JPH0690728A - シガレット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明はフィルターベンチレーションを確実に
抑制したシガレットを提供することを目的とする。 【構成】 開孔フィルター型のシガレットは、フィルタ
ー濾過材２０及びその周囲に巻かれたプラグ巻取紙１８
を有するフィルター１４と、たばこ巻１２と、複数の開
孔２２を有し且つフィルター１４及びたばこ巻１２を接
続するチップペーパー１６と、を具備する。チップペー
パー１６の開孔２２に対応する領域においてプラグ巻取
紙１８にエンボス２４が形成される。エンボス２４は、
開孔２２の周囲において、チップペーパー１６とフィル
ター１４周面との間に僅かな間隙を生じさせる。これに
よって、チップペーパー１６とフィルター１４周面との
間の密着性が緩和され開孔２２からのフィルターベンチ
レーションが向上すると共に、該フィルターベンチレー
ションのばらつきが減少する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はシガレットに関し、より
具体的にはフィルターからの空気流入量（フィルターベ
ンチレーション）のばらつきの少ないシガレットを提供
する為のプラグ巻取紙の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】通常のシガレットフィルターは、プラグ
巻取紙により巻かれたセルロースジアセテートなどの繊
維濾過材から円筒状に成型されている。またフィルター
とたばこ巻との接続には、チップペーパーが使用され
る。近年では、フィルター吸口端から流出する煙成分量
を低減するために、通気性のあるプラグ巻取紙と、静電
気、レーザ等で開孔したチップペーパーとを組合わせた
開孔フィルターにより、フィルター側面から空気を流入
させる手段が多用されている。このような開孔フィルタ
ーでは、吸口端においてフィルター周辺部から希釈流入
空気が、中央部からたばこ煙が喫煙者の口腔内に導入さ
れる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記従来のシガレット
では、同一の材料、即ちフィルター、プラグ巻取紙、チ
ップペーパーを使用しても、製品のフィルターベンチレ
ーションに大きなばらつきが生じることが確認されてい
る。フィルターベンチレーションは煙成分量と大きく相
関するため、そのばらつきは望ましいものではない。

【０００４】従って本発明はフィルターベンチレーショ
ンを確実に制御したシガレットを提供することを目的と
する。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明者は、開孔フィルター型のシガレットにおけ
るフィルターベンチレーションのばらつきについて検討
したところ、種々の実験の結果、次のような結論を得
た。即ち、上記ばらつきは、材料自体の通気特性とは直
接関係のない、プラグ巻取紙（或いはプラグ巻取紙を使
用しない場合はフィルター周面自体）とチップペーパー
との密着性（tightness ）に起因している。この密着性
の度合いに影響され、希釈空気が通気性のプラグ巻取紙
を通り抜ける際の通気面積が製品毎に相違してくる。従
って、同一材料を使用しても、フィルターベンチレーシ
ョンを均一に制御できないこととなる。

【０００６】かかる観点に基づき、本発明者が更に試行
錯誤を重ねた。その結果、後述する実験結果に示すよう
に、チップペーパーの通気用開孔に対応してフィルター
のプラグ巻取紙にエンボスを形成し、該開孔をプラグ巻
取紙から離間させることにより、上記フィルターベンチ
レーションが向上するだけでなく、そのばらつきが小さ
くなることが見出だされた。

【０００７】従って本発明のシガレットは、フィルター
濾過材及びその周囲に巻かれたプラグ巻取紙を有するフ
ィルターと、たばこ巻と、複数の開孔を有し且つ上記フ
ィルター及びたばこ巻を接続するチップペーパーと、を
具備する開孔フィルター型のシガレットであって、上記
チップペーパーの上記開孔に対応する領域において上記
プラグ巻取紙にエンボスが形成されたことを特徴とす
る。

【０００８】

【作用】上記構成により本発明にあっては、上記エンボ
スが、上記開孔の周囲において、上記チップペーパーと
プラグ巻取紙周面との間に僅かな間隙を生じさせる。こ
れによって、上記チップペーパーとプラグ巻取紙周面と
の間の密着性が緩和され、上記開孔部からのフィルター
ベンチレーションが向上すると共に、該フィルターベン
チレーションのばらつきが減少する。

【０００９】

【実施例】図１は本発明に係るシガレットの第１実施例
を示す分解部分斜視図である。本シガレット１０は、た
ばこ巻１２とフィルター１４とを具備する。フィルター
１４はプラグ巻取紙１８により巻かれたセルロースジア
セテートなどの繊維濾過材２０からなる。またフィルタ
ー１４とたばこ巻１２との接続には、チップペーパー１
６が使用される。

【００１０】本シガレット１０は開孔フィルター型をな
す。従って、フィルター吸口端から流出する煙成分量を
低減するため、プラグ巻取紙１８としてコレスタ通気度
１０００以上の通気性の高いものが使用され、またチッ
プペーパー１６には通気用の小開孔２２がシガレットの
円周方向に沿って一列、複数列若しくは不規則（本実施
例では２列）に多数穿設される。チップペーパー１６の
開孔２２は、静電気、レーザ等の公知の手段により形成
可能となる。このような型式のシガレット１０では、吸
口端においてフィルター周辺部から希釈流入空気が、中
央部からたばこ煙が喫煙者の口腔内に導入される。

【００１１】プラグ巻取紙１８には、その全面に升目状
のエンボス２４が配設される。エンボス２４は、ローレ
ット状部材等の手段により型付けされて形成される。従
って、該エンボス２４は、開孔２２を含む全領域に亘っ
て凹凸を分布させる。

【００１２】上記の構造により本発明に係るシガレット
にあっては、エンボス２４が、開孔２２の周囲におい
て、チップペーパー１６とプラグ巻取紙１８との間に僅
かな間隙を生じさせる。従って、部材１６、１８間の密
着性が緩和され、開孔２２から巻取紙１８への通気性が
向上する。またこれに加え、エンボス２４は該通気性の
ばらつきを減少させる。その結果、フィルターベンチレ
ーションが向上し、該フィルターベンチレーションのば
らつきが減少する。

【００１３】エンボス２４の深さは、０．０１〜１．０
ｍｍ、好ましくは０．０２〜０．０６ｍｍの範囲とする
ことが望ましい。この範囲以上では、シガレット巻上げ
上の問題が生じることとなり、この範囲以下では、エン
ボス２４の効果が十分得られないこととなる。このエン
ボス２４の深さは、触針式三次元粗さ測定器（小坂研究
所製ＳＥ−３ＡＫ）を用いて測定することができる。

【００１４】エンボス２４は、押し凸型に接触した面を
チップペーパー１６側に配置することが望ましい。接触
面をチップペーパー１６側に配置した場合には、開孔２
２をフィルター１４のプラグ巻取紙１８から十分離間で
き、その逆の場合は、比較上その効果が若干小さくな
る。

【００１５】図２は本発明に係るシガレットの第２実施
例を示す分解部分斜視図である。図２中、図１図示の第
１実施例と対応する部分には同一符号を付して説明を省
略する。

【００１６】この実施例にあっては、プラグ巻取紙１８
のエンボス２４は、チップペーパー１６の開孔２２の配
列方向に沿ってのみ配設される。エンボス２４は、開孔
２２を中心に含む帯状の円周領域にローレット状部材等
の手段により型付けされて形成される。従って、該エン
ボス２４は、開孔２２を含む上記帯状の全領域に亘って
凹凸を分布させる。

【００１７】この実施例のように、エンボス２４をプラ
グ巻取紙１８の一部にのみ形成する場合、エンボス２４
の形成幅は、開孔２２の両側の夫々においてに少なくと
も１ｍｍ以上、即ち、図３中Ｌ≧１ｍｍとすることが望
ましく、更に好ましくはＬ≧２ｍｍとすることが望まし
い。これ以下では全ての開孔２２をプラグ巻取紙１８か
ら十分離間できなくなる虞がある。

【００１８】エンボス２４のパターンは、図３に拡大し
て示す図１及び図２図示の実施例における斜方格子状の
溝のパターン以外にも種々の態様が可能となる。それら
の基本的な例を図４乃至図６に示す。図４図示のエンボ
ス２５は、開孔２２の列に対して平行な溝のパターンで
ある。図５図示のエンボス２６は、開孔２２の列に対し
て直交する溝のパターンである。図６図示のエンボス２
７は、正方格子状の溝のパターンである。

【００１９】図７及び図８は本発明に係るシガレットの
第３及び第４実施例を示す分解斜視図である。同図中、
図１及び図２図示の第１及び第２実施例と対応する部分
には同一符号を付して説明を省略する。

【００２０】図７図示の第３実施例にあっては、第１実
施例と同様にエンボス２４がプラグ巻取紙１８の全体に
形成され、図８図示の第４実施例にあっては、第２実施
例と同様にエンボス２４がプラグ巻取紙１８の一部に形
成される。

【００２１】これらの実施例にあっては、フィルター１
４は第１及び第２フィルター素子２８、２９（例えばそ
れぞれ長さ１５ｍｍ、１０ｍｍ）からなる所謂デュアル
フィルター構造をなす。第１フィルター素子２８は一般
にアセテートフィルターと呼ばれるもので、プラグ巻取
紙（プラグ巻取紙１８の内側に位置することとなる）で
予め巻かれてフィルタープラグとして形成されたセルロ
ースジアセテートなどの繊維濾過材からなる。他方、第
２フィルター素子２９は一般にチャコールフィルターと
呼ばれるもので、プラグ巻取紙（プラグ巻取紙１８の内
側に位置することとなる）で予め巻かれてフィルタープ
ラグとして形成された、チャコールの添加されたセルロ
ースジアセテートなどの繊維濾過材からなる。

【００２２】第１及び第２フィルター素子２８、２９
は、エンボス加工されたプラグ巻取紙１８により巻かれ
て一体化される。従って、この場合、プラグ巻取紙１８
は別名成形紙とも呼ばれる。本発明における「フィルタ
ー」及び「エンボス加工されたプラグ巻取紙」なる用語
は、このようなデュアル構造或いは後述するトリプル構
造のフィルター及びこれに使用されるプラグ巻取紙（成
形紙）をも包括するものである。

【００２３】図９及び図１０は本発明に係るシガレット
の第５及び第６実施例を示す分解斜視図である。同図
中、図１及び図２図示の第１及び第２実施例と対応する
部分には同一符号を付して説明を省略する。

【００２４】図９図示の第５実施例にあっては、第１実
施例と同様にエンボス２４がプラグ巻取紙１８の全体に
形成され、図１０図示の第６実施例にあっては、第２実
施例と同様にエンボス２４がプラグ巻取紙１８の一部に
形成される。

【００２５】これらの実施例にあっては、フィルター１
４は第１及び第２フィルター素子３１、３２と、その両
者間に形成された中間部３３とからなる所謂トリプルフ
ィルター構造をなす。第１及び第２フィルター素子３
１、３２は一般にアセテートフィルターと呼ばれるもの
で、プラグ巻取紙（プラグ巻取紙１８の内側に位置する
こととなる）で予め巻かれてフィルタープラグとして形
成されたセルロースジアセテートなどの繊維濾過材から
なる。中間部３３は離間された両フィルタ素子３１、３
２間に活性炭等のガス吸着剤を充填することにより形成
される。第１及び第２フィルター素子３１、３２及び中
間部３３は、エンボス加工されたプラグ巻取紙１８によ
り巻かれて一体化される。

【００２６】なお、上記第１乃至第６実施例において
は、２列の開孔２２が形成されたチップペーパー１６に
関して説明しているが、本発明は開孔２２がより多く形
成されたチップペーパー、例えば多孔性チップーぺーパ
ーに対しても適用可能である。この場合、多孔性チップ
ーぺーパーの一部の開孔に対応してプラグ巻取紙にエン
ボスを形成しても、本発明の効果を得ることができる。

【００２７】上記実施例のシガレットに関する実験例を
以下に示す。

【００２８】［実験例１］斜方格子状の溝のパターンか
らなるエンボス２４（図３図示パターン）を全面に設け
たプラグ巻取紙１８を使用し、その他は通常の態様で図
１図示の本発明の第１実施例に係るシガレットサンプル
Ｂを形成した。また比較用として、エンボスを配設しな
い点を除いて同様な構造のシガレットサンプルＡを形成
した。各サンプルのエンボス以外の条件、例えば材料、
形成方法等は表中に示す条件下において共通である。こ
こでシガレット全長８４ｍｍ、フィルター長２５ｍｍ、
巻周２５ｍｍ、たばこ巻部の通気抵抗８０ｍｍＨ₂ Ｏで
ある。

【００２９】上記各サンプルについて夫々１００個の試
料を準備し、これらをベンチレーションメーターに取付
け、それらのフィルターベンチレーションを測定した。
その結果を表１に示す。同表中、チップペーパー及びプ
ラグ巻取紙通気度の単位はコレスタ、またＸはフィルタ
ーベンチレーション割合の平均値、σはその標準偏差、
ＣＶは下記の式で表されるその変動係数である。

【００３０】ＣＶ＝（σ／Ｘ）×１００（％） 表１に示すように、エンボスの形成されていないサンプ
ルＡに比べ、本発明に係るサンプルＢは、フィルターベ
ンチレーションが向上し、また該フィルターベンチレー
ションのばらつきが小さいことが確認された。

【００３１】

【表１】 ［実験例２］斜方格子状の溝のパターンからなるエンボ
ス２４（図３図示パターン）を全面に設けたプラグ巻取
紙１８を使用し、その他は通常の態様で図７図示の本発
明の第３実施例に係るデュアルフィルター構造のシガレ
ットサンプルＤを形成した。また比較用として、エンボ
スを配設しない点を除いて同様な構造のシガレットサン
プルＣを形成した。各サンプルのエンボス以外の条件、
例えば材料、形成方法等は表中に示す条件下において共
通である。ここでシガレット全長８４ｍｍ、第１フィル
ター素子長１５ｍｍ、第２フィルター素子長１０ｍｍ、
巻周２５ｍｍ、たばこ巻部の通気抵抗８０ｍｍＨ₂ Ｏで
ある。

【００３２】上記各サンプルについて夫々１００個の試
料を準備し、これらをベンチレーションメーターに取付
け、それらのフィルターベンチレーションを測定した。
その結果を表２に示す。同表中、チップペーパー及びプ
ラグ巻取紙通気度の単位はコレスタ、またＸはフィルタ
ーベンチレーション割合の平均値、σはその標準偏差、
ＣＶは下記の式で表されるその変動係数である。

【００３３】ＣＶ＝（σ／Ｘ）×１００（％） 表２に示すように、エンボスの形成されていないサンプ
ルＣに比べ、本発明に係るサンプルＤは、フィルターベ
ンチレーションが向上し、また該フィルターベンチレー
ションのばらつきが小さいことが確認された。

【００３４】

【表２】

【００３５】

【発明の効果】本発明に係るシガレットによれば、チッ
プペーパーの通気用開孔に対応してプラグ巻取紙にエン
ボスを設けることにより、シガレットのフィルターベン
チレーションを向上させるだけなく、該フィルターベン
チレーションのばらつきを減少させることができる。即
ち、シガレットのフィルターベンチレーションを確実に
制御でき、これにより所望の煙成分量を提供することが
可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るシガレットの第１実施例を示す分
解部分斜視図。

【図２】本発明に係るシガレットの第２実施例を示す分
解部分斜視図。

【図３】第１及び第２実施例のプラグ巻取紙のエンボス
を拡大して示す概略図。

【図４】プラグ巻取紙のエンボスの変更例を示す概略
図。

【図５】プラグ巻取紙のエンボスの他の変更例を示す概
略図。

【図６】プラグ巻取紙のエンボスの更に他の変更例を示
す概略図。

【図７】本発明に係るシガレットの第３実施例を示す分
解部分斜視図。

【図８】本発明に係るシガレットの第４実施例を示す分
解部分斜視図。

【図９】本発明に係るシガレットの第５実施例を示す分
解部分斜視図。

【図１０】本発明に係るシガレットの第６実施例を示す
分解部分斜視図。

【符号の説明】

１０…シガレット、１２…たばこ巻、１４…フィルタ
ー、１６…チップペーパー、１８…プラグ巻取紙、２０
…濾過材、２２…開孔、２４、２５、２６、２７…エン
ボス、２８、２９、３１、３２…フィルター素子、３３
…中間部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 フィルター濾過材及びその周囲に巻かれ
   たプラグ巻取紙を有するフィルターと、たばこ巻と、複
   数の開孔を有し且つ上記フィルター及びたばこ巻を接続
   するチップペーパーと、を具備する開孔フィルター型の
   シガレットであって、上記チップペーパーの上記開孔に
   対応する領域において上記プラグ巻取紙にエンボスが形
   成されたことを特徴とするシガレット。