JPH0672886A - 逆転写酵素阻害剤 - Google Patents

逆転写酵素阻害剤

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JPH0672886A
JPH0672886A JP4247168A JP24716892A JPH0672886A JP H0672886 A JPH0672886 A JP H0672886A JP 4247168 A JP4247168 A JP 4247168A JP 24716892 A JP24716892 A JP 24716892A JP H0672886 A JPH0672886 A JP H0672886A
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JP
Japan
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inhibitory activity
methanol
reverse transcriptase
pedunculagin
hiv
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Application number
JP4247168A
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English (en)
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Kunio Oishi
邦夫 大石
Jun Kato
順 加藤
Kosuke Hayamizu
耕介 速水
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NIPPON JIIN KK
Original Assignee
NIPPON JIIN KK
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  • Heterocyclic Carbon Compounds Containing A Hetero Ring Having Oxygen Or Sulfur (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 強いRT阻害活性を有するRT阻害剤を得
る。 【構成】 次の化1の化学構造式で表わされるペダンキ
ュラギン(pedunculagin)が有効成分として含有されたも
の。尚、式中の−R1,−R2 は−H又は−OH基であ
る。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は例えばエイズの原因とな
っているHIV(human immuno deficiency virus) 等の
RNAをゲノムとしているレトロウィルスが特異的に有
する逆転写酵素(Reverse Transcriptase) を阻害する逆
転写酵素阻害剤(以下、RT阻害剤と記す)に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】HIVウィルスを始めとするレトロウィ
ルスは、特定のレセプターをもつ細胞に感染後プロウィ
ルスの形をとるという大きな特徴を持っている。このよ
うなウィルスに対処する最善の方法は、予防ワクチンの
開発であるが、特にHIVのenv遺伝子の塩基配列が
株ごとに著しく異なること、感染体内でHIV遺伝子に
高頻度で突然変異が起こること等の理由から、ワクチン
の開発は理論的にも実際的にも非常に困難と考えられて
いる。
【0003】即ち、エイズを予防すること、つまりHI
Vがプロウィルス化する前の段階で、これを阻止するこ
とは、成功までに未だ多大の時間を要する。一方、細胞
に感染し、プロウィルス化したHIVを、特異的に除去
或は不活性化すること、即ち根本的な治療を行うことは
更に困難である。
【0004】現在、現実的な方法として唯一臨床的に用
いられているのは、選択的にHIVのRTを阻害するA
ZT等のヌクレオシドアナログを用い、HIVの増殖を
抑制する化学療法である。この方法は、根本的な治療方
法とは言い難い。しかし、地球的規模での爆発的なHI
Vキャリアー、エイズ患者の増加を考えると、よりすぐ
れた方法が開発されるまでの暫定的な手段として、非常
に重要な意味をもつと言わざるを得ない。
【0005】ここで問題なのは、HIV−RT阻害剤
は、長期にわたり継続的に投与されねば意味がないこと
である。一次的な集中大量投与で充分な効果を上げ得る
他の疾病への化学療法に比べると、この場合は安全性、
経済性に格段の配慮が要求される。この点で、この種の
化学療法剤には、機能性食品に対するのと類似の要求が
なされるべきである。
【0006】例えば食用きのこ、酵母の抗HIV成分の
主なものは、グルコース、マンノースからなる多糖であ
る。また、海藻の熱水抽出物には強いRT阻害活性があ
るが、褐藻の主要有効成分はフコイダン、紅藻のそれは
カラギーナンである。更に緑藻からは、まだ強い阻害物
質は認められていない(遠藤達弥,河村英昌,中島豊,
古越久美子,加藤順,大石邦夫(未発表))。これらの
多糖の主なHIV抑制作用は、RT阻害以外のメカニズ
ムによるものと考えられる。
【0007】また、甘草(Glycyrrhizin glabra) (マメ
科)の薬効成分であるグリチルリチンは古くからヘルペ
スウィルスや肝炎ウィルスに対する抑制作用が知られて
いたが、イトウらはインビトロでHIVの感染・増殖も
抑制することを見出した(M.Ito, H.Nakajima, M.Baba,
R.Pauwels, E.Declercq, S.Shigeta, and N.yamamoto
:Antibiral Res.,7,127(1987) )。しかしながら、こ
れはRT阻害以外のメカニズムによるものとされている
(伊藤正彦,中島秀喜,茂田士郎、山本直樹:細胞工
学,,Suppl.,1,S91(1988))。
【0008】更に、甘草を硫酸化すると抗HIV活性が
高まり、細胞毒性量/有効量の比がもとのグリチルリチ
ンの約4倍となり、硫酸化によってRT阻害活性が生じ
ることが報告されている(H.Nakajima, T.Matui, O.Yos
hida, Y.Isowa, Y.Kido, Y.Motoki, M.Ito, S.Shigeta,
T.Mori, and N.Yamamoto : Jpn.J.Cancer Res.(Gann),
78,767(1987))が、この活性が抗HIV活性上昇の原因
であるかどうかは明らかではない。
【0009】ところで、タンニンには、強いRT阻害活
性を示すものがある。カキウチらは、ある種のタンニン
がAMV(Avian myeloblastosis virus)−RTを阻害す
ることを報告している(N.Kakiuchi, M.Httori, T.Namb
a, M.Nishizawa, T.Yamaguchi, and T.Okuda : J.Nat.P
rod.,48,614(1985) )。
【0010】また、ニシザワらはガロイルキナ酸(gallo
ylquinic acids) 、特に、テトラガロイルキナ酸(tetra
galloylquinic acids)が強力なHIV−RT阻害剤であ
ることを見出した(M.Nishizawa, T.Yamagishi, G.E.Du
tshman, W.B.Parker, A.J.Bodner, R.E.Kilkuskie ,Y-
C.Cheng, and K.H-Lee : J.Natl.Products,52,762(198
9))。
【0011】更に、ノナカらは3種類のガロタンニン(g
allotannin) と6種のエラジタンニン(ellagitannin)の
イン・ビトロでの抗HIV活性を調べたところ、一種の
エラジタンニン(sanguiin H-11) を除き、何れも強い抑
制活性を示した(G.Nonaka,I.Nishioka, M.Nishizawa,
T.Yamagishi, Y.Kashiwada, G.E.Dutschman, A.J.Bodne
r, R.E.Kilkuskie, Y.C.Cheng, and K.H.Lee : J.Nat.P
rod.,53,587(1990))。
【0012】一方、HIV−RTの阻害活性を調べたと
ころ、エラジタンニンであるプニカリン(punicalin) ,
プニカコルテンC(punicacortein C) 及び、サングイイ
ンH−11(sanguiin H-11) が強い阻害を示し、それら
のID50は各々8,5,20μMであった。これらのタ
ンニン化合物はHIV−宿主細胞間相互作用の阻害等の
他の働きも持っているので、RT阻害作用が抗HIV作
用の主因であるか否かは明かでない。
【0013】更に、ナカネらは茶(Camellia sinensis)
から得たエピカテキシン・ガレイト((-)-epicatechin
gallate )とエピガロカテキシン・ガレイト((-)-epig
allocatechin gallate)とに、ID50が0.045μM
という強いRT阻害活性をもつことを報告している(H.
Nakane. and K.Ono : Biochemistry,29,2841(1990))。
【0014】これらのタンニン化合物は、その構成成分
にまで水解すると活性を失う。また、その作用は鋳型−
プライマー複合体と拮抗的である。エラジタンニン(ell
agitannin)に抗HIV作用があることは、予研エイズ研
究センターの基礎研究でも認められている(牛島廣治,
清水博之,大野田秀喜,運天先和,土江秀明,北村敬:
エイズ・ジャーナル,3(1),4(1990))。
【0015】また、オノらは28種の東洋産ハーブか
ら、40種類の熱水及びアルコール抽出物を調製したと
ころ、そのうち35種がネズミレトロウィルスM−ML
V(Moloney murine leukemia virus) のRTを阻害する
ことを見出した(K.Ono, H.Nakane, M.Zeng-Mu, Y.Ose,
Y.Sakai, and M.Mizuno : Chem.Pharm,Bull.,37,1810
(1989) )。この中で、活性が最も強かったのはマメ科
(Millettea pachycarpa)と、トウダイグサ科(Mallotus
apelta) の熱水抽出物で、そのID50は0.4−0.5
μg/mlであった。有効成分はバイカレイン(baicale
in : 5,6,7-trihydroxy flavone)であり、これは鋳型・
プライマー複合体と拮抗的に作用し、1μg/mlの濃
度でRTを30%阻害する。
【0016】しかしながら、この物質はDNAポリメラ
ーゼにはほとんど阻害を示さないことが確認されている
(K.Onn H.Nakane, M.Fukushima, J.C.Chermann, and
F.Barre-Sinoussi : Biochem.Biophys.Res.Commun.160,
982(1989))。
【0017】更に、オノらは多数のフラボノイド化合物
を比較することにより、RT阻害活性とフラボノイド構
造間の相関関係を調べた(K.Ono, H.Nakane, M.Fukushi
ma,J-C.Chermann, and F.Barre-Sinoussi : Eur.J.Bioc
hem.190,469(1990))。彼らはバイカレインの他にクエ
ルセチン(quercetin) ,クエルセタジェニン(quercetag
enin) ,ミリセチン(myricetin) 等に強いRT阻害活性
があることを認め、フラボン骨格のOH基の数と位置に
ついて論じている。
【0018】また、ハタノらは甘草由来のカルコン(cha
lcone),フラボノール(flavonol),フラボン(flavone)
,クマリン(coumarin),ピラノクマリン(pyranocoumar
in)によるRT阻害について、報告している(T.Hatano,
T.Yasuhara, K.Miyamoto, and T.Okuda : Chem.Pharm.
Bull.,36,2286(1988))。
【0019】更に、牛島らによると、クロロフィルやチ
トクロームの前駆体であるプロトポルフィリン(protopo
rphyrin)にも抗HIV活性が見られる(牛島廣治,清水
博之,大野田秀喜,運天先和,土江秀明,北村敬:エイ
ズ・ジャーナル,3(1),4(1990))。ただし、RT阻害作
用はない。
【0020】また、牛島らはリグニンや松かさ成分にも
抗HIV活性を認めている(G.Nonaka, G.E.Dutschman,
A.J.Bodner, R.E.Kilkuskie,Y.C.Cheng, and K.H.Lee
: J.Nat.Prod.,53,587(1990))。また、後者はRT阻
害も示す。
【0021】植物に広く存在するベタイン(betaine) と
タングステン酸の混合物は、RT阻害活性はないがHI
Vの感染を抑制するという(牛島廣治,清水博之,大野
田秀喜,運天先和,土江秀明,北村敬:エイズ・ジャー
ナル,3(1),4(1990))。吉仲らは、レトロウィルスの増
殖過程で、翻訳されたペプチドのプロセッシングに必須
のプロテアーゼの研究から、新しい抗HIV剤の開発を
試み、大豆トリプシンインヒビターがそのような酵素を
阻害することを見出している(吉仲由之,足立正一,加
藤伊陽子,井川洋二:細胞工学,7,Suppl.1,S67(1988)
)。
【0022】また、マメ科の植物(Castanospermum aust
rale) が作る一種のアルカノイドであるカスタノスペル
ミン(castanospermine) はα,β−グルコシダーゼを阻
害し、それによってウイルス粒子の成熟を阻害する。
2.5mMで抗ウイルス作用を示すが、O-acyl誘導体は
20倍活性が高いという(B.D.Walker, M.Kowalski, W.
C.Rosen, L.R.Rohrsch-neider, W.A.Haseltine, and J.
Sodroski : Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,84,8120(198
7))。
【0023】更に、ウリ科の植物(Trichosanthes kiril
owii) の地下茎から取れるリチン(ricin) に似たタンパ
クであるトリコサンチン(trichosanthin) は、インビト
ロで翻訳を阻害し、抗HIV作用を示す。この作用は5
週間という長期に亙り持続するという特徴がある。正常
細胞には、毒性がないといわれる(M.S.McGrath, K.M.H
wang, S.E.Caldwell, I.Gaston, K.C.Luk, P.Wu, V.L.N
g, S.Crowe, J.Daniels, J.Marsh, T.Deinhart, P.V.Le
kas, J.C.Vennari, H.W.Yeung, and J.D.Lifson : Pro
c.Natl.Acad.Sci.,USA,86,2844(1989) )。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、種々の
抗HIV剤及びRT阻害活性を有するものが研究されて
いるが、本発明者らは、食品店・売場でハーブ、スパイ
スとして売られている乾燥植物材料約120種を集め、
その熱水抽出液中のM−MLV−RT阻害活性を調べ
た。
【0025】
【表1】
【0026】表1に示すように、多くの材料に強いRT
阻害活性が見られるが、その中で特に強い活性を示した
のはスパイスのクローブ(丁字 : Eugenia caryephylla
ta)(フトモモ科)とハーブのバラ(Rosa spp.) (バラ
科)であった。クローブの強い阻害活性は主として構造
未定のタンニンによるもので、フラボノイド化合物(que
rciturone)も活性の一部を担っていることが確認され
た。クローブ由来の精油、オレオレジン、精油の主成分
であるユーゲノール(eugenol) などは、弱い活性しか示
さなかった。バラの主要な阻害成分もタンニンと判断さ
れた。
【0027】上述のRT阻害活性のデータを参考にし
て、東京周辺から新鮮なタンニン植物材料、バラ科植物
材料を集め、そのRT阻害活性を調べたところ、タンニ
ン植物の阻害活性はまちまちであり、単にタンニン総含
量のみに支配されているようには考えられなかった(速
水耕介,小川良二,下郷晶子,加藤 順,大石邦夫:日
大農獣研報,47,5(1992))。なお、バラ科植物のRT阻
害活性は、その植物のおかれた分類学的位置と密接に関
係する。即ち、バラ科はシモツケ亜科、バラ亜科、サク
ラ亜科、ナシ亜科の4つの亜科に分けられているが、強
いRT阻害活性はバラ亜科にのみ認められた(加藤
順,柴田 卓,山口 博,大石邦夫:平成2年度日本発
酵工学会大会講演要旨集,p.209(1990) )。
【0028】本発明は、タンニン植物材料のRT阻害活
性を有する物質を検索し、強いRT阻害活性を有してい
る植物材料中の主要阻害活性成分を同定し、有効なRT
阻害剤を得ることを目的とする。
【0029】
【課題を解決するための手段】本請求項1に記載の発明
に係るRT阻害剤は、次の化4の化学構造式で表わされ
るペダンキュラギン(pedunculagin)が有効成分として含
有されるものである。(但し、式中の−R1,−R2 は−
H又は−OH基である。)
【0030】
【化4】
【0031】次の化5又は化6の化学構造式で表わされ
るペダンキュラギン(pedunculagin)の加水分解物が有効
成分として含有されるものである。(但し、式中の−R
1,−R2 は−H又は−OH基である。)
【0032】
【化5】
【化6】
【0033】更に具体的には、前記ペダンキュラギン(p
edunculagin)がツバキ(Camellia japonica) から得られ
たものを開示する。
【0034】
【作用】本発明においては、化4の化学構造式で表わさ
れるペダンキュラギン(pedunculagin)が有効成分として
含有されるものであるため、例えばM−MLVのRTに
対するIC50は5μg/mlである強いRT阻害活性を
有するRT阻害剤を得ることができる。
【0035】即ち、本発明者らによってツバキの生葉ア
セトン抽出液中に存在するレトロウイルスRT阻害主要
有効成分がエラジタンニンであることが判明していた
が、本発明によってツバキのRT阻害成分の主要有効成
分は、TLC,IR,HPLC等の分析結果により構造
既知タンニンのペダンキュラギン(pedunculagin)と推定
されたものである。
【0036】また、ペダンキュラギン(pedunculagin)の
タンナーゼ処理を行った加水分解物にもペダンキュラギ
ンほどではないがRT阻害活性を有していることが確認
された。尚、ペダンキュラギンのM−MLVのRTに対
するIC50は5μg/mlであった。
【0037】その阻害様式は、ポリ(A)・(dT)15に対し拮
抗・非拮抗混合型阻害であり、Ki値は0.2μMであ
った。また、dTTPに対しては拮抗型阻害でありKi値は
3.4μMであった。ペダンキュラギンはマングマメ由
来のDNaseに対し、50μg/mlまで阻害は示さ
ず、子牛胸腺由来のDNaseIに対しては100μg
/mlまで阻害を示さなかった。
【0038】
【実施例】1)精製方法 図1はツバキ生葉からRT阻害剤の精製方法を示す工程
図である。ツバキ生葉中の有効成分は、ツバキの生葉
(横浜市内より入手)をアセトンで抽出し、抽出液を減
圧濃縮乾固後メタノール・ヘキサンで3回抽出し、この
メタノール層をアビセルセルロースのカラムクロマトグ
ラフィー(アセトン/メタノール)の濃度勾配法(アセ
トン:メタノール=1:0→4:1)で精製した後、セ
ファデックスLH−20のカラムクロマトグラフィー
(エタノール/メタノール)で同じく濃度勾配法(エタ
ノール:メタノール=1:0→1:1)を用いて試料C
−1を精製単離した。
【0039】更に試料C−1にタンナーゼを加えて、4
0℃12時間酵素処理を行った。これをセファデックス
LH−20のカラムクロマトグラフィー(エタノール:
メタノール)の濃度勾配法(エタノール:メタノール=
1:0→4:1)を用いて試料C−2及び試料C−3を
精製単離した。
【0040】2)試料C−1の理化学的性状 (1) 薄層クロマトグラフィーのRf値 セルロースプレート(Merck 5716)を使用し以下の溶媒
で展開した。 (a) 7%酢酸 Rf値=0.50 (b) n−ブタノール:酢酸:水=4:1:5(上層)
Rf値=0.24
【0041】(2) ペーパークロマトグラフィのRf値 Toyo No.50クロマト用ペーパーを使用し以下の溶媒で展
開した。 (a) 7%酢酸 Rf値=0.50 (b) n−ブタノール:酢酸:水=4:1:5(上層)
Rf値=0.24
【0042】(3) 赤外線吸収スペクトル アナレクト社AQ20型赤外分光計を使用してKBr錠
法にて測定した。結果を図2に示す。
【0043】(4) H1 −NMR 重アセトンに溶解し、JEOL GSX−500を用い
て測定した(500MHz)。結果を図3に示す。
【0044】(5) 13C−NMR 重アセトンに溶解し、JEOL GSX−500を用い
て測定した(125MHz)。結果を図4に示す。
【0045】以上の(1) 〜(5) の結果よりツバキ生葉中
の試料C−1の逆転写酵素阻害有効成分は、次の化4に
示す構造既知のエラジタンニンであるペダンキュラギン
(pedunculagin)であることが判った。但し、式中の−R
1,−R2 は−H又は−OH基である。
【0046】
【化4】
【0047】また、試料C−2及び試料C−3について
も同様の分析結果から試料C−2は次の化5に示すエラ
グ酸、試料C−3は次の化6に示す4-6-HHDP-glucoseで
あることが確認された。但し、式中の−R1,−R2 は−
H又は−OH基である。
【0048】
【化5】
【化6】
【0049】3)逆転写酵素阻害活性(1) 得られた各試料C−1〜C−3の逆転写酵素阻害活性を
測定した。逆転写酵素(以下、RTと記す)はM−ML
VとAMVから得られたものを用いた。具体的な操作は
次の通りである。
【0050】エッペンドルフチューブに0.5M Tris・HCl
バッファー pH8.0 10μl,0.5M KCl 10μl,0.05M
Mg(OAc)2 10μl,0.03M ジチオスレイトール 10μ
l,1%Nonident P-40 10μl,10mg/mlウシ血清
アルブミン2μl,5mM dTTP 10μl,50μCi/
ml[3H]-dTTP 5μl, 0.8mg/ml ポリ(A)・(dT)
15 10μl,1U/μl逆転写酵素1μl,供試サンプ
ル10μl,これに水を加えて 100μlとする。37℃,
30分間保温した後、5%TCA 1mlを加えて反応
を停止させ、ニトロセルロースフィルターで濾過し、赤
外線ランプで充分乾燥させた後、フィルター上の酸不溶
物中の放射活性を液体シンチレーションカウンターで測
定し、RT阻害活性をポリ(A)・(dT)15を鋳型プライマー
としたdTTPの酸不溶部への取込み量の減少として比較検
討した。
【0051】図5はM−MLV由来のRTを用いた場合
の各試料の濃度変化による阻害活性の変化を示す線図で
あり、図6はAMV由来のRTを用いた場合の各試料の
濃度変化による阻害活性の変化を示す線図である。図5
に示す通り、M−MLVのRTに対して、各試料(C−
1〜C−3)は0〜10μg/mlの濃度に応じた阻害
活性を有していることが確認された。尚、試料C−1
(ペダンキュラギン)のRTに対するIC50は5μg/
mlであった。一方、図4に示す通り、AMVのRTで
は各試料(C−1〜C−3)とも0〜10μg/mlの
濃度に応じた阻害活性がないことが確認された。
【0052】4)逆転写酵素阻害活性(2) 最も阻害活性の高かった試料C−1(ペダンキュラギ
ン)を用い、M−MLV,HIV,AMVの各RTに対
する高低両濃度域での阻害活性を測定した。図7は3種
のRTに対するペダンキュラギンの低濃度域(0〜10
μg/ml)での阻害活性を示す線図であり、図8はペ
ダンキュラギンの高濃度域(0〜1000μg/ml)
での阻害活性を示す線図である。
【0053】図に示す通り、M−MLV,HIV,AM
Vとも高濃度域では、濃度に応じた阻害活性が得られて
いることが確認され、特にM−MLVでは、100μg
/mlで阻害率が90%に達することが判った。
【0054】5)逆転写酵素の反応機構 前述のように濃度に応じた阻害活性を有しているペダン
キュラギンがM−MLV由来のRTと基質との間の反応
機構をどのような機構で阻害するかを調べた。図9は反
応基質であるポリ(A)・(dT)15の量を変化させた場合のラ
インウィーバー−バーク・プロットを示す線図であり、
図10は反応基質であるdTTPの量を変化させた場合のラ
インウィーバー−バーク・プロットを示す線図である。
【0055】図9に示す通り、ペダンキュラギンは、ポ
リ(A)・(dT)15に対し、拮抗・非拮抗混合型阻害を示し、
Ki値は3.4μMであった。また、図10に示す通
り、dTTPに対し、拮抗型阻害を示した。
【0056】6)他の核酸関連酵素との阻害関係(1) ペダンキュラギンについて、RT以外の核酸関連酵素と
の関係を調べた。用いた核酸関連酵素は子牛胸腺由来の
RNaseA,Bである。具体的な操作は次の通りであ
る。
【0057】エッペンドルフチューブに0.5M Tris・HCl
バッファー pH7.5 10μl,0.1%BSA 10μl,1% RN
A(Yeast) 50 μl ,RNaseA又はB 0.7U/μl,0.
67U/μlに各濃度のペダンキュラギンを加え、37℃,
60分間保温した後、冷2%PCA 100μl を加えて反
応を停止させ、0℃15分間静置した後、10,000rpmで
2分間遠心した上清を20倍希釈し、260nmの吸収
で測定した。
【0058】図11はRNaseAとM−MLVとに対
するペダンキュラギンの濃度変化による阻害活性を示す
線図であり、図12はRNaseBとM−MLVとに対
するペダンキュラギンの濃度変化による阻害活性を示す
線図である。図に示す通り、子牛胸腺由来のRNase
A,RNaseB共に100μg/mlでほぼ50%の
阻害を受けるが、M−MLVに対する阻害活性に比べる
と弱く、M−MLVのIC50の濃度(5μg/ml)で
は、各々5%以下の阻害しか見られなかった。
【0059】7)他の核酸関連酵素との阻害関係(2) 他の核酸関連酵素として子牛胸腺由来のDNaseIと
マングマメ由来のDNaseを用いてDNAを分解した
場合のペダンキュラギンの阻害活性を測定した。具体的
な操作は次の通りである。
【0060】子牛胸腺由来のDNaseIでは、0.5
M酢酸バッファー pH5.0 0.4μl,0.1M MgSO4 1μl ,
0.1% λ・DNA 2μl , 0.1U/μl DNaseI 0.2μl
,水3μl に此のうどのペダンギュランを加え、37
℃,30分間保温後、アガロース電気泳動ゲルを行っ
た。また、マングマメ由来のDNaseでは、0.5M
酢酸バッファー pH5.0 2μl,1M NaCl 2μl,0.
01M ZnSO4 1μl,0.01%M13mp18 一本鎖DNA 2μl
, 0.1U/μl DNase 2μl ,水 8μlを加え、こ
れに各濃度のペダンキュラギンを加え、37℃,30分
間保温した後、アガロース電気泳動ゲルを行った。
【0061】図13は子牛胸腺由来のDNaseIでの
アガロース電気泳動の結果を示す模式図であり、図14
はマングマメ由来のDNaseでのアガロース電気泳動
の結果を示す模式図である。尚、図において、検出され
たバンドのおおよその強度はバンドの太さに対応させ、
明確なバンドを示さない領域は斜線の領域に対応して示
している。
【0062】図に示す通り、子牛胸腺由来のDNase
Iではベダンキュラギンは100μg/mlまで阻害を
示さなかった。更に、マングマメ由来のDNaseでは
50μg/mlまで阻害は検出されなかった。
【0063】
【発明の効果】本発明は以上説明したとおり、化4の化
学構造式で表わされるペダンキュラギン(pedunculagin)
が有効成分として含有されるものであるため、例えばM
−MLVのRTに対するIC50は5μg/mlである強
いRT阻害活性を有するRT阻害剤を得ることができ
る。尚、ペダンキュラギンのM−MLVのRTに対する
IC50は5μg/mlであった。
【0064】更に、その阻害様式は、ポリ(A)・(dT)15
対し拮抗・非拮抗混合型阻害であり、Ki値は0.2μ
Mであった。また、dTTPに対しては拮抗型阻害であっ
た。他の核酸関連酵素では、子牛胸腺由来のRNase
A,Bでは阻害が5%以下しか見られなかった。更に、
マングマメ由来のDNaseに対し、50μg/mlま
で阻害は検出されず、子牛胸腺由来のDNaseIに対
しては100μg/mlまで阻害を検出されなかった。
【0065】また、ペダンキュラギン(pedunculagin)ほ
どではないが、タンナーゼ処理により、RT阻害活性を
有しているペダンキュラギン加水分解物も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ツバキ生葉からRT阻害剤の精製方法を示す工
程図である。
【図2】試料C−1の赤外線吸収スペクトルの結果を示
す線図である。
【図3】試料C−1のH1 −NMRの結果を示す線図で
ある。
【図4】試料C−1の13C−NMRの結果を示す線図で
ある。
【図5】RTとしてM−MLVを用いた場合の各試料の
濃度変化による阻害活性を示す線図である。
【図6】RTとしてAMVを用いた場合の各試料の濃度
変化による阻害活性を示す線図である。
【図7】3種のRTに対するペダンキュラギンの濃度変
化(0〜10μg/ml)による阻害活性を示す線図で
ある。
【図8】ペダンキュラギンの濃度変化(0〜1000μ
g/ml)による阻害活性を示す線図である。
【図9】ポリ(A)・(dT)15に対するラインウィーバー−バ
ーク・プロットを示す線図である。
【図10】dTTPに対するラインウィーバー−バーク・プ
ロットを示す線図である。
【図11】RNaseAとM−MLVとに対するペダン
キュラギンの濃度変化による阻害活性を示す線図であ
る。
【図12】RNaseBとM−MLVとに対するペダン
キュラギンの濃度変化による阻害活性を示す線図であ
る。
【図13】アガロース電気泳動により子牛胸腺由来のD
NaseIに対するペダンキュラギンの濃度変化による
阻害活性を示す模式図である。
【図14】アガロース電気泳動によりマングマメ由来の
DNaseに対するペダンキュラギンの濃度変化による
阻害活性を示す模式図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12N 9/99

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の化1の化学構造式で表わされるペダ
    ンキュラギン(pedunculagin)が有効成分として含有され
    ることを特徴とする逆転写酵素阻害剤。(但し、式中の
    −R1,−R2 は−H又は−OH基である。) 【化1】
  2. 【請求項2】 次の化2又は化3の化学構造式で表わさ
    れるペダンキュラギン(pedunculagin)の加水分解物が有
    効成分として含有されることを特徴とする逆転写酵素阻
    害剤。(但し、式中の−R1,−R2 は−H又は−OH基
    である。) 【化2】 【化3】
  3. 【請求項3】 前記請求項1又は2に記載の逆転写酵素
    阻害剤において、 前記ペダンキュラギン(pedunculagin)がツバキ(Camelli
    a japonica) から得られたものであることを特徴とする
    逆転写酵素阻害剤。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002255804A (ja) * 2001-03-02 2002-09-11 Suntory Ltd インシュリン様作用を有するヘキサオキシジフェン酸誘導体を含んでなる組成物

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JP2002255804A (ja) * 2001-03-02 2002-09-11 Suntory Ltd インシュリン様作用を有するヘキサオキシジフェン酸誘導体を含んでなる組成物

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