアンテナ15から放射され
た電磁波はその周波数と共鳴する振動数を持つ真空容器
1の壁上の付着物質により選択的に吸収され、その物質
を加熱する。加熱された物質は真空容器1の壁の表面か
ら離脱して真空容器1内を漂うことになり、容器内の真
空度を変化させる。その結果、真空計7の指度が変化す
る。従って、真空計7の指度は、アンテナ15から入射
した電磁波の周波数の関数として変化することになり、
その変化は付着している物質に固有の特別なパターンを
表すと考えられる。この特別なパターンから付着してい
る物質の同定を行う。
【0014】真空計7による真空度の計測と平行して、
質量分析計9を用いて離脱したガスの質量分析を併せて
行えば、さらに高い精度での付着物質の同定が可能であ
る。
【0015】アンテナ15からの電磁波の周波数によっ
ては真空容器1内に定在波が発生し、局部的に電場がか
からない部分ができることが予想されるので、その場合
は複数のアンテナを用いるなどして定在波の発生を抑え
るか、もしくはアンテナの位置、角度を時間と共に変え
るなどの方法を通して定在波の位置を変えることが必要
である。
【0016】上述のように、本実施例のガス分析装置で
は真空容器1の壁に付着した物質を、電磁波エネルギー
の選択的共鳴加熱により能動的に離脱させて計測するの
で、従来の、質量分析による真空容器中の残留ガス分析
のような受動的な計測では得られない利点を持ってい
る。
【0017】その利点の一つは、蒸気圧が非常に低い
か、表面への吸着力が非常に強くて、残留ガス分圧が非
常に小さいものに対しても感度の高い計測が可能である
ことである。また、これら残留ガス分圧の小さなものに
対しては通常は真空容器全体の加熱脱ガス法を用いて残
留ガス分圧を上げ質量分析を行う手法が用いられること
が多いが、本実施例の装置ではそのような容器全体の加
熱が不要となり、効率的な分析が可能である。
【0018】さらに、通常の質量分析計は0.01パス
カル程度以下の真空度でないと動作しないが、本実施例
の装置では適当な真空計7を選択することにより、高真
空度から低真空度までの広い範囲での分析が可能であ
る。例えば、通常の電離真空計を用いれば10-7パスカ
ルから1パスカル程度まで、シュルツ型真空計を用いれ
ば0.01パスカルから100パスカル程度まで、ピラ
ニ型真空計を用いれば1パスカルから1000パスカル
程度まででの計測が可能である。
【0019】質量分析計では、異なった物質でも同じ分
子量や原子量を持っているものに対しては、同一の質量
数と電荷数の比の位置に出力信号のピークが現れるため
に正確な同定ができなくなる場合がある。例えば、窒
素、一酸化炭素、エチレンは同じ28の分子量を持つた
め、質量数と電荷数の比が28の位置にピークが現れ
る。従って、28の位置のピークがどの分子に対応して
いるかを同定することは容易ではない。通常は、各々の
分子が分解あるいは解離したものに対応するサテライト
ピークのパターンにより同定を行っているが、残留ガス
には多くの種類のガスが混在している場合が多く、解析
は複雑であり非常な熟練を要する。また、本実施例の装
置を用いる場合においても、異なった物質で類似の共鳴
パターンを示し、同定が困難になる場合が考えられる。
これらの場合においては、本実施例の装置と質量分析器
を併用すれば各々の分析パターンの違いから、物質の同
定等の解析を正確かつ効率的に進めることが可能とな
る。
【0020】このように本実施例の装置は、従来の装置
とは根本的に異なった原理を用いることにより、従来の
装置では困難か不可能であった領域での表面付着物質の
分析を可能とするものであり、さらに、従来の装置と併
用した場合においてもより精度の高い効率的な分析を可
能にする利点がある。
【0021】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
真空装置の真空容器壁に付着している物質が特定の周波
数の電磁波との共鳴によって選択的にエネルギーを吸収
して加熱放出されるという現象を利用して、真空容器壁
に付着している物質の同定等の分析を行うようにしてい
るので、蒸気圧が非常に低いか、表面への吸着力が非常
に強くて、残留ガス分圧が非常に小さなものに対しても
感度の高い計測が可能となり、また、容器全体の加熱無
しでも吸着物質の効率的な分析が可能となり、さらに、
質量分析器と併用することにより、従来装置よりも精度
の高い分析が可能となるという顕著な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の電磁波共鳴吸着ガス分析装
置の概略構成を示す模式図である。
【符号の説明】
1 真空容器 3 真空配管 5 真空排気装置 7 真空計 9 質量分析計 11 発信器 13 出力ケーブルもしくは導波管 15 アンテナ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空容器と、 該真空容器の壁に付着している物質の共鳴周波数の電磁
    波を選択的に出力する発信器と、 該発信器の出力を前記真空容器へ伝送する伝送手段と、 該伝送手段に接続されて前記真空容器内に前記電磁波を
    放出するアンテナと、 前記真空容器内の真空度を測定する真空計とを具備し、 前記発信器の周波数をスイープした時の前記真空計の真
    空度の変化の様子から共鳴点を見いだし、吸着物質の分
    析を行うことを特徴とする電磁波共鳴吸着ガス分析装
    置。
  2. 【請求項2】 前記真空容器内のガスの質量分析を行う
    質量分析計をさらに有することを特徴とする電磁波共鳴
    吸着ガス分析装置。
JP4220706A 1992-07-28 1992-07-28 電磁波共鳴吸着ガス分析装置 Expired - Lifetime JPH0711476B2 (ja)

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JPH0650914A JPH0650914A (ja) 1994-02-25
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