JPH0665890A - 製紙用サイズ剤組成物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 製紙工業において中性ないしアルカリ性条件
下で使用される抄紙用サイズ剤であるアルキルケテンダ
イマーの改良に、特に該分散剤の効果を十分に発現させ
るための優れた分散剤を提供する。 【構成】 分散剤として、カチオン化澱粉に（メタ）ア
クリルアミド及びカチオン性モノマー類をグラフト重合
させて調製したグラフト化カチオン澱粉を使用する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、製紙用のサイズ剤組成
物に関する。更に詳しくは、本発明は、機械的安定性、
高温安定性に優れるとともにサイズ効果に優れたアルキ
ルケテンダイマーを含有する製紙用サイズ剤に関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】近年、製紙業界では炭酸カルシウムを填
料として、中性ないしアルカリ性で、抄造を行うことが
一般化している。また、塗工用顔料としての炭酸カルシ
ウムが、損紙又は古紙のリサイクルを通じて、抄紙系に
混入され、抄紙ＰＨが中性又はアルカリ性となるケース
が多くなって来ている。一方、従来から抄紙ＰＨが中性
またはアルカリ性の抄紙用サイズとして、一般にアルキ
ルケテンダイマー系サイズ剤が使用されている。

【０００３】周知のように、前記アルキルケテンダイマ
ー系サイズ剤による紙のサイジング法として、抄紙前の
紙料に添加される、いわゆる内添サイジング法と、抄き
上がった紙に塗工（塗布）される、いわゆる表面サイジ
ング法、の両者が知られている。また、前記アルキルケ
テンダイマー系サイズ剤の調製法として、カチオン化澱
粉、ナフタリンスルホン酸ソーダホルマリン縮合物、リ
グニンスルホン酸ソーダなどの分散剤を使用して、高圧
乳化させてサイズ剤を調製する方法が汎用されている。

【０００４】しかしながら、従来のアルキルケテンダイ
マー系サイズ剤は、エマルジョンが極めて不安定である
ため、前記した両サイジング法とも抄紙機のロール、ド
ライヤー、カンパス等の汚れ問題が絶えずつきまとい、
またサイズ効果を十分に発現させることが困難であると
いう欠点を有する。

【０００５】なお、アルキルケテンダイマー系サイズ剤
の前記した欠点を改善する試みとして、分散剤に特定の
カチオン化澱粉を使用するもの（特開昭５８−１９７３
９７号、同平３−５９１９１号）、カチオン性ポリアク
リルアミドを使用するもの（特開昭６０−２５８２４４
号）などが提案されているが、いまだに十分な効果が得
られていない。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明者は、前記した
アルキルケテンダイマー系サイズ剤の欠点を解消すべく
鋭意研究を重ねた。その結果、乳化分散剤として、カチ
オン化澱粉にアクリルアミド及びカチオン性モノマーを
グラフト重合させることにより調製したグラフト変性化
カチオン化澱粉（以下、グラフト化カチオン澱粉とい
う。）を使用したとき、機械的及び高温安定性に優れた
アルキルケテンダイマーエマルジョンが得られ、かつ優
れたサイズ効果を発現することを見い出し、本発明を完
成するに至った。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明を概説すれば、本
発明は、アルキルケテンダイマーを分散剤により乳化分
散せしめてなる製紙用サイズ剤組成物において、前記分
散剤が、 ・カチオン化澱粉に（メタ）アクリルアミド及びカチオ
ン性モノマーを含むモノマー類をグラフト重合させて調
製したグラクト化カチオン澱粉、 であることを特徴とする製紙用サイズ剤組成物に関する
ものである。

【０００８】以下、本発明の技術的構成を詳しく説明す
る。まず、本発明の改良の対象とする、アルキルケテン
ダイマー系サイズ剤において、アルキルケテンダイマー
とは下記一般式（１）で示されるものである。一般式
（１）

【０００９】

【化１】 ［式中、Ｒ₁ ，Ｒ₂ は、それぞれ炭素数８〜３０の炭化
水素基を示す。］

【００１０】前記一般式（１）におけるＲ₁ ，Ｒ₂ の具
体的な炭化水素基としては、例えばデシル、ドデシル、
ラトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシルなどのアル
キル基；エイコシル基などのアルケニル基；オクチルフ
ェニル、ノニルフェニルなどのアルキル置換フェニル
基；ノニルシクロヘキシル基などが例示できる。

【００１１】本発明は、前記したアルキルケテンダイマ
ー系サイズ剤を特定の分散剤により水中に分散せしめた
ことを特徴とする製紙用サイズ剤組成物に関する。そし
て、本発明の最大の特徴とする分散剤は、カチオン化澱
粉に（メタ）アクリルアミド及びカチオン性モノマー類
をグラクト重合せしめることによって調製した変性澱
粉、即ちグラフト化カチオン澱粉から成るものである。

【００１２】本発明の新規な分散剤の調製においてグラ
フト重合のベースとなるものはカチオン化澱粉である。
カチオン化澱粉としては、種々のものが使用することが
でき、例えば酸化または酵素変性により重合度を低下せ
しめた澱粉にカチオン化試薬を反応せしめて得られる、
低粘度のものが有利に使用される。

【００１３】本発明で使用されるカチオン化澱粉を更に
詳しく説明すると、カチオン化澱粉としては、トウモロ
コシ、馬鈴薯、タピオカ、甘薯、小麦、米などの生澱粉
を公知の手段により第一級、第二級、第三級アミンおよ
び第四級アンモニウム基の中から選択される一種以上を
導入した形態の塩基性窒素原子を有する各種のカチオン
化変性澱粉が用いられる。

【００１４】例えば、第四級アンモニウム基を含有する
カチオン化澱粉の製造法としては、水性媒体を使用する
湿式法と固／気層相反応を利用する蒸式法があるが、通
常は湿式法が採用される。これは、ジアルキルアミンま
たはトリアルキルアミンとエピクロヒドリンとの反応物
から成るカチオン化剤を水性媒体中において、アルカリ
存在下に澱粉に反応させるものであり、これによりカチ
オン化澱粉を効率的に製造することができる。

【００１５】本発明において前記カチオン化澱粉にグラ
フト重合せしめるモノマー類としては、（メタ）アクリ
ルアミド及びカチオン性モノマーを含むモノマー類であ
ることが必要である。なお、本発明において前記モノマ
ー類のほかに第三の共重合可能なモノマー類を使用でき
ることはいうまでもないことである。前記した（メタ）
アクリルアミドは、調製される分散剤に非発泡性と機械
的安定性を付与する上で重要なグラフトモノマーであ
る。即ち、親水性モノマーである（メタ）アクリルアミ
ドを使うことによってはじめて、調製されるグラフト化
カチオン澱粉は非発泡性で、機械的安定性に優れた分散
剤となる。この点、グラフトモノマーが水溶性でないも
のの場合、グラフト重合時に界面活性剤や有機溶媒の併
用が必要となるために生成するグラフト化カチオン澱粉
は発泡性のものとなり、アルキルケテンダイマーエマル
ジョンの機械的安定性を損ねる。一方、（メタ）アクリ
ルアミド以外の水溶性モノマーの場合でも、前記した発
泡性の傾向は同じであり、やはり機械的安定性が不良と
なる。また、本発明において、カチオン性モノマーを使
用しない場合、アルキルケテンダイマーエマネジョンの
機械的安定性は悪化する。

【００１６】本発明において前記したカチオン性モノマ
ーとしては、例えばアルキルアミノアルキル（メタ）ア
クリレート、アルキルアミノアルキル（メタ）アクリル
アミド、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、ジアリ
ルアミン類、及びこれらの第四級化物などが使用され
る。

【００１７】本発明のグラフト化カチオン澱粉は、カチ
オン化澱粉の存在下、前記グラフトモノマーを用いて種
々の方法で調製することができる。例えば、セリウム塩
等のいわゆるグラフト化触媒を用いる方法もその１つで
あるが、カチオン化澱粉の存在下に、前記グラフトモノ
マー類を既知の重合触媒を用いてグラフト重合すること
により、容易に目的とするグラフト重合物が得られる。
本発明において、前記（メタ）アクリルアミドとカチオ
ン性モノマーの使用割合は、分散剤の特性や後者が高価
であるという経済性の観点などを考慮して適宜に決めれ
ばよい。一般的な（メタ）アクリルアミドとカチオン性
モノマーの使用割合（重量比）は、５０：５０〜９９：
１である。

【００１８】また、本発明の分散剤であるグラフト化カ
チオン澱粉は、一般にカチオン化澱粉３０〜９５重量
％、（メタ）アクリルアミド及びカチオン性モノマー類
５〜７０重量％から成るものである。本発明において、
カチオン化澱粉が９５重量％より多い場合、あるいは３
０重量％より少ない場合、どちらも不十分な機械的安定
性を示し、また高温安定性も劣る。

【００１９】本発明の製紙用サイズ組成物、即ちアルキ
ルケテンダイマー系サイズ剤と前記のようにして調製し
た分散剤としてのグラフト化カチオン澱粉から成る製紙
用サイズ剤組成物は、固形分として、 (i) アルキルケテンダイマー（サイズ剤）……５０〜９
５重量％、好ましくは５０〜９０重量％、 (ii)グラフト化カチオン澱粉（分散剤）……… ５〜５
０重量％、好ましくは１０〜５０重量％、 から成るものである。本発明において、グラフト化カチ
オン澱粉が５重量％より少ない場合、十分な分散安定性
が得られず、またサイズ効果が低下する。

【００２０】本発明の製紙用サイズ剤組成物は、前記し
たアルキルケテンダイマーを必須のサイズ剤とするもの
であるが、該ダイマーの効果を阻害しない限り、その他
のサイズ剤、例えば炭化水素樹脂、ロジン系物質、油脂
誘導体などを適量配合することが出来ることはいうまで
もないことである。また、本発明の製紙用サイズ剤組成
物は、前記したグラフト化カチオン澱粉を必須の分散剤
とするものであるが、その他の分散剤、例えばリグニン
スルホン酸ソーダ、ナフタリンスルホン酸ソーダホルマ
リン縮合物、あるいは各種の界面活性剤などを併用する
ことが出来ることはいうまでもないことである。なかで
も、リグニンスルホン酸ソーダは、相乗的に優れた効果
をもたらすので好ましいものである。

【００２１】（作用）本発明者らにおいて、本発明の製
紙用サイズ剤組成物が優れた安定性と優れた効果を発現
する理由について必ずしも十分に解明していないが、次
のように推察している。即ち、 ・アルキルケテンダイマー粒子は、それ自体、負に帯電
していること、 ・グラフト化カチオン澱粉は、カチオン化澱粉上に親水
性でかつカチオン性のポリマー鎖がグラフト重合してい
ること、 ・そして、アルキルケテンダイマーの分散粒子上に、前
記グラフト化カチオン澱粉が負チャージと正チャージの
電気吸引力により配向すること、 ・従って、分散系に印加される機械的シェアー（応力）
や高温によるアルキルケテンダイマー粒子同士の融合粗
大化が防止され、 ・かつ、アルキルケテンダイマーの分散粒子上に配向し
たグラフト化カチオン澱粉において、カチオン化澱粉と
グラフトされたポリマー鎖の両カチオン性の共働によ
り、負に帯電したパルプ繊維に効果的に強固に定着する
こと、以上のことから、優れた効果が発現されるものと
考えられる。

【００２２】

【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳しく説明
するが、本発明はこれら実施例のものに限定されないこ
とはいうまでもないことである。なお、以下の各例にお
いて、特に断らない限り、％は重量％、部は重量部を示
す。

【００２３】（製造例１）２０％３０℃の糊液粘度３０
ｃｐｓを有する酸化変性タピオカ澱粉の絶乾分１００部
に水２８５部を加え、８５℃で１時間加温後冷却し、６
０℃において、５０％苛性ソーダ液３．４部グリシジル
トリメチルアンモニウム クロライドを純分換算８．６
部を加え同温度で４時間反応後冷却、３０℃において１
５％硫酸水溶液１２部を加え、更に水を加え全量を４６
０部とした。前記のように調製されたカチオン化澱粉は
固形分２５％、置換度（Ｄ）０．０９、ｐＨ４．５であ
った。以下、これをカチオン澱粉Ｉという。

【００２４】前記カチオン澱粉Ｉの２５％溶液２４０部
にアクリルアミドの４０％液９０部、ジメチルアミノプ
ロピルアクリルアミド４部、１５％硫酸水溶液を加え
て、ｐＨ４．０にに調整した後、水を加え、全量を３６
０部とし、６０℃に加温、水１０部に溶解した過硫酸ア
ンモニウム１．３２部を加え重合を行った。一時間６５
〜７０℃で重合を行った後、さらに過硫酸アンモニウム
の０．４部を水１０部に溶解して加え、更に、同温度で
２時間重合を行った後、水を加え全量を４００部として
グラフト化カチオン澱粉Ｉの２５％溶液を得た。得られ
た溶液の粘度（２５℃）１，４５０ｃｐｓであった。

【００２５】（製造例２）製造例１のカチオン澱粉Ｉ溶
液２８０部にアクリルアミドの４０％水溶液６７．５
部、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド３部を加
え、過硫酸アンモニウムの添加量を０．９９部、追加の
過硫酸アンモニウム量を０．３部とする以外は製造例１
と同様に操作して、粘度（２５℃）４０５ｃｐｓを有す
るグラフト化カチオン澱粉IIの２５％液を得た。

【００２６】（製造例３）２０％の糊液粘度（２５℃）
４０ｃｐｓを有する酸化変性コーンスターチを使用し、
グリシジルトリメチルアンモニウムクロライド純分換算
１４．７部を使用する以外は、製造例１と同様にして、
固形分２５％、置換度（Ｄ．Ｓ．）０．１５、ｐＨ４．
５のカチオン澱粉液を得た。以下、これをカチオン澱粉
IIという。前記カチオン澱粉IIの２５％溶液１６０部に
アクリルアミドの４０％液１３５部、トリメチルアミノ
エチルアクリレート塩酸塩６部、水６５部を加え、１５
％硫酸液でｐＨを４．０に調整した後、５５℃に加温、
過硫酸アンモニウム２部を水１０部に溶解して添加、７
０〜７５℃で一時間重合を行った後、さらに過硫酸アン
モニウムの０．６部を水１０部に溶解して加え、同温度
で２時間重合を行った後、水を追加全量を４００部とし
て、粘度（２５℃）２５００ｃｐｓを有するグラフト化
カチオン澱粉III の２５％水溶液を得た。

【００２７】（比較製造例１）アクリルアミドの４０％
水溶液９０部、ジメチルアミノプロピルアクリルアモド
４部、水９０部を混合し、硫酸でｐＨを４．０に調整、
３０℃で過硫酸アンモニウム１．０部、重亜硫酸ソーダ
１．０部をそれぞれ水５部に溶解した液を添加し、重合
を開始、内温６５〜７０℃で３時間保温重合後水を加
え、全量を２００部とし、濃度２０％粘度（２５℃）１
２０ｃｐｓを有する比較のためのカチオンポリマーＩを
得た。 （比較製造例２）アクリルアミドの４０％水溶液９０
部、トリメチルアミノエチルアクリレート塩酸塩４部、
水９０部を混合し、硫酸でｐＨを４．０に調整、３０℃
で過硫酸アンモニウム１．０部、重亜硫酸ソーダ１．０
部をそれぞれ水５部に溶解した液を添加し、重合を開
始、内温６５〜７０℃で３時間保温重合後水を加え、全
量を２００部とし、濃度２０％粘度（２５℃）４５０ｃ
ｐｓを有する比較のためのカチオンポリマーIIを得た。

【００２８】（実施例１）製造例１で得られたグラフト
化カチオン澱粉Ｉの２５％溶液９６部に水を追加し、硫
酸でｐＨを３．５に調整した後、全量を４８０部とす
る。この水溶液を７０℃に加温する。次に、精製牛脂原
料のアルキルケテンダイマー８０部を７０℃に溶融して
加えて混合、高圧吐出型ホモゲナイザーを用いて圧力３
００Ｋｇｓ／cm² で乳化した後、水を追加し、冷却し
て、固形分２０％のケテンダイマーサイズ剤組成物を得
た。 （実施例２／３）製造例２、３で得られたグラフト化カ
チオン澱粉II、III の２５％水溶液を使用する以外は、
実施例１と同様に操作して、それぞれ、固形分２０％の
ケテンダイマーサイズ剤組成物を得た。 （実施例４／５／６）製造例１、２、３において、グラ
フト化カチオン澱粉と共に、リグニンスルホン酸ソーダ
（ＳＬＳ）の１．６部を加える以外は、実施例１、２、
３と同様に操作して、それぞれ実施例４、５、６の固形
分２０％のケテンダイマーサイズ剤組成物を得た。

【００２９】（比較例１／２）実施例１のグラフト化カ
チオン澱粉の代わりに、比較製造例１、２のカチオンポ
リマーＩ及びIIの２０％の水溶液１２０部を使用する以
外は、実施例１と同様に操作して、それぞれ固形分２０
％の比較のためのケテンダイマーサイズ剤組成物を得
た。 （比較例３／４）実施例１のグラフト化カチオン澱粉の
代りに製造例１、２中のカチオンデンプンＩ及びカチオ
ン澱粉IIの２５％水溶液それぞれ９６部を使用する以外
は、実施例１と同様に操作して、それぞれ、比較のため
の固形分２０％のケテンダイマーサイズ剤組成物を得
た。 （比較例５／６）実施例１のグラフト化カチオン澱粉の
代りに製造例１のカチオン澱粉Ｉの２５％水溶液５７．
６部及び、比較製造例１、及び２のカチオンポリマーの
２０％水溶液４８部を混合使用する以外は実施例１と同
様に操作して、それぞれ固形分２０％の比較のためのケ
テンダイマーサイズ剤組成物を得た。 （比較例７）実施例５の分散剤組成物中にリグニンスル
ホン酸ソーダ（ＳＬＳ）の１．６部を添加する以外は、
比較例５と同様に操作して、固形分２０％の比較のため
のケテンダイマーサイズ剤組成物を得た。

【００３０】（性能評価）前記実施例１〜６、比較例１
〜７の各サイズ剤組成物について、高温安定性、機械的
安定性、サイズ効果を下記の要領で評価した。 (i) 高温安定性 ４０℃の恒温槽中に一週間保温後のエ
マルジョンの変化を観察する。 ◎ 粘度変化無く、粒子状に変化なし。 ○ 粘度変化はなし、一部に皮はり。 × 粘度やや増粘、凝集部分あり。 ×× 粘度顕著に増粘、凝集部分あり。 (ii)機械安定性 固形分２％の稀釈液をホモゲナイザー
（日本精機（株）製エースホモゲナイザーＡＭ−３型）
で１５０００ｒｐｍ１０分間高速攪拌後、定性濾紙（東
洋濾紙Ｎｏ．２）で濾過して濾紙上に残る折出物を観察
する。 ◎ 折出物なし ○ 折出物ごく微量 × 折出物かなりあり ×× 折出物多量に発生 (iii)サイズ効果 ２％パルプスラリー（Ｌ−ＢＫＰ，
ＣＳＦ３８０ml）に定着剤としてのカチオン澱粉（商品
名パールガムＨＭＳ）０．７％、前記の各サイズ剤組成
物を固形分換算０．１％、填料としての重質炭酸カルシ
ウム２０％（添加率はいずれも対気乾パルプ）を順次添
加して常法のごとく、ＴＡＰＰＩスタンダードシートマ
シンにより、坪量６０ｇ／ｍ² の湿紙を調製した。湿紙
は９０℃のロータリードライヤーで一分間乾燥して成紙
とした。乾燥３０分後のステキヒトサイズ度（ＪＩＳ
Ｐ−８１２２）を測定した。結果を下記（表１）に示
す。 下記（表１）に示されるように、本発明のサイズ剤組成
物は、高温及び機械安定性に優れるとともに、サイズ効
果の点においても優れていることが判る。

【００３１】

【表１】

【００３２】

【発明の効果】本発明は、中性ないしアルカリ性条件下
で使用される抄紙用サイズ剤であるアルキルケテンダイ
マーの改良に関するものである。即ち、従来のアルキル
ケテンダイマー系サイズ剤に対し、各種の分散剤が開発
されているが、エマルジョンの不安定性に関連して、種
々のトラブルが発生し、かつ十分なサイズ効果が発現さ
れていないのが現状である。本発明は、分散剤としてカ
チオン化澱粉に特定のモノマー、具体的には（メタ）ア
クリルアミド及びカチオン性モノマーから成るモノマー
類をグラフト重合させることにより調製したグラフト化
カチオン澱粉を使用する点に特徴を有する。そして、本
発明の新規なグラフト化カチオン澱粉を分散剤を使用す
ることにより、機械的及び高温安定性に優れたエマルジ
ョンが得られるとともに、優れたサイズ効果が発現され
る。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 アルキルケテンダイマーを分散剤により
   乳化分散せしめてなる製紙用サイズ剤組成物において、
   前記分散剤が、 ・カチオン化澱粉に（メタ）アクリルアミド及びカチオ
   ン性モノマーを含むモノマー類をグラフト重合させて調
   製したグラフト化カチオン澱粉、であることを特徴とす
   る製紙用サイズ剤組成物。
2. 【請求項２】 グラフト化カチオン澱粉が、 ・カチオン澱粉３０〜９５重量％、 ・（メタ）アクリルアミド及びカチオン性モノマーを含
   むモノマー類５〜７０重量％、 とをグラフト重合させて調製したものである請求項１に
   記載の製紙用サイズ剤組成物。
3. 【請求項３】 乳化分散物が、固形分中、 ・グラフト化カチオン澱粉 ５〜５０重量％、 ・アルキルケテンダイマー ５０〜９５重量％、 を含むものである請求項１に記載の製紙用サイズ剤組成
   物。
4. 【請求項４】 分散剤が、 ・グラフト化カチオン澱粉、及び ・リグニンスルホン酸ソーダ、 から成るものである請求項１に記載の製紙用サイズ剤組
   成物。