JPH0681738U - パッド印刷機におけるパッド刷面状態調整装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 パッド印刷機における印刷開始時のパッド刷
面状態の調整を、自動的に効率良く、確実に行うことを
可能とするパッド印刷機におけるパッド刷面状態調整装
置の提供を目的とする。 【構成】 ロール状に巻かれた調整用紙（７）を繰り出
す繰り出し軸（８）と、この調整用紙（７）を所定量ず
つ巻き取る巻き取り軸（９）と、上記繰り出し軸（８）
から繰り出される調整用紙（７）を上面で支えながらパ
ッド（１）に対向する一端側（１０ａ）を経由させて上
記巻き取り手段（９）に至らしめる調整用紙支持台（１
０）と、この調整用紙支持台（１０）をパッド（１）の
下方に向けて往復動させる支持台移動手段（１１）とを
備えている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、弾力性を有するパッドをインキ媒体とするパッド印刷機において、 印刷開始時等にパッドの刷面状態を調整するために用いられる装置に関するもの である。

【０００２】

【従来の技術】

従来から、弾力性を有するパッドをインキ媒体として用いるパッド印刷機が、 様々な分野での各種印刷に用いられている。このパッド印刷機（Ｐ）は、例えば 図４に示すように、柔軟なシリコンゴム等からなるパッド（１）と、インキ皿（ ２ａ）内に収容された印版（２）と、被印刷物（３）を載置する載置台（４）と を備えてなるものである。そして、まず上記パッド（１）を印版（２）に押しつ けてパッド刷面にインキを受け取り印刷パターンを転着（以下、第１次転着とい う）させた後、このパッド（１）を同図中矢印Ｘで示すように水平移動させて被 印刷物（３）の上方に位置させ、次にパッド（１）を被印刷物（３）に押しつけ ることにより上記インキを被印刷物（３）の表面に転着（以下、第２次転着とい う）させるものである。尚、この装置においては、被印刷物（３）の載置台（４ ）として、周方向に複数の被印刷物（３）を載置する回転テーブルを用いている 。この回転テーブルは、所定方向に間歇回転し、パッド（１）に対向する印刷位 置での印刷、乾燥装置（５）によるインキの乾燥、及び検査装置（６）による印 刷検査を、各位置の被印刷物（３）に対して順次行うことができるようになって いるものである。

【０００３】 上記のように、パッド印刷機（Ｐ）は、インキ媒体として弾性変形可能なパッ ド（１）を用いるものであることから、被印刷物（３）の面の凹凸等に左右され ることなくインキを転写することのできるものである。従って、このパッド印刷 機（Ｐ）によれば、例えば化粧品等を収容する一個箱を図５のように予め折り加 工した状態の被印刷物（３）に対しても、均一に印刷を施すことが可能となるの である。

【０００４】 また、上記のパッド（１）は、シリコンゴム等の弾性材料を用いて刷面を極め て平滑に形成するとともに、シリコンオイル等の離型剤を含浸してなるものであ る。そして、離型剤が適度に作用しているか否か、即ちパッド（１）の刷面状態 がインキに対して適度な離型性を有するように調整されているか否かが、良好な 印刷品位を得るための重要な技術要素のひとつとなっている。つまり、パッド（ １）を印版（２）に押しつけた際に、インキのパッド刷面への第１次転着が完全 になされ、且つパッド（１）を被印刷物（３）に押しつけた際にパッド（１）の 刷面上のインキがパッド（１）の刷面から完全に剥離して被印刷物（３）への第 ２次転着が完全になされることにより、良好な印刷状態を得ることができるので ある。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、操業開始時等のように機台停止状態から再び運転を開始する際 には、パッド（１）内に含浸された離型剤がパッド（１）の刷面上に必要以上に 滲み出ており、インキに対する離型性が強すぎて上記の第１次転着が完全になさ れない状態となっている。このため、印刷開始直後には印刷欠けが多く発生し、 品質不良につながるということが問題になっていた。そこで、このような問題を 解決するために、運転再開時には、枚葉状の調整用紙あるいは被印刷物と寸法、 材質等を同じくするダミー資材に対して、数回〜数十回の試し刷りによる馴らし 印刷を行うことが必要とされていた。

【０００６】 ところが、上記の如く馴らし印刷を行うにあたって枚葉状の調整用紙を用いる 場合には、被印刷物用の自動供給装置等を適用することができないため、調整用 紙を載置台（４）の上に一枚ずつ手作業にて供給せざるをえず、作業が煩雑にな り効率が低下することを免れなかった。また、ダミー資材を用いる場合には、品 種ごとに異なるダミー資材を準備する必要が生じ、コストが高くつくとともに資 材ロスが発生するということが大きな問題となっていた。更に、一枚の調整用紙 やダミー資材に何度も重ねて試し刷りをすると印刷状態の確認を正確に行い難い ことから、馴らし印刷を１回行うごとに調整用紙やダミー資材を交換することが 好ましいが、載置台（４）の上に調整用紙やダミー資材を一枚ずつ同じ条件下で 置くことは極めて困難なことである。そして、調整用紙やダミー資材が載置台（ ４）の上で浮き上がったりすると、馴らし印刷の結果にばらつきが生じ、パッド （１）の刷面が調整できたか否かの判断を正確に行うことができなくなるという 問題も発生していた。

【０００７】 本考案は、上述のような実情に鑑みなされたものであって、パッド印刷機にお ける印刷開始時のパッド刷面状態の調整を、自動的に効率良く、確実に行うこと を可能とするパッド印刷機におけるパッド刷面状態調整装置の提供を目的とする ものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

上記の目的を達成するために、本考案のパッド印刷機におけるパッド刷面状態 調整装置は次のような構成をとる。即ち、弾力性を有するパッドを、印版と、被 印刷物を載置する載置台との間で往復動させることにより被印刷物への印刷を行 うパッド印刷機において、ロール状に巻かれた調整用紙を繰り出す繰り出し手段 と、この調整用紙を所定量ずつ巻き取る巻き取り手段と、上記繰り出し手段から 繰り出される調整用紙を上面で支持しながら上記パッドに向かう一端側を経由さ せて上記巻き取り手段に至らしめる調整用紙支持台と、この調整用紙支持台の一 端側を上記パッドの下方に向けて往復動させる支持台移動手段とを備えてなるパ ッド刷面状態調整装置である。

【０００９】

【作用】

上記のように構成された本考案のパッド刷面状態調整装置において、一端側を パッドに対向させて配設された調整用紙支持台が、支持台移動手段によってパッ ドの下方に移動されるように、また繰り出し手段から繰り出される調整用紙が、 上記調整用紙支持台の上面に支えられた状態で該支持台の一端側を経て巻き取り 手段により所定量ずつ巻き取られるようになっている。従って、上記調整用紙支 持台の一端側が、支持台移動手段によりパッドの下方に移動された時点で、調整 用紙支持台の上面に支持されている調整用紙に印刷が施され、この印刷を施され た調整用紙が、巻き取り手段により所定量ずつ巻き取られて次に印刷される部分 に調整用紙の未印刷の部分が自動的にセットされるのである。

【００１０】 このように、本考案のパッド刷面状態調整装置によれば、調整用紙が、繰り出 し手段から巻き取り手段に至る過程で支持台の上面に支えられた状態で印刷部位 である一端側を経由しているため、常に均等な条件下で印刷を施すことが可能と なる。また、調整用紙支持台をパッドの下方に移動させてパッドによる印刷を施 すようになっているため、パッド印刷機自体に大幅な改造を加える必要がない。 そして、巻き取り手段により調整用紙が所定量ずつ巻き取られ、連続的且つ自動 的に印刷準備がなされていくため、調整用紙を人手で供給するといった煩雑さが 解消され、更に、ダミー資材を多くの種類、多数準備する必要もなくなり、資材 ロスの問題も解決することができる。

【００１１】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面に基づき詳細に説明する。

【００１２】 図１及び図２は、本考案のパッド刷面状態調整装置の一実施例を上述のパッド 印刷機（Ｐ）に組み込んだ状態の正面図及び平面図を示している。従って、図４ に基づいて説明したパッド印刷機（Ｐ）の部分には同一符号を付し、その詳細説 明は省略することとする。

【００１３】 これらの図に示すように、パッド刷面状態調整装置は、パッド印刷機（Ｐ）の 横に並ぶように配設される。そして、このパッド刷面状態調整装置は、調整用紙 （７）がロール状に巻かれ、図中矢印Ｙで示すように回転して上記調整用紙（７ ）を繰り出す繰り出し手段としての繰り出し軸（８）と、この繰り出し軸（８） の上方に位置して図中矢印Ｚで示すように回転し、上記調整用紙（７）を巻き取 る巻き取り手段としての巻き取り軸（９）と、上記繰り出し軸（８）から巻き取 り軸（９）に至る間に調整用紙（７）を経由せしめて上面で支持する水平な調整 用紙支持台（１０）と、この調整用紙支持台（１０）をパッド印刷機（Ｐ）側の 載置台（４）に向けて同図中二点鎖線で示す位置まで往復動させる支持台移動手 段（１１）とを備えて構成されている。

【００１４】 上記巻き取り軸（９）は、基板（１２）を介してステッピングモータ等の回転 駆動源（１３）に連結されており、矢印Ｚ方向に間歇回転するようになっている 。従って、巻き取り軸（９）の回転により、上記繰り出し軸（８）から調整用紙 （７）が定量ずつ繰り出され、調整用紙支持台（１０）の上面に順次供給される のである。

【００１５】 また、上記調整用紙支持台（１０）は、調整用紙（７）を支持しうるように該 調整用紙（７）の幅よりも若干広幅に形成され、その一端側（１０ａ）をパッド 印刷機（Ｐ）の載置台（４）に向けるとともに、他端側（１０ｂ）をパッド印刷 機（Ｐ）とは逆方向に延設してなるものである。そして、この調整用紙支持台（ １０）の途中には、上記繰り出し軸（８）から繰り出され、調整用紙支持台（１ ０）の上面で支持された状態で一端側（１０ａ）へ向かい、ここから調整用紙支 持台（１０）の下面に渡った調整用紙（７）を、上記巻き取り軸（９）に巻き取 らせるために再び上面側に出すための通過口（１０ｃ）が穿設されている。更に 、調整用紙支持台（１０）の他端側（１０ｂ）は、下側に向けてＬ字状に延長さ れるとともに、その下端側で上記支持台移動手段（１１）に連結されている。

【００１６】 支持台移動手段（１１）は、機台（１４）に固定された流体圧駆動シリンダ（ １１ａ）と、このシリンダ（１１ａ）から突出するプランジャ（１１ｂ）とから 構成され、プランジャ（１１ｂ）の進退により、これに連結された調整用紙支持 台（１０）をパッド印刷機（Ｐ）に向けて往復動させるようになっているもので ある。

【００１７】 そして、上記基板（１２）の下端部（１２ａ）が、機台（１４）上に固定され た一対のブラケット（１５）、（１５）で水平に支持されている案内部材（１６ ）にスライドベアリング（１７）を介して取り付けられており、水平方向に往復 動しうるようになっている。従って、上記支持台移動手段（１１）を駆動させる ことにより、調整用紙支持台（１０）が、基台（１２）を上記案内部材（１６） にガイドさせた状態でパッド印刷機（Ｐ）の載置台（４）の上方に向かって往復 動するのである。

【００１８】 また、上記繰り出し軸（８）から繰り出される調整用紙（７）の進行方向には 、繰り出し軸（８）と軸方向が平行なガイドローラ（１８）と、上記基板（１２ ）を介してガイドローラ（１８）に連結されたセンサー（１９）とが配設されて いる。このセンサー（１９）は、その回転角度により繰り出し軸（８）からの調 整用紙（７）の繰り出し量を検出し、上記巻き取り軸（９）の巻き取り量を適宜 設定すべく回転駆動源（１３）を制御する信号を出力するものである。

【００１９】 以下、上記のように構成したパッド刷面状態調整装置をパッド印刷機（Ｐ）に 組み付けた際の作動について、その概略説明図である図３（Ａ）及び（Ｂ）に基 づき説明する。まず、印刷開始時には、被印刷物（３）をパッド印刷機（Ｐ）の 載置台（４）の上に供給せず、その代わりに調整用紙支持台（１０）を載置台（ ４）の上方に水平移動させる（図面上では、横に並んだ状態で示している）。そ して、同図（Ｂ）に「調整サイクル」と示しているように、パッド（１）を、 →→→→→→の順番で移動させ、調整用紙支持台（１０）の上の調 整用紙（７）への馴らし印刷を行う。このとき、調整用紙（７）への印刷が１回 行われるごとに、その部分の巻き取り及び未印刷部分の繰り出しが行われる。そ して、このサイクルの作動を適宜回数繰り返し、調整用紙（７）への印刷状態が 良好になった時点で、調整用紙支持台（１０）を載置台（４）の上方から退かせ 、代わりに被印刷物（３）を載置台（４）の上に供給して→→→→’ →→の順番で被印刷物（３）への実印刷を行う。

【００２０】 上記のように、このパッド刷面状態調整装置によれば、パッド刷面状態が良好 になるまでの間は自動的に調整用紙（７）への馴らし印刷を行うことが可能とな る。従って、作業者は、調整用紙（７）への馴らし印刷１回ごとに印刷状態をチ ェックするだけでよく、大幅な作業効率の向上を実現することができる。

【００２１】 尚、上記調整サイクルにおいて調整用紙（７）に馴らし印刷を行う際には、実 印刷の際よりもパッド（１）の上下ストロークを小さくすることができる。また 、調整用紙（７）としては、被印刷物（３）と表面材質が同一または近似したも のを用いることが好ましいのはいうまでもない。

【００２２】

【考案の効果】

以上のように構成された本考案のパッド刷面状態調整装置によれば、調整用紙 が、繰り出し手段から巻き取り手段に至る過程で支持台の上面に支えられた状態 で印刷部位である支持台の一端側を経由しているため、常に均一な条件下で確実 に馴らし印刷を行うことが可能となる。また、巻き取り手段により調整用紙を所 定量ずつ巻き取りながら連続的且つ自動的に調整用紙の供給を行い、調整用紙支 持台をパッドの下方に移動させてパッドによる印刷を行うようになっているため 、調整用紙を人手で供給するといった煩雑さが解消され、またパッド印刷機自体 に大幅な改造を加えることなく、パッド印刷機の通常の動きの中に馴らし印刷を 組み込んで完全な自動化を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のパッド印刷機におけるパッド刷面状態
調整装置の一実施例を示す正面図である。

【図２】同実施例の平面図である。

【図３】同実施例の作動説明図である。

【図４】パッド印刷機の一例を示す説明図である。

【図５】被印刷物の一例を示す説明図である。

【符号の説明】

１ パッド ２ 印版 ３ 被印刷物 ４ 載置台 ７ 調整用紙 ８ 繰り出し軸（繰り出し手段） ９ 巻き取り軸（巻き取り手段） １０ 調整用紙支持台 １１ 支持台移動手段

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 弾力性を有するパッド（１）を、印版
   （２）と、被印刷物（３）を載置する載置台（４）との
   間で往復動させることにより被印刷物（３）への印刷を
   行うパッド印刷機において、ロール状に巻かれた調整用
   紙（７）を繰り出す繰り出し手段（８）と、この調整用
   紙（７）を所定量ずつ巻き取る巻き取り手段（９）と、
   上記繰り出し手段（８）から繰り出される調整用紙
   （７）を上面で支持しながら上記パッド（１）に向かう
   一端側（１０ａ）を経由させて上記巻き取り手段（９）
   に至らしめる調整用紙支持台（１０）と、この調整用紙
   支持台（１０）の一端側（１０ａ）を上記パッド（１）
   の下方に向けて往復動させる支持台移動手段（１１）と
   を備えてなるパッド印刷機におけるパッド刷面状態調整
   装置。