JPH0668484B2 - ステンレス被覆管の超音波探傷方法 - Google Patents

ステンレス被覆管の超音波探傷方法

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JPH0668484B2
JPH0668484B2 JP60213448A JP21344885A JPH0668484B2 JP H0668484 B2 JPH0668484 B2 JP H0668484B2 JP 60213448 A JP60213448 A JP 60213448A JP 21344885 A JP21344885 A JP 21344885A JP H0668484 B2 JPH0668484 B2 JP H0668484B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、ステンレス被覆管の超音波探傷方法に関し、
高速増殖炉(FBR)のステンレス燃料被覆管等の健全性を
保証するために実施するものである。
(従来の技術) 高速増殖炉に用いるステンレス燃料被覆管は、材中の微
少疵の存在も許されず、非常に厳格な健全性が要求され
る。
そこで、被覆管を水中に浸漬し、斜角式の超音波深触子
より超音波ビームを被覆管に対して発信して内部欠陥を
探傷する水浸法によって超音波探傷する方法を採ってい
る。
(発明が解決しようとする問題点) この種の被覆管は、使用上650℃のクリープ強度が重要
であり、また特性上は結晶粒度番号(GS.No.)6.0より細
粒であることが望ましい。
しかし、従来の超音波探傷技術では、GS.No.が8.3より
粗粒にすると、超音波の散乱と減衰により微小疵の探傷
ができなかった。そのため、GS.No.8.3より細粒を目標
として製作していることから、材質特性を充分活用した
使用方法がなされていない問題があった。
本発明は、このような従来の問題点に鑑み、GS.No.が8.
3よりも粗粒のステンレス被覆管でも超音波探傷が可能
な探傷方法を提供するものである。
(問題点を解決するための手段) 本発明は、前述のような問題点を解決するための手段と
して、ステンレス被覆管を水中に浸漬し、斜角式の超音
波深触子よりステンレス被覆管に対して周方向及び軸方
向に超音波ビームを発信させて探傷するステンレス被覆
管の超音波探傷方法において、5〜15MHzの広帯域型周
波数特性を持った超音波探傷器と超音波探触子と用いる
と共に、該超音波探触子を、指向性が鋭くなるように超
音波ビーム径を絞った集束型とし、かつ試験周波数を7
MHz程度にするものである。
(実施例) 以下、図示の実施例について本発明探傷方法を説明す
る。
第1図は本発明探傷方法を実施するための超音波探傷装
置の概要を示し、1は水槽、2は被検材であるステンレ
ス被覆管で、水槽1の水3の中に浸漬されており、図外
の駆動装置により軸心廻りに回転駆動されると共に、軸
心方向に送られる。4は被覆管2に対して超音波ビーム
を発信しかつ反射エコーを受信する超音波探触子であっ
て、斜角式集束型とされている。5は超音波探傷器で、
電源部6、同期回路7、パルス送信回路8、受信回路
9、掃引回路10、時間軸回路11、ブラウン管表示部12等
から構成されている。
被覆管3を水浸法によって超音波探傷する際には、被覆
管3を軸心廻りに回転させながら軸心方向に送り、これ
に対して探触子4より横波の超音波ビームを発信し、そ
の反射エコーを受信する。
この場合、探傷器5には、5〜15MHzの広帯域型周波数
特性を有するものを用いる。従って、これによって、高
い周波数成分は材中で減衰しても、低い周波数成分が残
ることになり、欠陥エコーが高く得られ、S/Nが向上す
る。
また、探傷器5に対して探触子4としても、5〜15MHz
の広帯域型周波数特性を持つものを使用する。広帯域型
の周波数特性の場合、パルス幅が狭いため、時間間隔内
に探触子4に受信される林状エコー(シャワーエコー)
が少なくなり、林状エコーをできるだけ受信しないよう
に配慮できる。これは、次式に示す林状エコー高さの理
論式より明らかなように、林状エコー高さがパルス幅の
1/2乗に比例するためである。
Pr:遠距離音場における林状エコーの音圧 C:音速 T:パルス幅 S:振動子面積 探傷子4は、その集束型音響レンズを従来の0.5mmφか
ら0.3mmφに絞り、指向性の鋭いビーム幅の超音波ビー
ムを発信するようにする。超音波ビーム幅を0.3mmφに
絞ることによって、被覆管2の材中の結晶粒界からの反
射エコー、取分け林状エコーの受信量を減らし、S/N比
を2dB程度向上することができる。なお、探触子4はジ
ルコンチタン酸鉛系磁気(PZT)が適当である。これを用
いれば、機械的Q値が低いため、感度は低くなるが、分
解能は向上する。
試験周波数は7MHz程度に低くする。即ち、結晶粒の大
きな材料中に超音波を伝搬すると、粒界により超音波ビ
ームが散乱し、林状エコーとなる。そこで、試験に際し
ては、波長が結晶粒径よりも大きくなるように低い周波
数を選択し、試験周波数を従来の10MHzから7MHz程度に
変更する。
(発明の臨界的異議) 次に実際の探傷機器を用いて実験を行い、その結果に従
って各条件についての臨界的意義を説明する。なお、供
試材、試験装置は次のものを使用する。試験装置の主仕
様の説明中、「AMP」は増幅器、「特」又は「特
性」は周波数特性、「N.B」は非帯域型、「B.B」
は広帯域型を意味する。
I.超音波探触子の特性 ・探触子の有効ビーム径について 水中に固定した6mmφの鋼球を用いて、探触子の音圧分
布図を作成し、−3dB位置の有効ビーム径を測定した。
試験周波数が10MHzの場合の特性を第2図、7MHz(型式
KB−α)を第3図、7MHz(型式SPCL7)を第4
図に夫々示す。
これらからも明らかなように、有効ビーム径は、10MHz
の場合0.48mmφ、7MHz(型式KB−α)の場合0.3mm
φ、7MHz(型式SPCL7)の場合0.5mmφである。
・探触子の周波数解析 探触子の発信周波数並びに送信パルスRF信号を周波数解
析して特性を調べた。
この場合の各探触子の周波数特性及びダンピング波形を
第5図(1)〜(3)に示す。
10MHzの場合は、周波数特性(特性)がN・B型で、
ダンピングが小、中心周波数が9.4MHzである。7MHz
(型式KB−α)の場合はB・B型で、ダンピングが
中、中心周波数が7MHzである。7MHz(型式KB−α)
の場合は、B・B型で、ダンピングが大、中心周波数が
8MHzである。
なお、N・B型は非帯域型、B・B型は広帯域型をい
う。
II.最適周波数と探傷器の周波数波定 ・試験周波数と探傷器について、 各標準欠陥を基準感度として最適探傷条件を設定する。
最適探傷条件は、各STB 32μd(スタンダードテストブ
ロック 32μm深さ)相当の内面欠陥が同等となる探
傷角度18〜25°である。次に供試材12本の軸方向、周方
向の探傷を行い、夫々について林状エコーレベルを調べ
る。各探触子と探傷器は、次表に示す二元配置法により
試験を行う。また管送り2000rpm、オーバラップ50%と
する。7MHzについては、ビーム径0.3mmφを使用する。
なお、表中の記号は第6図及び第7図の記号に対応す
る。
この試験結果のS/N比を各探傷方向毎に第6図及び第7
図に示す。即ち、第6図は周方向探傷のS/Nを示し、第
7図は軸方向探傷のS/Nを示す。
代表探傷チャートは第8図乃至第11図に示す通りであ
る。第8図は探傷器がUM731で周波数が10MHz、第9図は
Mark IIで10MHz、第10図はUM 731で7MHz、第11図はMar
k IIで7MHzのときの周方向探傷結果を示す。
機器の組合せと探傷可否は次表に示す。
なお、S/NはGS.No.7を対象とする。
○:S/N3dB以上探傷可能 △:S/N3dB以下探傷難しい X:ノイズレベル高く探傷不可 この探傷結果から判るように、S/Nを向上させるための
最適条件は、探傷器の周波数特性が広帯域型(B・B)、探
触子の周波数特性が広帯域型(B・B)、試験周波数が7MHz
の組合せで行えれば、基準欠陥エコー32μ深に対して林
状エコーレベルを−3dB以下に抑えることができる。ま
た従来の探傷技術に比べS/Nを6dB向上できた。
本試験では、広帯域型の探触子及び探傷器を用いること
によりS/Nを向上させることができたのは、次の理由に
よるものである。即ち、高分解能型の探触子を用い、送
信パルス幅を狭くすることにより、パルス時間間隔内に
受信される林状エコーを少なくすることが可能となる。
また広帯域型探傷器は、周波数帯域が広いため、高い周
波数成分が材中で減衰しても、まだ低い周波数成分が残
ることにより欠陥エコーが高く得られ、S/Nが向上す
る。更に林状エコー高さは、林状エコー高さの理論式よ
りパルス幅の1/2乗に比例するから、広帯域型の探触子
を用いることによりパルス幅が狭くなれば、林状エコー
を低くすることができる。
III.超音波ビーム径の決定 試験周波数7MHz(周波数特性:B・B型)超音波ビー
ム径0.5mmφ、0.3mmφの2個の探触子を用いて、B・B
型超音波探傷器により比較テストする。
この試験結果を第11図乃至第13図に示す。第11図は、0.
5mmφの場合の代表チャートを示し、第12図は、0.3mmφ
の場合の代表チャートを示す。第13図は、軸方向及び周
方向探傷結果について超音波ビーム径とS/Nとを比較し
たものである。
これらからも判るように、超音波ビーム径を集束型の0.
3mmφに絞ることによって、0.5mmφビーム径に比べて、
1〜2dB程度S/Nは向上する。即ち、ビーム径を絞るこ
とは、できるだけ林状エコーを受信しない(音圧上昇防
止)ことに効果がある。
IV.自然欠陥の確認 試験周波数の10MHzと7MHzを用いて、最適探傷条件の組
合せにより同寸法管の自然欠陥を探傷し、試験周波数と
欠陥検出精度とについて調べる。
試験条件は、次の通りである。
(1)管送り:2000rpm オーバラップ:50% (2)探傷器:型式Mark II (3)探触子 10MHz、型式U-10 ノルティック社 7MHz 型式KB−α ブランソン社 (4)供試材:6本 (5)感度:32μ深欠陥を15mm設定する。
上記試験による供試材6本の探傷記録と破壊試験結果を
参考図1乃至参考図6に示す。また試験周波数と探傷精
度の相関を第14図に示す。
これらから明らかなように、各々の周波数別の相関係数
rは、10MHzの場合には、r=0.97、7MHzの場合はr=
0.95となり、周波数による欠陥検出精度は殆ど同等であ
る。
(発明の効果) 以上、実施例に詳述したように本発明方法によれば、5
〜15MHzの広帯域型周波数特性を持った超音波探傷器と
超音波探触子と用いると共に、該超音波探触子を、指向
性が鋭くなるように超音波ビーム径を絞った集束型と
し、かつ試験周波数を7MHz程度に特定したので、超音
波ビームの波長がGS.No.7程度までの粗い結晶粒径
よりも大きくなり、粒界における超音波ビームの散乱が
抑制され、5〜15MHzの広帯域型周波数特性を持った
超音波探傷器と超音波探触子とを用いることと相まっ
て、粗粒材におけるS/N比を向上させることができ、
GS.No.7程度の粗粒のステンレス被覆管における、
軸方向及び周方向に存する数十μm程度の微小疵の検出
が可能となり、すなわち結晶粒径が粗粒であるが故に高
クリープ強度を具備したステンレス被覆管の微小疵の検
査が可能となり、高品質の高速増殖炉用ステンレス燃料
被覆管を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
図面は本発明の一実施例を示し、第1図は超音波探傷装
置の概略説明図、第2図乃至第4図は探触子の周波数特
性を示す図、第5図(1)乃至(3)は各探触子の周波数特性
を示す図、第6図は周方向探傷のS/Nを示す図、第7
図は軸方向探傷のS/Nを示す図、第8図乃至第12図は
周方向探傷結果を示す図、第13図は超音波ビーム径とS
/Nとの関係を示す図、第14図は試験周波数と探傷精度
との関係を示す図である。 1……水槽、2……ステンレス被覆管、4……超音波探
触子、5……超音波探傷器。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ステンレス被覆管を水中に浸漬し、斜角式
    の超音波深触子によりステンレス被覆管に対して周方向
    及び軸方向に超音波ビームを発信させて探傷するステン
    レス被覆管の超音波探傷方法において、 5〜15MHzの広帯域型周波数特性を持った超音波探傷
    器と超音波探触子と用いると共に、該超音波探触子を、
    指向性が鋭くなるように超音波ビーム径を絞った集束型
    とし、かつ試験周波数を7MHz程度にすることを特徴と
    するステンレス被覆管の超音波探傷方法。
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