JPH07108913A - 制動制御装置 - Google Patents

制動制御装置

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JPH07108913A
JPH07108913A JP25597293A JP25597293A JPH07108913A JP H07108913 A JPH07108913 A JP H07108913A JP 25597293 A JP25597293 A JP 25597293A JP 25597293 A JP25597293 A JP 25597293A JP H07108913 A JPH07108913 A JP H07108913A
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JP
Japan
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braking
vehicle
braking control
deceleration
brake
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Application number
JP25597293A
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English (en)
Inventor
Hiroo Yoshida
浩朗 吉田
Masashi Ota
正史 太田
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は所定の制動制御を実行した際に車両
に生ずる減速度に基づいて走行中の路面状態を推定する
制動制御装置に関し、駆動機構の動作状態に因らない高
い推定精度を確保することを目的とする。 【構成】 トランスミッションのシフト位置を読み込み
(S200)、シフト位置に応じて場合分けを行う(S
202,204)。シフト位置が低速であるほど大きな
エンジンブレーキが作用することに鑑み、制動制御時に
ホイルシリンダに供給するブレーキ油圧PB をシフト位
置が低速であるほど小さく設定する(S206〜21
2)。設定されたブレーキ油圧により制動制御を行いそ
の際に車両に発生した減速度に基づいて路面状態を推定
する(S214)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、制動制御装置に係り、
特に所定の制動制御を実行した際に車両に生ずる減速度
に基づいて走行中の路面状態を推定する制動制御装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年では、車両に対して高い安全性が要
求され、事故防止の観点から特に高い安全性が要求され
る制動機構については、想定される種々の状況下で高い
安全性を確保すべく種々の機能を実現するものが提案さ
れている。
【0003】例えば特開平4−362453号公報は、
前方車両等との車間距離、相対速度等を監視し、衝突の
危険性を察知した際には自動的にブレーキ機構を作動さ
せる自動ブレーキ装置を開示している。
【0004】かかる自動ブレーキ装置においては、真に
衝突の危険がある場合にのみ自動ブレーキを作動させる
必要があり、あらゆる状況下で適切に作動判定を実行で
きることが要求される。この場合、路面状態が異なれ
ば、すなわち路面の摩擦係数μが異なれば、当然に車両
の停止距離が変動し、自動ブレーキの作動判定条件が変
動することから、自動ブレーキの実用化を図るためには
路面μを検出することが重要である。
【0005】上記公報記載の装置は、自動ブレーキによ
る本制動を実行する前に、ポンピング操作による予備制
動を実行し、この際にブレーキ機構に供給するブレーキ
油圧と車両に発生する減速度との関係から路面μを推定
することでかかる要求を満たしている。
【0006】車輪毎に配設されたブレーキ機構が発生す
る制動トルクは供給されたブレーキ油圧に比例し、発生
した制動トルクに対して車両に発生する減速度の大きさ
は、車輪と路面の間に働く摩擦力、すなわち路面μに応
じたものとなることから、一定のブレーキ油圧に対して
車両に発生する減速度は、実質的に路面μの代用特性値
として扱うことができることに着目したものである。
【0007】かかる予備制動を実行する場合、自動ブレ
ーキによる本制動に先立って路面μが推定でき、その推
定値に基づいて、例えば低μ路では比較的早期に、また
高μ路においては予備制動の後比較的長いディレイタイ
ムの経過後に本制動の作動を開始して、常に自動ブレー
キを適切なタイミングで作動させることができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、車両に発生
する制動力の大きさは、車輪毎に配設されたブレーキ機
構が発生する制動トルクから、駆動機構、すなわち内燃
機関及びトランスミッションから駆動輪に伝達される駆
動トルクを減じた値として把握すべき値である。
【0009】つまり、車両に発生する制動力は、ブレー
キ機構が発生する制動トルクのみで一義的に決まるのも
ではなく、駆動輪に正の駆動トルクが伝達されていれば
制動トルクが相殺されてより小さな制動力となり、また
駆動輪にエンジンブレーキによる制動トルクが伝達され
ていれば、ブレーキ機構に起因する制動トルクを越える
制動力が発生することになる。
【0010】従って、制動力と減速度との関係から路面
μを推定する場合、本来は駆動機構から駆動輪に伝達さ
れる駆動トルクを含めた総合的な制動力と、その制動力
に起因して発生する減速度との関係を考慮して行うべき
である。
【0011】しかしながら、上記従来の自動ブレーキ装
置は、予備ブレーキ時にブレーキ機構に供給するブレー
キ油圧の大きさ、すなわちブレーキ機構の発生する制動
トルクの大きさが、その際に車両に発生する総合的な制
動力に比例すると擬制して路面μを推定する手法を採用
している。このため、内燃機関の運転状況、及びトラン
スミッションのシフト位置等の変動が路面μの推定精度
に影響し、高い推定精度を確保できないという問題を有
していた。
【0012】本発明は、上述の点に鑑みてなされたもの
であり、駆動輪に駆動トルクを伝達する駆動機構の状態
を考慮して路面μを推定することにより、若しくは駆動
機構の状態に応じてブレーキ機構に供給するブレーキ圧
を補正したうえで路面μを推定することにより、又は予
め駆動機構を所定状態として路面μを推定することによ
り、それぞれ上記の課題を解決する制動制御装置を提供
することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】図1〜図3は、上記の目
的を達成する制動制御装置の原理構成図を示す。すなわ
ち、上記の目的は図1に示すように、車両に生じる減速
度を検出する減速度検出手段M1と、車両の駆動輪に駆
動トルクを伝達する駆動機構M2の動作状態を検出する
駆動状態検出手段M3と、所定の状況下で車両のブレー
キ機構M4に所定のブレーキ油圧を供給して制動制御を
実行する制動制御手段M5と、制動制御時に前記制動制
御手段M5が前記ブレーキ機構M4に供給するブレーキ
油圧と、該制動制御時に前記駆動状態検出手段M3が検
出する前記駆動機構M2の作動状態と、該制動制御時に
前記減速度検出手段M1が検出する車両の減速度とに基
づいて、走行中の路面状態を推定する路面状態推定手段
M6とを備えてなる制動制御装置により達成される。
【0014】また、図2に示すように車両に生じる減速
度を検出する減速度検出手段M1と、車両の駆動輪に駆
動トルクを伝達する駆動機構M2の動作状態を検出する
駆動状態検出手段M3と、所定の状況下で車両のブレー
キ機構M4に所定のブレーキ油圧を供給して制動制御を
実行するに際し、前記駆動状態検出手段M3の検出結果
に基づいて、前記駆動機構M2の作動状態に因らず制動
制御時に車両に発生する制動力が所定値となるようにブ
レーキ油圧を設定する制動制御手段M7と、制動制御時
に車両に発生させる所定の制動力と、該制動制御時に前
記減速度検出手段M1が検出する車両の減速度とに基づ
いて、走行中の路面状態を推定する路面状態推定手段M
8とを備えてなる制動制御装置も有効である。
【0015】更に上記の目的は、図3に示すように車両
に生じる減速度を検出する減速度検出手段M1と、所定
の状況下で車両のブレーキ機構M4に所定のブレーキ油
圧を供給して制動制御を実行する制動制御手段M9と、
車両の駆動輪に駆動トルクを伝達する駆動機構M2の動
作状態を指定する機能を有し、制動制御時において、該
駆動機構M2の動作状態を所定の状態に指定する駆動状
態指定手段M10と、制動制御時に前記制動制御手段M
9が前記ブレーキ機構M4に供給するブレーキ油圧と、
該制動制御時に前記減速度検出手段M1が検出する車両
の減速度とに基づいて、走行中の路面状態を推定する路
面状態推定手段M11とを備えてなる制動制御装置によ
っても達成される。
【0016】
【作用】上記図1に示す制動制御装置において、前記減
速度検出手段M1は、前記制動制御手段M5が前記ブレ
ーキ機構M4に所定のブレーキ油圧を供給する制動制御
を実行する際、すなわち前記ブレーキ機構M4が所定の
ブレーキ油圧に応じた制動トルクを発生する際に車両に
生じる減速度を検出する。
【0017】また、車両の駆動輪には前記駆動機構M2
が連結されている。そして、前記駆動状態検出手段M3
は、該駆動機構M2の動作状態を検出する。ここで、前
記駆動機構M2の動作状態と、前記駆動機構M2が駆動
輪に伝達する制動トルク又は駆動トルクの大きさとには
相関があり、前記駆動機構M2に起因して駆動輪に発生
する制動トルク又は駆動トルクの大きさは、前記駆動状
態検出手段M3の検出結果から推定することができる。
【0018】ところで、車両に発生する制動力は、前記
ブレーキ機構M4が発生する制動トルクと、前記駆動機
構M2が駆動輪に伝達する制動トルク又は駆動トルクの
合成値であり、前記減速度検出手段M1が検出する減速
度には、前記駆動機構M2の動作状態が反映されてい
る。
【0019】本発明においては、前記路面状態推定手段
M6が、かかる駆動機構M2の動作状態を考慮して路面
の摩擦係数μの推定を行うため、高い推定精度が確保さ
れることになる。
【0020】上記図2に示す制動制御装置において前記
制動制御手段M7は、制動制御時に、前記駆動状態検出
手段M3の検出結果に基づいて、前記駆動機構M2が駆
動輪に伝達する制動トルク又は駆動トルクを相殺し得る
ブレーキ油圧を前記ブレーキ機構M4に供給する。
【0021】従って、本発明においては、前記駆動機構
M2の動作状態に因らず、制動制御時に車両に発生する
制動力が常に一定となり、前記路面状態推定手段M8
が、この制動力と、前記減速度検出手段M1の検出する
減速度に基づいて行う路面摩擦係数μの推定には、前記
駆動機構M2の動作状態に因らない高い精度が確保され
る。
【0022】また、上記図3に示す制動制御装置におい
ては、前記制動制御手段M9が制動制御を実行する際に
は、前記駆動状態指定手段M10によって前記駆動機構
M2の動作状態が指定される。このため、制動制御時に
おいて前記駆動機構M2から駆動輪に伝達される制動ト
ルクまたは駆動トルクが一定値となり、車両に発生する
制動力は、実質的に前記制動制御手段M9が前記ブレー
キ機構M4に供給するブレーキ油圧によって一義的に決
定することになる。
【0023】従って、本発明においては、前記路面状態
推定手段M11が、前記制動制御手段M9から前記ブレ
ーキ機構M4に供給されるブレーキ油圧、及び前記減速
度検出手段M1が検出した減速度に基づいて摩擦係数μ
を推定すれば、高い推定精度が確保されることになる。
【0024】
【実施例】図4は、本発明の一実施例である制動制御装
置の全体構成図を示す。本実施例の制動制御装置は、前
方車両との車間距離を監視し、運転者の不注意等により
自車両が不当に前方車両に接近した際に自動的にブレー
キを作動させる機能を備える装置である。
【0025】ここで、本実施例の制動制御装置は、自動
ブレーキの作動タイミングを常に路面状態に応じた適切
なタイミングに設定すべく、自動ブレーキを本制動と予
備制動とで構成し、追突防止のための減速を目的とする
本制動に先立って、路面状態を推定すべく短時間の予備
制動を行う。そして、この予備制動の際に生ずる減速度
に基づいて高い精度の下に路面状態を推定する点に特徴
を有するものである。尚、本実施例においては、この予
備制動が前記した制動制御に相当する。以下、本実施例
の制動制御装置の構成について説明する。
【0026】同図において10は液圧ブースタ(以下、
単にブースタという)であり、12はタンデム型ブレー
キマスタシリンダ(以下、単にマスタシリンダという)
である。マスタシリンダ12は、その内部にブレーキペ
ダル14に連動して変位する第一加圧ピストンおよび第
二加圧ピストンを備えており、ブレーキペダル14の踏
込みにより液圧を発生する。
【0027】ここで、第一加圧ピストン及び第二加圧ピ
ストンの変位に伴って発生した液圧は、それぞれ液通路
16,18によりプロポーショニングバイパスバルブ2
0へ導かれる。そして、第一加圧ピストンによって発生
した液圧については左右後輪RL,RRの各ブレーキの
ホイルシリンダ22,24に、また第二加圧ピストンに
よって発生した液圧については左右前輪FL,FRの各
ブレーキのホイルシリンダ26,28に接続されてい
る。
【0028】すなわち本実施例の制動制御装置は前後2
系統式であり、上記各ホイルシリンダ22,24,2
6,28は、前記したブレーキ機構2に相当する。尚、
本自動車においては左右後輪RL,RRが駆動輪であ
る。
【0029】プロポーショニングバイパスバルブ20
は、前輪系統および後輪系統のいずれにも正常に液圧が
発生する場合には、後輪RL,RRのホイルシリンダ2
2,24に供給される液圧を、前輪FL,FRのホイル
シリンダ26,28に供給される液圧に対して一定の比
率で減圧する。一方、前輪系統に正常に液圧が発生しな
くなった場合には第一加圧ピストンによって昇圧された
液圧を減圧することなく後輪RL,RRのホイルシリン
ダ22,24に供給するものである。
【0030】また、プロポーショニングバイパスバルブ
20と前輪FL,FRのホイルシリンダ26,28との
間には、増圧装置30が接続されている。この増圧装置
30は、マスタシリンダ12の第二加圧ピストンによっ
て昇圧された液圧を更に増圧する装置であるが、その役
割については後に述べる。
【0031】尚、マスタシリンダ12の第一加圧ピスト
ン、及び第二加圧ピストンがそれぞれ液圧を発生する第
一加圧室、及び第二加圧室は、第一加圧ピストン及び第
二加圧ピストンが踏み込まれていない場合共にリザーブ
タンク32に連通した状態となる。このため、ブレーキ
フルードが不足状態となると、非制動時に適宜リザーブ
タンク32からマスタシリンダ12へ向けてブレーキフ
ルードの補充がなされることになる。
【0032】ブースタ10はブレーキペダル14の踏力
をブーストして上記第一加圧ピストン及び第二加圧ピス
トンに伝達すべくマスタシリンダ12と一体的に設けら
れたものである。すなわち、ブースタ10の内部にはブ
レーキペダル14の踏込みによりリザーバタンク32に
連通する状態からアキュムレータ34に連通する状態に
切り換えられるパワー圧室が形成されている。
【0033】そして、パワー圧室には、パワー圧室内の
圧力をマスタシリンダ12の第一加圧ピストン及び第二
加圧ピストンに伝達するパワーピストンが配設されてい
る。このため、ブレーキペダル14が踏み込まれると、
リザーバタンク32の内圧に開放されていたパワーピス
トンにはアキュムレータ34を介して供給される高圧の
液圧が印加されることとなる。
【0034】そして、マスタシリンダ12の第一加圧ピ
ストン及び,第二加圧ピストンが前進せられ、ホイルシ
リンダ22,24,26,28に液圧が伝達されること
となる。尚、パワー室は、ブレーキペダル14の踏力と
反力とが釣り合うとアキュムレータ34にもリザーバタ
ンク32にも連通しない状態となるように構成されてい
る。このためブレーキペダル14の踏み込み量が安定す
ると、以後ブースト力は一定値に保持されることにな
る。
【0035】アキュムレータ34には、モータ36によ
り駆動されるポンプ38によって昇圧された液圧が逆止
弁40を経て供給される。この際、アキュムレータ34
の液圧は、圧力センサ42の出力信号に基づいてモータ
36の発停が制御されることにより、一定範囲に保たれ
るようになっている。
【0036】また、アキュムレータ34の液圧の異常な
低下は圧力スイッチ44により検出され、ブレーキウォ
ーニングランプが点灯されるとともに、ブザーが作動さ
せられる。尚、アキュムレータ34の液圧は、リリーフ
バルブ46によって適当な水準にガードされている。
【0037】ここで、本実施例の制動制御装置は、過剰
な制動トルクが生じた場合にはホイルシリンダ22,2
4,26,28に供給されているブレーキ油圧を開放し
て車輪のロックを解除するアンチロック制御、及び過剰
な駆動トルクが生じた場合に、駆動輪に制動トルクを発
生させて車輪の空転の収束を図る加速スリップ制御を行
うことを前提として構成されている。
【0038】このため、図4に示すようにプロポーショ
ニングバイパスバルブ20と後輪RL,RRのホイルシ
リンダ34,26との間には、電磁方向切換弁50及び
3位置の方向切換弁である3方向切替弁54,56が、
また増圧装置30と前輪FL,FRのホイルシリンダ2
6,28との間には2個の電磁方向切換弁58,60が
設けられている。
【0039】そして、後輪RL,RR側の電磁方向切換
弁50はもう一つの電磁方向切替弁52を介してブース
タ10のパワー圧室またはアキュムレータ34に接続さ
れ、前輪FL,FR側の電磁方向切換弁58,60は液
通路62,64を介して、3方向切換弁66,68に接
続されている。
【0040】ここで、電磁方向切換弁52はアンチロッ
ク制御時にはブレーキペダル14の踏力に応じた圧力が
発生するブースタ10のパワー圧室を、また加速スリッ
プ制御時にはブレーキペダル14の操作に関わらず高圧
の液圧が発生しているアキュムレータ34をそれぞれ電
磁方向切替弁50に連通させる。
【0041】そして、電磁方向切替弁50は、アンチロ
ック制御時及び加速スリップ制御時共に、電磁方向切替
弁52を経由して供給される液圧を、ホイルシリンダ2
2,24に通じる電磁液圧制御弁54,56に供給す
る。従って、3方向切替弁54,56には、アンチロッ
ク制御時にはブレーキペダル14が踏み込まれていると
きに限り、また加速スリップ制御時には常に高圧の液圧
が供給されることになる。
【0042】また、3方向切替弁54,56はリザーバ
タンク32とも連通しており、供給された高圧の液圧を
ホイルシリンダ22,24に供給してブレーキ油圧を昇
圧し、若しくはホイルシリンダ22,24をリザーバタ
ンク32に連通してブレーキ油圧を減圧し、またはこれ
らの通路を共に遮断してブレーキ油圧を保持するように
機能する。
【0043】本実施例の制動制御装置における後輪R
L,RRについてのアンチロック制御及び加速スリップ
制御は、このようなブレーキ油圧の増圧、減圧、保持を
適当に実行して制動トルク過剰時にはブレーキ油圧を減
圧し、駆動トルク過剰時には積極的に駆動輪たる後輪R
L,RRを制動することで実現するものである。
【0044】一方、前輪FL,FRについては、アンチ
ロック制御のみを行えば足りることから、上記したよう
に後輪RL,RRの系統とは異なる構成を採用してい
る。具体的には、アンチロック制御時に電磁方向切替弁
58,60を切り換えてホイルシリンダ26,28と3
方向切替弁66,68とを連通し、3方向切替え弁6
6,68により液通路62,64をブースタ10のパワ
ー室に連通することでブレーキ油圧を増圧、リザーブタ
ンク32に連通することで減圧、液通路62,64を遮
断することで保持の機能を果たす構成としている。
【0045】この場合、アンチロック制御時には、ブレ
ーキペダル14が踏み込まれてパワー圧室が適当に昇圧
されている場合にのみホイルシリンダ26,28のブレ
ーキ油圧は増圧され、制動トルクが過剰となった場合に
はそのブレーキ油圧がリザーブタンク32に開放されて
車輪のロック状態が解除されることになる。
【0046】ところで、前記増圧装置30には、液通路
70を介してパワー圧室の圧力が供給されている。この
増圧装置30は、ブースタ10が正常に機能しない場合
のフェールセーフ機能を確保すべく配設された装置であ
り、パワー圧室の圧力が正常に昇圧されない場合には、
内蔵する増圧ピストンによりプロポーショニングバイパ
スバルブ20経由で供給された液圧を更に昇圧して前輪
FL,FRのホイルシリンダ26,28に供給するもの
である。
【0047】尚、かかる異常時にはアンチロック制御、
及び加速スリップ制御の制御を司るECU(電子制御ユ
ニット)72へ向けて差圧スイッチ74から異常信号が
送信され、以後アンチロック制御、加速スリップ制御の
実行を禁止する処置が採られる。また、液通路70には
圧力リミッタ76が設けられており、パワー圧が敗勢限
界に達した後、更にマスタシリンダ液圧が増大させられ
るとき、圧力リミッタ76は増圧装置30からパワー圧
室へのブレーキフルードの逆流を阻止し、増圧作用が行
われないようにする。
【0048】ECU72はコンピュータを主体とするも
のであり、上記した圧力センサ42,圧力スイッチ4
4,差圧スイッチ74の各信号および前輪FL,FR,
後輪RL,RRの各回転速度を検出する回転速度センサ
78,80,82,84の検出結果に基づいて車輪速
度,車輪減速度,車体速度等を演算し、その演算結果に
基づいてアンチロック制御および加速スリップ制御を行
う。
【0049】ところで、本実施例の制動制御装置におい
ては、マスタシリンダ12とプロポーショニングバイパ
スバルブ20とを連通する2系統の液通路16,18及
びブースタ10のパワー圧室に通じる液通路に、2つの
油液流入口に供給された油液のうち高圧の油液を油液流
出口から流出させるチェンジバルブ86,88,90を
介してスプール式電磁液圧制御弁92によって制御され
た液圧が供給されるようになっている。
【0050】スプール式電磁液圧制御弁92はアキュム
レータ34の液圧を供給電流に比例した高さに制御して
供給する弁であり、自動ブレーキ作動時におけるブレー
キ油圧を制御する装置である。すなわち、スプール式電
磁液圧制御弁92は、ホイルシリンダ側に接続される流
出口をリザーバ32に連通してブレーキ油圧を減少させ
る状態と、アキュムレータ34に連通してブレーキ油圧
を増大させる状態と、いずれにも連通させずブレーキ油
圧を保持させる状態とに切り換わるものである。
【0051】尚、上記したチェンジバルブ86,88,
90とスプール式電磁液圧制御弁92との間には、常閉
の電磁開閉弁94が設けられている。そして、これらス
プール式電磁液圧制御弁92および電磁開閉弁94は、
駆動回路96,98を介してコントローラ100により
制御される。
【0052】ここで、コントローラ100には、ECU
72より車速情報が供給されると共に、車両前方を監視
するレーダ等により構成した車間距離検出装置102か
ら前方車両等との車間距離情報が供給されている。そし
て、コントローラ100は、これらの情報に基づいてス
プール式電磁液圧制御弁92、電磁開閉弁94を適当に
制御し、ホイルシリンダ22〜2に適当なブレーキ油圧
を供給して自動ブレーキとしての機能を実現する。
【0053】ところで、車間距離検出装置102によっ
て検出した前方車両との車間距離、及びECU72から
供給される車速情報等から、前方車両に対して衝突の可
能性がないと判断された場合は、スプール式電磁液圧制
御弁92に電流が供給され、また電磁開閉弁94が導通
状態とされることはない。このため、かかる状況下で
は、遮断状態とされたの電磁開閉弁94とリザーバタン
ク32とが連通した状態が形成される。
【0054】従って、この場合にブレーキペダル14が
踏み込まれれば、チェンジバルブ86,88,90はマ
スタシリンダ12から供給された液圧を各ホイルシリン
ダ22,24,26,28へ向けて供給し、運転者の意
思に従った制動トルクが各車輪に発生する。
【0055】これに対して、車間距離検出装置102が
検出した前方障害物との距離が、当該障害物と車両との
相対速度等から判断して不当に短い場合、コントローラ
100は自動ブレーキとしての機能を発揮するため駆動
回路96,98へ向けて適当な制御信号を発する。この
結果、各チェンジバルブ86,88,90には、マスタ
シリンダ12の液圧に加えてスプール式電磁液圧制御弁
92によって調整された適当な電気制御液圧が供給され
ることになる。
【0056】従って、チェンジバルブ86,88,90
に電気制御液圧より高いマスタシリンダ液圧が供給され
ていればそのマスタシリンダ液圧が、また、電気制御液
圧がマスタシリンダ液圧より高く、あるいはブレーキペ
ダル14が踏み込まれていない場合には、電気制御液圧
がホイルシリンダ22,24,26,28に供給され
る。そして、各ホイルシリンダ22,24,26,28
は供給された液圧に応じた制動トルクを発揮するもので
ある。
【0057】本実施例の制動制御装置は、車両が前方障
害物に対して不当に接近した場合、このようにしてブレ
ーキペダル14の状態に関わらず衝突回避に必要な制動
力を自動的に発揮させるものである。
【0058】ところで、制動時に車両に発生する減速度
は、路面の摩擦係数μが十分に高いとすれば、車輪に伝
達される制動力の大きさに比例する。一方、摩擦係数μ
の下に確保される摩擦力を越える大きな制動力が発生す
ると、車輪は路面とのグリップを失い、以後動摩擦係数
μ0 (<μ)に応じた減速度しか得られない状態とな
る。
【0059】一般に知られるようにブレーキ操作を行う
にあたって車輪をロックさせないことが好ましいのは、
かかる理由によるものであるが、本実施例の制動制御装
置の如く自動ブレーキにより制動力を発揮させる際にも
同様に車輪をロックさせないことが必要である。
【0060】ここで、自動ブレーキにより発揮される制
動力が一定であるとすれば、その制動力は低μ路を基準
に比較的小さな値に設定することが必要であり、高μ路
走行時には必ずしも適切ではない。つまり、自動ブレー
キにより常に適切な制動力を確保するためには、路面状
態を検出し、かつ検出した路面の摩擦係数μに応じた制
動力を発揮させる機能が必要とされる。
【0061】このため、本実施例の制動制御装置におい
ては、自動ブレーキを作動させる場合、前記したように
本制動に先立って予備制動として短時間の制動を行い、
これにより車両に生ずる減速度に基づいて路面状態を推
定することとしている。そして、かかる推定を可能なら
しめるべく、ECU72には車両前後方向の加速度を検
出する減速度センサ104を接続している。
【0062】つまり、路面の摩擦係数μと、その路面上
を走行している車両に発生し得る最大減速度Gとの間に
は、図5(A)に示す如く比例関係が成立し、例えば車
両においてGB 以上の減速度が検出されれば、走行中の
路面の摩擦係数はμB 以上であると判断することができ
る。
【0063】また、車両に発生する制動力が、ホイルシ
リンダ22〜28で発生する制動トルクのみであること
を前提とした場合、ホイルシリンダ22〜28に供給す
るブレーキ油圧Pと、それに対して車両に発生し得る最
大減速度Gとの間、すなわち車輪が路面に対して適切な
グリップを維持した状態におけるブレーキ油圧Pと減速
度Gとの間にも、図5(B)に示す如く比例関係が成立
する。
【0064】従って、ホイルシリンダ22〜28に、最
大減速度GB に対応するPB 以上のブレーキ圧を供給し
た場合に、車両にGB 以上の減速度が発生すれば路面の
摩擦係数μはμB 以上であり、また、車両に発生した減
速度がGB に達しなければ、摩擦係数μはμB 未満であ
ると判断することができる。
【0065】より具体的には、例えば図6(A)に示す
如くピーク値をPB として三角波状に変化し、0.5se
c 程度で収束するブレーキ油圧Pをホイルシリンダ22
〜28に供給した場合に、図6(B)に示す如くピーク
値がGB に到達する減速度が車両に発生するか否かによ
り路面の摩擦係数μがμB 以上であるか否かを判断する
ことが可能である。
【0066】ところで、上記の如くブレーキ圧PB に対
して減速度GB が発生するか否かを基準に摩擦係数μが
μB 以上か否かを判断できるのは、あくまでも車両の発
生する制動力が、全てホイルシリンダ22〜28で発生
する制動トルクに起因する場合である。
【0067】しかしながら、車両に発生する制動力は、
必ずしもホイルシリンダ22〜28のみで発生するもと
ではなく、駆動輪に連結される駆動機構、すなわち内燃
機関及びトランスミッションがエンジンブレーキとして
機能する際には、このエンジンブレーキによって生ずる
制動トルクも、車両に発生する制動力の一端を成すこと
になる。
【0068】また、ホイルシリンダ22が供給されるブ
レーキ油圧に応じた制動トルクを発生する一方で、駆動
機構から駆動輪に対して駆動トルクが供給されている場
合には、発生した制動トルクの一部が相殺されて総合的
にはより小さな制動力しか発生しないことになる。
【0069】従って、車両に発生した制動力とその制動
力に起因して発生した減速度との関係に基づいて路面の
摩擦係数μを推定するにあたっては、本来制動力をホイ
ルシリンダ22〜28で生じる制動トルクと、駆動機構
から駆動輪に伝達される制動トルクまたは駆動トルクの
合成値として把握する必要がある。
【0070】このため、本実施例の制動制御装置におい
ては、図4に示す如く、ECU72にトランスミッショ
ンのシフト位置を検出するシフトポジションセンサ10
6、アクセルペダル14の状態を検出するスロットルポ
ジションセンサ108を接続して、駆動機構の動作状態
を検出し得る構成としている。
【0071】尚、本実施例においては、ECU72に、
適当な駆動信号を供給することによりシフト位置を任意
に変更し得る電子制御トランスミッション110、及び
適当な駆動信号を供給することによりスロットル開度を
任意に変更し得る電子制御スロットル112が接続され
ており、ECU72により駆動機構の動作状態を適当に
指定し得る構成としている。
【0072】ここで、図7は、内燃機関及びトランスミ
ッションからなる駆動機構がエンジンブレーキとして作
用している場合にホイルシリンダ22〜28に供給する
ブレーキ油圧Pと、それにより車両に発生する最大減速
度Gとの関係を、トランスミッションのシフト位置をパ
ラメータとして表したものである。
【0073】駆動機構がエンジンブレーキとして作用す
る場合、その制動トルクは、トランスミッションが低速
ギヤに位置しているほど大きくなる。このため、例えば
最大減速度GB を確保するためには、図7(A)に示す
ように、シフト位置が高いほど大きなブレーキ油圧PB2
〜PBNを供給することが必要となり、また、図7(B)
に示すように、同一のブレーキ油圧PB に対する最大減
速度GB2〜GBNは、シフト位置が高いほど小さな値とな
る。
【0074】図8は、かかる特性に鑑みてECU72が
シフトポジションセンサ106、及びスロットルポジシ
ョンセンサ108の検出結果を考慮して路面状態の判定
を行うべく実行するルーチンの一例のフローチャートを
示す。
【0075】尚、前記請求項1記載の発明は、ECU7
2が本ルーチンを実行することによって実現され、この
場合、減速度センサ104が前記した減速度検出手段M
1に、シフトポジションセンサ106、スロットルポジ
ションセンサ108が前記した駆動状態検出手段M3
に、コントローラ100が前記した制動制御手段M5
に、ECU72が前記した路面状態推定手段M6に相当
する。
【0076】図8に示すルーチンは、車間距離検出装置
102の検出結果に基づいて自動ブレーキを作動させる
べきことが検出され、かつスロットルポジションセンサ
108により内燃機関及びトランスミッションがエンジ
ンブレーキとして作用していることが検出され、更にシ
フト位置が1速でない場合に起動する。ここで、シフト
位置が1速の場合を除外したのは、この場合にはエンジ
ンブレーキにより著しく大きな制動トルクが発生し、そ
の影響が大きすぎて適切な路面状態の推定が実行できな
いからである。
【0077】本ルーチンが起動すると、先ずステップ
(以下Sと表す)100においてシフトポジションセン
サ106よりトランスミッションのシフト位置を読み込
み、S102、104を実行することにより、それぞれ
検出されたシフト位置による場合分けを行う。
【0078】そして、シフト位置がニュートラルの場合
は、S106へ進んで最大減速度の判定値GB に、図7
(B)に示すように比較的小さな値に設定された所定値
BNを代入し、以下、4速の場合はS108でGB4(>
BN)を、3速の場合はS110でGB3(>GB4)を、
2速の場合はS112でGB2(>GB3)を、それぞれG
B に代入する。
【0079】このようにして判定値GB にシフト位置を
考慮した所定値を代入したら、S114へ進んでコント
ローラ100に対して予備制動として短時間の急制動を
実施すべく指示を発し、その急制動に伴って車両に発生
した減速度Gが、上記S106〜112において設定し
た判定値GB に達しているかを基準として路面状態を判
別して今回の処理を終了する。
【0080】尚、本実施例の制動制御装置においては、
ABS機構を備えている関係上、判定値GB に相当する
減速度が発生したか否かに代えて、ABS機構が作動し
たか否かを基準として路面状態を判定することとしても
よい。
【0081】ここで、本実施例においては、前記した制
動制御手段M7を構成するコントローラ100は、スプ
ール式電磁液圧制御弁92よりホイルシリンダ22〜2
8に向けて、ピーク値がPB を1割程度越えるブレーキ
油圧が供給されるように駆動回路96,98を駆動す
る。
【0082】従って、予備制動時に車輪と路面との間に
適切なグリップが維持されれば、車両には、シフト位置
に従って設定した判定値GB2〜GBNを僅かに越える減速
度が発生するはずである。よって、上記S114におい
て行う判定の結果により、路面状態は以下のように推定
することができる。
【0083】すなわち、シフト位置が2速である場合に
おいて最大減速度GB2が発生すれば、摩擦係数μはGB2
を発生させ得る摩擦係数μB2以上、シフト位置が3速で
ある場合において最大減速度GB3が発生すれば、摩擦係
数μはGB3を発生させ得る摩擦係数μB3以上、シフト位
置が4速である場合において最大減速度GB4が発生すれ
ば、摩擦係数μはGB4を発生させ得る摩擦係数μB4
上、そして、シフト位置がニュートラルである場合にお
いて最大減速度GBNが発生すれば、摩擦係数μはGBN
発生させ得る摩擦係数μBN以上として推定することがで
きる。
【0084】このように、本実施例の制動制御装置にお
いては、トランスミッションのシフト位置に応じて適切
に判定値GB を選択し、状況に応じた路面状態の判定を
可能成らしめている。このため、判定値GB を固定値と
して扱う場合の如く駆動機構の動作状態によって路面状
態の推定を誤ることがない。
【0085】図9は、ECU72がシフトポジションセ
ンサ106、及びスロットルポジションセンサ108の
検出結果を考慮して路面状態の判定を行うべく実行する
ルーチンの他の例のフローチャートを示す。
【0086】本ルーチンは、ECU72が前記請求項2
記載の発明を実現すべく実行するルーチンである。この
場合、上記図2中制動制御手段M7は、コントローラ1
00及びECU72により、路面状態推定手段M8は、
ECU72により実現される。
【0087】尚、図9に示すルーチンは、上記図8に示
すルーチンと同様に、車間距離検出装置102の検出結
果に基づいて自動ブレーキを作動させるべきことが検出
され、かつスロットルポジションセンサ108により内
燃機関及びトランスミッションがエンジンブレーキとし
て作用していることが検出され、更にシフト位置が1速
でない場合に起動する。
【0088】本ルーチンは、S200においてシフトポ
ジションセンサ106よりトランスミッションのシフト
位置を読み込み、S202、204においてシフト位置
による場合分けを行った後、S206〜212におい
て、予備制動時にホイルシリンダ22〜28に供給する
ブレーキ油圧PB の大きさをシフト位置別に設定する点
に特徴を有するものである。
【0089】つまり、上記図7(A)に示すようにシフ
ト位置に因らず車両に一定の減速度GB を発生させるた
めには、予備制動時において、シフト位置に応じた適切
なブレーキ油圧PB2〜PBNを設定する必要がある。
【0090】そこで、本ルーチンにおいては、シフト位
置がニュートラルの場合は図7(A)に示す所定値PBN
を予備制動時のブレーキ圧PB に代入し(S206)、
以下、4速の場合はPB4(<PBN)を(S208)、3
速の場合はPB3(<PB4)を(S210)、2速の場合
はPB2(<PB3)を(S212)、それぞれPB に代入
する。
【0091】そして、これらの代入を終えたら、S21
4へ進み、上記S206〜212で設定したPB を基準
として予備制動を実施すべくコントローラ100に対し
て指示を発すると共に、その結果発生した減速度Gが判
定値GB に達しているかに基づいて路面の状態を推定し
て今回の処理を終了する。
【0092】このように、本ルーチンにおいては、予備
制動時におけるブレーキ油圧PがECU72によって指
示される。この意味で、本実施例においては、ECU7
2が上記S206〜S212を実行することにより前記
した制動制御手段M7の一部が構成されることになる。
【0093】また、本実施例のコントローラ100は、
予備制動時にスプール式電磁液圧制御弁92よりホイル
シリンダ22〜28に向けて、ピーク値が上記PB を1
割程度越えるブレーキ油圧が供給されるように駆動回路
96,98を駆動する。従って、車輪と路面との間に適
切なグリップが維持されれば、予備制動時において車両
には、シフト位置に関わらず常にGB を僅かに越える減
速度が発生するはずである。
【0094】つまり、本ルーチンにおいては上記S21
4の判定結果が、駆動機構の動作状態に影響されること
がなく、S214においてGB を越える減速度の発生が
判別された場合、路面の摩擦係数μは、高い精度の下
に、所定の減速度GB を発生させ得る摩擦係数μB 以上
であることが推定されることになる。
【0095】ところで、上記図8及び図9に示すルーチ
ンは、内燃機関及びトランスミッションがエンジンブレ
ーキとして機能している状態、すなわちアクセルペダル
14が戻された状態(以下アクセルOFFとする)であ
ることを前提としたルーチンである。
【0096】これに対して、アクセルペダルが踏み込ま
れている場合(以下、アクセルONとする)は、駆動輪
に対して駆動トルクが伝達されるため、予備制動時にア
クセルOFFの場合と同等の減速度を得るためには、図
10に示すようにより大きなブレーキ油圧をホイルシリ
ンダ22〜28に供給する必要がある。
【0097】図11は、かかる点に着目し、アクセルの
ON・OFFに基づいて予備制動時にホイルシリンダ2
2〜28に供給するブレーキ油圧PB を変更し、それに
より路面状態の推定精度の向上を図るべくECU72が
実行するルーチンのフローチャートであり、ECU72
が本ルーチンを実行することにより前記請求項2記載の
発明に実現される。尚、本ルーチンは、自動ブレーキの
作動開始条件が成立した場合に実行されるルーチンであ
る。
【0098】図11に示すルーチンが起動すると、先ず
S300においてスロットルポジションセンサ108の
状態よりアクセルペダル14の状態を読み込む。そし
て、S302でアクセルのON・OFFを判別し、アク
セルONである場合はS304へ進んで比較的大きな所
定値PBON をブレーキ油圧PB に設定する。また、上記
S302においてアクセルOFFであると判別された場
合は、S306へ進んで比較的小さな所定値PBOFFをブ
レーキ油圧PB に設定する。
【0099】この場合、駆動輪に駆動トルクが伝達され
る状況下で予備制動が実施される際には、大きなブレー
キ油圧PB が、また、駆動トルクが存在しない場合には
小さなブレーキ油圧PB がホイルシリンダ22〜28に
供給されることになる。
【0100】従って、上記S304又はS306の処理
の後、S308で上記の如く設定したブレーキ油圧PB
による予備制動を実施した場合、アクセルのON・OF
Fに伴う駆動トルク分がホイルシリンダ22〜28で発
生する制動トルクによって相殺され、いずれの場合にも
車両にはほぼ同等の制動力が発生することになる。
【0101】このため、かかる予備制動の際に車両に発
生する減速度が、所定値GB に達しているか否かを基準
として路面状態を推定する場合、その推定結果がアクセ
ルのON・OFFに影響されることがなく、駆動機構の
動作状態に因らない高精度な路面状態の推定が実現され
る。
【0102】尚、上記ルーチンは、アクセルのON・O
FFに応じて、予備制動時にホイルシリンダ22に供給
するブレーキ油圧PB を変更することにより駆動機構の
動作状態の変動に対処するものであるが、予備制動時の
ブレーキ油圧PB を固定し、その際の減速度Gの判定値
B を、アクセルONの場合は低く(GBON )、アクセ
ルOFFの場合は高く(GBOFF)設定して対処する構成
としてもよい。
【0103】かかる構成を採用した場合、路面状態につ
いて、アクセルONであれば減速度GBON が確保可能な
摩擦係数μBON 以上か否か、アクセルOFFであれば減
速度GBOFFが確保可能な摩擦係数μBOFF以上か否かを精
度良く推定することが可能となる。
【0104】ところで、上述した各ルーチンは、予備制
動を行う際に駆動機構の動作状態が一定でないことを前
提とし、かつ一定でないことを是認して、その影響を排
除し得るブレーキ油圧を設定してホイルシリンダ22〜
28に供給し、又はその影響を考慮したうえで路面の摩
擦係数μを推定するものである。
【0105】この場合、予備制動が実施される直前の状
態において駆動機構の動作状態が一定でないのは、常に
運転状況の変化する車両を対象とする以上回避すること
はできないが、予備制動実行時に先ず駆動機構の状態を
所定の状態に設定し、その後に路面状態の推定処理を行
うことは可能である。
【0106】かかる構成によれば、事実上車両に発生す
る制動力は、ホイルシリンダ22〜28に供給するブレ
ーキ油圧PB のみの関数となり、単にブレーキ油圧PB
に対して発生すべき減速度GB が得られたかを判別する
だけで、路面の摩擦係数μが基準値μB 以上か否かを判
別することができ上記各ルーチンに比べて簡単な処理内
容で同等の推定精度を確保することができる。
【0107】図12、図13は、かかる点に着目して考
案したルーチンのフローチャートを示す。ここで、前記
した請求項3記載の発明は、ECU72がこれらのルー
チンを実行することにより実現されるものであり、この
場合、図4に示す制動制御装置中、コントローラ100
が前記した制動制御手段M9を、電子制御トランスミッ
ション110、又は電子制御スロットル112が前記し
た駆動状態指定手段M11を、また、ECU72が前記
した路面状態推定手段M11を実現することになる。
尚、これら図12、図13に示すルーチンも、上記した
各ルーチンと同様に、自動ブレーキの作動条件が成立し
た場合に起動されるルーチンである。
【0108】図12に示すルーチンは、予備制動時にお
いてトランスミッションのシフト位置を一定に指示する
点に特徴を有している。すなわち、図12に示すルーチ
ンが起動すると、先ずS400でシフト位置を読み込
む。そして、S402で、そのシフト位置がニュートラ
ルか否かを判別する。
【0109】そして、シフト位置がニュートラル位置で
あればそのまま、ニュートラル位置でなければS404
へ進んで電子制御トランスミッション110を操作して
ニュートラル位置とした後、S406へ進んで予備制動
を実施する。つまり、本ルーチンは、トランスミッショ
ンのシフト位置をニュートラル位置に統一して予備制動
を行うルーチンである。
【0110】この場合、予備制動実施時において駆動機
構の存在を無視できることになり、予備制動としてホイ
ルシリンダ22〜28に所定のブレーキ圧PB を供給
し、その際に発生する減速度Gを単純に基準の減速度G
B と比較することにより、路面状態を精度良く推定する
ことが可能となる。
【0111】尚、上記図12においては、予備制動時に
おいてシフト位置をニュートラル位置に設定することに
限定しているが、一定のシフト位置であれば足り、例え
ば予備制動時におけるシフト位置を4速に、または3速
に統一する構成としてもよい。
【0112】図13に示すルーチンは、予備制動時にお
いて内燃機関が発生する出力トルクを一定とすることで
駆動機構の影響を排除しようとするルーチンである。す
なわち、同図に示すルーチンが起動すると、先ずS50
0においてスロットルポジションセンサ108よりアク
セルペダル14の状態を読み込む。
【0113】そして、S502でアクセルOFFか否か
を判別し、アクセルOFFであればそのまま、OFFで
なければS504へ進んで電子制御スロットルを制御し
て内燃機関のスロットルバルブを閉弁した後、S506
へ進んで予備制動を実施する。
【0114】つまり、本ルーチンによれば、予備制動は
常にスロットルバルブが全閉の状態で実施されることに
なり、運転者の操作如何によらず、予備制動時において
は駆動機構が常にエンジンブレーキとして機能すること
が保証される。このため、ECU72が本ルーチンを実
行する場合、駆動機構の動作状態としてはシフト位置の
みを考慮すれば、高い精度で路面状態を推定することが
可能となる。
【0115】尚、本ルーチンは、上述した如く単独で実
施する場合においても予備制動実施時における内燃機関
の状態を統一して路面状態の推定精度向上に資するもの
でありが、シフト位置の影響を排除する上記図8、図9
に示すルーチンと併せて実行することにより更に高い効
果を得ることができる。
【0116】
【発明の効果】上述の如く、請求項1記載の発明によれ
ば、路面状態推定手段は、車両の走行状態の変化に伴っ
て駆動機構から駆動輪に伝達される制動トルクまたは駆
動トルクが変動することを前提とし、その変動を考慮し
たうえで路面の摩擦係数μを推定する。このため、摩擦
係数μの推定精度が、駆動機構の動作状態に影響される
ことがなく、高い推定精度を確保することができる。
【0117】また、請求項2記載の発明によれば、制動
制御手段が制動制御時にブレーキ機構に供給するブレー
キ油圧は、常に駆動機構の動作状態を考慮したものとな
り、制動制御時に車両に発生する制動力は、駆動機構の
動作状態に関わらず常に所定の制動力に維持される。こ
のため、路面状態推定手段が、制動制御時に発生させる
べく設定した所定の制動力と、その際に発生した減速度
とに基づいて摩擦係数μを推定する場合、高い推定精度
を確保することが可能となる。
【0118】更に、請求項3記載の発明によれば、制動
制御手段がブレーキ機構に所定のブレーキ圧を供給する
場合には、常に駆動機構が所定の動作状態に指定され
る。この結果、制動制御時において車両に発生する制動
力から駆動機構の動作状態の影響が排除されることとな
り、ブレーキ機構に供給したブレーキ油圧と、その際に
発生した減速度との関係のみに基づいて、高い精度で摩
擦係数μを推定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1記載の発明に係る制動制御装置の原理
構成図である。
【図2】請求項2記載の発明に係る制動制御装置の原理
構成図である。
【図3】請求項3記載の発明に係る制動制御装置の原理
構成図である。
【図4】本発明の一実施例である制動制御装置の全体構
成図である。
【図5】ホイルシリンダに供給するブレーキ油圧と路面
の摩擦係数μとの相関を説明するための図である。
【図6】路面状態を推定するために実施する予備制動の
ブレーキ油圧供給パターンの一例、及びそれに伴って発
生する減速度の一例を示す図である。
【図7】トランスミッションのシフト位置が車両の減速
度に影響することを説明するための図である。
【図8】本実施例の制動制御装置のECUがシフト位置
の影響を排除して路面状態を推定するために実行するル
ーチンのフローチャートの一例である。
【図9】本実施例の制動制御装置のECUがシフト位置
の影響を排除して路面状態を推定するために実行するル
ーチンのフローチャートの他の例である。
【図10】アクセルペダルのオン・オフが車両の減速度
に影響することを説明するための図である。
【図11】本実施例の制動制御装置のECUがアクセル
ペダルのオン・オフの影響を排除して路面状態を推定す
るために実行するルーチンのフローチャートの一例であ
る。
【図12】本実施例の制動制御装置のECUがシフト位
置指定によりその影響を排除して路面状態を推定すべく
実行するルーチンのフローチャートの一例である。
【図13】本実施例の制動制御装置のECUがスロット
ル開度指定により内燃機関の影響して路面状態を推定す
べく実行するルーチンのフローチャートの一例である。
【符号の説明】
M1 減速度検出手段 M2 駆動機構 M3 駆動状態検出手段 M4 ブレーキ機構 M5,M7,M9 制動制御手段 M6,M8,M11 路面状態推定手段 M10 駆動状態指定手段 22,24,26,28 ホイルシリンダ 72 電子制御ユニット(ECU) 92 スプール式電磁液圧制御弁 100 コントローラ 104 減速度センサ 106 シフトポジションセンサ 108 スロットルポジションセンサ 110 電子制御トランスミッション 112 電子制御スロットル

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両に生じる減速度を検出する減速度検
    出手段と、 車両の駆動輪に駆動トルクを伝達する駆動機構の動作状
    態を検出する駆動状態検出手段と、 所定の状況下で車両のブレーキ機構に所定のブレーキ油
    圧を供給して制動制御を実行する制動制御手段と、 制動制御時に前記制動制御手段が前記ブレーキ機構に供
    給するブレーキ油圧と、該制動制御時に前記駆動状態検
    出手段が検出する前記駆動機構の作動状態と、該制動制
    御時に前記減速度検出手段が検出する車両の減速度とに
    基づいて、走行中の路面状態を推定する路面状態推定手
    段とを備えてなることを特徴とする制動制御装置。
  2. 【請求項2】 車両に生じる減速度を検出する減速度検
    出手段と、 車両の駆動輪に駆動トルクを伝達する駆動機構の動作状
    態を検出する駆動状態検出手段と、 所定の状況下で車両のブレーキ機構に所定のブレーキ油
    圧を供給して制動制御を実行するに際し、前記駆動状態
    検出手段の検出結果に基づいて、前記駆動機構の作動状
    態に因らず制動制御時に車両に発生する制動力が所定値
    となるように前記ブレーキ油圧を設定する制動制御手段
    と、 制動制御時に車両に発生させる所定の制動力と、該制動
    制御時に前記減速度検出手段が検出する車両の減速度と
    に基づいて、走行中の路面状態を推定する路面状態推定
    手段とを備えてなることを特徴とする制動制御装置。
  3. 【請求項3】 車両に生じる減速度を検出する減速度検
    出手段と、 所定の状況下で車両のブレーキ機構に所定のブレーキ油
    圧を供給して制動制御を実行する制動制御手段と、 車両の駆動輪に駆動トルクを伝達する駆動機構の動作状
    態を指定する機能を有し、制動制御時において、該駆動
    機構の動作状態を所定の状態に指定する駆動状態指定手
    段と、 制動制御時に前記制動制御手段が前記ブレーキ機構に供
    給するブレーキ油圧と、該制動制御時に前記減速度検出
    手段が検出する車両の減速度とに基づいて、走行中の路
    面状態を推定する路面状態推定手段とを備えてなること
    を特徴とする制動制御装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007076387A (ja) * 2005-09-09 2007-03-29 Mitsubishi Motors Corp 車両の衝突回避装置

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007076387A (ja) * 2005-09-09 2007-03-29 Mitsubishi Motors Corp 車両の衝突回避装置

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