JPH0692175A - 花卉の輸送方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 花卉から出るエチレンガスを排除しながら
輸送し得る花卉の輸送方法を合理的に実現し、刈り取っ
た花卉類を短時間で新鮮なまま輸送することを目的とす
る。 【構成】 輸送車の荷台２上に一部が開放される積荷
空間２’を構成し、該輸送車の荷台２に花卉を収納した
収納箱１０を載置し、この収納箱１０に通気孔１４を開
孔すると共に、上記屋根面下に設けた送風装置５から荷
台上の収納箱１０へ向けて送風を行なうものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、切り花等の花卉類を
鮮度維持したまま輸送する花卉の輸送方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、切り花等の花卉類を輸送するに
は、畑から刈り取った花卉を１０時間以上延命剤に浸し
た後、さらに冷蔵室内で数時間冷してから段ボール箱等
の収納箱に入れ、保冷車により低温輸送していた。

【０００３】

【発明が解決しうとする課題】しかしながら、上記した
ような輸送方法においては、刈り取った花卉を延命剤に
浸す処理と花卉冷蔵する作業とに多くの時間と手間がか
かってしまい、これがコスト高を招いていた。また、低
温輸送は花卉を云わば仮死状態にして輸送するために接
触によって傷み易い傾向あると共に、輸送中においては
密閉された収納箱内やコンテナの中が花卉から出るエチ
レンガスにより満たされ、このエチレンガスのために花
卉の鮮度が急速に失われる等の問題があった。

【０００４】本発明は、花卉から出るエチレンガスを排
除しながら輸送し得る花卉の輸送方法を合理的に実現
し、刈り取った花卉類を短時間で新鮮なまま輸送するこ
とを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記した課題を解決する
ために本発明は、輸送車の荷台上における屋根面を幌若
しくは覆い板により覆って周面の一部が開放される積荷
空間を構成し、該輸送車の荷台に花卉を収納した収納箱
を載置し、この収納箱に通気孔を開孔すると共に、上記
屋根面下に設けた送風装置から荷台上の収納箱へ向けて
外気の送風を行なうものである。また、上記した収納箱
内の底面に非透水性を有する敷板を敷設すると共に、こ
の敷板に適数凹設した器体に延命剤を入れ、該器体内に
花卉下端の切口を挿して収納箱内において花卉を立てた
状態で収納するとより効果的である。

【０００６】

【作用】以上の輸送方法によれば、周面の一部が開放さ
れた積荷空間には走行に伴って外気が導入され、同空間
内の換気が自由に行なわれる。また、輸送車の荷台上に
載置された収納箱には通気孔が開孔し、この開孔を介し
て収納箱内の通気が行なわれる。そして、輸送中におい
て、荷台の屋根面下に設けた送風装置から上記収納箱に
向けて送風が行なわれると、送風装置から吹き付けられ
る外気により荷台上の温度が一定に保たれると共に、吹
き付けられる外気が収納箱に設けた通気孔から箱内に流
入し、反対に収花卉から出るエチレンガスが収納箱内か
ら流出して同箱内の換気が強制的に行なわれる。また、
請求項２の輸送方法によれば、花卉は収納箱内において
立てた状態で収納され、下端の切口が延命剤の入った器
体内に挿し込まれている。よって、収納箱内に立てた状
態で収納される花卉には上記したように通気孔を介した
換気が行なわれると共に、花卉の切口から延命剤の供給
がなされて花卉の鮮度が保たれる。

【０００７】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の輸送方法
は、切り花等の花卉を通気性を有する収納箱に収納し、
荷台上に載置した上記収納箱に対して送風装置からの送
風を当てて荷台空間及び収納箱内の換気を強制的に行な
いながら輸送するものであるから、輸送中に花卉からで
るエチレンガスを収納箱の外に速やかに排出して花卉を
常に自然風の中に置くことができるので、花卉の鮮度を
効果的に保つことができる。また、請求項２の輸送方法
のように花卉を収納箱の中に立てた状態で収納し、器体
に挿した切口から延命剤の供給を行なうものにおいて
は、上記した強制換気によりエチレンガスの排出を行な
うと共に、輸送中の花卉に対して延命剤の供給を行なう
ことができるので、花卉の鮮度をより効果的に維持する
ことができる。さらに、本発明の輸送方法によれば、刈
り取った花卉を収納箱に入れてすぐに輸送することが出
来るようになるので、従来のように刈り取った花卉を延
命剤に浸し、さらに冷蔵してから低温輸送を行なってい
た輸送方法と比較すると、輸送の準備作業にかかる時間
とコストを大幅に削除することができる。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の一実施を図面に基づいて説明
する。図１及び図２にて示す輸送車は、車体フレーム１
上に花卉の収納箱１０を載せる荷台２を設けてある。荷
台２は周囲を煽板２ａにて包囲すると共に、左右側面部
間にわたって略コ形に折り曲げ形成した数本の幌骨３を
架け渡すことにより構成してある。そして、上記した幌
骨３の上面部には荷台２上に直射日光が差し込むのを防
止する為にキャンバス地からなる日除け幌４にて覆って
あり、この幌４により荷台２の屋根面を構成してある。
また、上記した日除けシート４の周縁部と荷台の煽板２
ａとの間は開放させてあり、この開放部から荷台２上に
走行風が導入されるようになっている。即ち、荷台２と
屋根面との間に両側面と後面が部分的に開放される積荷
空間２’が構成されることになる。尚、上記した屋根面
はシート４を幌４を用いることにより分解可能に構成し
てあるが、荷台２上の屋根面はコンテナと同様な覆い板
によって構成してもよい。また周面に設ける開放部も適
度な通気性を確保できればどのように形成してもよく、
大きさや形態を限定するものではない。

【０００９】各幌骨３の上辺部に沿って吊設される５は
送風ダクトである。この送風ダクト５は、荷台２の略全
長にわたるように長箱状に形成し、幌骨３上辺部の中央
に沿って吊持してある。上記した送風ダクト５は、前部
の上流端口に後述するファン７を設置すると共に、後部
の下流端を閉鎖し、さらにダクト下面部には送風口６を
荷台２の全長方向に所定の間隔をおいて２個宛開設する
ことにより構成してある。そして各送風口６には摺動自
在にガイドされる摺動板６ａを設け、この摺動板６ａを
摺動させることにより各送風口６の開口面積を調節でき
るようになっている。上記した送風ダクト５の取付は、
ダクト上面部に定間隔をおいて取り付けた固定バンド５
ｂを上記した幌骨３の上辺部に巻回して固定することに
より幌骨３に対して着脱可能に吊持してある。上記した
ような取付手段によれば送風ダクト５を既存の輸送車の
幌骨に対して簡単に取付ることができる。また、送風ダ
クト５の上流端口には２個の送風ファン７を並べて設置
すると共に、この送風ファン７の外側をカバー８によっ
て覆っている。このカバー８の前面にはフィルターを装
着した吸気口８ａを開設してある。

【００１０】以上のように構成した輸送車の荷台２には
花卉を収納する収納箱１０を並列させて載せることにな
るが、収納箱１０は図３及び図４にて示すように花卉を
立てた状態で収納するように構成してある。収納箱１０
は、段ボールや合成樹脂板等からなる箱体であり、上面
が開口する箱本体１０ａと蓋１０ｂとから構成し、箱外
形の縦、横、高さの各寸法を収納する花卉の丈と収納本
数に応じて定めてある。図３にて示す収納箱１０の場
合、４〜５本にまとめた花卉の束を適宜な間隔を置いて
４束一例状に並列させた状態で収納している。また、箱
本体１０ａの周面及び蓋１０ａ上面に多数開孔される孔
は通気孔１４であり、この通気孔１４を介して箱内の換
気が行なわれる。

【００１１】上記した収納箱１０内の底面には非透水性
を有する敷板１１を敷設してある。敷板１１は塩化ビニ
ル樹脂やポリエチレン樹脂等の合成樹脂薄板からなり、
その上面に逆円錐台形の器体１２を４個並べて凹設形成
すると共に、周縁から立上り部１３を立ち上げ形成する
ことにより箱本体１０ａ内の下部を覆う凹状のカバーと
して構成してある。尚、上記した敷き板１１は器体１２
及び立上り部１３合成樹脂の薄板を用いて一体成形した
が、器体１２や立上り部１３は敷板の本体部分と別体に
形成してもよい。また、器体１２を敷板１１の上に突出
する形で成形し、敷板が箱本体１０ａの底面に直接敷か
れるように構成してもよい。

【００１２】次ぎに上記した輸送車と収納箱１０を使用
して行なう花卉の輸送方法について説明する。畑から刈
り取った花卉は、選別作業を行なった後にすぐ箱詰めす
るが、その前に収納箱１０の底面に敷設される敷板１１
の各器体１２内に花卉の延命剤１５を注入しておく。延
命剤１５は花卉に水分補給を行なうと共にエチレンガス
の発生を抑制するものであり、例えば粉末のブドウ糖を
水で溶いたものを直接若しくは繊維質の含浸材に含浸さ
せた状態で器体１２内に注入する。

【００１３】花卉の箱詰めは、図３にて示すようにはだ
かのまま数本にまとめるか、もしくはまとめた花卉の束
に合成樹脂フィルムを巻いた状態で収納箱１０の箱本体
１０ａの中に立てた状態で収納する。そして、その時に
花卉下端の切口を器体１２内に挿し込んで延命材１５の
中に漬ける。これにより収納箱１０の中には４束の花卉
の束が立てた状態で収納され、各々の花卉の切口からは
延命材１５が吸い上げられるようになる。上記したよう
に花卉を収納した収納箱１０は蓋１０ｂを閉めて輸送車
の荷台２上に若干の間隔を置きながら並べて載置する。
収納箱１０の寸法が高い場合には図１図のように一段状
に載せた後にベルト掛けし、また、収納箱の寸法が低い
場合には、収納箱１０間に通気用の間隔を適当に置いた
状態で２段若しくは多段状に積載する。

【００１４】輸送の際には、荷台２の開放部から自然風
が入り込むと同時に、必要に応じてファン７を作動作動
させることにより送風ダクト５の送風口６から荷台２上
に向けて送風が行なわれる。走行中においては、荷台２
の開放部から十分な走行風が入り込むので荷台２上の換
気は問題はない。しかし、夏の渋滞等により長時間停車
する場合は、上記した走行風による換気が殆ど行われな
いので、運転車は停車時において送風ファン７を作動さ
せる。送風ファン７が作動すると、吸気口８ａから導入
される外気が送風ダクト５の送風路５ａを通過し、各送
風口６から荷台２上の収納箱１０へ向けて吹き出され、
走行風の代りに十分な送風が行なわれる。そして、各送
風口６から吹き付けられる外気により荷台２上の温度が
一定に保たれると共に、吹き付けられる外気が収納箱１
０の通気孔１４から箱内に流入し、反対に花卉から出た
エチレンガスが収納箱１０内から流出し、収納箱１０内
の換気が強制的に行なわれる。一方、収納箱１０内に立
てた状態で収納される花卉は、下端の切口から延命剤を
吸い上げて吸収する。よって、収納箱１０内の花卉には
上記したように通気孔１４を介して良好な換気が行なわ
れると共に、花卉の切口から延命剤の供給がなされて花
卉の鮮度が効果的に保たれる。尚、上記した送風ダクト
５は同ダクトの一端部に送風ファン７を設け、送風路５
ａに対してその一端から送風を行うものであるから、各
送風口６の開口面積が全て同じである場合は送風ファン
７に近い送風口６のほうが送風量が多くなり、逆に送風
ファン７から遠ざかる送風口６ほど送風量が減少する傾
向がある。従って、上記送風ダクト５においては、各送
風口６に設けた摺動板６ａをスライド調節することによ
り各送風口６の開口面積を送風ファン７から遠ざかるに
伴って大きくなるように調節し、これにより各送風口６
からの送風量を一定にすることができる。

【００１５】以上の如き輸送方法によれば、輸送中には
送風ダクト５によって強制的に行なう換気により花卉か
らでるエチレンガスを収納箱１０の外に速やかに排出し
て花卉を常に自然風の中に置きながら輸送することがで
きる。同時に、花卉を収納箱の中に立てた状態で収納
し、器体１２に挿した切口から延命剤の供給を行なうの
で、目的地まで花卉の鮮度を保ったまま輸送することが
可能である。また、本発明の輸送方法によれば、畑から
刈り取った花卉を延命材処理や冷蔵作業を行なわずに、
収納箱１０に入れてすぐに輸送することができる。従っ
て、従来のように刈り取った花卉を延命剤に浸し、さら
に冷蔵してから低温輸送を行なっていた輸送方法と比較
すると、輸送の準備作業にかかる時間と手間を大幅に削
減してコストの低減を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本願に使用する輸送車の荷台部分を示す縦
断面図。

【図２】 図１におけるII−II線断面図。

【図３】 収納箱の縦断面図。

【図４】 図３におけるIV−IV線断面図。

【符号の説明】

２・・・荷台 ２’・・・積荷空間 ４・・・幌 ５・・・送風ダクト １０・・・収納箱 １１・・・敷板 １２・・・器体 １４・・・通気孔 １５・・・延命材

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 輸送車の荷台上における屋根面を幌若
   しくは覆い板により覆って周面の一部が開放される積荷
   空間を構成し、該輸送車の荷台に花卉を収納した収納箱
   を載置し、この収納箱に通気孔を開孔すると共に、上記
   屋根面下に設けた送風装置から荷台上の収納箱へ向けて
   外気の送風を行なうことを特徴とする花卉の輸送方法。
2. 【請求項２】 収納箱内の底面に非透水性を有する敷
   板を敷設すると共に、この敷板に適数凹設した器体に延
   命剤を入れ、該器体内に花卉下端の切口を挿して収納箱
   内において花卉を立てた状態で収納することを特徴とす
   る請求項１記載の花卉の輸送方法。