JPH0687076B2 - 磁場中心測定器 - Google Patents

磁場中心測定器

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JPH0687076B2
JPH0687076B2 JP4805289A JP4805289A JPH0687076B2 JP H0687076 B2 JPH0687076 B2 JP H0687076B2 JP 4805289 A JP4805289 A JP 4805289A JP 4805289 A JP4805289 A JP 4805289A JP H0687076 B2 JPH0687076 B2 JP H0687076B2
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桂子 熊谷
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、加速器の電子蓄積リングや加速リングなど
に用いられるもので、荷電粒子ビームの走行路をとり囲
んで周方向に等間隔に配され交互に異極性に励磁される
4個の磁極を備え荷電粒子ビーム断面の拡がりを収束さ
せる四極電磁石の前記4個の磁極により囲まれた磁場空
間で磁場の強さが零となる磁場中心の位置を測定する磁
場中心測定器に関する。
〔従来の技術〕
第4図に前記四極電磁石が用いられる加速器の全体構成
例を示す。電子線形加速器23前段の入射部24において電
子銃から発射されるプレバンチヤおよびパンチヤと呼ば
れる加速管内をこのプレパンチヤおよびパンチヤに注入
されたマイクロ波と一緒に走りかつこの注入されたマイ
クロ波により加速されて密度に濃淡を生じつつ不連続の
極めて小さいかたまりすなわちパンチとなった電子群は
入射部24の出力端で例えば30MeVのエネルギをもって電
子線系加速器23に入射され、電子線形加速器23内に電子
群の進行方向に多数配されそれぞれマイクロ波を注入さ
れる加速管によりさらに加速されて例えば2.5GeVのエネ
ルギをもって加速リング22に入射される。この入射され
た電子群は加速リング22内を周回しつつさらに加速さ
れ、例えば6〜8GeVのエネルギに達したときに輸送路21
を介して電子蓄積リング20に入射され、ここで所定のエ
ネルギに長時間貯蔵される。ここで電子蓄積リング20と
加速リング22とは、電子蓄積リング20がビーム衝突部
と、ビームが軌道湾曲部で放出する放射光導出路とを備
える以外は構成はほぼ同じである。
加速リング22は例えば第5図のように、直線部27と曲線
部28とを組み合わせて形成されている。電子,陽電子な
どの荷電粒子はこの加速リング22内で偏向電磁石24によ
り決められた閉軌道に沿い周回する。四極電磁石25はこ
の閉軌道すなわち中心軌道のまわりに分布して運動して
いる荷電粒子に対し、中心軌道からのずれの大きさに比
例した磁場を与えることにより収束力を与え、中心軌道
まわりに収束させる機能をもつ。
いま、四極電磁石の4つの磁極の磁極面を周方向に連ね
て作られるボア径の中心を幾何中心,ボア径内で磁場の
強さが零になる点を磁場中心と称すると、理想的な四極
電磁石の場合には、幾何中心と磁場中心とは同じ位置に
なるはずである。実際に製作された電磁石の場合でも、
電磁石の励磁が低い状態では幾何中心と磁場中心とはほ
とんどずれない。低い励磁の状態で幾何中心と磁場中心
とがずれるように四極電磁石では高精度に一定な磁場勾
配を持つことは不可能である。しかしながら、電磁石の
励磁が低い状態で幾何中心と磁場中心とがほとんどずれ
ない電磁石の場合にも、電磁石の励磁を強くしていった
場合、電磁力による磁石の変形,鉄心材料のばらつきや
それに伴う局所的な磁気飽和の影響から磁場中心の移動
が起き、幾何中心と磁場中心とが異る位置になる可能性
がある。そして、一般に電磁石はその幾何中心があらか
じめ計算された中心軌道に一致するように配置されるか
ら、もし、磁場中心が幾何中心からずれている場合には
中心軌道上の磁場は零にならず、荷電粒子は中心軌道に
垂直方向の力をうけてしまうことになる。この状態では
希望する中心軌道を作ることができずに荷電粒子ビーム
は安定した運動ができない。
第3図に四極電磁石の断面図を示す。ここで符号14は磁
石、11は励磁コイル、12は四極電磁石の中心、ボア径を
示す。この四極電磁石の中をz方向すなわち紙面に垂直
方向裏面側へ進む電子は、x方向には収束力、y方向に
は発散力を受ける。y方向の収束はこの四極電磁石とは
90°磁石の位置が異なる次段に配置された四極電磁石に
より行う。
x軸上の座標(x,0)を通る電荷−e,速度vの荷電粒子
に働く収束力Fxは次式で与えられる。
Fx=−evBy(x,0) By(x,0)は座標(x,0)における磁場のy方向成分であ
る。中心軌道からの位置のずれの大きさに比例した収束
力を与えるためにはBy(x,0)はxに比例した大きさを
持つ必要がある。即ち、磁場勾配By′(x,0)は、 となる。
四極電磁石を製作したとき、その性能を評価するために
磁場勾配By′(x,0)を測定する。従来は、この磁場勾
配By′(x,0)を測定するのに、座標(x,0)の各点でB
y′(x,0)を測定しその差分を取ることによりBy′(x,
0)を求めるか、各種のサーチコイルを用いてBy′(x,
0)を直接測定する方法がとられている。そして、磁場
中心を求める方法としては、x軸上,y軸上の幾何中心近
傍の複数点でそれぞれBy,Bxを測定し、おのおのを直接
近似してBx=0,By=0になる点を算出することにより磁
場中心を求めていた。
〔発明が解決しようとする課題〕
このように、x軸上,y軸上の幾何中心近傍の複数点でそ
れぞれBy,Bxを測定する方法では、測定点として数点か
ら数十点を必要とし、非常に手間がかかる。また、測定
点の位置誤差とBx,Byの測定誤差とが重畳され、磁場中
心の位置誤差が大きくなる恐れがある。
また、前述した磁場勾配By′(x,0)を直接測定する方
法では、任意の点での磁場の傾きはわかっても磁場が零
になる点は測定できない。そのための磁場中心を測定す
るためには、磁場の勾配を高精度に測定する方法以外に
は別の方法によって測定しなくてはならない。
以上のように従来の磁場中心の測定方法では、測定に要
する手間がかかる割に精度が良くないという問題があっ
た。
この発明の目的は、従来の測定方法における上述のごと
き問題点に鑑み、測定に手間がかからずかつ精度よく磁
場中心を測定することのできる磁場中心測定器を提供す
ることである。
〔課題を解決するための手段〕
上記課題を解決するために、この発明においては、四極
電磁石の磁場中心測定器を、冷媒を収納する断熱容器
と、超電導物体に浮子を接合してなり前記冷媒中の任意
の位置に静止しうる重さとした測定子と、この測定子が
浸漬される前記冷媒を用いて構成、これを4個の磁極に
より囲まれた磁場空間に配して測定子の位置を光学的に
測定することにより、磁場中心を直接測定可能にするも
のとする。
〔作用〕
測定子は超電導物体に働く重力が浮子の浮力によって打
ち消されるように作られているから、超電導物体は冷媒
中で重力に影響されず自由に移動することができる。超
電導物体は超電導性を示す転移温度以下に冷却されるこ
とにより反磁性の性質を示し磁束を物質中から排除す
る。超電導物体は冷媒中で移動して磁束を排除するエネ
ルギが最も少なくてすむ場所で静止する。その場所は四
極電磁石において磁場が零になる磁場中心であり、その
位置を光学的手段で測定することによって磁場中心が直
接求められる。
〔実施例〕
本発明の一実施例による磁場中心測定器の斜視図を第1
図に,要部断面図を第2図に示す。超電導物体1には例
えば転移温度が比較的高い,Y-Ba-Cu-OやBi-Sr-Ca-Cu-O
のような酸化物超電導体を用い、これを、気体を中空気
密容器に封入して作られた浮子7に接合して測定子15を
構成する。この測定子15の重さは冷媒、例えば液体窒素
中で任意の位置に静止しうる重さに調整されている。こ
れを冷媒注入口5から内容器9に入れた冷媒中に浮遊さ
せ自由に動けるようにしてある。内容器9と外容器4の
間は侵入熱を低減する目的で真空8に保たれている。な
お、内容器、外容器には内部の超電導物体を見ることが
できるようガラス窓3を設けてある。
この磁場中心測定器は、四極電磁石の4つの磁極がつく
るボア径の大きさに近い径を持つ保持具6の中央部に固
定されており、保持具6を四極電磁石のボア径に挿入し
て内容器9が四極電磁石の中央部に位置するようにして
ある。
励磁した四極磁場中に測定子15を置くと、測定子を構成
している超電導物体1がその反磁性の性質から磁場中心
に移動する。その位置を図示を省略した光学的手段を用
いて測定すれば磁場中心の位置が求められる。
一般に磁場中心と幾何中心との位置のずれは1mm以下で
あるため、超電導物体の位置の測定は精度を必要とす
る。たとえば超電導物状を球状に作っておいた場合、そ
の位置のずれはトランシツトで計測できる。トランシツ
トは遠方の目標の高低角および水平角を測定する計量器
械であり、望遠鏡が水平軸および垂直軸のまわりに回動
できる構造で、角度を読み取るようになっている。最小
目盛間隔は精密級で0.2″,1級で1″である。1級の場
合、トランシツトと測定子15との距離をLとすると、測
定可能な磁場中心位置の最小寸法は5・10-6・Lとな
り、十分な測定精度を得ることができる。また同様に精
度を必要とする場合は、デイスク状の受光素子の中心部
に細孔をあけ、この細孔を通して受光素子の背面側から
レーザー光が発射される装置をx,y軸方向へ動くテーブ
ル上に設置し、レーザー光を超電導物質に当て、受光素
子が受ける反射光が最大になるところのテーブルのx,y
座標を受光素子の出力電流を監視しつつ計測するように
してもよい。
〔発明の効果〕
以上に述べたように、本発明によれば、超電導物体に浮
子を接合した測定子を冷媒に浸漬して測定子が冷媒中の
任意の位置に静止しうるようにしたので、超電導物質の
反磁性に基づき、測定子の超電導物体は磁場中心に移動
して静止するので、その位置を適当な光学的手段を用い
て光学的に測定するだけで精度良くかつ直接的に磁場中
心の位置を測定することができる。このため、四極電磁
石のx軸,y軸上のそれぞれ複数点で磁場の強さを測定す
る場合のように、測定点位置の誤差と磁場強度の測定誤
差との重畳によって磁場中心位置の測定誤差が大きくな
る心配が解消され、また測定にも手間がかからなくなっ
た。
また、本発明による磁場中心測定器は、測定子の超電導
物体として、液体窒素により超電導状態が得られる、転
移温度の比較的高い、Y-Ba-Cu-OやBi-Sr-Ca-Cu-Oのよう
な酸化物超電導体を用いることにより、断熱容器など構
成部材の材料選択に幅が生じ、冷媒供給も簡便となるな
ど、測定器として比較的簡易に構成できるメリツトも合
わせて得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例による磁場中心測定器を示す
斜視図、第2図は第1図に示す磁場中心測定器の要部断
面図、第3図は四極電磁石の断面図、第4図は加速器の
全体構成例を示す主要部配置図、第5図は加速リングの
概要構成図である。 1……超電導物体、……磁場中心測定器、7……浮
子、10……冷媒、15……測定子、16……断熱容器、25…
…四極電磁石。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】荷電粒子ビームの走行路をとり囲んで周方
    向に等間隔に配され交互に異極性に励磁される4個の磁
    極を備え荷電粒子ビーム断面の拡がりを収束される四極
    電磁石の前記4個の磁極により囲まれた磁場空間で磁場
    の強さが零となる磁場中心の位置を測定する磁場中心測
    定器であって、冷媒を収納する断熱容器と、超電導物体
    に浮子を接合してなり前記冷媒中の任意の位置に静止し
    うる重さとした測定子と、この測定子が浸漬される前記
    冷媒とを備えてなり前記磁場空間に配して測定子の位置
    を光学的に測定することを特徴とする磁場中心測定器。
JP4805289A 1989-02-28 1989-02-28 磁場中心測定器 Expired - Lifetime JPH0687076B2 (ja)

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