JPH0693433A - アークイオンプレーティング装置 - Google Patents

アークイオンプレーティング装置

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JPH0693433A
JPH0693433A JP937093A JP937093A JPH0693433A JP H0693433 A JPH0693433 A JP H0693433A JP 937093 A JP937093 A JP 937093A JP 937093 A JP937093 A JP 937093A JP H0693433 A JPH0693433 A JP H0693433A
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arc ion
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邦彦 辻
Hiroshi Tamagaki
浩 玉垣
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 真空容器内でアノードとカソードとの間にア
ークを発生させて前記カソードを蒸発させ、ワークに前
記カソードの構成成分をコーティングするアークイオン
プレーティング装置において、前記カソードとして棒状
のカソードを用い、該カソードの両端が同電位となるよ
うに該カソードの両端がアーク電源の陰極に夫々接続さ
れている。 【効果】 点弧を繰り返さなくてもアークスポットのラ
ンダムな移動によりカソード全域から蒸発が起こる。従
って、装置は点弧装置の影響を受けず、アーク電流を大
きくすることにより蒸着能率の向上が図れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気的手段により気相
とした物質によってワークをコーティングするアークイ
オンプレーティング装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】カソード構成成分を電気的手段により気
相とした物質とし、この物質をワークにコーティングす
るアークイオンプレーティング装置として、図8に示す
ような装置が、特開昭59−211574号公報に開示
されている。この装置は、真空チャンバー1内に配置さ
れた筒状のワーク2の中心に棒状のカソード3が位置
し、このカソード3の一端側に、このカソード3に対応
するアノード4が配置されている。
【0003】このような構成を有する装置において、ア
ノード4を往復ドライブ装置5の駆動によってカソード
3の一端部に間欠的に接触させてアークをとばし、カソ
ード3を全長にわたって蒸発させてカソード構成成分を
筒状のワーク2の内面にコーティングする。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記装置では、棒状の
カソード3の一端から点弧するため、電流が一端から他
端へ向かって流れ、この電流の流れに対応して磁場が変
化し、アークスポットがカソード3の他端へ移動してい
く。このような状態のままではアーク放電が他端部で集
中的に起こるようになり、他端部で集中的に蒸発が起こ
るので、アノード4をカソード3に接触させてアークを
消滅させる必要がある。一方、筒状のワーク2の内面を
コーティングするためには、棒状カソード3の全長にわ
たってほぼ均等にアーク放電を起こすことが望ましい。
よって、上記装置ではアノード4をドライブ装置5で往
復運動させることによって間欠的に点弧消弧を繰り返し
ている。
【0005】しかし、一般に点弧消弧は機械的な接触切
離しにより行うため、ドライブ装置駆動による点弧消弧
では動作速度に限界がある。一方、蒸着速度を上げるた
めにアーク電流を大きくするとアークの移動速度が速く
なるので、カソード全域で均等にアーク放電させるため
には点弧動作を速くしなければならない。よって、ドラ
イブ装置の動作限界速度を超える範囲で使用すると、点
弧時間/消滅時間の比率が下がって、逆に蒸着能率が低
下することになる。
【0006】また、アークイオンプレーティング装置の
信頼性は、厳しい条件で使用されるドライブ装置の信頼
性に依存する。本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、点弧消弧動作を繰り
返さなくても、アークスポットがカソード全域で平均的
に動き回り、カソード全長にわたってカソードを蒸発さ
せることができるアークイオンプレーティング装置を提
供することにある。さらに、本発明は、アークスポット
の位置を制御して、所望の膜厚分布を有するコーティン
グ膜を得ることができるアークイオンプレーティング装
置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】第1の発明のアークイオ
ンプレーティング装置は、真空容器内でアノードとカソ
ードとの間にアークを発生させて前記カソードを蒸発さ
せ、ワークに前記カソードの構成成分をコーティングす
るアークイオンプレーティング装置において、該カソー
ドの両端が略同電位となるように該カソードの両端がア
ーク電源の陰極に夫々接続されている。
【0008】第2の発明のアークイオンプレーティング
装置は、真空容器内でアノードとカソードとの間にアー
クを発生させて前記カソードを蒸発させ、ワークに前記
カソードの構成成分をコーティングするアークイオンプ
レーティング装置において、前記カソードの長手方向の
両端がアーク電源の陰極に夫々接続されていて、且つ前
記カソードの両端を流れる電流値を調節する調節手段を
備えている。
【0009】
【作用】第1の発明において、アノードとカソードとの
間に一旦アークが発生すると、カソードの両端が同電位
となるように調整されており、アーク電流はカソードの
両端から対称に供給されるためアークスポットの偏りは
発生せず、アークスポットはその不安定性故にカソード
全長にわたってランダムに動き回る。アークスポットの
カソード全長にわたるランダムな移動は、あたかもカソ
ード全長にわたって連続的にアーク放電が起こっている
かの如く挙動するため、カソードの蒸発がカソード全長
にわたっておこる。
【0010】よって、カソード全長にわたってカソード
を蒸発させるためにアノードを間欠運転しなくてもよ
く、アークイオンプレーティング装置としての信頼性が
向上する上に、アーク電流を調整することにより蒸着能
率が向上する。また第2の発明では、調節手段でカソー
ド両端に流れる電流を調節することにより、カソードの
両端を効率よく略同電位にする他、さらにアークスポッ
トを位置を制御して所望の膜厚分布を形成できる。
【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図1は、第1の発明の一実施例たるアークイオン
プレーティング装置100を示す構成概略図である。図
1中、10は金属製の真空チャンバーで、真空チャンバ
ー10の側壁には保持器11、12が設けられており、
該保持器11、12により棒状のカソード15を水平に
保持している。保持器11、12はチャンバー10と電
気的に絶縁されており、真空シール18、18で保持器
11、12と真空チャンバー10との間隙をシールして
いる。また、保持器11、12の外周には、各々アーク
閉じ込めリング11A、12Aが取り付けられていて、
カソード上のアークスポットが保持器11、12上を移
動しないように制限している。そしてカソード15の両
端に相当する保持器11、12は、それぞれアーク電源
13、14の陰極に接続されている。一方、アーク電源
13、14の陽極は、真空チャンバー10の底面に接続
され、真空チャンバー10自体がアノードを形成してい
る。16は点弧装置で、その根本部分16aが真空チャ
ンバー10に設置されている。なお、被コーティング物
たる円筒状のワーク17は、カソード12を外嵌するよ
うに適当な方法で配置されている。
【0012】以上のような構成を有するアークイオンプ
レーティング装置100において、2台のアーク電源1
3、14を予め同電位に設定しておくことにより、カソ
ード15の両端をほぼ同電位にすることができる。かか
る状態で、真空チャンバー10内を図示省略の真空ポン
プにより真空状態にして、点弧装置16の点弧部16b
をカソード15に接触させた後切り離すと、その部分で
アーク放電が起こる。そして、アークスポット、保持器
12、アーク電源14、アノード10及びカソード15
からなる回路系と、アークスポット、保持器11、アー
ク電源13、アノード10及びカソード15からなる回
路系とを形成する。これらの回路系は電流方向が逆向き
であるために、磁場が打ち消しあって、見かけ上磁場が
発生していないような状態になる。このため、アークス
ポットは、その不安定性故に、カソード15全長にわた
ってランダムに動き回り、あたかもカソード15全長に
わたってアーク放電が連続的に起こっているような状態
になる。そして、カソード15の蒸発もカソード全体か
らほぼ均等に行われる。
【0013】よって、従来のように、点弧装置16の点
弧消弧動作を繰り返さなくても、カソード15全長にわ
たってアーク放電を行わせることができる。このよう
に、第1発明の構成を有する装置によれば、アノードを
間欠的に往復動させなくても、カソード15全長にわた
って平均的にアーク放電を起こすことができるので、駆
動機構の信頼性の影響を受けることもない。また、アー
クスポットの移動速度を上げたい場合、すなわち、アー
ク放電がカソード15全域で連続的にアーク放電が起こ
っているようにする場合も、回路系に流れるアーク電流
値を高くするだけでよい。例えば、アーク電流が50A
程度ではアークスポットの動きは比較的ゆっくりである
が、200A以上になると、カソード15の両端間を激
しく動き回るようになる。よって、装置全体としての信
頼性が向上する上に、アーク電流を上げることにより、
蒸着効率を上げることもできる。
【0014】なお、アークイオンプレーティング装置1
00では、真空チャンバー10自体をアノードとして用
いたが、真空チャンバー10以外にアノードを配置し
て、これとアーク電源の陽極を接続してもよい。また本
発明において、カソード15の両端を同電位に保持でき
る構成であれば、予め同電位に設定した2台のアーク電
源13、14をそれぞれカソード15の一端及び他端に
接続しなくても、1台のアーク電源を共有してもよい。
【0015】1台のアーク電源を共有した場合のアーク
イオンプレーティング装置の概念模式図を図2に示す。
図2において、アーク電源19の陰極がカソード15の
両端にそれぞれ接続されている。このような構成は、ア
ーク電流が50〜200A程度で、1台のアーク電源で
まかなえるような小電力域の使用において経済的であ
る。しかし、ケーブル長の違いや配線の接触抵抗の違い
などの理由から、略同電位の状態にはなりにくく、実際
には、カソードの一端15aとアーク電源19とチャン
バー10とから構成される回路系A(回路系Aを流れる
電流I1 )、及びカソードの他端15bとアーク電源1
9とチャンバー10とから構成される回路系B(回路系
Bを流れる電流I2 )のいずれか一方の電流値が大きく
なり、電流導入点に向かって移動し易いアークスポット
の性質から、電流値が大きい側にアークスポットが偏る
傾向にある。このため、本発明の目的たるカソード全長
にわたって均一なアーク放電が達成できなくなるおそれ
がある。1台のアーク電源で、カソード両端が同電位と
なるようにバランスさせる構成としては、図3に示すア
ークイオンプレーティング装置200のように電流調整
器20、21を介して夫々保持器11、12に接続する
構成がある。
【0016】次に、カソード15の両端を流れる電流値
を調節する調節手段を備えた第2の発明について説明す
る。はじめに、カソード15の両端を流れる電流I1
2 とアークスポットの位置関係について図4を参照し
つつ説明する。図4(a)〜(c)はいずれもカソード
15におけるアークスポットの分布を示しており、横軸
はカソード15の長手方向の位置、縦軸は所定時間あた
りの各位置におけるアークスポットの位置頻度を示して
いる。
【0017】アークスポットの位置は、その特性上、ア
ーク電流の流れる方向に影響される。換言すると、カソ
ード15両端の電流値のバランス状態(例えば、|I1
−I 2 |)に依存する。よって、I1 とI2 の電流値が
等しいときはカソード15のほぼ全域にアークスポット
は分散するが(図4(a)参照)、I2 がI1 に比して
非常に大きいときはI2 が流れる方のカソード端部12
側にアークスポットが偏在する傾向にあり(図4(b)
参照)、I1 がI2 に比して非常に大きいときはI1
流れる方のカソード端部11側にアークスポットが偏在
する傾向にある(図4(c)参照)。ワーク17に形成
されるコーティング膜の膜厚は、アークスポットの存在
頻度が高い部分程厚くなる。従って、調節手段によりカ
ソード15両端に流れる電流I1 、I2 の電流値を制御
することにより、カソード15の長手方向全長にわたっ
て精密に均一な成膜を行える他、必要に応じて局所的な
膜厚分布を有する成膜を行うことができる。
【0018】図5は第2発明の一実施例で、調節手段と
して、カソード15の各端部とアーク電源13、14間
に印加される電圧を変化させる制御信号を出力する電圧
コントローラ22を使用したアークイオンプレーティン
グ装置300を示している。電圧コントローラ22はア
ーク電源13、14に接続されていて、アーク電源13
へ制御信号v1 を、アーク電源14へ制御信号v2 を入
力する。制御信号v1、v2 に応じて電源13、14の
電圧グラウンドレベルが変化し、カソード15の一端1
1と電源13及びカソード15の他端12と電源14間
の印加電圧(図5中V1 、V2 で表示)が変化する。す
なわち電流I1 及びI2 の大きさが変わる。
【0019】制御信号v1 、v2 は、電圧コントローラ
22に入力された情報に基づいた時間(t)の関数で表
される。所望のアークスポット分布、すなわち電流I1
とI 2 とのバランスに応じて、sin波、矩形波等の関
数パターンや周期等が決定される。ここで、膜厚はアー
ク電流の大きさ(I)と放電時間(t)の積に比例する
ことから、放電の間に流れるアーク電流I(I1 及びI
2 の各電流値の和)を一定にしておくことが好ましい。
例えば、放電の間、アーク電流I1 とI2 との和を一定
にした状態で、図6に示すような対称形の関数パターン
を有する制御信号v1 、v2 を入力してI1 及びI2
電流値比を変化させると、I1 及びI2の各電流値をそ
れぞれ管理しなくてもワーク17全長にわたって膜厚が
ほぼ一定な均等膜を形成することができる。このように
して形成されたコーティング膜は、アークイオンプレー
ティング装置100又は200において、放電の間中、
電流I1 及びI2 の電流値が等しくなるように調整して
得られるコーティング膜よりも膜厚の均一精度が高い。
【0020】以上のようにアークイオンプレーティング
装置300では、アーク電源13、14の出力電圧をコ
ントローラ22にてコントロールしているので、制御信
号v 1 、v2 の関数パターンを選択することにより、均
一膜のみならず種々の成膜パターンに対応するとができ
る。また、カソード15の一端11及び他端12に接続
されているアーク電源13、14は独立的に制御されて
いるので、電圧V1 、V2 を電圧コントーラ22にフィ
ードバック等することにより2台の電源13、14間の
ばらつき、誤差を考慮しなくてもよい。従って、電圧コ
ントローラ22を使用する本実施例のアークイオンプレ
ーティング装置300の構成によれば複数台の電源を用
いて所望の成膜分布を作成することができるので、容量
の小さい電源の活用が容易となり、特に成膜速度を上げ
たいときに経済的である。
【0021】図7は、第2の発明の他の実施例で、調節
手段としてアーク電源19とは別の電源(制御用電源)
25が設けられている。制御用電源25の陽極及び陰極
を、それぞれカソード15の一端15a及び他端15b
に接続しており、制御用電源25とカソード15からな
る回路系Cが構成されている。この回路系Cを流れる電
流をI3 とすると、回路系Aと回路系Cとの合流部の電
流はI1 −I3 、回路系Bと回路系Cとの合流部の電流
はI2 +I3 となる。従って、回路系Cを流れる電流I
3 の大きさ及び流れる方向を適宜設定することで、I1
とI2 との電流値が異なる場合においてカソード両端を
流れる見かけ上の電流を等しくすることができる他、成
膜速度分布の高度な制御が可能となる。
【0022】実際上の問題として、アークスポットの偏
りの原因は、I1 とI2 との差である電流のアンバラン
ス以外に、アノードたるチャンバー10の構造に起因し
たり、I1 とI2 との電流分配も一定ではなく、常に変
動しているなどの要因もあるが、I3 を調整すること
で、アークスポットの偏在のない放電及び偏在させた状
態での放電を行うことができることが実験的に確認でき
る。
【0023】図7に示す構成において、制御用電源25
の電流容量は、2本の電力ケーブル間のアンバランスが
極端に大きい場合を除いては、回路系B及び回路系Cを
流れるアーク電流の10〜20%で充分である。また、
制御用電源25は、出力端が実質的に短絡状態で使用さ
れることから、出力の電圧容量は最大でも2〜3V程度
の小さな容量のものでよい。よって、かかる構成では、
アーク電源19及び制御用電源25という2個の電源を
用いているが、経済性の要求に反しない。
【0024】図7に示す構成を有するアークイオンプレ
ーティング装置400(図8)に基づいて、制御用電源
25の使用によるアークスポットの偏在防止効果を具体
的に説明する。図8に示すアークイオンプレーティング
装置400では、カソード15の一端15aに相当する
保持部11が制御用電源25の陽極、他端15bに相当
する保持部12が制御用電源25の陰極に夫々接続され
ている。
【0025】このアークイオンプレーティング装置40
0において、制御電源25及びカソード15で構成され
る回路系Cに電流を流さずに真空アーク放電を行ったと
ころ、回路系Aを流れる電流I1 が回路系Bを流れる電
流I2 よりも大きいために、目視でもアークスポットが
一端15a側に偏りがちになるのが認められた。特にア
ーク電流が150A以下のときに偏りが顕著であった。
回路系Cを流れる電流I3 を増大させていくと、徐々に
アークスポットの偏在が解消され、さらに電流I3 を増
大すると、アークスポットが他端15b側に偏ることが
観察できた。アーク電流が100Aのときには、I3
5〜10Aのときにアークスポットの偏在が解消でき
た。
【0026】以上のように、制御電源25及びカソード
15からなる回路系Cの電流値を選択することにより、
アーク放電をカソード全長にわたって均一に起こさせる
ことができる他、極性切替え自在の制御用電源25を用
いて、I3 の大きさ及び流れる方向を所定のタイムスケ
ジュールに従って変化させることにより、アークイオン
プレーティング装置300と同様に膜厚分布の高度な制
御が可能となる。
【0027】なお、アークイオンプレーティング装置1
00〜400において、真空チャンバー内に棒状カソー
ド15を水平に保持しているが、本発明はこれに限らず
垂直に保持してもよい。図1のような棒状カソードを用
いた装置では、有底筒状のワークをうまく配置できない
だけでなく、ワーク毎に保持器11、12を取り外して
新たなワークをセットしなければならず面倒である。次
に、このような問題を解決できる本発明の他の実施例を
図9に基づいて説明する。
【0028】図9に示すアークイオンプレーティング装
置500では、カソードとしてU字状のカソード30を
用い、ワーク31として有底円筒状物を用いている。カ
ソード30の両端はアーク電源32、33の陰極に接続
されている。両アーク電源32、33の陽極に接続され
るアノードは真空チャンバー34であってもよいし、他
のものであってもよい。点弧装置35は、その根本部分
35aが真空チャンバー34に設置されていて、その先
端部分35bがカソード30の端部に接触できるように
なっている。
【0029】かかる構成を有するアークイオンプレーテ
ィング装置500において、点弧装置35の接触切離し
動作によりアーク放電が起こる。上記実施例の場合と同
様にカソード30両端が同電位となるように調整されて
いることから、アークスポットはカソード30全域をラ
ンダムに移動し、アーク電源を切らない限り、カソード
30全域にて連続的にアーク放電しているかの如く挙動
する。
【0030】図9中、36は、カソード30を支持し、
真空チャンバー34と電気的に絶縁するための保持体で
ある。なお、U字状カソード30の他、図10に示すア
ークイオンプレーティング装置600のように有底円筒
状のカソード40を用いることもできる。この場合、カ
ソード40の開口周縁部40aをアーク電源32の陰極
に接続し、もう一方のアーク電源33の陰極には、電流
導入棒41の一端41aを接続する。この電流導入棒4
1は、カソード40の内部に配置され、他端41bがカ
ソード40の底面40bと螺合固定されている。このよ
うな状態においては、カソード40の開口周縁部40a
と電流導入棒41の他端41aとは同電位に調整されて
いる。そして、点弧装置35でカソード40のある部分
を点弧消弧すると、カソード40、アーク電源32及び
アノードの回路系と、カソード40、電流導入棒41、
アーク電源33及びアノードの回路系とが形成される。
これらの回路系に流れる電流は、上記実施例の場合と同
様に、アークスポットを一定方向に移動させるような磁
場の発生が見かけ上ないので、アークスポットがカソー
ド40全長にわたってランダムに動き回り、カソード4
0全面から連続的にアーク放電が起こる。
【0031】なお、図10におけるアークイオンプレー
ティング装置600において、電流導入棒41を円筒内
部に配置したが、これに限らない。また、アークイオン
プレーティング装置100〜600において、連続的ア
ーク放電によるカソードの過熱を防止するために、中空
のカソードを用いて、その中空部分に冷媒体を通流させ
てもよい。
【0032】
【発明の効果】本発明のアークイオンプレーティング装
置では、一旦発生したアークスポットが一定方向に移動
せずにランダムにカソード全長にわたって動き回って、
カソード全域から蒸発が起こるので、点弧消弧を繰り返
す必要がない。従って、アークイオンプレーティング装
置は点弧消弧装置の駆動機構の信頼性に依存することが
ない。また、アークスポットの移動速度もアーク電流を
大きくすることにより変化させることができるので、容
易に蒸着能率を向上させることができる。
【0033】カソードを流れる電流を調整する調節手段
を設けることにより、アークポットの偏在防止を確実に
達成して精度の高い均一膜を形成することができる他、
さらにはアークスポットの位置制御を行って、所望の膜
厚分布を有するコーティング膜を形成することもでき
る。また、U字状あるいは有底円筒状のカソードを用い
ることにより、種々の形状のワークにも適用することが
でき、しかもワークの取り替え操作が簡単に行えるの
で、作業能率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1発明の実施例の1つに係るアークイオンプ
レーティング装置100の構成を示す図である。
【図2】第1発明の他の実施例に係るアークイオンプレ
ーティング装置の構成を示す概念模式図である。
【図3】第1発明の他の実施例に係るアークイオンプレ
ーティング装置200の構成を示す図である。
【図4】カソード両端の電流バランスとアークスポット
の位置分布との関係を説明するための図である。
【図5】第2発明の実施例の1つに係るアークイオンプ
レーティング装置300の構成を示す図である。
【図6】制御信号v1 及びv2 の関数パターンの一例を
示す図である。
【図7】第2発明の他の実施例に係るアークイオンプレ
ーティング装置の構成を示す概念模式図である。
【図8】第2発明の他の実施例に係るアークイオンプレ
ーティング装置400の構成を示す図である。
【図9】第1及び第2発明の他の実施例に係るアークイ
オンプレーティング装置500の構成を示す図である。
【図10】第1及び第2発明の他の実施例に係るアーク
イオンプレーティング装置600の構成を示す図であ
る。
【図11】従来の棒状カソードを用いたアークイオンプ
レーティング装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
10 真空チャンバー 13 アーク電源 14 アーク電源 15 カソード 17 ワーク 19 アーク電源 20 電流調整器 22 電圧コントローラ 25 制御用電源 30 U字状カソード 31 ワーク 32 アーク電源 33 アーク電源 34 真空チャンバー 40 有底円筒状カソード 41 電流導入棒

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空容器内でアノードとカソードとの間
    にアークを発生させて前記カソードを蒸発させ、ワーク
    に前記カソードの構成成分をコーティングするアークイ
    オンプレーティング装置において、 前記カソードの長手方向の両端が略同電位となるように
    該カソードの両端がアーク電源の陰極に夫々接続されて
    いることを特徴とするアークイオンプレーティング装
    置。
  2. 【請求項2】 真空容器内でアノードとカソードとの間
    にアークを発生させて前記カソードを蒸発させ、ワーク
    に前記カソードの構成成分をコーティングするアークイ
    オンプレーティング装置において、 前記カソードの長手方向の両端がアーク電源の陰極に夫
    々接続されていて、且つ前記カソードの両端を流れる電
    流値を調節する調節手段を備えていることを特徴とする
    アークイオンプレーティング装置。
  3. 【請求項3】 調節手段はアーク電源とは別に設けられ
    た制御用電源であって、該制御用電源の陽極及び陰極が
    それぞれカソードの一端及び他端に接続されていること
    を特徴とする請求項2に記載のアークイオンプレーティ
    ング装置。
  4. 【請求項4】 調節手段は、カソード端部とアーク電源
    との間に印加される電圧を制御信号により制御する電圧
    コントローラであることを特徴とする請求項2に記載の
    アークイオンプレーティング装置。
  5. 【請求項5】 カソードが棒状体であることを特徴とす
    る請求項1〜4のいずれかに記載のアークイオンプレー
    ティング装置。
  6. 【請求項6】 カソードがU字状に形成され、該U字状
    カソードの一対の端部がアーク電源の陰極に夫々接続さ
    れていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項
    に記載のアークイオンプレーティング装置。
  7. 【請求項7】 カソードが有底筒状に形成され、該カソ
    ードの開口周縁部及び閉塞部が夫々アーク電源の陰極に
    接続されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれ
    か1項に記載のアークイオンプレーティング装置。
  8. 【請求項8】 有底筒状のカソードの閉塞部とアーク電
    源の陰極とを接続する接続部材が、筒内部に配置されて
    いることを特徴とする請求項7に記載のアークイオンプ
    レーティング装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103469166A (zh) * 2013-10-12 2013-12-25 武汉大学 一种集成式阴极电弧靶
CN107227445A (zh) * 2017-07-24 2017-10-03 曲士广 一种沉积管内壁涂层的电弧离子镀设备
CN110042349A (zh) * 2019-04-28 2019-07-23 吉林大学 一种多弧离子镀阴极装置

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