JPH071082A - 金属長尺体押出成形方法及びその装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 溶融状態にある金属素材から連続的に金属長
尺体を押出し成型し、ビレット等を成形せずに、溶融金
属から必要な長さの線材を連続的に成形する。 【構成】 溶融金属２が電磁ポンプ３によって吐出管５
からテーパ管７へ向けて吐出される。テーパ管６は、溶
融金属２の融点よりやや低い温度に維持されており、溶
融金属２はこのテーパ管６の内部で除々に放熱し、外側
から次第に半凝固状態となりならが、電磁ポンプによっ
て与えられる加圧力により内径の細いテーパ管６の先端
側へ押し出されて絞られ、次第に細くなる。さらに、半
凝固状態の溶融金属２は、テーパ管６より低い温度に維
持されたノズル管７でさらに冷却され凝固し、押し出さ
れる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、電磁ポンプの吐出力を
利用して金属長尺体を連続的に製造する方法とその方法
を実施するための装置に関する。さらに具体的には、ア
ルミニューム等の原材料を主成分とする溶融金属を、直
接湯槽から電磁ポンプを用いて吐出し、その溶融金属を
テーパ管で径を絞りながら冷却、凝固させて、テーパ管
の先端のノズル管から連続的に金属長尺体を押出成形す
る方法とその方法を実施するための装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、金属長尺体を製造する装置として
は、溶解された金属をビレット化し、そのビレット化さ
れた素材をダイスを通過させることによって必要な太さ
の長尺部材として完成させる装置が一般的である。ま
た、溶融金属を用いてそれを凝固させながら直接ダイス
に圧入し、押出し成型する方法として、例えば特開昭６
２−１７９８０８号公報がある。この技術は、溶融金属
をコンテナの中に供給し、ステムを使用してそのコンテ
ナ内の溶融金属を加圧することにより、凝固した金属を
ダイスから押し出すもので、ステムとコンテナから連続
的に金属長尺体を押出し成型するものである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の
金属長尺体成形手段は、ビレットから或る程度の細い径
の金属長尺体に絞り込むダイスの成型能力に限界がある
ため、その整形能力を考慮して数段の工程を準備し、し
かもそれらが互いに連係した動作をするようにコントロ
ールしながら金属長尺体を成形しなければならない。ま
た、成形される金属長尺体の長さが素材として準備され
たビレットの大きさで決まるため、連続的に長尺の金属
長尺体を製造することが出来なかった。

【０００４】また、後者の金属長尺体成形手段では、コ
ンテナ内に供給される溶融金属の量によって線材を一度
に押し出す長さが決定され、一度ダイスを通過した金属
長尺体が、次にコンテナ内に溶融金属を供給してステム
が動作するまで停止した状態になる。このような装置
は、コンテナ内に供給される溶融金属の供給、停止制御
が高温の溶融金属を取り扱っていることもあって、その
部分の故障頻度が高くなることが避けられない。さら
に、ステムと称する加圧ピストンを用いて押出しを行う
ため、溶融金属のコンテナとステム間からの漏出を防止
するための工夫が必要である。また、ステムの往復によ
る押出し成型のため、連続的に金属長尺体が押し出され
ないので次工程における巻取り、又は成型加工さらには
メッキ工程等における作業性が悪くなる欠点がある。

【０００５】本発明は、かかる従来の欠点を解決し、溶
融状態にある金属素材から連続的に金属長尺体を押出し
成型し、ビレット等を成形せずに、溶融金属から必要な
長さの線材を連続的に成形することが出来る金属長尺体
押出成形方法及びその方法を実施するための装置を提供
することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】すなわち、本発明では、
前記目的を達成するために、溶融金属を蓄えた湯槽から
溶融金属を吐出する電磁ポンプの吐出口に、先端へいく
に従って次第に径が小さくなるテーパ管の基端側を接続
し、該テーパ管の先端側に小径のノズル管を接続すると
共に、前記テーパ管とノズル管の外周に各々冷却器とヒ
ータとを設けて、これらテーパ管とノズル管との温度制
御を行いながら、前記電磁ポンプで湯槽から溶融金属を
吐出し、この溶融金属をテーパ管で絞りながら半凝固状
態になるまで徐々に冷却し、さらにノズル管で溶融金属
を凝固状態になるまで冷却して押し出すことにより、金
属長尺体を押出成形することを特徴とする金属長尺体押
出成形方法を提供する。

【０００７】さらに、溶融金属を蓄えた湯槽と、その溶
融金属を吸引し、圧力をもって吐出する電磁ポンプと、
当該電磁ポンプの吐出口に基端側が接続され、先端側へ
いくに従って次第に径が細くなるテーパ状の内周面を有
するテーパ管と、当該テーパ管の小径の先端側に接続さ
れた同先端とほぼ等しい内径のノズル管と、前記テーパ
管とノズル管の外周に設けられ、その内部の温度制御す
る冷却器及びヒータとを備えるとを特徴と金属長尺体押
出成形装置を提供する。

【０００８】

【作用】前記本発明による金属長尺体押出成形方法によ
れば、必要な量の原材料から連続的に必要な長さの金属
長尺体を製造することが出来るようになる。すなわち、
金属長尺体の原料となる溶融された状態の金属を湯槽に
入れ、電磁ポンプで汲み上げてテーパ管側に吐出する
と、溶融金属は、テーパ管で次第にその径が絞られると
同時に冷却され、半凝固状態となる。続いて、溶融金属
がノズルにおいてさらに冷却され、その先端から押し出
されるため、溶融金属は完全に固体化した金属長尺体と
して押し出される。この本発明による金属長尺体成形方
法では、湯槽に準備された溶融金属がなくなるまで金属
長尺体を連続的に押出成形が出来るものであり、湯槽に
順次溶融金属を供給しながら金属長尺体を押出成形すれ
ば、無限の長さの金属長尺体を成形することも可能であ
る。

【０００９】

【実施例】以下図面を参照しながら、本発明の具体的な
実施例を説明する。図１は、本発明の実施例による金属
長尺体押出成形装置を金属線の押出成形装置として具体
化したものの全体構成を示し、図２はその要部を示す。
図１において、１は湯槽で溶融金属２が蓄えられる。３
は電磁ポンプであり、この電磁ポンプ３は、周囲に電磁
コイルを有し、その電磁コイルによって誘起される電磁
誘導の作用によって、その中心の管内に溶融金属２を吸
引し、吐出する。なお、電磁ポンプの制御回路について
の説明は省略するが、当該電磁ポンプを運転するために
電力系統の制御装置が必要なことはいうまでもない。

【００１０】この電磁ポンプ３は前述の湯槽１から溶融
金属２を吸引し、その上部側面に設けられた吐出口４か
ら吐出する。５はこの電磁ポンプ３の吐出口４に接続さ
れた吐出管である。この吐出管５は前述の吐出口４と、
後述のテーパ管６を接続するためのものだが、電磁ポン
プ３の吐出口４と、後述のテーパ管６とを直接接続する
場合は、この吐出管５は不要となる。５ａは吐出管５の
外周に設けられた保温ヒータである。これは溶融金属が
この吐出管５内で温度が下がらないように保温する目的
で設けられている。すなわち、溶融金属の溶融状態を維
持するために、吐出管５は、ヒータ５ａによってその融
点より高い温度に加熱される。例えば、径０．１〜５．
０ｍｍのアルミニウム線を成形する場合、吐出管５はほ
ぼ６７０℃程度を維持するようにコントロールされ。こ
うした温度のコントロールは、図示してない温度センサ
ーを吐出管５に取付け、その測定値を制御器にフィード
バックして行なう。なお、この吐出管５は図では直管に
なっているが、別に直管である必要はなく、例えば直角
に曲がったベント管等であっても良い。さらに、テーパ
管６までに至る溶融金属の温度を適当に調整するため、
吐出管５とテーパ管６との間に、保温ヒータと冷却器を
設けたダクトを接続してもよい。

【００１１】図１と図２において、６は押出成形用の型
の基端側となるテーパ管であり、このテーパ管６は、そ
の内径部分が先端に行くほど細くなるように形成された
耐熱性の管である。一般に、このテーパ管６にはセラミ
ックが使用され、例えば、窒化珪素が適している。この
テーパ管６の外周部に冷却器６ａと、ヒータ６ｂが設け
られている。冷却器６ａは冷媒通路となるパイプからな
り、これがヒータ６ｂと交互にテーパ管６の円周方向に
巻き付けられ、テーパ管６の温度を任意に制御可能とす
る。例えば、この装置によりアルミニウム線を押出成形
する場合、テーパ管６は、アルミニウムの融点よりやや
低い約６５０℃程度の温度を予め保持しておく必要があ
る。当初はヒータ６ｂによりその温度にテーパ管６を加
熱するが、押出成形を開始した後、溶融アルミニウムの
温度によりテーパ管６の温度が次第に上昇するため、冷
却器６ａにより冷却することで、運転中に常に前記の温
度を維持する。こうした温度のコントロールは、吐出管
５と同様にして、図示してない温度センサーをテーパ管
７に取付け、その測定値を制御器にフィードバックして
行なう。

【００１２】図１と図２において、７は押出成形用の型
の先端側となるノズル管であり、このノズル管７は、耐
熱性材料により、その全長がほぼ等しい太さの内径の管
として形成されている。その素材は、セラミックが一般
的であり、特に、線材化される金属材料との濡れ性等か
ら窒化ホウ素が好ましい。このノズル管７は基端が前述
のテーパ管６の小径端側に接続され、先端は開口してい
る。さらに、このノズル管７は、前述のテーパ管６と同
様に、その外周部に冷媒の通る冷却器７ａとヒータ７ｂ
が設けられている。テーパ管６で半凝固状態にまで冷却
された溶融金属は、このノズル管７で冷却されて凝固状
態になる。そのため、前記のアルミニウム線を押出成形
する場合を例にすると、このノズル管７は前記テーパ管
６よりさらに低い６４０℃前後の温度に維持される。冷
媒としては、空気、油、または空気と水の混合気等が使
用できる。ヒータ７ｂは、主としてノズル管７の予熱に
使用される。

【００１３】図１において、８、８’はガイドローラ、
９は冷却部、１０は巻付ドラム、１１は整形用ダイス、
１２は巻取ドラムである。ノズル管７から凝固状態で押
し出された金属長尺体Ａは、ガイドローラ８、８’に導
かれながら冷却部９を通過し冷却される。冷却された金
属長尺体Ａは、一旦巻付ドラム１０に巻付けられる。そ
の後、整形用ダイス１１を経て巻取ドラム１２に巻取ら
れるものである。なお、整形用ダイス１１は必要に応じ
て設けられ、例えばダイスの代わりにメッキを施すため
のプラズマ処理装置、表面処理装置或は被覆装置等が設
けられることもある。

【００１４】図２により、前記テーパ管６とノズル管７
との構造をさらに具体的に説明すると、テーパ管７は、
電磁ポンプ３の吐出管５に接続され、その外周が保温材
２０で覆われている。冷却器６ａとヒータ６ｂがその保
温材２０を通して外部に導出され、必要な制御装置に接
続される。ノズル管７の外周部分も、やはり同様に保温
材２０’で覆われ、冷却器７ａとヒータ７ｂがその保温
材２０を通して外部に導出され、必要な制御装置に接続
される。

【００１５】次にこの金属長尺体押出成形装置を用いて
金属長尺体を押出成形する方法の実施例について説明す
る。湯槽１に成形される金属長尺体Ａの長さから算出さ
れた必要な重量の金属素材が投入溶解され、溶融金属２
として準備される。充分に溶解した溶融金属２は、電磁
ポンプ３によって吸引され、当該電磁ポンプの電磁誘導
作用による加圧力をもって吐出管５からテーパ管７へ向
けて吐出される。吐出管５は、溶融金属２の融点より高
い温度に維持されているため、溶融金属２はこの吐出管
５にある時はまだ完全に溶融状態にある。

【００１６】溶融金属は前記の吐出管５から、さらに電
磁ポンプ３による加圧力によって、所定の温度に予熱さ
れたテーパ管６に圧入される。このテーパ管６は、溶融
金属２の融点よりやや低い温度に維持されているため、
溶融金属２はこのテーパ管６の内部で除々に放熱し、外
側から次第に半凝固状態となりならが、電磁ポンプによ
って与えられる加圧力により内径の細いテーパ管６の先
端側へ押し出されて絞られ、次第に細くなる。さらに、
テーパ管６から押し出された半凝固状態の溶融金属２
は、テーパ管６より低い温度に維持されたノズル管７で
さらに冷却され凝固し、線状となって押し出される。こ
のノズル管７の内径は均一であり、溶融金属は絞られ
ず、一定の径のまま押し出される。

【００１７】ノズル管７から押し出された金属長尺体Ａ
は、まだ６００℃前後の温度を保持しているので、ガイ
ドローラ８、８’の間で冷却部９によって冷却液が吹き
付けられ、その温度が充分に下げられる。温度の低下し
た金属長尺体Ａは、巻付ドラム１０と整形用ダイス１１
を経て、巻取ドラム１２（図１参照）に巻き付けられ
る。但し、前述のように、巻取ドラム１２に巻き付ける
前に、メッキ処理は被覆処理が行なわれる場合もある。
例えば、製造される金属長尺体Ａが、空気に晒されるこ
とによって生ずる表面の酸化膜を嫌って、特定の雰囲
気、例えば窒素雰囲気のなかで製造される場合等は、ノ
ズル管からの金属長尺体Ａを直ちに別に酸化防止処理を
行なう。冷却された金属長尺体Ａは、湯槽１内の溶融金
属２が無くなるまで連続的にノズル管７の先端から押し
出され、巻取りドラム１２に巻取られる。

【００１８】なお、前記の実施例では、金属長尺体Ａと
して径の細い金属線を押出成形する場合について説明し
たが、テーパ管７とノズル管６の内径を或る程度太くす
れば、より径の太い長尺な棒状体を成形することもでき
る。さらに例えば、テーパ管７とノズル管６の中にマン
ドレルを挿入することで、中空の金属長尺体を成形する
こと可能である。

【００１９】

【発明の効果】以上説明した本発明による金属長尺体押
出成形方法とその装置は、電磁ポンプが有する吐出力を
利用し、事実上無限の長さの金属長尺体を連続して成形
することが出来る。さらに、溶融金属からビレット等を
成形することなく、直接金属長尺体を成形できるため、
金属長尺体を能率よく製造することが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例による金属長尺体押出成形装置
の全体構成を示した一部縦断側面図である。

【図２】同実施例による金属長尺体押出成形装置の主要
部を示す要部拡大縦断側面図である。

【符号の説明】

１ 湯槽 ２ 溶融金属 ３ 電磁ポンプ ５ 吐出管 ６ テーパ管 ７ ノズル管 ６ａ、７ａ 冷却器 ６ｂ、７ｂ ヒータ Ａ 金属長尺体

フロントページの続き (72)発明者 浅葉 信 茨城県日立市滑川本町三丁目19番５号 助 川電気工業株式会社内

Claims (3)

【整理番号】 ０９２０１６６−０２ 【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 溶融金属を蓄えた湯槽から溶融金属を吐
   出する電磁ポンプの吐出口に、先端へいくに従って次第
   に径が小さくなるテーパ管の基端側を接続し、該テーパ
   管の先端側に小径のノズル管を接続すると共に、前記テ
   ーパ管とノズル管の外周に各々冷却器とヒータとを設け
   て、これらテーパ管とノズル管との温度制御を行いなが
   ら、前記電磁ポンプで湯槽から溶融金属を吐出し、この
   溶融金属をテーパ管で絞りながら半凝固状態になるまで
   徐々に冷却し、さらにノズル管で溶融金属を凝固状態に
   なるまで冷却して押し出すことにより、金属長尺体を押
   出成形することを特徴とする金属長尺体押出成形方法。
2. 【請求項２】 溶融金属を蓄えた湯槽と、その溶融金属
   を吸引し、圧力をもって吐出する電磁ポンプと、当該電
   磁ポンプの吐出口に基端側が接続され、先端側へいくに
   従って次第に径が細くなるテーパ状の内周面を有するテ
   ーパ管と、当該テーパ管の小径の先端側に接続された同
   先端とほぼ等しい内径のノズル管と、前記テーパ管とノ
   ズル管の外周に設けられ、その内部の温度制御する冷却
   器及びヒータとを備えるとを特徴と金属長尺体押出成形
   装置。
3. 【請求項３】 請求項２において、テーパ管とノズル管
   が、セラミックを主成分とする素材で形成されることを
   特徴とする金属長尺体押出成形装置。