JPH0667697A - 音声合成装置 - Google Patents

音声合成装置

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JPH0667697A
JPH0667697A JP4261690A JP26169092A JPH0667697A JP H0667697 A JPH0667697 A JP H0667697A JP 4261690 A JP4261690 A JP 4261690A JP 26169092 A JP26169092 A JP 26169092A JP H0667697 A JPH0667697 A JP H0667697A
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JP
Japan
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amplitude
power
waveform
vocal tract
voice
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JP4261690A
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Inventor
Mikio Yamaguchi
幹雄 山口
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 品質のよい合成音を得る。 【構成】 声道フィルタを通過した後の音声波形のパワ
ーをパワー推定手段301により推定し、目標パワーと
のずれに応じて振幅を振幅調整手段2により調整する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、基本周波数を種々に変
えて音声を合成する音声合成装置に関するもので、特
に、声帯音源波形を声道フィルタに通すことによって音
声を合成する場合に効果的な音声合成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】人間が有声音を発声する際は、声帯振動
により作成した声帯音源波に対して、咽頭や口腔などか
らなる声道により所定のスペクトル特性を付与してい
る。この人間の音声生成機構に鑑み、従来の音声合成装
置には、声帯音源波を作成する声帯音源波形生成部と、
所定のスペクトル特性である声道伝達関数を実現する声
道フィルタが用いられている。声道フィルタは、実現の
手段によって、PARCOR方式、LSP方式、ホルマ
ント方式等種々の方式がある。声帯音源波は、単純には
インパルス波形が用いられるが、より精密には、多項式
で近似することが提案されている。これらを組合せた音
声合成装置は、例えば、藤崎他;“高品質音声合成のた
めのターミナルアナログ型音声合成器”、電子情報通信
学会音声研究会資料SP90−1(1990.5.2
5)、で提案されている。本出願人による特願平1−1
99251号の音声合成装置用の波形生成部分を、従来
技術の例として図7に示し、図7を駆動する手段を含め
た音声合成装置全体の処理部分を図6に示す。
【0003】図6の音声合成装置の入力は、カタカナ、
アクセント符号、句読点である。句読点で、文や節の境
界が明示されているので、発生の区切りを示す休止記号
および、文全体の抑揚を付けるフレーズ記号を、201
の休止記号・フレーズ記号生成部で作成する。一方、カ
タカナによって音節の発声が示されているので、カタカ
ナの出現順序にしたがって、予め準備されているCV音
節蓄積パタン202が検索され、音節の時間長、音源強
度、ホルマント情報が取り出される。音節の時間長、休
止記号により、個々の音節の時点が決定部203で決定
され、その時点に従って、接続部204でCV音節パタ
ンが接続され、音源強度パタンとホルマントパタンが得
られる。一方、アクセント符号からは、個々の単語のア
クセントの上がりと下がりを示すアクセント記号が生成
部205で生成され、音節の時点を基準として、アクセ
ント、およびフレーズに対する時点が決定部206で定
められ、生成部207で基本周波数パタン(F0パタ
ン)が作成される。以上の処理によって求められた、F
0、音源強度、ホルマントのパタンが図7の波形生成部
分に与えられ、以下のように音声波形が作成される。
【0004】図7において、101は多項式により近似
することで、所定のF0(基本周波数)の声帯音源波形
を発生する部分である。6は所定の音源強度を持つ声帯
音源波形となるように、声帯音源の強度を制御する部分
である。121から129は、声道伝達関数を模擬する
ためのフィルタ群であり、所定のホルマントの特性を有
するように制御される。
【0005】人間の発生においては、口からだけでなく
鼻からも音が放出されるのでこれを模擬するのは5の強
度制御部および、111から116のフィルタ群であ
る。また、摩擦音や破裂音はそれぞれ102で発生され
た乱数列や103で発生されたインパルス波形に適切な
スペクトル特性を付与して実現される。
【0006】声帯音源を模擬した多項式波形発生器10
1の出力波形の周波数特性を観察すると、図8の例のよ
うに、基本周波数F0、第2高調波、第3高調波…から
なる、調波構造をなしている。声道フィルタ121〜1
29による声道伝達関数の周波数特性は、図9の例のよ
うに、共振器によって生ずるスペクトルのピーク(ホル
トマント)F1,F2,F3…がある(図9では、単純
化して説明するため、スペクトルのピークは3つまで表
示し、反共振器によって生ずるスペクトルの凹みは表示
していない)。図8の声帯音源波形を図9の声道フィル
タを通して得られる合成音声の周波数特性は、図10の
例のように、声帯音源波形にあった基本周波数、第2高
調波、第3高調波…の高さが、声道フィルタの周波数特
性に合うように調整されている。
【0007】いま、声道伝達関数のスペクトルピークが
高い場合を考えてみる。図11に、第1ホルマントのス
ペクトルピークが高い、すなわち、第1ホルマント帯域
幅B1が小さいときの、対応する共振器の伝達特性を示
す。
【0008】ある周波数fに対するこの伝達特性A
(f)は、次式で計算される(単位は〔dB〕)
【0009】
【数1】
【0010】直流分(周波数が0Hzの成分)のゲイン
は0dBであり(図11)、周波数fがF1に近いと
きのゲインは大きくなる(図11)という特性を示
す。一方、音声合成時においては、同じ音素でも、基本
周波数F0の値は合成する文に応じて種々に変えるの
で、基本周波数F0やその高調波が、このスペクトルピ
ークと重なったり、外れたりする場合が生じる。図8か
ら図10の説明で判るように、基本周波数F0や高調波
がこのピークと重なると、合成されるその周波数成分が
強調されるので、生成される合成音声の振幅が大きくな
ってしまう。この現象は、F1とF0が互いに近い女声
の合成の場合に特に生じやすく、振幅が数倍にも膨れ上
がって、音質の劣化を招く原因となっている。
【0011】図12に、強度制御部(図7の6)を一定
にしたまま、F0を高から低に変化させたときの、出力
波形の様子を示す。声道伝達関数は、女声の〔i〕であ
り、図7の共振器121〜125によるホルマントは、
F1(第1ホルマント周波数、以下同様)=313,B
1(第1ホルマント帯域幅、以下同様)=80,F2=
2842,B2=170,F3=3813,B3=29
8,F4=4431,B4=420,F5=5555,
B5=1865〔Hz〕であり、B1は比較的小さな値
を与えている。なお、通常の母音の合成においては、共
振器・反共振器対126〜129に互いに逆の特性を与
えることで特性を打ち消し合っている。波形を見れば判
るように、F0がF1と近い場合、および、2*F0
がF1と近い場合に、振幅の膨らみが在る。
【0012】一方、B1が適度に大きければスペクトル
ピークもそれほど強くないので、従来の音声合成装置で
は、特に対策を施されない場合もあった。
【0013】また、声帯音源波形として、残差波形を用
いる場合は、残差波形の周波数特性と、声道伝達関数の
周波数特性が相俟って、目的とする合成音声の周波数特
性を実現すれば良いので、声道伝達特性の第1ホルマン
トのピークを抑圧し、抑圧した分を加味した残差波形を
使って音声合成を行う方法も案出されている(武田;
“残差音源型規則合成における女声音質改善方式の検
討”、電子情報通信学会音声研究会資料SP89−3
(1989.5.19))。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】声帯音源波形に自然音
声から抽出された残差波形を使わず、インパルス波形や
多項式による波形などモデルにより生成する場合は、声
道伝達関数の第1ホルマントのピークを、声帯音源波形
に担わせる方法は使えない。また、B1をある程度以上
に大きくしておく方法は、必ずしも、正しい声道伝達関
数を表現しているとは限られず、振幅の変動が生じざる
を得ないので、常に品質のよい合成音を得る観点では、
本質的な解決にはなっていない。
【0015】本発明は、このような問題点を避けるため
に案出されたもので、基本周波数およびその高調波と、
声道伝達関数のスペクトルピークとの関係を考慮して、
振幅を制御することにより、振幅の異常な膨張が生じる
ことの無い、音声合成装置を提供することを目的として
いる。
【0016】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、請求項1の発明は、声帯音源波形を、声道伝
達関数を模擬する声道フィルタに通すことによって音声
を合成する音声合成装置において、合成しようとする基
本周波数の声帯音源波形を声道フィルタを通したときに
得られる音声波形のパワーを推定するパワー推定手段
と、声帯音声を合成するときは、その音声の振幅を調整
することによって、前記パワー推定手段により推定され
る前記推定値と、合成する音声波形に付与すべきパワー
の目標値とのずれを補正する振幅調整手段とを具えたこ
とを特徴とする。
【0017】請求項2の発明は、声帯音源波形を、声道
伝達関数を模擬する声道フィルタに通すことによって音
声を合成する音声合成装置において、合成しようとする
基本周波数の声帯音源波形に対する、前記声道フィルタ
のゲインを推定する振幅推定手段と、声帯音声を合成す
るときは、前記声帯音源波形の振幅を調整することによ
って前記振幅推定手段により推定された前記声道フィル
タのゲイン分を補正する振幅調整手段とを具えたことを
特徴とする。
【0018】
【作用】請求項1の発明では、声道フィルタを通過した
後の音声波形のパワーを推定し、目標パワーとのずれに
応じて振幅を調整することにより目標パワーの値に応じ
た大きさの音声を合成する。
【0019】請求項2の発明では、声道フィルタのゲイ
ンに応じて声帯音源波形の振幅を調整することにより一
定の大きさの音声を合成する。
【0020】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細
に説明する。
【0021】<第1実施例>音源のスペクトルパワー、
フィルタのゲイン、生成される音声のパワーの三者の関
係をまず考える。
【0022】音源のスペクトルパワーをP(f)と表
す。音源波形は基本周波数F0の周期波形なので、P
(f)は、図8に示すように、f=F0,2 F0,3
F0…というF0およびその高調波で大きなパワーを
持つ。ディジタル信号処理によって音源波形を生成して
いる場合、周波数fは0からナイキスト周波数qまでの
範囲で定義されており、ナイキスト周波数以上の周波数
成分の折り返しの影響は少ないので無視する。
【0023】i番目の共振器または反共振器のパワーに
対するゲインGi(f)は、
【0024】
【数2】
【0025】である。ここで、Fiはi番目の共振器ま
たは、反共振器の中心周波数、Biは帯域幅を示す。周
波数がfである音源のパワースペクトルP(f)はN個
の共振器または反共振器を通過することによって、その
パワーは次式の通りとなる。
【0026】
【数3】
【0027】パーシバルの定理により、ある波形のパワ
ーは、そのスペクトルパワーの総和に等しい。したがっ
て、合成される音声のパワーTは、
【0028】
【数4】
【0029】となる。そして、P(f)は、基本周波数
F0とその高調波以外では0であることに着目し、0か
らナイキスト周波数qまでの範囲に存在する高調波は第
M高調波までとすると、上記式は、
【0030】
【数5】
【0031】となる。
【0032】次に、図1により第1実施例を説明する。
【0033】図1は第1実施例の回路構成を示す。な
お、図6の従来例と同様の箇所には同一の符号を付して
おり詳細な説明を省略する。音源強度に関してはCV音
節蓄積パタン202からはパワー情報が得られ、CV音
節パタン接続処理204によって合成する音声のパワー
目標値が得られるとする。
【0034】図1において、パワー推定手段301は、
声道フィルタの特性と合成しようとする音声の基本周波
数F0を考慮して、声帯音源波形が声道フィルタを通過
して得られる音声波形のパワーを推定する。具体的に
は、(数5)式のTの値を計算する。
【0035】振幅調整手段2は、上記パワーの推定値と
合致する音声のパワーの目標値Uのずれを計算し、振幅
の調整値を計算する。具体的には、振幅の調整値とし
て、振幅に乗ずるべき値pを求めるなら、パワーの平方
根が振幅が比例するので、
【0036】
【数6】
【0037】となる。音声波形生成処理200は、振幅
にpを乗じた音声波形を生成する。
【0038】以上の処理により、声道フィルタと基本周
波数の関係により、合成される音声のパワーTが大きく
なる場合は、pを乗ずることで振幅が小さくなる方向に
調整される。逆に、合成される音声のパワーTが小さく
なる場合は、より大きなpを乗ずることで振幅が大きく
なる方向に調整されるので、結果として、声道フィルタ
と基本周波数との相対的な影響に拘らず、目標とする大
きさの音声が合成できる。
【0039】以上の実施例においては、声道フィルタの
特性のすべてと、声帯音源波形の基本周波数およびナイ
キスト周波数以下の高調波すべてのスペクトルパワーを
考慮している。ところが、比較的低い高調波のスペクト
ルパワーの大きさに比べて、高い高調波のスペクトルパ
ワーは小さいので、後者を無視する近似計算も可能であ
る。そこで、(数5)式の計算は、比較的低い高調波
(例えば4次高調波まで)の成分までで打ち切る実施例
も可能である。また、比較的低い高調波の周波数領域で
は、高い中心周波数の共振器、反共振器の影響は小さ
い。そこで、これらの共振器、反共振器の(数2)式の
Bi(f)の値は1.0と置いて、(数5)式の計算は
中心周波数が低い共振器、反共振器(例えば、第2ホル
マントまでに対応する共振器と第1番目の共振器・反共
振器対まで)に限る近似計算を行う実施例も可能であ
る。声帯音源のスペクトルパワーP(j F0)につい
ては、使用する声帯音源の特性によるが、基本周波数F
0やその他のパラメータによって影響を受ける場合は、
かかる制御パラメータを考慮して関数や検索表によって
与える必要があり、基本周波数F0やその他のパラメー
タでほとんど影響を受けない場合は、jの値に対するP
(j F0)の値を記載した表によって与えることがで
きる。
【0040】特に、声の質を変更しうる音声合成装置と
して、たとえば、柔らかい感じの声を合成するために
は、声帯音源波形のスペクトルにおいて、エネルギーが
高い高調波よりも低い高調波に集中させ、逆に、甲高い
感じの声を合成するためには、エネルギーを高い高調波
にも分布させる音声合成装置の構成がある。これをスペ
クトル分布で見ると図8のF0およびその高調波でのピ
ークの頂点をたどった全体的な傾きが、急な右下がり
か、緩やかな左下がりかに対応する。この声帯音源スペ
クトルの制御は、所望する声の質の種類によって声帯音
源波形の形状を制御するパラメータ(以下、音源パラメ
ータ)の値を変える音声合成装置によって実現される。
かかる音声合成装置において本発明を実施するには、所
望する声の質の種類によって音源パラメータの値を変え
ると共に、声帯音源のスペクトルパワーP(j F0)
の与え方も声の質または音源パラメータに対する関数や
検索表によって変えればよい。
【0041】<第2実施例>パワーに着目して制御して
も、ゲインに着目して制御しても実質的に同じ制御であ
るが、第2実施例においては、声道フィルタ全体のゲイ
ンを考慮する。
【0042】(数5)式において、個々の共振器・反共
振器ゲインGi(f)の寄与を除いた
【0043】
【数7】
【0044】は、元の音源波形のパワーSを表す。
【0045】音源波形が、声道フィルタを通ることによ
って、パワーが増加あるいは減少され、合成音声が出力
されるという観点に立つと、声道フィルタのパワーゲイ
ンRを検討することができる。声道フィルタに入る波形
のパワーがSで、声道フィルタから出る波形のパワーが
Tなので、
【0046】
【数8】R = T/S となり、振幅に比例する値としてゲインrを表すと
【0047】
【数9】
【0048】となる。
【0049】次に、図2を参照しながら第2実施例を詳
細に説明する。
【0050】図2は第2実施例の回路構成を示す。な
お、図6の従来例と同様の箇所には同一の符号を付して
おり詳細な説明を省略する。
【0051】図2において、ゲイン推定手段1は、声道
フィルタの特性と合成しようとする音声の基本周波数F
0を考慮して、声帯音源波形が声道フィルタを通過する
ときの声道フィルタのゲインを推定する。具体的には、
前記(数8)式のrの値を計算する。
【0052】また、振幅調整手段2は、ゲイン推定手段
1により推定されたゲインによって、声帯音源波形の振
幅を調整する。具体的には、(数9)式のrで音源波形
の振幅を小さくすればよく、これは、(数10)式のよ
うに204から得られる声帯音源の強度制御値Xをrで
割ることで容易に実施できる。
【0053】
【数10】X′= X/r 以上の処理によって、声道フィルタの特性と基本周波数
の関係により、声道フィルタで声帯音源波形に付与され
るゲインrが大きくなる場合は、rで除することで振幅
が小さくなる方向に調整される。逆に、声道フィルタの
ゲインrが小さくなる場合は、rで除することで振幅が
大きくなる方向に調整されるので、結果として、声道フ
ィルタと基本周波数との相対的な影響に拘らず、目標と
する大きさの音声が合成できる。
【0054】図12の強度制御パタンXを上記(数1
0)式のようにrで除した強度制御パタンX′と、その
ときに合成される波形を図3に示す。図3の波形を見て
判るよういに、図12の,で見られた振幅の膨張
が、非常に良く抑制されている。
【0055】本実施例においても先の実施例と同様に、
(数5)式の計算を、比較的低い高調波(例えば4次高
調波まで)の成分までで打ち切る実施も可能である。同
様に、(数5)式の計算は中心周波数が低い共振器、反
共振器(例えば、第2ホルマントまでに対応する共振器
と第1番目の共振器・反共振器対まで)に限る近似計算
を行う実施も可能である。声帯音源のスペクトルパワー
P(j F0)の与え方についても同様に、関数や検索
表で与える実施例が可能である。また、声道フィルタに
入る声帯音源波形のパワーSを(数7)式で与えている
が、声帯音源波形のパワーが常にほぼ一定なら、Sで割
る除算を省略しても、声道フィルタと基本周波数の関係
によらず合成される音声の大きさを一定するという本発
明の目的は達成できる。
【0056】<第3実施例>(数5)式では、フィルタ
の特性Gi(j F0)と、声帯音源波形のスペクトル
パワーP(j F0)が乗ぜられているが、これは、前
者を後者で重み付けしたと考えることもできる。この場
合、重み付けの方法は、P(j F0)を乗ずる以外に
も実施できる。
【0057】また、厳密に合成音声の大きさを一定にす
るのではなく、基本周波数F0あるいはその高調波とホ
ルマント周波数とが一致したときは、多少合成音声の大
きさが大きくなることを許容する実施例も可能である。
この場合、例えば(数2)式で(Bi/2)の代わりに
Biとおく計算が可能である。
【0058】第3実施例の回路構成は図2の第2実施例
と共通とすることができる。すなわち、ゲイン推定手段
1は、声道フィルタの特性と、合成しようとする音声の
基本周波数から、声帯音源波形が声道フィルタを通過す
るときの声道フィルタのゲインを推定する。振幅調整手
段2は、推定されたゲインによって、声帯音源波形の振
幅を調整する。
【0059】以上の処理により声道フィルタのゲインが
大きいときは声帯音源波形の振幅を小さくする方向に調
整され、逆に上記ゲインが小さいときは振幅が大きくな
る方向に調整されるので、結果として、声道フィルタの
ゲインの大小に拘らず、一定の大きさの音声が合成でき
る。
【0060】合成される音声のパワーを推定するには、
声道フィルタの特性のすべてと、声帯音源波形の基本周
波数成分およびその高調波のすべてを、考慮する必要が
ある。しかし、人間の聴覚は、パワーの大小については
比較的鈍感なので、近似的に合成音声の振幅を一定にす
るだけで、本発明の目的を達成することができる。合成
音声のパワーへの寄与が大きいのは、図12に示すよう
に、声帯音源波の基本周波数成分、または、第2高調波
が、第1ホルマントのピークによりパワーが増大される
場合である。そこで、このパワーの増大を補正する実施
例を示す。
【0061】(数1)式の単位は〔dB〕であるが、振
幅の制御のためには、振幅の比例係数で計算した方が便
利なので、20 log10の中身を取り出す。そして、
前述のように(Bi/2)をBiとおき直す。また、第
1ホルマントのみによる声道伝達特性なら、図11の
領域のように、周波数fが大きくなるに従って、ゲイン
は0〔dB〕からどんどん小さくなる。しかし、図11
の領域では第2ホルマント、第3ホルマントなどの高
次ホルマントにより、声道伝達関数全体でのゲインはそ
れほど落ち込まない(図9を参照)。すなわち、本実施
例のように第1ホルマントによる寄与のみ考えるなら、
A(f)≧0〔dB〕の範囲のみで近似した方がよいの
で、最小値をとるmin()演算を以下のように付す。
【0062】
【数11】
【0063】これにより、基本周波数F0に対する、第
1ホルマントによるゲインはB(F0)となり、第2高
調波に対する、第1ホルマントによるゲインはB(2
F0)となる。さて、合成される音声波形の振幅に対す
る寄与は、基本周波数の成分に比べて、第2高調波の成
分は小さい。そこで、B(F0)とB(2 F0)に重
み付けをして、以下の式による声道フィルタのゲインを
推定する。
【0064】
【数12】
【0065】これが、ゲイン推定手段1により推定する
ゲインである。
【0066】次に、振幅調整手段2の実施例について述
べる。ゲインの増加を打ち消すように振幅を抑制するに
は、声帯音源の強度制御値XをC(F0)で割ることで
容易に達成できる。
【0067】
【数13】X′=X/C(F0) 図12の強度制御パタンXを上記(数13)式によって
変更したパタンX’と、そのときに合成される波形を図
4に示す。図4の波形を見て判るように、図12の,
で見られた振幅の膨張が、良く抑制されている。
【0068】以上の第3実施例では、(数11)式から
(数13)式まで、順を追って説明したが、(数11)
式を、F0,F1,B1で展開しておいて、(数11)
式から(数13)式までに相当する範囲を一度に計算す
ることもできる。また、(数11)式等では、第1ホル
マント周波数F1と第1ホルマント帯域幅B1を元にし
て計算する場合を示したが、他のスペクトルパラメータ
の場合にも、声道フィルタのゲインを近似する式によっ
て本発明を適用しうるのは言うまでもない。また、(数
12)式で、B(F0)とB(2 F0)の重み付けの
例を示したが、他の重み付けももちろん実施可能であ
る。あるいは、より簡略化した近似を行うなら、(数1
2)式において第2高調波による寄与を考慮せず、B
(F0)のみによるゲインを推定する実施例も可能であ
る。さらに、振幅調整手段2の具体的な実施例として、
強度制御部9に与える値を補正しておく実施例を示した
が、振幅を制御する他の実施例も可能であり、例えば、
図5のように、ゲイン補正部91,92を別に設けて、
振幅を制御することも可能である。ゲイン補正部の位置
は、波形が通過する経路ならどこでも良く、例えば91
を114と115の間に置くことや、91を116の後
に置くことで、本発明を実施することもできる。
【0069】
【発明の効果】請求項1の発明では、声道フィルタ後の
音声波形のパワーを推定し、目標パワーとのずれに応じ
振幅を調整する。また、請求項2の発明では、フィルタ
のゲインに応じて声帯音源波形の振幅が調整されるの
で、基本周波数と声道伝達関数のスペクトルピークの関
係により生ずる従来の合成音声の異常な振幅膨張を未然
に防ぐことができる。これにより、基本周波数の値を変
えても、第1ホルマント帯域幅B1が小さくても、常に
安定した振幅の合成音声を得ることができるので、合成
音声の品質向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の回路構成を示すブロック図であ
る。
【図2】第2実施例の回路構成を示すブロック図であ
る。
【図3】第2実施例の強度制御パタンおよび合成音声波
形を示す波形図である。
【図4】第3実施例の強度制御パタンおよび合成音声波
形を示す波形図である。
【図5】本発明の波形生成部の回路構成を示すブロック
図である。
【図6】従来の回路構成を示すブロック図である。
【図7】従来例の波形生成部の回路構成を示すブロック
図である。
【図8】多項式波形発生器の出力波形の周波数特性を示
す波形図である。
【図9】声道伝達関数の周波数特性を示す説明図であ
る。
【図10】合成音声の周波数特性を示す波形図である。
【図11】共振器の伝達特性を示す説明図である。
【図12】従来例の強度制御パタンおよび合成音声波形
を示す波形図である。
【符号の説明】
1 ゲイン推定手段 2 振幅調整手段 91,92 ゲイン補正部 200 音声波形生成部 301 パワー推定手段

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 声帯音源波形を、声道伝達関数を模擬す
    る声道フィルタに通すことによって音声を合成する音声
    合成装置において、 合成しようとする基本周波数の声帯音源波形を声道フィ
    ルタを通したときに得られる音声波形のパワーを推定す
    るパワー推定手段と、 声帯音声を合成するときは、その音声の振幅を調整する
    ことによって、前記パワー推定手段により推定される前
    記推定値と、合成する音声波形に付与すべきパワーの目
    標値とのずれを補正する振幅調整手段とを具えたことを
    特徴とする音声合成装置。
  2. 【請求項2】 声帯音源波形を、声道伝達関数を模擬す
    る声道フィルタに通すことによって音声を合成する音声
    合成装置において、 合成しようとする基本周波数の声帯音源波形に対する、
    前記声道フィルタのゲインを推定する振幅推定手段と、 声帯音声を合成するときは、前記声帯音源波形の振幅を
    調整することによって前記振幅推定手段により推定され
    た前記声道フィルタのゲイン分を補正する振幅調整手段
    とを具えたことを特徴とする音声合成装置。
JP4261690A 1992-06-17 1992-09-30 音声合成装置 Pending JPH0667697A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101109398B1 (ko) * 2003-05-08 2012-01-30 호리 가부시키가이샤 안전로프 지주

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101109398B1 (ko) * 2003-05-08 2012-01-30 호리 가부시키가이샤 안전로프 지주

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