JPH0665714A - 金属物品の着色装置および着色方法 - Google Patents

金属物品の着色装置および着色方法

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JPH0665714A
JPH0665714A JP40916490A JP40916490A JPH0665714A JP H0665714 A JPH0665714 A JP H0665714A JP 40916490 A JP40916490 A JP 40916490A JP 40916490 A JP40916490 A JP 40916490A JP H0665714 A JPH0665714 A JP H0665714A
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JP
Japan
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pzt
coloring
container
vacuum chamber
gas
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JP40916490A
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English (en)
Inventor
Masaki Morikawa
正樹 森川
Yasuo Yamanishi
康雄 山西
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Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、着色し得る色を微妙に変化させて
種々の色による表現を可能とすることを目的とする。 【構成】 金属の表面にスパッタリングによって鉛、シ
ルコニウム、および、チタンの各原子からなるPZTを
付着させて膜厚や酸素原子と窒素原子との混合比の組み
合わせにより多彩な着色を可能とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えばチタンやステ
ンレスなどの金属物品の表面に、所望の着色を施すこと
ができる金属物品の着色装置および着色方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】チタンやステンレスは、耐食性に優れ、
また金属特有の光沢を有していることから、メガネフレ
ームや時計バンド、さらにはゴルフのメタルウッドなど
にも用いられている。
【0003】また、その表面に酸化膜を形成することに
より、自然発色による着色が施され、従来のような塗装
によらず、透明感のある色彩が得られる。
【0004】ここで、一般に、金属表面に酸化膜を形成
する方法としては、大気中加熱、酸化性溶液浸漬(化学
酸化)、電解酸化(陽極酸化)などの方法があるが、チタ
ンの着色では、主に陽極酸化が用いられる。
【0005】この場合、溶液には硫酸やリン酸の水溶液
が用いられ、定電圧または定電流方式の電解によってチ
タン酸化皮膜が形成される。
【0006】そして、このチタン酸化皮膜の膜厚を変化
させることによって、着色される色が変化する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、チタンなど
の金属表面に酸化膜を形成することにより、着色を施す
従来の方法においては、酸化膜の膜厚のみによって色が
変化するため、着色し得る色が限られており、種々の色
を表現することができなかった。
【0008】この発明は上述した事情に鑑みてなされた
もので、着色し得る色を微妙に変化させ、種々の色を表
現することができる金属物品の着色装置および着色方法
を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明は、容器内にタ
ーゲットとして配置され、鉛、ジルコニウム、および、
チタンの各原子からなるPZTと、前記容器内に、前記
PZTと対向して配置された金属物品と、前記容器内が
所定気圧となるように真空引きする真空ポンプと、前記
容器内に不活性ガス、酸素ガス、および窒素ガスを予め
設定された配分で注入する雰囲気調整手段と、前記容器
内の不活性ガスを放電させる電源とを具備することを特
徴としている。
【0010】
【実施例】以下、図面を参照し、この発明の実施例につ
いて説明する。
【0011】図1はこの発明の一実施例による着色装置
の構成を示す図である。この図において、1は真空チャ
ンバであり、その上面には、着色対象物であるチタン板
2を真空チャンバ1内で支持する支持機構3が設けられ
ている。
【0012】この支持機構3は、真空チャンバ1の開口
部を密封するハッチ機構4と、このハッチ機構4を貫通
して設けられ、上下動自在にかつ水平方向へ回転自在に
支持されたロッド5と、このロッド5を回転駆動するモ
ータ6と、ロッド5の下端に設けられ、チタン板2を保
持するホルダ7と、このホルダ7の裏面に設けられ、チ
タン板2を加熱するヒータ8とから構成されている。
【0013】この支持機構3の側方には、レバー9が設
けられており、このレバー9を回動することにより、チ
タン板2の下方をシャッタ10で覆うことができるよう
になっている。
【0014】また、真空チャンバ1の下部には、ターゲ
ットとなるPZT板12をチタン板2と対向する位置に
保持するターゲットホルダ13と、このターゲットホル
ダ13に対して外部から冷却水を供給するパイプ14が
設けられている。
【0015】そして、ターゲットホルダ13に高周波電
源装置15が接続されることにより、このターゲットホ
ルダ13を介して、PZT板12に高周波電源が供給さ
れるようになっている。
【0016】また、この高周波電源装置15は、ホルダ
7に接続されることにより、このホルダ7を介してチタ
ン板2に高周波電源が供給されるようになっている。
【0017】ここで、PZTとは、鉛、ジルコニウム、
および、チタンの各原子から構成されている。
【0018】一方、真空チャンバ1の一側面には、チャ
ンバ1内を真空引きする真空ポンプ16が接続されお
り、その他側面には、チャンバ1内の圧力を測定するた
めの真空計17が設けられていると共に、チャンバ1内
に、アルゴン(Ar)ガス、酸素(O2)ガス、および窒素
(N2)ガスを予め設定された配分で注入する雰囲気調整
装置18が接続されている。
【0019】この雰囲気調整装置18は、アルゴンガ
ス,窒素ガス,酸素ガスが各々充填されたボンベ19a,1
9b,19cと、これら各ボンベ19a〜19cから噴出さ
れるガス流量を調整するための流量計付きバルブ20a
〜20cと、各バルブ20a〜20cを介して流出される
混合ガスを真空チャンバ1内に導く管路21と、この管
路21の途中に設けられたストップバルブ22とから構
成されている。
【0020】次に、上述した一実施例による着色装置に
よって、チタン板2に着色を施す場合の処理手順につい
て説明する。
【0021】まず、真空チャンバ1内に、チタン板2と
PZT板12を図に示すように上下に対向させて配置
し、これらチタン板2とPZT板12の間をシャッタ1
0で遮蔽した状態としておく。
【0022】次いで、真空ポンプ16を起動して、真空
チャンバ1内の真空引きを行い、さらにストップバルブ
22を開き、バルブ20a〜20cの開度を調整して、真
空チャンバ1内に、アルゴンガス、窒素ガス、および酸
素ガスを所定の配分で注入する。そして、真空計17を
見ながら、真空チャンバ1内の気圧が、常に2.0×1
-3〔Torr〕となるように、バルブ20a〜20cを調
整する。
【0023】また、真空チャンバ1内の温度は常温と
し、ターゲットホルダ13に対しては外部から冷却水を
供給して冷却し、さらに、ヒータ8に電源を供給してチ
タン板2を常温〜300℃に加熱し、チタン板2と、そ
の表面に形成されるPZT膜との間の熱歪みが極力生じ
ないようにする。
【0024】このような状態とした上で、ホルダ7に高
周波電源装置15を接続し、逆スパッタ処理によりチタ
ン板2の表面の汚れ(例えば、酸化膜)を除去する。
【0025】次に、高周波電源装置15を切り替えて、
ターゲットホルダ13に高周波電源装置15を接続し、
レバー9を操作して、シャッタ10を所定時間開放す
る。
【0026】すると、真空チャンバ1内のアルゴンガス
が放電して、スパッタリングが行なわれ、このスパッタ
リングにより、ターゲットのPZT板12から放出され
た鉛、ジルコニウム、および、チタンの各原子がチタン
板2の表面に付着し、図2に示すように、チタン板2の
表面に所定の膜厚dのPZT膜12aが形成され、これ
により、チタン板2に着色が施される。
【0027】この場合、PZT膜12aに含有される酸
素原子と窒素原子の配分は、真空チャンバ1内の雰囲気
中に含まれる酸素ガスと窒素ガスの比率に応じて任意に
設定することができ、そして、真空チャンバ1内の混合
ガスの配分と、チタン板2の表面に形成されるPZT膜
12aの膜厚dと、着色との関係を示せば、次表の通りで
ある。
【0028】
【表1】
【0029】このように、PZT膜12aの膜厚d以外
に、酸素原子と窒素原子の配分によっても着色される色
が変化するため、この配分と膜厚dの組み合わせによっ
て種々の色を表現することができる。
【0030】ここで、PZT膜12aによる着色原理に
ついて説明する。
【0031】まず、白色光は、紫外から赤外に至る連続
的な波長の光が合成されたものであるが、いま白色光が
図2に示すように、透明なPZT膜12aの表面に入射
されると、その一部は表面でそのまま反射され、他の一
部は表面で屈折してPZT膜12a内を透過し、下地界
面であるチタン板2の表面に達して、そこから反射され
て再びPZT膜12aを透過して表面に出てくる。
【0032】これら両者の光の位相が同じ場合は反射強
度が極大となり、逆位相の場合は極小となり、これを光
の干渉という。
【0033】光が単色光の場合は、これによって干渉縞
となるが、白色光では極大を示す波長が可視光領域であ
るとき、発色が生じる。
【0034】これは、PZT膜12a自身の色ではな
く、光の干渉に基づく干渉色と言われるものである。そ
して、この干渉色はPZT膜12aの膜厚dと、その屈折
率によって異なり、またPZT膜12aの屈折率は、含
有する酸素原子と窒素原子の比率によって変化する。
【0035】これにより、PZT膜12aの膜厚dと、そ
の酸素原子と窒素原子の配分を変化させることにより、
種々の干渉色が得られることになる。
【0036】次に、上述した一実施例の変形例につい
て、説明する。
【0037】まず、着色を施す金属物品としては、チタ
ン合金やステンレスなどでもよく、要はスパッタリング
によって黒色化しない金属物品であれば、どのようなも
のでも構わない。
【0038】また、図3に示すように、チタン板2の表
面に密着性を良くするためにプラチナ(Pt)またはプラ
チナ合金の薄膜25を形成した後、PZT膜12aを形
成するようにしてもよく、さらに、この薄膜25に代え
て、反射色調を鮮明にし、特に、白色の色調を強調する
ためにパラジウム(Pd)の薄膜を形成しても構わない。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、容器内の不活性ガスを放電させて、所定時間スパッ
タリングを行うことにより、金属物品の表面に、予め設
定された配分の酸素原子と窒素原子を含有する所定の膜
厚のPZT膜を形成するようにしたので、従来の酸化膜
によって着色を施す場合と比較して、安定した着色を施
すことができ、また、PZT膜の膜厚以外に、PZT膜
に含有させる酸素原子と窒素原子の配分を任意に設定す
ることができ、この配分と膜厚の組み合わせによって着
色される色を微妙に変化させることができ、種々の色の
着色を施すことができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による着色装置の概略構成図
である。
【図2】本発明の一実施例による着色装置によるPZT
膜の形成例を示す断面図である。
【図3】他の実施例によるPZT膜の形成例を示す断面
図である。
【符号の説明】
1 真空チャンバ(容器)、 2 チタン板(金属物品)、 12 PZT板、 15 高周波電源装置、 16 真空ポンプ、 18 雰囲気調整装置(雰囲気調整手段)
【手続補正書】
【提出日】平成3年4月19日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 金属物品の着色装置および着色方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えばチタンやステ
ンレスなどの金属物品の表面に、所望の着色を施すこと
ができる金属物品の着色装置および着色方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】チタンやステンレスは、耐食性に優れ、
また金属特有の光沢を有していることから、メガネフレ
ームや時計バンド、さらにはゴルフのメタルウッドなど
にも用いられている。
【0003】また、その表面に酸化膜を形成することに
より、自然発色による着色が施され、従来のような塗装
によらず、透明感のある色彩が得られる。
【0004】ここで、一般に、金属表面に酸化膜を形成
する方法としては、大気中加熱、酸化性溶液浸漬(化学
酸化)、電解酸化(陽極酸化)などの方法があるが、チタ
ンの着色では、主に陽極酸化が用いられる。
【0005】この場合、溶液には硫酸やリン酸の水溶液
が用いられ、定電圧または定電流方式の電解によってチ
タン酸化皮膜が形成される。
【0006】そして、このチタン酸化皮膜の膜厚を変化
させることによって、着色される色が変化する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、チタンなど
の金属表面に酸化膜を形成することにより、着色を施す
従来の方法においては、酸化膜の膜厚のみによって色が
変化するため、着色し得る色が限られており、種々の色
を表現することができなかった。
【0008】この発明は上述した事情に鑑みてなされた
もので、着色し得る色を微妙に変化させ、種々の色を表
現することができる金属物品の着色装置および着色方法
を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明は、容器内にタ
ーゲットとして配置され、鉛、ジルコニウム、および、
チタンの各原子からなるPZTと、前記容器内に、前記
PZTと対向して配置された金属物品と、前記容器内が
所定気圧となるように真空引きする真空ポンプと、前記
容器内に不活性ガス、酸素ガス、および窒素ガスを予め
設定された配分で注入する雰囲気調整手段と、前記容器
内の不活性ガスを放電させる電源とを具備することを特
徴としている。
【0010】
【実施例】以下、図面を参照し、この発明の実施例につ
いて説明する。
【0011】図1はこの発明の一実施例による着色装置
の構成を示す図である。この図において、1は真空チャ
ンバであり、その上面には、着色対象物であるチタン板
2を真空チャンバ1内で支持する支持機構3が設けられ
ている。
【0012】この支持機構3は、真空チャンバ1の開口
部を密封するハッチ機構4と、このハッチ機構4を貫通
して設けられ、上下動自在にかつ水平方向へ回転自在に
支持されたロッド5と、このロッド5を回転駆動するモ
ータ6と、ロッド5の下端に設けられ、チタン板2を保
持するホルダ7と、このホルダ7の裏面に設けられ、チ
タン板2を加熱するヒータ8とから構成されている。
【0013】この支持機構3の側方には、レバー9が設
けられており、このレバー9を回動することにより、チ
タン板2の下方をシャッタ10で覆うことができるよう
になっている。
【0014】また、真空チャンバ1の下部には、ターゲ
ットとなるPZT板12をチタン板2と対向する位置に
保持するターゲットホルダ13と、このターゲットホル
ダ13に対して外部から冷却水を供給するパイプ14が
設けられている。
【0015】そして、ターゲットホルダ13に高周波電
源装置15が接続されることにより、このターゲットホ
ルダ13を介して、PZT板12に高周波電源が供給さ
れるようになっている。
【0016】また、この高周波電源装置15は、ホルダ
7に接続されることにより、このホルダ7を介してチタ
ン板2に高周波電源が供給されるようになっている。
【0017】ここで、PZTとは、鉛、ジルコニウム、
および、チタンの各原子から構成されている。
【0018】一方、真空チャンバ1の一側面には、チャ
ンバ1内を真空引きする真空ポンプ16が接続されお
り、その他側面には、チャンバ1内の圧力を測定するた
めの真空計17が設けられていると共に、チャンバ1内
に、アルゴン(Ar)ガス、酸素(O2)ガス、および窒素
(N2)ガスを予め設定された配分で注入する雰囲気調整
装置18が接続されている。
【0019】この雰囲気調整装置18は、アルゴンガ
ス,窒素ガス,酸素ガスが各々充填されたボンベ19a,1
9b,19cと、これら各ボンベ19a〜19cから噴出さ
れるガス流量を調整するための流量計付きバルブ20a
〜20cと、各バルブ20a〜20cを介して流出される
混合ガスを真空チャンバ1内に導く管路21と、この管
路21の途中に設けられたストップバルブ22とから構
成されている。
【0020】次に、上述した一実施例による着色装置に
よって、チタン板2に着色を施す場合の処理手順につい
て説明する。
【0021】まず、真空チャンバ1内に、チタン板2と
PZT板12を図に示すように上下に対向させて配置
し、これらチタン板2とPZT板12の間をシャッタ1
0で遮蔽した状態としておく。
【0022】次いで、真空ポンプ16を起動して、真空
チャンバ1内の真空引きを行い、さらにストップバルブ
22を開き、バルブ20a〜20cの開度を調整して、真
空チャンバ1内に、アルゴンガス、窒素ガス、および酸
素ガスを所定の配分で注入する。そして、真空計17を
見ながら、真空チャンバ1内の気圧が、常に2.0×1
-3〔Torr〕となるように、バルブ20a〜20cを調
整する。
【0023】また、真空チャンバ1内の温度は常温と
し、ターゲットホルダ13に対しては外部から冷却水を
供給して冷却し、さらに、ヒータ8に電源を供給してチ
タン板2を常温〜300℃に加熱し、チタン板2と、そ
の表面に形成されるPZT膜との間の熱歪みが極力生じ
ないようにする。
【0024】このような状態とした上で、ホルダ7に高
周波電源装置15を接続し、逆スパッタ処理によりチタ
ン板2の表面の汚れ(例えば、酸化膜)を除去する。
【0025】次に、高周波電源装置15を切り替えて、
ターゲットホルダ13に高周波電源装置15を接続し、
レバー9を操作して、シャッタ10を所定時間開放す
る。
【0026】すると、真空チャンバ1内のアルゴンガス
が放電して、スパッタリングが行なわれ、このスパッタ
リングにより、ターゲットのPZT板12から放出され
た鉛、ジルコニウム、および、チタンの各原子がチタン
板2の表面に付着し、図2に示すように、チタン板2の
表面に所定の膜厚dのPZT膜12aが形成され、これ
により、チタン板2に着色が施される。
【0027】この場合、PZT膜12aに含有される酸
素原子と窒素原子の配分は、真空チャンバ1内の雰囲気
中に含まれる酸素ガスと窒素ガスの比率に応じて任意に
設定することができ、そして、真空チャンバ1内の混合
ガスの配分と、チタン板2の表面に形成されるPZT膜
12aの膜厚dと、着色との関係を示せば、次表の通りで
ある。
【0028】
【表1】
【0029】このように、PZT膜12aの膜厚d以外
に、酸素原子と窒素原子の配分によっても着色される色
が変化するため、この配分と膜厚dの組み合わせによっ
て種々の色を表現することができる。
【0030】ここで、PZT膜12aによる着色原理に
ついて説明する。
【0031】まず、白色光は、紫外から赤外に至る連続
的な波長の光が合成されたものであるが、いま白色光が
図2に示すように、透明なPZT膜12aの表面に入射
されると、その一部は表面でそのまま反射され、他の一
部は表面で屈折してPZT膜12a内を透過し、下地界
面であるチタン板2の表面に達して、そこから反射され
て再びPZT膜12aを透過して表面に出てくる。
【0032】これら両者の光の位相が同じ場合は反射強
度が極大となり、逆位相の場合は極小となり、これを光
の干渉という。
【0033】光が単色光の場合は、これによって干渉縞
となるが、白色光では極大を示す波長が可視光領域であ
るとき、発色が生じる。
【0034】これは、PZT膜12a自身の色ではな
く、光の干渉に基づく干渉色と言われるものである。そ
して、この干渉色はPZT膜12aの膜厚dと、その屈折
率によって異なり、またPZT膜12aの屈折率は、含
有する酸素原子と窒素原子の比率によって変化する。
【0035】これにより、PZT膜12aの膜厚dと、そ
の酸素原子と窒素原子の配分を変化させることにより、
種々の干渉色が得られることになる。
【0036】次に、上述した一実施例の変形例につい
て、説明する。
【0037】まず、着色を施す金属物品としては、チタ
ン合金やステンレスなどでもよく、要はスパッタリング
によって黒色化しない金属物品であれば、どのようなも
のでも構わない。
【0038】また、図3に示すように、チタン板2の表
面に密着性を良くするためにプラチナ(Pt)またはプラ
チナ合金の薄膜25を形成した後、PZT膜12aを形
成するようにしてもよく、さらに、この薄膜25に代え
て、反射色調を鮮明にし、特に、白色の色調を強調する
ためにパラジウム(Pd)の薄膜を形成しても構わない。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、容器内の不活性ガスを放電させて、所定時間スパッ
タリングを行うことにより、金属物品の表面に、予め設
定された配分の酸素原子と窒素原子を含有する所定の膜
厚のPZT膜を形成するようにしたので、従来の酸化膜
によって着色を施す場合と比較して、安定した着色を施
すことができ、また、PZT膜の膜厚以外に、PZT膜
に含有させる酸素原子と窒素原子の配分を任意に設定す
ることができ、この配分と膜厚の組み合わせによって着
色される色を微妙に変化させることができ、種々の色の
着色を施すことができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による着色装置の概略構成図
である。
【図2】本発明の一実施例による着色装置によるPZT
膜の形成例を示す断面図である。
【図3】他の実施例によるPZT膜の形成例を示す断面
図である。
【符号の説明】 1 真空チャンバ(容器)、 2 チタン板(金属物品)、 12 PZT板、 15 高周波電源装置、 16 真空ポンプ、 18 雰囲気調整装置(雰囲気調整手段)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 容器内にターゲットとして配置され、
    鉛、ジルコニウム、および、チタンの各原子からなるP
    ZTと、前記容器内に、前記PZTと対向して配置され
    た金属物品と、前記容器内が所定気圧となるように真空
    引きする真空ポンプと、前記容器内に不活性ガス、酸素
    ガス、および窒素ガスを予め設定された配分で注入する
    雰囲気調整手段と、前記容器内の不活性ガスを放電させ
    る電源とを具備することを特徴とする金属物品の着色装
    置。
  2. 【請求項2】 容器内にPZTをターゲットとして配置
    すると共に、このPZTと対向して金属物品を配置し、
    前記容器内が所定圧力となるように真空引きしつつ、該
    容器内に不活性ガス、酸素ガス、および窒素ガスを予め
    設定された配分で注入し、前記容器内の不活性ガスを放
    電させて、所定時間スパッタリングを行うことにより、
    前記金属物品の表面に、予め設定された配分の酸素原子
    と窒素原子を含有する所定の膜厚のPZT膜を形成する
    ことを特徴とする金属物品の着色方法。
JP40916490A 1990-12-28 1990-12-28 金属物品の着色装置および着色方法 Pending JPH0665714A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0226258A2 (en) * 1985-12-19 1987-06-24 ENIRICERCHE S.p.A. Synthetic, crystalline, porous material containing silicon oxide, titanium oxide and iron oxide

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0226258A2 (en) * 1985-12-19 1987-06-24 ENIRICERCHE S.p.A. Synthetic, crystalline, porous material containing silicon oxide, titanium oxide and iron oxide

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