JPH0677510B2 - マイクロ波による加熱調理方法とその加熱調理用容器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、電子レンジの使用により簡便にマイクロ波を
直接当てずに被加熱物を加熱調理することができる加熱
調理方法と、その加熱調理用容器とに関するものであ
る。

（従来技術） 従来、外容器と小孔を有する内容器からなる電子レンジ
用容器は特開昭61−58548号公報で知られている。

（発明が解決しようとする問題点） 以上のような電子レンジ用容器によると、電子レンジに
よりきわめて簡便かつ短時間で良好な炊飯米や復元米を
始めとする喫食可能な食品を得ることができ、その容器
を用いて得られた炊飯米等をカレーライスあるいは親子
丼等の他の副素材と共に喫食に供する場合にもその外容
器の使用により、何等別途に食器を準備する必要がない
という特徴がある。

しかしながら、水分含浸に時間を要する穀類、豆類、芋
類は短時間で良好な加熱調理ができない。

又、被加熱物に物性の異なる物が混在している場合、良
好な加熱調理ができない。すなわち、被加熱物に物性の
異なる物が混在している場合加熱ムラが生じ風味、組織
が低下する。

（問題点を解決するための手段） したがって本発明の技術的課題は、マイクロ波の特性に
左右されない加熱調理方法と、その加熱調理用容器をう
ることを目的とするもので、その技術的課題を解決する
技術的手段は、被加熱物をマイクロ波の透過しない内側
包材の中に収納し、これをマイクロ波が透過する外側包
材中に収納して、内側包材と外側包材中との間にマイク
ロ波を照射すると発熱する発熱部材を装填し、外側包材
の外方から電子レンジでマイクロ波を照射することによ
り前記発熱部材を介して被加熱物を間接的に加熱して調
理するマイクロ波による加熱調理方法を第１の発明と
し、その発明に直接使用する容器として、マイクロ波が
透過する外側包材と、この中に収容されるマイクロ波を
透過させない内側包材とで両包材間に、空間スペースを
形成するとともに、この空間スペースにマイクロ波を照
射すると発熱する発熱部材を装填した構成にして、外側
包材の外方から電子レンジによるマイクロ波を照射する
ことにより、発熱部材の発熱にて内側包材内の被加熱物
を間接的に加熱して調理することができるような機能を
具えたマイクロ波による加熱調理用容器を第２の発明と
するものである。

本発明包材形状は、内側、外側共に限定されるものでな
く、円筒状、四角、六角等自由に設定しうるものであ
る。

又、内側包材と外側包材の容量比率についても使用用途
に応じて設定される。

更に又、外側包材は容器の他袋も用いられるものであ
る。

次にマイクロ波を照射すると発熱する発熱部材として
は、水、又は油の他に固体発熱体も用いられるもので、
ニクロム、アンチモン、チタン、タングステン、スズ、
酸化スズ（SnO）、カーボンブラック、カーボン繊維、
バリウム（Ba）、ジルコン酸塩、フェライト、コランダ
ム形化合物、マグネットプラバイト形化合物、ペロブス
カイト形化合物、セラミック等である。

又、発熱体が水であって内側包材が水に接触しない量を
用いる場合と、接触する量を用いる場合とがあり、前者
の場合は水が昇温し、蒸気温によって内側容器の壁面及
び内容物表面から加熱する。後者の場合は、昇温した水
の温湯によって内側容器の壁面からの伝達による加熱と
内容物表面からの加熱ができる。又、前者後者共に内側
容器にも蓋をし、内側容器の側壁面からの伝達による加
熱もできる。

外側容器の蓋がマイクロ波を透過しないものであれば内
側容器の蓋は透過又は非透過のものを用い、外容器の蓋
がマイクロ波を透過するものであれば内容物の蓋は非透
過のものが用いられる。

発熱体が油で内側容器が油に接触している場合、昇温温
度は内側容器の壁面からの伝達により内容物は昇温し加
熱する。この場合、油から蒸気が発生しないものは内側
容器には蓋は不要で、蒸気が発生するものは内側容器に
蓋をする。

以上のような内外容器の蓋は、いずれも非透過のもので
ある。発熱体が固体である場合、内外両容器の間に固体
発熱剤を上端まで入れて発熱させると昇温効果を上げる
ことができ、底部分のみ固体発熱剤を詰めても昇温させ
ることができる。この何れの場合も、熱効率を上げるた
め外容器に非透過の蓋をする。

（発明の効果） この技術的手段によれば、水分含浸に時間を要する被加
熱物も短時間で良好な調理ができる。普通、水分の含浸
しにくいものをマイクロ波で加熱処理する場合、水分含
浸の前処理等の調理時間に多くを要し、この処理をしな
いものは、中心部分に水分が含浸しない前にマイクロ波
で加熱されるため、換言すれば水分が共存しないうちに
加熱されるため、加熱処理が一様にならず、風味や組織
が良好に仕上がらないものであるが、本発明によれば、
このようなものをスピーディーに一様に加熱調理するこ
とができ、良好な風味、組織をうることができる。

一般に被加熱物の中に物性の異なるものが混在している
場合、マイクロ波加熱では加熱ムラが生じ、風味、組織
が低下するが、本発明にあっては、風味、組織とも良好
な状態に加熱調理できる。

（実施例） 以下、図面に示す実施例について説明する。第１図及び
第２図において（１）は外側容器であり、（２）はこの
外側容器（１）に収容される内側容器である。外側容器
（１）はマイクロ波透過する素材で形成される容器であ
り、内側容器（２）はマイクロ波が透過しない容器であ
る。

外側容器（１）は本体（1a）と蓋（1b）とからなり、こ
れらの本体（1a）、蓋（1b）及び内側容器（２）は互い
に着脱自在である。そして、外側容器本体（1a）には、
発熱部材の水や油（15）が装入される。

又、第３図，第４図，第５図において、（３）は外袋で
あり、（４）はこれに収容される筒で、上下縁に切欠き
（７）（８）がある。（５）は筒（４）内に懸架収容さ
れる内側容器であり、これに蓋（６）が被冠される。蓋
（６）には蒸気の出入する部分（９）が隆起していて、
これは、筒（４）の上縁の切欠き（８）と連通してい
る。

そして、外袋（３）と筒（４）はマイクロ波が透過する
素材で形成され、内側容器（５）と蓋（６）とはマイク
ロ波が透過しない素材で形成されている。又、外袋
（３）には水又は油（15）が装入される。

一般に、電子レンジで加熱した場合の特性としては、マ
イクロ波が被加熱体を発熱させるが、この場合被加熱は
その中心部分の方から先に昇温する。

又、直接被加熱物を加熱するものであるから、被加熱物
の温度分布にバラツキを生じ、均一な加熱がむずかし
い。

しかるに、本発明ではマイクロ波が透過しない内側容器
（２）又は（５）は被加熱物を充填して、これをマイク
ロ波が透過しない外側容器（１）又は外側袋（３）と共
に電子レンジに入れると、外側容器（１）又は外側袋
（３）内の水又は油（15）が加熱され、これを介して内
側容器（２）又は（５）内の被加熱物が加熱されること
になる。

第３図のものにおいて、筒（４）を用いるのは、内側容
器（５）を浮かして支持するためのものである。又、水
や油（15）の温度を効率的に内側容器（５）に当てるた
めのものである。

本発明によれば、マイクロ波を被加熱物に直接当てずに
被加熱物以外の水や油を加熱して、これを介して被加熱
物を昇温させる方法であるから、電子レンジを使用して
も一般的な加熱と同様に被加熱物の外面から加熱昇温さ
せることになり、温度分布のバラツキがない。

一次加熱体として水や油を用い、これをマイクロ波で加
熱させるものである。

水の場合、蒸気熱の温度100〜110℃程度、油の場合150
〜180℃位の温度を被加熱物の外面から与えることがで
きる。

水の場合、昇温した湯、蒸気が内側容器（５）を介して
被加熱物に熱伝達され、蒸気は第３図，第４図，第５図
にみられるように、切欠き（８）及び隆起通路（９）を
通じて直接内側容器（５）の被加熱物外面から昇温加熱
する。

何れにしても、一次加熱体の水や油を介して内側容器の
外壁面から被加熱物を加熱するもので、熱伝達と蒸気の
移動によって熱分布にムラがなく、風味、組織の良好な
被加熱物が得られる。

第６図，第７図，第８図は、生米を用いた電子レンジに
よる調理方法を説明するもので、第６図のものは従来の
電子レンジによる調理方法であって、容器本体（10）は
マイクロ波透過可能な素材で形成され、蓋体（14）もプ
ラスチック製で同様にマイクロ波透過可能な素材で形成
されている。

以上のような調理では、先ず生米をその中心部分まで水
が浸透するように数時間浸漬する。

次に、電子レンジで加熱する。

その際容器本体（10）と蓋体（14）とは共にマイクロ波
が透過するので、マイクロ波は６方向面から米に当たっ
て米を加熱するものである。

第７図は本発明によるもので、外側容器（11）はマイク
ロ波の透過する容器であり、内側容器（13）はマイクロ
波の透過しない容器である。外側容器（11）の蓋体（1
2）はマイクロ波の透過しない蓋である。

内側容器（13）は、外側容器（11）の突起（11a）上に
あって、外側容器（11）に対して浮いた状態で支持され
る。

これによると、生米に直接マイクロ波が当たらず、外側
容器（11）内の水（15）が加熱されて蒸気となり、その
蒸気の温度で内側容器（13）に熱伝達され、内側容器
（13）内の水と米が加熱される。

更に、蒸気により直接加熱あるいは蒸す状態になる。

したがって、生米に一定量の水を加えて直ちに電子レン
ジで加熱しても、均一に加熱されて美味しい米飯ができ
る。

第８図のものは外側容器として外袋（16）が用いられ、
袋の素材はマイクロ波が透過する素材である。

この袋口には、袋内に装入した水や油（15）がこぼれな
いようにし、蒸気は出る位の隙間をもたせる。

外袋（16）内には筒（17）が内装され、これで内側容器
（18）を懸架支持する。

筒（17）はマイクロ波が透過する素材で形成されるが、
内側容器（18）が水や油（15）に接触しないようにす
る。

内側容器（18）はマイクロ波が透過しない素材で形成さ
れる。内側容器（18）の蓋体（19）もマイクロ波が透過
しない素材で形成される。

以上のものも電子レンジで加熱すれば、内側容器（18）
内の米や水にはマイクロ波が直接当たらず、水や油（1
5）がマイクロ波に直接当たることによって加熱され、
この加熱された水の蒸気で内側容器（18）内の米や水が
加熱されるのである。

この水を用いた場合の方法と、従来の電子レンジによる
調理方法との比較結果を下記に示す。

以上のように、本発明方法は従来法に比べて良好な結果
を得た。

外側の袋状のもののときは、第８図のように内側容器に
蓋をする。

なお、蓋は密閉してもよいし、孔あきの開放でもよい。
密閉は蒸気が混入しない。開放は蒸気が混入する。

その他、第９図（イ）（ロ）は発熱体として水を用いた
場合の使用例を示すもので、第９図（イ）は内側容器
（21）に水（23）が接触していないもの、第９図（ロ）
は内側容器（21）に水（23）が接触しているものを示
す。図中（20）は外側容器、（22）は蓋体である。

又、第10図（イ）（ロ）は発熱体として油（27）を用い
た場合を示すもので、図中（24）は外側容器、（25）は
内側容器、（26）は蓋体を示す。

更に又、第11図のものは発熱体として固定を用いた場合
を示すもので、図中（28）は外側容器、（29）は内側容
器、（30）は蓋体、（31）は固体発熱体を示す。この場
合、第11図（イ）は内外容器の上端まで発熱体が装填さ
れているが、第11図（ロ）は底部分のみである。

第９図（イ）（ロ）において、外側容器（20）の蓋体
（22）がマイクロ波を透過しないものであれば内側容器
（21）の蓋体は透過又は非透過のものを、外側容器（2
0）の蓋体（22）がマイクロ波を透過するものであれ
ば、内側容器（21）の蓋体（22）は非透過のものを用い
る。第10図（イ）（ロ）の蓋体（26）は何れも非透過の
ものを用いる。第11図（イ）（ロ）のものも非透過のも
のを用いるが、熱効率を上げるため蓋をする。なお、第
10図（ロ）において油（27）から蒸気を発しないものは
蓋は不要である。

何れにしても、従来のものは米、肉、野菜等が入ってい
る場合、マイクロ波加熱による昇温の調理時間が異なる
ため、組織状良くはならない。

本発明は、外側容器はマイクロ波を透過し、内側容器は
マイクロ波を透過しない二重容器を使用することによっ
て、マイクロ波加熱による昇温の調理時間が異なること
はなく、むらなく加熱調理ができて、組織状良くなる。
これは、マイクロ波で、液体（水又は油等）、又は固体
等の発熱体を加熱し、この加熱による熱伝導方式の調理
ができるからである。

【図面の簡単な説明】

第1,2図は本発明方法に使用される容器の斜面図、 第３図は他の実施例にかかる本発明方法に使用される容
器の斜面図、 第４図は同上分解図、 第５図は同上の部分図、 第６図は従来法を示す説明図、 第７図は本発明の使用方法を示す説明図、 第８図は他の使用方法を示す説明図、 第９図（イ）（ロ）、第10図（イ）（ロ）、第11図
（イ）（ロ）は発熱体として水、油、固体発熱体を用い
た場合の説明図である。 （１）（11）（20）（24）（28）……外側容器 （３）（16）……外側袋 （４）（17）……筒 （２）（５）（13）（18）（21）（25）（29）……内側
容器 （６）（12）（19）（22）（26）（30）……蓋

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】被加熱物をマイクロ波の透過しない内側包
   材の中に収納し、これをマイクロ波が透過する外側包材
   中に収納して、内側包材と外側包材中との間に、マイク
   ロ波を照射すると発熱する発熱部材を装填し、外側包材
   の外方から電子レンジでマイクロ波を照射することによ
   り前記発熱部材を介して被加熱物を間接的に加熱して調
   理することを特徴とするマイクロ波による加熱調理方
   法。
2. 【請求項２】マイクロ波が透過する外側包材とこの中に
   収容されるマイクロ波を透過させない内側包材とで両包
   材間に、空間スペースを形成するとともに、この空間ス
   ペースにマイクロ波を照射すると発熱する発熱部材を装
   填した構成にして、外側包材の外方から電子レンジによ
   るマイクロ波を照射することにより発熱部材の発熱にて
   内側包材内の被加熱物を間接的に加熱して調理すること
   ができるような機能を具えたことを特徴とするマイクロ
   波による加熱調理用容器。