JPH0694Y2

JPH0694Y2 - 外科手術用具

Info

Publication number: JPH0694Y2
Application number: JP12934089U
Authority: JP
Inventors: 守人山本; 康夫野口
Original assignee: Sumitomo Bakelite Co Ltd
Current assignee: Sumitomo Bakelite Co Ltd
Priority date: 1989-11-07
Filing date: 1989-11-07
Publication date: 1994-01-05
Anticipated expiration: 2004-01-05
Also published as: JPH0367609U

Description

【考案の詳細な説明】〔産業上の利用分野〕本考案は、超音波振動により生物組織を切断分離するた
めの外科手術用具に関するものである。

〔従来の技術〕

従来、口腔外科、整形外科、形成外科、脳神経外科にお
ける骨切り術等では、生物組織、特に硬組織、軟骨組
織、骨膜等の切断分離にはKerrison鉗子、歯槽骨鉗子、
ドリル、メス、ガウシュ（円のみ）等が用いられている
が、切断分離作業の効率が悪く、時間を要し、手術者に
多大の労力がかかり、かつ切断分離に高度の技術を必要
とするという欠点があった。

また、電動式や気動式のモーターを駆動源とする切断工
具が、特に骨の切断等に使用されており、主なものとし
ては、モーターの回転運動をカム等によって直線運動に
変換し、先端に金属製ののこぎり刃を持った切断具を振
動させるボーンソーや回転運動でドリルを回転させるサ
ージカルバーがある。ボーンソーの切断具の振幅は０．
５〜５mm程度で、周波数は１〜５ＫHz程度であるため、
切断時に骨と切断具との間に摩擦熱が発生して、骨切り
断面の温度が７０〜１２０℃位まで上昇し、断端面及び
その付近の骨組織が変質し、切断部の骨芽細胞等の成長
に悪影響を与える恐れがある。また、外部より強制的に
冷却水を供給する方法もあるが、切断部と切断具の間に
冷却水が適確に入り難いため、摩擦熱の防止には効果が
少なく、また、術者の視野を妨害する恐れがある。

サージカルバーの場合も同様に、摩擦熱の発生により術
後の細胞組織に悪影響を与える恐れがある。更に、回転
運動しているドリルを前後又は左右に動かす際に、術者
の手にびびり振動を伝えて細かい操作が難しいという欠
点があった。また、ボーンソー及びサージカルバーの構
造上、切断中に骨内部やその付近の神経、血管組織等に
切断具が接触した場合、組織等を巻き込み損傷するおそ
れがある。

超音波を利用した外科手術用具も多数開発されており、
超音波振動源に接続された作業部を超音波振動させ、接
触した血管等の弾力性のある組織以外の軟組織を破砕し
吸引除去するための外科手術用具（例えば特公昭４７−
８９１９７号公報）や、硬質及び軟質の生物組織の切断
分離用として開発された、第４図に示すような切断歯の
ある金属板製の作業部を有する外科手術用具（例えば、
特公昭５１−４６９９０号公報）などが知られている。

しかし、超音波振動を利用して生物組織を破砕し吸引除
去する外科手術用具は、特に硬い生物組織、骨などの切
断分離に使用するのは難しく、また切断歯のある金属板
製の作業部を有した外科手術用具は、骨などの硬組織を
切断する際に、組織の断端面と作業部との間に発生する
摩擦熱（８０〜１２０℃）によって、断端面が焦げて変
質し、術後の治癒に悪影響を与える恐れがあり、また、
金属板自体の熱による機械強度の劣化からの破損の危険
がある。また、第４図に示したように作業部(30)の三角
歯(31)及び丸味を有する刃(32)の各歯相互間には切り込
み部(33)、(34)があり、これらは鋭角形状となっている
ため、作業部(30)が超音波振動する際に応力集中が発生
し、低振幅（３０〜１００μｍ）で振動している場合
は、実用上問題はないが、高振幅（１００μｍ以上）に
なると切り込み部(33)、(34)より内部クラックが発生
し、破損する恐れがある。

また、整形外科、形成外科、、口腔外科等の骨切り作業
は、長時間連続して使用する場合が多く、超音波振動源
が発熱し、異常振動を生じて振動停止する恐れがあり、
長時間連続使用できる超音波を利用した硬組織用の外科
手術用具は従来なかった。

〔考案が解決しようとする問題点〕

本考案は、従来の外科手術用具のこのような問題点を解
決するため鋭意検討を重ねて完成させたもので、切断時
に発生する摩擦熱を防止して長時間連続使用を可能にす
ると共に、術者の視野を妨害せず、かつ術者へ伝わるび
びり振動を減少させて、超音波振動による切断分離作業
効率を向上させ、また、作業部の耐久性を改善して、更
に、サージカルバー及びボーンソーでは巻き込み損傷す
る恐れのあった骨内の神経、血管等の組織に影響を与え
ることのない外科手術用具を提供することにある。

〔課題を解決するための手段〕

即ち、本考案は、超音波振動源と超音波振動源に接続さ
れた超音波振動伝達具とから構成され、長さ方向の中心
部に液体通路を有する外科手術用具であって、超音波振
動により生物組織を切断分離する超音波振動伝達具の先
端作業部は、長さ方向に直交する複数本の溝状の窪みを
有し、該溝状の窪みは断面が円弧形状をなすと共に、そ
の底部には前記液体通路が開口していることを特徴とす
る外科手術用具である。

以下、図面を参照して本考案を詳細に説明する。第１図
は本考案の一実施例となる外科手術用具を使用する装置
の構成を示す図である。超音波発振器(1)よりケーブル
(2)を通って超音波振動源(3)に共振周波数の高周波電流
が送られ、超音波振動源(3)は機械的超音波振動とす
る。超音波振動源3としては、磁歪型、電歪型のいずれ
も使用することができ、特にボルト締めランジェバン型
振動子が好ましい。振動素子の数及び直径は特に限定は
されないが、２〜８枚でφ８〜φ２０mmが好ましく、絶
縁セラミックワッシャーを使用すれば、装置全体が心臓
付近への適用が可能となり、より好ましい。

超音波振動源(3)で発生した機械的超音波振動は超音波
振動伝達具4に伝播され、そして更に超音波振動伝達具
(4)の曲線形状部(5)によって拡大されて超音波振動伝達
具(4)の先端部(6)に伝播される。先端部(6)は、第２図
に示したように断面が円弧形状で、長さ方向に直交する
複数本の溝状の窪み(10)のある作業部(7)を有し、作業
部(7)は生物組織と直接接触し、機械的超音波振動によ
って生物組織を切断分離する。

更に、作業部(7)によって切断分離する際、フットスイ
ッチ(12)等のスイッチによって超音波発振器(1)の軌道
と連動してローラーポンプ(13)が作動し、生理食塩液(1
4)がイリゲーションチューブ(15)、液体通路(16)、(17)
を通り、第２図に示すように作業部(7)の窪み(10)の底
部にある開口部(18)より超音波振動により噴出され、作
業部(7)と生物組織特に硬組織との間に霧状となって確
実に侵入する。これによって、摩擦熱の発生を防ぎ切断
部付近の硬組織の温度１５〜３０℃とし、更に、超音波
振動によって削り取られた硬組織の微細な粉を切断部よ
り洗い流して、常に新しい硬組織表面を露出させ、切断
面の硬組織の表面を平滑にすると共に、骨芽細胞等に刺
激を与えて、切断部の回復に好影響を与える。

生理食塩液の噴出量は、切断対象となる硬組織の硬さと
作業部(7)の超音波振動の振幅との関係によって決まる
が、作業部(7)、超音波振動源(3)の冷却も考慮して、１
０〜３０ml／minが好ましい。液体通路(17)の内径は一
定であってもよいが、好ましくは開口部(18)に近い付近
で小さくした方が冷却用の生理食塩液の噴出効率が良く
なる。

また、溝状の窪み(10)の断面の円弧寸法は、作業部(7)
の厚み及び形状によっても異なるが、半径０．５〜２．
５mm、深さは０．５〜２mm、好ましくは１〜１．５mmで
あり、溝のピッチは１．５〜７mmで、好ましくは２〜３
mmである。このような円弧形状を有していることによ
り、１００〜３００μｍ程度の高振幅の機械的振動によ
っても破損をすることなく、かつ作業部(7)が硬組織内
に埋伏した場合でも、硬組織と作業部(7)の接触抵抗が
窪み(10)によって軽減され、切削・切断効率が窪みのな
い場合に比べて２０〜３０％向上する。

また、硬組織を切断分離する際、軽く接触させているだ
けで機械的超音波振動によって作業部(7)の刃形状が硬
組織表面より内部へ侵入するため、術者に操作を妨害す
るようなびびり振動を与えず、精密な作業が可能とな
る。作業部(7)の刃形状部の厚みは０．７〜７mmで、特
に０．８〜２．５mmが好ましい。

曲線形状部(5)の曲線は、円弧形状、カテノイダル曲
線、エクスポネンシャル曲線、テーパー形状、フーリエ
曲線等が好ましいが、特に限定はされない。また、曲線
形状部5の超音波振動源3側の端部の位置は、特に制限は
されない。また、曲線形状部(5)の超音波振動源(3)側の
端部の位置は、特に制限はないが超音波振動の節または
節に近い位置になるようにするのが好ましい。

超音波振動伝達具(4)の材質は、チタン合金もしくはス
テンレス合金が好ましく、また、作業部(7)へのコーテ
ィング等は特に限定されないが、セラミック（窒化ケイ
素、ジルコニア）、窒化チタン、炭化チタン等のコーテ
ィングや、カニゼン処理を施せば耐摩耗性に優れて良
い。

作業部(7)の形状は第２図に示した形状に限定されるも
のではなく、第３図に示したように、使用の目的や状況
に応じて各種の形状をとることが出来る。

第３図(a)は先端作業部(7)近辺で屈曲させた実施例で、
術部が深い場所にあって制約されている切断作業に好適
であり、角度は０〜９０°で、好ましくは１０°〜４０
°である。第３図(b)は作業部(7)を幅広にした実施例で
あり、厚みのある骨等の切断に好適で、幅は先端部(6)
の直径１．５〜２倍が好ましく、特に限定はされない。
また、第３図(c)は(b)の形状の先端作業部(7)をaと同様
に屈曲させたもので、角度は０〜９０°で、好ましくは
１０°〜４０°である。

なお、先端作業部(7)の寸法は特に限定はされないが、
長さは先端部6の直径１〜６倍が好ましく、厚みは０．
５〜２．５mmが好ましい。

第４図は超音波振動伝達具(4)の組立て方法を示した図
で、先端部(6)を超音波振動伝達具の基体部(22)とネジ
(20)、(21)で着脱できる一実施例を示している。ねじ径
は超音波振動及び接合位置によって左右されるが、好ま
しくはＭ３〜Ｍ５の並目が良い。

〔考案の効果〕

本考案に従うと、生物組織、特に骨の切断やカルシウム
塊等の切削分離等の作業を、従来の外科手術用具による
切断、分離に比べて技術の熟練を必要とせず、かつ迅速
に行なうことができ、また、切断面周辺の細胞組織の摩
擦熱による変質を防いで、術後の治癒の促進を図ること
ができ、また、術者が安全にかつ視野を妨害されること
なく精密な切断作業ができ、更に、刃形状部の応力集中
が生じないので高振幅化及び切断効率の向上ができ、か
つ長時間連続して高振幅で使用でき、生物組織を切断分
離する外科手術用具として好適である。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の一実施例となる外科手術用具を使用
する装置の構成を示す図で、第２図はその作業部の拡大
立体図である。第３図は本考案による外科手術用具先端
部の他の実施例を示した図で、第４図は先端部を着脱型
とした組立て方法の一実施例を示した図である。また、
第５図は従来の超音波振動による外科手術用具の切断歯
を有する金属板製の作業部を示す図である。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】超音波振動源と該超音波振動源に接続され
た超音波振動伝達具とから構成され、長さ方向の中心部
に液体通路を有する外科手術用具であって、超音波振動
により生物組織を切断分離する超音波振動伝達具の先端
作業部は、長さ方向に直交する複数本の溝状の窪みを有
し、該溝状の窪みは断面が円弧形状をなすと共に、その
底部には前記液体通路が開口していることを特徴とする
外科手術用具。