JPH0694609A - 油中ガス濃度測定用センサ装置 - Google Patents

油中ガス濃度測定用センサ装置

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JPH0694609A
JPH0694609A JP24491992A JP24491992A JPH0694609A JP H0694609 A JPH0694609 A JP H0694609A JP 24491992 A JP24491992 A JP 24491992A JP 24491992 A JP24491992 A JP 24491992A JP H0694609 A JPH0694609 A JP H0694609A
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JP
Japan
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gas
oil
signal
light
measuring
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JP24491992A
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English (en)
Inventor
Hideyuki Sato
秀行 佐藤
Takafumi Kuboki
尚文 久保木
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Furukawa Electric Co Ltd
Original Assignee
Furukawa Electric Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 油中のガス濃度を正確に検知することができ
る高感度な油中ガス濃度測定用センサ装置を提供する。 【構成】 被測定ガスの吸収波長に相当する波長の基本
光とその基本光に周波数fで変調した変調光とを重畳し
て成る測定光を発信する光源部Aと、前記光源部Aに光
ファイバ4aを介して接続され、気液分離膜5cを境界
域にしてガス室5aと油室5bとが配設され、前記ガス
室5aを前記測定光が透過する測定セル部Bと、前記測
定セル部Bに光ファイバ4bを介して接続され、前記ガ
ス室5aを透過した透過光を光検出器9で受け、その出
力信号をf信号と2f信号とに検波し、かつ、前記2f
信号の振幅値を測定し、または、前記2f信号の振幅値
と前記f信号の振幅値との比を演算する信号測定部Cと
を備えており、前記測定セル部Bには、更に光ファイバ
6a,6bを組込んだ油吸光度測定部B’が装着され、
油中の気泡の有無を検出することができる油中ガス濃度
測定用センサ装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は油中ガス濃度測定用セン
サ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】油入りケーブル(OFケーブル)や油中
変圧器に使用されている絶縁油からは、熱劣化や高電圧
放電などを原因として、使用中にメタンガスやアセチレ
ンガスなどの可燃性ガスが発生する。これら可燃性ガス
量を測定することにより、ケーブルや機器における絶縁
劣化の状態を監視することができるので、用いている絶
縁油中の可燃性ガスの濃度を測定することが必要にな
る。
【0003】例えばOFケーブルの場合、OFケーブル
の布設現場で、OFケーブルから多量の絶縁油を採取し
たのち、その採取油を分析可能な別の場所に運び、そこ
で、減圧吸引ポンプによって採取油から含有ガスを抽出
し、その抽出ガスをガスクロマトグラフィー装置で分離
定量するという方法で絶縁油中の可燃性ガス濃度の測定
が行われてきた。しかしながら、この方法は、濃度測定
に至るまでの作業が極めて煩雑であり、測定には多大な
時間と労力を要するという問題がある。
【0004】また、油に含まれているガスの濃度を測定
する方法の1つとして、例えば、ガスを含む油を被検セ
ルに入れ、ここに、測定対象ガスの吸収波長に相当する
波長の光を照射し、セルを透過した透過光の透過率また
は吸光度を測定し、予め作成してある例えばガス濃度−
吸光度の関係を示す検量線を利用して、前記測定値に対
応するガス濃度を読み取るという方法がある。
【0005】しかしながら、この測定方法による被測定
ガスの濃度検出限界は、ガスの種類によっても異なる
が、概ね、数千ppm・m程度であり、検出の感度は悪
い。一方、ガスの濃度測定に関しては、その被測定ガス
の吸収波長に相当する波長の基本光にこの基本光を周波
数fで変調した変調光を重畳させた測定光を当該被測定
ガスを含むガス層に照射し、そのガス層を透過した透過
光に関する検出信号を検波して、変調周波数fの2倍波
位相敏感検波信号(以下、2f信号という)の振幅値を
測定したり、または、前記2f信号の振幅値と変調用周
波数fの基本波位相敏感検波信号(以下、f信号とい
う)の振幅値との比を測定したりして、被測定ガスの濃
度を測定する方法が最近発表されている(山本ら、第7
回光波センシング技術研究会講演論文集、141頁、1
991年)。
【0006】この方法によると、被測定ガスがメタンガ
スまたはアセチレンガスの場合、検出信号のSN比を1
としたとき、それぞれの濃度検出限界は0.5ppm・
m、0.3ppm・m程度と非常に高感度であり、この測
定方法は、メタンガスやアセチレンガスの濃度測定に関
し非常に好適な方法であるということができる。しかし
ながら、上記した方法は、気相中の被測定ガスの濃度測
定に対してのみ適用されているものである。そして、こ
の方法を、油に含まれている被測定ガスの濃度を測定す
るために利用した例はいまだない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記した山本らの方法
を、被測定ガスを含む油に対して直接適用すると、測定
光に対しては、油自身による光学的吸収が起こるため
に、得られる測定値の感度は大幅に低下する。したがっ
て、気相中のガス濃度測定方法としては好適な上記山本
らの方法を油中ガス濃度の測定に適用するためには、被
検油とそれに含まれている被測定ガスを何らかの手段で
一旦分離し、その分離された被測定ガスを含む気相に対
して上記測定方法を適用しなければならない。
【0008】本発明は、上記した油からの被測定ガスの
分離を気液分離膜を用いて行い、分離された被測定ガス
に対して上記山本らの測定方法を適用する油中ガス濃度
センサ装置を提供する。しかし、そのセンサ装置におい
ては、測定対象の油を収容する油容器をセンサ装置に取
付けるときや長期に亘るセンサ装置の使用時に、油の中
に混入してくる微量空気の気泡が前記気液分離膜の油側
表面に蓄積して気液分離膜の被測定ガス透過能が低下す
る。このような問題が発生すると、山本らの方法で得ら
れた測定値は正確な値とはいえなくなる。
【0009】したがって、測定時または測定過程でこの
気泡の存在を検知し、気泡が存在する場合には、対策を
立てて測定の正確を期すことが必要になる。本発明は、
山本らの方法を適用して油中の被測定ガスの濃度を測定
するセンサ装置であって、しかも気液分離膜に油側表面
に蓄積してくる気泡の存在を検知することができる油中
ガス濃度測定用センサ装置の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明においては、被測定ガスの吸収波長に相
当する波長の基本光とその基本光を周波数fで変調した
変調光とを重畳して成る測定光を発信する光源部と、前
記光源部に光ファイバを介して接続され、気液分離膜を
境界域にしてガス室と油室とに画分され、前記ガス室を
前記測定光が透過する測定セル部と、前記測定セル部に
光ファイバを介して接続され、前記ガス室を透過した透
過光を光検出器で受け、その出力信号から変調周波数f
の2倍波位相敏感検波信号(以下、2f信号という)を
検波し、この2f信号の振幅値を測定する、または、前
記出力信号から変調周波数fの基本波位相敏感検波信号
(以下、f信号という)と2f信号とを検波し、これら
2f信号の振幅値と前記f信号の振幅値との比を演算す
る信号測定部とを備えている油中ガス濃度測定用センサ
装置において、前記測定セル部には、光源と、前記光源
に接続され、光が前記気液分離膜の油室側表面の近傍を
該表面と接触することなく前記油内を透過するように、
前記油室の第1の室壁に取付けられた第1の光ファイバ
と、前記油室の第1の室壁と反対側の室壁に取付けられ
た前記油室を透過した透過光を伝搬する第2の光ファイ
バと、前記第2の光ファイバに接続する吸光度測定器と
から成る油吸光度測定部が装着されていることを特徴と
する油中ガス濃度測定用センサ装置が提供される。
【0011】まず、図1に、本発明のセンサ装置の基本
構成を示す。本発明のセンサ装置は、光源部A,測定セ
ル部B,信号測定部Cとをそれぞれシングルモード光フ
ァイバ4a,4bで接続して構成され、測定セルBには
更に、油の吸光度測定部B’が付設されている。光源部
Aは、半導体レーザ,コリメート用レンズ,周波数安定
化のための参照ガスセル,ペルチェ素子、および光検出
器などから成る光源モジュール1と、この光源モジュー
ル1に接続され、レーザーダイオード制御器(LD制御
器)と周波数変調器とから成る光変調装置2と光アイソ
レータ3とをもって構成されている。この光源部Aにお
ける光源モジュール1は、光変調装置2の働きにより、
濃度測定すべき被測定ガスの吸収波長に相当する波長の
光とそれに周波数変調した変調光(変調周波数をfとす
る)とを重畳した測定光を光アイソレータ3を介して発
信する。
【0012】光源部Aからの測定光は、シングルモード
光ファイバ4aを伝搬して、測定セル部Bにおける測定
セル5のガス室5aに入射する。測定セル5には、図2
で示したように、ガス室5aと油室5bが気液分離膜5
cを境界域にして配設されている。そして、油室5bに
は、例えば二方コック5dが取付けられていて、ここに
被測定ガスを含む油を収容する油容器(図示しない)が
接続されて油室5bに油が供給される。
【0013】油室5bに充満した被検油の中に含まれて
いる被測定ガスは、矢印pのように、気液分離膜5cを
透過してガス室5aに移動し、かくして、油中の被測定
ガスと油とが分離される。このような働きをする気液分
離膜5cとしては、被検油および被測定ガスのいずれと
も反応せず、また被検油は透過しないが被測定ガスは透
過する均一な膜であることが好ましい。具体的には、ポ
リ四フッ化エチレン(PTFE),ポリフッ化エチレン
−六フッ化エチレン共重合体(PFA)のようなフッ素
樹脂を主成分とするフィルムをあげることができる。
【0014】ガス室5aの両端には、ガス室5aを密封
して、測定光用レンズ5eと透過光用レンズ5fがそれ
ぞれ装着され、測定光用レンズ5eの上流側と透過光用
レンズ5fの下流側には、それぞれ、シングルモード光
ファイバ4a,シングルモード光ファイバ4bが接続さ
れている。光源部Aからの測定光は、光ファイバ4aか
ら測定光用レンズ5eに入射し、矢印qのようにガス室
5a内を透過し、その過程でそこに収容されている被測
定ガスで吸収波長の光成分が吸収されたのち透過光レン
ズ5fを通過し、更に光ファイバ4bを伝搬して信号測
定部Cの光検出器9に送られ、ここで電気的な検出信号
に変換されて出力される。
【0015】また、油室5bの長手方向における両室壁
5g,5hには光ファイバ6a,6bが外側から装着さ
れている。一方の光ファイバ6aは光源7と接続され、
他方の光ファイバ6bは吸光度測定装置8と接続され、
全体として吸光度測定部B’が構成されている(図
1)。この吸光度測定部B’における光源7は、油室5
bに充満した油の吸収波長に相当する波長の光を発信す
る。その発信光は、光ファイバ6aを伝搬して、油室の
室壁5gから油室5b内に入射し、矢印rのように、気
液分離膜5cの油室側表面の近傍における油中を透過し
て他の室壁5hから光ファイバ6bに入射して吸光度測
定部8に送られる。このとき、光ファイバ6aから室壁
5gを介して油室5b内に入射して油中を透過したのち
5hを介して光ファイバ6bに入射する発信光が、その
過程で気液分離膜5cの油室側表面と接触しないよう
に、各光ファイバ6a,6bはそれぞれの室壁5g,5
hの所定位置に装着される。
【0016】信号測定部Cは、光ファイバ4bに接続さ
れた光検出器9と、この光検出器9から発信する出力信
号を受け、かつ、光源部Aの光変調装置2と連動して作
動する2台のロックインアンプ10,11と、これらロ
ックインアンプ10,11と接続された割算器12,レ
コーダまたはコンピュータ13とで構成されている。こ
の信号測定部Cでは、光検出器9に集光された透過光の
出力信号が、2台のロックインアンプ10,11に入力
され、一方のロックインアンプ10では周波数(f)で
検波されてf信号の振幅値が演算され、他方のロックイ
ンアンプ11では周波数(2f)で検波されて2f信号
の振幅値が演算される。
【0017】
【作用】まず、本発明のセンサ装置において、油中に気
泡が全く存在しない場合には、油中の被測定ガス濃度と
ガス室5aの気相中の被測定ガス濃度との関係は次のよ
うになる。気液分離膜5cのガス透過面積Aを(c
m2 ),厚みをd(cm),透過係数をP(ml・cm/cm2
・sec ・cmHg)とし、油中の被測定ガス濃度をC1(pp
m)、被測定ガスの油への溶解に関するヘンリー定数を
k,油中の被測定ガスが気液分離膜を透過した初期時点
における被測定ガスの濃度をCgi(ppm) としたとき、前
記初期時点から時間t(sec)経過後におけるガス室気相
中の被測定ガスの濃度Cg (ppm) は、次式(1)で表さ
れる。
【0018】 Cg =(1.3×104kC1 −Cgi)×[1− exp{−(76・P・A/V・d)t}] +Cgi ……(1) したがって、初期の時点でガス室5aに被測定ガスが存
在せず、しかも、油と気液分離膜5cの接触時間が充分
に長大である場合には、Cgi=0、および、exp{−(7
6・P・A/V・d)t}→0になるので、(1)式は、 Cg =1.3×104kC1 ……(2) となる。
【0019】すなわち、上記の条件下においては、ガス
室5a内の気相中の被測定ガスの濃度Cg は、測定時間
が長くなると、その測定時間と無関係に一定となり、か
つ、油中の被測定ガスの濃度C1 に比例してある飽和値
に達することになる。つぎに、ガス室5aにおける気相
中の被測定ガスの濃度Cg に測定光を入射したときの作
用を説明する。
【0020】まず、周波数ωの測定光が被測定ガスを透
過したとき、周波数ω0 に中心をもつ吸収線の吸収係数
αは、中心での吸収係数をα0 ,周波数の半値幅をΔω
としたとき、次式: α=α0 /[1+{(ω−ω0 )/Δω}2 ] ……(3) で表される。
【0021】光源モジュール1におけるレーザ駆動電流
iを、i=i0 +i1cos2πft(ただし、i0 は周波
数ω0 のレーザ光を発信するために必要な駆動電流、i
1 は変調幅を表す。)となるように変調し、レーザ周波
数を吸収線の中心ω0 に安定化すると、光源モジュール
からのレーザ出力電力Iと発振周波数ωは、それぞれ、
近似的に式(4),(5): I=I0 +I1cos(2πft+φa ) ……(4) ω=ω0 +ω1cos(2πft+φb ) ……(5) (式中、I0 は周波数ω0 のレーザ出力電力を表し、I
1 ,ω1 はそれぞれ出力電力と周波数の変調幅を表し、
φa ,φb はそれぞれ電流変調からの位相のずれを表
す)で表される。
【0022】ここで、式(5)を式(3)に代入する
と、次式: α=α0 /[1+{ω1cos(2πft+φb )Δω}2 ] …(6) が得られる。一方、光検出器9に集光されここから出力
される透過光の出力電力Id は、ガス室5aの長さ(光
路長)をLとし、被測定ガス濃度がCg であるとすれ
ば、ランバート・ベールの法則により、次式: Id =I・K・ exp(−αCg L) ……(7) (式中、Kは光ファイバの長さや各光学系との結合効率
などに依存する定数であり、0≦K≦1で示される数で
ある)で示される。
【0023】ここで、αCg L<<1,ω1 /Δω<<
1の条件下において、式(7)を変調周波数fでフェー
リエ級数展開すると、それら展開項のうち、変調周波数
fの基本波位相敏感成分(f信号)に相当する部分と2
倍波位相敏感成分に相当する成分(2f信号)は、それ
ぞれ、次式: If =I1 ・K・cos(2πft+φa ) ……(8) I2f=(1/2) K・I0 ・α0 g L(ω1 /Δω)2cos(4πft+φb ) ……(9) で示される。
【0024】したがって、2f信号の出力電力(振幅
値)I2fとf信号の出力電力(振幅値)If の比は、次
式: I2f/If =(1/2) ・(I0 /I1 )・(ω1 /Δω)2 ・α0 g L ……(10) で示される。
【0025】式(9)のCg に式(2)を代入して、 I2f=6.5 ×103 ・k KI0 ・α0 L(ω1 /Δω)21cos(4πft +φb ) ……(11) が得られ、また、式(10)のCgに式(2)を代入し
て、 I2f/If =6.5 ×103 ・K・(I0 /I1 )・(ω1 /Δω)2 ・ α0 L・C1 ……(12) が得られる。
【0026】式(11)から明らかなように、油中の被
測定ガスの濃度C1 と出力信号の2倍周波数変調信号の
振幅値I2fとは比例関係にあり、また、式(12)から
明らかなように、油中の被測定ガスの濃度C1 と、出力
信号における2f信号の振幅値I2fとf信号の振幅値I
f との比:I2f/If は比例関係にある。したがって、
上記した2f信号の振幅値I2fを測定し、または各検波
信号の振幅値の比:I2f/If を演算することにより、
油中の被測定ガスの濃度を測定することができるように
なる。
【0027】ところで、上記した作用は、式(1)の成
立が前提となっており、測定時間が長くなるとガス室内
の被測定ガスの濃度が飽和に達するので、その時点で信
号測定部Cを作動させることを前提にしている。しかし
ながら、気液分離膜5cの油室側表面に気泡が存在して
いると、上記した式(1)は成立しなくなる。そのた
め、信号測定部Cの作動タイミングの選定が事実上不可
能になる。そのため、油室側表面における気泡の有無を
測定開始時または測定の過程で検知することが必要であ
る。
【0028】そのため、本発明のセンサ装置において
は、油吸光度測定部B’の光源7から発信光を気液分離
膜5cの油室側表面近傍の油中に入射させる。気液分離
膜5cの油室側表面近傍に気泡が存在しない場合、そこ
を透過する光は油室5bに充満している油に吸収され、
その吸光度は、当該油に対応する特有の値として吸光度
測定器8で測定される。
【0029】しかし、油室側表面近傍に気泡が存在して
いると、そこを通過する光は気泡の影響を受けるので、
吸光度測定器8で測定される吸光度は、気泡が存在しな
いときの値とは異なる値となる。例えば、光源7からの
発信光を油に吸収され難い波長の光とすると、油中の気
泡による散乱の結果、吸光度は大きくなる。他方、光源
7から油に吸収されやすい波長の光を発すると、気泡に
より光路中の油量が減り、吸光度が減少するので、吸光
度は小となる。
【0030】したがって、本発明のセンサ装置において
は、上記した油吸光度測定部B’を作動して油室内を透
過させる光の吸光度を測定することにより、気液分離膜
の油室側表面に存在する気泡の有無を検知することがで
きる。そして、気泡が存在していないことを確認した時
点で、前記したようなガス室5aの被測定ガス濃度の測
定作業に入ることにより、油中ガス濃度を正確に測定す
ることができる。
【0031】
【実施例】まず、ガス室5a,油室5bの合計容積が約
40cm3 であり、ガス室5aの光路長が10cmの測定セ
ル5に長さ4kmのシングルモード光ファイバ(ファイバ
径125μm,コア径8μm)4a,4bを接続し、ま
た、油室5bには、気液分離膜5cと平行に接するよう
に光ファイバ6a,6bを装着して図1で示したセンサ
装置を組み立てた。
【0032】なお、光源モジュール1には、1530.3
7nmで発振するDFB−InGaAsP半導体レーザ
を用い、光変調装置2による周波数変調は50.0kHz で
行なうようにし、また、光源7からは波長928nmの
光を発信させるようになっている。測定に先立ち、次の
ようにして検量線を作成した。
【0033】すなわち、アセチレンガスとArガスの混
合ガスを全体で1気圧となるようにして測定セル5のガ
ス室に注入し、そこに前記した測定光を入射して透過光
の2f信号をロックインアンプ10で検波し、その振幅
値I2fを測定する。この場合、混合ガス中のアセチレン
ガスの濃度は、混合ガスの一部を採取してそれをガスク
ロ装置にかけて正確に同定しておく。アセチレンガスの
濃度を変化させ、その濃度に応じた透過光の2f信号の
振幅値を測定し、アセチレンガス濃度と2f信号の振幅
値とをグラフにプロットして両者の関係を示す検量線と
する。
【0034】測定は次の手順で進められた。まず、油と
してドデシルベンゼンを用い、これにアセチレンガスを
吹込んでアセチレンガスを含む被検油を調製した。この
調製油のアセチレンガス濃度を、一部採取した調製油か
らテプラーポンプでアセチレンガスを抽出しその抽出ガ
スをガスクロ装置にかけて測定したところ、50ppm で
あった。この調製油を測定セル5の油室5bに充満さ
せ、二方コック5dを閉にした。
【0035】一方、前記調製油を、二方コックを有する
容積1000cm3 の容器に充満し、測定セル5のガス室
5a内を真空ポンプで排気しながら油室5bの二方コッ
ク5dと容器の二方コックを接続する。この接続に要す
る時間は1〜2分程度である。この接続操作の過程で油
室5bから気液分離膜5cを透過していくアセチレンガ
スは、ガス室5aから排気されるので、ガス室5aにア
セチレンガスは存在しない。すなわち、前記した式
(1)における初期濃度Cgiはゼロになっている。
【0036】ついで、光源モジュール1を作動して測定
光を発信し、真空ポンプの作動を停止すると同時に、測
定セルの二方コック5dと油容器の二方コックを同時に
開として測定を開始する。測定開始後、透過光の2f信
号の振幅値を経時的に測定し、前記した検量線からアセ
チレンガス濃度を測定した。その結果を図3に−○−と
して示した。
【0037】図3から明らかなように、測定開始の初期
段階(約1日)では、ガス室中のアセチレンガス濃度は
直線的に増大し、その後漸増し、6日目頃で約39ppm
と一定値に達して以後は飽和状態を維持している。すな
わち、前記した式(2)の関係が成立している。なお、
この過程で油容器中の調製油におけるアセチレンガス濃
度は、測定開始時と同じ50ppm であった。これは油容
器の容積が測定セル5の容積の約1000倍であり、油
容器のアセチレンガスが測定セル5のガス室5aに移動
しても、その量は油容器内のアセチレンの量にほとんど
変化を与えないからである。
【0038】ここで、測定開始時点で、油吸光度測定部
B’の光源7から波長928nmの光を油中に透過して
吸光度測定器8で吸光度を測定したところ、2.36の値
を示した。つぎに、油室5bの二方コック5dと油容器
の二方コックを同時に開とする前に、注射器を用いて油
室5bの中に1cm3 の窒素ガスを注入した。
【0039】その状態で2個の前記二方コックを同時に
開として測定を開始した。測定開始後、透過光の2f信
号の振幅値を経時的に測定し、前記した検量線からアセ
チレンガス濃度を測定した。その結果を図3に−●−と
して示した。図から明らかなように、気液分離膜の油室
側に気泡が存在していると、ガス室におけるアセチレン
ガス濃度は不規則に変化してしまうので測定タイミング
がとりずらい。とくに測定の初期段階では、気泡が存在
しない場合に比べて測定される濃度が低くなっている。
【0040】この場合も、測定開始時点で、吸光度測定
部B’の光源7から波長928nmの光を油中に透過さ
せて吸光度測定器8で吸光度を測定したところ、その値
は1.21であり、気泡が存在しない場合に比べて大幅に
低い値であった。
【0041】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明の
センサ装置によれば、非常に高い感度で油中のガス濃度
を測定することができる。しかも、正確な測定の撹乱因
子になっている油中の気泡の存在は、油吸光度測定部を
作動させて測定吸光度の高低を把握することによって検
知することができる。
【0042】このセンサ装置は、測定セル部を例えばO
Fケーブルに付設し、そこからは遠隔の地にある光源部
と信号測定部との間を長距離光ケーブルで接続すること
により組立てることができる。したがって、従来のよう
に、OFケーブル布設現場で多量の油を採取し、その油
を測定系のある場所まで運搬してそこで分析するという
ような作業を不要にすることができ、その工業的価値は
大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセンサ装置の基本構成図である。
【図2】本発明のセンサ装置に組込む測定セルを示す概
略図である。
【図3】本発明のセンサ装置による、測定時間とガス室
内アセチレン濃度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
A 光源部 B 測定セル部 B’油吸光度測定部 C 信号測定部 1 光源モジュール 2 光変調装置 3 光アイソレータ 4a,4b シングルモード光ファイバ 5 測定セル 5a ガス室 5b 油室 5c 気液分離膜 5d 二方コック 5e 測定光用レンズ 5f 透過光用レンズ 5g,5h 油室5bの室壁 6a,6b 光ファイバ 7 油吸光度測定部B’の光源 8 油吸光度測定部B’の吸光度測定装置 9 光検出器 10 ロックインアンプ 11 ロックインアンプ 12 割算器 13 レコーダまたはコンピュータ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被測定ガスの吸収波長に相当する波長の
    基本光とその基本光を周波数fで変調した変調光とを重
    畳して成る測定光を発信する光源部(A)と、前記光源
    部(A)に光ファイバ(4a)を介して接続され、気液
    分離膜(5c)を境界域にしてガス室(5a)と油室
    (5b)とに画分され、前記ガス室(5a)を前記測定
    光が透過する測定セル部(B)と、前記測定セル部
    (B)に光ファイバ(4b)を介して接続され、前記ガ
    ス室(5a)を透過した透過光を光検出器(9)で受
    け、その出力信号から変調周波数fの2倍波位相敏感検
    波信号(以下、2f信号という)を検波し、この2f信
    号の振幅値を測定する、または、前記出力信号から変調
    周波数fの基本波位相敏感検波信号(以下、f信号とい
    う)と2f信号とを検波し、これら2f信号の振幅値と
    前記f信号の振幅値との比を演算する信号測定部(C)
    とを備えている油中ガス濃度測定用センサ装置におい
    て、前記測定セル部(B)には、光源(7)と、前記光
    源(7)に接続され、光が前記気液分離膜(5c)の油
    室側表面の近傍を該表面と接触することなく前記油内を
    透過するように、前記油室(5b)の第1の室壁に取付
    けられた第1の光ファイバ(6a)と、前記油室(5
    b)の第1の室壁と反対側の室壁に取付けられた前記油
    室(5b)を透過した透過光を伝搬する第2の光ファイ
    バ(6b)と、前記第2の光ファイバ(6b)に接続す
    る吸光度測定器(8)とから成る油吸光度測定部
    (B’)が装着されていることを特徴とする油中ガス濃
    度測定用センサ装置。
JP24491992A 1992-09-14 1992-09-14 油中ガス濃度測定用センサ装置 Pending JPH0694609A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011058804A (ja) * 2009-09-04 2011-03-24 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> ガス検出装置及びガス検出方法、並びに液体試料中のベンゼン濃度及びトルエン濃度の特定方法
EP3477275A1 (en) * 2017-10-25 2019-05-01 Commissariat à l'Energie Atomique et aux Energies Alternatives Apparatus for the measurement of chemical activity coefficients of gas phase species in thermodynamic equilibrium with liquid phase

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