JPH0682422A - 製剤中の塩基性薬物の定量法 - Google Patents
製剤中の塩基性薬物の定量法Info
- Publication number
- JPH0682422A JPH0682422A JP4263030A JP26303092A JPH0682422A JP H0682422 A JPH0682422 A JP H0682422A JP 4263030 A JP4263030 A JP 4263030A JP 26303092 A JP26303092 A JP 26303092A JP H0682422 A JPH0682422 A JP H0682422A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- hydrochloride
- electrode
- drug
- ion
- solution
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 複数の医薬製剤中の塩基性薬物を連続的に定
量する方法を提供する。 【構成】 可塑剤、特にトリクレシルホスフェート、ジ
オクチルフタレート、ジブチルセバケート、ジオクチル
セバケート、ビス(1−ブチルペンチル)デカン−1,
10−ジイルジグルタレートから選択される可塑剤とポ
リ塩化ビニルを含有する電極膜を装着したイオン選択性
電極を用いて、医薬製剤中の塩基性薬物を連続的に定量
する方法。 【効果】本発明方法によれば、異なる複数の医薬製剤中
の塩基性薬物濃度を連続的に測定することができ、製剤
の品質管理を能率的に行うことができる。
量する方法を提供する。 【構成】 可塑剤、特にトリクレシルホスフェート、ジ
オクチルフタレート、ジブチルセバケート、ジオクチル
セバケート、ビス(1−ブチルペンチル)デカン−1,
10−ジイルジグルタレートから選択される可塑剤とポ
リ塩化ビニルを含有する電極膜を装着したイオン選択性
電極を用いて、医薬製剤中の塩基性薬物を連続的に定量
する方法。 【効果】本発明方法によれば、異なる複数の医薬製剤中
の塩基性薬物濃度を連続的に測定することができ、製剤
の品質管理を能率的に行うことができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は複数の製剤、特に有効成
分として塩基性薬物を含む異なる錠剤中の有効成分を、
電極を交換することなく連続して迅速に定量する方法に
関する。
分として塩基性薬物を含む異なる錠剤中の有効成分を、
電極を交換することなく連続して迅速に定量する方法に
関する。
【0002】
【従来技術】製剤中の有効成分の定量は、医薬品の品質
管理の上で極めて重要な操作である。通常、錠剤の場合
には、これを溶媒に懸濁し、不溶性成分を除去し、高速
液体クロマトグラフィーや滴定法で測定する方法がとら
れていた。しかしながら、このような方法は労力と時間
がかかり、非能率的であった。近年、目的とする薬物が
イオン性物質である場合、疎水性イオン対形成物質と該
薬物との間で形成されるイオン対を含む膜で構成された
電極膜が高いイオン選択性を有し、製剤中の塩基性薬物
の定量に有用であることが示唆された。その後、様々な
イオン性薬物の定量を目的として、個々の薬物に選択性
のある、イオン選択性電極が開発された〔ソルスキー
(R.L.Solsky),Anal.Chem.,1990,62,21R;ヴィトラス
(K.Vytras),J.Pharm.Biomed.Anal.,1989,7,789〕。一
方、ヒグチらにより、可塑剤とポリ塩化ビニル(PV
C)のみからなる電極膜を有する電極が有機イオンに応
答することが報告された。しかしながら、これらの電極
は、主に目的とする薬物を疎水性のイオン対形成物質で
滴定する際の指示電極のみに使用されている〔ヒグチ
(Higuchi,T)ら、Anal.Chem.,1970,42,1674;Anal.Che
m.,1978,50,232;Anal.Chem.,1982,54,1583;J.Pharm.Sc
i.,1979,68,746;米国特許第3843505号,同3843490
号〕。このような場合、電極膜は、最終的に目的薬物と
滴定液中の物質と非可逆的な疎水的なイオン対で飽和さ
れてしまうために、目的薬物以外の薬物の定量には利用
できないものとなり、他の薬物の定量に際しては新たに
電極膜を調製する必要がある。
管理の上で極めて重要な操作である。通常、錠剤の場合
には、これを溶媒に懸濁し、不溶性成分を除去し、高速
液体クロマトグラフィーや滴定法で測定する方法がとら
れていた。しかしながら、このような方法は労力と時間
がかかり、非能率的であった。近年、目的とする薬物が
イオン性物質である場合、疎水性イオン対形成物質と該
薬物との間で形成されるイオン対を含む膜で構成された
電極膜が高いイオン選択性を有し、製剤中の塩基性薬物
の定量に有用であることが示唆された。その後、様々な
イオン性薬物の定量を目的として、個々の薬物に選択性
のある、イオン選択性電極が開発された〔ソルスキー
(R.L.Solsky),Anal.Chem.,1990,62,21R;ヴィトラス
(K.Vytras),J.Pharm.Biomed.Anal.,1989,7,789〕。一
方、ヒグチらにより、可塑剤とポリ塩化ビニル(PV
C)のみからなる電極膜を有する電極が有機イオンに応
答することが報告された。しかしながら、これらの電極
は、主に目的とする薬物を疎水性のイオン対形成物質で
滴定する際の指示電極のみに使用されている〔ヒグチ
(Higuchi,T)ら、Anal.Chem.,1970,42,1674;Anal.Che
m.,1978,50,232;Anal.Chem.,1982,54,1583;J.Pharm.Sc
i.,1979,68,746;米国特許第3843505号,同3843490
号〕。このような場合、電極膜は、最終的に目的薬物と
滴定液中の物質と非可逆的な疎水的なイオン対で飽和さ
れてしまうために、目的薬物以外の薬物の定量には利用
できないものとなり、他の薬物の定量に際しては新たに
電極膜を調製する必要がある。
【0003】
【発明が解決すべき課題】このように、従来のイオン選
択性電極による製剤中の薬物定量法においては、目的の
薬物ごとにその薬物に適した電極膜を作成しなければな
らず、時間、労力および経費のすべての点で問題があっ
た。したがって、多数の医薬品の品質管理を行うことが
必要な製剤関連分野では、効率良く、正確に製剤中の薬
物を定量する方法の開発が強く求められていた。
択性電極による製剤中の薬物定量法においては、目的の
薬物ごとにその薬物に適した電極膜を作成しなければな
らず、時間、労力および経費のすべての点で問題があっ
た。したがって、多数の医薬品の品質管理を行うことが
必要な製剤関連分野では、効率良く、正確に製剤中の薬
物を定量する方法の開発が強く求められていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ある種の
可塑剤を用いて形成されたイオン選択性電極膜が、複数
の塩基性薬物に対して応答性を有し、その結果、異なる
塩基性薬物を有効成分とする多数の製剤中の該薬物の連
続的な定量に有用であることを初めて見い出し、本発明
を完成するに至った。
可塑剤を用いて形成されたイオン選択性電極膜が、複数
の塩基性薬物に対して応答性を有し、その結果、異なる
塩基性薬物を有効成分とする多数の製剤中の該薬物の連
続的な定量に有用であることを初めて見い出し、本発明
を完成するに至った。
【0005】即ち本発明は、可塑剤とポリ塩化ビニル
(PVC)とを含有する電極膜で構成されるイオン選択
性電極を用いて、塩基性薬物を含有する異なる複数の医
薬製剤中の該薬物を連続的に定量する方法を提供するも
のである。
(PVC)とを含有する電極膜で構成されるイオン選択
性電極を用いて、塩基性薬物を含有する異なる複数の医
薬製剤中の該薬物を連続的に定量する方法を提供するも
のである。
【0006】本発明方法に用いるイオン選択性電極で
は、従来のイオン対形成に基づく方法と異なり、ひとつ
の電極で複数の薬物を連続的に定量することができる。
これは、薬物と電極膜構成成分との間に非可逆的なイオ
ン対が形成されないので電極膜が特定の薬物で飽和され
ることがないためであると考えられる。したがって、本
発明方法に用いるイオン選択性電極に含有される可塑剤
は、それが電極膜の構成成分となった場合に、非可逆的
なイオン対形成なしに塩基性薬物に応答する電極膜を与
えるものであれば特に限定されない。そのような可塑剤
の例として、トリクレシルホスフェート(TCP)、ジ
オクチルフタレート(DOP)、ビス(1−ブチルペン
チル)アジペート(BPA)、トリオクチルホスフェー
ト(TOP)、ジブチルセバケート(DBS)、ジオク
チルセバケート(DOS)、ビス(1−ブチルペンチ
ル)デカン−1,10−ジイルジグルタレート(BPD
DG)、トリフェニルホスフェート(TPP)、ジオク
チルアジペート(DOA)、ジオクチルフェニルホスフ
ォネート(DOPP)、2−フルオロ−2’−ニトロジ
フェニルエーテル(FNDPE)を挙げることができる
が、これらに限定されるものではない。好ましい可塑剤
はTCP、TPP、BPAおよびDOAであり、最も好
ましい可塑剤はTCPである。
は、従来のイオン対形成に基づく方法と異なり、ひとつ
の電極で複数の薬物を連続的に定量することができる。
これは、薬物と電極膜構成成分との間に非可逆的なイオ
ン対が形成されないので電極膜が特定の薬物で飽和され
ることがないためであると考えられる。したがって、本
発明方法に用いるイオン選択性電極に含有される可塑剤
は、それが電極膜の構成成分となった場合に、非可逆的
なイオン対形成なしに塩基性薬物に応答する電極膜を与
えるものであれば特に限定されない。そのような可塑剤
の例として、トリクレシルホスフェート(TCP)、ジ
オクチルフタレート(DOP)、ビス(1−ブチルペン
チル)アジペート(BPA)、トリオクチルホスフェー
ト(TOP)、ジブチルセバケート(DBS)、ジオク
チルセバケート(DOS)、ビス(1−ブチルペンチ
ル)デカン−1,10−ジイルジグルタレート(BPD
DG)、トリフェニルホスフェート(TPP)、ジオク
チルアジペート(DOA)、ジオクチルフェニルホスフ
ォネート(DOPP)、2−フルオロ−2’−ニトロジ
フェニルエーテル(FNDPE)を挙げることができる
が、これらに限定されるものではない。好ましい可塑剤
はTCP、TPP、BPAおよびDOAであり、最も好
ましい可塑剤はTCPである。
【0007】イオン選択性電極膜の調製は、市販の電極
膜製造キット(電気化学計器社製)を用い、既知の方法
で行うことができる。通常、テトラヒドロフラン等の溶
媒に可塑剤とPVCを溶解し、これをイオン透過性の支
持膜〔例えば、テフロン製メンブランフィルター、商品
名 Fluoropore、孔径 0.22μm、住友電気〕に滴下し、該
膜を室温で風乾することによって製造される。
膜製造キット(電気化学計器社製)を用い、既知の方法
で行うことができる。通常、テトラヒドロフラン等の溶
媒に可塑剤とPVCを溶解し、これをイオン透過性の支
持膜〔例えば、テフロン製メンブランフィルター、商品
名 Fluoropore、孔径 0.22μm、住友電気〕に滴下し、該
膜を室温で風乾することによって製造される。
【0008】本発明方法に用いるイオン選択性電極の構
造は図1に例示するように、当業者既知の構造のもので
あってよく、これに上記の通り調製した電極膜を装着し
て使用する。図1において、1はイオン選択性電極であ
り電極膜2と銀−塩化銀電極3を有する。内部標準液4
は0. 1M塩化リチウムである。本発明の方法に用いる
電位測定系も図2に例示するように当業者既知のもので
よい。すなわち、目的薬物を含有する試験液6を入れる
ための容器5にイオン選択性電極1、参照電極7および
イオンメーター8を装着したものである。
造は図1に例示するように、当業者既知の構造のもので
あってよく、これに上記の通り調製した電極膜を装着し
て使用する。図1において、1はイオン選択性電極であ
り電極膜2と銀−塩化銀電極3を有する。内部標準液4
は0. 1M塩化リチウムである。本発明の方法に用いる
電位測定系も図2に例示するように当業者既知のもので
よい。すなわち、目的薬物を含有する試験液6を入れる
ための容器5にイオン選択性電極1、参照電極7および
イオンメーター8を装着したものである。
【0009】本発明方法で薬物濃度を測定するには、錠
剤等の固形製剤の場合、製剤を粉砕し、薬物を溶解し得
る、pH1〜14、好ましくは pH 約4. 0の緩衝液に入
れ、超音波処理を施して試験液6を得る。次いで試験液
6を電位測定系の容器5に入れ、通常10〜50℃、好
ましくは25℃において、スターラー9により撹拌しな
がら、測定する。電位が安定するのに要する時間はほぼ
30秒である。
剤等の固形製剤の場合、製剤を粉砕し、薬物を溶解し得
る、pH1〜14、好ましくは pH 約4. 0の緩衝液に入
れ、超音波処理を施して試験液6を得る。次いで試験液
6を電位測定系の容器5に入れ、通常10〜50℃、好
ましくは25℃において、スターラー9により撹拌しな
がら、測定する。電位が安定するのに要する時間はほぼ
30秒である。
【0010】上記の構造の電位測定系を用い、各種可塑
剤の塩酸トラゾドンに対する応答性を調べた。その結
果、後述の試験例1の表1に示すように、可塑剤とし
て、TCP、TPP、BPA、DOA、DBS、BPD
DG、DOS、DOP、TOP、DOPP、FNDPE
を含有する電極膜を装着したイオン選択性電極が直線性
も良好で、応答範囲が広く、しかもスロープ値が理論値
(59mV/logC)に近く、本発明の目的に適することが
分かった。TCPとPVCよりなる電極膜を装着したイ
オン選択性電極(以下TCP−PVC電極と記す。)は
特に性能が優れていることが示されている。表1から明
らかに、塩酸トラゾドンに関しては、TCP−PVC電
極が特に性能が優れていることが分かる。
剤の塩酸トラゾドンに対する応答性を調べた。その結
果、後述の試験例1の表1に示すように、可塑剤とし
て、TCP、TPP、BPA、DOA、DBS、BPD
DG、DOS、DOP、TOP、DOPP、FNDPE
を含有する電極膜を装着したイオン選択性電極が直線性
も良好で、応答範囲が広く、しかもスロープ値が理論値
(59mV/logC)に近く、本発明の目的に適することが
分かった。TCPとPVCよりなる電極膜を装着したイ
オン選択性電極(以下TCP−PVC電極と記す。)は
特に性能が優れていることが示されている。表1から明
らかに、塩酸トラゾドンに関しては、TCP−PVC電
極が特に性能が優れていることが分かる。
【0011】次いで、このTCP−PVC電極を連続的
に用いて、多くの異なるイオン性薬物に対するイオン選
択性電極の応答性を検討した。その結果、試験例2の表
2に示すように、少なくとも10種類以上の塩基性薬物
に応答することが明らかになった。これは、本発明のイ
オン選択性電極による定量法の汎用性を示すものであ
る。
に用いて、多くの異なるイオン性薬物に対するイオン選
択性電極の応答性を検討した。その結果、試験例2の表
2に示すように、少なくとも10種類以上の塩基性薬物
に応答することが明らかになった。これは、本発明のイ
オン選択性電極による定量法の汎用性を示すものであ
る。
【0012】即ち、本発明方法では、広範囲に及ぶ塩基
性薬物、例えば、塩酸クロルプロマジン、塩酸トリヘキ
シルフェニジル、塩酸イミプラミン、塩酸ジブカイン、
塩酸パパベリン、塩酸プロプラノロール、塩酸テトラカ
イン、塩酸トラゾドン、キニジン、シンナリジン等の薬
物を連続的に定量することができる。ただし、これらの
薬物は限定的ではなく、その他の塩基性薬物も、一定以
上の疎水性を有すれば、本発明方法の適用対象となり得
ることは、当業者ならば容易に理解し得ることである。
性薬物、例えば、塩酸クロルプロマジン、塩酸トリヘキ
シルフェニジル、塩酸イミプラミン、塩酸ジブカイン、
塩酸パパベリン、塩酸プロプラノロール、塩酸テトラカ
イン、塩酸トラゾドン、キニジン、シンナリジン等の薬
物を連続的に定量することができる。ただし、これらの
薬物は限定的ではなく、その他の塩基性薬物も、一定以
上の疎水性を有すれば、本発明方法の適用対象となり得
ることは、当業者ならば容易に理解し得ることである。
【0013】後述の試験例3の表3に示すように、2点
検量線法で水溶液中の薬物(濃度50〜3000μg/m
l)を測定した結果、平均回収率99. 4%、標準偏差
1. 2%以下であった。この結果は優れた定量性を示す
ものである。また、製剤に含まれる賦形剤や無機イオン
(Na、K、Li、およびNH4等)による影響を調べた結果、
通常の製剤に含まれる量では本発明方法による薬物濃度
測定になんら影響を及ぼさないことが明らかとなった。
検量線法で水溶液中の薬物(濃度50〜3000μg/m
l)を測定した結果、平均回収率99. 4%、標準偏差
1. 2%以下であった。この結果は優れた定量性を示す
ものである。また、製剤に含まれる賦形剤や無機イオン
(Na、K、Li、およびNH4等)による影響を調べた結果、
通常の製剤に含まれる量では本発明方法による薬物濃度
測定になんら影響を及ぼさないことが明らかとなった。
【0014】本発明方法で薬物濃度を連続的に測定する
には、例えば、まず個々の医薬製剤を適当な方法で薬物
を溶解し得る pH1〜14の緩衝液、好ましくは pH 約
4.0の緩衝液と混和し試験液とする。このようにして
調製した試験液を順次、容器5に入れて測定すればよい
(図2参照)。実施例では錠剤についてのみ記載した
が、明らかに、本発明方法はカプセル、坐剤、粒剤、丸
剤、軟膏、並びに液剤、懸濁剤等のあらゆる剤形の製剤
中の塩基性薬物の定量に適用し得る。また、製剤のみな
らず、いわゆる健康増進のための強化食品等に含まれる
有効成分の定量にも応用できる。
には、例えば、まず個々の医薬製剤を適当な方法で薬物
を溶解し得る pH1〜14の緩衝液、好ましくは pH 約
4.0の緩衝液と混和し試験液とする。このようにして
調製した試験液を順次、容器5に入れて測定すればよい
(図2参照)。実施例では錠剤についてのみ記載した
が、明らかに、本発明方法はカプセル、坐剤、粒剤、丸
剤、軟膏、並びに液剤、懸濁剤等のあらゆる剤形の製剤
中の塩基性薬物の定量に適用し得る。また、製剤のみな
らず、いわゆる健康増進のための強化食品等に含まれる
有効成分の定量にも応用できる。
【0015】
【実施例】以下に試験例および実施例を挙げ本発明をさ
らに詳しく説明する。 試験例1 可塑剤の選択 塩酸トラゾドンを用いて各種可塑剤とPVCよりなる電
極膜の応答性を試験した。 1)TCP−PVC電極の調製 TCP100mg、PVC40mgをテトラヒドロフラン1
mlに溶解して、膜用溶液を調製した。電気化学計測器社
製電極キットのプラスチック製チップ上にテフロン製メ
ンブランフィルター(商品名 Fluoropore 、孔径0.22μ
m 、住友電気)を置き、その上に膜用溶液0.3mlを滴
下し、約24時間放置し、電極膜を生成させた。この電
極膜チップを電極キットに装着し、内部液として0.1
M塩化リチウム溶液を用い、TCP−PVPよりなる電
極膜を装着したイオン選択性電極(TCP−PVC電
極)を調製した。
らに詳しく説明する。 試験例1 可塑剤の選択 塩酸トラゾドンを用いて各種可塑剤とPVCよりなる電
極膜の応答性を試験した。 1)TCP−PVC電極の調製 TCP100mg、PVC40mgをテトラヒドロフラン1
mlに溶解して、膜用溶液を調製した。電気化学計測器社
製電極キットのプラスチック製チップ上にテフロン製メ
ンブランフィルター(商品名 Fluoropore 、孔径0.22μ
m 、住友電気)を置き、その上に膜用溶液0.3mlを滴
下し、約24時間放置し、電極膜を生成させた。この電
極膜チップを電極キットに装着し、内部液として0.1
M塩化リチウム溶液を用い、TCP−PVPよりなる電
極膜を装着したイオン選択性電極(TCP−PVC電
極)を調製した。
【0016】2)測定法 濃度10-6、10-5、5×10-5、10-4、5×1
0-4、10-3、10-2Mの各塩酸トラゾドン溶液(pH4
酢酸塩緩衝液、塩化ナトリウムでイオン強度を0.1に
調整した溶液)を調製した。上記1)で調製したTCP
−PVC電極及び参照電極を各塩酸トラゾドン溶液に挿
入し、オリオン社製イオンメーターEA920により指
示電位を測定し、塩酸トラゾドン溶液の濃度と電位の関
係を求めた。他の可塑剤についても上記と同様に電極膜
を調製し、これを装着したイオン選択性電極を用いて、
塩酸トラゾドン溶液の濃度と電位の関係を求めた。 3)試験結果 結果を下記の表1に示す。
0-4、10-3、10-2Mの各塩酸トラゾドン溶液(pH4
酢酸塩緩衝液、塩化ナトリウムでイオン強度を0.1に
調整した溶液)を調製した。上記1)で調製したTCP
−PVC電極及び参照電極を各塩酸トラゾドン溶液に挿
入し、オリオン社製イオンメーターEA920により指
示電位を測定し、塩酸トラゾドン溶液の濃度と電位の関
係を求めた。他の可塑剤についても上記と同様に電極膜
を調製し、これを装着したイオン選択性電極を用いて、
塩酸トラゾドン溶液の濃度と電位の関係を求めた。 3)試験結果 結果を下記の表1に示す。
【0017】
【表1】
【0018】試験例2 TCP−PVC電極による定量 試験例1で使用したTCP−PVC電極を用いて、連続
的に10種以上の塩基性薬物の応答性を検討した。試験
例1の2)の測定法と同様に酢酸緩衝液で pH4、塩化
ナトリウムでイオン強度を0.1に調整した液に各薬物
を溶解(ただし、シンナリジンは0.1M塩酸溶液で溶
解)し、濃度10-6、10-5、5×10-5、10-4、5
×10-4、10-3、10-2Mの薬物溶液を調製した。試
験例1で調製したTCP−PVC電極を挿入し、オリオ
ン社製イオンメーターEA920により指示電位を測定
し、薬物溶液の濃度と電位の関係を求めた。結果を表2
に示す。
的に10種以上の塩基性薬物の応答性を検討した。試験
例1の2)の測定法と同様に酢酸緩衝液で pH4、塩化
ナトリウムでイオン強度を0.1に調整した液に各薬物
を溶解(ただし、シンナリジンは0.1M塩酸溶液で溶
解)し、濃度10-6、10-5、5×10-5、10-4、5
×10-4、10-3、10-2Mの薬物溶液を調製した。試
験例1で調製したTCP−PVC電極を挿入し、オリオ
ン社製イオンメーターEA920により指示電位を測定
し、薬物溶液の濃度と電位の関係を求めた。結果を表2
に示す。
【0019】
【表2】 上記の表は、本発明によれば、少なくとも数十回に渡っ
てひとつの電極で種々の塩基性薬物を連続的に定量でき
ることを示している。
てひとつの電極で種々の塩基性薬物を連続的に定量でき
ることを示している。
【0020】試験例3 水溶液中の塩酸トラゾドンの定
量 濃度49.8、99.8、151、200、302、4
99、998、3013μg/mlの各塩酸トラゾドン溶液
( pH4,イオン強度0.1)を調製し、試料溶液とし
た。別途、各試料溶液の濃度より薄い濃度および濃い濃
度溶液を調製し、標準溶液とした。例えば、49.8μ
g/mlの試料溶液を測定する場合は、9.98および9
9.8μg/mlの濃度の溶液を標準溶液とした。試験例1
の2)の測定法と同様に、薄い濃度の標準溶液、試料溶
液、濃い濃度の標準溶液の順に試験例2で使用したTC
P−PVC電極及び参照電極を各塩酸トラゾドン溶液に
挿入し、オリオン社製イオンメーターEA920により
指示電位を測定した。標準溶液の濃度と電位を用いて検
量線を作成し、試料溶液の電位から試料溶液の濃度を求
めた。結果を表3に示す。
量 濃度49.8、99.8、151、200、302、4
99、998、3013μg/mlの各塩酸トラゾドン溶液
( pH4,イオン強度0.1)を調製し、試料溶液とし
た。別途、各試料溶液の濃度より薄い濃度および濃い濃
度溶液を調製し、標準溶液とした。例えば、49.8μ
g/mlの試料溶液を測定する場合は、9.98および9
9.8μg/mlの濃度の溶液を標準溶液とした。試験例1
の2)の測定法と同様に、薄い濃度の標準溶液、試料溶
液、濃い濃度の標準溶液の順に試験例2で使用したTC
P−PVC電極及び参照電極を各塩酸トラゾドン溶液に
挿入し、オリオン社製イオンメーターEA920により
指示電位を測定した。標準溶液の濃度と電位を用いて検
量線を作成し、試料溶液の電位から試料溶液の濃度を求
めた。結果を表3に示す。
【0021】
【表3】 上記の表から明らかに水溶液中の薬物(濃度50〜30
00μg/ml)の測定において、平均回収率99. 4%、
標準偏差1. 2%以下と優れた結果が得られた。電位が
安定するのに要する時間は30秒以内である。
00μg/ml)の測定において、平均回収率99. 4%、
標準偏差1. 2%以下と優れた結果が得られた。電位が
安定するのに要する時間は30秒以内である。
【0022】実施例1 塩酸トラゾドン含有製剤(レス
リン錠)、および塩酸トリヘキシフェニジル含有製剤
(塩酸トリヘキシフェニジル錠)の定量 1)標準溶液の調製 濃度120および180μg/mlの各薬物溶液( pH4酢
酸塩緩衝液,イオン強度0.1)を調製し、標準溶液1
および2とした。 2)試料溶液の調製 塩酸トラゾドン含有レスリン錠(鐘紡)および塩酸トリ
ヘキシフェニジルを含有する塩酸トリヘキシフェニジル
錠(鐘紡)の各々を乳鉢で粉砕し、薬物15mgに対応す
る量を精密に量り、酢酸塩緩衝液( pH4、イオン強度
0.1)100mlを加えて超音波処理を施し、試料溶液
とした。
リン錠)、および塩酸トリヘキシフェニジル含有製剤
(塩酸トリヘキシフェニジル錠)の定量 1)標準溶液の調製 濃度120および180μg/mlの各薬物溶液( pH4酢
酸塩緩衝液,イオン強度0.1)を調製し、標準溶液1
および2とした。 2)試料溶液の調製 塩酸トラゾドン含有レスリン錠(鐘紡)および塩酸トリ
ヘキシフェニジルを含有する塩酸トリヘキシフェニジル
錠(鐘紡)の各々を乳鉢で粉砕し、薬物15mgに対応す
る量を精密に量り、酢酸塩緩衝液( pH4、イオン強度
0.1)100mlを加えて超音波処理を施し、試料溶液
とした。
【0023】3)測定法 試験例1で調製したTCP−PVC電極および参照電極
を塩酸トラゾドン標準溶液1、レスリン錠試料溶液、塩
酸トラゾドン標準溶液2の順に挿入し、オリオン社製イ
オンメーターEA920により指示電位を測定した。塩
酸トラゾドン標準溶液1および2の濃度と電位を用いて
検量線を作成し、レスリン錠試料溶液の電位から塩酸ト
ラゾドンの濃度を求めた。この値からレスリン錠1錠中
の塩酸トラゾドン含量を求めた。
を塩酸トラゾドン標準溶液1、レスリン錠試料溶液、塩
酸トラゾドン標準溶液2の順に挿入し、オリオン社製イ
オンメーターEA920により指示電位を測定した。塩
酸トラゾドン標準溶液1および2の濃度と電位を用いて
検量線を作成し、レスリン錠試料溶液の電位から塩酸ト
ラゾドンの濃度を求めた。この値からレスリン錠1錠中
の塩酸トラゾドン含量を求めた。
【0024】次いで、電極を水洗したのち、TCP−P
VC電極および参照電極を塩酸トリヘキシフェニジル標
準溶液1、塩酸トリヘキシフェニジル錠試料溶液、塩酸
トリヘキシフェニジル標準溶液2の順に挿入し、オリオ
ン社製イオンメーターEA920により指示電位を測定
した。塩酸トリヘキシフェニジル標準溶液1および2の
濃度と電位を用いて検量線を作成し、塩酸トリヘキシフ
ェニジル錠試料溶液の電位から塩酸トリヘキシフェニジ
ルの濃度を求めた。この値から塩酸トリヘキシルフェニ
ジル錠1錠中の塩酸トリヘキシルフェニジルの含量を求
めた。 4)試験結果 得られた結果を表4に示す。
VC電極および参照電極を塩酸トリヘキシフェニジル標
準溶液1、塩酸トリヘキシフェニジル錠試料溶液、塩酸
トリヘキシフェニジル標準溶液2の順に挿入し、オリオ
ン社製イオンメーターEA920により指示電位を測定
した。塩酸トリヘキシフェニジル標準溶液1および2の
濃度と電位を用いて検量線を作成し、塩酸トリヘキシフ
ェニジル錠試料溶液の電位から塩酸トリヘキシフェニジ
ルの濃度を求めた。この値から塩酸トリヘキシルフェニ
ジル錠1錠中の塩酸トリヘキシルフェニジルの含量を求
めた。 4)試験結果 得られた結果を表4に示す。
【0025】
【表4】 上記結果は、本発明方法によれば、簡便かつ連続的に製
剤中の薬物を定量できることを示している。しかも、得
られた結果は、第11改正日本薬局方など公定法による
結果と比較しても、正確度と精密度ともに遜色ない。
剤中の薬物を定量できることを示している。しかも、得
られた結果は、第11改正日本薬局方など公定法による
結果と比較しても、正確度と精密度ともに遜色ない。
【0026】
【効果】本発明方法によれば、異なる塩基性薬物を含有
する製剤中の該薬物濃度を連続的に測定することがで
き、製剤の品質管理の能率を向上させることができる。
する製剤中の該薬物濃度を連続的に測定することがで
き、製剤の品質管理の能率を向上させることができる。
【図1】イオン選択性電極の正面図である。
【図2】電位測定系の正面図である。
1 イオン選択性電極 2 電極膜 3 銀−塩化銀電極 4 内部標準(0. 1M塩化リチウム) 5 容器 6 試験液 7 参照電極 8 イオンメーター 9 スターラー
Claims (4)
- 【請求項1】 薬物と非可逆的なイオン対を形成しない
可塑剤とポリ塩化ビニルよりなる電極膜で構成されるイ
オン選択性電極を用いて、異なる塩基性薬物を含有する
複数の製剤中の該薬物を、電極を交換することなく連続
的に定量する方法。 - 【請求項2】 可塑剤がトリクレシルホスフェート、ジ
オクチルフタレート、ビス(1−ブチルペンチル)アジ
ペート、トリオクチルホスフェート、ジブチルセバケー
ト、ジオクチルセバケート、ビス(1−ブチルペンチ
ル)デカン−1,10−ジイルジグルタレート、トリフ
ェニルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジオクチ
ルフェニルホスフォネート、2−フルオロ−2’−ニト
ロジフェニルエーテルから選択されるものである請求項
1の方法。 - 【請求項3】 可塑剤がトリクレシルホスフェートであ
る請求項1の方法。 - 【請求項4】 塩基性薬物が塩酸クロルプロマジン、塩
酸トリヘキシルフェニジル、塩酸イミプラミン、塩酸ジ
ブカイン、塩酸パパベリン、塩酸プロプラノロール、塩
酸テトラカイン、塩酸トラゾドン、キニジン、シンナリ
ジンから選択されるものである請求項1の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4263030A JPH0682422A (ja) | 1992-09-03 | 1992-09-03 | 製剤中の塩基性薬物の定量法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4263030A JPH0682422A (ja) | 1992-09-03 | 1992-09-03 | 製剤中の塩基性薬物の定量法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0682422A true JPH0682422A (ja) | 1994-03-22 |
Family
ID=17383912
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4263030A Pending JPH0682422A (ja) | 1992-09-03 | 1992-09-03 | 製剤中の塩基性薬物の定量法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0682422A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009534680A (ja) * | 2006-04-24 | 2009-09-24 | エレクトゥリスィテ ドゥ フランス | リチウムイオン選択性膜 |
-
1992
- 1992-09-03 JP JP4263030A patent/JPH0682422A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009534680A (ja) * | 2006-04-24 | 2009-09-24 | エレクトゥリスィテ ドゥ フランス | リチウムイオン選択性膜 |
KR101395472B1 (ko) * | 2006-04-24 | 2014-05-14 | 엘렉트리씨트 드 프랑스 | 리튬 이온 선택성 막 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Kormosh et al. | Potentiometric determination of ketoprofen and piroxicam at a new PVC electrode based on ion associates of Rhodamine 6G | |
Lenik | Preparation and study of a naproxen ion-selective electrode | |
Ensafi et al. | Novel and selective potentiometric membrane sensor for amiloride determination in pharmaceutical compounds and urine | |
Alizadeh et al. | Drug-selective electrode for ketamine determination in pharmaceutical preparations and electrochemical study of drug with BSA | |
Golcu et al. | Electroanalytical determination of donepezil HCl in tablets and human serum by differential pulse and osteryoung square wave voltammetry at a glassy carbon electrode | |
Valsami et al. | Construction of a naproxen ion-selective electrode and its application to pharmaceutical analysis | |
Fu et al. | Polymer membrane‐based polyion sensors: Development, response mechanism, and bioanalytical applications | |
Alemu et al. | Voltammetric determination of niclosamide at a glassy carbon electrode | |
Bunaciu et al. | Amitriptyline-selective plastic membrane sensors and their pharmaceutical applications | |
JPH0682422A (ja) | 製剤中の塩基性薬物の定量法 | |
US6767450B2 (en) | Ion selective electrode | |
Pungor et al. | The voltammetric application of silicone rubber based graphite electrodes with special regard to flowing systems | |
Lenik et al. | Properties of ion-selective electrodes with polymer membranes for ibuprofen determination | |
Abd El-Rahman et al. | Development of potentiometric method for in situ testing of terbinafine HCl dissolution behavior using liquid inner contact ion-selective electrode membrane | |
Leandro et al. | Differential pulse voltammetric studies on lamivudine: an antiretroviral drug | |
CN111999157A (zh) | 一种用于检测缓释制剂中主药含量及有关物质的前处理方法 | |
Morrison et al. | Analysis of drug mixtures containing antihistamines by quantitative thin‐layer chromatography | |
Shearera et al. | Peak voltammetry at glassy carbon electrode of acetaminophen dosage forms | |
Zhang et al. | Plastic membrane electrodes responsive to beta-blocker drugs | |
Chan et al. | Voltammetric determination of phenylbutazone and oxyphenbutazone at a glassy carbon electrode | |
Al-Haideri et al. | Polymeric membrane sensors for the selective determination of metoclopramide hydrochloride and their applications to pharmaceutical analysis | |
Bunaciu et al. | Pharmaceutical applications of a flurbiprofen sensor | |
Santini et al. | Potentiometric sensor for furosemide determination in pharmaceuticals, urine, blood serum and bovine milk | |
Lenik et al. | Ketoprofen ion-selective electrode and its application to pharmaceutical analysis | |
Maleki et al. | A membrane sensor for selective determination of bisacodyl in tablets |