JPH071057B2 - 静圧ねじ - Google Patents

静圧ねじ

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JPH071057B2
JPH071057B2 JP62206567A JP20656787A JPH071057B2 JP H071057 B2 JPH071057 B2 JP H071057B2 JP 62206567 A JP62206567 A JP 62206567A JP 20656787 A JP20656787 A JP 20656787A JP H071057 B2 JPH071057 B2 JP H071057B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、流体圧で雄ねじと雌ねじ間を非接触で支持す
る静圧ねじに関するものである。
(従来技術及び発明が解決しようとする問題点) 回転運動を直線運動に変換させるねじ送りの高速・高精
度化を達成させる手段のひとつとして、雄ねじと雌ねじ
間の隙間(以下ねじ隙間と言う)に加圧流体を供給し、
流体圧を介して雄ねじと雌ねじ間を非接触で支持する静
圧ねじがある。静圧ねじには、使用する作動流体によっ
て、油静圧ねじと空気静圧ねじがある。これら静圧ねじ
は、固体摩擦がゼロであるために、スティックスリップ
やバックラッシュが無い。また、流体膜の平均化効果に
より送り精度が非常に高くなる。あるいは、摩耗がない
ので恒久的に精度が劣化しないなどの優れた特長を有す
る。このため、近年、超精密加工、半導体素子や光学部
品の製造装置あるいは電子機器などの高精度あるいは高
速性を要求される装置への適用が検討されている。
しかしながら、流体の供給や回収のため、雌ねじが複雑
な構造となり、設計が容易でないこと、あるいは高精度
な加工を要することなど技術的課題が多く、実用的な静
圧ねじは実現されていない。特に、粘性の非常に小さい
気体を作動流体とする空気静圧ねじでは、ねじ隙間の空
気潤滑膜の剛性を高めることが難しく、実用的な空気静
圧ねじは実現されていない。
第6図及び第7図に従来の油静圧ねじの構造を示す(精
密機械、49,7(1983),889、及び同誌48,10(1982),12
91)。ともに(a)は断面図、(b)はねじの送り方向
から見た雌ねじのフランク面である。雄ねじ1は通常の
送りねじである。これに対し、雌ねじは、ねじ隙間8に
油を供給・回収するため複雑な構造となっている。即ち
ナットケース2とナット3で構成され、ナットケース2
の円筒内周またはナット3の円筒外周に油の供給溝4と
回収溝5が雄ねじのピッチに合せて螺旋状に刻まれ、供
給溝4および回収溝5が供給孔6と回収孔7に導かれ、
ねじ隙間8への流体の供給回収が為される。供給孔6は
ねじ隙間8に供給する流体の量や流れの均一性に直接影
響し、静圧ねじの性能を支配するので、加工の精密さが
要求される。特に、静圧ねじの小型化を図る場合、供給
孔6,回収孔7を小さな部品に螺旋状に合せて精密加工す
ることが困難となり、静圧ねじの小型化が容易でない欠
点がある。
更に、一般に静圧軸受では受圧面積を大きくするために
油だまりポケットが設けられるが、このポケットの加工
が静圧ねじでは非常に複雑となっている。第6図の従来
技術では、円周を4分割したポケット11をフランク面に
加工しているが、この加工は現実にはナット3の内面で
の溝加工であり、工具の加工位置への入出を考えると非
常に難しい。このため、第5図の従来技術では、フラン
ク面で楕円状に開口する供給口6をそのままポケットと
して使用している。
一方、静圧ねじも静圧軸受と同様の原理に従っており、
雄ねじと雌ねじ、または軸と軸受間の隙間が減少すると
隙間内の流路抵抗が増すため流体圧が上昇し、逆に隙間
が増大すると流体圧が下降するバランスで一定のねじ隙
間や軸受隙間が保たれるように構成される。この隙間変
化による流体圧の上昇や下降の割合が大きいほど雄ねじ
と雌ねじ、または軸と軸受間の剛性が高いことになり、
性能が良いことになる。しかしながら隙間内の流路抵抗
のみでは、この剛性をさほど高められないので、通常は
自成絞り,表面絞り,あるいはオリフィス絞り等の流路
抵抗をさらに付加して、剛性を効率よく高める工夫がさ
れる。第6図の例では供給孔6の途中にオリフィス絞り
10を付加してあるが、静圧ねじでは多数の供給孔が必要
であり、オリフィスのような複雑な加工を多数施すこと
は、静圧ねじを高価なものとする原因となっている。一
方、第7図の例では、供給溝4と供給孔6の間を浅い溝
で接続する部分が面絞り10の役目を果たしている。この
浅い溝は、ねじ山に沿ってナット外周面に螺旋状に加工
される。
作動流体に空気などの気体を用いる空気静圧ねじでは、
上記の剛性の問題はずっと深刻である。これは、気体の
粘性係数が油の1/1000オーダと極端に小さく、かつ圧縮
性流体であることに起因する。このため、空気軸受は油
を用いた軸受に比べ、隙間を一段と小さく、数ミクロン
から大きなものでせいぜい数十ミクロンにする必要があ
る。空気静圧ねじは、ねじのフランク面を空気軸受面と
するものであり、上記のごとき浮上隙間を実現するため
には、雄ねじと雌ねじの加工において、面精度,形状精
度,ピッチ精度のいずれにおいても極めて高精度の加工
が必要となる。更に、ねじに剛性を付与するための絞り
を多数の給気孔に対して高精度に加工する必要があり、
これらの複雑な形状の高精度加工の困難さが、空気静圧
ねじの大形化,高価格化を招き、実用的な空気静圧ねじ
が実現しない理由となっている。
第8図及び第9図に、従来の空気静圧ねじの構造を断面
図で示す(機械学会講演論文集、830-14(1983)223,特
開昭59-113360,および特開昭60-241566)。図に付与し
た番号は第6,7図に示した油静圧ねじの場合と同様であ
るが、第8図及び第9図では排気経路(先の図では回収
溝5と回収孔7に相当)は図示していない。
第8図は、流路抵抗として自成絞り10″を用いている。
前記のように浮上隙間を非常に小さくするために高精度
な加工の必要な空気静圧ねじでは、雌ねじのフランク面
に表面絞りやオリフィス絞りのような複雑な形状加工を
施すことはほとんど不可能であり、自成絞りとならざる
を得ない。ところが、空気軸受の性能として自成絞り
は、表面絞りやオリフィス絞り、あるいはその複合絞り
よりも単位面積当りの剛性が低いという欠点があり、結
果として空気静圧ねじの剛性を高くすることができな
い。
一方、第9図は、ナット3を多孔質体で構成し、ナット
自身を多孔質絞りとした空気静圧ねじである。(a)と
(b)は同じような構成であるが、(b)の例はフラン
ク面以外の部分(太線部分)を封止してある。この構成
にすると第8図と異なり、(a)のように給気孔の穴あ
け加工が不要になる。あるいは(b)のように給気孔は
単純な多孔質体への穴あけ加工で良い。さらに、フラン
ク面が単なるねじ加工で良いという利点がある。そし
て、多孔質絞りは給気効率が良いので、他の絞り形式に
較べて剛性も高くできる。しかしながら、多孔質体が金
属材料である場合には、ねじの切削あるいは研削加工の
際の材料の塑性変形による目詰りが問題となる。第9図
(a),(b)におけるフランク面9、あるいは(b)
における給気孔6の側壁が加工時に目詰りしてしまう
と、流路がふさがれてしまうので、空気静圧ねじとして
機能しない。他方、多孔質空気軸受において、空気吹出
し表面の適度な目詰りは、オリフィス絞りと同様に軸受
剛性を高める効果がある。直線スラスト軸受のような単
なる平面状の軸受で、軸受面の加工量に自由度がある場
合には、この目詰り効果をうまく利用することができ
る。しかしながら、ラジアル軸受や空気静圧ねじのよう
に軸受対向面との形状的制約から加工量がそのまま浮上
隙間を決めてしまう場合には、適度な目詰りを加工によ
り制御することは困難である。まして、加工目詰りの量
は材料の種類や加工の際の切り込みや加工速度など様々
な条件で異なってしまうので、加工精度との両立は困難
である。
さらに静圧空気軸受においては、ニューマチックハンマ
という問題がある。ニューマチックハンマは、気体の圧
縮性が原因となる自励振動であり、ポケット付きのオリ
フィス絞りや多孔質絞りのような流路体積の大きい気体
軸受で起り易い。第9図の例は、ナット全体が多孔質体
であり、上記の流路体積が大きいために、ニューマチッ
クハンマが起り易い構造になっている。
(発明の目的) 本発明は上記の欠点を改善するために提案されたもの
で、その目的は、静圧ねじのフランク面に供給孔あるい
はポケットを設けることなく構成できる静圧ねじを実現
し、小形,高性能で低価格の静圧ねじを提供することに
ある。
(問題点を解決するための手段) 上記の目的を達成するため、本発明は流体の導通孔を持
つ基体を有し、該基体はねじ山の一部を構成し、前記基
体はねじ山とねじ山の間に排気孔を有しており、ねじの
山と谷の間のフランク面の少なくとも一部が前記基体と
接合したセラミック多孔質体で構成され、該セラミック
多孔質体は流体の供給路を有しており、該供給路に前記
導通孔が接続され、かつ前記セラミック多孔質体のフラ
ンク面の表裏あるいは表面と連なる内部に無電解メッキ
が施されていることを特徴とする静圧ねじを発明の要旨
とするものである。
しかして本発明による静圧ねじは、フランク面の少なく
とも一部が流体の供給路を有するセラミック多孔質体で
構成され、前記多孔質体に流体を供給するための導通孔
が前記多孔質体に接続され、かつ、前記多孔質体の表面
あるいは内部に無電解ニッケルメッキが施されているこ
とを特徴とする。
(作用) 本発明は、静圧ねじのフランク面に対する流体の供給路
に多孔質体を用いることにより、多孔質自体が流路と流
路抵抗を兼ねた作用をするため、フランク面に流体の供
給孔やポケットなどの加工をする必要がない。また、セ
ラミック多孔質体の流路抵抗を無電解ニッケルメッキに
より調整できるため、最大の絞り効果を得ることができ
る。以上により、高い剛性を有する小形の静圧ねじを簡
単な加工で製作できる。また、ねじ山の角度がねじ軸に
垂直な方形ねじとすることにより、軸方向のみの加工力
がかかり、曲げの力がかからないのでねじの加工精度を
高め、高い送り精度を実現できる。
次に本発明の実施例について説明する。なお、実施例は
一つの例示であって、本発明の精神を逸脱しない範囲
で、種々の変更あるいは改良を行いうることは言うまで
もない。
(実施例1) 第1図は本発明の第1の実施例を示すもので、図におい
て、1は雄ねじ、2はナットを保持するナットケース、
3はナット、3′はねじ山の先端部、4は流体の供給
溝、5は流体の排出・回収溝、6は供給溝4と多孔質体
12の間の導通孔、7は流体の排出・回収孔、8はねじ隙
間、9,9′はフランク面(ねじ山の山と谷を結ぶ面)、1
2はセラミック多孔質体である。
基体3,多孔質体12,先端部3′は、ねじ山を加工する前
は3重の円筒が一体で焼結されたものである。流体は供
給溝4から導通孔6を通り、多孔質体12に至った後、左
右のねじ隙間8に供給される。第1図(b)はねじ軸方
向から見た静圧ねじのフランク面を模式的に示したもの
で、紙面に垂直な方向に螺旋状につながっているが、こ
の切断面は示していない。フランク面の後ろにある導通
孔6を破線で示してあり、軸方向には、導通孔6はねじ
山に対応する位置にある。
通常、多孔質体12は連続して連った無数の微小空間によ
り構成され、これを流体が通過する際の抵抗によって絞
りの効果を得るものである。このため、この構造によれ
ば、多孔質体12が流体の供給路と流路抵抗の付加(絞
り)とを兼ねていることになる。多孔質材料は一般に焼
結成形されるために表面のうねりや粗さが大きいが、本
発明では、ねじのフランク面を機械加工して所要の精度
を確保し、多孔質体の表面で直接軸受面を形成する。以
上のことから,本発明の構造によれば、自成絞りやオリ
フィス絞り、あるいは表面絞りの加工が不要である。加
えて、従来フランク面に到達する供給孔の精度加工が必
要とされたが、本発明によれば、多孔質体の内部に接続
できる程度の精度で、かつ、1つの供給孔で左右両フラ
ンクに流体を供給することができる。このように静圧ね
じの加工が容易となるため、小形化,低価格化が可能と
なる。
一般に、金属の多孔質材料は機械加工によって加工面に
目詰りを生じ、通気性を減少させるため軸受性能を極端
に低下させる恐れがある。目詰りは、機械加工において
材料が塑性変形するために起るものである。本発明で、
多孔質体にセラミック材料を用いている理由の1つは目
詰りの問題に起因している。すなわち、セラミック材料
は靱性のないもろい材料であるため、研削加工などの機
械加工において塑性変形することがなく、従って、多孔
質体が目詰りすることがない。
一方、前記の機械加工における多孔質体の目詰りは、目
詰り量を適性に行えば、軸受性能を向上させる(精機学
会秋期大会講演前刷、p35(1969))。これは、多孔質
体内の多数の流路の出口にオリフィスを付加したものと
考えれば理解できる。しかしながら、加工時の塑性変形
のような数多くの加工条件に支配される確率的な現象で
は、巧みな加工を行なわないと所望の目詰りを起させる
ことは難しい。まして、静圧ねじのような形状加工精度
が必要とされる場合には、精度と目詰り量を両立させる
ことは不可能である。本発明では、詳細を実施例2で詳
述するように、セラミック多孔質に無電解ニッケルメッ
キを施すことによって流量の適性化を行う。フランク面
9を所望の精度に機械加工した後、第1図に示す斜線部
9′の部分にメッキが施され、ねじ隙間8の大きさに応
じて最大剛性が得られるように流量が調整されている。
後述のごとくメッキによれば、メッキ時間によって正確
にメッキ厚さを調整できるため、従来の加工目詰りを利
用する方法に較べて所望の流路抵抗を容易に得ることが
できる。
また、従来の多孔質材料でナットを構成した空気静圧ね
じでは、第1図の3,3′,12に相当するナット全体を多孔
質としていた。先にも述べたように空気軸受におけるニ
ューマチックハンマは、流路体積が大きいと起こり易
く、ポケット付オリフィス絞りや多孔質絞りでは、ニュ
ーマチックハンマを防止するような流路の設計、流量の
設定が重要である。本発明の静圧ねじでは、多孔質体の
占める(気体の流れる部分)体積は必要最小限の部分と
なっており、従来のナット全体を多孔質とする場合に較
べて流路体積が小さい。さらに、前述のメッキ層によっ
て流量を適正化してある効果も加わって、ニューマチッ
クハンマの起りにくい構造となっている。
また従来の静圧ねじは、フランク面9が傾斜した台形ね
じや三角ねじとなっていた。これは静圧力をねじ軸の半
径方向にも作用させて、ナットが送り直角方向の荷重を
受けられる、あるいは自動求心性があること、および、
フランク面への供給孔の接続が容易となることがその理
由となっていた。しかしながら、このようなねじ形状で
は、工作機械によりねじ山を創生する加工法に精度上の
難点がある。すなわち、ねじ山に成形した型による加工
が主となるため高精度にフランク面を形成することが容
易でない、とくに、ねじの半径方向の加工分力が大きく
なるので、ねじの送り精度を定めてしまう雄ねじの加工
において、曲げモーメント成分の作用が雄ねじのたわみ
を誘引し、高精度加工を阻害する。この点、ねじ山の角
度が垂直の方形ねじは、加工時のたわみが生じ難いので
工作機械の親ねじなどに使用される精密送りねじにはね
じ山の角度が垂直の方形ねじが用いられる理由となって
いる。本発明の静圧ねじは、本実施例のようにねじ山の
角度を垂直にでき静圧ねじの主目的あるねじ送りの高精
度化を従来に較べ容易に達成できることになる。なお、
実施例3で詳述するように送り直角方向の負荷重に対し
ては、本発明の静圧ねじに平行な直進案内を別に設けれ
ばよい。そして、直進案内は、送りねじのように複雑な
形状ではないので、真直性や剛性などの性能の優れた案
内とすることが容易である。ただし本発明の静圧ねじは
特にねじ山の角度を垂直に限る必要はなく自由に選択で
きるので広範囲な用途に適用できることは勿論である。
尚、本発明の静圧ねじは、気体または液体いずれの流体
も適用できること、並びに、気体と液体では粘性が大き
く異なるが、これに合せ適正な流路抵抗を有する多孔質
体12を選択すれば良いことなどは言うまでもない。流体
の適正な流量はねじ隙間と多孔質のポロシテイの比に依
存する。隙間を大にすればポロシテイを大に、隙間を小
にすればポロシテイを小に制御することにより、適正な
設計値にする。ポロシテイは例えば焼結する前の原料の
粒度により、あるいは後述の本発明の特徴である無電解
ニッケルメッキにより調整できる。
(実施例2) 第2図は、本発明における多孔質体の流路抵抗調整法で
ある無電解ニッケルメッキを説明する第2の実施例であ
る。13はメッキされるナット、14は保持具、15はメッキ
槽、16は水温式恒温槽、18は管路17を介して保持具14と
真空ポンプ19に接続されている負圧タンクである。20は
負圧圧力計,21はヒータを示す。無電解ニッケルメッキ
は周知のごとく、被メッキ物が触媒となって還元反応を
起し、メッキ液中のニッケル陽イオンを還元し、その表
面にニッケルを付着させるものである。いわゆる電気メ
ッキのように電界の作用を利用しないので、電界強度の
高い所に付着が集中したりせず極めて均一な厚さにメッ
キできる。電解の存在しない本例のごときセラミック多
孔質体内にもメッキできるなどの特徴を持っており、メ
ッキ厚さは、温度が一定であれば浸漬時間でメッキ厚さ
を制御することができる。第2図において、保持具14は
ナット13のフランク面9のみをメッキ液にさらし、ナッ
ト13の排気溝5が管路17につながるようになっている。
従って負圧タンク18の負圧によって、メッキ液の多孔質
体内への進入深さを制御することができる。管路17の途
中にあるバルブによって負圧をゼロにすれば、メッキ液
は多孔質体の表層部のみに到達する。このように無電解
ニッケルメッキを実施すれば、負圧吸引によりメッキ層
の多孔質体内への侵入深さ、メッキ時間によりメッキ層
の厚さを自在に調整することができる。従って、従来の
加工目詰りを使用する方法に較べて、多孔質体の流路抵
抗の調整が大幅に正確かつ容易になる。
第3図は本発明のNiメッキを施した多孔質絞り形状の断
面モデルの一例を示すもので、22は多孔質体が一様でな
いため生じる太めの流体通路、23は同様に細めの流体通
路、24はメッキ液の流入側、25は流出側、また、26は多
孔質体内に対するメッキ液の供給量を多くして付着させ
た深層メッキ膜、27はメッキ液の供給量を少なくして付
着させた表層メッキ膜である。
第4図は、本発明のNiメッキを施した多孔質絞り軸受の
特性を示し実験データの一例である。同図に示すように
セラミックの円板中に円環状に多孔質部分を鋳込成形し
た試料に荷重を加え、多孔質部分に加圧空気を供給した
時の試料の浮上特性を測定した結果である。ここで、無
次元剛性値は、軸受の剛性に関する性能を評価する場合
に常用される量で、軸受の形状や寸法あるいは給気圧力
に無関係に剛性性能を評価できる。これからわかるよう
に、本発明のNiメッキを施した多孔質絞り軸受では無次
元剛性値0.5という値が可能であり、通常の自成絞りや
オリフィス絞りなどの場合、その値がうまい設計がされ
ても0.2〜0.3であることを考えると、本発明の多孔質軸
受は高い単位面積当り剛性が得られていることがわか
る。
(実施例3) 第5図は本発明の静圧ねじで構成する送り機構を示す第
3の実施例である。第5図(a)において、1は雄ねじ
であって、ねじ加工のない端部の一方(左側)はスラス
ト軸受31用のフランジとラジアル軸受30用のシャフト、
他方(右側)は、ブッシュ33を介してラジアル軸受32で
支持されるようなシャフトに加工されている。2,2′は
本発明の静圧ナットが組み込まれたナットケースであっ
て、本実施例では、第1図に9で示すフランク面の片側
を封止して多孔質部から流体が吹き出さないようにした
ナットを2個用い、該封止面が左右逆となるように2つ
のナットを間座36を介して結合して用いる。このいわゆ
るダブルナット式は、ボールねじにおける予圧荷重の調
整において通常用いられる方法で、本発明の静圧ねじに
おいても、ねじすきまを間座の厚さを変えることによっ
て調整することができる。雌ねじと接続されたスライダ
28ガイド29によってその長手方向に流体軸受によって案
内される。ガイド29,固定側支持板34および支持側支持
板35がベース33を固定されている。
本実施例のごとく本発明の静圧ねじと回転及び直進の静
圧軸受を組み合わせて送り機構を構成すると、機構の運
動部分に固体摩擦の全く無い送り機構を容易に実現でき
る。第5図(b)は本機構の微小な運動の性能を示す実
験データで、雄ねじに、例えばピエゾ素子のような微動
アクチュエータで微小な回転を与えた時の雌ねじの直進
変位を測定したものである。第5図(b-1)は雄ねじの
微小回転に対する雌ねじの直進変位、第5図(b-2)は
雄ねじにステップ状の回転角を連続的に与えた時の雌ね
じの直進ステップ変位であるが、両図より、本発明の静
圧ねじはナノメータオーダの移動分解能を有しているこ
とがわかる。これは、固体摩擦のある機構ではスティッ
クスリップの影響により決して実現できないオーダの移
動分解能であり、本発明の大きな効果を示している。
また、第5図(c)は、雄ねじを回転しないように固定
した状態で雌ねじに軸方向の荷重を加えた時の雄ねじに
対する雌ねじの軸方向変位、すなわち浮上すきまの変化
を測定した結果である。雄ねじの外径を実用的な25mm,
ナット1個当りのかみ合い数を4とした時、5Kgf/cm2
加圧した空気の給気圧Psに対して、3Kgf/cm2以上とい
う、空気静圧ねじとしては非常に高い剛性(荷重/変
位)が得られている。これは、本発明の静圧ねじの形状
が単純化されていて加工精度が高められること、Niメッ
キで透過流量を調整したセラミック多孔質で実施例2に
示したように高い単位面積当り剛性が得られること、さ
らに、ダブルナット式でねじすきまを調整できること等
の利点が複合された効果であって、前記の剛性値は加工
の高精度化により更に向上できることは、第4図の結果
から類推して明らかである。
さらに、第5図(d)は、雄ねじにロータリエンコーダ
を取り付けてねじ軸の回転量を測定しながら雌ねじの直
進変位をレーザ干渉計で測定し、回転量に対する理想的
な直進変位からの誤差(リード誤差,JIS B1192〜1980,1
980)を実測したデータである。この図において、リー
ド誤差の最大変動eは、ねじ全長の累積リード誤差の回
帰直線からの変動幅の最大値、よろめきe2πは任意の
1リード内でのリード誤差の最大幅と定義されている。
送りねじの送り精度を高める上で、誤差を補正するのが
難しいという観点から最も障害となるのは、よろめきで
あるが、本発明の静圧ねじでは0.2μm以下という値を
示している。本実験に用いた雄ねじ自体の加工後のリー
ド精度は2〜3μmであったので、静圧ねじとすること
で精度1桁向上という効果が認められる。これは、部品
の形状,面,ピッチなどの誤差が流体膜によって平均化
され、運動精度が向上するいわゆる平均化効果によるも
のである。本実施例では雌ねじは8山で雄ねじとかみあ
っていることによって上記の平均化効果が発揮されたも
のである。なお、ここで示したよろめきの量は、通常の
精密ボールねじのそれに比較して1桁程度小さい誤差で
ある。
加えて、第5図(a)に示すように、本発明の静圧ねじ
を直進ガイドと組み合わせると、直進ガイドは平面部品
で構成できるために高い真直度を実現できる部品加工が
できること、本発明の静圧ねじのねじ山形状が方形であ
るためにラジアル方向に浮上力は作用しないことから、
真直性に優れた移動機構を構成できる。ねじ山形状を台
形とするとねじに求心性を持たせることはできるが、逆
に、雄ねじの加工において真直度の高いねじ軸を実現す
ることが難しく、たとえ直進ガイドと組み合せて用いて
も雌ねじに作用するラジアル方向浮上力が移動機構の真
直度に悪影響を及ぼすという欠点があるが、方形とする
とこの欠点を除去できる。
(発明の効果) 以上説明したように本発明の流体の導通孔を持つ基体を
有し、該基体はねじ山の一部を構成し、前記基体はねじ
山とねじ山の間に排気孔を有しており、ねじの山と谷の
間のフランク面の少なくとも一部が前記基体と接合した
セラミック多孔質体で構成され、該セラミック多孔質体
は流体の供給路を有しており、該供給路に前記導通孔が
接続され、かつ前記セラミックス多孔質体のフランク面
の表裏あるいは表面と連なる内部に無電解メッキが施さ
れている静圧ねじによれば、小形・高性能の静圧ねじを
低価格で実現することができる。すなわち、 (イ)従来の自成絞りや表面絞りなど複雑な形状の加
工、および精密な流路溝や孔の加工が不要となるので、
加工が容易となる。
(ロ)ねじの形状が単純化されているので、加工精度が
上がる。
(ハ)多孔質絞りが従来の絞りに較べて給気(油)効率
が良く、かつ無電解ニッケルメッキにより流路抵抗が適
正化されているので高剛性化が図れる。
(ニ)流路である多孔質体の体積が必要最小限であるた
め、空気静圧ねじにした時にもニューマチックハンマが
起こりにくい。
(ホ)多孔質体がセラミック材料で構成されているの
で、加工の際に目詰りがない。なお、静圧ねじをセラミ
ック材料で構成することにより、セラミック材料の特徴
である加工精度が上げられる、軽量である、温度変化が
あっても寸法変化が小さいなど高速・高精度化に適して
いることは言うまでもない。
(ヘ)ねじ山の角度を自由に選択できるので用途が広範
囲であり、特に、ねじ山の角度がねじ軸に直角である方
形ねじとすることにより、静圧ねじの主目的である高精
度化を図ることができる。
などの効果がある。
更に、本発明の静圧ねじを用いて送り機構を構成する
と、 (ト)固体摩擦の全く無い送り機構ができるので、非常
に高い移動分解能が得られる。
(チ)ダブルナット式にしてねじすきまを更に調整でき
るので、更に剛性を高くできる。
(リ)流体膜の平均化効果により、部品自体の加工精度
よりも1桁以上高い送り精度が得られる。
(ヌ)方形ねじと直進案内の組み合わせにより、真直度
の高い移動機構が構成できる。
(ル)ねじ山とねじ山との間に排気孔を設けたので、排
気抵抗が小さく、かつ剛性が高くとれる。
などの効果がある。
従って、超精密な加工あるいは測定精度を求められる装
置における試料や加工・測定工具の精密送り、半導体素
子製造工程における微細パターン転写や検査に用いられ
るXYステージの高速・精密駆動あるいは光や磁気ディス
ク装置における書き込みや読取ヘッドの高速・高精度な
送り位置決め等に用いれば、本発明の静圧ねじの特徴が
生かせることになる。
【図面の簡単な説明】
第1図は多孔質絞りを用いた本発明の静圧ねじ、第2図
は本発明の多孔質体の流路抵抗の調整に用いる無電解ニ
ッケルメッキの実施例、第3図はニッケルメッキを施し
た多孔質絞り形状の断面のモデル、第4図は本発明のNi
メッキを施した多孔質絞り軸受の特性を示す実験デー
タ、第5図は本発明の静圧ねじで構成する送り機構を示
す実施例、第6図,第7図は従来の油静圧ねじ、第8
図,第9図は従来の空気静圧ねじを示す説明図である。 1……雄ねじ 2……ナットを保持するナットケース 3……ナット 4……流体の供給溝 5……流体の排出・回収溝 6……流体の供給孔 7……流体の排出・回収孔 8……ねじ隙間 9……フランク面 10,10′,10″……絞り 11……ポケット 12……多孔質体 13……被メッキ物のナット 14……保持具 15……メッキ槽 16……恒温槽 17……管路 18……負圧タンク 19……真空ポンプ 20……負圧圧力計 21……ヒータ 22,23……流体通路 24……メッキ液の流入側 25……流出側 26……深層メッキ膜 27……表層メッキ膜 28……スライダ 29……ガイド 30……ラジアル軸受 31……スラスト軸受 32……ラジアル軸受 33……ブッシュ 34……固定側支持板 35……支持側支持板

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】流体の導通孔を持つ基体を有し、該基体は
    ねじ山の一部を構成し、前記基体はねじ山とねじ山の間
    に排気孔を有しており、ねじの山と谷の間のフランク面
    の少なくとも一部が前記基体と接合したセラミック多孔
    質体で構成され、該セラミック多孔質体は流体の供給路
    を有しており、該供給路に前記導通孔が接続され、かつ
    前記セラミック多孔質体のフランク面の表裏あるいは表
    面と連なる内部に無電解メッキが施されていることを特
    徴とする静圧ねじ。
JP62206567A 1987-06-29 1987-08-21 静圧ねじ Expired - Lifetime JPH071057B2 (ja)

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DE8787113143T DE3778156D1 (de) 1987-06-29 1987-09-09 Mit statischem druck arbeitende fuehrung aus poroesem werkstoff.
DE3750904T DE3750904T2 (de) 1987-06-29 1987-09-09 Vorschubeinrichtung.
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