JPH0681836A - 球面座の回転防止装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ワイヤーロープの緊張に際し、緊張するワイ
ヤーロープの縒りがもどらないようにする。 【構成】 上部ベアリング受け板３と下部ベアリング受
け板４との間にスラスト自動調芯軸受け５を配設する。
そして、スラスト自動調芯軸受け５の外輪６と内輪７と
の相互間にて回転することを防止するために、４本のピ
ン１５〜１８を回転止めリング１４の表裏面に貫通して
固設した回転止め子を軸受け５の中央に配設するととも
に、上部ベアリング受け板３と下部ベアリング受け板４
の対向する内側に固設した回転止め金具３ａ，３ｂ，３
ｃ，３ｄが形成する溝１９に対し、前記ピン１５〜１８
をそれぞれに対応した溝１９に係合させることにより球
面座の回転を防止する球面座の回転防止装置を構成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】球面座のスラスト軸受けを有する
ワイヤーロープ等の緊張装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来この種の球面座スラスト軸受として
は、図５に示すように、緊張するワイヤーロープ５６等
を挿通するセンターホール５５を中心部に設けるととも
に、凹球面５２を有する下部球面座５１と、凹球面５２
に対応する凸球面５４を有する上部球面座５３の両球面
５２，５４を組み合わせ、両球面５２，５４間にて摺動
可能に対向させることにより偏心荷重に対処する球面軸
受５０、または、図６に示すように、前者と同様に中心
部にセンターホール６１を設けた下部ベアリング受け６
２と上部ベアリング受け６３の相互間にスラスト自動調
芯軸受６４を配設し、同軸受けの球面座６５を介して自
動調芯することにより偏心荷重に対処する球面軸受６０
等が知られている。

【０００３】これらの球面軸受け５０，６０は、上部球
面座５３または上部ベアリング受け６３を固定端５８に
固定するとともに、ワイヤーロープ５６に矢印Ａ方向の
偏心荷重（緊張荷重）を作用させた場合に、偏心荷重が
ワイヤーロープ５６を緊張するセンターホールジャッキ
５７を介して下部球面座５１の底面５１ａ、または下部
ベアリング受け６２の底面６２ａに作用し、図５，６に
示すように偏心荷重の方向に対応して下部球面座５１，
または下部ベアリング受け６２がそれぞれＢの位置に変
位することにより球面座に対して均等な荷重を受けるよ
うにしている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ワイヤ
ーロープは緊張することによって縒りが戻ろうとする、
この縒りの戻る力が球面座を回転させる力として作用す
るが、前記従来の球面座には回転防止装置が設けられて
いないために、球面座が回転させられてしまう。

【０００５】即ち、球面座が回転させられると、ワイヤ
ーロープの縒りが戻ることによりワイヤーロープの耐力
が減少するという不具合があった。

【０００６】よって本発明は前記問題点に鑑みてなされ
たものであり、ワイヤーロープを緊張する際に、ワイヤ
ーロープが捩じれようとしても球面座が回転しないよう
にする球面座の回転防止装置の提供を目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明は、球面座のスラスト軸受を有する緊張装置にて
ワイヤーロープ等を緊張する際に、ワイヤーロープの捩
じれにより球面座が回転させられることを防止する装置
として、回転止めリングと、その表裏面に突出して固設
した複数個の回転止めピンとにより成る回転止め子を、
前記スラスト軸受の中心に位置させるとともに、固定端
側に配設された上部ベアリング受け板または、センター
ホールジャッキ側に配設された下部ベアリング受け板の
対向する内側のそれぞれの面に固設された複数個の回転
止め金具のそれぞれに対し、前記複数個の回転止めピン
を係合させることにより成ることを特徴とする。

【０００８】

【作用】本発明の球面座の回転防止装置によれば、ワイ
ヤーロープ等を緊張する際に、ワイヤーロープ等に捩じ
れが生じることにより球面座に回転力が作用しても、球
面座の回転防止装置にて球面座の回転を防止することが
できる。

【０００９】

【実施例１】図１〜３は本発明の実施例１を示し、図１
は球面座の回転防止装置の断面図、図２は同装置の回転
止め部を一部破断して示すＸ−Ｘ矢示図、図３は回転止
め子の斜視図である。

【００１０】全長にわたって総ネジ２を螺設したロッド
１を挿通しつつ相対向して配設された方形の上部ベアリ
ング受け板３と、下部ベアリング受け板４との間にスラ
スト自動調芯軸受５を配設するとともに、軸受け５の外
輪６の外周を下部ベアリング受け板４の嵌合部４ａに嵌
合させことにより、スラスト自動調芯軸受５を下部ベア
リング受け板４と同一軸心上に固定する。

【００１１】上部ベアリング受け板３の上面には反力架
台８を配設するとともに、反力架台８の左右のフランジ
８ａの上面に、スラスト自動調芯軸受５、および、その
下方（図上にて）の構成部分の落下防止目的の落下防止
金具１０の上端部を重ねて、左右それぞれ２か所のボル
ト９にて前記３者を共締めにする。

【００１２】また、下部ベアリング受け板４の下面に
は、センターホールジャッキ１１を下部ベアリング受け
４と同一軸心上に配設するとともに、４か所のボルト１
２にて前記両者を締めつけている。

【００１３】そして、前記落下防止金具１０の他端部
は、センターホールジャッキ１１のフランジ１１ａの裏
面側に位置させ、裏面側に設けたボルト２２にて裏側か
らセンターホールジャッキ１１のフランジ１１ａを支え
ることによりその落下防止をしている。

【００１４】上部ベアリング受け板３と下部ベアリング
受け板４との間で、かつ、スラスト自動調芯軸受け５の
内側には、図３に示すような、回転止めリング１４の面
に対し４か所等配の位置にてピン１５〜１８を貫通して
固設した回転止め子１３を配設する。

【００１５】そして、上部ベアリング受け板３および下
部ベアリング受け板４の対向する内側のそれぞれの面に
は、回転止め金具３ａ，３ｂおよび、３ｃ，３ｄのそれ
ぞれが対向して、４等配の位置にて２か所づつ固設され
ており、回転止め子１３に固設したピン１５，１６を回
転止め金具３ａ，３ｂのそれぞれが形成する溝１９に、
ピン１７，１８を回転止め金具３ｃ，３ｄのそれぞれが
形成する溝１９に係合することにより、上部ベアリング
受け板３と下部ベアリング受け板４との相互間の回転を
防止する。

【００１６】また、回転止め子１３に固設したピン１５
〜１８は、回転止め金具３ａ，３ｂおよび３ｃ，３ｄの
それぞれが形成する溝１９の幅に対して、適当な隙間を
保って係合されているので、スラスト自動調芯軸受５の
自動調芯作動の際にピン１５〜１８と、溝１９の側面と
の間にせりが生じることがない。

【００１７】また、ピン１５，１６の下端部は、下部ベ
アリング受け板４の面に当接させ、その上端部は上部ベ
アリング受け板３の面との間に自動調芯作動の際に必要
な隙間を保たせている。

【００１８】ピン１７，１８は、その下端部と下部ベア
リング受け４の面との間、および、その上端部と上部ベ
アリング受け板３の面との間に自動調芯作動の際に必要
な隙間を保たせている。

【００１９】さらに、球面座の回転防止装置３０全体を
軸通しているロッド１にはその全長にわたって軸方向に
キー溝２０が設けられており、センターホールジャッキ
１１とロッド１との間をキー２１を介して、その相互間
の回転を防止している。

【００２０】さて、以上の構成からなる球面座の回転防
止装置３０を用いた緊張装置にて、ワイヤーロープを緊
張する際における回転防止装置３０の作動について説明
する。

【００２１】まづ、落下防止金具１０のボルト２２を、
ワイヤーロープ等の緊張操作時に、スラスト自動調芯軸
受５の自動調芯作動に支障を来さない範囲に緩めてお
く。

【００２２】そして、ロッド１上部（図１にて）先端
に、緊張するワイヤーロープ（不図示）を接続するとと
もに、反力架台８の上面を構造物固定端面２３に固定さ
せつつ、センターホールジャッキ１１によりロッド１を
下方に引き込むことによりワイヤーロープに緊張荷重を
かける。

【００２３】緊張荷重は、ワイヤーロープを緊張するセ
ンターホールジャッキ１１のフランジ１１ａから、下部
ベアリング受け板４、スラスト自動調芯軸受５、上部ベ
アリング受け板３、反力架台８を介して構造物固定端面
２３の面に作用する。

【００２４】一方、ワイヤーロープに緊張荷重をかける
ことにより捩じれが生じ、この捩じれによる回転力が、
ロッド１から、キー２０、センターホールジャッキ１
１、下部ベアリング受け板４を介してスラスト自動調芯
軸受け５の外輪６に作用する。

【００２５】この回転力によって外輪６が回転させられ
ることを防止するため、本実施例では、緊張装置に球面
座の回転防止装置３０を設けているので外輪６（球面座
６ａ）が回転させられることがない。

【００２６】前記緊張荷重が矢印Ａで示す軸方向の荷重
であれば、前記の通り外輪６の回転を防止するだけでよ
いが、矢印Ｂで示す斜め方向の荷重（偏心荷重）の場合
は、スラスト自動調芯軸受け５の球面座６ａとコロ７ａ
との間に偏心荷重による滑りが生じ、図６に示すように
外輪６およびその下方の構成部分が荷重の方向に追従し
て傾斜することにより、偏心荷重を球面座にて均等化し
て受けつつ、かつ、球面座の回転防止装置により球面座
６ａの回転を防止する。

【００２７】なお、偏心荷重により下部ベアリング受け
板４が傾斜した際に、対向する上下のベアリング受け板
３，４との間隔に変動が生じても、回転止め子１３に固
設されたピン１５〜１８のそれぞれの長さにおいてその
端部と、上下のベアリング受け板３，４との面間に適当
な隙間を保たせてあるので、ピン１５〜１８の長さ方向
において上下のベアリング受け板３，４の面との間でせ
りあうことがない。

【００２８】また、ピン１５〜１８の径方向について
も、回転止め金具３ａ，３ｂおよび３ｃ，３ｄの形成す
る溝１９との係合において自動調芯作動に必要な隙間を
設けてあるので、せりあうことがない。

【００２９】本実施例によれば、センターホールジャッ
キ１１にてワイヤーロープを緊張する際に、ワイヤーロ
ープの捩じれによる回転力が球面座６ａに作用しても、
球面座６ａには回転防止装置３０が設けられているので
球面座６ａの回転を防止することができる。

【００３０】また、センターホールジャッキ１１に偏心
荷重が作用した場合においても、スラスト自動調芯軸受
５の自動調芯作動により球面座６ａが偏心荷重の方向に
追従して移動し、偏心荷重を球面座にて均等化して受け
つつ、球面座６ａの回転を防止することができる。従っ
て、ワイヤーロープの縒りが戻ることを防止することが
できる。

【００３１】なお、緊張装置にて緊張する部材はワイヤ
ーロープ５６に限らず、緊張することにより縒りが戻る
他の部材に対しても適用できる。また、回転止め子１３
に固設したピン１５〜１８の数は、４本に限らない。

【００３２】

【実施例２】図４は実施例２を示す回転防止装置におけ
る球面座の断面図である。本実施例においては、前記実
施例１におけるスラスト自動調芯軸受５に替えて球面座
滑り軸受４０を用いたものであり、その他の構成部分は
実施例１と同様であるのでその説明を省略する。

【００３３】前記球面座滑り軸受４０は、凸球面４１ａ
を有する上部球面座４１と、凸球面４１ａに対応した凹
球面４２ａを有する下部球面座４２とを組み合わせたも
のであり、凸球面４１ａと凹球面４２ａとの間にて摺動
するすることにより、下部球面座４２が偏心荷重の方向
に追従して移動し、偏心荷重を球面座にて均等化して受
けるものである。

【００３４】本実施例によれば、実施例１と同様な作用
効果を発揮することができる。

【００３５】

【発明の効果】本発明によれば、球面座のスラスト軸受
を有する緊張装置にてワイヤーロープ等を緊張する際
に、ワイヤーロープの捩じれによりスラスト軸受の球面
座が回転させられることを防止することができるととも
に、球面座が偏心荷重の方向に追従して摺動することに
より、偏心荷重を球面座にて均等化して受けることがで
きる。従って、ワイヤーロープの縒りが戻ることを防止
することができるので、ワイヤーロープの耐力を減少さ
せることがない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例１を示す球面座の回転防止装置
の断面図。

【図２】同装置の回転止め部を一部破断して示すＸ−Ｘ
矢示図。

【図３】回転止め子の斜視図。

【図４】本発明の実施例２を示す回転防止装置における
球面座の断面図。

【図５】従来の球面軸受けの断面図。

【図６】従来の球面軸受けの断面図。

【符号の説明】

１ ロッド ２ ネジ ３ 上部ベアリング受け板 ３ａ，３ｂ，３ｃ，３ｄ 回転止め金具 ４ 下部ベアリング受け板 ５ スラスト自動調芯軸受け ６ 外輪 ７ 内輪 ７ａ コロ ８ 反力架台 ９，１２，２２ ボルト １０ 落下防止金具 １１ センターホールジャッキ １３ 回転止め子 １４ 回転止めリング １５，１６，１７，１８ ピン ２０ キー溝 ２１ キー

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 球面座のスラスト軸受を有する緊張装置
   にてワイヤーロープ等を緊張する際に、ワイヤーロープ
   の捩じれにより球面座が回転させられることを防止する
   装置として、回転止めリングと、その表裏面に突出して
   固設した複数個の回転止めピンとにより成る回転止め子
   を、前記スラスト軸受の中心に位置させるとともに、固
   定端側に配設された上部ベアリング受け板または、セン
   ターホールジャッキ側に配設された下部ベアリング受け
   板の対向する内側のそれぞれの面に固設された複数個の
   回転止め金具のそれぞれに対し、前記複数個の回転止め
   ピンを係合させることにより成ることを特徴とする球面
   座の回転防止装置。